西広先生×三橋。
阿部さん、西広先生に三橋を返品。詳しくはうぃき参照
「たっ ただいま」
三橋の腕が俺の背中に廻る。やさしく背中を撫でてくれる。三橋が俺の腕の中で呼吸してる。
「三橋」
「うん」
呼べば、答えてくれる。ただそれだけなのに、涙が出そうだった。
でも、本当に三橋はオレを選んでいいのだろうか。
阿部がいなければ、三橋は投手としての役割を果たせなくなるんじゃないだろうか。
三橋が大好きな野球を犠牲にしても、オレを選んでくれるのはすごくうれしいけれど。
でも、オレには三橋にそこまでしてもらう権利なんかないと思う。
「三橋」
名前を呼んで少し体を離して、三橋の顔を見た。涙でぐちゃぐちゃだったけど、オレをじっと見てる。
「あのさ」
なんて言えばいいんだろう。言いよどんだオレに、三橋が少し首をかしげる。
自分の口から阿部の名前を出すのに勇気が要った。
でも、そんなことに躊躇してたら大事なことが何も聞けないんだって、自分に言い聞かせる。
「阿部はオレんとこ行けって、言ったんだよね」
「う ん」
「でも、それって…バッテリー解消とかじゃ」
「ちっ 違う、よっ」
三橋がびっくりしたみたいな顔して、ぶんぶん首振った。
違うって聞いて、やっと安心する。そうか、三橋はこれからもちゃんと好きな野球ができるんだ。
「あっ 阿部くん、俺がいないと、お前が野球、できないのと 同じように
お前が ちゃんと、投げられないと 俺も野球、できないんだって 言って」
ひっくって、三橋の喉が鳴る。