阿部。oO(しょうがねー突っ込んでやるよ、三橋…

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118続公務員・三橋
「れーんー、ねぇ廉ったらー」
「な、なぁに?お母さん」
今日は日曜日、
全身がぴりぴり痛むのを我慢して、俺は朝ご飯を食べていた。
…食欲は、なかったけど、寝てるほうが痛かった、から。
お母さんは朝のドキュメンタリー番組に夢中になっている。
「ねぇ、見てよー阿部選手のお母様ってホント凄いのねぇ」
「…ぁ、メジャー、の?」
「そ!阿部シュン選手のお母様よ。ホント尊敬するわぁ。女手一つで育てたんですって!」
「へー、すごい、ね」
俺は適当に相槌を打ってお箸を置いた。
「俺っ…ちょっと、出かけてくる、ね」

今日も、あの人の事務所へ向かう。
本当だったら修ちゃんとデートの日だった、けど…
―ごめん廉、俺仕事でどうしても出なきゃいけなくなって―
正直俺はホッとした。
この間のあの人の言葉が胸に突き刺さったままだったから
俺は修ちゃんに会うのが怖かったんだ。

工事現場の角を曲がって、あの人の事務所が視界に入る。
裏の倉庫に立てかけてある材木をくぐって入口に向かうと…

ダンッ!
突然の大きな物音に俺は思わず隠れた。
「…んスけど!?」
「…ら?」
「っざけんじゃねぇっつってんの!!」
バンッ!!
…け、喧嘩?
恐る恐る覗いてみると、あの人と怖そうな人たちが何か言い争っていた。