阿部「三橋!三橋じゃないか!」

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635浜ちゃんとお医者さんごっこ
こいつらが小学校低学年ということをだんだん忘れかけてきた。
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/eromog2/1190508144/569

あくる日の夕方。

朝からの雨で野球ができなかった。学校から帰ってきて何をするでもなく、ただぼうっとTVを眺めていた。
「明日も見てみよう」なんて言ったものの、レンと遊ぶ気になれなかった。
早熟なオレはいっちょまえに罪悪感というものを感じていたらしい。だらしねえの。
そういえばオレ弟がひとりいるんだけど、あいつ友達のなんとか君だかが新しいゲームを買ったとかでずっと入り浸りでやんの。
こういうとき憂さを晴らしてくれるのが弟ってものじゃないのだろうか。ああ、やるせない。

TV何観てたんだっけかな。そうそう。夏恒例の『あなたの知らない世界』が流れていたんだった。
キャンプ場の川原で流されて亡くなってしまった長女の思い出話をするお父さん。
その後、生まれた次女を連れ、何年か後にまた家族でキャンプに来たお父さん。
川原で遊ぶ次女がふと顔をあげて言う。「今度は気をつけてね、お父さん」

うわあ! ありがちだけど、うわあ! 怖いの嫌いなのについ観ちゃうんだよなあ。
今もそう。まあ、そんなベタな体験談を独りで必要以上にのめりこんで、ひゃあひゃあ言いながら観ていたんだ。
でも、ふと、CMキャッチにはいる合間、画面が黒くなるときブラウン管に自分の姿が鏡みたいに映って、オレまた鬱になる。

ああ、レンにあわす顔がないなあ。あいつすぐ忘れてくれるといいんだけど。
そんな都合のいいことを考えつつオレはTVを観ていた。

ピンポーン。
玄関の呼び鈴がなった。怖い番組を観ていたこともあって呼び鈴の音にびびってしまう。
遠慮がちにもう一回鳴った。
ピン、ポーン。
いやいや、落ちつけオレ。どうせ新聞の勧誘かなんかだろ、居留守でもつかってやろうかと思ったものの、
一応確認しておこうとドアスコープを覗きに立ちあがった。
サンダルを突っかけ爪先立ちでドアスコープを覗いてみた。そこに居たのは…。

レンだった。