阿部「三橋!そーれ!くるくる〜」

このエントリーをはてなブックマークに追加
403fusianasan
俺はさすらいの家庭教師オレゴン櫻。
勉強の苦手なガキどもの学力を底上げするのが仕事だ。
日本列島の東西南北を駆け巡る多忙な俺は今日、群馬県の某所に来ていた。

「オーレッ!」
気合も凄まじくドアを蹴破り飛び込むと、ベッドに寝そべっていた男子が飛び上がった。
こいつが俺の生徒である三橋廉だ。
俺は人差し指を立て、鯉のように口を開閉する三橋に向かって、軽く振ってみせる。
「オーケイ、ベイベー。スタンダップ、ホールドアップ。俺の名はオレゴン櫻。
今日から俺がお前のチューターだ。赤点ギリギリの低空飛行を続けるお前の学力を、
少しはマシにしてやろうというお前の母親の心遣いにより、俺が呼ばれたというわけさ。
よろしく頼むぜ、三橋!」
一気呵成に自己紹介を終えた俺が見ると、三橋は毛布を引っ被り、こちらに尻を向けて震えている。
「おいおい、尻などみせて、俺を誘っているのか? 挿れてほしけりゃ自分から脱ぎな」
俺が近づく気配を見せると、三橋は慌てて方向転換した。なんだ、ガッカリさせやがるぜ。まぁいい
こいつの学力を、進学希望先である埼玉県立西浦高校の合格レベルにまで
持っていってやるのが俺の仕事だ。
気前のよいクライアントに応えるべく、俺も全力で臨むぜ。

三橋を学習机に向かわせ、俺はその横に立つ。
「さて、先ずは軽いジャブからいってみようか。三角形の面積を求める公式は?」
「……」
「……おい?」
「……ウ、ウヒッ?」
しまった。ここまでできない奴だとは予想guyだったぜ。
思わず立ち眩みを起こした俺だが何とか堪えた。
先ずはこいつの学力を把握しよう。話はそれからだ。
「じゃあ、教科を変えて日本史いってみよう。源頼朝が征夷大将軍に任官されたのは?」
「……え、えーと」
「年号覚えてないか? いいナントカをナニしよう、鎌倉幕府。アレだよアレ」
「い、いい子を孕もう、鎌倉幕府……?」
「それ何年だよ!?」