栄口「今日も世界は平和だね、三橋」

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106大奥
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パロ注意、キャラ改変注意

「三橋様!三橋様っ!」
誰かが悲痛な声で自分を呼んでいる。
パチッと目を開くと、号泣してる中村と目が合った。
頭は重かったが、あまりにもすごい泣きっぷりに驚いて、三橋は慌てて起き上がる。
「うっ」
途端に体の奥に鈍痛が響き、三橋は再び布団に倒れ込んだ。
「だっ、大丈夫っすか!?」
「う、うん。よ、よかった!助かったん、だね!」
「はいっ、ありがとうございます…っ、本当に!もう、俺死ぬかと…っ」
中村は土下座をする勢いで深々と頭を下げて礼を述べた。
三橋はなんのことだかよく分からず、中村に頭を上げるように言った。
「将軍から聞きましたっ!三橋様が体を張って助けてくださったって。
俺、本当に死罪になると思って…牢屋ん中で、去年里帰りしなかった事すっげー後悔して…
全部、三橋様のおかげです!」
本当にありがとうございました!と、何度も礼を述べる中村に、三橋は戸惑った。
確かに、将軍には色々致されたが、それは全部不可抗力なことだったので、
特に自分が何かした訳ではなかった。
しかし中村は、まるで自分を命の恩人のように崇め奉っている。
「お、オレ、なんにも、してない、よー。」
「いえっ、三橋様は俺の命の恩人です!なんでもしますのでなんなりとお申し付け下さい。
お望みとあれば、龍の首の玉だろうと火鼠の皮衣だろうと必ず取って参りますよ!」
さあ、なんでもお望みの事を言ってください!と、興奮して言う中村に、
三橋は困ったような笑いを浮かべた。
欲しい物なんて特にないし、やりたい事も特にない。
たった一つだけあるが、とても叶えられそうにない事だった。
(修ちゃんに、会いたい。)