三橋「将来僧になって結婚して欲しい」

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503fusianasan
うちの野球部のエースはちょっとヘンなヤツ。ビビリでキョドリですぐ泣く。
でも野球がすげえ好きで、投げることがすげえ好きで、きちんと努力ができるヤツ。
なに考えてるのよくかわかんないから、どうやって距離取ったらいいか戸惑う事も多いけど、いいエースだと思う。

「巣山ってアレだよね、動物園の職員とか向いてそうだよね」
ジャグがらポカリを注いでいると、何の脈絡もなく栄口が妙な事を言い出した。なんでいきなり動物園の職員なんだ?
「はあ?」
聞き返して、手にしたコップを煽る。栄口は笑って、ついと俺の背後を指差した。振り返ってみれば視線の先には阿部と三橋。
阿部はまた何か怒っているらしく、三橋の頭を握った拳でぐりぐりと締め上げていた。まあ、いつもの光景だ。
「阿部は向かないタイプ」
「んん?」
栄口の言いたいことがイマイチ分からない。それと動物園の職員と何の関係があるんだろう。
「三橋を動物に例えた話し。巣山はなかなか懐かない動物相手にも、辛抱強く相手できそうだけど、阿部は途中でキレるだろうなって」
「ああ」
いや、何も三橋を動物に例えなくてもいいとは思うけど。でも、それだったらもっと向いてるヤツがいるんじゃないかと思った。
「田島のが向いてんじゃねえの?」
「田島は職員じゃなくてムツゴロウさんだろ」
「あー、だな」
納得。そうか、人からはそんな風に見えるのか。別に特別三橋に気を使ってるつもりは無いんだけど。
どっちかと言えば、自分のペースを乱されるのが好きじゃないから、適当に人との距離を取ってるんだと思う。
そんな事を考えてたら、篠岡がおにぎりを持ってきてくれて、俺の思考はそこで止まった。