>>680 「ったく、さぁ!」
閉じていくドアに向かって嘆き混じりのため息を一つ。
地方出張のささやかな楽しみがホテルでのデリヘル遊び、だったんだが、
さすが△△(特に名を伏す)、日本三大ブス産地と謳われたことだけはある。
部屋を訪れる嬢がことごとくタイプから外れているのだ。
いくら何でも、こう何度も部屋へ呼んでいたらフロントの目も気になるし、
あの部屋の客、何人デリヘル呼んでんだよ、野獣かよ、なんて陰口をたたかれるかもしれない。野獣だけど。
明日も早えーんだよな、もうキャンセルの電話でも入れて寝ちまおうか。
ベッドサイドに投げた携帯を拾い上げたところで、うっかりすると聞き逃しそうなチャイム音が鳴った。
「はい?」
出張中のビジホの部屋を訪ねてくる奴なんてマッサージ師か嬢しかいないだろ、と独りごちつつドアを開く。
「あ、あの、『ふぇら〜り★』から、来まし、た、三橋、です…。おおお電話ありがとう、ござい、ます…」
たどたどしい棒読みだ。所々小声で聞き取れない。はっきりしねえ奴だな。…ん、奴?
「…お前、男だろ?」
うわ、突然泣きだした。今の時代に目の幅の涙流す奴はそういないぞ。お前は星飛雄馬か。
「何だよいきなり泣くなよ…。廊下で泣かれたら人目に付くだろうが。とりあえず入れ」
しゃくり上げてわんわん泣く男を宥め賺して、備え付けのコーヒーを煎れてやるまで5分、ようやく話の出来る状態になった。
「お、俺、ずーっと、チェン…ジ、されっぱなしで、今日も、7回、チェンジされちゃって、今度チェンジされたら、クビだって…。
俺、本当に何やってもダメで…」
そらデリヘル嬢を呼んでるのに男が来たらチェンジだろう、普通。
「…すみません、せっかく呼んでくださったのに、俺、なんかで。代わりの人呼んできます…」
「いいよ」「…え?」「ここにいていいよ。お前でいいよ」
参ったな、捨て猫とか見るとほっけけないんだよ俺。
呼んだことないからわからんので一部地域。変だったらごめんなー