【Without a Trace】ダニー・テイラー萌え【小説】Vol.8
アランは、午前の予約リストに目を止めた。
エドワード・シュローダー?どうしたんだろう。
午前最後の患者としてエドがやって来た。
「やぁ、エド」
「アラン、今日は患者です」
「そのようだね、話を聞こうか。ソファーへどうぞ」
エドはソファーに深く腰掛けるとぽつんぽつんと話し始めた。
マーティンが前ほど会ってくれないのが不安だと。いつも心がどこか他のところにあるようだと。
アランは、ダニーとマーティンの共同生活の事を言うわけにもいかず、対応に躊躇した。
「残念ながら、恋愛指南は専門外でね。二人で解決するしかないんじゃないか?」
「あの、もうダニーとマーティンは付き合っていないんでしょうか?」
エドは小動物のように不安そうな動作で顔を覆った。
「あぁ、医師としてでなく言うが、もう付き合っていないよ」
アランは自分も信じたい一心でそう答えた。
「良かった!僕、二人がよりを戻したのかと・・」
「お互い、気をもむ相手と付き合ってしまってるね。ランチでも食わないか?」
「ええ、喜んで」
二人は、トラットリア・ポモドーロに出かけた。
カラフェでキャンティーを頼み、シーザーズサラダと茄子のラザニア、ポルチーニリゾットをシェアする。
「アランは、ダニーと一緒にいて不安じゃないですか?」
エドが上目がちにアランを見つめる。
コケティッシュな表情に、思わずアランはどきっとした。
「そりゃ、不安だよ。あいつ、モテるから」
「それはアランも一緒でしょう?お二人は、その、女性も大丈夫だと思うし」
アランは思わず苦笑した。
「その点、君たち二人より悩みが倍増かもしれないな。 僕はもうシングルズ・バー・ライフから卒業しているが、
ダニーはまだ若い。それが一番の悩みの種かもしれない」
「でもお二人を見ていると、心の絆を感じるんですよね。そのうち、マイルズたちみたいに養子でも取りそうで」
「あはは、それはないだろう。あいつがFBIである限りは」
「そうですよね、ごめんなさい」
アランはチェックを閉めた。
「すみません、あの、また会ってもらえますか?」
「もちろんだよ、予約を入れてくれれば」
「そうじゃなくて、二人だけで」
「うん?それでもいいが」
「良かった。僕、友達少ないから。アラン、ありがとう。それじゃ、仕事に戻ります」
エドはそう言うと、愛想のいい笑みを浮かべて去っていった。
治療費節約というわけでもないだろうに。
アランはエドの最後の言葉を訝った。
夜になり、ダニーがへろへろになって帰ってきた。
「暑いよ〜、身体がべとべとや」
早速シャワーを浴びてすっきりするダニー。
「今日の夕飯はなに?」
「ソウメンだよ」
「それ何?」
「冷たいヌードルだ。和食のカッペリーニかな。トッピングもたくさん用意したからね。それに日本酒も」
「ふうん、楽しみや」
ダニーはおっかなびっくり席につく。
白い細いヌードルがざるに盛られている。
トッピングはチキン、錦糸卵、キュウリ、ねぎ、ジンジャー、海苔だ。
アランの真似をして、小さなボールにツユを入れて、薬味を足し、ヌードルに挑戦した。
「へぇ、うまいな。ソウメン」
「もっと薬味を入れて食べてごらん。腹にもたまるよ」
二人はソウメンを食べ終えると、日本酒をイータラのグラスに入れて、ベランダに出た。
デッキチェアーに座って乾杯する。
「アランといるとまるで海外旅行してるみたいや」
「そうかい?」
「いつかは、俺も世界旅行できるかな」
「前にも言っただろう。お前が行きたい国は全部回ろうな」
「うん」ダニーは嬉しそうな顔をして、日本酒のお代わりをアランに甘えた。
「そろそろこれ位にしないと、夜の楽しみがそがれるぞ」
「分かった。俺アランとシャワーしたい」
「そうしようか」
二人は肩を組みながらバスルームに消えた。
>>924 さん
感想ありがとうございます。マーティンが満たされるのは
結局、ダニーといる時だけなんですよね。それが問題です。
「・・・帰るね、僕」
マーティンはダニーの手をそっと退けるとふらふらとドアに向かった。
「あっ、おい、待てや!ボン!マーティン!くそっ!」
ダニーはトランクスだけ身に着けると急いで後を追った。
エレベーターの扉が閉まってしまい、慌てて階段を駆け下りる。
ダニーがエントランスにたどり着いた時、マーティンはタクシーに乗って行ってしまった。
部屋に戻ると、ボスがリビングで水を飲んでいた。
「マーティンはどうした?」
「帰った」
「なんで帰るんだ?おかしなヤツだ。飲むか?」
飲むかって、その水オレのやし・・・・
ダニーは無視するとバスルームで体を念入りに洗った。
何もかも消してしまいたい、セックスの痕跡も、ボスの体臭や体液も・・・
皮膚が赤くなるぐらい擦ると、ようやくボディーソープを洗い流した。
服を着ていると、ボスが体を起こした。
「おい、出かけるのか?」
「ええ、ちょっとあいつの様子を見に。先に寝てていいっすよ」
「まったく親子そろって世話が焼ける連中だ。私は寝るからな」
ボスはどさっと寝転ぶと、腕組みしながら目を閉じた。
「そうだ、鍵は掛けといてくれよ。物騒だからな」
「・・了解っす」
ダニーは灯りを消すと部屋を出た。
マーティンのアパートに行くと、中はもぬけの殻だった。
ブリーフケースもなく、一度も帰った形跡がない。
ダニーが水槽をこつこつ指で叩くと、熱帯魚が寄ってきた。
エサをやりながら携帯に電話したが、留守電になっている。
あいつ、どこ行ったんや?トロイのとこか?
