「きみ…野球部、入らない の?」
「あぁっ?んっだよウッゼエなあ。一回くらい押えたからっていい気になってんじゃねーぞ!あんっ?
お前も言ってたけど、オレぁあの捕手のリードのせいで負けたんだよ!
お前みたいなヘボピの居るチームになんか入るかよ」
ご……めなさ、い!でも……
「でも、きみ…、やきゅ う、好きなんで しょ?」
はあ?なにいってんだこいつ。ほんと男か?ひょろッこくて、びくびくしやがって、超きめェ。
オレのシャツの裾、震える手で掴んでる。
「オラ、その手離せ。んじゃないと、ブツぞ!?」
花井の振り上げた右の拳がその頭上まで上がる。
三橋は瞬間的にシャツから手を離し、両腕で頭を抱え肩を竦めた。
中腰のまま小動物のように震えている。
同情する気も起きずに、花井は冷めた目で三橋のつむじを見下ろしたまま。
三橋が両腕を解いてそおっと、覗き見るように花井を見上げた。
その動作に苛付いた花井はぐっと目を細めると威嚇するように腕を振り下ろす『フリ』をした。
三橋がまた頭を抱える。「だって!」
「だってオレ、野球大好きなんだ!だけど甲子園、ムリだ て思った!
でも、きみ、一応でも目指せって、オレの事怒った…!だから野球、好き なんだよ ね?」
三橋が腕の隙間からそろりと花井を見る。
生意気!生意気!生意気!生意気!生意気!生意気!
野球好きな人に悪い人は居ないって顔してんじゃねー!こういう奴大嫌いだ。