栄口「今日も世界は平和だね、三橋」

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280俺とレンの新婚生活
>>268

俺と中村は、会社近くの落ち着いた喫茶店に入る。
老舗のような雰囲気を持つブラウンを基調とした机や椅子、
ソファー席のある少し広めの店内は、7割程度埋まっている。
結婚以前はよくここで昼飯を食べに来ていた。客席同士が離れていて、落ち着ける。
俺たちは店内奥の席に着いた。

中村はカツサンドを頼んでむしゃむしゃと頬張っている。
「先輩、コーヒーだけでいいんすか?これいけますよ。一個どうぞ」
「いや、いい。」
俺は昨日の後遺症で飯が喉を通らない。

「どうかしました?奥さんとケンカしたとか?」
中村はちゃかすように言ったが、俺はそれをいつものように無視して受け流すことは出来ない。
「まぁな。」
中村は頬張っていた手を止めて、紅茶を飲みながら俺のほうを見る。
「なんで、ケンカしたんです?」
「・・・・・・お前、レンに何か言った?」

俺がずっと聞こうとしていたことをようやく口にすると、中村は静かに紅茶のカップを置く。
「ようやくケンカしたんだ」

さっきまでちゃかすような口調だった中村の声のトーンが低くなった。