「いいから尻出せっつってんだろ! 早くしろ!」
「い、いい、いやだあぁっ!」
じたばた暴れる三橋をオレは力尽くで押さえつけた。
尻にデッドボールが当たって、その場でコールドスプレーで処置したはいいものの、やっぱり心配だ。
着替えの後、部室に人がいなくなるタイミングをわざわざ見計らってやったっていうのに三橋の嫌がりようは凄まじい。
尻見せろってだけなのに、そこまで嫌がるこたーねぇだろ。
「うわああああぁぁぁっ!」
ずべし! と間抜けな音を立てて、三橋が脱ぎかけのユニフォームに足を引っ掛けて転ぶ。
――のを俺が寸でのところで受け止めた。
三橋は眼前に迫った床を見詰めたまま目をぱちくりとさせている。
「さっさと見せろ」
「ひっ!」
オレが冷静に発した言葉に自分の状況を思い出したのか、三橋が逃げようともがく。
だけどもう遅い。
パンツのゴムに手をかけてオレは一気にそれを引き摺り下ろした。
「あ……?」
驚いてオレが声を発せずにいる間に、三橋は両手で顔を覆ってしまう。
青褪めてんのか真赤になってんのか。
或いはその両方か。
「尻の穴がふたつ!?」
そう三橋の尻にはあるべきものが、なぜかふたつ。
ひとつはどう考えたって余分なのになぜかふたつ。
「う、うまれつきなんだ……!」
「な、な……」
なんと奇遇な! 実はオレにもにほんのちんこが――
そう叫ぶのと同時に頭上から降ってきた金ダライがオレの意識を全て暗闇の中へと攫っていった。