阿部「三橋!俺の子を生んでくれ!」

このエントリーをはてなブックマークに追加
70レンズ
前回までのあらすじ:毎日ロッカーに心霊写真 ホラー(?)注意

四日目。
ロッカーを開けると、また写真が入っていた。
田島と阿部に言われて、ちゃんとロッカーには番号式の鍵を付けていた。
心霊写真は、昨日もう一度校舎のゴミ箱に捨てた。
それなのに。

いつもの様に2枚入ってる。
一枚はいつもの心霊写真。黒い染みは明らかにはっきりと濃くなっている。
もう一枚は至って普通の日常風景だった。
おそらく、体育の授業の風景だろう。
体育倉庫の屋根が映っていて、三橋がそこにコーンを抱えて入っていく様子が映されていた。
「三橋ー、また写真入ってたのか?」
泉が心配して声をかけた。
三橋は不安と寝不足で、ここ数日間目に見えて元気が無くなっている。
ロッカーの扉を持ったままの手はブルブルと激しく痙攣していた。
「う、うん、また・・。なんでだろう。一体誰が・・。」
心霊写真の方は、見ていると気持ち悪くなってしまい、見ていられなかった。
「他に変な事はないのか?」
「へ、変な夢・・見る・・っ。」
三橋はガタガタと震えながら、泉に毎晩見る夢の事を話した。
黒い影が家の中を這い回っている事。
それがやけにリアルであること。
毎晩一段ずつ上ってくること。
「お前、それ・・。」
呪われてるよ、と言おうとして止めた。
そんな事は三橋にもわかりきった事だろう。
そう言う代わりに、泉は三橋が触れずにいる心霊写真を取って、自分のロッカーに仕舞ってやった。
「捨てるのはよくなさそうだし、今度練習が休みの時、お払いしに行こうぜ。」
阿部と同じような事を言って、泉はロッカーのドアを閉めた。