風が強かった。
「ど、どしたの、阿部、くん。屋上で、何か あるの?」
「ああ…………………まぁな」
授業中の時間の為、屋上には二人以外誰もいない。
急にメールで呼び出されてホイホイやって来た三橋は今更ながら不安になってきた。
「で、でも授業…………っ、あ、阿部くん?」
「これ被れよ」
「えっ、な…なに…これ……」
押しつけられたのは星型の着ぐるみだった。頭部専用。
「もうギリギリの試合はしたくないんだ。ギリギリのセックルもしたくない。
俺は常に余裕を持ってニヤニヤ笑ってたいんだよ」
「そ、そうです、か……」
思わず三橋の目が泳ぐ。阿部が何を言いたいのか分からない。
「だから、な?」
「ひゃいあうああああ!?」
突如、尻を撫でられ絶叫する三橋。ハァハァ言っている阿部に鳥肌を立てている。
断っておくがこの三橋はノンケである。
「だから俺のお星様になってくれよ…ハァハァ」
「わ、訳、分かんないいいいい!!!」
泣き出して逃げ出そうとする三橋の頭に、無理やり着ぐるみが被せられた。
「そこから飛び下りろ、お前が着地する前に俺が3回お願いごと言うから。
ギリギリの試合はしたくない、ギリギリのセックルはしたくない……あ、2×3で6回だな」
「し、死んじゃうよぉおおおお!?セックルって何のことぉお!!?」
ぐいぐいフェンスの上に押し上げられる三橋。
「下はプールだから平気だろ。あ、俺が6回言えなかったら失敗だから。そしたらやり直しな」
「や、やだああああああ!!!」
「アデュー三橋!今夜は俺のデカマラと三橋のアナルに祝杯だ!!!!」
「訳、分かんないいいいいいっ………!」
三橋がずり落ちそうになった瞬間、二人の背後に立った田島がイイ笑顔で阿部にバットを振り下ろすのを三橋は見た。