【Without a Trace】ダニーテイラー萌え【小説】Vol.5
エッサ・ベーグルで朝食を調達し、オフィスへ行く。
エレベーターで不機嫌そうなボスと一緒になった。
「ダニー、やっぱりお前の言うとおり婆さんだったよ。それも歯抜けのな」
ダニーは笑いをこらえて頷いた。
「もう行くこともあるまい・・」
ボスが自分のオフィスへ入ると、ダニーが忍び笑いを漏らした。
訝しげなマーティンに、食べながらピープショーのことを教え、二人はげらげら笑い続けた。
「お前たち、何を笑ってるんだ?」
ボスがミーティング用の資料を置きながら二人に声を掛けた。
「DVDの話っす」
ダニーが即座に答え、マーティンも頷いた。
ボスは疑わしそうに二人の顔を交互に見たが、資料に目を落とした。
帰り支度をしていると、サマンサが携帯で楽しそうに話していた。
「デートかな?」
マーティンが時折チラチラ見ながらささやいた。
「たぶんな。すごいかわいいしゃべり方してるなぁ」
ダニーは電話を切ったサマンサに、ニヤニヤしながら話しかけた。
「サム、順調みたいやな」
「まあねー。今日はスケートに行くのよ」
「セントラルパークか?」
「そう。手つなぐのが待ちきれない!」
サマンサははしゃぎながら帰っていった。
「ダニー、僕らも行きたいね」
マーティンが周囲を見回しながら話しかける。
「オレ、スケートは苦手なんや。寒いのも嫌やし」
「そっか・・・」
「行きたいんやったら付き合うで?ただし、手つなぐのはなしや」
「ん、ありがと。サムは手がつなげるからいいな」
「あほ、いつもつないでるやん」
ダニーは軽くマーティンの肩にパンチした。
ダニーはモンキーバーで知り合ったマリーというフランス人と談笑している。
「次はアブサン飲む?ランボーが崇拝してた頃のとは違うけど」
「チェルノブイリか、もらうわ」
ダニーはどぎつい緑色のカクテルを受け取ると、スチュワートのことが脳裏に浮かんだ。
この緑、あいつの目の色や・・・心なしかグラスを持つ指に力が入る。
マーティンは今夜スチュワートと出かけている。
アブサンを一口啜り、マリーの目をいたずらっぽく見つめた。
マリーも意味ありげな視線を返す。
「ねぇ、私の部屋に行かない?」
「ああ」
ダニーは誘われるままについて行った。
「フランスから来たのにエリゼーに泊まるやなんて変わってるなぁ」
「そう?ここのバスルームが好きなのよ」
「なるほど」
マリーはダニーを誘うと一緒にシャワーを浴びた。
大理石の壁に押しつけてキスを交わす。
二人はもつれ込むようにベッドに入った。
ダニーがマリーの中に押し入り、膣の感触を味わっていると
突然背後からがっしりと腰をつかまれ、アナルにペニスが入ってきた。
「うあっ!な、なんや!」
「心配しないで、夫のフィリップよ。どう、彼のお尻の穴は?」
「残念ながらバージンじゃない。よく使い込まれてるよ」
「あら残念。あなたはバイだったのね」
フィリップは容赦なく突き上げ、ダニーはあっけなく射精した。
「ダニーったら、私がまだイってないのに・・・」
マリーは薄笑いを浮かべた。
「お仕置きよ、抜かずにもう一度出してもらおうじゃない」
フィリップが前立腺を刺激するように動き、ダニーのペニスはまた勃起した。
「いいわ、固くなってきた。フィリップはどう?とっても上手でしょ?」
