元ネタ。私の頭の中の消しゴム。この間雑談にでてたの書いてみた。
最初は単なる天然だと思っていた。普段から頭のネジがズレているあいつのことだから。
ある朝、いつもどおり朝練に向かっていたら途中で三橋に会ったんだ。
「おす」
後ろ姿に声をかけると、あいつはすごくほっとした顔でニコッと笑った。自転車でそのまま通り過ぎていくオレを必死で追いかけてくる。
「ま、待って! 阿部君!」
ヒィヒィ言いながら走ってくるのが声と足音でわかった。何であいつ自転車じゃねぇんだろ、パンクでもしたのかな、て思いながら止まった。
まだ練習前なのに息があがっている三橋を放っておくわけにもいかず、仕方なく後ろに乗せて学校に行ったんだ。
「ごめ、ごめんね、阿部君、ごめんね」
背中から聞こえてくる謝罪の言葉にイラッときてオレはぼやいた。
「後からくりゃいいじゃん。歩いたって間に合うだろ、朝練」
「…が、学校までの道、わ、わかんなく、なって」
「は?」
「ふ、ふひ、えと。違う! ごめん、う、うそ!」
「笑えねー」
ガシャンとあいつに蹴りをいれオレは自転車をこいだ。あいつが変なのはいつものことだし、そんなに気にしなかった。まさか本当のことだなんて考えもしなかったから。