阿部「三橋!今日は折檻するぞ!」

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67fusianasan
キモノ箸休め

オレは花井。野球部のキャップでクールなハゲだ。ピョアじゃねえ。
キャップの仕事は部員の統括が主である。西浦のメンバーは比較的対立がなく、まとまりやすくて内心ホッとしていた。しかし九組の連中に関しては、正直扱い難過ぎると思っている。
モンキーパンチ、hitomi、ダウンタウン、そして我らがエースの三橋。
このエースの三橋がとにかくヤバい。どれくらいヤバいかと言うと、今のオゾン層と同レベルでヤバい。
最初は希に見ぬ珍獣ぐらいのつもりで管理していた。それが甘かった。三橋はいつしか珍獣から狩人にジョブチェンジし、一匹の獲物だけを執拗に狙うようになっていた。
その獲物の名前は阿部隆也。阿部の不幸と言ったら聞くも涙、語るも涙――……と言うことで、詳しくはWikiを見てくれると助かる。
まあ、それ以外でも三橋の行動の異常ったらないのったらないの。

「う、う、うぐ……」
「三橋ー、それは無理だってー」
「で、でも、マウンドほしっ……!」
「欲しいっつたって……西浦にもあるだろ」
「西浦のマウンドは地上の宝、だ!……でも、このマウンドもおもっ、お、もっち、かえり……」
野球部でふらふらと散歩がてらに出かけた買い出し。その途中で見付けた空き地に、こんもりと盛られた小さなマウンド状のものがあった。そして、それに引っ付き離れようとしない三橋。
三橋はマウンドに小さい子がハイハイする時のような体勢になっている。無理矢理引き剥がそうとしたら、尻をふりふり振って拒否られた。
三橋のマウンド独占欲は、根本的におかしいと思う。
「……三橋」
「ピョ!あ、はっ……ない君……」
「こいつ持って帰っていいから、地元の人に迷惑掛ける真似はやめろ」
「!!……っ、うん!ま、マウンドは、諦める、よ!」
「ちょ、ちょっとちょっと!」
一体、あのひょろ体型のどこからそんな力が出てるのだろうか。
三橋は(仝ω仝)をずるずる引きずって、近くの草むらに入って行った。オレは他の部員からブーイングを食らった。

――それにしても、だ。
(『ピョ!あ、はっ……ない君……』か……)
あいつ、絶対ピョアハゲ言おうとしくさった。

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俺専用しおり・ここまであまさず読んだ