フィリップが動くたびにダニーもマリーも獣のような咆哮を上げる。
妻の絶頂が近いことに気づいたフィリップはガンガン腰を使い、
マリーがイクとダニーとフィリップもほとんど同時に果てた。
ダニーがぐったりとベッドに寝転ぶ横で、二人は続きを始めた。
マリーは誘うようにダニーを見つめている。
ダニーはのろのろと立ち上がり着替えて部屋を出た。
二度の射精のせいか、腰が重い。
タクシーに乗ると、シートにもたれかかって目を閉じた。
アパートに帰るとバスタブにジェルをたっぷりいれ、念入りに体を洗った。
ベルガモットの香りに包まれていると、ようやく家に帰ったという実感がわいてくる。
さっき体験したことが幻のように思えたが、
腰に薄っすらついた手形が夢ではないことを物語っていた。
マーティンのこてんぱんに傷ついた表情を思い出し、ダニーは心が痛んだ。
支局でエレベーターを待っているとマーティンが隣に並んだ。
「ね、無事に解決してよかったね」
「うん」
ダニーは相槌を打ったが、腰の手形が気になりドキドキしていた。
「乗らないの?」
マーティンの声に、ダニーは慌ててエレベーターに乗り込んだ。
「ねえ、今夜うちに寄らない?」
マーティンが覗き込んで尋ねる。
「ん、ええよ」
「見せたいものがあるんだ。楽しみにしてて」
ダニーは適当に頷いたが、心なしかぼんやりしている。
「ダニー、どうかした?」
「いいや、何でもない」ダニーは無理に微笑んだ。
マーティンの部屋に入ると目を閉じるように言われ、言われたとおりに目を閉じた。
「まだ見ちゃダメだよ・・・こっちこっち」
「なんや、一体?」
「はい、もういいよ。見て!」
ダニーが目を開くと、リビングに熱帯魚の水槽が置いてあった。
「わぁ!お前も買ったんか、綺麗やなぁ」
ダニーは水槽にくっつくと熱帯魚に見とれた。
「エサもさ、気持ち悪くないやつだから平気。ほら、ボトルに入ってるからね」
マーティンはダニーのために実演して見せた。
「はい、ダニーもやってみて」
嬉しそうにエサのボトルを差し出す。ダニーはパラパラとエサを水槽に撒いた。
「ね?さわらなくても大丈夫でしょ?」
ダニーはにっこりするマーティンをぎゅっと抱きしめた。
苦しくてもがくマーティンにキスをする。
「ダニー、ちょっ・・ねえっ苦しいよっ・・」
「あ、ごめん・・」
ダニーは体を離すともう一度キスをした。今夜は特にマーティンの無垢な心が羨ましかった。
ダニーはしばらくマーティンと水槽に見入っていたが、
腰の手形を見られるのを恐れて帰ることを告げた。
「ダニィ、泊まらないの?」
マーティンが不服そうにうつむく。
「ごめんな、今日は帰るわ」
ダニーはマーティンにキスをして帰ろうとしたが、マーティンが手を離さない。
「マーティン、わがまま言うな。今日は一人になりたいんや」
「じゃあさ、僕は違う部屋で寝るから。だめ?」
「オレらずっと一緒やろ、今日は辛抱しい」
マーティンはあきらめて渋々手を離した。
「また明日な。おやすみ」
ダニーはぎゅっと抱きしめるとアパートを出た。
空を見上げるとほとんど満月の月が出ていた。
何気にアパートのベランダを見ると、マーティンが身を乗り出すように自分を見ている。
あのあほ、この寒いのに薄着で外に出るやなんて!また風邪引くやん!
