オナニーに命救われた

この世に未練などねえ
服も机もパソコンも、部屋のもの全部外に出した
裸になって何もない部屋にうずくまり、死を待った
何日たっただろう、俺は意識も朦朧としていた
気がついたら、俺はオナニーしていた
手が動く
手が疲れる
性器に血液がたまる
性器がうごめく
脳内にアドレナリンが分泌される
男性ホルモンが体中にいきわたる
疲れる
感じる
俺の体が生きている
躍動している
ぶちまけられた精子
この汚らしい粘液にたくさんの命が宿っている
俺は何もない空間で、自分の体だけで、快感を味わえる
命を生み出している
俺すげえ
死ぬのも忘れて感動した
俺の目を覚まさせてくれたのは紛れもない俺自身
そしてオナニーという行為だった
不思議なことに、それから俺の思考回路はポジティブになってた
これから新しくやり直そうと思う
せめて生命としての役割果たすまでは死ねねえ
家や車のCMでやってるような、幸せそうな家族つくりてえ
俺がんばるよ
俺を救ってくれたのはどう見ても精子です。
本当にありがとうございました

�A月

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4月



はいはい…