エサにがっつく熱帯魚をしばらく眺めた後、アパートを出た。
ブルックリンのアパートに帰ると、ボスがガーガーいびきをかきながら眠っていた。
一緒のベッドで眠る気になれなくて、ハイネケンのボトルを持ったままベランダに出た。
もう一度携帯に電話してみるが、また留守電につながる。
スチュワートに聞こうかとも思ったが、今夜はそっとしといてやるほうがいいと思ってやめた。
くそっ!オレかてほんまはボスとなんか寝たくないんや!気色悪い!
ダニーはハイネケンを一気飲みすると、天を仰いだ。
AAミーティングの後、マーティンは久しぶりにエドのコンドミニアムに寄った。
「今日は、マーティンが来てくれると思って、料理を作っておいたんだ」
「へぇ、ありがと、エド」
エドは恥ずかしそうな顔をしながら、キッチンで用意している。
「ビール飲む?」「うん」
クアーズライトの瓶を渡され、ソファーに腰掛けるマーティン。
テーブルの上には、新しいウェブサイトのサイトマップらしい図面が置いてあった。
もう大富豪なのに、ちゃんと仕事してるんだなぁ。エド。
マーティンはサイトマップを眺めながら、感心した。
エドに呼ばれてダイニングの席につくマーティン。
フライドチキンのマリネとヴィシソワーズ、アイスバインと温野菜が並ぶ。
「すげー」
「マーティンは肉が好きでしょ?ちょっと偏り過ぎたかな?」
「ううん、大好き!ありがと!」
二人はビールで乾杯した。
早速フライドチキンのマリネにがっつくマーティン。
肉にヴィネガーが浸透して、骨が柔らかくぽろぽろと取れる。
「これ、ケンタのフライドチキンなんだよ。きっとマーティンも作れるよ」
「僕はダメ、からきし料理はダメなんだ」
「ね、やっぱりメイドの料理で育ったの?」
「うん。物心ついた時から乳母つきだったし、料理は全部メイド製」
「家と同じだ。両親が忙しいとそうなるよね」
「でも寂しかったよ」
「僕もだ。友達の家に招かれるとさ、お母さんお手製のミートローフとか出されるじゃん。心底羨ましかった」
「僕も」
「似てるね、僕たち」
「うん」
二人は、ワインを1本空けて、ソファーに移動した。
「ご馳走様、眠くなってきちゃった」
「今日、泊まれば?」
「うん、そうする」
エドは、マーティン用のパジャマを持ってきた。
「サイズ合うかな?」
「僕、でかいからね」
「マーティンのたくましい身体が大好きだ。身体の中も」
そう言うと、エドは顔を赤くした。
「ねぇ、ベッドに行く?」
「うん」
二人は手をつないでベッドに移動した。アロマオイルが焚いてある。
マーティンは身体の芯がかっと熱くなるような気がした。
「マーティン、さぁ、横になって」
マーティンが言うとおりにすると、エドはマーティンのパジャマのボタンを口でひとつずつはずしていく。
胸をはだけると、乳首に優しいキスを施す。
すぐにマーティンの乳首はこりこりに硬くなった。
「あぁ、溶けそうだ」
「じゃあ、これは?」
エドはパジャマの下とトランクスを一気に脱がすと、ペニスの周りに舌を這わせた。
「ねぇ、早く咥えて」
まだエドはじらす。マーティンは我慢しきれず、エドの頭をペニスに持っていった。
やっとエドがマーティンのペニスを咥えた。
裏側を丹念に舐めると、先端をぐるりと舌で一周して、やがて口の奥に包み込む。
「うぅん、エド、すごいよ、もう僕、イキそう」
「僕の口に来てよ。マーティンを味わいたい」
マーティンは身体を痙攣させてエドの口の中に射精した。
ごくんと喉を鳴らしながら飲み込むエド。
「やっぱり、美味しい」
エドは、満足そうな笑みを浮かべると、ベッドサイドのローションの瓶を取って、
自分のペニスに塗りつけた。
「入れていい?」
「うん、エドのが欲しい」
マーティンは四つんばいになって、エドにアヌスを晒した。
エドが指にローションを取って、マーティンの中に指を入れる。
「あぁ、すごく締まってる」
エドはマーティンの腰を両手で持つと、腰を進めた。ずぶっとペニスが吸い込まれる。
「あぁ、中が熱いよ、マーティン」
