「ふうぅう、もれる、もれる」
その日の昼休み、猛烈にもよおした俺は急いで便所に向かっていた。
どうにか間に合った。ジョロジョロ放尿しながら安堵のため息をつく。
ガタン
奥の閉まっている個室から何か物音が聞こえた。
誰かが入っていても別に不思議はないからその時は何も思わなかったんだけど。
次の瞬間、俺は耳を疑った。
「ぁあ‥! ぁん!‥」
「‥‥‥シッ」
くぐもった甲高い声とそれをたしなめるような低音の声が聞こえてきたんだ。
え? 一人は女子? あれ? 二人はいってるの? これって、え? もしかして?
ドキドキする。俺の心臓がドコンドコンドラムロールみたいに鳴り響いている。
だって、これって、もしかしてさ。
放尿をつづけながら、俺は個室に耳をこらした。
「…ぅあぁ‥こ、声 で、でちゃ う、ん…」
「‥バカ」
絶対! 絶対にそうだ! 誰かあの中でハメやがってる!!!
何たる! 何たる! 何てうらやましいことを!!
疑惑を確信にかえた俺はあまさず全部出歯亀してやろうと、しょんべんのおわったちんこをしまった。いったん便所のドアを開け、俺はもう出ていきましたよ、な工作をした後、忍び足で個室の前に近づいた。ぴたりとドアに耳をくっつけて中の様子をうかがう。
「‥いったか?」
「ん、ふぅ‥、は、はや く‥! つづけ、て! オレがまん でき ない」
「ほんとエロいな」
低音の方がにやにや笑いながら言った後、ガサリと衣擦れみたいな音がする。
あれ? てかオレって高い声のほう言ってなかった? え、えぇええ? 男? 両方男?