阿部「最初から三橋とクライマックス!」

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物心ついた頃にはもう既にそこにいた。
じめじめと常に湿った畳が三枚、申し訳程度に並べられている空間。
明り取りの窓は高く、暗いこの空間にほんの僅かの明かりを伸べてくれるだけの代物で、
そこから外の様子を伺うことは叶わない。
目前の扉が開くのは食事の膳が運ばれてくる時と、虫も寝静まった深夜、ひっそりと行われる饗宴の際のみ。
少年は薄汚れた着物の前を引き合わせ、立てた膝の間に額を落とす。
窓から差し込む陽光は茜色。もうすぐ夜が来る。
夕餉の膳が下げられて、灯台に火が入れられ、少し待てば饗宴が始まる。
物心つく前から繰り返されてきた、それが少年にとっての日常だった。
それ以外は何もない。少年が知っているのは自分の名前――廉、という名のみであり、
それさえも、食事を運んでくる男に教えられたものであって、その他一切は空白のまま。
ここはどこなのか、そもそも自分は何のためにここにいるのか。
幸いにも言葉だけは教え込まれ、少年――廉は慰みにそれを使って思考したが答えなど出るはずもない。考えても考えなくても夜は来る。そう気付いたときに考えることを放棄した。
逃げたい、という概念さえも持ち合わせない、少年は今日も宴の贄となるだけだ。
「………」
少年はふと、顔を上げる。四角に切り取られた、窓と呼ばれる隙間から見える茜空。
もうすぐ、夜が来る。



蔵の中で性的にいたずらされる三橋っていいよな、と思ったんだが
導入部だけで力尽きそう。続くかどうかは俺にもわからん