「僕もう、気が狂いそう。もっと動いて」
エドは優しいストロークを繰り返していたが、やがて荒い息になり、スピードを上げた。
「あぁ、もうすごい!僕、またイっちゃう!」
「僕もだ、マーティン、出る!」
二人は射精した。どさりとマーティンの横に身体を横たえるエド。
「エドってすごいよね」
「マーティンこそ」
二人はくすくす笑いをして、やがて目を閉じた。
「マーティン起きて、朝だよ」
マーティンはやさしく体を揺すられた。何とか目を覚ますとバスローブ姿のジョシュが顔を覗き込んでいる。
「何?ここどこ?」
飛び起きたマーティンは部屋を見回した。
「カーライルホテルの僕の部屋。さあ起きて、今日も仕事でしょ?」
「・・うん」
マーティンは自分がトランクス一枚なのに気づき狼狽した。昨夜の記憶が何もない。
「あの、僕の服は?」
ジュシュは事もなげにそこと指差した。無造作に脱ぎ捨てられた服が散らばっている。
こいつと僕、もしかして寝たんじゃ・・・・思わず寝乱れたベッドを探るように窺う。
「どうかした?」
「えっ、あ、いや・・」
「酔いつぶれてたから僕の部屋に連れてきたんだよ。覚えてない?男同士だし、問題ないよね。
そうそう、バーで80ドル立て替えたんだ。これ、カード明細の控え」
ジョシュの態度はあっけらかんとしていて、とても寝た仲には思えない。
マーティンは礼を言うと100ドル札を渡した。
ジョシュが20ドル札を返そうとするのを、世話になったからと断わる。
何も覚えていないのが怖ろしかったが、妙なことにならずに済んで胸をなでおろした。
ジョシュはバスローブを脱ぎ捨てると着替え始めた。全裸で堂々と着替えるので目のやり場に困る。
マーティンは少年のようなしなやかな体から目を逸らすと、なんとか話題を探した。
「ずっとこの部屋で暮らしてるの?」
「うん、そう。投資は信用第一だからね、会社が手配してくれるんだ」
濡れた髪をくしゃくしゃとタオルで拭きながら答えるジョシュ。薄茶色の瞳があどけない。
「いいね、この部屋。すごく落ち着くよ」
「そう?あ、君のアパートもちゃんと探してるよ。まだ見つからないけど」
「ん、ありがと」
「今度ダニーも誘って三人で食事しようよ。顧客とばっかでつまんないんだ」
「ふうん。クライアントってどんな人が多いの?」
「中年のオヤジやおばさんばかり。あとは年寄りとかね。退屈しちゃう」
ジョシュはいたずらっぽい表情を浮かべると、おもしろおかしく仕事の内容を教えてくれた。
「これ、僕の名刺。デンバーに投資したくなったらいつでもどうぞ」
「でも、僕は・・」
「ウソだよ、投資なんてまだ早いって。遊びのお誘いならいつでも歓迎するよ。ダニーにも言っといて」
「ん、わかった」
マーティンは朝食に誘われたが、断わって部屋を出た。
支局に行くとダニーがベーグルにがっついていた。
マーティンは隣に座ると黙ってチョコチップマフィンをかじる。
辺りを見回すとコーヒーをとる振りをして、ダニーはマーティンの手に手を重ねた。
マーティンがハッとして顔を上げる。
「昨日はごめんな。今日は一緒に帰ろう」
ダニーは青い瞳を真剣に見つめて謝った。
気持ちが伝わったのか、マーティンははにかむような笑顔でこくんと頷いた。
ダニーはマーティンがジョシュの部屋に泊まったことを聞いて慌てた。
マーティンの様子では二人の間には何もなかったようだが、ジョシュは信用できない。
「ジョシュがね、今度三人で食事しようって言ってたよ」
「やめとき、また投資に誘われるだけや。あいつはろくでもないからな」
「え?そんなこと言ってなかったよ。僕らと遊びたいだけだって」
「・・ほんまはな、あいつってかわいいやろ。お前が好きになったら困るやん、オレ」
「何言ってんの、ジョシュは男には興味ないよ」
マーティンはけたけた笑っている。
「とにかくや、お前はオレのやからな!」
ダニーは食べかけのベーグルをマーティンの口に押し込むと、髪をくしゃっとした。
ハンプトンの週末もあと残すところ、2回になった。
