阿部「三橋!甲子園で穴掘りしようぜ!」

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65屋根裏
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/eromog2/1191254525/657,660

※鬱、鬼畜注意

オレは自分に話しかける。
大丈夫だよ、あんなのどうってことない。もっとひどいことだってされたじゃない
か。それよりしっかりして、アイツがいない間に逃げる方法を考えるんだ。
オレは狭い部屋をぐるりと見回す。
何度も何度も見たけど、やっぱり何もない部屋だった。
オレは自分の手を見る。
多分それなりに力はあると思うんだけど、オレには自分が人を傷つけることが想像
できない。
男がなにか持っていなかったか、思い出せ。
そういえば、この部屋には中から開けられないような特別な鍵がかけられている。
もしその鍵を手に入れることができたら、逃げることができるかもしれない。
あとは……オレはベッドの上のぐしゃぐしゃに乱れたシーツに目を止めた。
(あれを使えないかな…)
オレである少年はシーツの端を歯で裂いて包帯みたいな布きれにする。
それを何本か撚りあわせて適当な太さにしたものをマットレスの下にこっそり隠す。
だけどこんなオレがオレじゃない状態で、男に立ち向かうことができるのだろうか。
あっけなくやられて、今度こそ殺されてしまうんじゃないだろうか。
チャンスは一度だ。
オレは頭の中にいろいろな場面を想像してじっと待つ。

男が来た。
手元に注意していると、内鍵をかけた後ズボンの尻ポケットになにかを入れたのが
わかった。
オレは逃げ出したくなる気持ちをぐっとこらえて屋根裏に戻るのを踏みとどまる。
そうだ、オレは今まで逃げていたんだ。
男はベッドの上をチラリと見たが、丸くなって様子をうかがっているオレの方には
行かなかった。