兄貴が結婚した。
高校1年から6年間の交際の末、この間やっと入籍した。
それは喜ばしいのだけど、困ったことが多々あるのだ。
「いやー昨晩はすごかったねー」
親父がニヤニヤしながら、朝食をダイニングに運んできた兄嫁に言う。
その兄嫁といえばジジイのスケベ発言など軽くスルーすればいいものを、一気に顔を真っ赤にして兄の背中に隠れる。
そして、その兄は何食わぬ顔で嫁からスコッチエッグを受け取った後、食卓に並べ
「立ち聞きしてたのかよ」
「夜中にトイレに行こうとしたら聞こえたんだよ。」
「ならいいけど」
兄嫁がここに来てから3ヶ月、何度もこんなやり取りが続いている。
元々兄貴は自重するような性格ではないし、
廉さんも廉さんで大人しそうな割に、セックスの際は喘ぎ声が大きい。
だから隣の部屋で寝てるオレはちょっと迷惑と思ったりするわけで。
結婚する前までは、頻度は少なかったし結婚前というのもあって、こっそりした感じだった(でもヤってる声はするんだなぁ)
あ、廉さんていうのは兄嫁のことです。童顔で緩そうな顔してて、気の小さい人。
こんな人が兄貴と結婚するなんて思わなかった。兄貴はジャイアンの母ちゃんみたいなのでいいと思うんだ。
いや、最強夫婦の弟になるのは勘弁だ。訂正、可愛い廉さんの弟の現状でいい。
「あ、シュン君。今日のお弁当、ハンバーグだよ」
大好きだよね?困ったような笑顔がすっげー可愛い。オレのタイプなんだけどなぁ
「ありがとうございます、廉さん」
「おい、廉。行って来る」
いつの間にか準備を済ませた兄貴がスーツの上着と鞄を持って玄関の方へ急ぎ足で向かっていく。
廉さんも兄貴のお弁当を抱えてパタパタと後を追う。
オレも大学に向かうかなーと鞄を取りに部屋へ戻ろうとしたら、
「はぁ…ん、タカ…くぅん」
玄関先で濃厚なキスを交わしている新婚夫婦。しかも兄貴はいやらしい手つきで尻を揉んでいる。
この場面に遭遇するたび、オレの爽やかな新婚さんイメージがガラガラと崩れた。
オレ、大学卒業したら絶対に家を出るんだ。…その前に一回だけでも兄嫁と出来ないかな
連載中のやつ放り投げて仕事も放り投げてる俺オワタ