阿部「三橋!ちゃんとオレのちんこ握ってろよ! 」

このエントリーをはてなブックマークに追加
93かごめかごめ 8日目・前
「田島は三橋のそばにいてよ。オレは出来るだけ皆の気が尖らないようにもっていくから」
「……それは、ありがたいけど」

栄口の申し出は願ってもいないことだ。
けれど田島はちらりと三橋を見てから、尋ねた。

「なんでお前は、オレたちのせいじゃないって思えたんだ?
 言いたかねーけど、オレたち疑われてもしょうがないと思うよ」

ヤケになって吐き出した田島の台詞にぽかんとして、それから栄口はブッと吹き出して笑った。
ひぃひぃと腹を抱えて笑う栄口を、三橋と田島は目を丸くして見つめる。
まなじりに涙まで浮かべてから栄口は陰りのない笑顔を浮かべた。

「お前が、そういうこと自分でいうやつだからだよ!」



栄口が場を取り繕おうとするのは常のことだから、誰も不審には思わないようだった。
皆の様子は栄口が携帯を通じて田島に伝え、二人はその内容を見てまんじりとしていた。
泉が時折こちらを見て何かい言いたそうにしているのは気づいていたが、
今はこちらから動くべきではないと栄口との話し合いでも出たので何もせずにいた。
昼食も、田島と二人で取る。
クラスにいると泉と浜田が気を使うだろうと思い、教室を出た。

「今日はあったけーし、外で食おっか!」
「う、うんっ!」

事態は何も改善していないが、皆の誤解を解く取っ掛かりは出来た。
時間をかければきっと分かってもらえるだろう。
万葉の庭と呼ばれる中庭を抜ける。
女子生徒がちらほらと弁当を囲む姿も見え、和やかな風景が広がっている。
ぼんやりと色付き始めた木々を眺めながら歩いていると、田島が三橋の手を取った。