この間ちょっと大きい地震があったときにエレベータが止まっちゃってさ。
三橋と2人っきりで閉じ込められちゃったんだよ。(俺が一方的に知ってるだけなんだけどさ)
インターホンも通じないし、待つしかない状況だったんだけど
だんだん三橋は不安そうな顔つきになってきちゃって見ていられなかった。
「大丈夫?助けが来るからね」と励ますと気丈にも「はい、大丈夫です」
って答えるんだけど声に不安の色は隠せない。
その時思い出した。俺のポケットにPSPとUMDの野球映画が入っていたことを。
「ねえ、映画見よっか?」と言うと、暗かった表情がみるみる明るくなった。野球好きらしい。
映画のタイトルは俺と野球。俺が作った自作映画だ。
強く美しい俺が活躍する画面をみて、三橋はだいぶ勇気づけられたようだ。
その後も映画に没頭しつづける。
見始めてから1時間もした頃だろうか、インターホンが鳴った後エレベータが少し動き、扉が開いた。
「こ、今度続き見せて下さい、ね」
三橋は元気に駆け去っていった。
こんなシチュエーションでも希望を与えてくれたPSP。
持ってて良かった。
何が言いたいかというと俺の自作映画の宣伝。