田島「三橋でイケなかった体位 ないもんね!」

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31fusianasan
「あ、阿部くん、大丈夫?」
「いや、お前の方こそ大丈夫なのかよ」
「だ、大丈夫っ、だよっ!」
部屋のベッドの上で三橋と真向かいになるようにオレたち二人は座っていた。
三橋は足をきゅっと閉じて正座して、オレは膝の怪我があるからベッドの端から放り出すようにして上半身だけを捻るようにして。
膝の上で拳を作った三橋の手がきつく握られすぎて白くなっているのが見える。
やれやれと溜息をつきたくなるのをオレはぐっとこらえた。
三橋は三橋なりに頑張ろうと、オレの為に思って行動してくれてんだ。
それを思えば多少のイラつきだって我慢できる。
……オレはまだ待てる。
かれこれこの体勢のまま、どれくらいの時間が過ぎたのか。
机の上の時計に目をやってみても、正確な時間は把握できない。
ただ、風呂あがりの三橋の生乾きの髪から水分が自然と失われる程度には時間が経過していることは確かだった。
「……お前、ほんとに自分でできんの?」
「で、できるっ!」
あわあわと唇を震わせながら三橋ががばりと顔をあげる。
そんなこと言ったってお前、さっきからずっとこのままじゃん。
言えばどうしようもない事実に三橋がショックを受けるだろうことはわかっていたので、オレはそのまま口を閉ざした。
さっきからこの繰り返し。
しばらく沈黙が続いて、忘れた頃になって三橋がまたオレに大丈夫? と問いかけてくる。
だから、オレは、むしろ、お前の方が大丈夫なのかっ! とか聞きたいわけなんだが、三橋はそれに頷くくせして、その様子といったらとてもとても……。
どう見ても大丈夫そうには見えない。