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産卵:
※前回まではwiki参照
オレは阿部君の手をぎゅうぎゅう握った。
でも、お腹が痛すぎて手にあんまり力が入らない。
すごく強く握り替えしたつもりなのに。
とにかくオレは、痛みをなんとか紛らわそうと、言われた通りにひっひっふーって呼吸をし続けた。
10分ぐらいやってたけど、どんどん痛みは増す一方だ。
「ああ・・、いやだぁああっ、出るっ、出ちゃうよぉ・・っ!!」
ゴポッという音がして卵がとうとうお尻の所まで出てきた。
自分の体がどうなっているのかなんて、全然分からなかった。
「見るか?」
ククッと白衣の男の人が変な声で笑って、そう聞いてきた。
オレは夢中で首を振った。絶対見たくなんてない。
それなのに、男の人は隣に居た人に命じて、大きな鏡を持ってきた。
足元に設置されたので、イヤでも自分のお尻の穴が映るのが見えてしまう。
「いやだっ、て言ったのに・・っ!」
チラッと見えた自分のお尻の穴は、5円玉ぐらいまで開いていて、
そこから白い何かが覗いていた。多分あれが卵だろう。
「やっ、怖いよ・・っ!出ちゃうっ、阿部君、助けてっ!」
「三橋、大丈夫。大丈夫だからな。俺が付いてる!」
阿部君はオレの汗で髪の毛が張り付いた額をゆっくり撫でて落ち着かせてくれた。
でも、阿部君の目線は鏡の方を凝視してる。
開ききったお尻の穴を見られて、オレは真っ赤になってしまった。
「あ、阿部君、鏡見ちゃ、やだっ、見ないで・・っ!」
「いや、俺は今、生命の誕生の瞬間に立ち会ってんだ。あまさず見届ける。だからがんばれよ、三橋!」
阿部君にそう言われ、オレはもう何も言えなくなってしまった。
もう、恥ずかしい格好のことはなるべく考えないようにしよう。
その時、再びゴポッとお腹が気持ち悪い音を立てた。
「うああああっ、ひっ・・ぐっ・・!」
狭いお尻の穴をなんとか無理矢理通ろうとして、卵がグイグイと出口を押す。
「き、切れちゃうよっ、出てこないで・・っ、うああっ!」