ダニーはもういちどマーティンのアパートに戻った。
マーティンはまだベランダにいた。キョロキョロとダニーを捜している。
ダニーはこっそり近づくと窓を閉めて、鍵をかけた。
驚いたマーティンが振り返る。「わぁ、ダニー!」
ダニーは窓ガラスにハァーっと息を吹きかけ、あほと書いた。
マーティンはケタケタ笑っていたが、開けてもらえないので泣きそうになっている。
ダニーはようやく鍵を開けて中へ入れてやった。
「あー、すっげー寒かった!」
マーティンはがたがた震えながらダニーに抱きついた。
「風邪引くやろ、このすかたん!」
ダニーは両手でほっぺにふれた。
「ひゃあ、冷たい!」体を擦りながら温め、首筋にキスをする。
「何言ってんのさ、ダニーが閉め出したくせに!」
「お前がいつまでもオレのこと見てるからや!」
「だって・・・」
「だってもくそもない、風邪引くやろ!」
ダニーはぴしゃっと言い、マーティンはしゅんとした。
「今日はオレの負けや・・しゃあない、泊まるわ」
「本当?」
マーティンは嬉しそうにしがみついてきた。
「ただし、別行動やからな。ほら、風呂入って来い」
「ん、わかった」
マーティンはバスタブに湯を張りに行き、ダニーはコートを掛けにいった。
こっそり確認したが、ほとんど手形は消えている。
これならごまかせる!ふーっと息を吐き、安堵しながらリビングへ戻った。
マーティンはお湯がたまるまでの間、歯を磨いている。
ダニーが見に行くと慌ててデンタルフロスを隠した。
「マーティン、それ使う時のお前ってかわいいな」
「バカ!恥ずかしいから見ないでよ」
マーティンは耳まで赤くなっている。ダニーはデコピンすると自分も歯を磨き始めた。
ダニーは真夜中にトイレに起き、また水槽に見とれていた。
暗闇に浮かぶ水槽は幻想的で、心が穏やかに癒される。
ボスのこときしょいって思てたけど、魚ちゃんって可愛がる気持ちがわかったわ。
ダニーはうっとりしながら珊瑚やちまちまと泳ぐ魚に目を凝らした。
ふと見ると下からの泡にもまれるように回転している魚がいる。
ん?コイツだけ何でやろ?・・・・あちゃー、死んでる!
どうしよう?こんなん見たらあいつが悲しむわ・・・・
ダニーは気持ち悪さに手が震えながらも、水草用のピンセットでつまみ、トイレに流した。
朝起きるとマーティンがわーわー騒いでいた。
「おはよう、どうしたん?」
「一匹いなくなってるんだよ。もしかして共食いしたのかな?」
数の確認なんかするなよ・・・ダニーは頬の内側を噛んで笑いを堪えた。
「実はな、夜中に死んでるの見つけたからほかしたんや」
「えっ!」
マーティンはショックで固まってしまった。ダニーはよしよしと抱き寄せる。
「ボスに聞いてみ、なんか教えてくれるやろ」
マーティンはこくんと頷き、そっと目を擦った。
ダニーが帰り支度をしていると、携帯が鳴った。
見たこともない番号に警戒しながら出る。
「ダニー?この前はどうも。明後日発つんだけど、もう一度会えない?」
マリーの訛りがかった声が響く。
「いえ、申し訳ありませんがそのようなことはできかねます」
「そう・・・もしも気が変わったら来てね、エリゼーにいるから」
ダニーはもう一度断ると電話を切った。
後ろでマーティンが身を固くしている気配がする。
赤毛にはご用心や・・・ダニーは素早く着信履歴を消した。
そのまま何事もなかったように帰り支度を続ける。
サマンサとヴィヴィアンが帰ると、マーティンが寄ってきた。
「ねえ、さっきの誰?」
「情報提供者やけど、法外な金額請求してきよってな、断っただけや」
「そっか」
マーティンは納得したのか、神妙な顔で頷いた。
「さあ、オレらも帰ろう」
ダニーはマーティンと一緒にオフィスを出た。
マーティンの携帯が鳴っている。
ちょっとごめんと言いながら、マーティンは電話に出た。
「はい、ダニー?ん、そばにいるよ」
自分の名前が聞こえ、ダニーは振り返った。
「待って、聞いてみるから・・・ダニー、スチューが雪合戦しないかって」
「はぁ?もう暗いやん」
「屋上でやろうって言ってるよ、どうする?」
「よっしゃ、やろう!」
トロイなんかに負けてられへん!ダニーは口の端を上げてニヤリとした。
グラマシーのアパートへ行くと、嬉しそうに着込んだスチュワートが二人を出迎えた。
「やあ、よく来たな。早く着替えろよ」
ダニーはマーティンの服とスチュワートの服を借り、ちぐはぐな格好に憮然とした。