ダニーはプールの中から、いとおしむように別荘を眺めていた。
デッキチェアーに座ってシャンパンを飲んでいるアランが声をかける。
「ハニー、どうしたんだい?」
「もうこの別荘ともおさらばかと思うと、何だか寂しゅうて」
「確かにいい物件だなぁ」
アランも同意した。
「今日はこれからどうする?」
「エドたちとBBQでもするか?」
「うん、ええな、それも」
「それじゃ電話してくれ」
「分かった」
ダニーはプールから上がると、マーティンに電話をかけた。
「ダニー、どうしたの?」
「今日な、家でBBQせいへんかと思ってな」
「ちょっと待ってて」後ろで二人が話している声がする。
「エドが喜んでって言ってる」
「それじゃ、7時に来いや」
「うん、分かった。じゃあね」
「二人が喜んでだと」
「じゃあ、昼寝したら買い物に行こうか?」
「うん」
ダニーとアランはふざけて愛撫しながら昼寝を楽しんだ。
午後4時にフード・パントリーに買い物に行き、ラム、チキン、ビーフと野菜をどっさり買い込む。
「ワインはどないする?」
「モンダヴィのピノノアールとシャルドネにしようか」
ダニーは海老とハマグリを買い足した。
サラダ用のアンディーヴやルッコラもたっぷり用意した。
二人で用意するので、午後6時には支度が済んでしまった。
二人で、ソフィア・コッポラのスパークリングワインを飲み始めて時間をつぶす。
ソファーで二人で戯れていると、チャイムが鳴った。
「ようこそ!」
「お邪魔します」
二人ともTシャツにバミューダパンツ姿だ。ダニーが、ワイングラスを渡す。
「コッポラのやつや」
「へぇ、ありがとう」
エドは嬉しそうだ。プールサイドのBBQテラスに席を移す。
ハマグリのワイン蒸しを前菜に出し、ダニーが肉を焼き始める。
エドはグリーンサラダをマーティンの皿に盛り、食べるよう促している。
顔をしかめているマーティンに笑いころげるアラン。
ダニーは、焼いては皆に配るを繰り返し、アランと交代した。
「食ってるか?」
ダニーがマーティンにたずねると、マーティンがにっこり「うん!」と答えた。
こいつ、これだけ見てるとほんまに子供みたいや。
ダニーが思わずにんやりする姿をエドは見逃さなかった。
4人でシャンパン、赤ワイン、白ワインを計7本空け、みなデッキチェアーで談笑を始めた。
酔っ払っているので、声が大きい。すべてがおかしくて、けらけら笑える。
ダニーがマーティンを誘って、プールに飛び込む。
二人でじゃれあう姿を見ながら、エドはアランに声をかけた。
「アラン、気持ちが悪いんですけど、ごめんなさい」
「飲みすぎたかな?ゲストルームで休むといい」
「すいません」
二人はゲストルームに上がった。
ゲストルームに入ると、エドが突然アランに抱きついた。
「お、おい!」
「ねぇ、アラン、僕を抱いて!」
「何を言う!」
「お願いだから!」
二人はもつれるようにベッドに倒れこんだ。
エドがアランのパンツをトランクスともに脱がせ、ペニスを口に咥えた。
「やめろ!」エドはアランに突き飛ばされ、泣き始めた。
「一体、どうしたんだ、エド?」
「僕、寂しいんです。あなたが前に付き合ってた人に似てるんで、会う度に思い出しちゃって」
「君には、マーティンがいるだろう!」
「だって、マーティンの心はダニーのものだから」
そのまま号泣に変わった。アランは、仕方なく添い寝を始めた。
背中をよしよしとさするうち、エドの寝息が聞こえてきた。
やれやれ、一件落着か。
アランはブランケットをかけてやり、ゲストルームのドアを閉めた。
1階に下りると、ダニーとマーティンがデッキチェアーでぐっすり眠っていた。
マーティンの手がダニーの太ももに乗っているのが気になったが、
アランは二人をそのままにして後片付けを始めた。
「夏ももう終わりやな」ダニーがコーヒーを飲みながら、アランに言う。
「なごり惜しいな」
「うん」
「また来年も楽しもうな」
「うん!俺、別荘初めてやったからすごい楽しかった」
「それはよかった」
