花井「三橋!あっくんて呼ぶな!」

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665キモピ・キモエピ
唐突にサツマイモのターン。でも厳密にエロはない。ごめん。
wikiの俺ありがとうございます。阿部の夢落ち、そのあと。

「三橋、おはよー」
「お、はよー」

朝、グラウンドに向かっていると声をかけられた。田島くんだ。勢い良く走ってきて腕を首に回される。ヘッドロックだ。嬉しい。首がしまって少し苦しいけど嬉しい。田島くんがオレにふざけてきてくれるのがとても嬉しい。
田島くんは朝から元気ですごい。オレはうらやましい。
田島くんは両手にスーパーのレジ袋を下げていた。袋がガシャガシャ音をたててオレのほっぺにあたる。
何だろう? オレの視線を感じたのか田島くんが「これかー?」と笑いながら腕をはずしてビニール袋の中を見せてくれた。

「サツマイモ! 試し掘りだから少しなんだけど、後で茹でてもらおうと思って」
ホントは焼く方が好きだけどな、ゲンミツに!とにかっと笑う。泥だらけの福々としたサツマイモと田島くんの笑顔がまぶしい。
太陽みたいでオレとは大違いだ。オレも田島くんのようになりたい。そうしたらきっと阿部くんもオレを使いやすいピッチャーだと思ってくれる気がする。もっと仲良くなれる気がする。

「そうだ! 今度芋掘り来るか?」
「芋掘り?」
「ん。家族用の畑が別にあってさ。毎年従兄弟とかじいちゃんの知り合いとかよんで芋掘りしてんだ。けっこう楽しいぜ」

芋掘りか。幼稚園のときにやったことがあるような気がする。記憶がとても曖昧だ。アルバムの中にそんな写真があったような。帰ったら探してみよう。行ってみたい。楽しそうだ。
田島くんに、というよりも誰かに誘いを受けていることがオレはとても嬉しい。
こんなこと中学のときはなかったから。

「お、オレ掘り、たい」
「おぉ。他の奴らも来れるかなー」
「掘るってなに」
阿部くんがいつのまにか後ろに来ていた。声にすごくとげがある気がする。怖い。どうしたんだろう。
オレはまた怒らせるようなことを言ったのだろうか。