「なぁ、もうちょっとマシなんない?オレ、かっこ悪い・・・」
「いいじゃないか、誰も見てないさ。・・・お前、なんか孤児院の子供みたいだな」
「だから嫌や言うてるんや」
ダニーはマーティンのニットキャップを取り上げた。
スチュワートは自分のニットキャップをマーティンにかぶせた。
「いいよ、僕は」
「いいんだ、オレのを使え」
スチュワートはマフラーを頭にグルグル巻きにしてにっこりした。
「ほらな、オレはかっこいいから何でも似合う」
「・・ありがと」
マーティンはせっかくなので借りることにした。
「さあ、やろうぜ!」
スチュワートは先頭を切って屋上へ出た。
あいつ、やっぱヘンやで。子供みたいや・・・
ダニーは寒さに震えながら屋上に出た。はしゃぐ二人に苦笑する。
二人はもう雪球を丸め始めている。
「早く来いよ、テイラー捜査官」
いきなりぶつけられ、ダニーも雪球を丸めると参戦した。
雪合戦に熱中した三人は汗だくになった。
ダニーとスチュワートが本気でぶつけ合っている間、
マーティンはせっせと雪だるまを作っている。
いつの間にか二人が手伝い、大きな雪だるまが出来上がった。
「ふー・・そろそろ入ろうか?」
三人は服についた雪をはたくと部屋に戻った。
順番にシャワーを浴び、三人はデリバリーのピザにがっついた。
動きまくったせいか、全員おなかがペコペコだ。
「お前、今日はよく食うな。レベル・マーティンか?」
スチュワートがダニーをからかう。
「そうか?めっちゃ腹へってるせいかな」
「ねー、レベル・マーティンって何さ?」
「よう食うってことやろ」
「そうそう、君は食欲ではレベル4に値するからな」
「ちぇっ、僕はエボラウイルスかよ!」
ふくれるマーティンに二人はげらげら笑った。
食事が終わると、スチュワートはダニーに新しい歯ブラシをくれた。
「この前のお返しだ。ピンクにしようかと思ったんだが、フェアじゃないよな」
「いいや、オレは別にピンクでもかまへん」
ダニーは青い歯ブラシを受け取ると礼を言った。
「じゃあ、次のはピンクにするよ。おまけに柄も入れようか」
にやけたスチュワートに拳を差し出され、強めにコツンと合わせる。
ダニーは歯を磨きながら自分が楽しんでいることに気づいた。
今はスチュワートのことは嫌いではない。
チャラチャラした見かけと違って中身はいいヤツだと思う。
認めたくなかったが、居心地のよさを感じていた。
マーティンを真ん中に三人はベッドに入り、
灯りを消すとスチュワートは怖い話を語りだした。
研修した病院の地下室にまつわる実話だと言う。
信憑性のせいか、ボスの話とは比べ物にならないほど怖ろしい。
びびったダニーはマーティンの横にぴったりくっついた。
マーティンも怖いらしくダニーの手を握り締めている。
ダニーの腕にひんやりしたものが触れ、思わずひゃあっ!と声を上げた。
「どうしたのさ?」
「今、なんか冷たいもんがオレの腕に・・・」
「冷たいもんなんてあるわけないだろ、バカだな」
スチュワートはくくっと忍び笑いを漏らした。
「あー、わかった!スチューの手だよ、いっつも冷たいんだから!」
正体をばらされたスチュワートは大笑いしている。
ダニーはスチュワートを羽交い絞めにすると脇の下をくすぐった。
暴れる体を抑えつけ、徹底的にくすぐる。
「うわー、オレが悪かったよ・・・やめろって・・あー」
ダニーは容赦なくくすぐるとようやく体を解放した。
「ボケが!今度したら小便ちびるまでやるからな!」
「バーカ、誰がちびるかよ!なぁ、マーティン?」
問いかけられたものの、マーティンは黙っている。
「おいおい、ちびったのかよ?ったく、お前らマジで子供だな」
「いや、お前もかなりやばいで。
むしろお前のほうが怪しいもんや、オレらより年上やねんから」
ダニーはマーティンにもたれかかりながら断言した。
976 :
fusianasan:2006/02/16(木) 02:47:01
ダニーとマーティンとスチュワートが幸せな三角関係になっていて
驚いています。マーティンが素直に二人の感情を吸収しているせい?
それよりダニーとスチュワートの仲が急接近しているようで気になります。
これからも頑張ってください。応援しています。
>>976 ご感想ありがとうございます。
三角関係の行方はどうなるのか、自分でもまだわかりません。
応援していただき、感謝しています。
次スレに移動しましたので、また読んでいただけると幸いです。