阿部「三橋!俺らの夏は終わらない!」

このエントリーをはてなブックマークに追加
98カーセックル
ある日の試合の帰り道
突然の大雨で帰りの電車が止まってしまったため、
俺たちは各自保護者の車で学校まで戻ることになった。
俺と三橋は、たまたま応援に来ていた俺の親父の車に乗り込み、
…と、そこまではよかった。
その後、
交差点をトラックの横から無理やり右折してきたバイクと接触し、大破した。
…俺たちの三台前の車が。
親父は目撃者として警察に事情聴取に行くとかで、
俺たちは車に乗ったまま近くの図書館の駐車場で待つことになった。
外はバケツをひっくりかえしたような大雨で、一メートル先が見えない。

(親父、遅いな…)
俺は狭い車内で三橋と二人きり、
特に会話もないまま親父の帰りを待っていた。
「ね、ねぇ、阿部君、隣の車…窓、すごく曇ってる よ。…なんで、かな?」
突然三橋が左隣の車を指差して話しかけてきた。
「…やってんだろ」
俺はあきれ顔で返事をする。
「や、やる…って、何を?」
…説明すんのか?それを。俺が。
「やるっつったらアレだよ、アレ。男と女がだな…」
はっとして顔を赤らめる三橋。
…なんだよちゃんと知識はあんじゃねぇか。
「あっちの車なんか、さっき女の足が見えたぜ」
「あっ…足っ!?」
驚いて身を乗り出す三橋。ってオイ!
目ぇ合ったらどーすんだよ!
俺はすかさず三橋を抑え込んではっとする。
「あ、阿部君…」
この妙な雰囲気に当てられてか知らんが、
無意識のうちに俺の息子が大きくなってしまっていた。