4で終わればいいと思う俺はスルー推奨。
変態で対阿部ビッチでも三橋が生きていればいいと思う俺向け。
胡蝶の夢、という話がある。
夢で蝶になった男が、目覚めて、はて蝶になったのが夢か人間の自分が夢かと、
今が現か夢か分からなくなった話だと、確か記憶している。
それを聞いた時、まだ学生だった俺は、荘子とやらは阿片窟の廃人か、と内心嘲笑ったものだ。
若さ故の過ちだな。
しかし今の俺には、どうもそれを笑う資格が無いようだ。
何故なら。
酷く長い夢を見ていた俺は、今が現実なのか、それとも夢が現実なのか、よく分からなくなっているからだ。
苦しい夢だった。
全ての歯車が悪く回った世界、とでも言おうか。
誰も悪人はいないのに、皆が相手を追いつめる。そんな世界だ。
そんな中であの二人は、最後まで一緒だった。
酷く悲しいことだけれども、最後まで、全く一緒だった。
俺は寝起きでぼんやりした頭を抱えたまま、ふらふらと屋上に出る。
空はどこまでも綺麗で、いい野球日和だった。
そのまま、グラウンドとは違う向きの、物陰になっている所へ向かった。
そこには、三橋と阿部とが、立っていた。
「オレ、阿部君の助けに、なりたい!」
「ありがとな」
くらり、と目眩がする。
やはり夢は夢でなく、今こそが夢なのだろうか?