「それじゃ、行ってくる」
「気をつけて」アランはダニーを見送った。
あの子を喜ばせるためなら、僕は何だってする。
アランは微笑みながら、新聞に目を落とした。
夕方になり、アランは電話を受けた。トムからだ。
「トム、この間は済まない」
「いいんだよ、実は俺もお前が必要になった。これから家に行ってもいいか?」
トムの声に緊張が走っている。
「あぁ、分かった」
トムが家にやってきた。顔面蒼白だ。
「どうした?」
「医療過誤で訴えられた」
「えっ!」
「ギルに弁護を頼んだがどうなることか。俺としたことが」
トムはソファーにどっかり座り、顔を覆った。
「飲むか?」
「あぁ、頼む」
アランはスコッチウィスキーをグラスに注いで運んだ。
トムはぐいっと一気に飲み干した。
「詳しく話してくれ」
「いや、それより、俺、お前が欲しい」
「何だって?」
「この間、お前を慰めてやっただろう、お返ししてくれよ」
「・・」
「お願いだ、アラン、俺とお前の仲だろうが」
アランは、グラスを置いてトムの隣に座った。
「本当にそれでいいのか?」
「ああ、俺のそばにいてくれ」
「分かった」
アランはトムの手を取ると、ベッドルームに誘った。
トムはゆっくり衣服を脱いだ。相変わらず逞しい体つきだ。
筋肉の上にうっすらついた贅肉が男の色気をそそる。
アランも脱いで、ベッドに横たわった。
トムがアランの乳首にキスを施す。スポットを心得たキスだ。
アランがたまらずため息とつく。
乳首の次はへそをぐるりと舌で嘗め回す。
そして、下腹部に到達し、ペニスをちろちろと舐める。
「あぁ、トム、もっと」アランが耐え切れず嘆願する。
トムはなおもじらしながら、裏や玉をちろちろ嘗め回し、やっと竿を口に含んだ。
「うぅん、あぁ、いい」
「俺のも頼む」
トムは身体を反転させ、69の体制をとった。
アランの口の中にペニスを突っ込み、思う存分舐めさせる。
「あぁぁ」
「んん」
甘い息がこだました時、ドサっという音がした。ぎくりと驚く二人。
ベッドルームの入り口に、ダニーが立っていた。
きびすを返すダニー。
「おい、ダニー、待ってくれ!」裸で追いかけるアラン。
ダニーはアパートから出て行った。
ダニーは涙を浮かべながら、アッパーウェストエンドを降りていった。
トムと浮気するなんて、アラン、最低や!
まっすぐ家に帰る気にはとうていなれず、ミッドタウンでタクシーを降り、ブルー・バーに寄った。
カウンターに座るとエリックが近付いてくる。
「顔色悪いですよ」
「ええから、テキーラ頼む」
「はい」
ダニーは、スティック野菜をがしがしかじりながら、テキーラのショットのお代わりを繰り返した。
そのうち、意識が白濁してきて、カウンターにつっぷした。
おいおい、今度はダニーかよ。
エリックは遅番のバーテンダーに後を頼むと、ダニーをかついで、タクシーに乗った。
ダニーが目を覚ますと、エリックが近寄ってきた。
「ずいぶん飲んだね」
「あぁ、ここどこ?」
まだ頭がぐらぐらする。
「俺の家」
「帰らんと」
「まだ足元もおぼつかないくせに。今、水を持ってくるね」
ダニーは水をぐいっと飲んだ。
「何で荒れたの?恋愛がらみ?」
「うるさい!かまうな!」
「そうはいかないね、俺、もうダニーの精液飲んじゃったし」
気が付くと、ダニーは下半身丸裸だった。
「お前!」
「ふふ、今日はこのまま帰してあげる。この借りは忘れないでね」
「何てことや、俺、最低・・」
ダニーはのろのろとトランクスとパンツを身に着けると、立ち上がった。
「タクシー呼んでくれへんか?」
「どこまで?」
「ブルックリンまで」
「分かった」
ダニーは久しぶりの我が家に向かった。
976 :
fusianasan:2006/08/26(土) 01:28:35
977 :
fusianasan:2006/09/04(月) 08:29:00
980 :
fusianasan:2006/09/24(日) 11:59:11
萌えないw
981 :
fusianasan: