エロパロ板でアンチさんに叩かれている妄想SSもどきさん用のSSスレです
2 :
fusianasan:2005/08/22(月) 19:45:44
保守がてら妄想さんのSSを以下コピペします。
708 妄想SSもどき ◆KbijCSt4HM sage 2005/08/05(金) 22:13:21 ID:N2O2KpIS
突然失礼します。
漫画キャラ板の 東城綾を応援するスレ その31@いちご100% で勝手に妄想創作SSを発表させて頂いている者です。
とりあえず向こうと同じコテ名で書き込みさせて頂きます。
向こうのスレでこれを始めたきっかけを書かせてもらったのですが自分が最終回バレ以降にリアルでみてしまった
夢にいささか衝撃を受けその時の中身の記憶を書き込んだことから以後その続きを自分で補完していくような形で
発表させて頂いていました。
ちなみにその夢で見た内容というのは高校卒業から10年後の未来で真中は西野つかさと結婚し家庭を設けたという
設定になっておりました(他人事みたいな言い方で何か変な表現ですが)。
そこから「かつての運命的な人」であった東城綾との再会し心が激しく揺れ動いていく真中淳平の姿を主に描いています。
ちなみに自分はれっきとした東城綾ファンです、一応。
その為彼女の描写には自然に力のこもった物になっております。
ただ何というかあまり爽やかなお話ではなくむしろ人によっては読んでて不愉快な物に感じられるかもしれません。
自身東城ファンなのですがこんな描写してていいんだろうか、と自問したりしています。
どうも原作のあの無理矢理的でやや強引かつみんな爽やかってな終わらし方に相当反動的になってしまってこんな形で
妄想が爆発してしまっているのかもしれません。
それでこちらでは過去現在といちごネタによるSSが発表させてるようですので、宜しければ自分も今後は
こちらでSSを発表させて頂こうと思います(エロ描写もあり向こうのスレではいろいろご迷惑かけるかもしれませんので)。
正直初めてSSの類に挑戦しております。
本来才能のない身でありますので相当おかしな文章を拝見させているかも知れません。
見ていて不愉快になられましたらどうかあぼーん設定等で処置ねがいます。
またSSの感想やご指摘、お前キモい等々何でもかまいませんのでご意見ありましたら宜しくお願いします。
それでは長くなりましたが以後順次投下させて頂きます。
ちなみに過去向こうのスレで発表した初期の夢部分などは相当手直しさせてもらいま
709 妄想SSもどき ◆KbijCSt4HM sage 2005/08/05(金) 22:14:04 ID:N2O2KpIS
プロローグ
大手映画会社「東邦」の企画会議室の一室である新人映画監督の処女作の企画が大詰めを迎えていた。
今年28歳を迎えた新人映画監督・真中淳平にとって映画会社の重役らを交えてのミーティングはこれからの夢への
第一歩の為の超えなければならない壁でありそれと同時に緊張と不安が混じり合った実に複雑な心境にあった。
真中淳平にとって初めて会社資本による劇場映画第1作目。
彼を直接支えるスタッフには泉坂時代からの頼りの後輩でプロデューサー補として会社側から外村美鈴の姿があった。
その他の会議出席メンバーは出演女優○○(所属はその兄外村ヒロシ運営の芸能プロダクション)、製作プロデューサー、
現場スタッフ数名、そして数年間真中が助手として仕えていた映画監督・角倉の姿もあった。
会議では具体的な制作期間とスケジュール調整に予算の配分とシナリオの最終的上り等について話し合われ
その日最終的な結論が明示され遂に会社側から正式なゴーサインが出されたのだった。
それは真中がずっとずっと待ち焦がれていた瞬間であった。
美鈴らとの会議打ち合わせが終わり真中は真っ直ぐに愛妻の待つマンションに帰宅した。
「おかえりなさい、どうだった?」
玄関先で妻・つかさが出迎えてくれる。
真中淳平と旧姓・西野つかさは数年間の交際を得て昨年晴れて結婚し都内の公営マンションに新居を構えた。
過去つかさはパティシエを目指し数年間パリに留学していたが結局は挫折の憂き目に会い現在は
近所のケーキ屋の美人店員として働きながら夫と共に家計を支えていた。
夕食を挟みながら真中は妻に会議での喜ばしい結果を報告した。
「なんとかうまく軌道に乗れそうだ。 2ヵ月後には撮影に入れるらしい。そうなると暫く家に帰れなくなるよ」
「そう、なんかさみしいな。素直に喜べないかも」
そう言いながらつかさはさみしそうに微笑む。
つかさは留学からの完全帰国後どこか影を引きずったような部分を漂わせるようになっていた。
真中もどこかそれを心配していたがそれよりも今はこれからの事に自然に心は熱くなっていた。
そうとも、遂に俺の念願の劇場映画を撮れるのだから。
真中はすっかり有頂天な気持ちでいた。
数日後真中の携帯に泉坂時代からの友人で独立芸能プロ社長・外村ヒロシから電話が入った。
映画のことを含めていろいろ話したいこともある、久しぶりに会って飲もう、との事だった。
外村とは映画主演の女優の件の事もある、それも含めて改めて話をしなきゃな。
そう思いながらその夜外村の指定するホテルのバーで落ち合った。
東大卒業後若くして独立芸能プロを発足、天性の勘の良さからか扱う女の子たちはどれも市場で受け入れられ
現在外村の会社は芸能界で今一番の成長株と言われている。
そしてその一番の古株は真中も良く知るあの端下ちなみであった。
映画の件で始まり二人は久しぶりの再会からか多くのつもり話を語り合った。
メールや電話、果ては妹の外村美鈴を通じて連絡は取り合ってたがここ2年間はお互い忙しさからかまともに
会って話す機会が設けられなかった(特に社長の身である外村は馬車馬の如き多忙さであった)。
昨年のつかさとの結婚式も結局互いの身内だけでの簡素なジミ婚で友人らには出席をご遠慮して頂いたのだ。
酒で心地よく酔いながら外村は遠くを見るような目で懐かしげに語る。
「本当は北大路や東城、それに今のお前の奥さんなんかも我がプロダクションに入ってもらいたかったんだがなあ。
まあこればっかはしょうがないよな。しかしホトホトあの頃のお前は羨ましかったよ(ブツブツああだこうだ)・・・・・・・」
横で外村の愚痴話をたっぷり聞かされながら真中は思う。
そういえば東城とさつき達は元気にしてるかな?あの同窓会からあってないんだよな・・・・。
東城は今や売れっ子作家、さつきはきっと人気仲居として京都で頑張ってる事だろう、ああ懐かしい・・・・・。
「ところでだ真中、ちょっといいか」
急に外村が口調を引き締めて言う。
真中もハッと回想から現実に戻される。
「東城なんだけど実は最近エッセイ集を出版したんだ。俺もこの間読んでみたんだが・・・・お前知ってた?」
「いいや、知らなかった」
ここ最近忙しさで自分の映画のこと以外はご無沙汰気味だった。
それでも東城の出す本は出れば必ず買って読んでいた。
そうか、小説じゃなくエッセイなんかも出したのか、それは俺も読まなきゃな。
外村が続ける
「読んでみたんだが正直ちょっとビックリする内容だったよ。最近の近況や日々自分が感じ思う事とか小説論とかが
主な内容なんだがそれとは別に昔の思い出、 それに初恋話に過去の恋愛経験などが描かれていた。それで初恋話だが
おそらくお前と思われる男の事を言及したものだった」
真中はマジマジと外村を見つめながら話に集中する。
「いいか、ここからが肝心だ。慶法大に入学した東城はそこで俺たちもよく知っているあの天地とどうも付き合っていたらしい。
無論実名表記などはないが知ってる人間が読んだらすぐに分かる。更に踏み込んだ内容だが東城は奴に大学3年の時に
抱かれたらしい・・・・まあつまり東城の初めての男は天地だったって事になるな」
真中は外村からの突然の話の中身に呆然とした。
・・・・そりゃあ俺と東城の間には何のやましい関係もない。今でも友達だろうし、いや同志といった方がいい。そもそも俺は
東城の小説で覚醒されたようなもんだ。そして俺たちはそういう間柄でいようと別れて・・・・・いや天地と・・・・・知らなかった。
そうだよ、何もおかしくないさ。同じ大学だったしなんといってもあいつは東城一筋だった。俺が何か言う権利など全く無い・・・。
実に似合いのカップルじゃないか!・・・・・。そして初恋話・・・・俺のこと?・・・・。
「話の続きなんだが、結局5年ほど付き合って別れたらしい。どうも天地の方から東城の元を去っていったそうだ。
書かれてある事が事実ならね。それ以上にショッキングな描写があるとすればその間のある出来事を境に東城にとっては
セックスにしろなんにしろ奴との間で本当の愛や感動のようなものは感じられなくなったんだそうだ。その事で彼には何も罪はない、
全ては自分に非がある、と書いてあったよ。・・・・・まあそんな内容だったぜ」
真中は別れ際女優の件で再度外村に礼をいい深夜の帰路についた。
そして静かに混乱していた。
何で、何で東城はそんな事を今更・・・・。
俺のことに天地のこと・・・・そしてある事を境にだって・・・・何が・・・・?。
家では妻のつかさが夫の帰りを待ち続けていた。
そして真中におもむろに手紙を差し出した。。
「淳平に手紙。差出人見てびっくりした。あとであたしにも内容教えて」
妻から受け取った手紙の差出人の名は東城綾とあった・・・・。
手紙の文面は突然の便りに対する断りから始まり最近の近況などを書き連ねつつ先日出版したエッセイ集の内容に対する
言及も記されていた。
そして最後は近日お仕事で真中君とお会いするかもしれません、そうなる事を心より祈りながら、と締めくくられていた。
「ねえ、あたしの勘が外れてなきゃその手紙の内容って東城さんがこの前出した本の事とかが書かれてるんでしょう?」
「え?・・・・う、うん」
「やっぱりね。あたしも東城さんの出す本はちゃんと読んでるし大抵発売日には買ってるから。今回淳平は
忙しかったからか珍しくまだ読んでなかったと思うけどちょっとビックリした。何か事情はよくわからないけどあんな
生々しい事書いてたから。・・・・それで初恋の人って多分淳平のことなんじゃないかな?」
真中はそれに対してうまく答えられない。
作家・東城綾の書く小説は大体恋愛物が主体となっていたがその中身は非常に情念のこもった男女の愛憎劇が多く
そのリアリティからか読者・ファンのみならず評論家たちからの評価も高かった。
真中は彼女の小説を毎度読んでいたがそれに圧倒されながらもいつもどこか居心地の悪い様な感情も抱いていた。
そして今回のエッセイ・・・・一体どういうつもりなんだろうか、東城は・・・・。
「ねえ、淳平!あたしから東城さんのところに行っちゃったりしないよね・・・・?ずっと一緒だよね?」。
「あ、当たり前だろ!突然何を言うんだよ!俺が本当に愛してるのはお前だけなんだから!」
突然の思いもかけないつかさの問いかけに思わず反射的に力を込めて否定する真中。
そしてそう言うやいなや無理矢理つかさを抱きしめその場で押し倒してしまった。
「ねえ、ずっと自信なかったんだ、東城さんにだけは・・・きっと東城さんが本気出していれば今頃こうやって淳平の胸で
抱かれてたのはあたしじゃなくて・・・・。昔からそう思ってた。そして今でも時々・・・・。」
真中に抱かれながらつかさはすがる様にそう口に出した。
「少し気が動転しただけさ・・・東城から手紙が来ただけじゃないか・・・・つかさ、俺は今ここにいるだろう?」
そして二人は自然と唇を重ね合わす・・・・。
そして夜は更けていく・・・・。
PART.1
撮影開始1ヶ月前を丁度迎えたシナリオ会議の席上で担当製作プロデューサーから耳を疑うようなプランが突然提出された。
既に仕上がっている脚本に新たに追加改良という名目で別のライターを迎える方向にある事。
またその最有力候補としてあの売れっ子作家である東城綾が今回参加してくれるかもしれないというのだ。
文壇の若手恋愛小説作家の中でも独自の存在感を築きあげつつあり、またビジュアル面でも慶法大時代から「巨乳女子大生作家」の
触れ込みで当時から青年誌などでグラビアまで組まれるほど注目を浴び遂には在学中に国内大衆小説の賞としては最高峰である
直林賞を受賞する程の人気、実力とそれに比例した知名度を既に誇っていたのだ。
そして何よりも今回の東城綾の脚本参加が実現すれば監督・真中淳平との夢のコラボレーションとして話題には事欠かないであろう。
何しろ東城綾は今回の新人監督・真中淳平の泉坂高校の映画部時代のれっきとしたシナリオ担当でもあったのだ。
映画部時代の真中ー東城ラインのコンビで計3作の自主作品が製作されその内の第3作目に至っては東城綾自身が主演まで兼ねた。
ちなみに第2作目のヒロインは現在の真中淳平の妻・真中つかさであった。
これらの事を含めれば映画の宣伝効果はかなりの物が期待できるはずだ、それが会社側の主張であった。
「そんな事こっちに相談なく勝手に話を進めて・・・・第一東城、いや彼女の考えはどうなってるんですか?!」
突然の話だし監督である自分に何の相談もなくいきなりの事だ、真中のこの主張も至極当然であった。
ところが当の東城綾自信は今回の件について大変前向きに考えているのだという。
彼女の意思がそういうことであればつまりもうこの話は決まりつつある、ということなのだ。
所詮新人である真中には残念ながらまだそこまでの事を強く発言する権限は望めず会社側の提案を了承する以外に選択肢はなかった。
いや、東城と一緒に仕事する事自体嫌なわけでもなくむしろ彼女が再び自分のパートナーとしてこの作品を支えてくれるって事は
いわば俺たち泉坂コンビの記念すべき再結成じゃないか・・・・それに製作面では美鈴もいる・・・・最高の人的環境と言っていい。
思えば東城はあの時俺に出した手紙でこの事を予期するようなことを書いていた。既にプロデューサーから話があったんだろうな・・・。
しかし元々の脚本家の立場はどうなってるんだ?大丈夫か?ちゃんと話はついてるんだろうな?・・・・。
宣伝効果を思い浮き足立つプロデューサーを尻目に真中はどこか素直に喜べない疑問を感じ複雑な面持ちを浮かべていた。
別の理由でそれは製作スタッフの一人、外村美鈴も同じ思いであった。
彼女もまた真中と綾の二人の過去と彼女の例の本の事を知っていたから。
先輩たちの間で何も無ければいいけど・・・・。
まあ余計な心配でしょうけど、と思いつつどうも二人の事が気になってしまう美鈴であった。
6年ぶりくらいだろうか、東城綾とこうやって再会するのは・・・・・・。
映画会社の一室で二人は数年ぶりの懐かしの再会を果たした。
高校時代の時と同じで彼女のシナリオが俺の映画に色彩と物語と感動を与えてくれるんだ・・・・。
そんな過去と未来の点在してるであろう希望の点を彼は結果としての事実と絶対的確信で都合よく線にしていた。
それくらい東城綾の才能とその存在がきっときっと自分を奮い立たせ力を発揮させてくれるのだ、と思えるのだ。
そうだ、その想いがあったから俺はあの世界放浪の旅に出たんだ・・・・。
アメリカのハリウッドを皮切りにアメリカ横断、南米ブラジル、アフリカ大陸にヨーロッパ、そしてアジア・・・・。
4年間彼をそこまでの原動力として突き動かしたのも全てあの運命の数学ノートだった。
中学3年の時偶然彼女の落としたあのノートを拾い読んで俺の世界観は一変した・・・・。
なんて凄いんだ、なんてイマジネーション豊かな世界なんだ、これを一冊のノートに彼女は活字だけで表現している。
話そう、いっぱい話そう。この小説がどれだけ素晴らしいかを、そして俺の将来の夢を・・・・。
フラッシュバックのように今、真中の脳裏は様々な想いと記憶が交差していた。
「・・・・そういう事で真中君、いえ監督。それに皆さんもどうか宜しくお願いします。お役に立てますようしっかり頑張ります」
ハッと我に返る真中。
それが照れと微笑みが混じった東城綾による新しい脚本家としての挨拶の締めの言葉だった。
我に返った真中はそのまましげしげと彼女を見つめる。
それに気付いたのか彼女は少し恥ずかしそうな様子であった。
ああ、東城、・・・・なんて綺麗なんだ・・・・。
真中がそう思うほど東城綾は本当に見とれてしまいそうになるくらいに美しかった。
滑らかで肩の下くらいまである長い黒髪、端正な顔立ちと薄紅に輝く唇、そして細く締まった体ながらも服の上からでも
充分に認識できるくらいのふくよかな大きな胸の膨らみ・・・・。
あの頃と同じ優しげで少し照れた少女の面影を残しながらもこの10年で東城綾は恐らく自分でも気付いていない位の
艶やかな大人の女の色気を静かに、だがしっかりとその外面から醸し出していた。
それはまるで自分がこの世で最も愛する愛妻・つかさが霞んでしまうくらいかもしれない・・・・・。
そんな考えを断ち切るように、
「こ、こちらこそ。・・・東城、また宜しくな・・・」
辛うじてそう挨拶するのが精一杯な真中だった。
その日約半日ほどかけた合同のシナリオの打ち合わせも終了しプロデューサー主導による一席が設けられる事になった。
参加者は真中、綾、美鈴にプロデューサー、角倉ら数人の製作スタッフと現場スタッフらである。
そして綾と同じ共同ライターという形になった本来の担当脚本家はそんな気分じゃない、と欠席を表明し帰っていった。
綾はなんだか申し訳なさそうにし彼に対し頭を深々と下げた。
彼女のシナリオを読み真中は思う。
・・・やはりプライドが傷ついたんだろうか・・・・でも仕方がないさ、実際後から参加の東城がそれを修正していくようなもんだから。
綾によって執筆された追加・修正の恋愛シーン等々はどう見ても前任者以上の説得力と表現力を兼ね備えたものであった。
脚本家の経験で言えば彼女は前任者よりもずっと劣る。
彼は本業が脚本書きの生粋のシナリオライターだ。
綾といえば何しろ高校時代の映画部での脚本体験があるくらいなのだ。
しかし彼女の天性の文学的才能だろうか、そんな経験の差をすっかり帳消しにしてしまった感すらがあった。
・・・こういってはなんだがやっぱり東城に参加してもらって良かったんだ。このシナリオならば、絶対いける!
それは真中への自信へとも繋がっていったのだった。
若き美人作家と一緒に仕事が出来るからかプロデューサーらは上機嫌ではしゃぎ回っていた。
脚本家の件もあるというのに正直空気を読めれていない感は否めない。
そんな中で真中、綾、美鈴らは同じ席で各々のつもり話で内々で盛り上がる。
綾からは改めて手紙の事等々で迷惑をかけたことへの謝罪がなされたが酔った真中はそんな事は笑って受け流す。
「ねえー、東城せんぱーい、ところでまだ結婚しないんですかあ?先輩クラスならホント男の人たち放っとかないでしょうに」
かなりの赤ら顔で美鈴は綾に絡んできた。
実は美鈴は2年前に京都の同志谷大学時代の彼氏と結婚し実社会では映画製作者としての夢を家庭共々育んでいる最中だった。
結婚により姓は変わっていたのだが仕事ではそのまま旧姓名を名乗っていた。
ちなみに彼女の旦那はどこかしら真中淳平を彷彿とさせる雰囲気を醸し出しているという。
綾はそんな美鈴の問いかけを軽く受け流しながらも一瞬その眼が真中へと向けられたのだった。
あんまり遅くなったら女房が心配するから、と言い訳しながら3次会の宴会は辞退する真中にそれじゃああたしも、と
他のスタッフらの手を逃れた綾までもが後を追うように抜け出してきた。
そして真中に良ければ一緒に少し歩きながら酔いを醒まして帰りませんか?と夜道の散歩を誘ってきた。
東城は全然酒を飲んでないじゃん・・・真中は軽くツッコミを入れる。
真中は二人きりということでやや躊躇するとこもあったが結局それ以上深く考えずに綾の提案に従うのだった。
酒席での話の続きやまだ喋れなかった諸々の事を語り合うがやがては無言になりそのまま黙ったまま暫く並んで歩いていた。
そしてふとある大きな建物の門の前で綾が足を止めた。
・・・・ああ、ここは確か三田の慶法大・・・・そうか東城の母校なんだ・・・・馬鹿だった俺には無縁の名門私学の雄よ・・・・。
何となく感慨に浸る真中。
自分も大学に行こうと頑張ってた時期があったんだ・・・・そもそも東城にまで家庭教師してもらってたんだよな・・・・。
「・・・・ここがあたしと天地君が4年間過ごしたキャンパスライフ・・・・」
それは酒と感慨に心地よく酔った気分でいた真中を一気に現実に引き戻すに充分過ぎる一言だった。
・・・東城と天地・・・俺にはつかさ・・・そして今はこうやって東城と二人きりで・・・。
気が付けば真中の顔をマジマジと見つめる綾の姿がそこにはあった。
どれくらいの時間、互いの顔を見つめあってただろうか。
先に静寂を破ったのは綾の方だった。
「天地君とは学部も同じ文学部だった・・・あたしは彼が同じ慶法大志望だと聞いていたからそれほど驚かなかった。
それでも大学で改めて再会した時ちょっと緊張しちゃったかな?彼の方から、お互い大学でも一緒に頑張りましょう、
って言ってくれて・・・・喫茶店で二人で話してた時にキスされそうになったからそれで・・・」
天地と喫茶店にいる時にキスされそうになった?・・・そんなことがあったのか・・・それにしても何でそんな話を俺に?・・・。
混乱していく真中、綾はそのまま静かに話を続けた。
「あたしが唯ちゃんに頼まれて真中君の家庭教師みたいなのやらせてもらった時の事憶えてる?。
・・・・あたしが真中君の寝込みを襲うようにキスした時の事」
勿論だ。あの雪の降りしきる青都大の受験日。
前日突然唯が俺の元を訪れ俺と東城の仲を詰問し激しく責めた・・・・西野さんという恋人がいながら淳平は東城さんを
押し倒しすようにして東城さんも背中に手を回してお互いに抱き合っていた、と。
「淳平なんかバチが当たればいいんだよ!いっつも女の子の気持ちもてあそんで傷つけてばかり!」
・・・・唯からそう責められた翌日の俺の受験は散々な結果だった。
そしてその雪の降りしきる中、家の前でつかさと東城の二人が待っていた。
つかさは俺にマフラーをかけてくれてそのまま姿を消してくれて俺と東城は公園で話し合ったんだ・・・・。
唯の指摘した通り互いに抱き合っていた事、その前に寝顔の俺に東城がそっとキスした事、驚く俺に東城はずっと
真中君の事が好きだったがもうこれで諦める決心がついたという事、これからはもっと前を向いて進んでいけると告げた。
そして俺たちは別れたんだ・・・・。
ベンチの前で東城の後ろ姿を見送りながら俺はずっと泣いていた、涙が止まらなかった・・・・。
お互いがもっと早くお互いの気持ちに気づいていればきっと俺たちは・・・・・。
翌日東城からあの小説の続きが送られてきたその日、俺はつかさと別れる決心をしたんだ・・・・。
綾が話を続ける。
「あたしの処女作品が出版された日に書店でそれをまとめ買いしてくれる天地君と偶然出会いそれから二人で喫茶店に
入って天地君はあたしにキスしようとしてあたしはそれを払いのけて外に飛び出した・・・・。天地君はこう言ってた。
偶々なんだ、 僕よりも真中が君に出会ったのが早かっただけなんだ、僕ならば君のその眼鏡姿を見ても君の素顔を見抜いた。
君の才能だって見抜けれた、偶然なんだよ・・・・そう言ってた・・・・。怖かった。でもあたしはそれでも真中君の事が・・・・。
あの日天地君にされそうになった事を思い出しながらあたし真中君に・・・・」
そこまで言って綾は一呼吸置いた。
天地を拒絶した東城は自分から俺にキスを・・・・そして俺は寝ぼけた状態で東城を・・・・。
改めて事の経緯を知ることになった真中に綾が続けた。
「真中君があたしに覆いかぶさった時真中君は西野さんの名前を言ったの・・・・。ああ、あたしと西野さんを勘違いしてだ、と。
そして、ああもう駄目なんだとも思ったわ。どう頑張ってもあたしは西野さんに勝てないんだと。でも同時にこうも思った。
それでもいい、西野さんの替わりでもいい、本命の立場じゃなくてもいいから真中君のそばにいたいと思った・・・・。
受験当日の唯ちゃんの泣きながらかけてきた電話が無ければ多分あの別れの決心がつかなかったと思ってる。
これがいい機会なんだ、もういろいろ理由をつけて二人の仲に入り込んだら駄目なんだ、って・・・・。
あの小説のラストは最初からああするように決めてた・・・・でもずっと変更しようとも考えてた・・・・。
真中君が懸垂で 西野さんに告白した時からずっと、ずっと悩んでた・・・・」
黙って話を聞き入っていた真中がやがて尋ねた。
「・・・・それで、それで大学に入ってからの東城と天地は・・・・一体?・・・・」
今度は真中に背を向ける形で綾が再び話を続ける。
「大学時代の天地君は相変わらず女の子の注目の的だった。何かにつけいつも女の子が近づいてきたんだけど
天地君は笑顔を絶やしながらそれを明確に拒絶していた・・・・そして隣の席であたしにそっとこう呟いた。
"僕はもう君の事しか見ないから・・・でも僕からはもうアプローチはかけない。それで君に迷惑をかけたくないから。
ただ僕はずっと待ち続けることにするよ、いつか君から僕に振り向いてくれる時を”・・・・そう言ったわ。
どうしてなのかは今でも分からない、でもそれからしてあたしの気持ちは天地君に向かっていった・・・。
大学1年の秋くらいからあたしたちは傍目からも恋人同士といっていい間柄になってたわ。他の女の子たちももう
天地君には近づかなくなった。・・・時々彼女たちがすれ違い様あたしの悪口みたいなの言ってたのを憶えてる・・・。
あたしも最初の頃は期待の新人みたいな感じで騒がれて雑誌とかにグラビア風の写真とか撮られたりして弟なんかが
それをわざわざあたしに見せたりして凄く恥ずかしかった・・・・。
でも学生時代は基本的に学業に専念させてもらったし小説も余裕が出来た時しか書かなかったし、それからの取材も
基本的にお断りさせてもらうようにしたので次第に沈静化してくれてそれからは大学生活も過ごしやすくなった。
そして忘れもしない、大学3年の時の大学祭のあの夜あたしは天地君に抱かれた・・・・天地君の部屋で・・・・。
今でもよく憶えている。彼は、"僕が高校3年の時予言した通りになったでしょ?綾さん。僕はこうなることをずっと信じてた” と。
それからは自然に二人の半同棲生活が始まった。天地君は家事なんかも良く手伝ってくれたしあたし自身も料理やら
なにやらと何とかそれなりに世間一般並みの女らしさは身につけていけた。それまでは実家から大学に通っていたから。
そうしてなんだか小説を書ける心境になってきて大学4年の時に出した作品であたしなんかが直林賞を受賞させてもらった。
あれは幻想風に暗かった頃の自分に決別する話を書いたもので彼に見せた時面白い、って褒めてくれて嬉しかった。
そして22歳で大学を卒業してから暫くして泉坂の部活の同窓会でみんなと久しぶりに再会できた。・・・凄く懐かしかった。
北大路さん、外村君、小宮山君、美鈴ちゃん、ちなみちゃん、黒川先生、そして真中君・・・・。そして後で・・・後悔した・・・」
「・・・後悔?」
綾はその問いに直ぐに答えようとせず暫くして意を決したかのように語り始めた。
「・・・・・4年ぶりの真中君の姿を見てずっと封印していた感情が一気に蘇っちゃった、・・・・のかな?
4年ぶりに会った真中君は逞しさとあの頃以上に輝いていた瞳をしていたよ。あたしが知っていた以前の真中君よりもずっと。
憶えてる?一緒に泉坂コンビで世界制服しちゃおうね、っておどけていった言葉?自分では冷静なフリはしていたんだけど
内心はもう激しくあなたに揺さぶられていた・・・あれから家路に着いた時ベッドの上で無意識で自分で自分を慰めてた・・・・。
あなたの事を想いながら・・・・あなたの名を呟き涙を流しながら自分の熱く疼く部分を慰めていたの・・・・」
その時俺は一体どんな顔をしていただろうか?・・・・真中は心の中でそう呟く。
真中に背中を向けながら綾は秘めていた想いの丈を全て吐き出そうとしているかのようだった。
「天地君とは5年間交際したけど結局別れた・・・・。その原因は全てあたしのせい。彼は最後の別れの言葉で
"綾さんにとって僕は結局あいつの代わりだったのかな・・・?いやそれでも良かったんだ・・・。
でも結局代わりにすらなれなかった訳だ・・・・”。
そう言ってあたしの元から去っていったわ・・・・。いつまでも涙が止まらなかった。でもその後姿を黙って見送るしかなかった。
あの時の真中君のように・・・・。あのエッセイにも書いたけどあの時を境にあたしは元の東城綾に戻っちゃったみたい・・・・。
適わない恋と分かっていながらずっと好きな人の事を思い悩み果ては大切な人をも傷つけてしまう馬鹿な女に・・・・。
その人にはもう相思相愛の人がいて自分などが入り込む要素など全くないと分かっているにもかかわらず・・・・」
それが長かった東城綾の告白の全てであった。
そしてくるりと真中に振り返りどこか無理をした作り笑顔を向けた。
「ごめんなさい、こんなつまらないお話聞かせてしまって・・・・。今喋った事は全部デタラメ、もう忘れてください。久しぶりに再会出来た
真中君を困らせちゃう為のあたしの作り話だから・・・・。でも長々こんな馬鹿な事喋って、嫌われるような事喋って何やってんだろう・・・・。
本当にごめんなさい・・・・。それじゃあまた次の打ち合わせでお会いしましょう。真中君の映画のためにも頑張っていいお話書くね・・・・。
それじゃあ、さようなら。・・・・お休みなさい」
一方的に綾は別れの言葉を告げてそのまま足早に真中の元から立ち去っていった・・・・。
・・・東城・・・今、確かに泣いていた・・・作り笑顔で誤魔化しながらでも確かに泣いていた・・・・。
真中は彼女を追いかける事も声を返す事も出来ずしばし呆然とその場で立ち尽くしていた・・・・。
PART.2
「やっぱ東城先輩ってば凄い!作家だけでなく脚本家としてもやっていけますよ!」
東城が新たに仕上げてきたシナリオの原稿を片手に美鈴が歓喜の声を上げる。
確かにこの東城の担当してくれたパートのおかげで主人公とヒロインの描写が寄り一層引き立つ物になった。
会社側としてはいっその事全部分を彼女に任せてはどうか、という意見も出された。
そもそも売れっ子作家さんにわざわざ参加してもらうのだから本来全部手掛けてもらわないと失礼にあたるだろう、と。
しかし当の東城自身はそんな事全く気にも留めない風であった。
なるほど、そういうところが彼女の持って生まれた人の良さというところだろう。
そして俺自身はというとあれ以来混乱している・・・・。
真中はこれから先の事に一抹以上の不安を抱えてしまっていた・・・・。
あの日真中は綾と別れてからすぐに家には戻らず当てもなく深夜の街路樹をトボトボと歩きながら思案に暮れていた。
自分と東城の今までの関係、自分と妻つかさの関係、東城と天地の関係、そしてこれからの自分と東城の関係・・・・。
考えても混乱するばかりだ、余計な事はもう考えるな!
そう言い聞かせながら家路に着いた真中は夫の帰りを待ち疲れてもう横になっていた妻のベッドの中に潜り込んだ。
そして眠りについた真中はその夜に夢を見た。
それは自分が東城綾と激しく愛し合う夢だった・・・・・・何度も何度も激しく求め合う夢を見たのだった・・・・・・ 。
「なんだかすごくうなされてるって感じだったけど、嫌な夢でも見てたの?」
朝起きて妻つかさからのいきなりの質問であった。
ぎくり!と驚きながらも真中は、ああちょっと疲れてるのかもな、ととっさに嘘で誤魔化した。
つかさもそれ以上は追及するわけでもなく黙って朝食の支度を始めていた。
真中はつかさに対して何ともいえぬ罪悪感を抱かずにはいられなかった。
なりゆきとはいえよりによって東城綾との映画制作、あのエッセイ本に昨晩の衝撃的な告白、そしてあの夢・・・・。
つかさは内心ではどう思ってるんだろう?俺と東城が共に仕事に携わることを?・・・・。
会社側からの企画で今度の仕事が綾とのコラボレーションになるとつかさに報告した時随分驚いた顔をしていた。
それはそうだ、でも昔の気心の知れた仲間だし俺なによりもつかさの為に頑張るからさ!応援してくれよな?
真中は自然と力を込めながらそう力説した。
「うん、・・・分かった。何も言わない。あたし信じてるよ。淳平の事、映画が成功する事。それとあたしも東城さんとまた会いたいな」
ああ、ありがとう。頑張るよ。そしてまた3人で会って朝までいっぱい語り合おう。
つかさが真中の為に、そして真中がつかさの為にお互いがそう答えたのであった。
実際の撮影が遂にクランクアップした。
過去のアマチュア時代のフィルムと4年間の世界放浪時代と角倉の下でのメジャー作品の助手・助監督の経験から
今回一気に監督への昇進であった。
ヒットさせるとかそんなことは二の次でいい、今は与えられた予算と期間で確実に作品を仕上げるんだ!
大丈夫、俺は必ず出来る。必ず成功させる。
自分を奮い立たせるように真中はそう固く決意をする。
撮影スタートである。
映画のストーリーはある二組の男女の出会いから別れまでを描いた女性向けロマンス作品だった。
東城綾によって彩られた男女の愛と葛藤の姿と哀しい人間同志の観念の性を真中同様新進気鋭の役者が
それを見事に演じ監督・真中も良くそれを演出していった。
「なんだかんだでうちのアニキ、女見る目だけは一級品だわ。特にあの娘すごくいい演技してるじゃないですか!」
製作スタッフの一人・外村美鈴も感心しきりだ。
「ああ全くだ。ところで俺も演出だって悪くないだろ?」
こんな軽口を叩くほど真中にも精神的余裕があった。
決して最後まで気が抜けない緊張した現場が続くだろうが望むところだ、むしろ心地のいい空気だ。
これならばやれる、そしていい映画になるはず。
既に真中は成功を確信してるかのようだった。
「でもあの主演の女性役、東城先輩が演じたらもっと凄いだろうな、って思えちゃうんですよ。何でかな?きっと
先輩が脚本書いてあるからだと思うんだけどまるで自分の事を描いているみたいで・・・」
美鈴からのその問いに真中は何も答えられなかった。
映画のクランクインから約5ヶ月後真中の処女監督作品の記者会見及び記念パーティーが開かれた。
記者会見では真中や主演の男優女優以上に脚本家・東城綾への質問が集中する事になった。
やはり宣伝効果は充分な訳か、真中は内心苦笑するもののこの映画の一番の功労者はやはり東城だな、と
認識せずにはいられなかった。
綾は記者からの質問攻めに簡潔にかつ律儀に丁寧に答えていたがある記者からの質問で一瞬場の空気が
変わりそうになった。
曰く、あなたと真中監督は高校時代からの部活を通じてのお知り合いですが先日あなたが発表されたエッセイの
中で出てくる初恋の想い人というのが真中さんだという噂がありますがどうなんでしょうか?
すぐさま会社側が関係のない質問はお控えくださいと割って入りああだこうだで質問時間を終えてのお開きとなった。
その質問時の際一瞬だが彼女の顔色が変わったことを会見に立ち会った外村美鈴は見逃さなかった。
・・・・そういえばあたしの提案で高校3年の時のラブサン前夜での先輩二人だけの新作フィルムの上映後、東城先輩は
泣きながらあたしの胸に飛び込んできてずっと泣きじゃくった。美鈴ちゃん、あたし、あたしって・・・。そしてラブサン当日に
あたし真中先輩に東城先輩は真中先輩の事好きなんですよ!って言ったんだったっけ・・・。でも東城先輩、真中先輩には
もう既に西野さんがいるんですよ・・・・。
そう美鈴は独白するのだった・・・・。
打ち上げパーティーの席上真中は様々な人々からの挨拶を受けながら今回の作品の完成に他の誰よりも安堵していた。
「どうもお疲れ様でした、監督」
少しほろ酔い気分で一人ロビーに抜け出していた真中の元に水の入ったコップを持った綾が訪れた。
有難う、と礼を言いながら水を頂き更に今回の映画の為に東城がどれだけ貢献してくれたことか、と頭を下げた。
綾はなんだかそわそわし落ち着かない素振りだったがやがて小声でだがはっきりとこう懇願した。
「ねえ、真中君・・・今回の事であたしから真中君へ完成のお祝いをしたいの。・・・だから、その今夜、つきあってくれませんか?」
綾からの突然の申し出に真中は即答できなかった。
ただただマジマジと綾の顔を見つめる他なかった・・・・。
ホテルから抜け出した真中と綾の二人は綾の知り合いの実家が経営しているという小さいな小料理屋にいた。
60前後の気の良さそうな夫婦が二人で切り盛りしているのだという。
夫婦には真中たちと同じ年頃の娘がいて彼女は綾とは同じ大学のセミナーで一番仲の良かった女友達だったという。
現在は大手出版社に勤務している関係上からか公的な面でも今も綾とは繋がりがあるのだという。
「ここのお店なら静かで誰にも見られなく過ごせると思う。今日はちょっと無理を言って貸切に近い状態にしてもらったの。
だから真中君が来てくれて本当に良かった」
少し申し訳なさそうにしながらも照れながら実に嬉しそうな笑みを綾は浮かべた。
今夜つきあってくれませんか?
そう問われたときの事を真中はうまく思い出せなかった。
しばらく呆然としたのかもしれない、そのまま東城の目を見つめ続けていたと思う・・・。
彼女の瞳はとても綺麗に透き通っていて、そして何かはっきりとした確かな意思の様な物が伝わってきて・・・。
うまく言えないが、抗えない何かを感じたんた・・・。
そうだ、俺から話そう。
映画の事、今回の撮影の事、東城の力がどれだけ大きかったかという事、そして今までの俺の事、つかさとの事・・・。
座敷のテーブルの上には丁度いいくらいの量の軽いあっさりした料理が少し並び一緒にビール瓶とコップが置かれてあり
綾は黙って真中の為にコップにビールを注ぎ込んでいた。
真中は考えていた事柄を一つ一つ語りだした。
前の時の二人だけの夜道の時とは対照的に真中は良く喋り綾はそれを黙って拝聴しながら時々相槌や返事をしたりつつ
その度真中へ酒を注いだりした。
真中も今までの人生の中でも最高の晴れ舞台の日といっていい今日、普段にも増してよく喋りよく飲んだ。
そして今自分の眼前では東城綾が共に自分の前途を祝ってくれている・・・・・・東城綾?
本来この事で一番自分を祝福してくれるべき人は東城綾よりも妻である真中つかさではないだろうか?
よりによって俺は妻の知らないところでこうやって東城綾とまるで密会のような形で彼女と二人だけの時間を共有している・・・。
突然現実に突き戻された気分になった。
えーと、どこまで喋ったんだ?そうだ、俺とつかさが再び再会したところまでだ。
あの日俺は彼女に再び付き合ってくれますか?と問い彼女はまたあたしをワクワクさせてくれる?と答えたんだ・・・。
そうだ、忘れない、忘れるはずがない、あの日の事・・・。
真中が再び口を開きかけた途端綾がそれを遮った。
「これ・・・・・。」
彼女は綺麗に包装された商品の様な品をそっと真中に差し出した。
「これ・・・・一体?」
いぶかしげる真中。
「長い時間かけて選んだの・・・。これが一番真中君に似合うんじゃないのかな、と思って選んだんだ・・・。
凄く迷惑かな?って考えたりもしたけどどうしても何かを・・・・」
力のない呟くような声でそう言って綾は口を閉じてうつむいた。
東城が俺にこれを・・・これは一体なんだ?・・・第一これは受け取っていいようなものなのか?・・・。
心の中で自問自答しながらも意を決したかのように真中は恐る恐るその品を手に取り包装紙を破り始めた。
包装紙からは大手高級百貨店で買われた品だと分かった。
綾からプレゼントされたその品の正体はネクタイと付属ネクタイピンだった。
それがどんな銘柄かどのくらいの値段の物かは真中には分からないがただそれが素人目にもかなりの高級品だと
判断できる一品だった。
淡いブルーの色に金銀散りばめた模様デザインが品良く合わせられた地味ながらも静かに個性を感じさせる物だった。
「東城、これを俺に?・・・」
「・・・初めての記念すべき会社資本での映画作品を取り上げた泉坂時代の同志・真中淳平監督へのあたし東城綾からの
ささやかなお祝い、ってなんか偉そうだね。いろいろ考えたんだけどネクタイが一番いいんじゃないかなって思って・・・。
以前真中君が会社で着ていたあのスーツにこれが一番似合うかなって考えたんだ」
真中はそれを手に取りながら言葉を出せずにいた。
これを受け取っていいのか?・・・これが東城からのただの祝いとしてのプレゼントなら別に問題はないか・・・。
いや、しかしネクタイだぞ。それに俺にはもう妻がいて・・・・でも東城は俺の為にこれを選んでくれて・・・・・。
暫く思案の底で埋没していた真中だが静かに、だがはっきりと答えた。
「・・・・有難う、東城。折角の品だしこれ有難く頂きます」
「・・・・・嬉しい・・・・・良かった・・・・・受け取ってもらえないと思っていたから・・・・・」
少し涙ぐんだような声で綾は安堵したかのようだった。
「お二人さん。お話が随分盛り上がってるようで結構なんですがもうそろそろ店じまいの時間でして、ご免なさいね」
奥から店のご主人の掛け声がきた。
時計を見るともう深夜1時を指していた。
ここで随分話したんだなあ、あ、でもつかさの事喋れずじまいか・・・。
真中は少し残念そうに思う。
二人は両夫婦に丁寧に礼を言いながら店を後にした。
「綾ちゃんに彼氏さん。いつでもまた来て頂戴ね」
勘違いした奥さんの別れの挨拶に綾は笑顔で答えながらもその誤った箇所は何故か指摘しようとはしなかった。
真中は何かいうべきかと思いつつも結局彼もまた何も言わなかった。
「今日は本当にいろいろ有難う。一席設けてくれてこんなプレゼントまで頂いて・・・それに奢りだったなんて」
「全然気にしないで。あたしも今日は真中君に付き合ってもらえていろんなお話聞かせてもらえて楽しかった。
こんなに気持ちがうきうきと弾んだのって凄く久しぶりだな・・・・」
夜道を並んで歩く二人の姿は紛れもない恋人同士のようであった。
「ああ、そうだ。つかさも事とか喋りたかったんだけどね・・・今度機会があればあいつとも会ってやって欲しいんだ。
つかさも東城の結構熱心な読者なんだぜ。懐かしがって会いたがってたよ」
真中にとって別に深い意味はない発言だったが綾はつかさの名を聞いた途端足を止め表情を曇らせた。
「・・・・う、うん。そうだね。機会があればね・・・・」
「え?どうしたの東城?ああ、そうだあいつさあ、この前なんかね」
歩きながら真中が何か思い出してそれを語ろうとした途端思いもかけない事が起こった。
真中の後姿に綾が抱きついてきたのだ。
一瞬真中は何が起こったのか理解できなかった。
ただ彼の顔の頬には綾の滑らかな黒髪が触れ背中には彼女の豊かな胸の感触が伝わってきた。
「お願い・・・・・西野さん、いえ奥さんの事は今は言わないでください・・・・・」
それは懇願するような声だった。
真中の体に電流が流れるような衝動が走りそして二人は暫くその姿勢のままでいた・・・。
・・・どのくらいの時間が経過しただろう、やがて綾が真中から離れて答えた。
「ごめんなさい、バカな真似しちゃって。真中君の前では舞い上がっちゃってかっこ悪いとこばっかり・・・。
それじゃあもう帰ります・・・・。真中君また一緒にお仕事出来たらいいね。今夜は本当にどうも有難う。
・・・それじゃあ、さようなら」
そういいながら去り行く綾の後姿に真中は自分でも分からないような感情に襲われそしてとっさに叫んだ。
「東城!」
静かに真中に振り向く綾。
真中はそのまま続ける。
「今度、また今度、会おう。俺、東城ともっと語り合いたいし、それに本当にまた君と一緒に仕事がしたい。
俺の力になってほしい。また連絡するから、東城」
「・・・・はい、あたしで良ければ喜んで」
そう答えながら綾はバッグから一枚の名刺を渡した。
そこには携帯の電話番号が記されていた。
「あたしの携帯番号。いつでもいいから真中君の都合のいい時に連絡して・・・・。それじゃあ今夜はこれで・・・」
帰りのタクシーの中で真中は深い混沌の渦の中を漂ってる気分だった。
何か、何か取り返しのつかないことが起ころうとしているのかもしれない。
何かが音を立てて崩れていこうとしていくみたいだった。
手には綾から貰った高級ネクタイの箱が握られていた。
つかさ・・・・・・・・・・東城・・・・・・・・・・・そう呟いたかもしれない。
PART.3
公開初日の3日後、真中は妻のつかさを伴いお忍びの形で自身の初監督作品を映画館で鑑賞した。
「まあまあお客入ってるね。良かった良かった。」
平日の火曜日ではあったがまだ公開したばかりだったしまた話題作という事もあり観客の入りは悪くはなかった。
運がいいのか、この同時期に所謂超話題大作級のハリウッド映画と並行していないというのも要因の一つかも知れない、
そんな風に真中は状況を冷静に分析してみたりもしたが内心はやはり客のまずまずの入りに安堵していた。
上映時間は1時間50分ちょっとと長くもなく短くもないという平均的な長さである。
つかさとは早く一緒に劇場で鑑賞したかったのだが一番の当事者の立場でもあり土日もはさんでなかなかそうもいかず、
この日ようやっとある程度時間の余裕が取れた為晴れて待望の妻へのお披露目となった。
初めての作品だが本当に悪くはない出来だ。つかさもきっと気に入ってくれる、俺も鼻が高い気分だ。
暗闇が広がる先の銀幕のスクリーンでは主演の男女二人が互いの愛を確認しあうシーンが展開されていた。
だが結局最後は互いの価値観の相違と疑心、不信感が芽生えやがて二人は傷ついていく・・・。
それは愛を求め信じあおうとしながらも、もがき苦しんでいく男女の哀しい愛の物語だった。
「ホント凄く良かった。もうあたし感動しちゃって泣いちゃったよ・・・」
劇場を後に二人は今晩宿泊する高級ホテルのレストランで夕食に洒落込んでいた。
その帰りにつかさは書店で映画雑誌数冊を購入しあまり行儀が良いとはいえないがメニューが運ばれてくる合間合間で
真中の作品の特集やその批評などを読みふけっていた。
キャスト、スタッフらのインタビューなども掲載されており当然ながら監督・真中も取り上げられていてそれを見るにつけ
つかさは子供のように嬉しそうにはしゃいだりする。
「あ、東城さんのインタビューも載ってるね。まあ脚本で参加してるし当然か・・・・なんだか監督の淳平よりも東城さんの方が
扱いが大きいじゃん。なんか悔しいね」
「そりゃ仕方がないよ。俺は監督といっても過去に小さな賞取った事があるだけのまだ無名といっていい存在。だけど東城は
既に売れっ子の人気作家だしね。今回この映画がそれなりに話題になってるのも東城が脚本で参加してくれたからなんだ。
それだけじゃない、実際とてもいい話に仕上げてくれた。最初の脚本家のシナリオだけじゃここまで迫力が出なかったはずだよ。
やっぱ東城の力は改めて凄いと感じたよ。ま、俺の手腕と主演の役者もいい仕事したけどな。」
真中は自画自賛しながらも同時に役者、特に外村プロ所属の主演女優の演技力には感心させられたものだ。
話題の脚本と主演俳優に随分助けられたんだよな、決して俺だけの力量ではない、驕らないようにしなきゃ、と自身を戒める。
「でもあの映画決して爽やかなお話じゃなかったね。正直何回も見たいと思える題材じゃないんだよな・・・。
淳平を前にこんな事言うのも失礼千万だけど」
それがつかさの正直な感想だった。
真中もそう言われて苦笑せざるを得なかった。
「東城さんの小説は読んでるから分かるんだけど実に東城さんらしい題材で描いたって感じなんだよね。
ホラ東城さんって恋愛小説でも上辺の爽やかさなんかよりも人間の暗さや情念みたいなのがスタイルっぽいよね?
なんか曖昧な判断は許さずはっきりした二者択一を選ぶ、みたいな。文面がくどくない分読みやすいんだけどそれが
余計印象に残るんだよね。今回の映画ではそれに淳平が撮った映像が混ざり合った訳で余計に臨場感があったし」
そうなんだ、それが東城綾の持ち味なんだ。
描きたいテーマは常にはっきりさせてあってそれが決してくどくならずに品性を保ちながらも男女の痛い性やエゴなどを
実に豊かに描写するのだ。
見事な職人的技術と言っていい。
若くして直林賞受賞した経歴は伊達ではなく方向としてむしろ純文学的なスタイルに近いのかもしれない、真中はそう思う。
「しかし東城さん、綺麗だよね。淳平も惚れ直したんじゃないの?」
つかさの思いもよらない一言にズキッ!と激しく動揺する真中。
つかさの眺める映画雑誌の東城綾のインタビュー記事に掲載されているその顔写真はなるほど誠に美しかった。
・・・・惚れ直した?・・・・確かにあの時東城と再会した俺は相当心奪われた・・・・。
泉坂の同窓会で再会した時もかなり大人びた美しさを漂わせていたが今度の時はその比ではなかった。
どこかあの頃のまっすぐでひたむきだった美しい少女の面影をまだ残しながらも同時に艶やかで魅惑の大人の女であり
そして妖艶なメスの匂いを感じさせ一瞬頭が真っ白になった気がする・・・そんな俺に彼女は微笑をくれたんだ・・・。
真中はあの日綾と二人の席を設け綾から自分への贈り物を貰った事を結局つかさに報告する事が出来なかった。
変に隠したりせず堂々としていた方が罪の意識を抱かずに済んだのだ。
なのに自分はそうせずにつかさには知られたくない秘密を作ってしまったのだ・・・・。
あの日東城は、今は奥さんの事は話さないでください、と言って俺に・・・・。
それを不意に思い出し真中は何とも形容しがたい体の火照りを感じていた。
何だこの感情は?この熱さは何だ?・・・・苦しい。
「ちょっと、淳平大丈夫?顔色が変だよ?」
つかさからの指摘で真中ははっと我に戻ったのだった。
夕食の終え二人は宿泊するホテルの最上階のバーラウンジに場所を移した。
ここから見える夜の東京の夜景は実に素晴らしいものだった。
昔最高に美しかった夜景を写したアメリカの映画を見たけどあれ何てタイトルだったかな?
真中はそう思案しながらつかさとカクテルを乾杯した。
つかさはケーキの趣味が影響してるからだろうか酒はカクテルのような甘い物しか口にしなかった。
それもせいぜい嗜む程度なのだが今夜はペースを持ちながらも4,5杯と次々に口に運んでいた。
「なんか今日は結構飲むな?あまり飲んだら悪酔いするぞ。カクテルは後から酔いが回るっていうから」
「うん、・・・・でもなんかお酒が飲みたい気分になっちゃって・・・。淳平の初監督映画見れてこうやって久しぶりに
外で一緒の時間過ごせたからかな?なんだか嬉しくなっちゃって」
単純なものだ、真中は微笑ましくそう思う。
こういう時のつかさは本当に可愛い、時々怒ったりする事もあるけど今の俺はつかさをワクワクさせれているのかな?
さっきまで綾の事で悶々とした感情を抱いていた事も忘れて実に都合のいい解釈をする真中だった。
「ねえ淳平、本当の事言うとさ・・・・あの映画見てねあたし凄く感動したんだ・・・・それは間違いないよ。でもね、
同時にね凄く嫉妬しちゃったの・・・・淳平と東城さんの事」
え?つかさの突然の告白に驚く真中。
「高校一年の時のあの作品見たときもちょっとそう思ったんだ・・・あの時はあたしも泉坂にいたら淳平の傍で一緒に
映画を作れたのに、ってね・・・。でも今度のはちょっと違うんだ。淳平の作り出す映像に東城さんのストーリーが
思いっきり命を吹き込んでる・・・はっきりとそう感じたの。 それであたし凄く嫉妬しちゃった・・・。淳平が東城さんより
あたしを選んでくれたにも関わらず二人はこうして固く揺ぎ無い夢の絆で結ばれてるみたいで・・・」
つかさの思いがけない告白で真中は再び息苦しい感情が胸の奥から込み上げて来そうになる。
「ごめん、変な事言って・・・・慣れないのにちょっと飲んじゃったから・・・・そろそろ部屋に戻ろう」
真中がつかさの肩を抱くような形で二人はバーを後にホテルの寝室に戻ったが部屋に入った途端つかさは真中の胸に
飛び込んできた。
「淳平!」
つかさは真中に懇願する。
「して、・・・・・お願い・・・・・、して」
真中はもう何も言わずにつかさを抱きかかえそして二人はベッドの上で織り合うように
重なり合った・・・・・・。
夜のネオンの灯火は二人を照らすかの如くまだ明々と消えないでいた・・・・・。
その夜真中とつかさはお互いの体の温もりとその存在を確かめ合うかのように熱いうねりの中に身を委ねていた。
細く白く輝くつかさのしなやかな体は真中が愛して愛してやまない美の宝石であった。
もっと胸が大きかったらいいんだけど・・・・淳平もその方がいいんじゃないの?
高校の時から今に到るまでこれがつかさの悩ましいコンプレックスになっているようだ。
真中は困ったように苦笑しながらも、そんなことないって。好きだよ、つかさの体・・・、と愛おしい彼女の唇にキスをする。
そして右手をつかさの胸に滑らせながらゆっくりそれを愛撫していく。
う、ううん、つかさの口から吐息が漏れる。
ボタンを全て外された上服の下から覗き出たブラジャーのホックを器用に外しつかさの柔らかで丸い胸が顔を覗かす。
つかさ・・・・綺麗だよ。
そう呟きながら真中はつかさの胸の先端のピンクの蕾をした乳首を口に含む。
ああ、ああん、んああ・・・・顔を赤らめて声を喘ぐつかさ。
真中はCカップクラス弱のつかさの両胸を丹念に弄りながら交互に乳首を吸う。
その度につかさはぶるる!と体をのけぞりながらも両手で真中の背中に腕を回す。
「もう・・・・淳平、胸は変に感じちゃうんだから、あんまり弄ったら駄目だよ・・・・」
つかさが一番感じる部分をいつも意地悪く責め立ててしまう真中であった。
やがて真中の手は胸からぐっと下の部分へと這わせながらつかさのパンツに手をかけそれをゆっくりと脱がした。
つかさの陰部はチラチラと可愛らしい金色の陰毛で申し訳なさ気に覆われながらその部分は艶やかにしっかり濡れていた。
真中は陰毛を指で絡めながら秘部を周りのヒダに指をかけ濡れ具合を確かめてみる。
「や、やああん!・・・・ああ・・・だ、駄目だよ、・・・・・そんなにいじったらもう・・・・・恥ずかしいよ・・・・」
つかさはもう恥ずかしさで頭がいっぱいになっている。
「それじゃあ、つかさ、いくよ・・・」
充分蜜で濡らしたつかさのナカに真中がゆっくりと自分のモノをインサートした。
「う、うう、・・・・・じゅ、淳平・・・・・・き、来てぇ・・・・・」
つかさの膣に入った感触をしっかり下半身で実感しながら真中はゆっくりテンポを刻むように腰を動かしていく。
その度につかさは涙を浮かべながら陰部の中の真中によって突き上げてられてくる責めに体を震わせる。
昔の肉体労働と世界放浪と映画の現場で鍛えられた真中の全身からはいくつもの汗の結晶が浮かび上がってくる。
それがつかさの白く透き通った体に触れ合って彼女の体を余計に眩しく光らせていく。
・・・そして約15分ほどの交わりの中でもう真中は精のほとばしりを迎えようとしていた。
もっと長く頑張ってやりたいんだが・・・・もう限界だ・・・・。
真中は飛びそうになる意識の片隅の中でそう呟く。
つかさの蒼い瞳を見据えながら真中はじっくりと絶頂に達していく・・・・。
だがつかさの膣で射精を迎えようとした瞬間、真中はある声を聞くのだった。
「・・・まなか・・・・くん」
その声の主は紛れもないあの東城綾の声だった。
絶頂の中でイキながら彼は意識の彼方で東城綾のその懇願するかのような声を確かに聞いた・・・。
そして射精されて真中の下でぐったりとするつかさの顔に東城綾の顔が蜃気楼の如く被さられて見える。
「欲しい・・・・来て・・・・真中君・・・・」
綾の黒く澄んだ瞳が静かにそう語りかけてくる。
真中は突然我を忘れたかの様につかさの両胸を思いっきり鷲掴みにする。
「ちょっ!、ちょっと、淳平、や、やめて」
だがその声は真中には伝わらない。
真中はつかさの胸を揉みくだしながら萎えた一物を再び滾らせていく。
そしてつかさを前屈みにさせバックの形から思いっきり性でたぎる一物を再び彼女の秘部に注入した。
つかさは思わず声を叫びそうになるくらいの激しい責めだった。
そして真中はもう半分我を忘れているかの様だった。
今彼の脳裏を支配しているのは東城綾の幻影であった。
東城、東城、東城、東城、東城、東城・・・・・・・・・・・・・・。
彼の中で東城綾は力ずくで獣のように荒々しく犯されていた・・・・・。
その綾の両頬には眼から一筋の涙が伝わっていた・・・・・。
「まなか・・・・くん」
真中は再びその声を遠くから聞いたのだった・・・・・。
「・・・・淳平、本当にどうしちゃったの?あんな人が変わっちゃったみたいになって・・・・」
あの激しい性の営みの後、つかさはシャワーを浴びて全身の汗と匂いを洗いバスローブで体を包めながら
夫に問いただす。
「ごめん、・・・・何かかっこ悪いことしちゃって・・・・。その、つかさをもっといっぱい欲しくなってさ・・・・」
恥じるように真中は答える。
「まあ、別にいいんだけど・・・・でも出来ればもっと優しくして欲しいよ。あんな風にしなくてもあたしは体はいつでも
淳平の物なんだから・・・・」
つかさもやや照れくさそうであった。
「もう遅い時間になっちゃったね。そろそろ寝ようか?」
二人は一つのベッドの中にお互い裸で抱き合うように入ってそのまま眠りについた。
真中はまだ混乱していた。
何であの時俺は東城の声と幻を感じたんだ・・・・。
そして俺はあんなに獣のように激しく東城を・・・・つかさを東城に見立てて・・・・。
東城、君は今どうしている?もう寝てるんだろうか?俺は、俺はこんなに君の事で苦しいんだ・・・・。
その手は妻のつかさの肩を抱きながらも彼の意識はここにはいない女性の影を想い続けていた・・・・。
やがて深い眠りの淵に誘われて彼の意識は遠い彼方へと消えていった・・・・。
長かった夜ももうすぐ明けようとしている・・・・。
PART.4
「DVDの売り上げがなかなかいい感じだ。大手ストアや通販サイトでも軒並み上位を占めている。大ヒットとまでは
いかなくてもソフト面でも充分な成績は残せるだろう。とりあえず君の初監督作品は成功したといえるだろうね」
尊敬する先輩映画監督・角倉から真中はそうお褒めの言葉を頂いた。
映画の実質的な上映期間は約2ヶ月間ほどで興行成績としては悪くないものであった。
評論家サイドからも、演出面等でまだ粗さがあると指摘されはしたがそれでもメジャー資本での初監督作品としては
まあ充分な合格点であろう、と一定の評価は与えられた。
主演の役者らも好印象で特に主演の女の子は映画の中で見せたそのフレッシュで瑞々しい感性と高い演技力に加え
抜群のアイドル的容姿から既にいくつかの私的ファンサイトまで立ち上げられているのだという。
ただ何よりの話題になったのがシナリオ担当の東城綾一人に絞られた熱くホットな論争がネットを中心に渦巻いてるのだという。
やれ、もっとすっきりした話にして欲しかった、好きなのに離れ離れにされて可哀相、でも考えさせられた、感動した、或いは
東城綾の書く話だからもちサイコー!とか、綾たんマンセー、綾のストーリー以外観るべき所がない等々・・・。
映画ファンや東城ファンの読者から中立の一般人からの視点など随分真面目なものから無責任かつ面白おかしな意見が
満席してるらしいのだが、ただ彼女のその無駄のない構成力と甘さを排した人間描写はやはり認めざるを得ない、という
評価が一般的らしい。
やっぱ東城は凄いや・・・。
監督の自分がさほど話題になっていない事など気にもせず単純に真中は感心しきりだ。
東城のシナリオは読んだ途端もうその世界に引き込まれた。
彼女が自分の小説風にシナリオを書けばこうなるのだろう、という云わば小説で確立させているその素材によるスタイル
そのままのものであった。
いい意味で自分だけのオリジナリティーを脚本の中でも充分に発揮していたのだ。
月並みに言えば持って生まれた才能なんだろう・・・・全く羨ましい限りだ。
彼女のおかげで彼自身の才能もまた刺激されたにも関わらずどこかその才能に微かだが嫉妬を覚えてしまう真中であった。
「真中君も良く頑張ったよ。この仕事に君を推薦した僕も鼻が高いって訳だ」
角倉は愛弟子のような存在の真中をそう褒めながらもちゃっかり自分にフォローを入れたりもする。
だが実際そうなんだ、俺は角倉さんがいなきゃあこんなチャンスには巡り合えなかっただろう、絶対に・・・。
真中は今までの経緯を静かに回想した。
世界放浪から帰国しある国での映画祭の映像部門で小さな賞を受賞できたのを皮切りに真中は角倉の元を訪ね
そのまま彼の門をくぐる事になった。
彼の監督作品での現場の演出助手として初めて大掛かりなセットや撮影現場というのを目の辺りにした。
撮影現場は実に過酷で助手というのはとどのつまりいい様な使い走りみたいなものだった。
重労働な上に低賃金でとてもじゃないが映画への情熱が無ければ勤まらないものであろう。
しかし真中は全く弱音など吐かず黙々とだがしっかりと仕事をこなしていった。
やがて普通の助手から助監督的立場へと引き上げられたが立場はさほど変わらないものだった。
やはり助監督と監督では雲泥の差があるものだ・・・・なかなかシビアな現実に真中は自嘲する。
しかし転機が訪れた。
ある音楽アーティストのミュージックビデオクリップを手掛けてみてくれないか、という話が舞い込んで来たのだ。
実は元々角倉に要請があった話なのだが角倉が多忙な為、という理由でそれを断り代わりの代理で真中に
話が回って来たというのが事の真相だった。
角倉としてはここらで真中を試させてやりたい、という師匠としての気遣いがあったのだろう。
それに応えるべく真中は二つ返事で了承しその仕事を引き受けた。
はっきりいえば自分の撮りたい映画作品でなくましては自分が好きとは言えない様なタイプのジャンルであったが
贅沢など言える立場では無かった。
少しでもチャンスを次に生かしていかないと!
そう決心する。
こうして真中は約2年間半ほど様々なプロモーションビデオ(PV)の制作に携わった。
かつて幼馴染の南戸唯をモデルに短編風映像スケッチなる作品を作ったことがあった。
それは角倉に酷評されて(内心は悪い物でなかったのだがあえてけなしたのだ)真中は忸怩たる思いを味わされそれが
再び東城綾との特別な絆を彼の中で構築させた(何よりそれは東城綾も同じ想いであったのだが)。
PV制作は南戸唯と共に作り上げた短編作品を思い出しながらも、だが決して独りよがりにならない様に苦心した。
それはまさに試行錯誤の連続であった。
まず彼らの音楽を徹底して聴き込み理解しその音楽観やスタイル、映像観までも的確に把握していく。
正直自分の感性にはマッチしないような音楽作品を聴かされそれだけでウンザリしそうにもなった。
現場では現場の苦労もあった。
彼らの主張やエゴのような言い分も聞かされたし、お前らなんか下請けだよ、という態度を取られる事もあった。
自分でもこんなの音楽を引き立てる為のおまけみたいなもんさ、と卑下しそうにもなった。
それでも真中は一生懸命その仕事に励んでいった。
これも未来の為だ、いつか来るべき映画作品の為の捲土重来を迎える為の貴重な経験なんだ・・・・。
常にそのような気持ちを闘争心と共に失わずにいられたのだ。
彼はしっかりと未来を見据えていた。
いつの日か東城綾のあの作品を作るその日の為に・・・・。
約2年間半のPV制作の監督として彼は音楽界でそれなりの立場を築いていた。
彼の作品はスタイリッシュさとファンタスティックさが持ち味であった。
PVとはいわば音楽(歌声と演奏)と新たに作られた映像(彼らの演奏姿か或いはドラマ風演技)の融合物なのだ。
つまりセリフや解説などはない為に作り方次第では意味不明で観る者には訳のわからない代物にもなりうる。
それが角倉に以前酷評された時の一番の要因だった事を彼は良くわきまえていたのだ。
彼はその点を一番考慮して単純かつカッコいいストーリーと眼を瞠る映像を考えて撮影していった。
やがて彼の作品はミュージシャンたちや音楽市場で徐々に話題を集めるようになっていき
彼に作品を依頼するミュージシャンは業界の大物ロック歌手等を含めて沢山の数に増えていった。
真中はここ2年足らずの期間で新進気鋭の映像家としての地位を手にしつつあった。
やがて真中はこの間で人生で一番の大きな転機を迎える事になった。
それは西野つかさとの結婚であった・・・・・。
ある祝日の午後、真中夫妻のマンションに妻・つかさの桜海学園時代の旧友3名が訪れた。
つかさにとってトモコ、アキ、ヒロミの3人は高校時代からの腐れ縁であり最も心許せれる女友達であった。
今日は真中夫妻の折角の御呼ばれを受け彼女たちはそれぞれ忙しい最中ながら快く時間を設けてくれたのだ。
何よりも卒業以来の久々の仲良し組の集まりなのだ、彼女たちは再会するや歓声を上げながら互いに抱き合ったりした。
つかさの手による手作り料理と特製オリジナルケーキに皆舌鼓を堪能した。
「真中さん、こんな可愛くて料理もケーキの腕も抜群の我らが桜海同期の華・つかさちゃんをお嫁にしちゃって
ホント羨ましい限りだねー」
既にアルコールで心地よく酔って口が滑らかになっていたつかさの一番の旧友のトモコが茶々をいれてくる。
他の二人に比べトモコはフランクな性質なのか堅苦しくならず自然体で真中にも接してくれた。
真中としてもその方が喋りやすくて打ち解けるのも一番早かった。
真中とトモコたちとは高校2年の時の関西方面の修学旅行時に一度面識があった。
寝静まったその日の深夜に真中がつかさと外で秘密裏に落ち合い午後からの自由行動時にトモコらや学年が違うのに
何故か修学旅行に参加していた端本ちなみの協力もあってか真中とつかさは二人だけの自由時間を満喫できたのだ。
用心の為に着替えたつかさの泉坂の制服姿がとても可愛かったのを今でも良く憶えている真中なのであった。
その時はまさかつかさの彼氏が(正確には当時の二人はまだ別れてから完全に恋人の仲に戻った訳ではなかったが)
このあまり冴えない感じの真中淳平だとはトモコたちは誰も思わなく真中が皆の前に表れた時も所謂代理の人間だと
勘違いしていたくらいだ。
後にその彼氏があの時の彼だった、と知った時はトモコたちは大袈裟に驚いたものだった。
しかし今の真中淳平の体格風貌は当時に比べても非常と逞しいものであの頃の少々ひょろっとし頼りなさそうな印象とは
随分と印象が違っていた。
曲がりなりにも4年間の世界放浪の旅は内面外面共に彼を著しく成長させてくれる貴重な月日だったのだ。
「真中さんの監督した映画観ましたよ。もおー凄く良かったです。最初はつかさの旦那さんだから、みたいなつもりで
観たんですけどホントに感動しちゃって凄く泣いちゃったなあー。DVDも買っちゃいました」
友達の一人、アキは根っからの映画好きらしく年間沢山の映画を観たりしてるがその中でも真中の初監督映画は
その年の個人的ナンバー1だとまで言ってくれて真中は恐縮しきりだった。
この3人の中では唯一結婚していて休日は旦那と買い物がてら映画鑑賞する事が趣味なのだそうだ。
「あたしもあの映画感動しました。最後のあの別れ方なんかとても切なくていたたまれなかったなあ・・・。あ、そうだ!
確かシナリオが東城綾さんなんでしょう?」
ヒロミ嬢もつかさを通じての映画鑑賞者の一人だったのだがお世辞抜きで感動したと言ってくれた。
やはりというか東城綾の神通力はなかなかのものである。
聞くとみんなDVDまでちゃんと購入してくれているのだから本当に有難い話だ。
間接的に妻のつかさもこんな形で真中の映画に貢献してくれているのであった。
つかさと彼女たちは他愛も無い話で大いに笑い盛り上がり久々の懐かしい貴重な一時を過ごしているようであった。
真中は彼女たちの会話に黙って耳を傾け一緒に笑ったりしながらこの空間に幸福な時を感じていた。
この日の為につかさは沢山のケーキや菓子を用意しており彼女たちは太っちゃう、と言いながらもそれらにパクついた。
トモコなどは同時に酒もいける口なようで上気分に酔いながらやがて泣き上戸な告白を展開し始める始末だった。
彼女はこんな風ではあったが都内でも名門の私立女子進学校・桜海学園で成績は常に上位であり大学は高校と同じ
女子オンリーの国立・お茶の水に進学した。
文京区に同じキャンパスがあったせいか最高学府・東大の男子学生とは特にかなり頻繁に合コンの類を試みたものの
なかなかいい巡り合いがなくそれどころかその席にはいつもフィールドワークと称してカメラ、ビデオを片手に女子らを
片っ端から誘うスケベな男がいたのだという。
真中とつかさはお互い顔をあわせそれがあの外村ヒロシだと直ぐに理解し苦笑させられた。
あいつは今でこそ新進気鋭の芸能会社社長だが一歩間違えたら変態と変わらんな、と真中は思う。
トモコはそれからも愚痴をこぼし続け、自分でも結構悪くない女だと思ってるのに今に至るまで男に縁がないのだ、と
終いにはワンワン泣き出しみんながよしよし、と子供をあやすように慰める。
彼女は大学を出てから学校の教師になり今は公立小学校の教諭をしているのだという。
真中はトモコを改めて観察してみたがよく見てみるとヘアバンドで束ねた黒のロングヘアーにそれほど悪くもない顔と
そしてなかなかの大きな胸といい結構いい女じゃないか、と確かに思えた。
でも色気では高校時代の黒川先生に、そして美しさと気品では東城綾に劣るな、などと実に余計な評価をしてみたりする。
まーたいちごファンの内乱の産物か
本スレでは西野信者に叩かれるので以降妄想さんはこっちで投下よろしく。
あと西野信者に叩かれる材料になるだけなので、東スレへのアナウンス等は控えていただけると幸いです。
>>32 お前ら東城信者が何かやらかすと『やってるのは一部で俺らは関係ない。東城信者ひとつでまとめないでくれ』とか言うくせに他派攻撃のときは………www
残りの分のコピペも頼む
避難所じゃなくて非難所かよw
叩かれちゃうぞw
叩き専用スレなのね
37 :
fusianasan:2005/08/23(火) 17:03:17
いちごヲタ氏ね
くだらない内輪もめでスレ乱立させるな
「ところでつかさと真中さんってどういう経緯で知り合ったの?なんか凄く興味あるんだけど」
アキが唐突に話題を変えて尋ねてきた。
「ああ、そういえばそこらのとこどうなの?ねえねえ、結婚するきっかけは?」
今まで酒でグダグダと愚痴こぼしをしていたトモコも途端に元気を取り戻し話に突っ込んでくる。
「え、えーと、俺たち実は中学3年の時から付き合っていて・・・えー」
何となく今までいろいろあった経緯を語りにくそうにしている真中に代わってつかさが助け舟でゆっくりと語りはじめる。
「・・・あたしたちは中学3年の冬の季節に出会いそして付き合い始めた。そのきっかけは旦那の淳平からの告白。
その告白がね、なんていうかとにかく無茶苦茶面白くてね・・・いきなり鉄棒で懸垂はじめてそこで大声で、つかさちゃん
好きだ!付き合ってください!って・・・。もう呆気に取られちゃったんだけどそれがあたしにはとても面白くてその場で
すぐにオーケイだしちゃった」
トモコたちは興味深そうに話に聞き入る。
「元々あたしは以前から淳平にはちょっと興味持っていてある時彼の友達が先生に風紀の事で説教受けてた時に
一人だけ果敢に先生に刃向かってた姿見てその時からなんでだろう、なんとなく興味を持っちゃって・・・。それから
廊下でその友達となにやらあたしの名前言いながら騒いでるものだからちょっとキザに自己紹介風に挨拶しちゃった。
それで何日かして彼に放課後グラウンドに呼ばれてその、例の告白を・・・・」
そこまで話し終えてつかさは一呼吸置く。
対するトモコらは腹を抱えて笑い出す始末である。
「あはははは、何その告白・・・・・ちょっと真中さん、面白すぎ、ありえないって・・・あははは・・・ねえ、真中さん今度は
コメディ映画撮るべきだわ。きっとお笑いの才能あるって」
ひとしきり爆笑しながらトモコが言う。
そ、そんなに可笑しいのかな?・・・・真中はなんだか素直に喜べない気分だ。
間を置いていたつかさが再び話を続ける。
「そんな感じであたしたちはずっと交際してたんだけど高校進学を境に少し距離を持つようになった。淳平は泉坂に、
あたしは試しに受けてみた桜海にまさか合格しちゃって本当は同じ泉坂行くつもりだったんだけど・・・。でもあたしが
桜海に進路を変えた本当の理由はそれとは別にある作戦の為かな?淳平の事でそうしなきゃ勝てないと思ったから・・・」
そこまで語ったつかさの表情にはいつしか硬いものを帯びていた。
「勝てない、ってどういう事?」
トモコが訊ねる。
「うん・・・実はある人があたしと同時期に淳平と知り合ってね、ちょっとその人が凄く驚異的な存在に思えたんだな・・・。
彼女が誰かは言えないけどあたし達と同じ泉坂に行くと知ってからはあたしいろいろ思う事があってここは一度
引くと見せかけた方がいいかな、って。高校が別々になったけどそれからもあたしたちは恋人のままでいたんだけど
その年のクリスマス前夜に一度別れちゃった・・・。あたしの方から振っちゃった・・・今考えたら相当馬鹿な事したと
思ってるけどね」
トモコたちはじっとつかさの話に耳を傾けそして真中はというと心中穏やかではなかった。
つかさが語るある人とは無論東城綾の事である。
そこまで詳しく話さなくてもいいじゃないか・・・どういうつもりなんだ?・・・。
「でもあたしは淳平の事を忘れる事が出来ずバレンタインのチョコをそっと家の前に置いたりイメチェンの為にそれまで
伸ばしていた髪切ったり・・・。淳平がある事情で桜海を訪れた時にあたしの為に凄く痛い目に遭わされた事があって
その姿見た時にもう涙が止まらなくて・・・凄く申し訳なく、そして凄く嬉しかった・・・あたしの為に体を張ってくれて・・・。
それからは特定の関係に戻らなくても友達としてのお付き合いは継続していて高校2年の時は淳平の映画合宿にも
参加させてもらえて最高の気分だった。そうだね・・・今だから言えるけど3年の時に将来の進路で壁につまずきそうに
なりあたし淳平にね、一緒に旅に付き合って!と頼んでさ、淳平本当に付き合ってくれたの・・・一緒に3日間ほどね」
大胆告白に驚くトモコたち。
「言っとくけど何もやましい事は無かったからね、淳平はジェントルマンだったんだから。・・・そして忘れもしない、一緒に
水族館に行った帰りに公園の鉄棒で今度はあたしが懸垂しながら淳平に告白したの。ねえ、そうよね?」
つかさが真中に同意を求めてくる。
真中はただ黙って首を縦に振る。
「それから再び恋人の関係に戻る事が出来た。淳平がそれを受け入れてくれたから。でも正直どこか不安な気持ちも
あった。本当にこのまま恋人のままでいられるのかな、って。そもそも淳平にはあたしよりも相応しい人がすぐ近くに
いて淳平がその人の元に行っちゃうんじゃないかな、って心配してた・・・。でもその心配は打ち消された・・・ある泉坂の
大きなイベントがあったその日の夜にあたしは淳平に、抱かれちゃったんだ・・・・あーあ、言っちゃった・・・・」
つかさのその告白の内容に一同は驚きの表情を浮かべる。
「・・・でも結局あたしたちはまた別れちゃったんだ・・・。今度は淳平があたしを振る形でね。そう、別れ話を切り出された時
自分でも思っていたほどには驚かなかった。あー遂にこの時が来たのか、って。やっぱりあの人には敵わないのか、
ともね。でも淳平はそれは違うと否定していろいろ話したんだけど淳平の決意は固かった・・・。桜海卒業式の日の夜に
トモコたちにお別れ会してもらって次の日にあたしは成田でフランスに旅立って行って・・・。もうこれで終わりなんだと
思ってたんだけど運命なのかな?・・・3たびあたし達は巡り合いそして去年晴れてゴールインしたのでした・・・・。ハイ、
長かったあたしの話はこれで終了!」
最後はワザと明るい口調でつかさは話を終えた。
「なんだか夢のような作り話みたいだね・・・・2回付き合って2回別れてさあ、3回目でまた付き合ってゴールインって・・・。
なんだか執念のような間柄みたい・・・」
トモコがどこか感心したように呟く。
「・・・うん、そうだね。でもあたしね、随分悟ったんだ。あたしには結局真中淳平しかいないんだ!って。4年間二人は
別れて離れ離れだったんだけど最後はこうやって元の鞘に納まる、みたいな・・・。きっと運命の糸で結ばれているに
違いないんだ、とまで思ってる。ぶっちゃけて言えばもう少々の事ではあたしは動じない自信があるもの。だから例えば
この旦那が他所で浮気して女作ってもあたし焦らない。きっと最後はあたしの元に帰るからと確信してる」
「きゃあーー!つかさちゃん、超問題発言じゃん、それ!」
トモコが冷やかすもののつかさは不敵な笑みでそれを受け流す。
しかし真中の体は石の様に固まってしまっていた・・・・。
冷え冷えとしたなにかを感じた・・・・。
長い時間お暇していたトモコたちも日が暮れた時間になり重い腰をあげ真中宅を後にする。
今日は楽しかったわ、また来てね、ええまた会いましょう、そんな別れの話をしながら彼女達を外まで送る二人。
その別れ際にヒロミがふとこんな質問を投げかけてくる。
「あのつかさ、さっきのあのお話だけどね・・・その時々話の中で出てきたある人ってひょっとして東城綾さんじゃないの?
あたし聞いたことあるんだけど東城さんって元々桜海志望だったのにある事がきっかけで泉坂に行ったって話聞いた事
あったものだから・・・。それに東城さん確か真中さんと同じ映画部で一緒に映画作ってらっしゃったんでしょ?それで
ひょっとしてと思って・・・・」
「しかし男ってホントにいつになってもヤラシーもんなんですねえ。なんか事あるごとに、美鈴ちゃんの口利きでさあ、
東城さんとセッティングの場設けてくれよ、とかそんなのばっかり。第一東城先輩がアンタたちみたいなスケベ根性
丸出しの男らのとこへホイホイ出て来る人な訳ないことがわかんないんですかねえ・・・」
美鈴は心底呆れたように呟く。
どうも会社の独身男性社員らは少なからず一応に美人作家の東城綾に興味を持っているご様子で高校時代の美鈴を
つてに何とか会う機会を得てお知り合いになりたいなどと下心丸出しなのだそうだ。
やはり彼女が会社に仕事で来社していた期間に彼ら一同すっかりその姿に心奪われたということなのだろう。
普段はやれ、あの女優さんはとか、あのタレントの娘が、などと映画という仕事上の役得とネットワークを生かしながら
女性談義に盛り上がっているらしいのだが今回は女優らそっちのけで東城綾にお熱になってしまっているらしい。
彼女が知れば困惑するだろうな、騒がれても仕方が無い立場だけど本来は元々大人しい性格なんだから・・・。
そんな風に綾の事を気遣う真中だった。
真中と美鈴は会社近くの喫茶店にいた。
静かで落ち着いた感じの店内の中はエアコンの程好い温度調整がなされてありバロック調のクラシック音楽がBGMで
流れていた。
今回真中は再び映画会社・東邦の資本の元で自身の第2作目の劇場映画をやってみないか、との有難い打診を受け
その企画書を通じての会社スタッフの外村美鈴との打ち合わせの場を設けられた。
真中自身としては新作映画は一刻も早く手掛けたいという気持ちがあるのだが同時に適当な仕事はしたくない、という
気概も持ち合わせていた。
さすがに間違ってもそんなセリフを口に出したりは謹んでいる。
まだ一本撮っただけの駆け出しのぺーぺー風情が偉そうな口を利きやがって!と思われるに違いないのだから・・・。
だからどんな話であろうとも自分にお声が掛けられたら話だけはちゃんと伺う事にしているのだった。
美鈴から手渡された新作の企画書はアットホームなコメディタッチのものなのだという。
若手の人気俳優や関西資本のお笑い芸人などもプッシュしながらの比較的小規模で低予算な作品の企画らしい。
「あはははは、何その告白・・・・・ちょっと真中さん、面白すぎ、ありえないって・・・あははは・・・ねえ、真中さん今度は
コメディ映画撮るべきだわ。きっとお笑いの才能あるって」
何故か以前家に遊びに来てくれたつかさの友人の一人・トモコのセリフを思い出した。
そうか、コメディねえ・・・どんなものなのかねえ・・・。
コメディというジャンルは真中自身あまり考えた事も無くていまいち実感がわかないようだった。
美鈴からはまだ完全に形としてまとまってる訳ではないのであくまで企画段階に過ぎないのだが会社側は映画として
立ち上げると判断した場合は最初から真中淳平を監督として起用してもいいという腹なのだという。
初監督作品ながら現場を混乱させる事も無く与えられた予算と期間の間でスムーズに作り上げた真中の力量を会社は
それなりに評価してくれているのだ。
「まあ、どうだろうな・・・偉そうな事を言えばやっぱストーリーがどれだけ面白いかなんだろうな。監督の手腕で面白い
演出をほどこしながらもやっぱストーリー自体の面白さがないとなかなか難しいだろうね・・・」
「いっその事先輩が脚本も書いてみますか?自分でシナリオ書く監督はいっぱいいるし、何事もチャレンジですよ!」
美鈴の有難いともいえる提案なのだがそれは出来ない、と拒否する真中。
器用な人間ならば自分でストーリーを考えシナリオを書き時にはプロデューサーまでも兼任したりする。
才能や力量にもよるのだが実際自分でそこまでして完璧な作品を作り上げる監督は大勢いる。
だが自分にそんな力量や余裕はない、出来れば素晴らしい脚本と充分な製作体制の下で自分は監督だけに専念したい。
そんなどこか職人的バンカラさを真中は普段から胸に抱いていたのだ。
「俺は機会があれば、そうだな・・・また東城に手掛けてもらえないかなあ、と望んでるんだけどやっぱ難しいかねえ・・・。
彼女は本業の執筆に忙しいだろうし今回の企画はちょっとタイプが違うし・・・あ、別にこれでなくても機会さえあれば俺は
また東城と仕事させてもらいと思ってる」
再び東城と一緒に仕事をやりたい、真中の偽らざる心境だった。
「うん・・・東城先輩もそう言ってました」
美鈴が答える。
「東城先輩、真中先輩の映画見て凄く感動して泣いてましたよ。あたしたち一緒に鑑賞する機会があってそれでご一緒
させてもらったんですけど。あ、勿論あたしも感動しましたよ!。あたしは東城のお蔭だって真中先輩が言ってた事を
お伝えしたんですけど真中くんのお役に立てたならこんな嬉しい事は無いって・・・」
そうか、感動してくれたのなら俺もこんなに嬉しい事はない・・・。
以前の映画完成の記念パーティーの席上で真中は東城に君のお蔭で素晴らしい物が出来た、と感謝の言葉を述べた。
そしてそれから二人で落ち合うようにして宴もたけなわになっていた会場から抜け出したのだった。
あれ以来東城とは会ってないんだよな、彼女の携帯番号の記された名刺から電話はまだかけていない・・・。
「丁度公開一週間目くらいに東城先輩とご一緒したんです。先輩はもっとはやく観たかったがなんか観るのが怖くて、
とか言ってたので折角なので会う機会設けてその日は一日中ご一緒させてもらいました・・・。それで少し話が変わり
ますけど・・・」
少し美鈴は言いにくそうにモゾモゾとする。
何かあったのか?と真中。
「・・・・これあくまであたしの勘に過ぎないんですけど・・・映画観終わった後でレストランでお食事したんですけど先輩は
自分は本当に真中君の作品に貢献できたかな?とかあたしと一緒で迷惑じゃなかっただろうか?とかマイナス思考な
ことを言い出してあたしも挙句にそんなことありませんから!って反対に励ましたりしたりして・・・それから真中先輩の
ことを質問してきて一応答える限りは答えました。今までの仕事の事、今後の事、うちらの会社との契約関係や普段の
生活ぶりとか・・・きっと先輩なりに真中先輩の事が心配だったんでしょうね、こういう保障のない世界ですから・・・。
で質問が真中先輩の家庭のことにも及んだんです。奥さんである西野さんの事や結婚の事、それに子供の事とか。
あたしも流石にちょっとプライベートなことだしなんとも分からないです、って答えたんですけど・・・・でも真中先輩、
これは同じ女としての勘ですけど、東城先輩は多分今でも真中先輩のことを・・・」
美鈴がそこまで語った時真中はガチャン!と席を立った。
「いろいろ有難う、この企画だけどもう少しゆっくり考えさせて欲しい。家でゆっくり読ませてもらうよ。それと追加書類が
出来たら家のFAXに遠慮なく送って欲しい・・・いろいろ考えてから決めたい。でも出来れば世話になった美鈴や会社の
為にも引き受けたい、とは思ってるから」
「先輩・・・・」
「それじゃあ、帰るわ。またな。どうも有難う。後日ちゃんと連絡させて頂くから」
真中はそう言い残して逃げるように店の外に飛び出した・・・。
その後姿を見送りながら美鈴はふっ、とため息をついた。
やっぱり言わない方が良かったのかなあ・・・・そう思いながら美鈴は少し悔やんでいた。
「ねえ、美鈴ちゃん、お願いだから今日の事は絶対真中君には内緒にしてて・・・。変な事ばかり聞いてゴメンなさい・・・」
綾にそう懇願されていたのに美鈴はそれを真中に伝えてしまったのだ。
何でだろう、何故か分からないけどそれでも真中先輩にはちゃんと言わなければいけないと思って・・・。
「真中先輩、これは同じ女としての勘ですけど、東城先輩は多分今でも真中先輩のことを・・・」
美鈴の言葉が木霊のように頭の中で響いていく。
数年ぶりに再会したあの日の東城綾の姿に俺はどうしようもない程に見惚れてしまった・・・。
そしてその日の二人だけの夜道の帰り慶法大学前で東城の過去と現在に至るであろう衝撃的な告白を受けた・・・。
それからは仕事で何回か顔合わしても俺は努めてその事を思い出さないようにした。
彼女も自然体に振る舞い何事もない素振りだった。
そして映画の記者会見とホテルでの記念パーティーの会場の外で一人思いに馳せていた俺の下に彼女は水を持って
訪ねてきて、これからあたしに付き合って欲しい、と誘われるがままその後俺は彼女と一席を共にした。
そこで彼女から記念だといって高級ネクタイをプレゼントされて俺は悩みながらもそれを受け取った。
帰り道でつかさの事で彼女は後ろから俺に抱きついてきて何も言わないで、と・・・。
それから別れた俺の手には彼女からの貰ったネクタイの箱と携帯番号が記された名刺があったんだ・・・。
東城綾とはそれ以来会ってはいない、会ってはいないが・・・・俺は、俺は・・・・。
家にはつかさの姿がなかった。
つかさはまだ勤めの近所のケーキ屋から帰宅していない。
週に6日ほどの店通いでケーキ作りから新作ケーキに携わったりと店では彼女はもうなくてはならない存在だった。
本場フランスのパティシエの夢は閉ざされたかも知れないが真中にとってつかさの作るケーキはどんな有名店より
一流ケーキ職人の作った物よりも遥かに美味しかったのだ。
実は真中はフランス時代のつかさのことをほとんど知らないでいた。
放浪時代にヨーロッパに足を踏み入れた時もあえてフランスは意識して立ち寄らなかった。
そして4年ぶりに日本で再び再会を果たしたのだがその時のつかさの笑顔の下にどこかしら疲れの色が刻まれていた。
真中は今までの放浪の旅の出来事を饒舌に語った。
異国の放浪生活の結果彼は逞しさと強さとハングリーな精神を身につけることが出来たし何よりも英語が堪能になった。
いろんな国での話を語る真中の横顔は純粋かつ真っ直ぐに輝いておりそんな彼につかさは改めて愛を感じた。
その一方でつかさはフランス留学時代の事を多くは語ろうとしなかった。
もっとつかさの事を知りたかった真中だったがやがてはフランス時代の頃の話は何も聞かないようになった。
何故だろう、ただそれ以上の事を知るのは何かタブーのように思えたから・・・・。
真中とつかさはそれからすぐに同棲生活に入った。
つかさはその趣味と腕を生かしてケーキ屋で働き、真中は小さな映画賞の受賞と角倉のコネにより念願の映画の現場に
足を踏み入れたのだ。
真中は仕事で家に帰れないことも度々あったがつかさはちゃんと事情を理解していたから寂しくても彼には何の文句も
言わなかった。
家にいる時はつかさの手料理に舌をつつみ、暇が出来れば遠くに遊びに出掛けもした。
そして夜はつかさを抱いて寝た。
最初はコンドームなどによる避妊を心がけていたが数年後にはやがてそれを使わなくなった。
そして今現在に至りつかさには妊娠の兆候はまるでなかった・・・。
真中は綾から貰ったネクタイを妻のつかさには絶対見つからない場所に保管してあった。
どこか罪の意識を抱きながらもそれを大事に仕舞い込んでいた。
今、真中の手には携帯電話と携帯番号が記された名刺があった。
それを見つめながら一体どれだけの時間が経過しただろうか・・・。
やがて意を決したかのように真中はゆっくりと携帯の番号をプッシュしていく。
呼び出し音が10回ほど鳴り続いてから電話の相手が受信した。
相手の電話の声の主は東城綾だった。
「あ、東城?俺・・・真中・・・やあ、いきなりごめん。突然電話しちゃって・・・・・・」
電話を終えて約20分後につかさが買い物袋を手に帰宅した・・・・。
「ただいまー」
美しい夕焼けの広がる空を公園の広場から見上げながら真中はデジタルカメラを片手にその光景を収めていた。
真中は何よりも太陽が西の彼方へと消え行こうとする一日のその僅かな時間帯の晴れ渡った夕陽の空が好きであった。
それは中学3年のあの日、町で一番美しい夕焼けが見える学校の屋上で彼はある人と運命的な出会いをした事と
無関係ではないのかもしれない。
その空の向こう側にはもうすっかり満月のシルエットがくっきり顔を表している。
星ひとつの輝きだけをとればこの地球では何よりもお月さまの輝きには適わないが、それでも陽が完全に暮れ渡り
暗闇のカーテンが空に広がった時に表す無数の星々の海を醸し出す天空の彼方は何と雄大なものだろうか。
昔モンゴルの大草原の下でそれを仰ぎ見た時、彼に鮮烈なる感動を与えてくれたものだった。
(世界の至るとこで夜空を眺めたけどやっぱりモンゴルでの光景が一番だったかな・・・)
そう考えながら暫くカメラを動かしていた真中だがやがてバインダーを閉じそれをケースの中へと仕舞い込んだ。
もう暦の上では秋なのだろうが東京はまだまだ暑い日々が続いていた。
特にアスファルトとビルディングがひしめく東京都心の暑さは一際だっだ。
それでも夜になれば随分和らいでくるだろう。
それに今日はまだ風が吹いていたからかなり過ごしやすい一日だったといえる。
かなり強めの風だが気温と絡んで涼しい程度に顔や体に吹きかけられる。
そしてやや不精ぎみの後ろ髪と共に前ボタンとピンをしていないせいか首から下のネクタイが風に揺られ宙を舞っている。
両手はズボンのポケットの中に入れていた。
(もし白のトレンチコートでも羽織っていたらこの風にもっと揺られながら俺も映画の主人公みたいに見えたりしてな・・・)
真中の大好きなアメリカの映画監督で風でたなびくコートの姿を効果的に描く監督がいる。
あんな風に俺も撮って見たいものだ、と真中は考える。
そろそろ時間が気になったが時計台が見当たらないので左手の腕時計で確かめる。
腕時計の針は午後の6時を過ぎた部分を指していた。
もうすぐ来るかな・・・、何となく緊張感を漂わせながら公園広場の大きな外灯の下で真中は来るべき人を待っていた。
「真中くん・・・」
真中が振り向いた声の先からは急いで来たからか、息を切らしながら駆け寄ってくる東城綾の姿があった。
その大きな胸をやや上下に揺らしながらだからか、真中は反射的に視線を下の方に逸らしてしまう。
「ごめんなさい、もう少し早く来たかったんだけど・・・待った?」
申し訳なさそうに尋ねてくる綾だが黙って首を横に振る真中。
「ここの公園は実に空の眺めがいい、おかげでいい景色が撮れた。なかなかいい場所を教えて貰えて良かったよ」
そう答えながら傍らの小型ビデオを見せる。
相変わらず気遣い方が律儀なんだな、と真中は思う。
綾は少し安堵した表情を浮かべそしてそのまま綾はジーッと真中の服を見つめはじめた。
真中は今日綾と会うにあたり黒のサマースーツによる正装スタイルで着込んできて、またその首から下には
綾からプレゼントされたあのブルーのネクタイがぶら下がっていた。
「真中君、それしてきてくれたんだ・・・」
「う、うん。折角なんで・・・この柄、確かに自分でもよく似合うと思うよ。本当にいい物を貰えたよ」
綾は微笑みながら頭をこくりとする。
彼女も長い時間をかけて選んだ甲斐があったというものだろう。
真中もまた綾の服装を見つめている。
彼女は黒のやや胸元の開いたフリルに白の薄い花柄のブラウスと同じ白のスカートを身に着けていた。
美人の役得だろうか、きっとどんな服を着込んでも似合うのであろう。
(可愛らしい服だけどなんだか色っぽいな・・・)
確かにその開き具合から少し屈んだだけでも彼女のその大きな胸の谷間が見えてしまうことだろう。
そう考えるとなんだか目のやり場に困ってしまうのだった。
(それに今日は風が強いからスカートだとめくれてしまうかも・・・)
何故だか昔から風でめくれる東城綾らのスカートの中を幾度も目にした事を不意に思い出し余計にドキドキしてしまう。
東城ってどんな下着履いてるんだろう・・・、そんな邪な思いまでもがよぎってしまう・・・。
二人はそのまま肩を並べて公園内を散策する事にした。
ここは都心からやや離れた緑豊かな公園で彼女は考え事やリラックスしたい時に時々訪れたりするのだという。
なかなかの広さを持つ公園なのだが時間帯からかあまり人の数はいないようだった。
きっと紅葉が広がる時期は沢山の人が訪れる事だろう。
(しかしこんなところを知り合いなんかに見られたらどうしよう、大変かもな・・・)
真中は綾と二人だけで会うにあたりその事を最も心配した。
彼女の携帯に電話を掛けたのはもう10日以上前のことである。
随分抵抗感を覚えながらもそれでも真中は綾に電話したのだ。
最初綾は真中からだと分からず電話を取るのを少し躊躇したようだったがそれが真中からだと分かったら
大変な喜びようだった。
あれからいつも連絡が来ないかな?、などとついつい考えてしまっていたらしい。
真中は突然の電話を詫びながらその後の近況などを手短に話した後に悩みながらも綾に今度暇があれば
会ってみないか、と誘ってみた。
流石に綾は暫く考えて、でも奥さんが誤解されたら・・・と尋ねたが真中が、大丈夫、何の心配もしないでくれ!と
答えた為結局は真中の誘いに同意した。
互いのスケジュールもあるので10日以上先の綾の指定する公園の広場で待ち合わせする約束を交わしてから
電話を置いた。
暫くすると妻のつかさが帰宅したが真中は後ろめたい気分を抱いていた為だろうか何だかマトモにつかさの顔を
見られなかった。
やがて真中の変な態度に気付くとつかさはワザと叱る様な口調で、コラどうした?淳平!と顔を覗いてくる。
トモコたちが遊びに来て以来からか特に最近のつかさは何だか普段以上に明るくて機嫌も良さそうであった。
彼女が時々翳りのある顔を無意識に見せる事があったからそんなつかさを見るのが何だか辛かった。
だから今の真中は余計に罪悪感を抱きながらもそれでもどこか東城綾に早く会いたい、と思ってしまうのであった。
その日の夜、真中は再び東城綾の夢を見た。
激しく互いが求め合う夢を・・・。
もうすっかり陽が暮れて一面夜空になっていた。
歩きながら、或いは外灯の下のベンチに腰掛けながら二人は語り合う。
真中は再び映画会社から新作映画の監督を依頼された事を綾に報告する。
おめでとう!とまるで自分ごとのように喜んでくれる綾に真中は照れまくってしまう。
「それがさあ、今度の映画コメディなんだって。つまりお笑い。いや、まだあくまで企画途上だから最終的にどうなるかは
わからないけどね。でもとりあえず企画が通れば真中にやらせてやれ、って言ってくれてるみたいなんだ・・・」
「あたし絶対見たい!どんな種類の映画でも真中君の映画ならきっと面白いもの!本当に企画が通ればいいのにね。
その時は勿論引き受けるんでしょう?」
「うーん、そうだな・・・正直さあ、あんまりお笑い物って考えた事ないんだよね。だからイマイチ実感がこう、沸いてこない
んだよなあ。テレビとかでお笑い番組見るのは昔から好きだし映画だってそれなりに見てるんだけどね・・・。あ、そうだ
東城さあ、何かいいネタみたいなのないかな?東城は作家先生なんだからこういうネタやフレーズなんかもやっぱり
考えたりしてるでしょう?」
話しながらなんだかすっかりその気になってしまい都合よく綾に他力本願でアイデアを頂こうとする真中。
いきなりそんなことを言われても困惑してしまう綾だったが真中は更に追い討ちのように
「だってさあ、昔の俺がつかさに初めて告白した時の事憶えてる?あの時鉄棒で懸垂しながらの捨て身の告白を勧めて
くれたの東城だったんだぜ?あの時の東城の助言が全てのきっかけだったんだから・・・」
勢いでそこまで語ってしまいながら真中は既に後悔してしまった。
綾はうつむきながら黙り込んでしまったのだ。
ど、どうしよう・・・今更何でこんな事言っちゃったんだ・・・、自分の軽はずみさを悔やむ真中。
夜の公園内の静かな静寂に包まれながらやがて綾は口を開く。
「・・・真中君・・・あの映画だけどね、美鈴ちゃんと一緒に観せてもらったんだ・・・。もうあたし大泣きしてね、結構それで
大変だったんだ、周りにもお客さんがいたから・・・。自分の考えたセリフを役者の人たちが喋って演技する、それを繰り返し
やがて一つの作品へと仕上がっていく・・・。口で語るのは簡単だけど現場を統括して周りの人も指導して現場以外でも
様々な人たちと接触しながらこの映画を撮り上げたのが真中君なんだ・・・。そう考えたらなんだか涙が止まらなくて・・・」
東城・・・、真中が心の中で呟く。
「その後美鈴ちゃんと夕食を共にしていっぱいお話したわ・・・。でも何だか自然に真中君の話題ばかり」
「その話、実は美鈴から聞かされたよ・・・。東城先輩感動して凄く泣いてくれてたんですよ、って。俺もそう聞かされて
すげー嬉しかった。東城に感動して喜んでもらえたんならこんな光栄な事ないよ・・・」
綾は美鈴に対して口止めをお願いした話を自分から語りはじめるがその間で真中が口を挿んだ。
「随分暗くなってきたからさ、どこか違う場所に移ろうか?まだまだ語り合いたいんだ、俺」
「うん・・・そうだね」
そう言いながら二人はベンチから立ち上がる。
暗闇から相変わらず風が強く吹きつけてくる。
ううーん、と唸りながら真中は手を重ね合わせ上に突き上げながらピンと背筋を伸ばしてリラックスする。
「真中君、なんだかネクタイが歪んじゃってるよ」
綾の指摘通りいつのまにかネクタイの紐の結び目が緩んで崩れた形で随分結びの位置から外れてしまっていた。
こりゃあ駄目だ、と自分で直そうとする真中よりも先に綾の手が伸びてくる。
彼女は両手でゆっくりとネクタイの紐を解いて一から綺麗に結び始めた・・・。
外灯の光が照らす綾の顔は眩い程に美しかった。
そして少し開いたフリルの胸元からはくっきりと大きな胸の谷間が見える。
真中はそんな綾に完全に見とれながら立ちつくんでいた・・・。
昔、これに似た事があった・・・。
高校1年の冬だったっけ、東城は俺の前髪についたものをそっと取ってくれた・・・。
そして俺は彼女の腕を取りいろんな事を考えながら思いっきり抱きしめたんだ・・・。
そうだ、抱きしめてあげたかったからなんだ、あの頃から・・・。
「・・・ハイ、終わったよ、真中君」
照れた様子で綾が報告する。
やがて真中は我に帰りながら内側のポケットからピンを取り出した。
「あ、有難う・・・ちゃんと止めとかないとね・・・それじゃあ、行こうか」
頷きながら綾は真中より先に歩き始めたが突然物凄い突風が吹きつける。
そして綾の白のスカートが真中の目の前で思いっきりめくられたのだ。
・・・真中は目が点になった。
東城綾の履いていた下着のパンツはあの頃と同じいちご柄のパンツであった・・・。
綾は慌てて片手でスカートを押さえたものの時既に遅し、であった。
二人の間に何となく気まずそうな沈黙が流れる。
「真中君、・・・・今の、見ちゃった?・・・・」
綾は恥ずかしそうにうつむきながらそう尋ねてくる。
「あ、ああ・・・ちょっと見えたかも・・・」
真中も下を向いて答える。
「そう・・・」
綾はもう穴があれば入りたい気持ちであった。
「いい年して未だにこんな子供みたいなの履いちゃって・・・真中君もそう思うでしょう?」
そう問われる真中だがその思いは逆であった。
それどころか真中は綾の大きな胸元と今のいちごパンツによって彼の股間はけたたましく滾っていたのだ・・・。
真中は綾に勃起した事を悟られない為に体の向きを変えながら言った。
「気にすんなよ、東城・・・その、俺、そういう柄のパンツ大好きだから。お、おれに限らず男はそういうの好きだから・・・」
綾を慰めるのに何だか要領を得ない事を言うがでも実際のところそれが真中の偽りざる本心であった。
1時間ほど公園で過ごした彼らは近くの町まで出向いて真中が事前調査していた有名西洋料理店へと入った。
真中はともかく綾はある程度は著名人であったから誰か顔を知る人間にでもこんなところを見られたら大変だぞ、と
警戒を怠らず・・・。
それから二人は食事をしながらたっぷりと話をした。
昔は綾の前では何となく緊張して会話しづらい雰囲気があったがもうそんな事もなかった。
特に映画全般に関する真中の喋りは饒舌なものだったし昔の放浪時代の話もネタが尽きなかった。
饒舌に語る今の真中の表情は過去に培われた経験と未来への飽くなき夢への情熱からか実に眩しく輝いていた。
綾は黙ってそしてうっとりしながら真中の話に黙って耳を傾けていた・・・。
前回はすっかり綾に世話になったので今回ははなっから真中が金を出す気でいた。
綾は遠慮するものの結局は素直に真中に支払ってもらった。
こういう場合はヘタに遠慮すれば相手に失礼だと分かった上での対応である。
本当はなにかプレゼントの品も考えたのだが結局それはやめる事にした。
店を出てから二人は以前のように夜道を並んで歩いた。
道先からさっきとは違う公園を見つけて二人は何となくそのまま中へと入った。
公園の中は静かで他に誰もいないようであった。
歩きながら真中は月の光の下、広場の真ん中で宣言をする。
「俺、東城に比べたら全然才能もないし、地位もないけど、でもいよいよこれからって感じなんだ。本当にいつになるか
わからないけど俺は絶対にやるよ。東城のあの小説は絶対映像化するんだ。その時はさあ、東城も力貸してくれよ!」
「・・・真中君」
綾が真中を呼び止めそして静かに語る。
「真中君には西野さんという奥さんがいて当然二人は幸せな家庭を持っていて、あたしという女はそれが分かってながら
こうやって浮かれた気分で、人の道に外れたような真似をして・・・」
「東城・・・」
二人は立ち止まり真中は綾の顔をじっと見つめた。
(でも、でも、それを言うなら俺だって同じだ、同罪だ、いやそれ以上に重罪だ・・・。もう俺はきっと東城の事を・・・)
「あたし、今のままで満足・・・こうやって真中君が会ってくれてお話してくれるだけで満足・・・。だからこれ以上のこと」
綾がそこまで想いのほどを語った途端真中は綾を思いっきり抱きしめた。
その逞しくてがっしりとした真中の大きな体が綾の細くグラマラスな体を抱きしめたのだ。
「東城!」
「は、はい・・・」
綾は突然のことに戸惑ってしまっている。
「俺、東城に見惚れちゃったよ・・・。あのパンツだって大好きだから・・・初めて出合った時からね・・・」
「真中君・・・」
綾は耳元でそっと呟いた・・・。
「お帰り、淳平。スーツ姿で忙しかったでしょ。ご飯は?」
家ではエプロン姿のつかさが出迎えてくれた。
「・・・いや、もう外で食べてきたんだ、ごめん・・・」
「ふーん、じゃあお風呂沸かすね。実は今まで新しいお菓子を考案中でしたー!」
明るい口調でいそいそとつかさはバスルームに入っていく。
真中のネクタイは別の物に代えられていた。
(つかさ・・・・本当にごめん・・・・俺は・・・・)
外村プロダクションの第1企画部の一室では美少女3人組アイドルグループのテビューCDのプロモーション企画が
急ピッチで行われていた。
彼女たちは3人ともまだ高校2年のうら若き乙女であり、また今年の外村プロの最大の期待プロジェクトであった。
彼女たちが年齢以外で共通しているのはそれぞれ関西圏出身であるということだ。
上手い具合に京都、大阪、神戸という関西主要3都市の出である事から3都物語にちなんだグループ名が会議で
模索されるものの今に至り正式なグループ名が決まらないでいる。
社長の外村ヒロシを筆頭に社の重要会議で長時間の議論がなされるもののどうも決定的なネーミングが思い浮かばない。
それというのも社長・外村のあまりの妥協を知らないそのマニアックなこだわり方がかえって仇になってるフシがあった。
基本的に外村プロは社長・外村ヒロシという他に類を見ない程の女性への凄まじい嗅覚、発掘能力と確かな経営手腕に
よって成り立っている新進気鋭のワンマン芸能会社と言っていいのかもしれない。
幹部たちも皆一様に若くそれなりに優秀でもあり彼らも例外なく女性タレント好きな連中なのだがそれでも
とてもじゃないが外村には全ての面で敵いそうになかった。
外村の高校時代からの腐れ縁であった小宮山力也は同じ進学校の公立泉坂高校出身であったがまるで勉強が出来ず
学校一の落第生であったが東大卒業後の外村に拾われ会社第一号タレントの端本ちなみの専属マネージャーをまかされた。
現在はマネージャー部門の統括責任者的立場にまで出世したのだから大したものではある。
端本ちなみとはどうもつかず離れずな関係なのだが小宮山は我慢強く彼女の誠意を信じ思い続けているのだった。
会議では結局結論が先送りになり近々再召集の旨が確認され解散した。
各々それぞれの部署に戻り今後の業務へと専念する。
社長・外村は相変わらず多忙すぎる毎日を送っていた。
この後早速外部の人間と業務契約の件で会う約束が入っていた。
その人物とは高校時代からの親友の現在注目の新人映画監督の一人である真中淳平であった。
外村は今回の彼女たちの音楽PVの映像監督を真中に依頼する為に彼を社に呼んだのであった。
「どうだ真中、可愛い娘たちだろ?絶対ヒット間違い無しの逸材だよ。今年の外村プロの最大の一押しグループとして
大々的に市場に出すつもりだ。まあそこでだ、PV作品で実績のある真中淳平監督に彼女らのデヴュー作品をどうか
手掛けてもらえないものかと思ってな」
社長室で外村は社長机に軽やかに足を組んで座りながら真中相手に音楽PVの監督の交渉を熱心に持ちかけた。
真中は彼女たちの資料を前に腕組みをしながら考え込んでいる様子であった。
本音を言えば真中としてはもう音楽PVの類は手掛けるつもりは無かった。
元々将来の映画監督の夢への通過点として仕事、という風に割り切って考えそれを手掛けていたに過ぎない。
無論いい加減な仕事をしてきたつもりは無かったが待望の初映画を撮った今となっては今更という気分であったのだ。
ただ確かに彼女たちは外村が大いに力を入れているだけあって申し分なく可愛いかったし何よりも相手の外村には
前の映画の件のみならず過去いろいろと世話にもなっていたからなかなかムゲに断りにくい。
それにしても彼女たちを見ているとなんだろう、なにか思い当たるフシのある感じがしてならなかった。
暫く考えてみたが彼女たち3人からはそれぞれ東城綾、西野つかさ(現在の真中つかさ)、そして北大路さつきの面影を
そこから見出してしまっていたのだった・・・。
「俺がこの娘たちを初めて見た時にすぐにピンと来る物があった。それは東城、北大路、それにお前の奥さんの事だった。
彼女たちはあれから10年ちょっと未来の後に表れた新たなあの3人じゃないかってね。俺が力入れるのも多分単純に
可愛いだけでなくそんな思いがあるからなんだろう・・・」
そう語る外村の説明にはなにか大きな説得力が感じられたのだった・・・。
結局真中はいろいろ悩んだ末にその以来を引き受ける事にした。
それにあたり外村側からは何点かの意向が示された。
まずPV制作のロケーションだが彼女たちの出身地である京都、大阪、神戸の3都市でそれぞれ撮影を行ってもらう事、
映像演出には基本的に口を挟まないが既に完成してある楽曲のイメージを壊さないでもらいたいという事であった。
楽曲は現在の邦楽シーンを引っ張る立場にある著名な中堅作曲家に依頼して既に数曲分作られていた。
それぞれシンセサイザーサウンドがメインによるジャパネスクな雰囲気を漂わせたアンビエンスかつダンサンブルな
楽曲に仕上がっていた。
外村も同行の下で撮影期間は約4日間程を目処に行われる事で調整がついた。
最終的な契約内容が成立して仕事の具体的な打ち合わせも終わったところで外村がガラリと話題を変えた。
それはなんと泉坂高校3年次の同窓会を京都で行わないかという驚くべきプランであった。
真中の泉坂高校3年次のよく知るクラスメイトは外村ヒロシに小宮山力也とそして東城綾の3人がいた。
実は外村と他のクラスメイトを中心に10年ぶりに泉坂3年時代のクラスメイトに招集を掛けていっその事京都の地で
同窓会を執り行わないか、という話が進んでいるのだという。
何で京都なんだ、という真中のごもっともな指摘に外村は答える。
まず風光明媚な京都で観光気分で懐かしくやろうという事、真中によるアイドルグループの京都編のPV撮影もその時期に
一緒に手掛けたらいいという事、そして以前の映画部同窓会と同じ北大路さつきの働く老舗料亭を使わせてもらおうと言うのだ。
「まあはっきり言えばな、俺はこの機会に北大路に大アプローチを掛けてみようと思ってるんだ。あいつは今の年齢でも
絶対芸能界でもやってけると思ってるから本気で口説いてみようと思う。・・・まあ断られてもそれならいいさ、何だかんだで
あいつと会える口実を設けれるんだから。ああ、それと勿論東城もな」
外村から綾の名を聞かされて真中は一瞬焦りを覚えた。
(京都・・・さつきがいる町・・・そして・・・)
以前の真中と綾が二人で人知れず再会して食事を共にしたあの日の夜・・・。
会話の中で綾から次の小説の話の内容を京都を舞台に描こうかと思っている、という話題がでた。
その内担当の編集さんと一緒に取材でうかがってみようと思う、とも語った。
「流石に京都の地で大勢のクラス連中が集まるとは考えられんがあえて京都でやろうという事で話をまとめている。
お前や俺にとって仕事の面でも一石二鳥と言えるし悪い話じゃないだろ?クラスが違うとはいえさつきの姿があれば
男らの出席率はかなり期待できるかも知れん・・・。同じ理由で作家先生の東城にも何としても出てもらいたいな・・・」
主催者的立場を任されてるからか、外村はかつての二人の美少女の出席を絶対実現させようという意気込みに燃えていた。
そしてそのまま自分の趣味と実益にもリンクさせようというしたたかな腹でいるのだった。
浮かれ気分の外村を尻目に真中の表情にはどこか険しさが漂っていた・・・。
あの日の夜の公園の広場で真中は綾の体を思いっきり抱きしめた。
そして綾の体から伝わってくる温かな感触とその香しい匂いを体全体で感じていた。
「真中君・・・」
綾がボソリと呟く。
「ゴ、ゴメン、東城。いきなり・・・・」
真中はそっと彼女の体を放した。
それから暫く二人はお互いを見つめ合ったままでいたのだがやがて真中は真剣な眼差しで口を開いた。
「・・・東城、この際はっきりさせておきたいんだ。だから、俺の質問にハッキリと答えて欲しい」
綾は今までにないくらいの真中の強い口調による問いかけにやや緊張した面持ちになりながらそっと首を縦にふった。
「東城は・・・俺のことを今でも好きなのか?・・・君の本音を教えて欲しい・・・」
それは非常に極めてストレートな問いかけであった。
その問いに綾は瞑想するかの如く暫し目を閉じながら考えを整理しているようであったがやがてその重い口を開いた。
「・・・・今更ながらあたしと真中君の今までの事をいろいろ考えてみた・・・。初めて出会ったときから同じ高校に進学して
同じ部活で映画を製作しながらいろんな人たちと巡り合いいろんな経験をしていろんな想いを感じながらそして卒業を
迎え互いの道へと進んでいった・・・。こうやってお仕事を通じて再び真中君に再会できてこうやって二人だけで会って
今こんなお話を交わしている・・・。あたしね、今でも時々思うの・・・もしも、もしも、あたしと真中君が本当は両想いで
あったとしたなら・・・あたしたちにそのきっかけとほんの少しの勇気と正直さがあればひょっとしたら今頃は二人幸せに
結ばれていたのかもしれないって・・・。
それが自惚れだとは分かっている・・・実際は真中君が選んだのは西野さんだったんだから・・・。でもあたしからもっと
早くにその気持ちを真中君に伝えていればひょっとして真中君はあたしを選んでいてくれていたんじゃないのかって・・・
それはまるであたしのあの小説のラストみたいに・・・・」
それは綾のあまりに痛々しくも生々しい魂の吐露だった。
東城綾は屋上で初めて出会った真中淳平にあの小説を通じながら確かな愛の感情を抱いていたのだった。
初めてまともに自分と喋ってくれた男の人、初めて自分の小説を読んでそれを心から絶賛してくれ自分の未来の夢を熱く
語ってくれてた男の人・・・それが東城綾の初恋の人であり今でも彼女の想い人であり続ける真中淳平なのであった。
真中が自分ではなくつかさを選びそして自分から真中に別れを告げてから二人の男女の仲は断ち切られたのであり
そして綾が大学時代に天地の恋人になり彼に抱かれてからはそれはもう完全な形で決着したはずなのであった。
しかし綾はそれでも真中淳平の事を完全に忘れ去る事が出来なかったのだ。
結局それは適わぬ恋だからと、封印していたに過ぎなかったのかもしれない。
そして4年ぶりに再会した時、精悍な顔立ちと真っ直ぐに澄んだ瞳にがっしりとした体格にまで成長していた真中淳平の
姿を目にして綾は再びあの頃の自分に戻ってしまったのだ・・・。
ひたすら心の中で真中淳平を想い愛し続けていたあの頃の自分に・・・。
「・・・東城の気持ちは分かった、俺も話そう・・・。最初君から手紙を貰い君が出したエッセイのことを知った。最初俺は君と
再会するのが正直怖かった。それでも結局君と共に再び映画を作る事が決定してそしてあの日君と再び再会して帰りを
共にしながら君からのあの告白を聞いてから俺はずっとずっと君の事ばかりを思うようになった・・・。そして・・・君の夢を
見るようになった。俺が君と激しく交わし合う夢をね・・・。いつしか俺はこうやって君と二人だけで会っては二人の時間を
共有する事ばかりを考えるようになった。運命というものを考えるになった・・・。そして妻がいながら俺は君の事を本気で
求めるようになって、もはや君そのものが欲しくてたまらなくなってきたんだ・・・東城綾という女性を・・・・」
「真中君・・・・」
それはその時二人の気持ちが完全に交差した時であった。
二人はそのままお休みを言って互いの夜の家路へと去っていった。
だが互いの胸中には確かな事が飛来していたのだった。
今度互いが二人で再会した時はもう引き返せない一線を越えた関係になるであろうという事を・・・。
「どうも、おばんどす。この度ははるばるウチのお店まで来ていただきはりましてほんまおおきにー」
年の暮れが差し迫った12月23日の京都で泉坂高校3年次の同窓会が10年の歳月を得て開かれようとしていた。
その京都のとある老舗料亭の若女将・北大路さつきがこなれた京都弁の挨拶で一同を出迎える。
クラスメイトの出席者は男11名に女5名の計16人と芳しくない条件の中でも思っていた以上の数が集まってくれた。
皆本当に懐かしいな・・・、と真中は大広間の中で彼らの顔を眺めながらしみじみと思った。
ポンと真中の背中を叩く音がする。
振り返るとそこに若女将・北大路さつきがいた。
「真中・・・本当にお久しぶり・・・。元気だった?」
「ああ・・・さつきもな・・・」
同じ場所での約6年ぶりの再会であった。
さつきは真中の前で照れた顔を隠せないでいるようであった。
そしてそこには同じ出席者の一人として東城綾の姿もあった・・・。
宴会はまず宴会幹事の外村のくそ長ったらしい挨拶から始まった。
出席者の中で一番の高学歴者であり今や新進気鋭の芸能プロダクションの経営者であり持ち前のサービス精神と
話術と宴会部長の立場をフルに回転させながら長々と一席を打っている。
「・・・・このように我が外村プロは高校時代からの同志・小宮山君と共にここまでの躍進を遂げて参りました。ですが
まだまだ道半ばであります。私の目指す道は芸能界の頂点それであります!それも美少女アイドルタレントだけの
云わば女性版ジャニー事務所を目指しているのであります・・・(中略)・・・ここにいる私のかつての同志の一人で
今や期待の新人映画監督と言われる真中淳平君がおられますが彼にはこの度の我がプロダクションが最も力を
注いでおります3人組アイドルの・・・・」
真中は肩をすくめながら隣にいるさつきと目を合わせながらやれやれ、と苦笑するのであった。
見かねた部下の小宮山力也が間に入ってようやっと乾杯の音頭が行われた。
出席者は当時の生徒だけでなく担任教師も含まれていた。
黒川栞教諭は今年でもう30半ばを過ぎていたが相変わらず恐ろしい位の色気を醸し出していた。
真中たちは彼女の酒癖の悪さを思い出していたが今は随分静かな酒を嗜まれていた。
どうも先生は2年前にようやっと念願の結婚を果たされたらしくそれからは無茶な酒は控えるようになったらしい。
ちなみにそのお相手とは日本に語学教師として来日した3歳ほど年下のアメリカ人男性だそうであった・・・。
それにしても皆社会で堅実にやってるんだな・・・、と真中は思う。
自分に綾、外村らがいかに不安定さを抱えながらも自由で好き勝手出来る立場にあるのかを実感した。
銀行マン、地元市役所の所員から大手企業のサラリーマン、開業事務所と彼らの職種もまた様々であった。
女性陣の中には結婚して主婦業に専念してる者もいた。
元々公立の進学校なのだからいいとこ勤めの人間がいても当然ではあったがそれでもそんな者らがこんな暮れの
忙しいさなかによく集まったものだ、ともいぶかしんでしまう。
だが何となく理由はわかる気がした・・・それは東城綾と北大路さつきの存在であろう。
男性陣にとって何よりもの抜群の異性の対象であったし女性陣にとっても懐かしさと憧れの対象になりうる二人だった。
若女将のさつきはもてなす立場でさっさと料理や酒を運びながらいちいち男衆に酌もしたりと大忙しであった。
東城綾の周辺は常に盛りのついた犬の様な独身男たちが何かと群がっている始末である。
明らかに困惑気味の綾の姿に同情を禁じえない真中。
誘わなければよかったんだろうか・・・と。
一ヶ月ほど前、電話で真中は綾に外村らによる同窓会の件を告げた。
電話の先から伝わってくる雰囲気は明らかに行きたくなさそうな空気であった。
だが真中は、自分も行くし折角だから東城も参加してみないか、と熱心に誘い続けた。
結局綾は自身も小説執筆の為の取材の為にも京都には訪れる予定であったのでいろいろ考えて同意する事にした。
真中も、ついでに俺も依頼を受けた仕事をその時に向こうでやるつもりだ、と答えた。
それに久しぶりにさつきとも会えるしね、とも付け加えながら。
・・・そうだね、と綾も答えた。
電話での別れ際真中は、京都の地で東城と会える事を心から祈ってるから、と伝えた。
綾もまた、あたしもそれを心から祈ってる、と伝え返した。
電話を終えて真中はさつきへの懐かしさと共にあの日以来綾への想いがふつふつと増しているのであった。
東城・・・・早く君に会いたい、と願いながら・・・。
やがて同席していた女性陣らが酒の酔いもあってか東城綾の近くを陣取りだしてあれこれ話をぶつけだした。
曰く、東城さんはまだ結婚しないの?今付き合ってる人いるの?知り合いの有名人の事教えてよ、この前のエッセイ
読んだけど凄い内容で驚いちゃったよー、なんか天地君と付き合ってたって噂聞いたけどそれってホント等々・・・。
彼女たちの顔の表情や質問の内容からは興味と羨望と何やら妬みのような要素も含まれていた。
真中はもう綾をこの席に誘った事をすっかり後悔していた。
ひっきりなしに質問攻めにされよからぬ詮索を受けて挙句は男衆の渇望の的にあった。
綾ちゃん電話番号教えてー、これから二次会どう?、マジで恋人はいないの?、一緒に写真撮って、等々・・・。
(東城、気の毒に、やっぱり無理に誘わなければよかったんだ・・・)
真中は綾の事をおもんばかりながら周囲を見渡してみる。
憧れの黒川先生の横でデレデレしながら隙があれば他の男ら同様さつきへのアプローチを忘れない外村。
綾とさつきを眺めながら端本ちなみの事を思い出し一人デレデレする小宮山。
やがて真中の隣の男が煙草片手に小声でボソリボソリと独り言のように呟き始めた。
名は前田でクラスでは丁度真中の一つ手前の席にいた男で現在は税理士をしているのだという。
正直あまり親しくした記憶は無かった。
「東城綾大人気だな、まああんだけ美人でいい体しててしかも独身作家ときたら男だけでなく女だって興味津々なのは
まあ当然だよな・・・。高校在学中に賞取って卒業の時には卒業生代表挨拶までしたしそれと雑誌なんかの取材やら
なんやらにああそうだ、グラビア写真まで出したんだよな・・・。なんか爽やかで清潔感のある写真だったがそれでも
なんかこうエロかったねえ。どっかそのエロさを隠しながらも滲ましてるというかさあ・・・俺、実を言うとだな、あいつの
グラビア見ながらヌキまくってたんだよ。新しい写真が出る度にそれ買ってはヌキまくったねえ・・・。俺の大学時代の
同期とはそれで随分意気投合した記憶があるなあ・・・。しっかし綾ちゃん、ホント若いわ。今でも24くらいで充分通用
するぜ・・・本人目の前にしてあれだけどあいつのあのヤラシイ体を」
前田がそこまで語った途端にガタン!という大きな物音が部屋中に鳴り響いた。
真中は両手でテーブルを思いっきり叩きながら立ち上がって失礼、と言って部屋から出て行った。
真中のその後姿を綾が心配そうに見つめていた・・・。
真中の苛立ちは自分自身にも向けられていた。
(俺はあいつの邪な告白に腹が立ち席を立った。酒が入ってるからとはいえよりによって本人が同席してる席で
あんなふしだらな事をベラベラと喋りやがって・・・。が、俺は何だ?考えてみれば俺はそれ以上に邪じゃないか)
宴会場を出てトイレへの通路を渡りながら様々な思いが交錯していていった。
だけど全ては東城綾への想いに回帰してしまう自分がいたのだった。
トイレで用を足した後もなかなかそこから出ようとせず暫く時間の経過が過ぎ行くのを待ち続けた。
やがて気持ちの整理をつけて宴会場へと戻ろうとする真中の前にあの北大路さつきが姿を現した。
「・・・真中、大丈夫?何だか顔色が良くないよ・・・」
そこには昔と同じ甲斐甲斐しく真中を気遣うさつきの姿があった。
「さつき・・・、いやゴメン。なんだか気分が悪くなっちゃってね・・・」
そんなさつきに苦笑いを浮かべてしまう真中。
「ねえ、真中、少し縁側の庭園で酔いでも醒ましていかない?それにあたし、あれから全然真中と喋れてないし・・・」
さつきの提案を受けて真中はそれを承諾するのであった。
この際さつきともいろんな話ができるかもな、と考えながら・・・。
「ふうーー、しかし寒いなー」
幾分酔いをさました真中は冬の京都の夜の気温にぶるりと体を震わせる。
周囲を山に覆われた盆地型都市である京都の気候は暑さと寒さの寒暖の格差がとにかく一際際立つところであった。
料亭の外にある庭園にはもう館内の暖房の空気は伝わっては来なかった。
「真中・・・こうやって二人で肩組んで話するのも本当に久しぶりだよね・・・」
さつきは本当に懐かしさで一杯という感じであった。
それから二人は長い時間をかけ今までの互いの積り話を語り合った。
真中は帰国後、角倉の下で様々な経験を積みながら遂には念願の映画監督の夢をかなえた事、そして西野つかさと
晴れて婚約し結婚した事・・・。
さつきは慣れない京都の風習に四苦八苦しながらも今ではもう女将として店の仕切りを任せられるに至った事など・・・。
真中の前ではさつきは水を得た魚のように次から次へと話題を提供し、また互いに心から盛り上がれるのであった。
何だかさつきが本来の女将としての役割をもはや放棄してしまっているかのようでもある。
「なあ、さつき。そろそろ部屋に戻ろうか。お前がいないと店としてもいろいろ不都合もあるだろうし何なら戻ってからでも
話の続きをしたらいい訳だし・・・」
真中としてもいつまでもさつきと二人でここで長居する訳にもいかないと思ってしまう。
「うん・・・そうなんだけど・・・あたしとしてはもっとこうやって真中と二人っきりでお話したいかなって・・・」
うつむいた姿勢でさつきはボソボソとだがハッキリとしたニュアンスでそう真中に答えた。
「さつき・・・・」
真中は今更ながらさつきからの自分への気持ちを打ち明けられる思いがするのであった。
宴会場では宴もたけなわの状態であった。
約2時間程の宴の席はとりあえず中締めの形でお開きとなったがこのままで終わらせるつもりはさらさら無い様であった。
若女将・北大路さつきも同伴の元で一同夜の京都の街に繰り出される話の段取りが有志らで進められていた。
だが席の主役の一人・東城綾はそれには同席せず編集者と共に予約しているホテルに一足先に帰る旨を伝えてきた。
基本的に一同は外村の用意した京都の高級ホテルに宿泊する手筈であったが綾だけは別のホテルで宿泊するらしい。
男衆らの無念の嘆きたるや凄まじいものであったがそれも致し方がないというものであった。
そんな綾の事を真中はジーッと見つめ続けた・・・。
やがてその視線に気付いたのか綾も黙ってそっと真中に視線を送り返す・・・。
二人の間には言葉の会話はなかった、だかその代わりに互いの視線が互いの意志を伝え合ってるかのように・・・。
時は12月23日午後9時半・・・その翌日は聖なる夜クリスマス・イブである・・・。
「ねえ、真中あんたこれからどうするの?」
振り返れば着物から私服姿に着替え直した北大路さつきの姿があった。
彼女もまた熱心なお誘いと折角の機会という事もあって店に無理を言いながらこれからの夜の一席には一参加者として
外村らに同行するようであった。
数台のタクシーに分乗しながら一同夜の祇園の街に繰り出していく。
芸者らの美しい踊りや接待を受けながら男連中は我が世の春を謳歌していた。
結局女性でこの席に参加したのはさつきのみで他の女性衆らは夜の京都観光へと繰り出したようだった。
さつきは真中の隣にデンと構えていたがいちいち外村が絡んできてはさつきに外村プロ入りを熱心に勧める。
その都度さつきは断るのだが突然何を思ったのか外村にある提案を持ち掛けた。
「そうねえ、もしも真中監督があたしを起用して映画でも撮ってくれるなら考えてもいいかなあ?更に言えばあたしを
愛人にでもしてくれたら何だってしてあげるんだけどなあ・・・」
さつきのあまりの爆弾発言に一同色めき立つ。
「勿論勿論、さつきちゃんの為なら何本でも真中に映画撮らせてあげるよ!うちがいくらでも金出すからさー。ああ、でも
出来れば愛人は俺でお願いしたいね。そら真中にはもうつかさちゃんがいるし浮気なんかさせれないだろ?その点俺は
独身で地位や金だってそれなりにだな・・・」
「あーら、ごめんなさい。あたしは真中さんに聞いてるんだけどお?」
そういってさつきは真中の左腕に手を掛けた。
真中の左肘にはさつきの大きく柔らかな胸の感触が伝わってきた・・・。
「真中・・・」
顔は笑っていたがさつきのその瞳は決して笑ってはいなかった。
そして真中の耳元でこう告げた。
「真中・・・あたし本気だよ・・・それに絶対誰にも言わない。真中に迷惑掛けないから・・・例え一夜限りの愛人でも・・・」
真中は黙って毅然に立ち上がって上着を羽織りながら答えた。
「さつき、ダメだぞ・・・冗談でもそんな事言っちゃあ。ここに来てちょっと飲みすぎたんだろう。外村が馬鹿なこと言うから
ヘンなノリになったんだ。・・・さあてスマン、俺はここらでお暇させてもらうよ。それじゃあ皆、さつき楽しかったよ。じゃあ
またな。さつき、また顔出すからな・・・それじゃあ、お休み」
「真中・・・・」
さつきは食い入る様な目で真中を見つめやがて絞るような声でそう呟いた・・・・。
真中は冬の祇園の夜の町に飛び出すとそのまま当てもなくぶらぶらと歩き始めた。
彼の胸中にはさっきまでのさつきの顔がぼやけて浮んでいたのかもしれなかった。
どれくらい歩いたのだろう、やがて真中は決断したかのように傍らの携帯電話を取り出してゆっくりと電話を掛け始めた。
その電話の相手先は東城綾であった。
「・・・東城、俺だ。まだ起きてる?君がよければ俺、今から東城に会いに行くから・・・」
時は12月23日午後11時10分を指していた・・・。
12月24日午前0時20分、この日は所謂世間ではクリスマス・イブと呼ばれる日でまたを聖なる日ともいわれている。
しかし非キリスト教社会の日本ではそれほど深い意味合いで捉えている人々は少なかった。
京都駅の正面玄関前でコートを着込んだ真中淳平は寒さに震えながら東城綾の姿を静かに持ち続けていた。
やがて彼の前に一台のタクシーが滑り込んできてその中から東城綾の姿が確認できた。
真中君!と彼女が駆け寄ってきた・・・。
二人はそのまま駅周辺のとあるビジネスホテルを訪れチェックインした。
サインの署名は慎重さから真中が偽名を使い書き込んだ。
ホテルに入りチェックインし二人で部屋の中に訪れる間二人は一言も会話も交わさなかった。
綾は小説の取材の為担当編集者と同じホテルに予約していたのだが真中からの電話を受けて適当な言い訳を
してからそこを抜け出してきたのだった。
真中がキーを回し部屋に入り綾もそれに続いてキーを閉めた。
その途端に真中と綾はお互いに激しく抱きしめあった。
「東城・・・」
「真中君・・・」
そして二人顔を見つめあいながらやがて唇同士を重ね合わせる。
そのまま真中は舌を綾の口の中に入れて力を込めながら唇を吸い始める。
じゅるるるーー、と音を立てて唇を吸いながら綾の舌に自分の舌を絡めあわせる。
綾の口元から唾液がこぼれていきそれが首筋にまでゆっくりと垂れていく。
真中は両手で綾の頭と肩を抱きながら、じゅるるるーーとイヤらしいほどの音をたてて嘗め回す様に口を吸い続けた。
じゅばーっ!、という音と共に真中はゆっくりと唇を引き離した。
互いの唇から混ざり合って出来た唾液の糸がつーんと伸びながらやがて真ん中から下へと垂れるように落ちていく。
「東城・・・」
真中は綾の名を呼ぶ。
「真中君・・・」
綾もまた真中の名を呼んだ。
綾の目は涙で溢れており頬はピンク色に染まり口元からは真中の激しいディープキスで唾液の固まった糸が大きく垂れていた。
真中は指でそっと綾の口元を拭ってやる。
それを見つめながら真中はその指を自分の口に含んで舐めた。
綾と自分の混じり合った唾液を味わいながら綾に語りかける。
「東城のキスとても美味しかった・・・。俺はもっと東城を味わいたい。君が好きだ、欲しくてたまらない・・・」
その言葉を聞いて綾の目元はますます涙で濡れてきた。
「・・・嬉しい、あたし初めて真中君から好きだと言ってもらえた・・・。ずっとこの時を夢見てた・・・。もう死んでもいい・・・」
「ああ・・・死ぬくらい東城の事を求めるからな・・・。俺、東城の裸を目にしたらもうどうなるかわからないから・・・」
綾はこくりと頷くがそれでもどこかまだ迷いがあるようだった。
「・・・真中君、本当にいいの?奥さんの事、後悔しない?・・・今ならまだ間に合うよ・・・」
真中はゆっくりと横にかぶりを振る。
覚悟は出来ていた。
これがつかさへの許されない背信行為なのは充分認識している。
その結果取り返しのつかない事になるかもしれないという事も理解していた。
だがそれでもいい、もう覚悟は決めたから。
俺は今日、東城綾を己の意志と欲望のまま抱くんだ・・・・、その決意の元、真中は綾の肩に手をやった。
それが真中からの次なる答えであった。
聖なる日を迎えた夜が罪深き夜を迎えようとしていた・・・・。
そのまま真中はまじまじと綾の胸を凝視する。
カラフルなセーターの下からその大きく豊かなお椀のような丸い肉の丘の固まりが食べてくれと言わんばかりの
自己主張をしていた。
真中は興奮のあまり少し息が出ていたかもしれなかった。
綾はといえばずっと見られてるのが堪らないくらいの恥ずかしさで真中から視線を逸らしていた。
(欲しい、たまらなく欲しい、東城・・・)
真中はもう我慢の限界にあった。
真中は綾の胸を両手でゆっくりと掴んだ。
びくん!と綾の体が反応する。
そしてそのまま顔を綾の胸の谷間へと沈めながら頬擦りをする。
鼻を動かしながら匂いを嗅いだ。
いい匂いが鼻腔に漂う・・・。
そこからは乙女の面影を残しながらも成熟したメスの女の匂いと背反するような温かな母の温もりをも漂わせていた。
綾の柔らかい胸の感触を真中は顔全体で感じていた。
そんな真中に綾はゆっくりと両手で自分の胸の谷間の中で沈んだ彼の頭を抱いてやる。
傍から見れば男の子が母親の胸で甘えているようなものだろうか・・・。
しかしそれは違っていた。
真中は甘えん坊の少年ではなかった。
そして今の真中は獣の如く激しい性のほとばしりの中にいたのだ。
真中は綾の着ているセーターをたくし上げその下の服のボタンを上から順番に外していった。
やがて目の前には白のレースのブラジャーに覆われた綾の大きな胸が顔を出した。
「ま、まなかくん!」
それまでされるがままだった綾だったが少し怯えた感じで真中の名を呼んだ。
そして真中の手を握りとって怯えた口調で話す。
「真中君・・・、その・・・今頃になって何だか怖くなってきて・・・」
真中は綾から全く視線を逸らさず真っ直ぐ捉えるように彼女を見つめている。
彼のその顔には何の迷いも無いように見えた。
そしてその目の奥の瞳の中にははっきりとした意志が存在した。
それは獣のように東城綾の体を己の欲しいままにするのだ、という鉄のような意志が・・・。
「なんだか・・・真中君が怖い・・・。何だかあたしの知らない真中君のようで・・・」
正直そこにはある種の怯えの様な表情すら浮べてしまう綾。
「・・・・それじゃあ、やめる?・・・・」
何だか拍子抜けするみたいなあっさりとした反応を示す真中。
しかし真中はわかっていた、少し怯えてしまいながらも彼女の体は熱を帯びながらはっきりと自分を求めているのだと。
綾は暫く黙りながらもやがてゆっくりと首を横に振った。
「い、いえ・・・ごめんなさい、大丈夫です・・・。真中君の好きにして。・・・でもお願い、優しくして・・・下さい・・・」
そう言って真中を見つめる綾。
真中は頷きながら握っていた綾の手をゆっくりと降ろしてそれを離して、ブラジャーに手を掛けた。
ホックは前側にある種類のものであった。
ホックに指をかけてパチンとブラのホックを外した。
そこからは白く大きく盛り上がった乳房が真中の顔に突き出すように揺れ動いていた。
先端の乳首は綺麗なピンク色に輝きながらつんと尖らしていてその周りの乳輪は実にいい具合の大きさであった。
真中は綾のその美しい大きな乳房に声も出ない程にただただ見惚れてしまっていた。
恐らくそのバストのサイズは優に90サイズ以上はあるだろうという大きさである。
高校でも大学でもその美貌と巨乳っぶりでいつも男衆の舐め回すような視線を無数に浴びてきた綾であった。
いつも恥ずかしくて堪らない思いをしてきたがそれでも、それでも大好きな真中になら見られてもいいとずっと思っていた。
そして遂に今日という日にそれが訪れたのだ。
ただそれだけでは無論終わらないであろう、真中淳平に不倫という代償を負わせながら自分は彼に抱かれる事になる。
綾もまた全ての覚悟を決めた・・・。
「東城・・・綺麗だ・・・本当に綺麗だ。堪らないくらい欲しい・・・」
そう言いながら真中は綾を寝かせて全ての服を脱がせその上に覆いかぶさりながらそのまま右胸の乳首を口に含んだ。
「あああ!」
思わず声を出す綾だが真中は構うことなく口に含んだ乳首を音を立てて吸い始める。
じゅじゅ、じゅるるーー、とイヤらしい程の音を立てながら口の中で舌も使って転がす様に乳首を味わう。
そして口を離して今度は左胸の乳首を口にして同じ様に吸った。
それは口を回すようにしながら吸い尽くすようであった。
互いの胸を手で押さえながら揉む様に力を加えたりして真中は交互に綾の乳首を嘗め回して吸い続ける。
その間綾は黒髪が絡んだ左手の人差し指を付着させたように口につけて閉じるようにしていた。
それでも吐息はどうしても漏れるのだがなんとか喘ぎ声を出すのを必死に耐えてるようにも見えた。
ただ綾の乳首が力強く吸われる音だけが部屋の中で静かに響いていた。
やがて真中は乳首を吸うのを止めて代わりにその巨乳をたっぷりと揉み始める。
散々真中に吸われた乳首は唾液でべっとりと濡らされながら余計に艶やかに輝きを増した。
真中は胸を捏ね回すように揉みながら今度は両手の親、人差し指を動かして綾の両乳首を摘みはじめた。
ほんの小さなビー玉くらいの程好い大きさで指で摘むには絶妙なくらいの実に綺麗な突起の仕方をしていた。
両方でくり、くりと指で摘んではイヤらしく転がす様に動かす。
それまで必死に黙って耐えているようだった綾であったが真中の激しすぎる愛撫でもう声が喘いでしまう。
しかし真中はその手の動きを全く弱める事無く乳房と乳首を交互に揉みいじる。
「ああ、んんん・・そ、そんなにされたら・・・おかしくなる・・・うう、あああん!」
「・・東城・・・感じてるならもっと声出せよ・・・」
真中は綾が必死に耐えている姿に愛おしさを感じながらももっと感じさせ声を出させようとしているようであった。
それで自分がもっともっと興奮するであろうから・・・。
そして限りなく獣のように荒々しく綾を求めたいのだから・・・もっともっと綾の事を・・・。
「東城・・・それじゃあ、ちょっと目をつぶって・・・。俺がいいと言うまで目を開けちゃ駄目だぜ・・・」
胸への愛撫の動きを止め真中は綾を優しく諭すような口調で言う。
「・・・・ハイ・・・」
綾は真中の全てを受け入れるためなのか、それとも諦念な心境なのか真中の言葉に従い目を閉じた。
真中はゆっくりと自分のズボンとトランクスのパンツを脱いだ。
そこから現れたものはギンギンに天をも貫く様に血の滾ったペニスの一物だった。
そしてそれをそのまま綾の大きな胸の谷間の中へと沈めた。
綾の体がぶるん!と一瞬震える。
「いいよ、東城・・・目を開けて」
綾がゆっくりと目を開いたのを確認してから真中は胸を両手で真ん中に寄せながらそのまま胸の谷間の中で挟まれた
ペニスを上下に動かし始めた。
「ま、まなかくん!ちょっ、やあ!そんなあ!」
綾は真中のその突然の予期せぬ性行為に驚きを隠せずに叫んでしまう。
だが真中はお構い無しに滾りきったペニスのピストン運動を続ける。
その胸に挟まれたことによる摩擦からか谷間のペニスからは汗ばみながらキュッ、キュッ、と実にイヤらしい音を立てる。
真中は東城綾の胸で生まれて初めてパイズリをした。
同じ様に綾も真中淳平のペニスによって生まれて初めてパイズリというものをされた。
真中は昔アダルトビデオでこのような性描写を初めて目にした時に物凄い性衝動を覚えた事をはっきり記憶している。
いつか自分もしてみたい・・・、そう思いながら今まで一度もそんな体験する機会がなかった。
世界放浪時に様々な国々で巨乳女でも買ってセックスする事も出来ただろうが真中は一切そんな真似はしなかった。
何故なら彼の心の中にはいつの日か再会すべき大切な人がいたから・・・。
・・・そして妻のつかさとのセックスでもせいぜいフェラチオまでが限度であった。
彼女の胸のサイズでは少しその行為を行うのは難しいものがあった。
「あたしの胸がもっと大きければ、淳平にも胸でしてあげれるのに・・・」
以前のセックスの時つかさは真中のペニスを口で愛撫しながらふとそんなセリフを言った事があり真中は大いに驚かされた。
それが真中の為に常に抱いてしまっているつかさのコンプレックスであったのだった。
綾自身女性の胸でそういう行為をする事がある、という事実を何となく知ってたが今までそういう体験をする事がなかった。
天地と付き合いセックスまでするようになっても天地はそういう真似はしなかったし綾も自分からそれをやる事などなかった。
しかし綾は自分でも気付いていた・・・。
心の奥底の中で自分はずっと真中淳平になら何だってしてあげたい、またそんな風にされたい、と望んでいた事を・・・。
再び真中と出会い天地と別れたその時からずっとそう思い続けていたのだ・・・。
「ああ・・やはあ!・・・ま、まなかくんだめえ、やあ、恥ずかしい、・・・ああ、あたしもうおかしくなる・・・んんんん!!」
口でそう言いながらも綾は体の底からもう快楽を感じまくっていた。
胸から愛しの真中のペニスの硬い感触がいやらしいくらいに伝わってくるのだ。
真中は動かしながら綾の乳首をペニスの根元から亀頭の部分へと交互に弄る様に触れさせる。
それによりなお一層ペニスが興奮し元気になっていく。
(凄い、東城の胸・・・大きくて、柔らかくて、温かくて・・・東城・・・綾、もう・・・俺・・・)
真中はもう我慢の限界にあった。
東城綾の胸で真中淳平は生まれてはじめてのパイズリをし、そして今クライマックスの瞬間を迎えようとしていた。
(うううあ、い、イクううう!!、あ・・・綾あ・・・・)
そして真中のペニスは綾の胸の谷間に挟まれながら射精した。
物凄い量の白濁した精液を勢いよく射精させた。
飛ばされた精液は綾の谷間から顔から前髪までへと及ぶ。
たっぷりと真中は絞り込むように射精をし終えた・・・。
綾の端正な顔は真中の精液によりグジュグジュにされていた・・・。
射精し終えてやや放心したような真中であったがやがてハッとして慌ててベッドに置かれたティッシュの箱を手にする。
自分の精液で東城綾の顔を汚してしまった・・・、そう思いながら彼女の顔についた精液を拭い取ろうとする真中。
だが綾は自分の両掌でその付着した真中の精液を丁寧に拭い取りながらそれをすくう様にして舌で舐め始める。
チュプ、チュパと目を閉じながら綾は掌ですくった白い精液を舐めながらやがてその塊をゴクリ、と飲み込んだ。
「東城・・・」
真中は綾の名を呼ぶ。
綾の口から喉元を通じて真中の精液の塊が飲み込まれていった・・・。
「生暖かくて、苦いね・・・」
綾は頬を赤くして照れた様子でややうつむいたままそう答えた。
真中は体の心から再び情欲が迸ってきているのを感じていた。
無理矢理胸でパイズリした挙句射精した精液の塊をそのまま飲み込んだくれた綾にたまらなく愛おしさが湧きながらも
更にもっともっと無茶苦茶にしてやりたいとさえ思うのであった。
気が付けば真中のペニスは再び元気さを取り戻してきている。
「東城、俺と結ばれよう・・・」
そう言いながら真中はゆっくりと綾のロングスカートに手を掛け脱がし始めようとするが途端に綾がそれを制止した。
「やあ、ダメ!」
今更どうしたと思う真中だがふとある事に思いが至った。
「東城、いや、綾・・・ひょっとして俺の為にあのパンツを穿いてきてくれてるの?」
突然綾と下の名で呼ばれた事もあるがズバリその事実を指摘され綾は驚き赤面してしまう。
そう、綾はこの日再びあのいちごのパンツを身に着けてきていた・・・。
ホテルへ帰ってきていた綾の携帯に真中から電話が掛けられて、今から来て欲しい、と告げられた時綾は少なからず
パニックに陥っていた。
彼女は既に一度シャワーを浴びていたが再びシャワールームに入り寝間着、下着を脱いで熱湯でじっくりと胸や脇、
そして陰部を丹念に洗い流した。
入浴後タオルで体を拭き取り穿いていたパンティーに手をやり眺める。
黒のクロッチ型のレースパンティー・・・所謂勝負パンツと呼ばれたりしているセクシーな大人のパンティーである。
だが結局それを穿かずに彼女は旅行バッグの中から下着袋を取り出しそこからあのいちご柄のパンツを手に取り穿いた。
「俺、東城に見惚れちゃったよ・・・。あのパンツだって大好きだから・・・初めて出合った時からね・・・」
あの時の真中のセリフを思い出しながら彼女はいちごのパンツを勝負パンツに選んだのだった・・・。
そして一通り服に着替えると鏡の前に座り唇に薄いピンクの紅を塗り軽くファンデーションを施した。
普段はあまり化粧などしない綾であったが(さほど化粧に頼らなくとも普段から綺麗な肌をしていたから)今日この日は
特別な意味があり化粧をしたのだ。
それは少しでも美しい自分を見せたいという女の性でありまた運命的一日に捧げる一種の彼女なりの儀式でもあった。
真中からの指摘を受けて押し黙ったままの綾であったがそれが余計に真中の心に火をつけてしまった。
そのまま思いっきりロングスカートを脱がしそこからはあの愛しのいちご柄のパンツがひょっこりと顔を出したのだ。
真中はパンツの盛り上がった部分を指でつんつんと突いてみる。
綾は、やあ!と反射しながら声を出し足を閉じて股の部分を隠そうとする。
しかしそれを真中はゆっくりと両手で広げながら右手をパンツの中に入れ込んで弄りだした。
「や、やあ!そんな、・・いやあ!」
声を出してしまう綾だが真中の指の動きは止まず彼女の陰唇の割れ目の中に指をかけてまた入れ込んだりする。
「いやぁ・・・だ、だめえ、まなかくん・・もうやめてぇ・・・」
綾は懇願するような涙声ですがってくるが真中は今度は左手でパンツの股布地部分を上に引っ張り上げる様にして
今度は右手でその下部分を同時で引っ張り下げる。
そこからは丁度陰部の割れ目の部分だけは隠された形でその周囲の黒々とした綾の剛毛の茂みがテカテカと顔を出す。
「東城、凄いね・・・こんなに毛深いんだ・・・」
綾は手で顔を覆いながらシクシクと泣いていた・・・あまりの恥ずかしさに耐え切れなくなってしまったのだ。
綾を苛めてしまったようで不本意だがそれを含めて真中は興奮の度合いを最高潮に増していくのだった・・・。
真中は綾の剛毛の茂みの中に指をくゆらしながら彼女のピンク色に輝く淫唇のビラをおもむろに拡げた。
「ああっ!だめぇ!」
さっきまで自分の顔を覆っていた手で慌てて股間部分を隠そうとするがもう後の祭りだった。
真中によって拡げられた綾のピンク色の陰部の奥からはドクドクと愛液が零れ始め周りを濡らしていった。
綾の黒い陰毛の茂みは愛液で濡らされていきまるでツヤツヤに輝く朝露のようであった。
真中は指で陰毛を絡め取りながら優しく弄りながらも不意にそれを力強く摘み引っ張り抜いた。
「やあっ!」
反射的に綾の声が響きながら同時にブチッ!という音と共に綾の約十本ほどの陰毛が抜かれて真中の指で
イヤらしいくらいの感触と陰毛独特の毛並みを保持しながら艶やかに黒々と色づき輝いていた。
その勢いで真中は再び陰部を指で拡げながら舌を入れて滴り落ちる愛液を含むように綾の性器をクンニし始める。
ちゅぴ、ちゅぱ、ちゅぷ、じゅるるるるる・・・・・・、と両手で綾の尻を掴み上げて上側から舐めズリするように。
「やあっっあああーーー、まっまなかくん、いやああっ・・・そんなきたない・・ああはっ!!」
綾はあまりの恥ずかしさから絶叫してしまうが真中はお構いなしであった。
性器の中部分からその周りのビラ部分にクリトリスや陰毛部分までも丹念に舌と唇を遣って使ってクンニしていく・・・。
綾はほとんど放心状態のような顔になっていた。
陰部は申し分ないくらい汁を漂わせ濡れていた。
もうこれで充分だろう、いよいよ俺のを挿入しても、と真中は心を決めて自身のギンギンに勃起し荒々しく鎌首を
そそり揚げるかのようなペニスをゆっくりと綾の性器に挿入し始める。
「来て・・・真中君、無茶苦茶にして・・・」
放心状態から一転して綾は清清しいほどの笑顔で真中にそう微笑みかけた。
初めて会ってから運命的なまでに心引かれ好きになっていったあたしの初恋の人で永遠の想い人真中淳平さん・・・。
学校の体育館、合宿の時の山小屋・・・あなたと遠慮がちに体が触れ合いながらあたしはその瞬間を燃えてしまう程の
激しい熱情へと駆られていました・・・。
暗闇の中であなたとキスしてしまうくらいに上下に重なり合ったあの日・・・。
あなたに脱げと言われるままに服を脱いで背中越しに会話したあの日・・・。
雨で濡れ下着が透け破れた体操服の上着をあなたに見つめられたあの日・・・。
もうただの良い思い出で終わる物だと思っていた・・・。でも遂に今あたしがずっと望んでいたであろうその時が来た・・・。
自分やこの人の沢山のものを犠牲にしてしまうであろう罪深きその望みが・・・。
そしてその瞬間真中のペニスがゆっくりとだが確実に綾の膣の中に入った。
「くっ・・東城、すごくキツいよ・・・」
綾のその想像以上のキツイ締め付けに真中は顔をやや歪めながらもゆっくりと快楽の息吹が広がっていく。
真中は挿入したまま暫くそのままの状態でいたがやがてしっかりと前後にピストン運動を開始していった。
彼が動く度に綾は吐息を洩らしながらペニスから伝わってくる快楽の波に狂わされていく。
「あっ、はあ、はっはっ・・ふああっ、んあっあっあっあっあっあっああん!・・・真中君・・・あたしたち結ばれたんだ・・・。
あたし・・遂に真中君と結ばれたんだね・・・」
綾の目からドクドクと流れ落ちる涙の雫はきっと今まで彼女が流してきた最高の喜びの涙であっただろう。
「んああっ!ああっん!いい、あう、ああっ・・キモチいい・・・」
綾は一人の女の本能としてのメスの如き性のほとばしりの中に深く沈んでいった。
真中もまた荒ぶるペニスの固まりを綾の膣の中一杯にしたまま獣が乗り移ったかのように激しくそれを動かしていく。
真中のペニスを綾のピンクの膣璧が周囲を力強く覆ってやりながらリズミカルにそれはストロークし続けていく。
正常位のまま股間が結合し合い二人は上下に向かい合って互いの体の感触を実感する。
真中は綾の大きな巨乳の柔らかい感触を、綾は真中のがっしりと成長し若干の胸毛を持つその胸板の感触を・・・。
胸毛のちくりとする感触に触れ胸板に潰される度に綾の胸がプニュプニュと大きく揺れていく。
綾は彼の肩に両手を回しながら耳元でこう呟く。
「・・・ま、なかくん、・・・また、胸、吸っていいよ・・・」
その言葉を受けて真中は再び両手で綾の巨乳を弄りながら美味しそうな音を立てて交互に乳首を吸い始める。
「ああん!あっ・・してぇ・・もっと・・・あなたの顔を胸で感じたいの・・・」
どれだけの長い長い交わりが過ぎたであろうか、二人はいよいよ絶頂の時を迎えようとしていた。
「・・・真中・・くん、気持ちいい?・・・あたしの中・・んっ・・」
絶頂の中で彼女の背中がふいに仰け反る。
綾の膣の中で真中のペニスはどれだけの絶頂の波が襲ってきただろうか。
そのいずれかをも撃退し更なる励みを続けていた真中であったがいよいよ我慢の限界の時がきていた。
だが、だがイクのであればどうしても綾と一緒に・・・真中はその一念の為だけでそれに耐えていた。
(東城綾と同時に絶頂を迎えながら、俺は綾の膣の中、奥深くに射精するんだ、たっぷりと・・・・)
「ああ・・あたしもう、だめぇぇ、真中・・くん・・・もうダメェ・・・もうイってしまう・・おねがい、出して・・出して・・・。
あたしの膣一杯に・・」
綾がもう果てる寸前のような涙声でそうすがりながら絶頂寸前の中彼女の背中がふいに仰け反る。
「ああ・・・東城、もう俺・・もう我慢できないっ、よ・・・イキ・・そうだっ・・・ああ!・・んんん・・・・」
そこで彼の限界点が破られた。
真中淳平は東城綾の膣の中一杯に射精をした。
ドグン!ドグン!ドグン!と波立つような勢いで射精し続けた。
それは二度目の射精とは思えないほどの量の精液が流し込まれていく・・・。
「・・・んああああああっっっ!、・・・まなか、くん・・・・」
部屋中に綾の絶頂の響きが木霊していった・・・。
全ての射精を終えた時真中の顔は綾の胸の中にぐたりと沈んだ。
そして二人はベッドの中で果てていった・・・・。
性の営みを終えた後、真中は下半身にバスローブを巻いたまま狭いバスルームの中のバスタブに湯を入れていた。
部屋中に暖房が充分に効いていたのだがやはり寒い冬の最中にはシャワーよりも熱い風呂の湯が一番であった。
10分たらずでバスタブ一杯に湯が敷き詰められた。
その間綾はベッドに横たわりながら真中とのセックスの余韻に浸っているかのようであった。
「東城、風呂沸いたよ。先に入って」
真中は綾に先に入浴するように催促する。
綾は素っ裸のままベッドの上で正座しながらヘヤピンなどでその黒く長い髪を巻きながらたくし上げる。
その時に見えた彼女の首筋の白いうなじに真中はドキッとさせられる。
それは古風な日本女性特有の艶やかでセクシーな色気なのかもしれない・・・。
綾は両手でその大きな胸を隠すようにバスルームの中に消えていったがやがてそこから首だけを出すようにして
部屋の方に戻った真中に、よければ一緒にいかがですか、と誘ってきたのであった・・・。
真中と綾は狭いバスタブの中でお互い足を伸ばし向き合ったまま一緒に風呂に浸かっていた。
二人とも何だか照れくさいようで無言のままうつむいたり見つめあったりしていた。
真中はなにか話し掛けようと綾を見つめるがその視線は首から下の胸の部分に行ってしまう。
眼前では湯の中で艶やかにピンク色に色づいた乳首を起たせながらその迫力のあるたわわな巨乳の房をまじまじと
見惚れる真中の股間は瞬く間にそそり立つのであった。
ああっ、と勃起した事に慌てる真中に気付いたのか綾もまた彼の湯の中で原始的にそそり立った一物をみる。
「真中君・・・また大きくなってるね・・・」
綾からの指摘に真中は自分が何だか情けない気がしてバツが悪くなった。
そんな真中に綾は大胆すぎる提案をしてきたのだった。
「真中君・・・よければ、その・・・またあたしので・・・します?」と・・・。
バスタブの上に座りながら真中は足を広げてその高々とそそり立つペニスを彼女の前に晒し出す様にする。
バスタブの外に出た綾は正座をしながら彼の前へと座り眼前で鎌首を立てた様な真中のそそり立つ一物をそのまま
自分の大きな胸の谷間の中へとしまい込んだ。
そして両手で胸を押さえながら谷間の中のぺニスを刺激するようにゆっくりと動かしながら乳圧を与えていく。
うううっ、と思わず真中は声を出してしまう。
大丈夫?と綾は動きを止めて尋ねるが綾は彼が気持ちよさから発した喘ぎ声だと分からなかったようだ。
いいよ、続けて・・・、と真中に催促されて綾は目を瞑りより一層動きに力を入れながら谷間から顔を出してる亀頭の
部分を舌の先でつつくように舐め始めやがては口に含んだりし始める。
綾のパイズリフェラで二度も射精したはずの真中の性の息吹が再び奥底から湧き上がってくるようであった。
綾の胸の中で真中のペニスはもうはちきれん程に真っ赤に肥大していた。
谷間からはシュッ、シュッ、シュッという摩擦による音がしてペニスの先端からは綾の舌で舐められる事により
チュバッ、ジュバッと唾液を含んだ実にイヤらしい音を立てる。
「ああ・・と、とうじょう、もう・・イ、イキそうだ・・・」
あまりの気持ちよさに真中は昇天してしまいそうになる。
ぐあっ!と体の奥底が震えた瞬間、真中はまたしても射精した。
白く粘ついた精液を勢いよく綾の顔面にぶっかけてしまうのであった・・・。
三度も射精したなんて本当に珍しい・・・、と真中は風呂から出てベッドの中で横たわる東城綾を抱きながら考えた。
妻のつかさとのセックスでも大抵は二回どまりだったりであった。
セックスの相性は間違いなく東城綾に軍配を挙げざるを得ない真中であった。
「なあ、あんなにバカみたいに東城の胸ばかりでやっちゃって・・ゴメン」
真中は申し訳ない気分で謝るが綾は微笑みながら受け流す。
「あたしこそ、真中君に喜んでもらえたならこんなに嬉しいことない・・・」と。
それから二人はいろんな思いを巡らして沢山の事を語り合った。
これからの事、仕事の事、そして真中の家庭の事など・・・。
ただその中で綾はポツリと自分の立場を見据えた上でこう答えた。
「あたし、一つだけハッキリしてる事がわかってる。それは必ず犯した罪は罰されるという事。あなたたち夫婦の幸せを
踏みにじった報いは必ず受けるだろうという事を・・・。でも、でもそうなっても後悔はしないという事も・・・。罪悪感を
ずっと抱きながらもあなたとこうやって結ばれた事であなたへの想いを成し遂げれたんだって・・・」
それは真中もまた同じであった。
妻への確信的な背信行為に言い訳する余地はないだろう・・・。
もし彼女に知られた時俺もまたどんな報いでも受けよう、と真中は誓った。
それでも彼はこうやって東城綾と逢引して互いの愛を確認しあいながら交わり合いながらも今もこうして妻のつかさの
事を変わらず愛し想うのであった・・・。
(つかさ・・・俺は・・・東城と・・・・)
PART.9
外村プロの3人組新人アイドルグループの京都編PV撮影はイブのその日のうちに執り行われた。
「どうもよろしくおねがいしまーす!」
彼女たちは皆元気でとても礼儀正しく現場での呑み込みも早くて撮影自体はとてもスムーズに進んでいった。
真中は観察しながら気付いたのだが彼女たちは関西出身でありながら全く関西弁で喋らないようであった。
それでも話の節々に多少訛りなどが感じられたりはしたもののさほど気になるものではない。
オーディション等で外村に発掘され彼に口説かれるまま一年ほど前に上京してきて都内の芸能人ご用達の
有名私立高校に通っているのだという。
「彼女たちは今のウチらが将来の国民的正統派アイドルとして一番力入れてる娘たちだからね、その分躾や教育は
かなり厳しくやっている・・・」
現場を見つめる外村の顔はいつになく真剣であった。
それくらい会社ぐるみで力を入れている証拠なんだろう、と真中は思う。
主なロケ現場は京都を代表する神社仏閣に歴史的建造物やそれに祇園などの町並みなど多岐にわたる。
真中としては可能な限り京都という街全体を利用してその幽玄漂う独特の空間美を描く事にこだわったのだ。
それによって彼女たちそのものの存在感を下げる事無いように充分に配慮を加えながら・・・。
PVロケは明日以降舞台を大阪、神戸へと移していく。
神戸での撮影が終われば今回の真中の仕事は一旦完了ということになり後は東京に戻り編集作業を残すのみだ。
「お前あれから一体どこにいってたんだ?」
クリスマス・イブ当日の12月24日の午前9時に真中は外村らの待機する高級ホテルへと出向いたが外村から開口一番
そうぶつけられた。
真中自身も本来外村らと同じホテルでの宿泊になっていたのだが結局何の連絡もなかった事に外村は少し不信感を
抱いてるのかも知れなかった。
ちなみに他の同窓会メンバーらとは先ほど外村が別れの挨拶をして機会があればまた場を設けようという事になった。
年の暮れという事もあってか何人かはバタバタと東京行きの駅や空港に向かったが折角の京都という事で暇がある
連中らはそのまま京都見学をしたり中には撮影現場を覗かせてくれという者まで現れたが何とかそれはお断りさせて
もらったそうだ。
「いや、本当に悪い・・・あれからちょっとさあ、いろいろ思うことあって一人で酒飲んだりしてて気が付いたら近くの別の
ホテルに泊まってた・・・。なんかよく憶えてないんだよ・・・。でも仕事には全く支障ないから・・・本当にスマン、外村」
そう詫びながら真中は予め考えていた嘘を告げた。
東城綾と再会を決めた一夜、あれからは携帯の電源を切ってまで外部との連絡を遮断することにしたのだ。
それはもう何としても彼女と完全な一夜を過ごす為だけにあった。
「お前、携帯の電源まで切っていたからな・・・。わざわざ何でそこまでしやがるんだ、と考えてもしまうよ」
そう言いながら外村は腕を組んでなにやら難しい顔をしていたがやがて何か真剣な眼差しで真中にこう問いただした。
「真中、間違ってたら悪いが・・・・お前、あれから東城と会ってたんじゃないのか?いや、それ以前からお前たちは
知らないとこで二人だけの関係を持ってたんじゃないのか?」
真中は絶句するほどの驚愕を覚えたが辛うじて表面上は平静さを保った。
「ま、まさか・・・違うよ」
真中はそう答えるしかなかった。
「そうか、まあそれならいいんだけどな・・・。ただ正直俺としては心配でもあったんだ。以前にお前と飲んだあの夜に
俺は東城のあの話をしただろう?横でお前を眺めていたがとても難しい顔をしていた・・・。その後お前の例のあの
映画に東城もシナリオで参加するって聞いた時正直胸騒ぎ覚えてな、結局お前は東城を選ばずに今の奥さんの
西野つかさちゃんを最終的に選んだ。でもさ、高校時代からお前を見てたんだけどそのな、俺は最後お前はきっと
つかさちゃんではなく東城の方を選ぶんだろうな、と思ってたんだ・・・。まあ俺の読みが外れたって事になった訳
だけど何だろうな、お前たち二人の歯車がちゃんと合ってさえしたらやっぱひょっとして」
「外村」
真中ははっきりとした口調で彼の話を遮る様にして名を呼んだ。
「お前や皆には本当に悪かったと思ってるよ。俺もどうかしてたんだろう・・・。でもはっきり言っておくが俺たちには
そんなやましい間柄はないから。余計な心配だよ」
真中は断言するようにはっきりと言った。
まるで自分にもそう言い聞かせるかの様に・・・。
「わかった・・・スマン、変な事聞かせて・・・。第一東城だってもうお前のことは吹っ切っているはずなんだしな。仮に
今でもお前のことを想っていたとしてもそれはあくまで過去の思い出としてだろうし・・・」
そこにドンドン!とドアをノックする音が響いて返事をする間もなく小宮山が入ってきた。
「社長、それに真中、撮影隊の準備整ったから。それでさあ真中も何回もミーティングやってきてるけど今日当日なんで
一応皆の前で挨拶なり頼むわ。・・・あっと、それからな、実はさつきちゃんがわざわざここに会いに来てくれてんだよ!
だから出発前に俺らだけで会っとこうぜ!」
ホテルのロビーでは和服姿のさつきが三人組を出迎えた。
久しぶりの再会を果たしたばかりだというのに彼らとは仕事の為もうお別れになるのだ。
せめてまた挨拶がしたいとわざわざ顔を出してくれたのだった。
外村は世話になった礼を言いながらこれからも個人的にも頻繁に顔を出させてもらうよ、と言う。
やはりまださつきの事を諦めきれていない往生際の悪い外村であったが何だか微笑ましくもある。
その時は俺も同行するから、と小宮山。
二人とはくだけた感じで接したさつきだが真中の方に振り返るとその顔はしゃきりと真剣なものになった。
「真中、昨日はあれからごめんね・・・あたしも久しぶりに会えたこともあってあんなに馬鹿なとこ見せちゃって・・・。
本当はもっと沢山お話したかったんだけど・・・ねえ、また会いに来てね。その時はつかさちゃんも一緒で・・・」
そう言いながらさつきは真中にグッと近づいてきてその柔らかい手で真中の服を掴むような姿勢で
一瞬抱きかかえられるかのように体を寄せてきた。
そして真中の耳元にまで顔を向けながら彼にしか聞こえないくらいの涙ぐんだ様な小声でボソリと呟いた。
「・・・まなかぁ・・・なんか真中の体から、東城さんの匂いがするよお・・・・・」
「お帰りなさい、淳平。大変だった?」
全ての新作PVの撮影を終えた真中はその翌日に飛行機で東京に戻りその日の夜つかさの待つマンションへと帰ってきた。
「ああ、ただいま・・・いろいろ疲れたけど、今年の仕事はもうこれで終わりだから年が越すまではまあ少しのんびり
やらせてもらおうかな・・・」
新年を迎えてからの年初めから外村の元に通って最終的な映像チェックと編集作業に携わる事になっているのだ。
その作業も長くても一週間あれば終わるだろう。
「あたしももうクリスマス商戦の時の激務でもうクタクタになっちゃった。明後日からはお店もお休みになるからゆっくりと
できるわ・・」
つかさも先日までのクリスマス商戦では大変な労力を使わされたらしい。
そんな会話を交わしながら真中は大型旅行鞄の中から京都でつかさの為に買ったお土産を渡した。
それは現地の茶菓子と舞妓用の高級髪飾りであった。
「うわぁー、凄い綺麗!これって向こうの舞妓さんたちが頭にしてるのだよね?高かったんじゃないの?」
つかさはそのコーム仕様の髪飾りにすっかり魅了されてしまっていた。
真中が京都の初日の空いた時間帯で土産通りをぶらついていた時にとある老舗風の店でなんとなく物色していて時に
目にした物でこれはつかさの髪に似合いそうだ、と思い衝動的に購入したのだ。
ただしつかさが指摘するほどの高い買い物というほどでもなかったがとにかく気に入ってくれたなら結構なことだ。
「新年のお参りにでも行く時は着物でこれを頭に付けて行こうかなー」
なんだかすっかりその気になってしまっているつかさが可愛らしく微笑ましかった。
「ところで淳平、23日の深夜に電話したけどなんで電源消してたの?あの時間帯はロケなんかしてなかったでしょ?
あたしイブ前日だったからその日は11時くらいまで店に残って仕事してて寝る前にちょっと電話して声が聞きたいなと
思ってかけたんだけどね」
つかさからの突然の予期せぬ問いに真中の体は一瞬ブルッ!と震えてしまった。
外村だけでなくよりによってつかさからまで電話があったなんて・・・。
しかし次の日にこっちから電話した時はそんな事なにもいわなかったじゃないか・・・、真中はそう訝しがる。
「まあ、お仕事の事もあっただろうしそれに同窓会の仲間たちとその頃はよろしくやってたんだろうし無理もないか・・・」
(つかさ・・・俺がその時一緒にいて、よろしくやってたのは・・・)
こうやってつかさの元に戻り他愛のない会話を交わしている時間が自分にとってどれだけ幸福なものかよく分かっていた。
それが分かっていながら自分は自分の意志のまま、その幸福なる関係を破壊しかねない行為をしてしまった・・・。
イブの日を迎えた俺は東城綾を誘い、彼女の意志を得て彼女とセックスをした・・・・不倫したんだ・・・・。
あの日あれから真中と綾は同じベッドの中で眠り一夜を過ごした。
互いの結ばれた事への喜びとそれに伴う罪悪感とを共有しながら・・・。
朝の7時に真中が目覚めた時は綾はもう起きて服に着替えていた。
そしてこれからの事、次に再び会う時の事をじっくり話し合ってから綾は先に一人でホテルを出ていった。
真中も二人のこれからの事をじっくり考えるよりも本来仕事で訪れている制作現場の事を思い出して大慌てで
服に着替えながら8時過ぎにはホテルをチェックアウトしてすぐさま外村に連絡の電話を入れたのだ・・・。
「ちょっと、淳平大丈夫?」
つかさに顔を覗かれながらようやく現実に引き戻される真中。
「ねえ、最近時々ボケーとしすぎる時あるよ。まあ昔からだけどね・・・。ところで東城さんや北大路さんとも向こうでは
会ったんでしょ?北大路さんは元気そうにやってた?あたしもいろいろ懐かしいから・・・」
矢継ぎ早にいろいろと質問してきてはエプロンを羽織ながらそさくさと夕食の支度でキッチンに入っていくつかさの後姿を
見ながら真中の体の奥からは沸々とあの日の獣のような情欲が再び蘇ってきたのだった。
何故だろう?・・・つかさの顔、声、そしてその体のライン全てから彼の情欲を刺激するような何かが発散していた・・・。
下の引き出しから何か調味料でも探すのかつかさはよいしょ、と言いながら器用に上半身を下に曲げながら引き出しの
中を探しながらその形のいい尻を真中の方へとつんと突き出した。
つかさは昔から短めのスカートをよく愛用してこの日も普通にそれを着用していた。
体を曲げ尻を突き出した時のスカートの中から純白のタンガのパンティが顔を覗かせる。
外周りがギザギザで腰下から尻の割れ目上部分までがおしゃれな螺旋柄模様で覆われそこから下の陰部の部分だけ
ただの薄い白布地だけで構成されているその純白のパンティが更に真中の情欲を挑発してしまった。
真中は小声でつかさの名を呼んだだろうか、そのままおもむろに立ち上がりキッチンに足を踏み入れてそのまま彼女の
背後からエプロンの下に手を入れるようにしてその胸を思いっきり鷲掴みにした。
「!!」
突然の出来事につかさは一瞬何が起こったのか理解するのに手間取った。
その間にも真中はつかさの胸を力いっぱいこねる様に揉みなが彼女の首筋部分にキスしながら舌を這わせていった。
「じゅ、じゅんぺえ!突然なにするんだよ!」
つかさは声を荒げて真中を制止させようとするが無駄であった。
つかさのか弱い腕の力では真中の鍛えられた腕の力を振り解けたりはできない。
真中は片手で起用につかさのエプロンの緩い結び目を外し下ろしながら彼女のスカートまでもを力いっぱいに
剥ぎ取ってしまった。
それから今度は自分のズボンのボタンに手をやりながらこれも器用に外してファスナーを下ろしズボンをズリ落として
自分が穿いているトランクスのパンツの布越しからギンギンに勃起したペニスをつかさの純白パンティの薄い陰部と
股部分の間に入れ込んでそのまま前後に動かし始めた。
「やあ・・・いやあっ・・・こんなの、ごしごしされてぇ・・・・やめて・・じゅんぺえ、こんなふうにしちゃ・・やあぁっ・・・」
つかさは涙声になりながら必死に真中に止めてくれと懇願するがそれが逆効果になる程余計に真中を興奮させてしまう。
真中の素股プレイは激しさを帯びてそのまま真っ赤に染まったペニスの亀頭部分の前後が遂にはトランクスの放尿用の
穴からニュッと顔を出してしまった。
亀頭先端部分がつかさのパンティの布地に直接絡み充分に摩擦し始めてから真中の股間の奥から熱い塊の様なものが
こみ上げて来た。
「ああー・・ああー・・・ううあっ・・・ああーー・・・」
真中は振り絞るような喘ぎ声と共に思いっきりつかさの両足で挟まれた股間の中で精液を射精した。
大量の粘ついた白い精液の汁の塊がつかさの股間周辺をベトベトに汚していった・・・。
「ううっ・・・ううっ・・・なんで、こんなことするんだよ・・・・」
つかさは泣きながら射精して昇天しているかのような真中の事を責めずにはいられなかった。
いきなりこんな風に無理矢理されるのはイヤ・・・したいって言ってくれればちゃんと好きなようにさせてやげるから・・、と。
真中はつかさの股間から射精し終えて萎えたペニスをゆっくりと引き抜いたがそれによりパンティの一番柔らかい部分を
精液で余計に濡らしてしまう羽目になった。
両手はまだつかさの胸をそのまま握っていた。
彼女の灰色のタートルニットの服の上からその柔らかに膨らんでいる乳房の丘を手で押さえつけていた。
あの東城綾の大きな胸と比較してしまえばどうしてもつかさの胸は分が悪いものがある。
でも今こうして真中が握っているつかさの乳房の丘は他の誰の胸よりも愛おしく思えてならなかった。
「じゃあ、つかさ・・・お前が欲しいから、だから今からしていいかい?ちゃんとさせてくれるかい?・・・」
再び欲情を覚えてきた真中はこんな状況下でありながら大胆にもつかさにセックスを求め始めた。
「・・・・」
つかさは無言のままだった。
それでも真中はつかさの胸をそっと握ったまま彼女の返答を待つ続けながらもう一度首筋にキスをした。
どのくらい時間が経過しただろうか、つかさが左手で顔を拭いながら答えた。
「わかった・・・いいよ、淳平・・・」
真中はつかさを抱きかかえながら寝室へと入りそのまま彼女をベッドの上に寝かせつけた。
短いそのスカートはくるりとめくられる形で純白のパンティが眼前に顔を出す。
パンティの一番大事な部分は真中の精液と摩擦によって生じた汗で濡れてその下からはつかさの陰部の割れ目部分と
陰毛が透けて見えてしまうほどになっていた。
真中は両手でパンティに手を掛け真ん中下部分の薄布地を残すところまでパンティをずり下ろしたとこでつかさが
それを手で止めながら問うてきた。
「淳平・・・一つ聞いておきたいの・・・さっきのアレ、キモチよかったの?そして何でいきなりあんな事を・・・」
(何で?・・・それは俺にだってわからない・・・でもそのきっかけになったのは会話の中で東城の名前が出てきて・・・)
真中は考えながらもつかさに、理由は自分でもわからないがアレはとてもキモチよかったと、だけ答えた。
「そう・・・それじゃあお願いだからもっと優しくやって・・・。あたしを包み込む様に優しくしてほしい・・・」
その問いかけにも真中は黙って首を縦にふった。
真中とつかさは裸で汗と熱気の中で絡み合っていた。
真中はつかさの陰口をもっと充分に濡らす為にも口や舌を使ってクンニをする。
舌で周囲のビラを舐められ中に舌を入れつつ指でクリトリスを摘まれる度につかさは体を仰け反りながら喘いでいく。
「ああああ!!や・・やあっっあ!・・・いやぁあああっ・・・もおっ、だめだよぉ・・・・ああ!」
激しい真中の責めにつかさの陰口からはじわじわと愛液の汁がこぼれ広がっていく。
これだけ濡れればもういいか・・・、真中はそう決断しながら高々にそそり立つペニスをゆっくりと挿入しようとする。
だがそれをつかさが手で握りながら静止させた。
「・・・今度は、あたしが口で・・してあげるから・・・」
つかさはペニスの先端部分を口の中にゆっくりと含みながら徐々に口の奥まで押し込むように動かしていく。
「うっ、んんんんーーーー、んぐう、じゅるるーーーんっ・・・・んん、んぐぐっ!!・・・・・んはぁ・・・じゅんぺぇ・・・・」
つかさは舌を使いながら絡まる唾液を溜めては呑み込んだりして歯を立てないよう口の中でペニスを前後に
動かしながら濃厚なフェラチオを続けている。
「・・・あ、あ・・つ、つかさぁ・・・もうこれ以上は・・・イってしまいそうだから・・・やめてくれ、あああ!」
真中はゆっくりとつかさの頭を押さえながらフェラを止めさせてその口の中でずぶ濡れになっていたペニスの一物を
つかさの陰部に一気にズボリ!と挿入した。
「んあああ!じゅ、じゅんぺいのが、入ってくる・・・・あああっ・・・」
つかさの膣の中に入れたことで彼のペニスは猛々しいほどに膨張して子宮奥深くへと貫き始める。
「つかさぁあああ!!」
無茶苦茶なほどの激しいピストン運動で上下に体を叩きつける様に真中は再び性の絶頂に至ろうとしていた。
「あああああ!!!あああっっっーーーああぁぁ!!じゅんぺええ!!」
つかさとの同時に放たれた絶叫の果てに二人はイッた・・・。
真中はつかさの子宮の奥へと精子の砲弾を打ち貫いた・・・。
二人は裸で横に並んで上を向いたまま朽ちたようになっていた。
つかさの陰部はグチュグチュに混ざり合った愛液同士が真っ白な糸と汁を垂らしながら小さな水溜りを作っていた。
そして尻の穴部分までもをジメッと濡らしていた。
真中は二度目の射精で放心したかのように天を見上げている。
二人とも喘ぐような息を切らしていた。
真中は重い瞼を開けながら今までの事を考えていた。
初めての映画監督の就任、東城綾の過去と想いを秘めた一冊の本に彼女からの手紙、そして再び彼女との共同の
映画製作、東城から衝撃的告白を受けた夜、その後彼女に設けたもらった祝いの席でのプレゼントの品、つかさとの
映画鑑賞と友達らの訪問、美鈴から新作の企画をオファーされそれから東城との密会・・・・そしてあの京都の夜・・・。
俺たちはこれからどうなっていくんだろうか・・・。
俺たちの関係にはどういう結末がまっているんだろうか・・・。
もし、いまつかさに東城との今までの関係を洗いざらい話したらどうなるだろうか・・・。
だがいつの日か必ず決断を下さないといけない時が来た時に俺はどうなろうとその結果を受け入れないといけない・・・。
「淳平・・・まだご飯も食べてないよ・・・」
横でつかさがそう話しかけてきた。
「そういえばそうだな・・・飯食う前から俺たちこんな事・・・・」
苦笑しながら真中が答えた。
つかさはゆっくりと立ち上がって服を着始めた。
「それじゃあ、今から支度しなおすから・・・。淳平、もうあんな真似しちゃあ駄目だぞ。最近なんだかちょっと様子が
ヘンなとこがあるから心配・・・お願いだから悩みでもなんでもあたしにちゃんと相談してね・・・」
昔からの独自の言葉使いで真中の事を気遣いながらつかさは再びキッチンへと向かっていった。
それを見送りながら真中はある事実に気がついたのだ。
(同じだ・・・昔と・・・俺たちは昔の関係に戻ってしまったのか・・・・俺たちは恋人から夫婦になっただけで、東城は・・・)
かつて恋人関係であった真中淳平と西野つかさ、その二人の間にいたのが東城綾だった。
二人の恋人はやがて別れてフリーの間柄になってそれで三人の関係はどう転んでもいい状態になっていった・・・。
しかし結局真中とつかさは再びよりを戻しその間真中と綾の二人は遂には恋人同志になる事はなかった・・・。
今回はどうなっていくのだろうか・・・・それはきっと誰にも分からない事であった・・・・。
真中はそっと左手で瞼を押さえるように閉じた・・・。
こうやって見てみたらなかなか圧巻
75 :
fusianasan:2005/08/27(土) 03:15:37
東城ヲタって怖いな
うわー新作キタワァァと思ったら
前読んだ奴じゃねぇか!
新作マダー?
77 :
fusianasan:2005/08/27(土) 22:09:11
普通に楽しめた。やっぱ西野だよ
新作まだかなー。
本当に楽しみになってきたぞ。
79 :
fusianasan:2005/08/28(日) 02:09:37
ここは東城ヲタ専用か
頼むから外部に流出しないでくれな
誰か続きを知ってたら教えて。
激突東西南北勝者スレの方には妄想氏は
もう、投稿しないと書いてたけど
こちらにでも投稿するのかな〜?
それとも他に投稿スレでもあるのかな?
東城ヲタ氏ね
くだらない内紛でスレたてるなアホ
どうもお世話になります。
このようなスレが立てられていたんですね。
ここは使っていいのでしょうか?
>>84 こんちは。
東西南北勝者スレの方でも
見ていましたので是非続きを
お願いします。
>>85−87
どうも。
SSですが一応全て完成させましたが文量があまりに多すぎる上にキャラ描写の観点などを含めてまだチェックや
手直しが終わっていないのまだ投下出来そうにありません。
読んでいただいている方々には申し訳ありませんがもう数日お待ちください。
このこだわりが
熱烈なファンを生むのである。
90 :
fusianasan:2005/08/29(月) 04:22:53
ひさびさの妄想スレなど如何でしょうか。
500 :紫 ◆Eo53u3zAbI :2005/08/28(日) 22:46:07
「大丈夫だって。怖いなら早く風呂入ってこいよ」
「うん、そうする…」
--------
弥生、風呂からあがる。
「あがったよ」
「おう、わかった。もう大丈夫なのか?」
「うん、大丈夫」
ホッとしたのも束の間…
ドタドタドタ!
屋根(天井)から異音が…もういやよこの家(・д・`)
またもびびる弥生。
「…やっぱり、なんかいない?」
「ハッ…猫だろ…」
猫であってくれ。orz
「…」
「なんだ、また怖くなったのか」
無言で頷く可愛い妹。俺は云った(【げんきのかけら】使用)。
「なら、一緒に寝るか?」と。
「…っ!」
みたいな顔をした弥生の頬が紅潮してきましたが…
少しして、無言で頷く可愛い妹。
もう戻るに戻れねえぞ…
http://life7.2ch.net/test/read.cgi/lifesaloon/1124979441/l50
もう2年以上、家内と「レス」なんだよね!これって辛いよね!
上野駅周辺を歩いてる「女」みんな「いい女」に見えちゃう!
SOSだよ〜ん!
コピペした人、PART4以降のPART表示を削除しているのはいただけない
東城エンド希望カキコ
早く真のエンディングを!!!
エンドにはこだわらないけど続き待ってます
ジラしプレイだな、これは(ワラ
続き見たいです。
お世話になります。
長くなりましたが今から残りの全てのパートを投下させて頂きます。
宜しければまたご覧ください。
その上でご感想などありましたら拝見させてください。
おっ、今たまたま見たら
更新予告!!
PART.10
新たなる新年を向かえた1月6日の午後、真中宅のFAXに映画会社「東邦」の映画製作部スタッフの外村美鈴から
真中を軸に進められていた新作映画のより詳細で具体的な企画内容が告知されてきた。
驚くべきことに当初低予算で考えられていた今回の企画が一転、どういう経緯でかは定かではないが数社の大企業が
資金スポンサーとして直接映画製作に参加するという事が決定になったのだという。
その内の一社は大手新聞社のグループ系列にある民放テレビ局のテレビ日本放送と更にもう一社は国内最大手の
広告代理店である電通信なのだという。
その為この映画は大作物として資金面では数億円規模の予算が組まれ知名度抜群の有名スターらが顔を連ねて
またテレビ日本のグループ企業総出での宣伝営業展開が期待できる上にそれを電通信による大規模かつ周到な
広告バックアップがより一層そこに加味されていくのだ。
今回は出来次第では一気に出世作になりかねませんよ!と美鈴からの嬉しい叫びにも似た一文が添えられていた。
しかしだ、それとは別のある驚くべき事実もまたそこに記されていた。
電通信側からの製作委員会スタッフにあろうことかあの天地の名があるのだというのだ。
天地・・・、真中淳平にとって彼の名は因縁浅はかならぬ響きをもたらすに充分であった。
かつての東城綾の大学時代の恋人、自分よりも昔に東城綾の体を抱いた男・・・。
そして天地は慶法大卒業後電通信に入社したという事実・・・。
二日後真中は東邦社を訪れて直接の企画内容の確認と監督契約に関する打ち合わせに出向いた。
どうやら真中が想像していた以上に大きなプロジェクトになっていきそうなのだという。
キャスト陣を見ても多数の人気お笑い芸人を抱える関西有数の芸能興行会社に国民的美形男性アイドル会社までもを
加えた一大芸能人横断の大作コメディ映画として企画が急ピッチで進められていたのだ。
テレビ日本、電通信らの直接参入もあり製作費や宣伝規模も前作の処女作品の規模を大いに凌駕する事になるだろう。
そして会社側としては真中自身の意志さえあれば当初の予定通りに監督就任を要請するつもりだというのだ。
他のスポンサーサイドから反対や躊躇する意見が出るかもしれないがこちらとしては君でいきたいと説得しながら
やってやるから、と製作担当に決定していた某プロデューサーからやや恩着せがましい口調でそう言われた。
外村美鈴は今回もまたプロデューサー補の立場で参加するようでありこの作品もまたうまくいけば彼女も晴れて念願の
正プロデューサーとしての立場を歩んでいく確かな礎になっていくだろう。
で、肝心の真中であったがその監督要請の件を即答できずにいた。
理由はあまりの大規模なプロジェクトになりつつあり新米風情の自分ではまだ決断がつきかねる、と答えた。
折角のオイシイ話なのに、という感じでプロデューサーからは半ば呆れ顔をされる始末であったが真中としては
まだ一本しか作品を撮っていない現状でいきなりこれだけの大作を手掛けれる自信がどうしても持てずにいた。
そしてそれ以上にあの天地という存在こそが正直何よりものプレッシャーに感じられる一番の要因かもしれなかった。
かつての天地と綾の関係と今の自分と綾を思い巡らしながら真中は更なる苦悩の袋小路に陥りそうだった。
すみませんがもう少し考えさせてくれませんか、と真中は問うた。
結局会社側からは今月二十日までが返答のタイムリミットだ、という通告が返ってきた。
会議の終了した企画会議室から退席する真中の後を慌てて美鈴が駆け寄ってきた。
「大丈夫ですよ、先輩。先輩ならきっと出来ますから・・・あたし信じていますから・・・きっと引き受けられる事を」
真中は美鈴からの励ましにどうも有難う、と無理に作った笑顔を見せながら答えた。
帰宅した真中は夕食時に妻のつかさに今回の件のことを伝え相談した。
有名芸能人を多数起用する大掛かりな大作物として企画されてるが正直今の俺なんかがやれるのだろうか、と。
つかさの返答もまたそれは是非やってみるべきだ!と真中を逆に鼓舞するように励まし要請を受諾するよう勧めた。
つかさも何よりもまた真中の才能と力量を強く信じていた。
もっと自分に自信を持って!そしてあたしをもっともっと楽しませてよ、と励ますのであった・・・。
それからつかさは自宅の電話で長話に洒落込んでいた。
せっかちにも今回の件を友人のトモコらに電話しているようであった。
真中はちょっとコンビニに、と家を出てから暫くして携帯でそっと電話をかけた。
電話帳メモリのTAと表示された欄を指定してプュシュした・・・。
何故俺が東城に電話をかけるのか・・・きっとそれは一刻も早く彼女に会いたいという気持ちと何よりも今度の件を彼女に
伝え相談したいからなんだろうか・・・・或いは誰よりも俺は彼女に励まされたいからじゃないだろうか・・・・、と考えながら。
1月14日の東京の気温はめっきり寒さで冷え込んでいた。
東城綾は白のトレンチコートにマフラーまで首に巻いた防寒スタイルで両手で傘をその傍らには大型鞄を置きながら
あの日の真中淳平と会った美しい夕陽の見える公園で一人黙々と佇んでいた。
現在正午前の時刻だが先程から雪がちらつき始めて周り一面は見る見る間に白銀の雪景色に変わっていった。
このまま断続的に降り続いたら東京は随分と雪が積もるかも、と綾は思う。
眼前に舞い続ける雪を見ながら綾は今でもあの時の光景をありありと憶えている・・・。
真中淳平の青都大の入試当日の朝に南戸唯からの泣きながら掛かってきた電話を受け、綾は雪の降りしきる真中の
自宅マンションの前で西野つかさと出会い共に真中淳平の帰りを待ち続けた。
やがて彼が雪の向こうから駆け足で帰ってきてつかさよりも綾に先に声をかけて話があるんだ、と告げてきた。
二人は雪の広がる公園のベンチで話し合いながら綾がその想いの全てを語り終わった時、綾は決意を下したのだ・・・。
考えてみればあれからずっと西野さんとは会ってないんだ、と綾はしみじみと思った。
今は西野姓ではなく真中姓になっていたつかさだったがそれでも綾は何となく昔のように西野さんと言ってしまいそうに
なってしまう綾だった。
何でだろう、と綾は考えるが本当は自分でもその答えが漠然とながら解っていた。
(バカみたいに嫉妬してるから・・・あの人が結婚して真中君の奥さんになってしまった事実をほんのちょっとでも
自分で誤魔化したいと思っちゃうからなんだ・・・)
そんな風に自己嫌悪感に苛まれる綾の元に一本の携帯の着信が鳴り響いた。
それは真中淳平からの電話で今こっちに着いたから、という連絡の電話であった。
「ごめん、いろいろ少し手間取っちゃって、それにこの雪が降り出したから・・・・」
そう言いながら真中は綾の元に駆け寄ってきた。
綾は全然待ってないから気にしないで、といつもの感じで答えた。
「・・・じゃあ、出発しようか」
真中の問いかけに綾が頷いた。
公園の駐車場にある真中がディーラーから借りたレンタカーに二人は乗り込んだ。
今回レンタカーを借りたのは他でもない東城綾と共に移動する為の必需品だからであった。
真中の普段の移動手段は電車で専ら事は済んだから早急な車の必要性とは無縁でいられた。
それでももう少し収入が安定すればマイカーくらいは持とうと思っていたし何よりもマンション暮らしから待望の
マイホーム暮らしをつかさと両親共々ずっと夢見ていた真中であったが・・・。
今から二人は真中の運転でとある場所に向かおうとしていた。
そこはかつて彼らが高校の映画部時代に初めて合宿を行った東京近隣の某県のとある浜辺の町であった。
・・・あの日の夜、真中は家を出て夜道を歩きながら綾の携帯に電話を入れた。
京都のあの夜からずっと会っていなかった二人はその事には直接触れないように努めながらもそれでも互いの声からは
早く会いたい、という切実な想いがありありと伝わって来た。。
真中は話をしながらも押さえきれない想いのまま単刀直入に早く君と会いたい、今度は出来れば丸二日は君といたいんだ、
とまで言い切るほどの熱意で綾を誘ったのだ。
綾は暫く考えるようであったがそれでもやがてあたしも早く真中君に会いたい・・・、と告げてきた。
そして真中は1月14日の日から可能であれば2日ほど都合をつけて欲しい、と具体的な日時までをも指定したのだった。
真中は知っていたのだ、その日が東城綾の誕生日である事を・・・。
「はい、29歳のお誕生日おめでとう!」
そう言いながら真中は後部座席に置いていた大きな薔薇の花束と小さな包装された小箱を綾に差し出した。
「・・・真中君・・・」
助手席の綾は真中からの突然の行為にただただ驚きを隠せない。
「何がいいかなって考えたんだけどやはり女性にはシンプルに花がいいかなと思って・・・。あ、でもさ考えてみたら今から
一緒に遠くに出かけるのに花束渡すのもどうなんだろうね・・・はは、やっぱオレ馬鹿かな・・・。それとその包みは万年筆
なんだ。東城はおそらく普段パソコンで執筆してるんだとは思うけど、必要な時にペンでなんか書いたりする時に使って
もらえればいいかなあって・・・。あ、ホント気にしないで!だってオレだって前に東城にあんないいモン貰った訳だし」
真中が今日1月14日にどうしても綾と会いたかったのは彼女の誕生日にそれ相応のプレゼントを渡したかったからだった。
真中自身以前に綾からプレゼントを頂いている手前いつか自分もなにかのお返しをしたかったのだ。
自分の映画の為に貢献してくれた事、それにこうやって互いの時を共有し合える事への云わば礼であった。
綾は長い髪を垂らしてうつむきながら静かに嗚咽していた・・・。
戸惑いながら俺迷惑な事しちゃった?・・・、と尋ねる真中だが真意はその逆だ。
綾は思ってもいなかった真中からの好意に感激して泣いてしまったのだった。
「真中君・・・本当にどうも有難う・・・あたし、本当に嬉しい・・・。これ大切に使わせてもらいますから・・・」
綾からの謝辞に真中は照れながら同時にそっと息をなでおろした。
車は雪で濡れたアスファルトに水しぶきをかけながら目的地目指して進んでいた。
もう暫くしたら高速のインターに入りそこから目的地の町の浜辺まで行くつもりであった。
ただこの雪で高速が速度規制或いは通行規制にならないかが心配でもあったが幸い今のところはまだ通常の状態らしい。
ニュースの天気予報では今日の夕方前までには完全に雪が止むでしょう、という気象庁の予報を伝えていた。
高速を使い車で2時間も走れば目的地には到着できる算段であった。
「ところで真中君、お腹空いてない?」
綾からの問いかけに正直朝から何も食べておらず腹はかなり空いていた真中だった。
綾は鞄からそさくさとタッパーの箱の様な物を取り出しふたを開けた。
その中身は手作りサンドイッチであった。
「あたしの手作りのサンドイッチ、よければ食べて・・・あたし自分で作れる食べ物ではこれが一番得意なの・・・」
サンドイッチは野菜とチーズ、ハムやカツにタマゴを挟んだ物とバラエティ豊かなものだった。
「美味しそうだね、有難う。頂くよ・・あ、でも今ハンドル握ってるからなあ・・・」
その事に気がついた綾はサンドイッチを一つ摘んでは真中の口へと持っていってやる。
「じゃあ、はい真中君、口をアーンして・・・」
真中も綾も互いにこそばゆい感じになった。
綾から食べらせてもらうサンドイッチを頬張りながら真中はつかさにはこんなとこ絶対に見せられないなあ、と思う。
真中は数日前のつかさとのやり取りを思い出した。
つかさには1月14日の日に映画の現場関係者らとロケ地の下見と打ち合わせで一晩家を留守にするからと伝えた。
彼女に対し全く罪悪感が無いといえばノーであったがそれでも自分がこんな風にしゃあしゃあと嘘八百を口にできる事が
真中は自分でも信じられないくらいだった。
つかさはキッチンで洗い物をしながらそうなんだ、と返事をしたがその声の張りに真中は何だか妙な違和感を覚えた。
まるでその短い返事の中に「本当にその日はお仕事なのかしら?」という意味が込めれているかのように思えた・・・。
泉坂映画部時代の1年時の合宿地の町は某県の小さな浜辺町でありこれといった産業もなく夏場の海の遊泳なども
大きく制限されていた。
何故ならばここの海は波状のように押し寄せてくる高い波がくるからであったからだがそれがここの町の海の見せ場でも
あり事実サーファー好きらの隠れた穴場にまでなっているのだそうだ。
現在は行政主導で展開された市町村合併により隣接する某有名観光都市との合併を果たしていた。
車で2時間程で真中たちはこの懐かしい浜辺町に再びやってきた。
雪はもうほとんど小降りの状態でもう暫くすれば完全に止むであろうと思われた。
「着いたね・・・あの頃とほとんど変わってないみたい・・・。あたしたちが泊まった宿、まだあるかな・・・」
綾は車越しから外の風景を眺めるが何だか当時の面影そのままを残しているみたいであった。
「そうだね、あの婆さんまだ元気にしてるかな?・・・。しかし冬のこの時期の波は格別に迫力があるね・・・。なあ東城、
外かなり寒いかもしれないけどよければ少し堤防沿いでも歩いてみようか?」
真中はこのまま温かな車の中で語り合うよりもあえて寒い雪が舞う荒々しい太平洋の波を眺めながら二人で歩きながら
いろいろ語り合ってみたかったのだった。
綾はその提案に頷き二人は充分な厚着をしてから外へと繰り出した。
そして二人は堤防沿いを冬の太平洋からの荒々しい波と潮風を感じながら並んで徒歩を重ねた。
最初二人は無言のまま何も語らずただ黙って堤防から見える荒れた冬の海の景色を眺めながら黙々と足を進めていた。
どれくらい無言の時が経っただろう、やがて綾の方から沈黙に耐えかねるかの様にその口を開いた。
「真中君、・・・・奥さんにはどういう風に説明されたの?今回の事・・・・」
綾が開口一番に尋ねてきたのはやはりというかつかさの事であった。
まじまじと真中の顔を見つめながら綾は真中の答えを待つ。
だが肝心の真中の回答は何だか素っ気無いものだった。
「普通に仕事の打ち合わせとだけ、そんだけ・・・。とりあえず今はつかさの事は考えないでよ。俺自身なるべく考えない様に
してるから・・・。東城が俺と会う時はもうつかさの事でいちいち悩んでもらいたくないから・・・」
「そう・・・」
それでこの話題は終了したが綾としては考えるなというのがそもそも無理であった。
あの日からいつもつかさの立場や気持ちを考えては激しい自己嫌悪に陥り後悔の念に襲われたりもした・・・。
だがそれ以上に早く真中君に会いたい、という気持ちで激しく胸の中が締め付けられていたのだが・・・。
「なあ、俺の方からさ、実は東城に相談したい事があるんだ・・・そしてその上で話を聞いてもらいたい・・・」
そう前置きしてから真中は綾に今回の新作映画の企画内容と監督要請の件を更に詳細に語ってみせた。
「凄いじゃない!真中君。それは絶対引き受けなきゃ!だって真中君にとって大きなチャンスの時じゃない・・・。それは
勿論プレッシャーや失敗した時の事とかいろいろ後ろ向きに考えたりしちゃうと思うけど、それでもやっぱり真中君は
やってみるべきだと思う。あたしだって協力できる事があれば何でもやらせて頂くから! 前の時みたいに直接参加
の形じゃなくてもいい、あたしが何かのお役に立てるならこんな嬉しい事ないもの・・・。そして何より真中君の作った
映画が見たい・・・真中君が作り上げた映画をスクリーンであたし誰よりも見たいと思ってる・・・」
「東城・・・」
二人は互いを正面から見つめ合っていた・・・首を伸ばせばそのままキスできるくらいの位置で見つめ合っていた・・・。
綾の瞳を見据えながら真中は決心して今度はあの天地のことを綾に告げた。
「あまちくん・・・」
天地の名を聞かされた綾は一瞬体が硬直したかのようになり、さっきまでの二人を包んだ甘い空気は消え去った。
「・・・東城は天地が電通信に入社してた事は知ってたかい?天地もまた俺が今回の映画の監督をするかもしれないという
事を知ってるんだろうか・・・」
「天地くんとは大学を卒業してからも1年くらいはお付き合いしていた・・・。彼は卒業後すぐに電通信の内定が決まっていて
あたしも凄いね、って言ったりしてたから・・・。風の噂ではバリバリの電通信マンとしていろんな広告媒体を手掛けている
らしくて若手ではトップクラスの実力なんだとか・・・」
綾はやや重い口調で天地の知りうる限りの事を真中に伝えながら最後にこう付け加えた。
「別れてから天地くんとは全く会ってないわ。彼が元気にやっていてくれてる事が何よりだと思ってる・・・。でもあたしたちの
関係はもう終わってしまったから、そうなってしまったのも全てあたしのせいで・・・あたし心から彼に対して不誠実だったと
思ってる・・・それでも、それでも今は彼と別れた事は後悔はしていない・・・」
真中にはこの綾の独白が自分よりもまるで綾自身に言い聞かせているかのようにも聞こえたのだった。
彼女の言う不誠実な事とはつまり真中淳平をあの時の頃の様に再び想う様になってしまったという事だった・・・。
真中は彼女の瞳を見つめながらそっと彼女の肩に手を掛けて再度問うた。
「それで東城・・・俺は例え天地がいたとしてもそんな事は気にせずにこの仕事を自信を持って引き受けたらいいと思う?」
綾の答えは明瞭だった。
「ええ勿論、天地くんがいたって関係ない・・・真中君は自分の才能と可能性を信じてこの仕事を引き受けて欲しい・・・」
綾のその返事で真中は決断したのだ、今度の作品も自分にやらせてもらおうと・・・。
「・・・そろそろ車に戻ろうか?そして次の目的地に行こうか・・・」
綾は黙って頷いた。
そして尋ねるのだった、それで真中君引き受ける事決めた?、と。
その問いかけに真中は笑顔のみで答えた・・・それが答えだった。
二人は懐かしの浜辺の町の短い滞在に別れを告げながらそのまま更に車を西の方向目指して進んだ。
高速道と山間の国道を伝いながら宿泊予定地の某温泉地を目指す。
予想外の雪による山道等で到着時間はかなり遅くなるかも、と考え宿泊先の旅館にはその旨を携帯で報告した。
今のところは道路の通行に影響は無い様だが雪や凍結がひどければわからんぞ、と思えた。
まあスラットレスタイヤに取り替えてもらっているので時間はかかっても余程でない限りは無事にたどり着けるだろう、
と真中は楽観視していた。
浜辺の町から出発して約2時間ほどで目的地の温泉地に辿り着いた。
比較的山間地域にある為に一部の山道ではかなりの悪走行になりつつも道が封鎖されるまでには至っておらず
本来のチェックインの時間までにはかなり遅れてしまったがこうして無事にやってこれた。
真中と綾はここの温泉旅館で一泊二日の予定で予約を入れた。
広大な敷地面積に宿泊客は僅か一日数組だけという贅沢さと昔ながらの趣きと風情を漂わせた実に素晴らしい
純和風旅館であった。
それに温泉の質が良質な事でも知られていて全ての風呂は源泉かけ流しなのだという。
真中と綾は到着がかなり遅れた事もあってそのまま夕食の準備を希望した。
二人の部屋には専用室内風呂を兼ね備えてありまた食事はわざわざ朝夕共々部屋食にした。
これだと値段が余計に張るのだが食事時にあまり他の客に顔を見られたくないという心理が働いての結果であった。
6時過ぎに部屋に夕食が運ばれてきた。
夕食は季節柄か地元の食材をふんだんに使用した鍋料理がメインであった。
浴衣に着替えた二人は鍋料理に舌包みをうち綾は今日は折角だから少しだけ、と地元の清酒を頂く事にした。
「東城の29歳の誕生日に乾杯・・・」
乾杯しながら真中のさり気無い一言に綾は女性らしい反応でもうこれ以上年なんて取りたくない、とこぼした。
東城はまだまだ綺麗なんだから、と真中はフォローを入れたがそれは決して世辞ではない。
(前田という奴が言った通り東城は本当に若く綺麗だ・・・29になったとはいえ見た目は普通に24,5くらいにしか見えない。
彼女の皺一つ無かった透き通る様な肌や裸を見てもそれは一目瞭然だ・・・)
不意に真中は綾とのセックスの時の彼女の艶やかな裸の光景を思い出し不覚にも勃起しそうになった。
少し飲んだだけで体が火照ってきたのか、綾は顔を赤くしながら浴衣の前を少し緩めた。
胸元から少し胸の谷間が顔を覗かせて真中はゴクリと唾を飲み込んだ。
これで完全に真中は勃起してしまった。
綾はそんな真中の視線に気がついてはだけた浴衣の部分をそっと元に戻した。
アルコールの酔いは綾の口も少し滑らかなものにしていた。
「あの浜辺の町にはいろんな思い出があったけどあたしが一番憶えているのはやっぱりあの大雨が降っていた時の
真中君への告白、かな・・・。あの時真中君はよく聞こえなかったかもしれないけどあたし真中君の元に一緒にいたい、
って言ったんだ・・・。今思えば合宿の時は結構大胆な事を言ってたみたい・・・。2年の時のあの山小屋で一晩過ごした
時は真中君と一緒だからいいんだもん、って・・・そして3年の時は自分自身の映画出演の中で最後アドリブで真中君に
愛を告白しちゃったしね・・・」
真中は綾の回想の言葉から今更ながら自分への深いこだわりを知らされた思いがした。
彼の中でそんな綾を欲したい気持ちが急速に湧き上がってきていた・・・。
「東城・・・飯が終わったら貸切の風呂に行こうか・・・」
真中の問いかけに綾は赤くなった顔を向けた。
顔が赤くなってるのはアルコールのせいだろうか、それともこの後の事を考えてだろうか・・・。
真中と綾は夕食後、旅館の貸切専用露天風呂の中にいた。
ここは他の宿泊客との併用もあり使用時間は約40分と定められていた。
ただ広大な屋敷ながら全部で数部屋程度の小規模運営な為それほど他の客同士が行き来し合う事はあまりなかった。
自然が綺麗で静かで落ち着いた環境だ、と真中と綾はここの宿をすっかり気に入った。
今二人が入浴している貸切風呂は日本的石造り風の設計で落ち着いた雰囲気と風情を醸し出していた。
露天の源泉の温度は外の冬場の空気の影響で41度程度くらいになるそうなのでとほぼ適温で長時間の入浴も可能な
温度であったが夏場だとちょっと熱くなってくるのかな、と真中は風呂の中で綾の胸を吸いながらそう考えたりした。
温泉の源泉のせいだろうか、綾の乳首からはやや硫黄のしょっぱい感じの味がした。
しかし真中は相当な胸属性の持ち主らしく女の裸を見ればもうそのまま胸にしゃぶりつかないと気がすまないみたいで
綾から少し遅れて風呂に入った真中はすぐさま彼女の胸を揉みそのまま巨乳に頬擦りしながら乳首をしゃぶりだした。
綾だってまさか真中がここまで胸好きな男だとは思っていなかったかもしれない。
それでも彼が大きすぎて決して好きになれなかった自分の胸をそんなに気に入ってくれているならこんなに嬉しい事は
ないとも思う綾であった。
綾自身も実は一番胸の部分に性感を感じてしまう様で彼に胸を愛撫され続けながら陰部の性器をじっくり濡らしていく。
・・・真中君って奥さんの、西野さんの胸もこんな風にしてるのかな・・・、と綾の脳裏につかさの事が浮かび上がってきた。
家でも真中君は西野さんの胸をこんな風に吸ったり揉んだりしてそれに胸でしたりしているのだろうか、と・・・。
「まなか、くん・・・また胸で、する?・・・・」
両手で真中の頭を抱いてやりながら綾は自分から真中にパイズリ行為の意志の有無を問うた。
深層心理で綾はつかさの胸では真中にあんな行為はしてあげれないんじゃないか、という気持ちが働いていたのだ。
そしてその事実は自分がつかさへの数少ない優越感として働きもしたのだ。
こんな風に前の時も最後は自分からしてあげたんだったっけ・・・、綾は自分がこんなにもふしだらな女だったのかと思い
罪悪感に自身の嫌悪感をも感じながらも同時に真中の為ならば自分は何でもしてやれる、という強い意志をも滲ましていた。
綾の胸の中で抱かれていた真中は綾の乳首を口から離しながら答えた。
「うん・・・でも東城の胸、キモチよすぎるから・・・出来れば俺、いっぱい東城の中にしたいんだ・・・」
二人が部屋に戻った時は程好い暖房の中もうご丁寧に布団が敷かれていた。
真中は綾をゆっくりとそこに寝かせてその浴衣の胸部分の中にその鍛えられた腕の手を弄りこませた。
「・・・・っ・・・・んん・・・・・っん・・・・・んんっ・・・・・」
真中は両手で浴衣の胸部分をはたけて、にょっこりと顔を見せた綾の巨乳の丘をたっぷりと揉み始める。
「んあああ!」
真中が力を入れる度に綾は声を喘ぐが旅館の人間らにでも聞かれては大変とばかりに声を漏らすのを我慢し始める。
その反動からだろうか、綾の陰部の割れ目からは早速イヤらしい露がどんどん漏れ出してきていた。
やあ!、と綾は思わず足を仰け反らせようとした。
それに気がついた真中は綾の腰帯を解き一気に浴衣の全てを剥ぎ取った。
綾の下半身にはまたもやいちご柄のパンツが穿かれていた。
本当は別の白いレースのパンティを穿いていたのだが真中があのパンツを持ってるならそれに穿き替えて欲しい、と
特別に綾に頼んだのだった・・・。
真中にとってそれが何よりも自分を興奮させる作用をもたらすパンツなのであった。
真中はすぐにはパンツに手を掛けず陰口の直の布地部分に鼻を当ててそのままくんくんと犬のように匂いを嗅いだ。
「ああ、ダメェ!恥ずかしい!やあ!」
綾は真中のその行為が耐え難いほどに恥ずかしく思えてすかさず制止させるがそんな言う事を聞く真中ではなかった。
綾の両足膝を手で押さえながら更に激しくパンツに鼻を突っ込んで匂いを嗅ぎまくる。
真中の鼻腔一杯に綾の甘酸っぱい陰部の匂いが広がっていく。
勃起しまくったペニスの一物をパンツから晒しだした真中はそのまま綾のいちごパンツに手を掛けて思いっきりそれを
剥ぎ取り脱がして今度はそのパンツを手に取り丸めながら更に匂いを嗅いでいった。
綾は真中のそのあまりの行為に恥辱さでもう泣きそうになる。
傍から見ればかなりのフェチズム的倒錯行為な光景だろう。
真中も何で自分がここまでの事をやってしまうのかがわからないが本能に突き動かされるままそうしてしまうのだった。
「東城・・・とてもいい匂いだ・・・それじゃあいくよ・・・」
胸いっぱいに綾の陰部の香りを堪能した真中は勢いのまま綾の上に乗りかかって濡れた綾の陰部に自分の猛りまくった
ペニスを一気に挿入して結合させた。
「ああああっっ!!」
結合と同時に綾は叫んだ。
体の奥底から熱い鼓動が体全体を包み支配していった。
綾の膣の中で真中のぺニスは水を得た魚のようにフルにその勢いを増しながら綾の子宮奥底を貫くが如くであった。
真中のペニスはまたしても綾の膣の肉壁のキツい締め付けを受けながらも彼は歯を食いしばるように腰を動かした。
動かすごとに股間からはジュブ、ジュブと摩擦と膣から汁と愛液が混ざりながら滴り落ちていく音がこぼれていった。
「んあああああ!!!・・・いいっ・・・・ま、まなかくん・・・きつくて・・おおきい・・・あ、あつい・・・・」
綾は真中に挿入されて動かされながらそのあまりの激しさに意識を飛ばしそうにすらなった。
「ああ・・・ああ、き、きもちいい・・・とうじょうの・・・あそこが、むちゃくちゃに・・しめつけてきて・・・」
真中もまたそのあまりの締まりの良さから動かす度に奥底から熱い塊のようなものが湧き上がりそうになるのを必死に
耐えていたのだった。
綾は真中の体に抱かれるようにその体を小刻みに震わせその身も心も湧き上がってくる快楽の渦の中にあった。
快楽のシグナルは真中の声、体の感触、汗の粒、それに綾の膣の中に入っているペニスの動きに至るまで密接に
絡み合いながらそれをより大きな性の躍動に変換させていくのだった。
互いの体の奥底からは絶えず快楽の熱いその結晶の塊が出口を求め合うように疼きあっていた。
「まなか、くん・・・も、もぉ、あたし、イキそう・・・やああっ・・・くる・・・あついものがくるぅー!・・・だめ・・・ああ、もうダメェ!」
綾が最後の絶頂の踏ん張りに耐える声が真中の鼓膜に鳴り響いた瞬間、真中はその解放の為の力を全て解き放った。
どびゅ!どびゅびゅびゅるるーーーーー!!!
そんな感じの音と共に真中は絶頂を迎えて綾の子宮奥底を目指してその全ての精液を膣の中で一成に射精した。
「あああああ!!ーーーーー、きてる・・・・まなかくんのあついものがぁ!ーーー・・・・・」
綾も真中の射精と同時に絶頂を迎えイッたのだった。
綾の膣一杯に白い精液が大量にドロドロと溢れていった・・・。
その後二人は部屋付き室内風呂の中で共に営みの疲れと汗を洗い流す為に入浴をした。
露天風呂では頭や体を洗えなかったのでここの風呂でシャンプーを使って洗髪などをする。
真中は頭を洗い終わった後そのまま体を洗おうとするが気がつけば綾が彼の後ろにいた。
「真中君、背中洗おうか?・・・」
綾からの申し入れを真中は有難く受け入れることにした。
二人椅子を前後に並べながら綾が真中の背中をゴシゴシと洗ってやる。
真中のその背中の逞しい後姿にやや見惚れるようにして・・・。
それはなんだか若い夫婦の風呂場での微笑ましい光景のようにも見えるし或いはソープランドの風俗行為にも見える。
背中を洗ってもらいながら真中はボソリと呟いた。
「なあ、東城・・・考えてみたら俺ら、ゴム使ってないよな・・・」
背中の綾の腕の動きがピタッと止まってしまう。
「いや、考えたらマズイよな・・・もし万が一の事になってしまったりしたらもう取り返しのつかない事になってしまうし・・・」
今更ながら真中は避妊行為を不徹底さを悔やむようであった。
「そうだね・・・これからはもっと気をつけないとね・・・。でも考えてみたらあたしたちもう充分取り返しのつかない事を
しちゃってるね・・・」
今までの甘い雰囲気が氷解していきかねない綾の指摘だった。
(取り返しのつかない事・・・そうだ、全くそうだ・・・。考えないようにしてるだけで大変な事をしているんだ・・・。俺がもっと
毅然とした立場で振舞えれたらこんな風に東城を巻き込む事にもならなかったし、ましてやつかさの事を裏切る事にも
ならなかったはずだ・・・)
真中は自己の振る舞いを思い返し分析し今更ながらつかさの事を思い出すのであった。
(俺が何よりも辛く悲しいのはつかさを傷つけてしまう事だ・・・そして俺は昔からつかさを傷つけるような事ばかりしている
じゃないか・・・。東城と違い俺は考えないように努めながら自分が蒔いた現実の問題から都合よく目を逸らしてるんだ。
それは結局傷つけ裏切るような事をしても最後は許してもらえるんだという甘い考えが根底にあるからじゃないか・・・)
真中は急速に身が締め付けられる思いがしてくるのだった・・・。
綾はそのまま真中の背中を黙って洗ってやっている。
そしてそのまま自分の体を背中に密着させるようにして更にタオルで今度は彼の体の前部分を洗ってやるのだった。
真中の背中には思いっきり綾の巨乳の胸の柔らかな感触が伝わってきた。
綾としては今は余計な事は考えないようにしようと努めるかのように黙々と真中の体を洗ってやる事だけに専念しようと
しているようだった。
もし綾がソープ嬢でもしていれば作家としてだけでなくても大変な売れっ子ぶりだったであろう。
前のパイズリ行為もそうだし今の彼女がしてやってる行為もそうだが何か自然と男が喜ぶような行為を振舞ってやれる
器量のようなものが感じられた。
本来の彼女の性格からでは考えられない事だが彼女は自分の愛する人のためならどんな恥ずかしいような事でも
やってのけれる逞しさがあるのかもしれなかった。
真中は背中一杯に綾の胸の柔らかさを堪能していた。
綾の胸は真中の背中にプニュっと押しつぶされる様な形になりながら手の動きと共に微妙に上下左右にその房を
動かしながら合間で背中から離れたりまたくっ付けたりする。
その度に綾の先端の乳首がまるで転がり付着するかのように真中の背中で弾けた感触を起こしていく。
綾からのこの深い意味の無いさり気無い行為を受けながら真中の股間の一物はまたたくまに膨張を起こしながら
彼の一度放ち解かれた情欲の塊がまたしても疼き始めるのだった。
なんという罪作りな事か、すぐ先程まで妻のつかさの立場と心中を思いながら自分のしでかした背信行為に対して
深い自己不信に陥っていたのに再び都合よく情欲を覚えては綺麗にその事を封印してしまっている男の姿があった。
真中は綾の手を握り締めそのまま自分の膨張しまくったペニスを握らせた。
「!!」
突然の出来事に驚きを隠せない綾だったが真中はお構いなしにそのまま綾の腕を握りながら綾の手でセンズリを
してもらうかの様に綾の手を前後に動かし始めた。
「ま、まなかくん、やあ・・・こんなのはずかしい・・・」
背後からの綾の懇願するような声を真中は無視する。
「東城だって自分からあんな事したじゃないか・・・深い意味はなくともあんな風にしてくれたら男ならそういう気分になる」
そのまま膨張し天を衝くような勢いで勃起しまくった真中のぺニスの一物を綾の柔らかな手の表面がしっかりと摩擦する。
このままだと射精する、と考えた真中は綾の握った手の動きを止めて今度は後ろの彼女に振り向きながら彼女の肩を
抱きしめながらそのまま口にキスをする。
「!!!」
綾の唇が真中の唇によって塞がれる。
前の時のような激しいディープキスはせずにゆっくりと唇を合わせるに留めた。
そしてゆっくりと真中は唇を離し綾にこう言った。
「東城、今はもう余計な事を考えずにいよう・・・」
風呂の湯船の中で二人は向かい合いながら再び結合しあった。
真中にとっても綾にとっても水の中で性器同士を結合しあったのはこれが初めてであった。
そして当然ながらゴム無しの結合である。
なんだか妙な感触であったが決して悪い感触ではない。
綾は両手で真中の体にしがみつく形でその体を全て預けていた。
綾の大きな胸がそのまま真中の胸板に付着していく。
真中はゆっくりと腰を動かしながら彼も両手で綾の腰を抱きしめていた。
「はぁ・・はぁ・・・あああっ!・・・はぁあ・・・」
綾は今度は比較的落ち着いた感じの声の喘ぎ具合であった。
綾もまたもう今は余計な事は一切考えずただこの時に身を任せようとしているのだ。
「東城・・・いいよ、すごく・・・なんかもう、またイッちゃいそうになるよ・・・」
一度射精していながら真中の股間の奥からは射精の疼きが始まっていた。
もし射精する時今度はもう外に出したほうが、と真中は考える。
だが出来るだろうか、とやや自信なさげである。
今までのセックスで射精寸前で膣からペニスを抜いたことは一度もなかった。
今度の綾とのセックスでもしかり、妻のつかさとのセックスもしかり一部のオーラルセックスを除いて全て彼女らの
膣の中に中出ししていた。
それもコンドーム無しでの中出しである、綾には今のところ2回の中出しをしていたが避妊の関係上これ以上は
止めておいた方がいいとは思っていた。
だがその一方でもっともっと綾の子宮の中に精液を注ぎこみたいという淫らな邪念もまた確かに真中の中に存在した。
挿入しながらそんな事をあれこれ考えていたが早くももう射精の限界点が近づいてきた。
「あああ!やはぁぁああーー!ああん・・・まなか、くん・・・きってぇ・・・」
綾の絞り出すような声が真中の鼓膜から股間へと伝わりながら真中もまた、うあああ!と声を搾り出しながら再び
綾の膣の中に射精してしまった・・・。
二人は湯船の中で向かい合ったまま結合し合いそのまま果ててしまいそうになった・・・。
あくる日の朝の午前7時過ぎに二人はほぼ同時に布団の中で目を覚ました。
互いにお早う、と言い真中は綾の少しはたけた浴衣の中にまたしてもおもむろに手を伸ばしていき中を弄りながら
その手を下の方にやっていき彼女の股間部分のパンツの中に手を入れる。
綾は目をつぶって息を吐き出しながら真中にされるがままじっと耐えている。
そしてその上に真中が負担を被りながら覆いかぶさってきて彼女の浴衣を脱がし始めた・・・。
綾はされるがまま真中君のエッチ・・・、とだけ一言呟いた・・・。
朝の8時過ぎに部屋に朝食が運び込まれてきた。
それを食した後今度は大型の混浴露天風呂へ朝の入浴を洒落込んだ。
10時前に二人はチェックアウトをすまして旅館を後にしていった。
とてもいいお宿だったね、と綾が言う。
本当にそうだね、と真中も答える。
このまま少し寄り道でもしながらゆっくりと東京に帰ろうかな、などと思う真中であった。
二人の胸中には一緒の時を共に出来た幸福感と快楽感に浸りながらもこれから先の漠然たる不安と恐れもまた
しっかりと渦巻いていたのだった・・・。
二人はあの宿で3回もセックスをした・・・、そして3回とも綾の膣の中に射精されたのであった・・・。
二人が立ち去っていった後の旅館では女将と仲居ら従業員らがなにやら話し込んでいた。
仲居の一人があの連れの女性のお客さんってどこかで見たことあるなと思って考えてみたら作家の東城綾さん
じゃないかと思う、と言い出した。
彼女は小説好きな事もあり綾の作品を何冊か読んでいて彼女の写真も以前目にしていたことがあったのだ。
パソコンのインターネット上で従業員らがデータを検索して見事彼女自身である事を突き止めた。
あの人はまだ独身のはずだけどあの男の人は当然恋人って訳?・・・旅館ではこんな話題が交わされていた・・・。
PART.11
外村プロの3人組新人アイドルグループ「beria」のデビューアルバムの記念会見は盛況の中成功を収めたといえた。
真中淳平によるPV撮影から約4ヵ月後の東京・渋谷の大型レコード店でのファーストアルバム、ファーストPV集、
ファースト写真集の豪華三点セットを引っさげながらの会見場ではその姿を一目見ようと沢山の群衆(特に男性)が
集まり列を作った。
先月発売されたデビューシングル曲の売り上げは新人にしてはなかなかの健闘を見せて関係者らを喜ばせてくれた。
今回は商品の店頭販売をしながら彼女らのサイン会も同時に開かれる手筈であった。
アルバム、PV、写真集などを一気に購入した客らが彼女たちの前で列を作りながらサインと握手を繰り広げている。
彼女たちは嫌な顔一つ見せず満面の笑顔で客らに頭を下げ礼をしていった。
その光景を別室のモニター越しで眺めながら外村ヒロシは安堵の表情を浮かべていた。
グループ名「beria」(ベリア)という命名は社長・外村自身が名づけた。
由来は果実のベリーをもじったものだった。
周囲からは反対意見もあったものの割合語呂がいいという事もあって結局外村がそれを押し通し承認された。
やはり彼女達ならいける、必ず大化けさせてみせるぞ、と彼女達を見つめながら外村は改めて大いなる決意を
胸で高鳴らした。
そこに外村の携帯が鳴り響いた。
社の部下からのある事に関する報告を受けた。
・・・そうか・・・わかった、と一言告げて電話を切った。
モニターでは彼女たちの記念イベントが華やかに続いている。
外村は再び携帯に手をやり電話を掛け始めた・・・。
「テレビの芸能ニュースで見たが彼女たちのイベント盛大にやってたじゃないか。おめでとう」
その2日後、外村ヒロシの高級マンションの自宅にお呼ばれされた真中淳平は開口一番社長・外村をそう労った。
今晩真中が呼ばれたのは外村から今後の彼女らのPV映像シリーズの長期契約の件とそれとは別の個人的な話の
件とやらであった。
真中としては現在大詰めを迎えつつある新作映画の制作準備に翻弄されている多忙な身であったがなんとか暇を
見つけこの日外村の元を訪れたのだ。
もしお前が構わないならつかさを連れていっていいか、と尋ねたがくれぐれもお前一人でと断言された。
いつもつかさちゃんの顔見させろ、なんて言ってるくせにと真中は考えながら外村邸を訪れた。
外村は高級ワインのボトルを開けて二つのグラスにそれを注ぎ干し真中に振舞う。
暫くは例のPVの件で話し合いが持たれ真中は来月から本格的に撮影に入る映画の事もあり今はとてもそっちの仕事を
手伝える余裕などないとの旨を伝えた。
お前の都合のいい時でいいんだがな、とワインをちびりながら外村は答えた。
その後何だか難しそうな顔をしたまま押し黙る外村におかしな気持ちを抱く真中だったがやがて外村は部屋の奥から
一冊の青年週刊誌を取ってきて真中の眼前にポンと投げ置いた。
雑誌の表紙には「業務用・最終チェック前見本」という印刷表示と
「期待の新人大学生作家・東城綾タンの独占グラビアショット」という題が真中の目に留まったのだった・・・。
「なんだ、コレ?・・・」
真中はその雑誌の表紙に目を落としたまま外村に尋ねる。
「・・・まあ、とりあえずグラビア見てみろよ・・・」
そう言われて真中は手をやり恐る恐るページをめくり始めた。
東城綾のグラビア写真は全部で10ページにも及んだ。
泉坂のとは違うどこかの私立高校風の制服姿からカジュアルな私服ショットなど様々であったがあるページを開いた
途端、真中の目は釘付けになってしまった。
それは南国風リゾート雰囲気漂うプールサイドの片隅で専用長椅子に腰掛けながら髪に可愛らしい花飾りをつけて
真っ白なビキニの水着を着た東城綾のショットであった。
更に信じられない事にその水着は普通に見てもかなりの薄地でありまたそこからは明らかに水で濡れ透けて見える
乳首とそのくっきりとした突起物の形が確認できたのだった・・・。
それを眺めながら真中はゴクリと生唾を飲み込んだ。
そして股間のペニスが一気に勃起した・・・。
綾の思いがけないセクシーショットを眺めながら真中は最近綾と密会した時の事を思い出した・・・。
「恐らくその水着、薄い上にニップレスが付いてなかったんだろうな。それでそんな風に見事な透け具合で写ってる訳
なんだろう・・・。しかし雑誌社も取材の流れ上勢いでこんな写真撮り上がったんだろうがあのお堅い東城もよくこんな
モン撮らせてやったもんだ。俺もこれを雑誌社のルートから手に入れて見た時はそりゃ驚いたよ」
一体これはどういうことだよ!と真中は外村に説明を求めた。
外村の説明では高校卒業後から大学入学時の僅かな期間だがこの雑誌社からの取材の延長線上でグラビア撮影の
契約を結ばされる形で綾はそれからいくつかの号のグラビア写真を飾ったのだという。
その中でこんな超お宝級の写真が出てきたのはこの時の担当カメラマンが悪ノリでこんな水着を着せて撮影したのだが
雑誌掲載の最終チェック段階で編集側が自主的にこのショットを外し結局社内の最終段階での見本という形で残ったが
市場には流出せずに済んでこの写真のネガも厳重に管理して保管されているのだという。
真中にはとても信じられない話であった。
外村が雑誌を手に取りながら話を続ける。
「東城綾プロフィール・・・○○年1月14日生まれ。山羊座のA型。趣味は読書。好きな食べ物:クレープ。苦手なもの:
辛い物、カミナリ、カラオケ、ハンサムでかっこいい男の人(笑)。スリーサイズはヒミツだけどかなりのナイスバディで
バストは推定90以上!・・・・自分の性格:内気で消極的。でもこれからはそんな自分を変えていきたいです!との事。
そして今年の春晴れて都立泉坂高校を卒業して慶法大学文学部国文学科入学の綾タンを・・・」
そこまで語り外村は本を閉じた。
「性格は内気で消極的だけどでもこれからはそんな自分を変えていきたい、か・・・。それで勢いであんな格好なんかも
しちゃったのかもしれんな・・・まあ何というか逃がした魚はやはり大きかった訳だ」
逃がした魚は大きかった訳だ・・・、このセリフは過去にも外村から聞かされたことがあったと記憶してる真中だった。
「どういう意味だ?外村・・・」
真中は身を乗り出すように外村に問う。
「・・・今、俺は東城綾の秘密を二つほど知ってしまっている。一つは勿論このグラビアの件だ。まあ、こんなのはまだ
マシな方だ。もう一つの件に比べたらな・・・」
外村は真中の質問には答えず代わりに更に意味深な発言を口にしてそれが真中の体をジワリジワリと硬直させていく。
「真中・・・以前俺はお前にこう聞いた。知らないとこで東城と二人だけの関係を持ってたんじゃないのか?と・・・。
で、お前はそれを強く否定した。そうだよな?」
真中の背中からは冷汗がだらだらと流れ出していた・・・。
「・・・人間の人生、誰でも程度の差はあれ間違いってのは起こす。俺だって今考えれば相当な間違い事やらかしてきた
訳だしな・・・しかしそれでも正直俺には嘘言わずに本当の事話してもらいたかったぜ・・・」
外村のこの発言はもう決定的だった。
真中はもう言い逃れなど出来ない事を悟った、・・・だが、どうしてバレた?。
「・・・お前ら二人が今年1月14日、つまり東城の誕生日に某県の有名温泉旅館に宿泊したって情報を俺が知ったのは
つい数日前の事だ。俺もこういう仕事柄いろんな情報源のルートを張り巡らしてたりしている。情報源の出所は無論
ここの旅館からなんだが・・・それでこの際単刀直入に言えばお前らの件はちょっとマズイ。近日中にあるゴシップ誌に
お前らの事がスキャンダルとして掲載されるらしい」
・・・俺は今どんな表情を浮かべているんだろうか・・・、外村の話を聞きながら真中はそう思った。
「守秘義務違反も甚だしいがそこの宿の人間の兄弟がある独立系の出版社に勤務しているらしくまたそこのゴシップ誌
の記者までやってるらしい・・・。そいつがそのネタを入手してから独自に東城の事を洗い出して結果お前との関係まで
突き止めたそうだ。・・・普通作家先生のゴシップネタってのは大手の出版社の週刊誌は余程でない限り取り上げない。
作家ってのは出版社にとって一番の金づるの存在でその秘密を扱うなんてある種タブーだからな。だがここの出版社
はイケイケ路線で有名なとこだ、確かな証拠さえあれば必ずスキャンダルとして取り上げる。・・・いいか、お前たちが
互いに独身同士なら別に問題にもならなかった。ただお前の方が妻帯持ちだ。そこがマズイんだよ。彼女は妻を持つ
身の男を略奪したって騒ぎになっていく。当然イメージダウンは避けられない事になる・・・。そしてお前自身の家庭まで
崩壊しちまいかねない・・・俺の言っている意味わかるか?」
真中はただ黙って頷いた。
「不倫は法的には罰則されるものじゃないが道義的責任みたいなのは発生してくるもんだ。お前らもいい大人としてある
程度それなりの覚悟でそういう関係になったんだろうからだから、俺もとやかくお前らの事を言うつもりはない。俺もいい
大人のつもりだからな・・・ただあの頃の俺ならお前を一発くらいぶん殴っていたかもしれんが・・・」
真中はぐったりと俯いたままの姿でいた・・・。
「とにかくお前には友人の一人としてこの事を伝えておきたかった、それだけだ・・・。ただな、真中。お前らお互い完全に
吹っ切れていたんじゃないのか・・・それに、一体つかさちゃんにはどう説明するつもりなんだ・・・」
そうだ、その通りだ・・・確かについ6年前まではお互い吹っ切れた関係だったはずなんだ・・・本当に・・・。
このまま真っ直ぐに自宅に帰れる気にはどうしてもなれない真中だった・・・。
何よりも今はもうつかさの顔をまともに見る事など出来そうに無かった・・・。
外村のマンションを出てから真中は行く当てもないように夜の街をふらついていた。
そしておもむろに携帯を取り出しボタンをいじりながらモニターを見つめる。
メモリ欄のTAの部分にセットして電話をかけようとするがそのボタンを押す事が出来ない。
真中は思い出していた・・・、あれから東城とどのくらい密会を重ねただろうか。
旅館宿泊後から今に至るまで少なくとも4,5回は会った。
そしてその度に肌を合わせてはセックスをしてきた。
あれからはちゃんと避妊の為にコンドームを使うようにし始めた。
会う度に彼女はつかさへの罪の意識を口に出していたが今更仕方がない、と真中は答えた。
家ではつかさとも肌を合わしながら今までと変わらずに愛し合っていた。
特に綾と会う前日の日の夜は激しくつかさの事を求めた。
真中に抱かれながらつかさはいつも映画の事を楽しみにしてるから、と語ってくれた・・・。
真中の為にいつも美味しい料理を作ってくれた・・・。
真中の帰りがどんなに遅くなってもつかさはいつも笑顔で出迎えてくれた・・・。
綾と不倫関係を持ちながらも真中はそんなつかさの事を本当に愛していた・・・。
真中の記憶は今までのつかさとの出会いから今日に至る二人の現在までをめまぐるしく走馬灯の如く思い出していた・・・。
出合った時、楽しかった時、辛かった時、別れの時、そして再会の時・・・過去と現在とそして未来の二人のドラマ・・・。
真中の携帯を持つ腕がワナワナと震え始め彼はその場の地にガタンと腰を落とした・・・。
その翌日の東邦社の映画製作の合同打ち合わせの席上にいた外村美鈴の顔には緊張感が漂っていた。
電通信側から参加した製作委員会スタッフの一人である天地の姿がそこにあったからだった。
普段は各社の正規のプロデューサーらだけで具体的な方針を確認しあっていたが今回は製作委員会全体会議として
最終的な取り決めと意思決定がなされるのだ。
会議の司会者的立場を任されていた美鈴の進行で会議は滞りなく行われていたが途中席上、天地から意見が出された。
「これは直接映画とは関係ない話なんですが私が耳にしたある情報によりますと今回の作品の監督を手掛ける真中氏に
どうやらあまり好ましくない噂があるようだと聞きました。いよいよ来月から撮影がスタート致しますがこのような大事な
時にそのような芳しくない噂がありましては今後の事に支障をきたしかねません。そこで一度製作委員会を通じて彼に
その事の次第をはっきり述べてもらうのがいいかと思うのですが・・・」
天地の突然の発言内容に席上どよめきが起こったが天地自身はそれ以上詳細な事は語らずじまいであった。
結局会議では真中のその噂とやらの件を別にしておおよその事案は決定される事になった。
終了後会議室を抜ける天地の後を美鈴が後を追いかけてきた。
「ちょっと、一体どういうつもりなんです!第一あれはどういう意味なんですか!」
天地は全身を高級ブランドスーツに着込んで実に洗練された動作とキリッと整った端正な顔立ちを美鈴に向けた。
美鈴からの質問に天地は少し表情を緩めながら短くこう答えた。
「とりあえず週刊誌ネタになりかねないとだけ言っておくよ。つまり男女の仲に関する事だ・・・これ以上は言わないよ。
ただ僕としてはアイツには心底苛立ちを感じざるを得ない・・・本当にアイツが憎くてたまらない・・・」
そう言い残して天地は美鈴の前から去っていった。
美鈴は天地の言葉と表情から何か鬼気迫るものを感じ暫し呆然としていた。
男女の仲に関する事・・・どういう意味?・・・、悩み考える美鈴であったがやがて、ああっ!と軽い叫び声をあげた・・・。
その翌日会社に訪れた真中に美鈴が現れて彼の手をとり社の別室へと連れ込んだ。
そしてそこで真中を激しく詰問した。
噂があるんです、真中先輩と東城先輩の男女の仲に関することです・・・どうなんですか?、と。
真中はその問いに突っ立ったまま黙り込んだがやがてその問いに噂の通りだよ、と一言だけ答えた。
その瞬間真中の頬を美鈴がバシッと叩いたのだった・・・自分の両頬を涙で濡らしながら・・・。
「もう・・何考えてるのよ・・・ホント、バッカみたい・・・真中先輩も、東城先輩も・・・」
美鈴は泣きながらそう二人の事を責めずにはいられなかった・・・。
PART.12
その日は何だか静か過ぎるくらいに静かな一日だった。
真中つかさにはその静けさがかえって不気味に思えるくらいのマイナスの感情を抱いてしまう。
夜の夕食の支度は終わっていた。
後は夫の淳平が帰ってくるのを待てばいいだけだ。
それにしてもここ数日間夫の態度がどうもおかしかった。
何かに怯えているというか、話しかけても返事が返ってこなかったりボケーッと壁を眺めているかと思えば
突然深刻な顔を浮かべていたり・・・ろくに食事も食べなかったり・・・。
いや厳密に言えば様子が何かおかしいというのはもっと前から感じられた。
例えば携帯電話に関しては昔は家にいる時など平気でそこらへんに置きっぱなしにしてのに今では絶対形見離さず
文字通り携帯しているし時には長時間電源を消している時もあったし夜にこそこそと家を出たりもするようにもなった。
怪しいと思いつつも口に出してそれを咎めるような事は慎んでいた。
実はつかさには何となく思い当たる節がありながら自分でも気持ちの整理がつけれないもどかしさがあったのだった。
それを口に出してしまったら自分達の関係が終焉してしまうのではないかという恐れに似た気持ちを抱いていたのだ。
だからつかさはどこか意識しながらも何事も無い様に今まで通り自然体で振舞おうと決めていたのだ・・・。
やがて玄関の方からガチャというドアの開く音がした。
それは夫の真中淳平が帰宅してきた合図であった。
「おかえりなさい淳平」
いつもの調子でつかさは玄関先まで真中を迎えるのだがその真中の表情がいつにもなく険しいものであった。
「どうしたの・・・何だか顔色が凄く悪いよ・・・」
つかさの心配ももっともというくらい真中の表情には生気の色がなかった。
そのまま玄関先で突っ立ったまま上に上がろうとしない真中だった。
思い詰めた顔をしたままの真中につかさは再度本当にどうしたの?と尋ねた。
やがて真中は意を決したかのように声を搾り出すように答えた。
「・・・つかさ、話をしなければならない・・・俺のお前に対する背信行為に対する話をしなきゃいけない・・・」
つかさはそんな真中の顔をただ見つめる他なかった・・・。
居間で二人は向かい合って座り暫く黙ったまま時間だけが経過していった。
真中は胡坐の姿勢で、つかさは正座の姿勢で互いに黙ったままでいた。
真中は頭の中で話を整理しているようであり、つかさはただ黙って真中が話を始めるのをじっと静かに待つ。
そしてどのくらいの沈黙が流れただろうか、真中はつかさに対して土下座する格好で頭を下げたのだ。
「ごめん、つかさ・・・」
つかさには何が何だかわからないでいた。
「・・・淳平、一体なにがどうしたっていうの?ちゃんと説明してくれないとわからないよ・・・」
真中は頭をゆっくりと上げながらつかさの顔をじっと見つめる。
彼の目元にはじんわりと涙が浮んであった・・・。
「ずっとどうしようかとは悩んでいた・・・でも決断できなかった。いや、決断しなかったんだ・・・自分がどうしようもないくらい
に酷い男だとよくわかっていた。それでも関係を断ち切れなかった・・・いや、断ち切りたくなかったんだ・・・。でもこのまま
いつまでも放置しきれる問題じゃない事もわかっていたしそれがいつか判明してしまう事もわかっていた・・・。そして今日
その事を明確に悟らされた・・・もう誤魔化しようがない事をね・・・。だから、今から俺は全ての真実をありのままつかさに
話そうと思う。その話を全て聞き終わった後、つかさに決断をしてもらわなきゃいけない・・・」
真中の前置きの内容は抽象的で肝心の話の部分がまだ見えてこなかったがそれでも彼の語っている事が極めて深刻な
内容なのだろうという事は容易に理解できた。
真中は少し深呼吸をした。
つかさもまた息を止めながらじっと真中の話の続きを待ち続けた・・・。
「・・・つかさ、俺は東城綾と不倫をしていた」
今まで遠回りで言いにくそうな口調の真中だったがこの時ははっきりと断言するような口調でそう言い切った。
「・・・・・」
つかさは何も言わないまま真中を見つめ続けていた。
つかさにどれほどのショックを与えてしまうのだろうか、と真中は思わずにはいられなかった。
「つかさ・・・俺は前回の初めての監督作品で東城綾と再びタッグを組む事になった。そこから始まった縁で彼女と
付き合いみたいなのが始まりだした・・・。彼女と会って話をして励まされもしていつしか彼女と会う事が何よりも
俺の中で重要な位置を占めるようになってきたんだ・・・。そしてある日、彼女は俺の事を・・・俺を今でも愛してると
言ってくれた・・・。そして俺もまた彼女の存在が確かな物になっていった・・・。昨年暮れの京都での同窓会のあった
その日に俺たちは電話で二人だけで落ち合いながら、そして関係を持った・・・」
真中は一言一言しっかりと言い間違えないようにそう発言した。
そして口を閉じてつかさからの問いを待つのだった・・・。
その間つかさは目をつぶったまま何も言わなかった。
何を考えているのかその表情からは全く読み取る事が出来ずにいた。
真中にはその沈黙の間があまりにも耐えられないくらいの苦痛に感じられた。
(つかさ、どう思ってるんだ、頼む、何か言ってくれ・・・どうせなら俺を無茶苦茶に罵倒してくれ。お前を裏切る真似を
したんだから当然だ・・・黙ってないで何か言ってくれよ!・・・・俺は、俺は・・・・・・)
真中は握りこぶしを作り力を入れて額に汗を出し歯を食いしばるようにして視線を足元にやりながらじっとつかさからの
返答を待ち続けるのだった・・・。
「・・・あたしさぁ・・・結構昔から勘が優れていたから、ひょっとしてそうなのかなって内心ではちょっと思ってたんだ・・・」
つかさがゆっくりと目を開けながら呟くようにそう答えた。
「!!!」
真中は驚きの表情をつかさに向けた。
つかさのその表情は実に穏やかで爽やかなまでに澄んだものの様に真中は見えた。
ひょっとしてそうなのかなって内心ではちょっと思ってたんだ・・・、それは全く予期していない言葉だった・・・。
「・・・なんだよ、その達観したみたいな言い方は・・・腹が立たないのかよ!俺に対して!俺は女房のお前を裏切って
他所で女作ったんだぞ!普通なら許せないくらいの怒りを覚えるんじゃないのかよ!それも・・・つかさの、つかさの
よく知る東城綾なんだぞ!前につかさがあたしも東城さんともう一度会いたいって言ってたの思い出して・・・俺はもう
どの面下げてつかさに東城を紹介なんか・・・・・・」
それから先はもう言葉にはならなかった。
彼は理不尽なまでの逆ギレでつかさを反対に責めるような言い方をしながらやがて両目から溢れ出てくる滝の涙が
物凄い勢いで流れ出してきてそれを右手で押さえながらうずくまって嗚咽し始めた・・・。
(何で、何で俺が泣いているんだ・・・・つかさが泣くならわかるけど、なのに何で俺が泣くんだ?・・・・・)
涙腺の刺激はギシギシに固まっていた彼の体と心を幾分和らげる効果を発揮していた。
つかさは真中からの背信的な行為の告白を受けながらもそれを責めたりせずに反対に微笑むように優しく穏やかな
口調でそう答えたのだった。
それがそのつかさの言葉が真中には事のほか自分を惨めに感じさせるのだった。
・・・真中の顔は涙でもうグジュグジュになって鼻水までも出していたのでそれが余計に拍車をかけ顔全体を汚していた。
つかさはそっとティッシュを取り出し真中の汚れた顔を綺麗に拭き取ってやった。
「・・つか・・さ・・・」
涙声のおかげで真中は尚一層惨めったらしかった。
「もうういいから泣かないの」
優しい声でそう語りかけティッシュで真中の顔を綺麗に拭き取ったつかさはそれをまとめてゴミ箱の中に捨てた。
そして下を向きふうーっ、と大きな息を吐いた。
真中はつかさの優しさに触れながら彼女の次の言葉を待った。
「前にねぇ、淳平が会社で東城さんと再会して帰ってきた夜、淳平がベッドの中で何回も東城さんの名前呼んでいたのを
あたし聞かされたから・・・」
真中は絶句した。
あの日の朝、つかさは真中に随分うなされてたみたいだけど嫌な夢でも見たの?、と尋ねてきたのだ。
嫌な夢というより確かに夢は見ていた、それも東城綾との激しいセックスをしてる夢を・・・。
真中は何でもない、と否定してつかさもそれ以上の事は何も聞いてこなかったのだがひょっとしてつかさはもうその時点で
二人の今後の関係を察していたのかもしれなかったのだ・・・彼女の言う優れた勘というやつで・・・。
つかさはゆっくりと話を続けた。
「・・・他にも思い当たるフシは沢山あったよ。京都に行ってた時からそうだけど暫く携帯の連絡が全く取れなくなる事が
多くなったし、普段と同じ様に振舞いながらどこかいつもと違う態度が見え隠れしていた・・・。お仕事だからと言っては
撮影前から何回か家を留守にしたりとか・・・まあ実際にお仕事だったのかもしれないけど以前はそういう時は必ず
淳平から電話かけてきてくれてたけどそれもなくなってきたし・・・。そんな感じであたしいろいろ考えてみたけど多分
淳平は他所に女の人作っちゃったんじゃないかな、って思うようになってきた・・・それもきっと東城さんが相手なんだろう
なって・・・結局あたしの勘はズバリ当たったみたいだね・・・」
全てお見通しだった訳か・・・、と思いながら真中はうな垂れてつかさの話を聞いていた。
「ねえ、今年の1月14日に淳平、家を空けたでしょ?・・・あれは東城さんの誕生日だったから?」
真中はマジマジとつかさの顔を見上げた。
「・・・知っていたのか・・・」
つかさは黙って頷いた。
「淳平もあたしが東城さんの小説読んでる読者の一人だと知ってたでしょ?彼女のプロフィールとか知りたいと思って
その気になって調べればそのくらいは簡単にわかっちゃうよ、今はインターネットとかで簡単に検索出来るから・・・。
淳平たちがあの日どこで一夜を過ごしたのかは知らない、でもあたしは今頃淳平と東城さんは二人抱き合いながら
愛し合ってるんだと考えたら物凄く自分がバカみたいに思えてきちゃった・・・・」
そこまで語ったつかさの目には初めて涙が浮んでいた・・・。
その日の数日前に真中はつかさに一晩家を空ける事を告げたのだがつかさの返事はそうなんだ、という一言だけだった。
このほんの短い一言の中につかさの全ての気持ちが含まれていたんだ、と真中は改めて思い知らされた気分だった・・・。
つかさの目からは静かに涙の雫がポタポタと落ちていってやがて今まで堪えていたその気持ちを全部吐き出すかのように
声を震わせ嗚咽しはじめたのだった・・・。
・・・俺はこの世で最低の人間だ・・・、真中はそう自分を断罪した。
ここまで彼女を傷つけ悲しませる事になるのは最初から分かっていた筈なのにそれでも自分は自分の意志と欲望のまま
東城綾の元に行き彼女を思いっきり抱いた・・・妻のつかさ以上に東城綾の体を貪る様に抱きまくったのだ・・・。
綾の誕生日から今に至るまで二人は5回ほど時間を見つけては密会するように逢引をしていた。
なかなか足を踏み入れにくそうな高級レストランで食事した後ホテルに綾を連れてセックスに明け暮れたあの日・・・。
綾をパンティ一枚だけにしてから真中はいきり立つ自分のぺニスを彼女の口で咥えらせて濃厚なフェラをさせた。
真中はベッドの端に座り綾はその床の下でパンティ一枚で正座しながら彼の猛々しい一物をゆっくりと舌を絡ませながら
口に含みながらしゃぶり続けていた。
やがて絶頂を迎えた時、真中は彼女の頭を両手でおもいっきり掴んで可能な限り綾にペニスを根元まで咥えらせながら
その口の中に大量の精液を放出した。
おもいっきり根元まで咥えらされた綾は涙を流しながら、うぐぐぐぅぅぅぅぅーーーーーーーー、という声を塞がれた口から
洩らしながらその大量の精液をドグン!ドグン!と飲み込まされた。
大量の精液を放出しながら真中はゆっくりとペニスを綾の口からジュルルーー、と音を立てながら引き離すがペニスの
先端と綾の口元の間からはその精液の残りがしっかりと糸を垂らしながらピーンと引いていた・・・。
それから真中は彼女を寝かし残りのパンティを剥ぎ取り自分も全裸になりながらその後2回セックスをした。
丹念に綾の体を愛撫しながら綾の陰部が充分に濡れてきたのを確認して彼はそのそそり立つ一物を挿入する・・・。
最初の1回はゴムを着用したが時間を開けてからの2回目は結局ゴム無しの行為になってしまった・・・。
別の日には二人で都内の美術館などを巡ったりもした。
以前は絵などには別段興味が無かった真中だが本格的に映像作品を手掛けていく内にそのジャンルの違う美的芸術に
強く惹かれていくようになってきた。
そしてそれから数週間後のある日、真中は遂に綾の独り暮らしの高級マンションの一室を訪れたのだった。
真中をテーブルに座らせながら綾はエプロン姿で沢山の手作り料理を振舞った。
つかさの腕にはやや劣るがそれでも充分食べられるレベルだったから真中は世辞抜きで美味しいと言いながら食した。
綾は心から嬉しそうな顔を浮かべて真中に沢山の手料理を食べさせた。
傍から見ればごく普通の若夫婦そのものの温かな光景なのだろうが二人の関係はごく普通のものとは言いがたかった。
それから書室部屋を覗かせて貰いそこで綾のを含めた小説の話や映画の話などに談義を咲かせた。
いつしか二人はあの小説の映画化の事に関して改めて語り合った。
真中はいつの日か必ず実現させるんだと鼻息荒く宣言してみせた、その為に俺は世界中を周り続けたんだから・・・、と。
綾もまたその時をいつまでも待ち続けるわ、と答えた・・・。
最高のシチュエーションの中でやがて二人は寝室のベッドの中で荒々しく何度も交じり合った・・・。
最初シャワーを浴びようとした綾だったが真中に止められそのまま両手を花柄のキャミソールの脇下部分から胸元へと
入れ込まれて更にブラの中身にまで指を入れてその大きな巨乳を揉み乳首を弄られながら首筋にキスされながら二人は
寝室の奥に消えていった・・・。
翌日の日付となった静まり返った深夜2時過ぎに真中は帰宅の途についた。
タクシーの中で綾との心地よい一時を胸に秘めながら同時につかさの顔を思い浮かべて今度は激しい自己嫌悪を催す。
綾と密会し逢引した後はいつも必ずこの想いに苛まれ続けるのだった・・・。
あと二人で海を見に行ったり、あの夕陽の綺麗な公園にまた散歩しに行ったり、少し遠出して田舎町の映画館で一緒に
映画見たりしたな・・・そして最後はセックスをして別れてたんだ・・・。
そんな綾との今までの光景を鮮明に頭に焼き付けている真中であった・・・。
やがてつかさはそっとハンカチで目元を押さえながら泣き止んでいた。
真中の目元もまだ赤く腫れる様になっていた。
真中がつかさの目を真っ直ぐ見据えながら口を開いた。
「つかさが指摘したとおり俺たちはあの日一夜を一緒に過ごしたんだ。あの日だけじゃない、あれから俺たちは機会を
見つけあっては5回ほど密会を重ねあった・・・。そして俺たちは体を交し合ったんだ・・・。俺も東城もいつもつかさへの
罪悪感は抱きながらも、それでも会う事を止めなかった・・・。互いが求め合っていた事を否定する事は出来なかった・・・。
俺は、俺は・・・今でもつかさの事を想い愛してるからこそ結婚したのに、それなのに俺は東城にもそれと同じ様な感情を
抱いてしまったんだ・・・。つかさ、これが俺の話の全てだ・・・。お前への裏切り行為に関しては全く弁護の余地なんかない
・・・だから今後の事を話さなきゃいけない、全て俺が撒いてしまった種で引き起こした今回の事のケジメの話を・・・」
真中の言葉と顔からは全ての覚悟を決めたかのような悲壮感漂う決意が表れていた。
すぐに回答は出せないかもしれないが、それでももう俺たち夫婦の仲はもう終わりだ・・・、真中はそう結論付けていた。
そして真中はつかさからの返答を待った・・・。
「それで・・・淳平は、もうあたしとは別れたいと思っている訳?そして東城さんのところに行きたいと思ってる訳?・・・」
そうつかさは逆に真中に問うてきた。
「!!・・・・いや、そんな、俺の方からつかさと別れたいなんて考えた事もなかった・・・」
真中は驚きながらもそう本音を伝えた。
ただつかさの方から、もうアンタとは一緒に生活出来ない!離婚よ!と宣告されれば素直に従うつもりであったが・・・。
「・・・そうなんだ・・・それじゃああたしたちまだやり直しが効くって事だね・・・」
つかさからの回答に真中は一瞬呆けたみたいな顔になっていたかもしれなかった・・・。
それはつまりつかさからの水に流してあげるよという意味の言葉だったのだから・・・。
「・・・つかさ、俺の事が許せないと思わないのか・・・だって俺はお前がいながら浮気したんだぜ、それも東城綾相手に・・・」
つかさの寛大な態度に真中の方が納得しかねるようであった。
「淳平、前に言ったでしょ。家にトモコたちが遊びに来てくれた時みんなとの話であたし言ったよ、あたしには結局淳平しか
いないって・・・あたしたちの間には運命の糸が存在してあり例えどんな事があろうとも必ず二人は元の鞘に戻るんだと。
だから淳平が仮に東城さんとデキちゃって彼女の事を好きになっても最後は必ずあたしを選ぶんだって・・・。そんな風に
考えながら淳平の事も眺めていた」
そこまではっきりと断言するつかさの絶対的自信に満ちた姿からは何か神々しいものすら感じられたのだった。
「それじゃあ、それじゃあ、つかさは一人の女として悔しくは無いのか!馬鹿な俺をこんなに魅了した東城に対して悔しい
とは思わないのか!」
思わず真中は声を荒げて言った。
「悔しいよ勿論」
真中からの問いにつかさはそう明快に断言した。
「悔しいよ、堪らなく悔しいよ・・・淳平にもそうだし何より東城さんに言いたい事だって沢山あるよ!でも相手が東城さんなら
やっぱり言えないかもね。全然知らない女の人だったならあたしも無茶苦茶に言ってやったかもしれないけど・・・」
「・・・それはどういう意味なんだよ・・・」
真中には彼女の真意がわかりかねた。
「東城さんの事昔から知っている人だからだよ・・・あたしも彼女がとてもいい人だという事は最初からわかってたし、それに
ずっと前から淳平の事を愛していた事も知っていたし・・・。それと淳平があたしじゃなく東城さんを選んでもおかしくない
事だってわかっていた・・・、ねぇ淳平、あの高校3年の時の学園祭の日の夜の事憶えている?淳平があたしの家に来て
今日東城の事ちゃんと振ったから!って報告しに来た事・・・。あたし嬉しくなって淳平を家に上がらせて、そのままエッチ
したんだよね・・・」
無論真中は憶えていた。
(あの日俺は教室のドア越しから東城に告白されたが結局俺はつかさの方を選んだ・・・それからすぐにつかさの家に行き
つかさにその事を伝えた俺はつかさに誘われて家に上がりそして・・・布団を被りながらひっそりと・・・今思えばなんという
甘酢っぱい一時だっただろう・・・)
そう真中は回想した、あの運命的な日の事を・・・。
「今でも思うことがあるの・・・淳平はあたしを選んでくれてこうして結婚をした訳だけどひょっとしてそれはあたしへの
同情と哀れみからきてるんじゃないかと・・・あの時はもうあたしたちヨリを戻してたけどもしそうじゃなかったらきっと
淳平は迷うことなく東城さんを・・・」
真中はそんなつかさの語りを遮ろうとしたがそう出来ずにいた。
あの時綾からの決死の告白を拒絶した真中だったがそれはもうつかさの悲しい顔を見たくないからだという気持ちが
働いたのは確かに事実だったのだから・・・。
「・・・どうなの?淳平。本当のあたしへの気持ちはどうなの?東城さんに比べてあたしへの気持ちは揺ぎ無い物だと
言い切れるの?ねえ、教えてよ・・・」
そう言いながらつかさは真中の胸の中にすがる様に抱きついてきた。
真中もそんなつかさの柔らかな体をそっと受け止めてやる。
「・・・淳平、あたしの気持ちははっきりしてるから・・・後は淳平次第だから・・・淳平があたしより東城さんを選ぶなら
あたしもそれに従うから!・・・だから淳平が、・・・お願い!・・・判断して!」
そこまで言ってつかさは真中の胸で号泣し始めた。
まるで小さな女の子のようにわぁわぁと泣いていた・・・。
彼女の体を抱きしめながら真中もまた大粒の涙をボロボロ零していた・・・。
つかさゴメン、本当にゴメン、と謝りながら一緒に抱き合って大泣きした・・・。
どのくらいの時間が経過したのだろう・・・。
真中の胸を涙でビショビショに濡らしたつかさが口を開き始めた。
「あたしからも淳平に言わなきゃいけない事があるの・・・今までずっとずっと隠してきた事があるの・・・。あたしが
淳平の事を心から責めたり出来ない理由があたしにもあるって事を話さなきゃね・・・淳平、このままの姿勢で
お話していい?・・・」
真中は濡れた瞳を向けながら黙って頷いた。
「・・・それじゃあ話すね・・・あたしの話を聞いた上で全て淳平が決断して欲しい・・・あたしのフランス時代に経験した
お話を聞いて・・・」
つかさは前置きしながらゆっくりと過去のフランス時代の話を語り始めた・・・。
それはつかさが心の中でずっと封印しておこうと誓っていた出来事であった・・・。
フランスに旅立つ日の成田空港であたしと淳平は最後に抱きあって別れたでしょう?思いっきり手を振って別れたよね。
・・・あたし、あの時もうこれで会う事は無いんだ、って考えちゃったんだ・・・だからせめて最高の笑顔で別れたかった・・・。
・・・俺たち抱き合いながらまたいつか会えるよな、って誓い合ったじゃないか?俺はそれを信じてたよ・・・。
あたしも信じたかった・・・でもやっぱりあたしは淳平を信じきれずにいたのかもしれなかった・・・。きっと淳平は自然にあたし
と別れた後に東城さんの元に行くんだな、って考えちゃったりしてた・・・結果的に今そうなろうとしているのかもしれないけど。
・・・・・・・・。
パリに到着したあたしは勉強だけに専念する事を決めてもう淳平のことは考えないようにしようと努力した。・・・最初の頃は
やっぱり思い出したりして考えちゃったりもしたけどその内月日が経つにつれて段々淳平の事も思い出さなくなってきた・・・。
当時あたしは日暮さんと他のフランス人パティシエの先生方の下でみっちり修行に明け暮れる日々が続いていた。あたし
以外にも世界中からパティシエを目指して沢山の生徒がパリに集まっていた。その中で一流のケーキ職人になれるのは
ほんの一握りだったからみんな負けじと修行と独自のケーキ作りに必死だった・・・。それでも次第に知り合いが増えては
やがて友人も出来始めた・・・。あたしと同じスクールの同期には数人の東洋人がいた。あたしと同じ日本人は二人程いて
その内の一人は同い年の女の子で同じ国の同性という事もあって彼女とは一番親しい友人付き合いをした・・・それと1歳
年上の男の人、彼ともそれなりに付き合いはあったけどそれもあくまで友人として、ね。彼はパリで現地の女の子と交際
してたけど凄く大人しい人だったな・・・あ、でもスクールではその彼が一番成績優秀だったの。今ではその子と結婚をして
向こうで頑張っているみたい・・・。そして韓国、中国、台湾といった近隣の国からの留学生たちがいて・・・・・・。
それで・・・?
・・・・今から話す事が一番重要な話になってくるから・・・・。あたしそのスクールの同期だった韓国人の男の人と恋人として
お付き合いをしていた・・・・。
!!!!
すぐに仲良くなったわけじゃなかった・・・留学から一年目くらいのある日、パリのとあるケーキ屋に一人で入ったら見た事が
ある人がいてそれがその人だった。彼はあたしの姿に気がつくと、やあ西野さん、って日本語で話し掛けてきたからもう本当
驚いちゃった。だって日本語が話せるなんて思ってなかったし彼とは同じスクールとはいえ今までまともに話すらした事が
なかった・・・。ほら、韓国の人とか歴史の問題なんかで日本人の事嫌ってるんだろうな、って考えてたし・・・。でも本音を
いうと何となく彼の事は前から気になっていた・・・それは面影がどこか淳平を彷彿とさせるものがあったから、かな・・・。
・・・・・・。
彼に席を勧められながら同席してそれからいろいろとお話をした。彼が日本語が話せるのはお父さんが大学で日本語の
教授をしていて小さい頃からみっちり習わされていたからなんだって・・・。話をしていても一般的韓国人の様な日本人像は
抱いてはいないようで話をしてても歴史的な問題で責められるなんて事は全くなかった。それに彼はとてもユニークな人で
日本語でもの凄く可笑しな事言ってはあたしの事を笑わせてくれたりもした。自分は日本語が理解できるからか日本人の
女性である西野さんがなんとなく気になっていたんだと言われた・・・。そんな彼が何でフランスでケーキ職人の修行をしに
きたかというと単純にケーキや甘い物が大好きだからその内自分も職人になってみたくなったんだって・・・。あたしはこれだけ
日本語の語学力があるならそれを生かす道に進んだらいいのにって思ったりもしたけどそれでもそれがきっかけになって
あたしたちは何となくお付き合いをし始めるようになった・・・。
・・・それで?。
お付き合いといってもあくまで友達としてだった。彼と本格的に恋人といえる間柄になったのは留学3年目の時に彼から
正式に恋人同士の付き合いがしたいと宣言されて・・・あたし悩んだ、悩んだんだけど結局それを受け入れた・・・。淳平の
事を考えながらも結局彼の告白を受け入れた・・・。淳平とは別れた、あの人はもういない、でも彼に面影の似た人がいて
その人から告白されて・・・きっと嬉しかったのかもしれなかった。それから彼とは暫く恋人としての関係が始まった・・・。
でもそれは長くは続かなかった・・・。
・・・何故?
恋人として付き合いだしてからわかったんだけど彼はユニークで優しい部分を持ちながらその反対に物凄く独占的で
嫉妬深い一面があったの・・・あたしが他の男の人と喋っているのを見ただけで後で物凄く激しく怒ったりした。それに
何かと束縛するような事を言ってきた・・・今までそんな姿を見せてこなかったからあたしビックリしちゃって・・・。同期の
スイス人の男性がボソリと韓国の人は感情がストレートだね、と言った事があってそれを聞いた彼が怒り狂った様に
彼に詰め寄ってあわや乱闘になりかけた事もあった・・・。そしてそれからあたしに事あるごとにセックスを強要する様に
なってきて・・・恋人同士なんだから体を合わせるのは当然だって・・・。でもあたしはそれを拒んでいた。何でだろう、でも
あたしの中では彼と肉体関係を持ってしまったらもう二度と淳平に会う資格がなくなっちゃう、って考えていたのかも・・・。
・・・・・・。
あの日、彼はあたしのアパルトマンに押しかけてきた。お酒が入っていたみたいで随分酔っ払った感じだった。彼は饒舌
に二人の今後についてじっくり話し合おう、と言い出した。あたしは彼を部屋の中に入れて話をすることにした。あたしは
もうこの頃には彼と別れようと考えていた・・・いい人だけど少しキツイところがいろいろと見えてきたから・・・。彼は将来
僕らは結婚して一緒に住む事になるからその時は僕の国か君の国かどちらかで暮らす事になるので今のうちにいろいろ
人生設計を考えておこうよ、なんて全然話し合った事もない様な唐突過ぎる事を言い出しちゃって・・・。だからもうあたしは
そこではっきりと別れましょう、と言った。それまでの彼は明るく饒舌に語っていたけれどあたしの別れ話で途端に人が
変わったかのように大声で怒りだした。あたしは近所に聞こえるから、となだめたけどきかなかった・・・。そして据えた目で
あたしを睨みながら、僕の事を知ればいい、僕を知れば君も僕に従うから、と言って・・・・。
・・・・・それで?・・・・・。
・・・彼はあたしを押し倒した・・・あたしは必死に抵抗したけど彼の力には適わなかった・・・。床に思いっきり叩きつけられて
その上から覆いかぶさってきて服をむちゃくちゃに破りだした・・・。そしてブラを剥がされてスカートとパンツも脱がされて・・・
あとはもう無理矢理に・・・・。
・・・・・・・・。
・・・濡れてもいない状態でいきなり入れられてあたしのアソコは物凄い激痛を感じた・・・そして無茶苦茶なくらい激しく彼に
責められた挙句射精されて・・・あたしはそこで泣き崩れていた・・・。あたしを勢いでレイプした彼はやがて我に返ってから
ああ、つかさ、許してくれ!僕は!僕は! ・・・そんな叫び声を上げていた様な気がする・・・そのまま走りながら部屋から
飛び出て行った・・・。あたしの性器は処女ではないにも関わらず出血をしていた・・・。
つかさ・・・・・。
意識を失いあたしが目覚めたのは病院のベッドの上だった。騒ぎを聞きつけた人によってあたしは病院に運ばれた・・・。
何人かの友人が見舞いで駆けつけてくれた。そしてお医者さんからお話を受けた。最初はお気の毒に、という言葉から
始まっていろいろと説明を受けた・・・そして彼との性行為の過程で不幸にも性器の一部が傷ついてしまったようだ、と
宣告された・・・。絶対に不可能ではないものの今後セックスで受精がし辛く妊娠をする可能性はかなり難しいかも、とも
言われた・・・。だからかな、淳平とのセックスでなかなか子供が出来そうに無いのは・・・・。
・・・・それで、そいつはどうなったんだ?
彼は翌日自宅のアパルトマンで自殺を図ったけど結局死にきれなかったみたいで・・・でもその時の後遺症からか言葉が
うまく喋れなくなったらしい・・・。それから本国から彼の家族の人が彼を迎えに来た。彼のお父さんがあたしの元を訪れて
本当に申し訳ありません!って泣きながら土下座して日本語で謝って・・・なんかあたしも涙が出てきて・・・。それからは
もう彼には会ってないから彼のことはわからない・・・。この事は事件として世間で報道されたりする事もなかった。あたしも
含めて誰もそんな事は望んでいなかったら・・・。そしてあたしもまた失意の気持ちを抱えながら日本へと帰国した・・・。
帰国後彼のお父さんが改めて謝罪の為に実家に訪れてきたんだけどあたし自身は会わなかった・・・最後に無理矢理に
慰謝料として大金を置いて帰ったって親から聞かされた・・・。それは7年前の冬、あたしと淳平が再会する数ヶ月前の事・・・。
長い長いフランス時代の封印してきた話を全て語り終わったつかさの顔にはどこか安堵の表情が浮んでいた。
彼女もまた違う意味でずっと長い間真中の事を騙し続けているという罪悪感を抱き続けていたのだった・・・。
そして今その全てを語ってことでようやっと罪の意識の重荷から解放された気がするのだった・・・。
真中はつかさを胸で抱いたまま何も言わなかった。
いや、何か言いたかったのだが何と話せばいいのかわからなかったのだ。
彼女の気持ちを気遣うからこそヘタな慰めなどはかえって口にしたくないという心理が働いたのかもしれない。
一方のつかさは真中の抱いた気持ちが知りたかった。
もし今の話で淳平が自分の事を汚い女だと思ってしまったかもしれない、とネガティブな方向に考えてしまっていた。
「・・・淳平、あたしの事、嫌な女だと思っちゃった?汚れた女だと思っちゃった?」
つかさは自分を卑下しながら真中にそう問うた。
「馬鹿なことを言うな!つかさ!」
真中は彼女の体を力いっぱい抱きしめてやりながらそう否定した。
「お前は汚れてなんかいない!つかさは誰よりも綺麗で純真な女だよ!・・・だから、だからこそ俺は世界を旅してた時も
ずっとつかさの事を信じながら頑張ってこれたんだぜ・・・ぞんな風に自分を卑下する必要なんて全く無いんだ・・・」
「・・・淳平・・・」
真中の名を呼ぶつかさの声には救済されたかのような響きが伴っていた・・・。
6年前、京都のさつきのいる料亭での泉坂映画部の同窓会から2日後、真中とつかさは東京で4年ぶりの再会を果たした。
真中は帰国する1ヶ月前に滞在していた中国の某地から日本の西野つかさ宅へ長文の手紙をしたため郵送した。
あれから二人は電話や手紙などで一切の連絡を絶っていたのでもはや個人間同士での連絡方法は存在しなかった。
真中は帰国するにあたりつかさへの想いをつづった手紙を書くことを決めたのだ。
1ヵ月後自分は日本に帰国します、それで再びもう一度つかささんにお会いしたいと思っています。もし可能でしたらこの事を
フランスにいるつかささんにお伝え願えませんか?自分がもう一度あなたに会いたいと願っている事を・・・。
この手紙をつかさの両親が読んでフランスのつかさに連絡してもらえれば再び自分達は再会できるだろう、そう確信しながら
真中は手紙をしたためた。
事実それから帰国してからほぼ4年ぶりになる懐かしの自宅へと帰った時に両親からつかさから送られて来た返信の手紙を
渡されたのだった。
そして指定された時と場所で二人は懐かしの邂逅を果たしたのだった・・・。
だが真中はフランスでまだ修行していると思っていたつかさが夢破れもう既に日本に帰国していた事実は知らないままでいた。
日本に一足先に帰国したいたつかさはパリの日暮によって紹介されたケーキ屋で新たな職に就いていたのだった・・・。
「・・・つかさ、俺の事を許してもらえる、かな?・・・そして俺達もう一度やり直す事が出来るかな?・・・。俺はもう二度と絶対過ちは
犯さない。お前を裏切る真似は二度としない。一生お前だけを愛する事を誓う・・・。こんな調子のいい事ばかり言ってる俺に再び、
もう一度だけチャンスを与えてもらえないか・・・つかさ・・・」
真中の懇願は真に迫るものがあった。
それは傷ついた過去を引きずったままのつかさの為に自分が出来る全ての事を彼女に捧げるつもりでいたのだ・・・。
それが許されるのであれば・・・。
「・・・淳平の一番の夢、東城さんの小説の映画化の夢はどうするの?その為に淳平は世界中を旅してたんでしょ?
それについて淳平はどう考えてるの?聞かせて・・・」
今の真中にとってつかさのその指摘はそこまで考えが及んでいない事であった。
彼女との関係を清算したとしてもそれがある限り二人はどこか最後まで繋がり合える関係をこれからも共有したままで
いられるかもしれなかった・・・。
つかさの為だけを考えればそれも含めて彼女との縁を完全に断ち切ってしまうのが一番望ましい事だとは思えた。
そう思えたが・・・
(終わる、のか?俺が放浪の旅に出たのは何故だ?それは東城のあの小説をいつの日にか自分で映像化する構想と
イメージを得る為のものだったはずだ。その夢はどうなるんだ?・・・もう駄目なんだろうか?・・・)
結局真中はそのつかさからの問いにはっきりと応じてやれなかったのだった。
ただ一言つかさがそれを望むならばそうする、とだけ答えた・・・。
「・・・淳平、それじゃあ淳平はあたしと別れないって誓ってくれるんだね?これからもあたし達一緒にいられるんだよね?
例えあたしに一生赤ちゃんが出来なくても淳平は構わないんだね?・・・」
それは真中よりもつかさの方こそが懇願するような口調であった。
「・・・淳平、あたしもっと努力するから・・・もっと淳平に愛して貰える様に努力するから・・・。あたし淳平が望むなら東城さん
みたいに髪を黒く染めるよ・・・胸だってもっと大きくなるように頑張って努力、するからさぁ・・・。淳平の為にいっぱいいっぱい、
どんなことでも、なんでもするから・・・なんでも・・・するから・・・お願い!あたしを見捨てたりしないでぇーー!!・・・・・」
そこまで声を振り絞りながらつかさは真中の胸の仲で再び号泣し始めた。
「・・・すてたり、すてたりなんかするもんか!・・・つかさぁ・・・」
真中も彼女の体を抱きながら共に慟哭したのだった・・・。
つかさ、ほんとうにごめん・・・、じゅんぺい、ほんとうにごめんなさい・・・、二人は心からそう互いの事を詫びながら泣いた・・・。
・・・ひょっとして二人の関係はずっと昔から今に至るまで表面的なものだけに囚われ過ぎていたのかもしれなかった・・・。
しかしこれからはきっと違ってくるだろう、この件を通じて二人は互いの抱いていた負の意識から解き放たれる事によって
本当の絆で結ばれたのかもしれなかった・・・。
PART.13
高級マンションの自宅のバスルームで東城綾は丹念に体を洗い流していた。
今日は再び真中淳平がここに訪れる日であった。
綾は真中と会う前には必ずじっくりとシャワーで体を洗う事にしている。
ボディソープをつけたタオルで体全体を、特に胸や脇にそして陰部を丹念にじっくり擦り洗った後シャワーの湯でそれを
綺麗に洗い流す。
綾はシャワーを浴びながら自分のその大きな巨乳をマジマジと見つめる。
いつも真中君が愛撫してくれるこの胸・・・、自分では今まで大きいだけで好きになれなかったこの胸・・・。
綾とのセックスでは真中はいつも胸を真っ先に責めるのであった。
彼女の乳房をおもいっきり掴んではたっぷりと揉みくだしていきその先端のピンク色の乳首をしゃぶりつく様に舐めては
激しく吸いまくるのだ。
乳首を吸い舐めまくる真中のその横顔はまるで大きくなった赤ん坊のように綾は思えた。
口の中で唾液でたっぷりと濡らされて更にピンク色にテカテカと輝きを増す乳首を交互に吸い続けた後は両手指で乳首
を摘んでは弄りまわしていくのだ。
真中の胸フェチのお蔭で綾の胸は随分と挿入までの重要な前座の役割を果たす役目を帯びていた。
それでなくとも綾自身もっとも性感を感じるのが胸であったからいつも真中に弄られまくる事によって自然と陰部には
ねっとりとした露が溢れ出していく。
真中はそのまま彼女の下半身に移り挿入する事もあれば更に胸で楽しむ為にか、ペニスを谷間に沈めてはパイズリに
励んだりもした。
・・・一体この胸で何回真中君のアレを挟んだかな?・・・、綾は顔を少し火照らしながらそんな淫らな記憶を辿っていく。
パイズリも座ってやったり寝転がってやったりとその時々でスタイルを変えながらも綾はそれを胸に挟みながら亀頭を
舌で舐め乳首ズリなども行いながらも彼がおもいっきり射精する為精一杯イヤらしく奉仕をした・・・。
(今日セックスする事になればまた真中君にされるかもしれない・・・前回の時は胸ではしなかったから・・・)
そんな事を考えながら綾はシャワーを浴び終えてバスタオルで体を拭き始める。
拭き終わった体の上からレースのブラを装着するがその下のパンツには同じレース柄ではなくあのいちご柄のパンツを
手に取り穿くのであった。
今日はまたこのパンツにしよう、と綾は考えていたのだ。
彼女にとってこのいちごパンツは他にはない大きな意味合いが含まれていた。
真中淳平との運命じみたきっかけを結びつける意味があったしまた本当の意味での勝負際においてこのパンツは一種の
御守り的なシンボルとしての意味をも含ましていたのだ。
前日に彼から電話が掛かってきて明日どうしても君に会って話がしたい、と告げられてきた。
その口調からは君と重大な話があるんだというニュアンスのものが感じとられたのだった・・・。
ただ綾もまた彼に重大な事実を告げねばならなかったのだ・・・、彼がそれをどう受け止めるのかは全くわからなかった・・・。
綾はそっと腹に手をかけながら真中がここを訪れる時間を時計で確認する。
時計は午後9時前を指していた。
あと10数分で彼はここに訪れる約束であった。
真中と綾が再会するのは丁度2週間ぶりくらいであった・・・。
15分後、家のインターフォンが鳴り綾は真中である事を確認して彼を家の中に招き入れた。
真中の表情にはどこか深刻で思い詰めた様な色が浮んでいた・・・。
「東城・・・」
最初に口を開いたのは真中からだった。
「・・・なぁに?」
綾は問い返す。
それから真中は続きの言葉が出せないでいた。
何て言うべきか、と頭で整理をつけているのかもしれなかったし言うべき事は既にわかっているのにそれを口に出すのに
躊躇しているのかもしれなかった・・・。
綾は改めて真中を見つめ直す。
やはり彼のその表情からは今までにないくらいの思いつめた様な翳が全体を覆っていたのだった。
今日は明らかに何か重大な事を伝えに来ている・・・、嫌でもそんな空気を漂わしていたのだ・・・。
二人は居間椅子に座ったまま向かい合う形で互いをじっと見つめていた。
綾は彼の言葉の続きをただじっと待ち続ける・・・ただ、ただ、何となく彼が何を伝えるつもりなのかがわかってしまう気が
してならない綾であった・・・。
真中は一度大きく息を吸い込んで吐き出して深呼吸をした。
そして意を決したかの様にこう切り出した。
「東城、今日はある事を君に伝えそして話し合いに来た。まず最初に俺の気持ちから伝えたい。東城・・・君との関係をもう
ここで終わらせたい」
そう彼は綾に告げた。
綾は無言のまま俯いた。
真中は再びゆっくりと深呼吸をしてから綾からの反応を待つ。
「・・・・多分そんな事言うんじゃないかと思ってた・・・真中君の顔見た瞬間に反射的にそう思っちゃった・・・」
俯いたまま綾はそう答えた。
「すまない、東城・・・本当にすまない・・・君にどう謝罪すればいいか・・・あまりに身勝手過ぎる事は自分でもはっきりと
理解している・・・だけど、もうこれ以上俺たちの関係は維持できないんだ・・・」
そして真中は綾にこれまでの経緯を説明し始めた・・・。
外村ヒロシから自分たち二人の関係を指摘された事、綾の誕生日に共に訪れた温泉旅館を通じて二人の関係が表面化
し始めてそこからある独立系出版社のゴシップ誌に情報が流れた事、そこの記者が主に綾の周辺の洗い出しを始めて
結果的に自分の存在を掴まれた事、自分が家庭持ちである事から美人作家・東城綾の不倫恋愛として成立する為恋愛
スキャンダルの記事として早ければ来週にもそれが掲載されるのだという事、その事実は既に映画スポンサーの電通信
サイドもまた入手しており製作委員会メンバーの天地の口からその疑惑が全体会議の場で告げられた事、外村美鈴から
今回の疑惑の件で会社サイドから自分が事情聴取されるであろう事、そして自分はその事実の全てを先日妻のつかさに
包み隠さず報告した事などを・・・・。
そこまで語った真中は目の前のコップに入ったお茶をグッと飲み干した。
「そう・・・天地君にもあたしたちの関係知られちゃったって事なんだね・・・」
綾は相変わらず俯いたままだった。
「電通信社は国内最大手の広告代理店として全てのテレビ局を通じ視聴率までもをコントロールできるほどの巨大企業
だからね・・・いわばありとあらゆる情報を入手し得れるくらいの力持っているから俺たちの関係を察知する事ぐらいは
お手の物なんだろうな・・・。ただ電通信の圧力を持ってしてもそこの出版社の記事は潰す事は出来ないだろう、って。
向こうは大手でなく独立系の雑誌だから電通信なんかに気兼ねする必要はないんだろう・・・」
そう言いながら真中は自嘲するかのように顔を歪めた。
綾はゆっくりと顔を上げて真中の顔を見つめ直した。
彼女の目にはジワリと濡れたものが光っていた。
「・・・あたしたちの関係がばれてそれが記事になって書かれいろんな人に知れ渡っちゃうのはもう仕方がない事だね・・・。
あたしも真中君もそれは最初から覚悟の上だったんだから・・・あたし、両親や兄弟、親戚それに昔からの友人知人らに
この事を知られたとしても自分は何とか平気、かな・・・。あたしの小説を読んでくれている人たちはどう思うんだろう、って
考えたりもしたけどよくわからない・・・ただこの事で沢山の批判を受けて自分の信用をなくす事に繋がっていってもそれは
自業自得なんだからなんの文句を言えないと思ってるし・・・ただ、ただ、やっぱりあたし奥さんに、西野さんに知られた事が
一番ツライかも・・・・」
そう言いながら綾はボロボロと我慢していた涙を零し始めた・・・。
真中が一呼吸置いて話を続けた。
「つかさには君との関係を全て話した。そして俺は彼女に判断を委ねたんだ・・・俺としては確実に離婚の覚悟はしていた・・・。
でもつかさは反対に俺に判断を委ねるって・・・自分は、例え淳平が東城さんの事を好きになっても今まで通り淳平の事が
好きだしこれからも今まで通り暮らしていきたいと願ってるけどあなたの方にその意志がないのならばもう別れましょう、って
告げられたよ・・・。つまり俺はつかさと君を天秤にかけてどちらかを選べと言われたんだ・・・」
「・・・そして結局最後真中君は・・・愛人のあたしではなく本妻の西野さんの事を選んだ訳だね・・・」
綾は自分を愛人だと定義した上でそう解釈し答えた。
真中はそれには肯定しなかったが結局はそういう事になるのだった。
綾はハンカチで涙を拭うがそれでもまだ涙は溢れてきて止まなかった。
そんな綾の姿に真中はもう居た堪れなかった。
結局全て俺の心の弱さが今回の件を引き起こしてしまったんだ・・・。俺がもっと、つかさの事を信じていれば彼女をあんなに
苦しめる事にはならなかったんだ・・・そして俺が東城に邪な欲望を抱いてしまったばかりに・・・もっと強い意志の元で東城を
諭すくらいの気持ちでいられれば彼女の事も傷つけずに済んだんだ・・・。結局全て俺の意志の弱さと欲がこんな事態にまで
引き起こしてしまったんだ・・・しかし、俺が東城綾を愛し抱いたというのは否定し得ない事実であるんだ・・・。今でも東城の事は
好きなんだ。でもそれでも俺はつかさの元に戻る・・・今度は二度とぶれやしない為にも俺は、つかさの元に戻る事を選んだ・・・。
真中は心の中でどう独白し続けた。
それが彼が最終的に決断した事であった・・・。
真中は別の話題を口にした。
ある事を綾に確かめてみたくて・・・。
「東城・・・外村の家で昔の君のあるグラビア写真を見せてもらった。そこにはとても色っぽい水着の格好をした君の姿が
写っていた・・・。君はなんであんな写真を撮らせたんだろう、って思わずにはいられなかった・・・」
綾はもう随分と落ち着きを取り戻しているようだった。
「・・・あれ見たんだ・・・あれを見て真中君、あたしに思いっきり幻滅しちゃったのかもしれないね・・・。あれは取材の過程
で勢いに流されるままあんな格好させられちゃって・・・。絶対恥ずかしい写真になるってわかったけどあえてされるが
ままに撮られたの・・・なんでだろう、きっとそんな無茶する事で真中君の事を完全に吹っ切れるって考えたからかな・・・。
実際それからはもう真中君の事をあまり思うこともなくなり天地君という恋人まで出来てもうあたし達の事は過去の間柄
にまで吹っ切れていた・・・でも結局あの時あなたと再会した事でまたあの頃のあなたに恋する自分に戻ってしまった・・・」
そのように綾から当時の経緯が改めて話されたのだった。
「・・・あれが世間に出なくて本当に良かったよ。君のあんな姿はあまり人に見られたくないと思うし、それに作家としては
あまり好ましくない経歴になりかねないし」
深く考えずにそう答えた真中だがハッと気付いた。
自分との不倫関係がもうすぐゴシップ誌で発表される事になる、そうなればもう充分に好ましくない経歴が刻まれるのだ。
彼女のその清純さを秘めた容姿からギャップした行為に余計に大きな反動を生じかねなかったのだ。
お互いの意志の元だったとはいえやはりその代償は小さな物では済まないであろう、・・・今更ながら真中は痛感した。
「・・・東城・・・雑誌の記事のことも含めていろいろ話し合わないといけない」
そのように善後策について少しでも話を進めたい真中であったが綾が突然スクッと席から立ち上がった。
驚いた真中は綾の顔を見上げた。
その綾の表情からは明確な感情を読み込む事が出来なかった・・・。
「・・・真中君も、立って・・・」
綾にそう諭されて真中もゆっくりと席を立った。
綾は一歩一歩ゆっくりと真中の前まできてから語り始めた・・・。
「・・・あたし、もしこの時が来た場合どうしようかと今までいろいろと悩み考えてきたけどうまく決心をつける事がどうしても
出来ずにいた・・・。西野さんへの罪悪感だけがくすぶり続けながらもそれでも真中君への愛おしさだけはそれまで以上
に強く確かな物になっていったの・・・あたしはもう真中君無しではもう生きる糧がないんだ、って考えるようになった・・・。
こうやって真中君と会う前の日なんか体が堪らなく疼いてきて明日また真中君に抱かれるんだと考えながら火照った体
を慰める為にあそこに指を入れて自慰をした・・・。さっきまでシャワーを浴びながら胸やあそこを丹念に洗っていた・・・。
胸を洗いながら今日は真中君に胸でしてあげよう、って考えて一人で浮かれたりして・・・お腹を空かしていればまた一杯
料理作って食べさせてあげるんだって思ったり・・・してたの・・・」
綾の顔はさっきまでの感情のない表情から一変して今は再び涙でその瞳の下を濡らしまくっていた。
下に俯いて沢山の涙の雫がポロポロと落ちていっていた・・・。
東城・・・、そう思いながら肩を抱いてやろうかと真中は思ったが結局それは実行に移されなかった・・・。
だがその瞬間綾が思いもかけない行動に出たのだ。
綾は両手で真中の右手を取るやいなやそのまま自分の左胸をおもいっきり掴ませたのだ。
「!!!」
突然の行為に真中は声を失った。
「ねぇ、真中君、感じる?・・・あたしの胸を感じる?・・・あたしの心臓の心拍音を感じてくれる?・・・こんなに、こんなに、
真中君の事が好きで好きで堪らないの!だから、だから、あたしやっぱり別れたくないんです!・・・奥さんと別れて
あたしと結婚してなんて言いませんから、でもこんな風に別れるのはイヤ!・・・あたし、気持ちの整理なんてとても
無理・・・」
そこまで想いを程を吐き出した綾はキリッと真中の目を見据えながら自分の胸を握らせている彼の掌に更に力を加えた。
「真中君、いつもあたしの胸をいっぱい愛してくれたじゃない・・・だからお願い、力を入れて・・・今まで見たいにおもいっきり
力を入れて揉んだりして・・・あたし真中君になら何されても平気だから・・・お願いです、して・・・・」
そう言いながら綾は真中の胸の中へと飛び込んできたのだった・・・。
真中は静かに目を閉じながら左手で彼女の肩にふれそっと自分から引き離すのであった。
「まなか、くん・・・」
綾は震えながら真中の顔を眺めた。
「駄目だよ、東城・・・君をもう愛せないよ・・・気持ちが、気持ちがもう萎えてしまってるんだ・・・君の胸を握っても、もう俺の
股間は全然反応しないんだ・・・もう気持ちが・・・離れてしまったんだ・・・」
そう答えながら真中は綾の胸からも自分の右手を引き離す。
真中は綾にあまりにも、あまりにも残酷な言葉を投げかけたのだった。
「・・・イヤ・・・」
綾は泣きながら首を横に振った。
こんな綾の姿を今まで見た事があっただろうか、と真中は思った。
彼のよく知る東城綾とはどんな時でも自分の感情よりも周りの事を第一に考える人間だったのだ、だから今日の事でも
彼女を泣かすことにはなってもこんなにも引き下がらない姿を見せるとはよもや思ってもいなかった。
結局のところ真中は相手の気持ちというのを徹底的に軽いものとしてとしか見ていなかったのであった・・・。
綾は今度は膝を折り座ってから真中のファスナーに手を掛けてそれをズリ下ろさせ中に手を入れて彼の一物を取り出したのだ。
だがそこには結局真中の言うとおりまるで反応を示していないペニスがあった・・・。
いつも綾の事を思うだけで猛々しく膨張していたあのペニスの雄姿はもうそこにはなかった・・・。
それにより綾は真中の言葉の持つ意味をはっきりと認識させられる事になってしまった・・・。
綾は床の上に倒れこみそうになり真中はゆっくりとペニスをしまい直しながら更に綾に謝罪を伝えた。
「ごめん、東城、ごめん・・・本当に、申し訳ない・・・。君に償える事があれば俺は何でもする・・・ただ、ただもう俺たちの
こんな関係はもう綺麗に終わらせよう・・・。お願いだ、どうか理解して欲しいんだ・・・」
悲壮感に満ちた口調で真中は綾にそう語るのであった、・・・いやもうそんな風にしか語る事が出来ないのだった・・・。
自分がどれだけ一方的に冷酷な事を告げている事をまざまざと痛感しながら・・・。
「とりあえず俺の意志だけは君に伝えたかったんだ・・・また後日、連絡をするから。・・・今日はもうこれで失礼するよ・・・」
そう言いながら真中は綾に背を向けて彼女の家を後にしようとした。
だがその彼の背中に綾が全身で飛び込んできた、彼を引き止めるために・・・。
「・・・まなかくん・・・・」
綾は震える声で真中の背中に語りかけた。
「東城・・・ごめん、でももう駄目なんだよ・・・」
何を言われてももう自分の意志を変えるつもりのない真中であった。
「まなか、くん・・・あたし、も・・・まなかくんに・・・つたえなきゃいけないことがある・・・だいじなおはなしがあるの・・・」
真中の背中に緊張感が走り出した。
(話したい事?なんだ、それは?東城、一体なにが言いたいんだ?)
真中にはその真意がわからないでいた、だがもはや聞かない訳にはいかなった。
「東城、話ってなんだい・・・言ってくれ・・・」
真中は綾に問うた。
綾は真中の背中の中で体を震わせながら搾り出すような声で答えた。
「・・・・妊娠したの・・・・」
その言葉に真中の全身に稲妻が走るような衝撃を覚えた。
「・・・・あたし、真中君の・・・・赤ちゃんを・・・身篭った、みたいなの・・・・」
それは真中にとってその場で倒れそうになるほどの衝撃であった・・・。
綾がゆっくりとその経緯を語り始めた。
「・・・前兆みたいなのは何となく感じていた・・・2ヶ月ほど前くらいから生理が不安定になってきたから・・・。でもそれは
以前にも経験した事があったからあまり気にはしなかった・・・。それが完全に止まってしまってからあたしもこれは様子が
おかしいって思えるようになってきて・・・でも決定的だったのは1週間ほど前につわりの現象が出た事だった・・・。それで
あたし病院に行って・・・お医者さんから妊娠を告げられたの・・・。先生が言うには妊娠約3ヶ月ほどだって・・・・」
そこまで語りながら綾は震える声と体を整える為に一呼吸を置いた。
一方の真中もまた体の奥底から震えるような激震に陥っていた。
(嘘だろ・・・妊娠だって・・・そんな嘘だろ!東城、嘘なんだろ!・・・俺を引き止めるためにとっさに思いついた嘘なんだろ・・・)
真中は事のあまりの重大さを認識出来そうに無いままそう自問を続けた・・・。
「嘘じゃない・・・本当の話・・・。病院の診断書も頂いてるし・・・あたしが妊娠しているのは本当の事実。その相手の父親が
真中君だというのも事実・・・」
(やめてくれ!もう沢山だよ!そんな話は聞きたくない!)
心の中でそう絶叫する真中であったが声には一言も発せずにそのまま立ち尽くしたままの状態であった・・・。
「お腹の中に新しい生命が出来てしまったのは事実なの・・・問題はこれからの事・・・。赤ちゃんを産むかどうかという事・・・」
つまり綾はお腹の中に出来た赤ん坊を出産するか堕胎させるかを真中に問うているのだった。
(・・・駄目だ、子供なんて。俺は東城とは関係を清算してつかさの元に戻る、それはもう絶対だ、何があろうとも・・・。だから
子供の出産なんて絶対認めるべきじゃないんだ・・・堕してくれと言うんだ!東城に子供を堕してくれと言うんだ!今ならば
初期段階なんだから簡単に堕胎させれる・・・だから俺ははっきりと・・・)
・・・だが真中はその意志を言葉にして綾に伝えれる事は出来そうにはなかった・・・。
自分でもわかっていたのだ、もうこれ以上彼女を身勝手な事を言って傷つける事は出来ないのだと・・・。
綾のその告白が本当であれば彼女は絶対に子供を出産したいはずなのだ。
当たり前に母性を持つ一人の女として、そしてそれが愛する真中淳平の子であるならば絶対に・・・。
後々の事を考えればお互いの事を考えれば絶対に子供は堕すべきなのだったが彼はそれを綾には言えそうになかった・・・。
それを言ってしまえばあまりにも救いがなさすぎる・・・そう思えてならなかったのだった・・・。
真中には気持ちをしっかりと整理させて再度に渡り決断を下す時が訪れたのだ・・・。
彼は息を整えて真っ直ぐに正面を見据えた。
綾はそのまま真中の背中に体を埋めたままでいた・・・。
やがて真中が口を開き自身の思いを述べた。
「東城・・・本当に妊娠したのであればその相手だった俺に責任があるね・・・。俺は君になにも強制なんか出来ない・・・。
そして君と一緒になる事も出来ない・・・。妻と別れ君と家庭を持つ事も出来ない・・・。君には俺如き人間なんかあまりに
勿体無いんだ。君には俺以外のもっと相応しい男が必ずいるから、だから俺たちはとりあえずもうこれで別れよう・・・。
でも可能であればこれからも一人の友人として付き合っていければと思っている・・・そしてムシがよすぎるだろうけど
君のあの小説をこの俺の手でいつの日か映像化したいと今でも願っている・・・」
「まなか、くん・・・」
綾が震えながら彼の名を呼んだ。
「・・・そして、そしてお腹の子供のことは是非君の自由にして欲しい。いや、産むべきなんだ、と思う・・・。俺もこの事には
男として必ず責任を持つから、絶対に・・・・・。それじゃあもう行くよ。後日電話でまた連絡をするよ。後の対応は全部俺に
任せておいてくれ・・・。じゃあ、本当に・・・さようなら」
綾を振り返ることなく真中は真っ直ぐに正面を見据えながらゆっくりと足を動かした。
背後にいた綾の体がガクンと床に落ちていくような音がした。
ドアノブに手を掛けてドアを開けて真中は振り返らずもう一度、さようなら、と呟いて綾の元を後にした・・・。
最後に、まなかくん・・・、という小さな声が聞こえた気がした・・・。
綾はその場で泣き崩れた・・・。
子供のように大泣きをした・・・真中の名を何度も呼びながら・・・。
綾の御呪いの意味を持っていたいちごパンツは彼女のスカートの中で静かに眠っているだけであった・・・。
マンションを後にしながら真中は心は混乱の極みにあったかもしれなかった・・・。
自分でもわからないまま意味不明の独り言のようなものを呟いていた・・・。
ふらつく様な足取りでエレベーターを降りてそのまま道路に出た。
バシャーン!というなにかフラッシュ音と同時に真中の顔が光に包まれた。
真中にはそれがなんなのかまるで理解できなかった・・・。
でもさっきの眩しすぎる光のせいだろうか、目からは涙がとり止めもない程に溢れてきた。
(なんでだろう、なんでこんなに涙が出るんだろう・・・)
真中は泣き顔を拭き取らずにそのまま打ちひしがれるように夜道を歩いていた。
可能であればこれからも一人の友人として付き合っていければと思っている・・・、さっきの自分の言った言葉を思い出す。
しかしわかっていた・・・、きっともう友人としてすらの付き合いもありえないであろうという事を・・・。
二人の絆を根本で支え合っていた綾のあの小説の映画化の夢・・・、今となってはもはや夢物語の様にも思えてくる・・・。
綾のあの小説の映像化の構想とイメージの為にさ迷い続けた世界放浪のあの日々の思い出の数々・・・。
終わったのだ・・・東城綾との短いアバンチュールは終わったのだ・・・。
歩きながら東城綾とのその短かった付き合いの光景がありありと頭の中に浮んでは消えていった・・・。
映画会社での6年ぶりの再会、二人だけの夜道の帰り、自分の為に高級ネクタイをプレゼントしてくれた二人だけの宴席、
夕焼けの綺麗なあの公園から始まった密会、そして二人が肉体関係を持ったあのクリスマスの京都の夜、など・・・・・。
真中は泣いた、もう声を震わせて泣いた・・・。
横を通り過ぎる通行人らが怪訝な顔を一斉に向けてくる。
(さようなら、東城綾、さようなら、俺の思い出の人、確かに俺が愛したもう一人の女、さようなら、東城綾・・・・)
真中は何度も何度もそう心の中で綾の名を叫び続けたのだった・・・。
いつまでも溢れ出る涙と共に彼は自分自身に東城綾との別れを告げたのだった・・・。
それは二人の関係に終止符が打たれた瞬間であった・・・。
その年の某独立系出版社の発行する月刊ゴシップ誌の6月号には真中淳平と東城綾の二人の密会写真とそれに伴う
特集記事が掲載され世間に発表された。
大手出版社の週刊誌ほどの規模は持たないがそれでも幅広くゴシップやタブー記事をゲリラ的に載せていくその雑誌の
編集スタイルには決して無視できないくらいの愛読者を有していた。
今回の二人の不倫記事は密会写真を含め全体で4ページほどの扱いではあったがそれなりの影響はあった。
その密会写真の一部には真中が最後に綾の元を訪れた日のマンションを出た時の真中の姿があった。
まずそこの情報を媒体に他のいくつかのゲリラ的週刊誌やそれ以上にネットの世界がこのスキャンダルを取り上げた。
若手美人作家・東城綾の不倫記事というのはなかなかセンセーショナルなインパクトを世間に印象づけた。
その清純な容姿に独身の身でありながらも既に妻を持った高校時代の映画部時代からの付き合いを持つ新人映画監督の
真中淳平との不倫行為というのが余計に大きなインパクトを与えたのだった。
一部の匿名掲示板サイトなどでは元々のスレを含めまたいくつかの彼女の新規スレなどが立てられた。
そこでは様々な意見が寄せられて作品と彼女の人格は別、こんな事になってしまったがそれでも今まで通り彼女を応援
していく、といった意見も沢山寄せられたがそれ以上にやはり彼女の行為を厳しく批判する意見が多く寄せられた。
中にはただ面白半分で叩きまくるようなスタンスの書き込みも割合と目立ったのだが・・・。
芸能人のような派手な露出度や知名度があった訳でもなかったのだがそれでも彼女の今回の件は極めて良くない意味で
なかなか世間の注目を集めてしまったのだった・・・。
雑誌発表からまもなくして真中は自宅前でとある週刊誌の記者から突撃取材を浴びる洗礼を受けた。
「真中さん、今回の東城さんとの不倫行為の件で何かコメントを頂けませんか?・・・」
真中はそれを遮る形で自宅マンションの中に消えていった。
マンションに戻っても外部からはその記者の仕業であろう、何回かインターフォンを押す音が聞こえてきた。
家では妻のつかさが家事を黙々とこなしていた。
真中はつかさに騒ぎにまき込めれるから暫く実家に帰った方がいい、と進言したがつかさはやんわりと拒否した。
どこにいても一緒なんだから、という理由で・・・。
雑誌でもインターネットでも自分の扱いはさほど大きくはなかった、東城綾の扱いがそれを大きく上回っていたからだった。
きっと彼女は今、もっともっと辛い思いをしているんだ・・・、真中は彼女の身を思いやった・・・。
彼女はたった一人でこのバッシングの渦に耐えなければならなかったのだった・・・。
・・・あれから翌日して真中は綾の元に電話を掛けたが最初はなかなか繋がらなかった。
何回も掛け直してようやっと彼女が電話を取ってくれて連絡が繋がったのだった・・・、電話口の綾の声は憔悴しきっていた。
真中はそんな綾の声を聞くのがもう耐えられないほど辛かったがそれでも心をリセットする形で毅然と話し掛けた。
真中は多くは語らなかったがこう伝えた・・・
辛い思いをさせる事になるがどうか耐えて欲しい・・・そして君との件は俺が責任を持ってケジメをつけるつもりでいるから
君はなにも心配しないでくれ・・・最後に、こんな俺の事を信じてまかせて欲しい・・・ と告げたのだった・・・。
具体的に彼女のお腹の子供の件はもう少し後になるだろうが今はとりあえずこの事案を俺なりにケジメをとらないと・・・。
そう決意する真中だった・・・。
その日、真中は幼少期から何回もお世話になっていた地元泉坂の後藤医院を訪れた・・・。
真中は外村からの今回の件を告げられてからここ2週間程で極めて大きな精神的疲労を抱えていた・・・。
東邦社の外村美鈴から不倫疑惑の事実を咎められてそれに至る妻のつかさへの懺悔の告白、そして東城綾との別れ話
に彼女の妊娠告白・・・そして今回のゴシップ誌からの不倫行為の暴露から始まった一連の騒動・・・。
あれから夜はもうまともな睡眠はとっていない・・・食事ももう満足に喉を通らなかった・・・いつも苦悩の顔を浮かべながら
様々な事を考えながら家の中に閉じこもりながらも外部とも時折連絡は取り合った・・・。
心配した両親が何回も電話を掛けてきた・・・、その度に真中は迷惑を掛けると謝罪した。
つかさの両親からも電話が掛かってきた・・・、電話口で激しく非難されながら横からつかさが割って入ってくれた・・・。
美鈴を通じて映画会社から連絡も入ってきた・・・、電話口であの記事の内容は全て事実だと答えた・・・。
どこから情報が漏れるのか、嫌がらせの手紙や電話が舞い込んでくる・・・、その度につかさは気丈に振舞い続けた・・・。
たまたま点けたテレビのワイドショーのコーナーで自分たちの事が取り上げられていた・・・、つかさはスイッチを黙って
消しながら寝室のベッドに倒れこんで泣いていた・・・。
会社に正式に事情を説明する為に外出をする・・・、会社側からは激しい罵倒を一身に浴びせられ続けてそしてその間に
何回か週刊誌の記者や野次馬らから声を掛けられた・・・。
そしてある日真中はトイレの中で用を足しながら今まで味わった事の無い目眩を体験した・・・。
そのまま意識がプッツリと途切れてしまうような程の激しい目眩を覚えたのだった・・・、吐き気に耐える様にトイレから
抜け出しながらつかさに体を抱えられた・・・。
・・・そして真中は限界を感じたのだった・・・。
後藤医院の後藤先生は60半ばの年齢だがまだまだ若々しくしっかりとした現役のお医者であった。
頭がすっかり禿げ上がってはいたが先生の眼鏡の奥のつぶらな瞳と柔らかな笑みは不思議ととても患者たちの心を
和まし信頼させるものを漂わせていた。
彼の二男は真中と同い年で同じ泉坂中学に通い都内の名門私立高校を得て千葉の国立大学の医学部を卒業し現在は
地方の独立行政系の労働災害病院に勤務しているのだそうだ。
いずれここの病院を継ぐ事が来る日までしっかりと研鑽に勤しむ毎日なのだろう。
ちなみにご長男は医者にはならず司法試験に挑戦して現在は弁護士としてとある弁護士事務所に所属しているという。
いずれにしても実に優秀なものだ、もしも裁判沙汰になる事があれば先生の弁護士の息子さんに頼らせて頂こう・・・。
そう思いながら真中は後藤先生からじっくりと診察を受けた。
翌日更なる精密検査を受ける為に先生からの紹介状を持って某総合病院を訪れた。
検査の結果、極度の精神的ストレス性疲労症候群とそれに伴う胃などの内臓の機能障害の兆候が示唆された。
病院からは投薬と診断書と共に当分の静養が言い渡された。
真中は診断書と自分の手でしたためた監督降板願いを片手に東邦社を訪れてそれを担当プロデューサーに手渡した。
真中は一連の経緯を謝罪しながらこれによって生じる事になる損害やペナルティーは甘んじて自分が受ける、と明言した。
傍らにいた外村美鈴は両手で顔を覆い泣いていた・・・。
会社玄関前で張り込んでいた一部週刊誌の記者にまたしても突撃取材を浴びる事になった。
前回の時はノーコメントを貫いたがもう曖昧にするつもりは無かった。
記者の質問に対して真中は言葉を選びながら慎重に発言をした。
「・・・私と東城綾さんは不倫関係にありました。それは間違いない事実です、でも今はもうその関係は清算致しました・・・。
妻にもこの事実をちゃんと伝えております・・・そして誤解の無いように言っておきたいのですが今回の関係に至るまでの経緯
ですが全て私からの彼女への一方的なアプローチに原因にあります・・・。私は彼女に自分は独身の身であるとワザと偽りまして
彼女と共同の映画製作を果たしてからは何かにつけ彼女を誘い続けました・・・お互い中学からの顔馴染みの仲でもありましたから
何となくそういう関係になっていけたのでしょう・・・。私は結婚している事を騙し続けながら彼女と不倫関係に至りました・・・。
もう一度はっきりさせておきたいのですが、今回の件は彼女は被害者みたいなのなんです・・・私が彼女を騙していましたから・・・。
先日彼女に事実をありのまま語りそこで二人の関係を清算致しました。重ねて言いますが全て自分の不徳が原因なんですから
どうか彼女を批判する事だけは謹んで欲しいんです・・・お願いします。批判されるべきは私のみだと思っています・・・。
そして今回の件で今度の新作映画の監督の件ですが責任を取る形で辞めさせて頂きました・・・・」
長々と丁寧な口調と使い慣れない一人称で記者に語りかけながら真中は少しでも綾の事を庇うことに専念したのだった・・・。
マンションに戻った真中をつかさが出迎えてくれた。
「・・・監督、降りたから・・・。そして記者の奴にも喋ったよ・・・。もうこれでつきまとわれる事は無いだろうと思う・・・」
「・・・そう、残念だね・・・。でも暫く静養しなきゃね・・・」
つかさの返事に真中は黙って頷いた・・・。
「そういえばあたしたちって満足に新婚旅行もしてなかったし、この機会に静養がてらどこかでのんびりしたりするのも
いいのかもね」
そうだな・・・、と真中も同意してみた。
「どこか二人で暫く温泉にでもいって体も心も労わってあげましょう・・・。草津なんかいいかもね、昔ながらの温泉療法が
今でも盛んらしいし・・・。もっと遠くの鳥取の三朝なんかもいいかもしれないよ。のんびり温泉につかりながら療養出来る
ようなところがいいと思う・・・」
話を聞きながら真中はつかさがこんなにも温泉の知識に詳しいとは思ってもいなかった。
「全部つかさに任せるよ・・・(ただ俺が東城と二人で行った温泉以外ならどこでもいいさ・・・)」
そう力ない声で真中は二人の分岐点となった過去の固有場所を振り返りながらつかさにそう答えた。
彼女の明るく気遣ってくれる様なその振舞いに心から感謝しながら・・・。
・・・真中がつかさに綾の妊娠の事実を告げた時のつかさの表情を一生忘れることはないだろうと思う・・・。
その時の彼女の表情からは明らかに真中から不倫の事実を知らされた時以上のショックが滲み出ていたのだ・・・。
「・・・それで、淳平は・・・東城さんに何て言ったの?・・・子供を堕してくれって言ったの?・・・・」
つかさからの問いに真中は、そう考えたが結局そうは言えなかった・・・それを告げる事はあまりも残酷に思えたから・・・、と
正直な己の心境をつかさに告げた。
「・・・それでよかったんだよ・・・もし淳平が堕せって言ってたら、あたしきっと淳平にかえって幻滅してたかも・・・」
本心か否か、つかさもそれでよかったのだと言ってくれたのだった・・・。
もう十分にお前を幻滅させてるさ・・・、と真中は振り返らずにはいられなかった・・・。
エピローグ
3月3日の雛祭りの日は女の子たちの成長を祝う為に昔から行われている日本の伝統行事の一つである。
小さな女の子のいる家庭ではそれぞれの規模に程度の差はあるが雛壇を飾りその上に様々な種類の雛人形で彩っていく。
自分も小さな頃は雛祭りの日はお雛様を飾ってもらってお祝いしてくれたんだったっけ・・・、東城綾はそう回想する。
東城家の第一子で長女だった綾は両親から命一杯大切に可愛がられて育てられた。
会社を経営していた実家は一般的にもなかなか裕福な部類に入り金銭的な面等々、綾と弟の姉弟は何不自由なく育てられた。
綾は小さい頃から勉強の出来る優秀な娘だったが決して天才タイプなどではなく毎日コツコツと努力を怠らない秀才型の
優等生タイプであった。
そして綾は何よりも母親譲りの滑らかで綺麗な黒髪をたなびかせるような大変な美少女でもあった。
しかし彼女には欠点もあった。
それは勉強も出来て男を振り向かせれる程の容姿を兼ね備えながらそんな自分に何故か自信を持つ事が出来なかった事だ。
学校などではいつも髪を三つ編みにしてピンで七三風に分けてまた視力が悪い為に黒ぶちの眼鏡をかけていた。
彼女のその風貌からほとんどの人間は勉強だけ得意な内気な女の子だと認識していた。
中学3年時に同じクラスメイトだった真中淳平もそれに似た印象を抱いていた(そもそもまともに同じクラスメイトとしてすら
認識出来ていない位であった程だが)。
だがある転機が訪れたのだ。
ある日の放課後の学校の屋上で二人は偶然遭遇した・・・そしてその時の綾は普段の素顔のままでいた・・・。
驚いて転倒した事により彼女のスカートの中のいちご柄のパンツを真中淳平に覗かれるハメになった挙句、彼女はそこに
一冊のノートを置き忘れてしまったのだ・・・。
翌日真中は「東城綾」と名前が書かれたノートを預かっていると彼女本人に伝えた・・・素顔とは別人の眼鏡姿の綾に・・・。
絶対にノートを覗かないでと懇願された真中だがその日の晩軽い気持ちでそのノートを覗いた・・・そこには小説が書かれていた。
翌日ノートを片手に真中は綾を屋上に連れ出して綾の事を大絶賛したのだった。
そして彼女に自分の将来の夢を熱く告白したのだ・・・それが東城綾の初恋の時だったのかもしれなかった・・・。
同時に真中は女の子の告白の仕方を綾に問うた・・・自分があの時のいちごパンツの女の子を綾ではなく学年一の美少女と
名高い西野つかさと勘違いしながら友人との話の延長戦で彼女に告白する事になったのであった・・・。
綾は複雑な想いを旨に真中にユニークな告白方法を伝授しそれが何と功を奏してしまったのだ・・・綾はその場から走り去った。
綾は真中とつかさの交際を傍目で眺めながら真中とそれとは別の間柄としての関係を築いていった。
ある事がきっかけで綾と真中は口を利かなくなってしまったがそのまま二人の関係は終わったりする事にはならなかった。
綾は本来の志望校であった桜海学園の受験を受けずに真中の志望校の泉坂高校に進路を変えたのであった。
その泉坂受験日に真中はあの時の屋上の美少女が東城綾であると初めて知ったのだ・・・。
二人は晴れて同じ泉坂高校に入学した・・・そして真中の恋人の西野つかさは別の桜海学園へと進んでいったのだ・・・。
別々の高校に進んだ真中とつかさはやがてその年の冬に別れてしまった・・・。
真中は外村ヒロシ、小宮山力也、北大路さつき、そして東城綾らと共に映画部を立ち上げてそれから3年連続で映画を作った。
そのいずれも綾が脚本を手掛けて彼女は文芸部のメンバーとしてもクローズアップされ遂に在学中に文学新人賞を受賞した。
映画部は外村の妹の美鈴、端本ちなみなども加わり少人数ながらもなかなかの存在感を発揮した。
様々な体験を送りながら真中は西野つかさと高校3年の秋に再び恋人同士としてのヨリを戻し合った。
その3年時の泉坂・嵐泉祭の夜、綾は真中にドア越しで今までの想いの程を告白したが真中はそれを拒絶した・・・。
そして翌年の雪の降る真中の青都大学の受験日に綾は彼とお互い前向きに進もう、と別れを告げたのであった・・・。
それが真中淳平と東城綾の3年ちょっとの月日の全てだった・・・綾は完成させた小説を真中に郵送して彼女なりの解答を
真中に提示してそれを読んだ真中は再びつかさと別れて卒業後約4年間近い世界放浪の旅で出たのだ・・・。
一度は終わった関係だったのに結局その想いを完全に解き放つ事が出来なかったんだ・・・、綾はつくづく思う。
世界放浪の旅から帰国した真中淳平の姿は今でもはっきりとその目蓋に焼きついている。
新人作家などと周囲から煽てられ充実しながらもどこか平凡であったような大学生活を送った自分と比較しても
彼のその4年近い月日は何と壮大なものだったのかと思い知らされた気分だった。
肉体労働で鍛え上げたそのしっかりとした体格、真っ直ぐと前を見据えて迷いなど微塵も無いような澄み切った
瞳の奥とその精悍に整った顔・・・。
彼の新しく生まれ変わったかのような堂々とした姿に綾は封印したはずのあの時のトキメキを再び蘇らせたのだ
(同時にその傍らにいた北大路さつきもまた改めて彼に惚れ直したのかもしれなかったが・・・)。
あれを境に綾の内面にもまた変化を生じさせた。
交際していた天地からその胸の内を看破され彼に去られていってからも綾はただただ真中の事を想い続けていた・・・。
その後の彼女の執筆の原動力はほとんど真中の存在にあるといっても過言ではなかった。
彼女は人間的に大きく成長した真中に自分も少しでも近づこうと決意してそれから数年間を送っていた。
「何十年先のことになるかわかんねーけど俺があの映画作れるようになるまで待っててくれよな」
あの時の真中の言葉をずっと信じながら彼女はいつか再び真中と会える時をじっと待ち続けていた・・・。
そして運命の時が来た・・・、映画会社からの真中の初監督作品への脚本参加の依頼の要請を受けたのだ。
彼女は迷う事無くそれに参加させてもらいたいと答え彼との夢の共作が再び実現した。
それが互いの運命の大きな分岐点となった。
真中は既に西野つかさと結婚していながら二人は激しい恋に落ち肉体関係を持ち綾は真中の愛人となり逢引を重ねた・・・。
だがその関係も長くは続かなかった。
自分達のスキャンダルがゴシップ沙汰になりそれを機に真中は綾との関係解消を告げ綾の前から立ち去って行った・・・。
そして彼女はもうその時にお腹に彼の子供を身篭ってしまっていたのだ・・・・・。
綾は今までの真中との長いようで短かった経緯を思い返していた。
綾は自分が生まれ育ってきた泉坂市に戻っていた。
今はその泉坂市で一番大きな公園の池が広々と眺めれる木陰のベンチの下でつばの広い帽子を被って静かに佇んでいる。
彼女の腕の中には赤ん坊がそっと抱かれながら心地よく眠りに就いていた・・・。
綾が赤ん坊を出産したのは昨年の12月の中旬頃であった。
真中との別れ話の少し前日につわり現象が起こり病院の医者から妊娠の事実が告知された。
それ以前から不安定な生理が続いており気にはなっていたが生理現象が完全に止まりこのつわりが起こった事で綾は
自分が妊娠してしまった事を理解したのだった・・・。
この時にもう妊娠3ヶ月程の期間を迎えていた。
あの日真中に別れを告げられながら綾は決死の思いで彼にすがり付いて妊娠の事実を打ち明けた。
真中は彼女からの告白に絶句し驚愕をした・・・、だが彼は綾に子供を堕してくれとは言わなかった・・・。
それが真中の最低限の自分が負うべき誠意だと考えたから・・・。
綾自身何度も思い悩みながらも結局は子供を産む決意をした・・・。
そして妊娠10ヶ月目の12月に綾は男の子を産んだ・・・。
綾は生まれたその男の子に淳という名前を名付けた・・・。
その子は真中淳平の忘れ形見であった・・・。
綾は生まれた赤ん坊と共に泉坂の実家に戻ってきた。
彼女の両親は何も言わず自分達の孫である赤ん坊を交互に抱きながら頬をおもいっきり緩めていた。
思えば優しい両親であった。
綾が本来の志望校を取りやめて泉坂に進学すると言い出した時も強くは反対しなかったし、また真中と同じ大学に
進学するとまで行った時も結局は強く反対出来なかった・・・。
常に綾をそこまで突き動かしてしまう程の男の存在をうすうすは感じながらもそれでも娘の主体性にまかせていた。
だから彼女が慶法大学に推薦入学を決めてくれた時は素直に喜んだものだ。
これで綾ももうその男の事で振り回される事は無いだろうと考えて・・・だが結局はそれで終わらなかった・・・。
綾がそのかつての「男」の真中淳平と不倫をしていたスキャンダルをゴシップ誌で報じられ騒ぎになった時も両親は綾を
責めたりはしなかった・・・綾の方は両親への申し訳なさで泣きながら謝罪したが・・・。
綾は暫く落ち着くまで両親の元で息子と過ごすつもりだったが両親はこのままずっとここで一緒に暮らせばいいと言った・・・。
生まれて約2ヶ月ちょっとの赤ん坊の息子を腕に抱きながら綾は公園で佇みながらある人を待ち続けていた・・・。
その人から突然手紙が送られてきたのは1週間ほど前の事だ。
手紙には都合のいい時にあなたと会ってお話がしたい、というメッセージが書き記されていた。
綾は内心の昂ぶった気持ちを抑えながら相手に返信の手紙を送った・・・。
今日、雛祭りの日の3月3日にここの公園でその人と再会する約束が交わされていた。
今の時刻は午後3時半ちょっとの時間帯だ。
綾は静かにその人が来るのを待ち続けた・・・やがて彼女は背後から人が近づいてくる気配を感じ後ろを振り返った。
「こんちには・・・本当にお久しぶり・・・東城さん・・・」
そこにはワンピース姿で日傘を差した西野つかさ、いや真中つかさの姿があった・・・。
綾はつかさに返答の代わりに立ち上がって深々と頭を下げた。
二人にとってそれは約10年ぶりの再会の時であった・・・。
スキャンダル発覚後、綾はつかさ宛に長文の詫び状を出した。
真中との不倫関係とそれに伴った結果自身の妊娠と出産の意思・・・それらの全てを含めた経緯の報告とお詫びと謝罪の
文面をその長文の手紙にしたためてつかさに送ったのだ。
後日、真中から返信の手紙があったもののつかさ本人からはその時は何の音沙汰もなかった・・・。
後に綾が赤ん坊を無事に出産してその結果を知らせる手紙を再度今度は真中夫婦宛で出したのだがこの時も真中本人
からしか連絡がこなかったのだがそれから2ヶ月以上経ったある日、突然つかさ個人から綾宛に手紙が送られてきたのだ・・・。
二人は簡単な挨拶を交わしながらそのままベンチに横に並んで座り互いを観察しあう様に眺めあった。
綾はつかさの顔をじっくりと見つめる事にはかなりの困難を伴う思いだった。
それは当然ながら自分と真中の事があったからに他ならなかったからだ。
それでもつかさから二人だけで会いましょう、という手紙を送られた時それを拒否する事など有り得なかった。
それは自分自身の口でつかさに対して一連の不義理を心から詫びたいという思いがあったからだ。
それにしても・・・、と綾の受けたつかさの印象は昔とは少し面影が異なる気がした。
まずその輝くような金色の髪を腰上の部分まで長く伸ばしていたのだ。
以前はせいぜい首下くらいまでの長さだったからかつてのショートヘアの姿はもう見当たらなかった。
髪の長さは丁度自分と同じくらいだと綾は思った。
そしてその顔の表情にはどこか翳のある部分が表面の見えないところから色濃く滲んでいる気がしてならなかった・・・。
そのつかさは綾とその腕の中で眠る赤ん坊を交互に見つめていたがどうしても赤ん坊の事が気になって仕方が無い様子だ。
「東城さん、その子が生まれた赤ちゃんだよね・・・可愛いな、本当に可愛いね・・・」
つかさは慈愛に満ちた目で赤ん坊をみつめていたがやがて綾にこう懇願した。
「東城さん・・・お願い、この子を抱かせて貰える?」
つかさの頼みに綾はハイ、と答え彼女に赤ん坊をそっと抱かせてやる。
つかさは両手で赤ん坊をあやす様に抱きかかえた。
「わあ・・・本当に可愛いなあ・・・すやすやと眠ってるね・・・」
抱えながら少し横に揺らす様に両手を動かすつかさだがそれで赤ん坊は目を覚ましてしまい泣き出してしまったのだ。
「あああ、ごめんね・・・ほらほら、よちよち・・・」
慌ててあやしてやるつかさだった。
少し泣いてしまったものの赤ん坊はすぐに泣き止んでくれて、ばあばあとあどけない笑い顔をのぞかせてくれた。
「うん、偉いぞ。流石男の子だね・・・さあ、またおねむしようか」
つかさは満面の笑みを浮かべながらメロディを口ずさんで赤ん坊を上手にあやしてやっていた。
「・・・東城さん、よければ暫くこの子を抱かせてもらっていい?・・・」
綾には異存は無かった。
赤ん坊はつかさの腕の中でもうぐっすりと眠りについていた。
「本当に可愛い・・・でも東城さんも毎日育児で大変でしょう?赤ちゃんは可愛いけどどうしても手もかかっちゃうから・・・。
お名前は確か淳君だったんだよね・・・」
綾は黙って頷いた。
淳という名前の由来は当然ながら真中淳平の名前から頂いたものであった。
真中と綾は別れてから直接は会わないようにしながらも電話や手紙などで連絡は取り合うようにしていたのだ。
真中としてはケジメの一つとして彼女が無事に出産を迎えるまでは事の経緯をあやふやにはしたくなかった。
そして12月半ばに男の赤ちゃんを出産した綾は退院してから真中にその事実と淳という名前を名付けさせてもらった事を
手紙で報告したがそれからすぐに彼から手紙と書留が送られて来た。
手紙には一連の自分の不誠実さをこんこんと詫びる文章が添えられていてそれと一緒に送られて来た書留には総額で
数百万円相当の小切手が送付されていた。
綾はこんな多くのお金は頂けないと返そうとしたが真中はそれは駄目だ!と無理矢理彼女に受け取らせた。
綾は知っていた・・・、あの騒動の後に真中は監督を自ら降板した。
結局代理として彼の師匠に当たる角倉が急遽監督に抜擢されスケジュールにやや遅れが生じたものの何とか期限までに
完成させて冬休み企画映画としてこの間まで上映されていた。
映画はまずまずの完成度で評価も高くなによりも客の入りも上々で大ヒットしたといえた。
角倉はベテラン映画監督の一員として更なる確固とした評価を得たのだがそれとは対照的に彼の弟子で本来の監督予定
だった真中は監督自主降板の上にそれからかなりの期間体調を崩し結果数ヶ月の及ぶ療養期間をよぎなくされた・・・。
まず真中に目をかけてくれた東邦社とはこの件で信頼関係が一気に崩れてしまい他の映画会社からも問題監督としての
レッテルが張られてしまったのだ。
今後真中が映画界でやっていけるかは非常に不透明なものになってしまった上にその間仕事による収入源が完全に
断たれてしまったのだった。
綾もまたそれ以降は執筆活動をずっと抑えていたがそれでも今までの印税の収入などで生活に支障をきたす事はなかった。
だから綾としては真中の現状を知った上でとてもそこまでは、と思ったのだが彼はケジメだからと言って聞かなかった・・・。
そして自分の子供であるという認知もしてくれたのだった・・・。
「・・・つかささん・・」
綾はあえてつかさを下の名で呼んだがつかさは昔のように西野と呼んでくれてかまわないから、と答えた。
「・・・すみません。西野さん、この子の名前はその・・・真中君から頂いたんですけど・・・本当によかったんですか・・・」
綾は遠慮しないでと言われてもつかさには丁寧に敬語を使用する事に決めていた。
「全然・・・東城さんがそれだけ淳平を思っていたんだって証拠なんだから・・・。東城さん、あたし二人の事ではもう怒って
ないから・・・最初はやっぱりショックでさあ、その東城さんのバカ!なんて思ったりもしてたけどね・・・。でも今は違う、
結局こうなって良かったのかなとまで思える様になった・・・。淳平と東城さんがリスクを負ってまでもああなる事で結果的に
二人は過去から遡った互いの延長線上の関係に本当の清算がつくのかなって・・・。少なくとも淳平は今はもう気持ちを
ふんぎっているから・・・。まあ危険な賭けだったけどね。あたしじゃなく東城さんの元に行ったかもしれなかったけどそれでも
あたしは最後は必ず淳平は自分の元に戻ってくるって信じてたんだ・・・」
つかさは淳の体を優しくさすってやりながらそのように自分の確かな想いを語ってみせた。
「・・・ごめんなさい、本当に・・・。あたしもう西野さんに絶対顔向けできないって思いながらも、それでも・・・本当にすみません、
どうか許してください・・・」
綾はつかさに頭を深く下げながら感情が昂ぶり目からは涙が溢れてはじめてくる。
「いいよ、もう・・・だから気にしないで・・・」
もう終わった事だから、という様につかさは答える。
つかさの腕の中で淳は時折笑っている様な寝顔を見せた。
本当に堪らない程に可愛らしい純粋無垢な顔だった。
「・・・東城さん、ちょっと質問いいかな?・・・」
話題は出産と赤ん坊の淳の事に移った。
つかさはついていろいろと尋ねてきた・・・、妊娠期間・出産時の綾の状況、淳の生まれたときの体重、生年月日や
血液型等々・・・。
綾はその間の自分の経緯を出来る限り詳細に語った。
そして淳に関しては出産時は3000グラム、12月○○日生まれの射手座で血液型は確かB型です、と答えた。
綾の血液型はA型だが真中の血液型は実は聞いた事が無かったので知らないのだがこの子がB型という事は
真中の血液型はBかABという事になる。
「じゃあ、淳平の血液型を遺伝したんだね・・・それだけじゃない、目元とかもう淳平にそっくり・・・。やっぱり男の子
だからお父さん似になりそうだね・・・」
彼女の話し振りからどうやら真中はB型らしいと綾は認識した。
そしてつかさが指摘する様に淳の目元などは本当に真中にそっくりであった。
きっと大きくなったら父親似の顔付きになっていく事だろうと思う・・・。
「それと・・・東城さんは自分のおっぱいで育ててるの?」
綾はこの質問にやや面食らう様に・・・ええ、と答えた。
綾は毎日淳の為にたっぷりと母乳を与えてやっていた。
綾の乳首を吸って黙々と母乳を飲む淳の姿を眺めながら綾はどうしても真中の事を思い出しそうになる・・・。
真中もまるで大きな赤ん坊のように綾の乳首を吸っていたから・・・。
「そうなんだ・・・、あたしは母乳でも哺乳瓶でもどちらでもいいから自分も早くこんな風に赤ちゃんが産みたいなあ・・・」
つかさのその言葉に綾はズキリ!というショックを与えられた気分になった。
「・・・あたしね、ひょっとしたら子供が産めないかもしれないんだ・・・。そのことで淳平とはしっかりと話し合ったけど、もし
これが原因で別れちゃうかも、とも思った・・・だけどお互い一からやり直そうって誓い合って・・・。だからね、あたしたち
今まで以上に激しく愛し合おうってホント子供が出来るくらいにもっといっぱいいっぱいエッチしようねって誓ったんだ・・・。
それでね、淳平には今まで以上に結構頑張ってもらってるんだ・・・」
・・・西野さんはどういうつもりでこんな事を言うのだろうか・・・、と綾は少し息苦しさを感じ始めていた。
つかさは自身のそんな重い事例と際どい事をごく自然体で語りながらも更に綾にこう問うたのだ。
「・・・それで東城さん、聞きにくい事だけど、その、淳平との具体的なエッチの内容を教えて貰えないかな?・・・。あたし、
それを参考にしてもっと奉仕する様にしながら淳平に頑張ってもらいたいから・・・。だから、具体的に教えて欲しいの・・・。
やっぱりその大きな胸を使って淳平にいっぱいしてあげたりしたの?」
綾はもう限界だった。
「西野さん!」
綾は思わずそう声を張り上げてしまった。
つかさの腕の中で熟睡していた淳はそれで目を覚ましてわあわあと大泣きを始めてしまった・・・。
「ご、ごめんなさい、あたし・・・」
綾は恐縮しながらそう詫びた。
つかさは再び淳を優しくあやし始めた。
「・・・あたしの方こそ、ごめんなさい・・・。東城さんとこうして対面してお話している内にだんだん冷静じゃなくなってきて・・・
もう東城さんの事でもう怒ってなんかいないはずなのに、ついあんなあてつけみたいな事言っちゃって・・・。
ホントごめんなさい・・・」
その様につかさも綾に詫びた。
淳はつかさにあやされながらなんとか泣き止んでくれた。
「東城さん、淳君返すね・・・泣き止んでくれてよかった・・・」
淳は再び母親の綾の腕の元に返された。
それから綾とつかさは押し黙ったままだった。
正直気まずい感じの空気が漂っている。
綾はつかさに対してひたすら低姿勢で恐縮せざるを得なかったし、つかさは綾に対してどこかプレッシャーを与えてしまう。
「あ、あの、西野さん・・」
綾が口を開きかけたが同時につかさがそれを遮った。
「ねえ・・・東城さん、時々考えるんだ・・・あたしたちって本当はもっともっと仲の良いお友達になれたんじゃないかって・・・。
あたしたち淳平を通じて知り合ったみたいなとこあるけど本当は親友になれたんじゃないかなって考えるんだ・・・。でも
その淳平を通じてしまったからこそあたしたちは互いにどこか緊張感のある関係のままでしかいられなかったのかな、って
思ったり・・・世の中ってなかなかうまくいかないものなんだね・・・。あたしね、東城さんの熱心な愛読者だったよ、知ってた?
いっつも新刊が出る度購入しては凄いなあって感心しながら読んでたんだ・・・。結構今思えば身につまされるくらい圧倒
させられたりしてた・・・。東城さんと違ってあたしは本場のパティシエには残念ながら才能及ばずなれなかったけどね・・・。
でも東城さん、今はまだ無理だろうけど身辺が落ち着いたらまた執筆していかなきゃね!愛読者だったあたしも応援させて
もらうから。・・・それにまたいつでもいいから、連絡してから淳君を家に連れて遊びに来てくれたらいい・・・だってこんなに
可愛い淳平の子供なんだもの・・・。彼だってきっと会いたいはずだから・・・。淳平はあたしたち二人がこうやって会ってる事
なんか知らないし、もう東城さんとの事を口に出したりすらしなくなったけどそれでも今も東城さんの事と淳君の事は物凄く
気にかけている事は見ててもよくわかるから・・・」
綾は淳を抱き締めながらつかさに何をどう答えてよいかが思い浮かばないでいた。
つかさは左手の腕時計を眺めながらゆっくりとベンチから立ち上がった。
「・・・それじゃあ、東城さん、あたしもう帰ります・・・。淳平なんだけど外村君の会社のアイドルグループの子達のPV映像を
また手掛ける事になってね、お仕事するの一年ぶりくらいなんだ・・・。淳平ももう贅沢なんかいえない立場にあるから映画
以外の仕事でもなんでもやっていかなきゃあ、って言ってるんだ・・・。だからそれで今から家に帰って今日は腕をふるって
ご馳走でもふるまってあげるつもり・・・・・。それじゃあ、東城さん、さようなら・・・それと淳ちゃん、またね、バイバイ・・・」
淳の頭を優しく撫でてやってそう別れの言葉を掛けてつかさは綾たちの前から消えていった・・・。
時刻はもう夕方の午後4時半になっていた・・・。
ベンチで綾は淳の小さな体を抱きかかえながら震えるようにうずくまっていた・・・。
つかさの発言した言葉の一言一言を思い返しながら・・・。
「あたしたちって本当はもっともっと仲の良いお友達になれたんじゃないかって・・・」
「身辺が落ち着いたらまた執筆していかなきゃね!愛読者だったあたしも応援させてもらうから」
「淳平ももう贅沢なんかいえない立場にあるから映画以外の仕事でもなんでもやっていかなきゃあ、って言ってるんだ・・・」
・・・わかっている、わかっているんだ・・・、と綾は震えながら思うのであった。。
それはつかさはこうして綾と直に対面してまでもはっきりと彼女に伝えるべき事を伝えに来たのだ。
それは自分に対して「もうあたしたちには関わり合いを持たないで欲しい」というメッセージを伝えに・・・。
妻であるはずの自分には子供が出来ず愛人だったあなたに彼を寝取られ挙句彼の子供まで出来るだなんて・・・。
それでもあなたの産んだ淳平の赤ちゃんは堪らないくらいにまで愛おしい・・・。
そんな風に彼女の相反した様な無念な思いを感じずには入られなかった・・・。
(ごめんなさい、西野さん、本当にごめんなさい・・・でも、それでもあたし真中君の子供が産みたかったの・・・)
淳を抱きかかえて懺悔の涙を零しながらも綾はこうも思う。
(作家になんてなれなくてもよかった・・・自分の将来の夢なんかどうでもよかった・・・本当はあたしは愛する人に愛されて
共に結ばれて子供も出来てそれで平凡な家庭を築ければそれでよかった・・・真中君があたしの小説をいつか映画にして
みせると約束してくれたあの日からずっと、あたしはひたすら真中君そのものを待ち続けていたんだ・・・)
ハッキリしている事は二つあった。
一つは真中淳平と結ばれ家庭を持つことが出来たのは自身の夢破れた西野つかさであったが子供はいなかった。
もう一つは作家の夢が叶った東城綾は真中淳平との家庭を持てなかったものの代わりに彼の子供を設けた事だ・・・。
綾は泣き崩れていた・・・、そして赤ん坊の淳もまた目を覚まして母親と共に一緒に泣き崩れ始めた・・・。
赤い夕陽の輝きが池の水面一杯に赤々と広がっていった・・・。
あれから真中淳平の体重は随分と痩せてしまっていた。
スキャンダルを暴露されてからずっと心身共に疲労せざるを得ない状況が長く続いた。
それでも自分が蒔いた種なのだから致し方なかった。
東邦社には多大な迷惑をかけてしまった・・・、もうあそこでは映画なんて撮らせてくれないだろうなと悲観する。
それでも外村美鈴などはたまに連絡をくれたりしては少し毒ついた口調ながらも励ましてくれたりもした。
真中にはそんな心遣いがとても有難かった。
結局裁判沙汰にはならなかった事だけマシだと考えていた。
あの混乱の余波で昨年はあれから全然仕事を手掛ける事が出来なかった事で極めて生活には困窮した。
真中自身決して短くない期間の療養が必要であったからだ・・・。
療養費と東城綾へのケジメとしての慰謝料費で本当に首が回らないほどの困窮振りだった・・・。
でも今は随分と立ち直れた。
それでも時々というかほぼ毎日東城綾とその息子の事が気になって仕方が無かった。
これから彼女は女で一つであの子を育てていくのだろうか、それは真中にはわからない事だった。
会いたかった・・・、でも会うわけにはいかなかったのだ・・・。
腐れ縁の外村ヒロシはこんな自分でも見捨てないでくれているようだった。
外村プロのドル箱アイドルグループ「beria」の新作PVとその他アイドルを含めた自社の専属映像監督をやってくれと
要請してきたのだ・・・。
真中は有難く承諾した。
今の自分が贅沢を言える身分でない事くらい流石に理解できている。
これからはPV作品の仕事で忙しい日々になりそうだった。
外村は新人発掘という名目でまたも京都のさつきのところを訪れようとしているようだった。
真中が思うにどうやら外村はもうさつき自身に惚れ込んでしまってると見ていた。
問題は彼女が外村に振り向いてやるかどうかだがそればかりは何とも言えなかった。
さつきの奴は俺と東城の件を知ってどう思っただろうか・・・、と考えたりもした。
家には南戸唯から今度の件で数年ぶりに電話があった。
自分の事を心配してくれながらも猛烈に怒られた真中だった。
妻のつかさとの身内同士だけの結婚式に唯一血縁者以外で唯には出席してもらった。
あいつもすっかり女らしくなったんだなあ、と何だか感慨深くもなった。
いつまでもロリ的な風貌で全然女の色気に欠けていたあの唯も桜海から私立の津田女子大学の英文学科を出て
語学の先生として外国暮らしを送りながら随分背も伸びて成熟した女に成長していたのだった。
結婚式では外国での忙しい生活の最中にわざわざ帰国してもらったのだった。
酒を飲みながら互いに英語で会話したりもして周囲の人間から喝采を浴びたりもしたものだった。
唯や両親、親戚縁者、友人知人、そして東城綾とその家族、何よりもつかさには本当に迷惑をかけてしまった・・・だがもう
これで終わりだ・・・。
(終わる、のか?・・・、俺は放浪の旅に出たのは何故だ?それは東城のあの小説をいつの日にか映像化する構想と
イメージを得る為のものだったはずだ・・・その夢はどうなるんだ?・・・。もう駄目なんだろうか?・・・いや、今はもう考えるな!
・・・考えてもどうしようもないんだから・・・)
季節は4月の半ば、短い桜の花が町中の至る所で咲き誇ろうとしている。
別れと出会いの季節・・・春の訪れであった・・・。
とある河の河川敷、そこにスーツ姿の真中淳平は一人佇んでいた。
河川の両岸には見事な桜の木がもうすぐ満開の花で満ち溢れようとしていた。
花が咲けば花見客でごった返す事だろう。
・・・これも自分へのケジメだ・・・、真中はボソリと呟いた。
ここならば迷惑にならないだろう、と考えながら彼はある事を決行するつもりでいた。
真中はネクタイの結び目に手を掛けてそれをおもいっきり引っ張ってネクタイを外した。
そのネクタイはいつか東城綾が彼の為にプレゼントしてくれたあの思い出の品であった・・・。
「長い時間かけて選んだの・・・。これが一番真中君に似合うんじゃないのかな、と思って選んだんだ・・・」
「初めての記念すべき会社資本での映画作品を取り上げた泉坂時代の同志・真中淳平監督へのあたし東城綾からの
ささやかなお祝い・・・」
彼女はそんな事を言いながら真中にそれをプレゼントしてくれたのだ・・・。
真中はそれを見つめながらやや躊躇する素振りをみせながらもやがて首を横に振ってそれを丁寧に折りたたんだ。
そしてスーツのポケットからジッポーライターを取り出した。
シュッシュッとライターを点火させてゆっくりとその火を折りたたんだネクタイへと着火させる。
なかなかネクタイには火が燃え移らなかったがやがて焦げた匂いを漂わせながらじっくりと火が燃え出してきた。
彼はそれを足元に投げ捨て完全に燃えてしまうのを確認する。
バチバチと音を立てて真っ黒な煙が真上に昇っていく。
真中はそれを瞬きせずに凝視していた。
目の中に煙が入り込んできた・・・。
「・・・・・嬉しい・・・・・良かった・・・・・受け取ってもらえないと思っていたから・・・・・」
・・・東城からこれを受け取った時、彼女は本当に心から嬉しそうだった・・・。
そう思いながら真中の両目からはうっすらと涙が零れて頬を濡らしていった・・・。
何故だろう、きっと煙が目に入るからだ・・・きっと・・・。
火はネクタイをあっという間に燃やし尽くして煙と共に灰となって風で宙に浮きながらチリヂリに消えていった・・・。
真中は暫くの間その場で声を噛み殺しながら静かに嗚咽をした・・・なかなか涙が止まってくれなかった・・・。
さようなら、俺と君の全ての思い出・・・・でもまたいつの日か・・・・。
本当の春がもうすぐそこまでやってきていた・・・・・・。
END
以上で完結です。
長くなり申し訳ありません。
相当疲れました。
これで失礼します。
明日にでもまた顔を覗かせて頂きます。
すげーおもしろい。
秀逸。もうレベル違いすぎ。
>グループ名「beria」(ベリア)という命名は社長・外村自身が名づけた。
>由来は果実のベリーをもじったものだった。
演出、こまかいねー(ワラ
東派の俺としては、また悲恋に終わったのは残念だけど
話としては素晴らしい出来。
お疲れ様!!
面白かったけど、一つ物足りない点があるとすれば
色んなプレイが見たかったってことかな?
負け犬SSの続きキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!
お見事。
とても失礼ですが、よろしければ、エロを除いて
再編集してより日の当たる場で発表できないでしょうか?
これほどすばらしい作品が埋もれるのはもったいないです。
作者にとってもこれ以上の続編は考えられないでしょう。
しかし、ここまでしないと吹っ切ることができない…いや、
まだ吹っ切ることなどできはしない想いとは…
もう、「業」というものですね。
恐ろしくさえなりました。
影になってしまったつかさの感情もすばらしい。
いやもう、なんといっていいか…すごいです。
妄想さん、お疲れ様です。
続きを早く読みたかったので待ち通しかった〜。
内容から東城ENDかなと思ってたけど
いや〜なかなか、とても良い話だったと思います。
次回作などもありましたら期待してますので
是非、宜しくお願いします。
ほんと、お疲れさん。
さつきの想いが、語られないからこそわかる、というのが
またよいです。この話をさつきの視点から見ると、どうしても
東西のようなつながりを持つことができない…あ、そして経緯を
知って、子供を授かった綾を、本当の夫婦となったつかさを
どれだけ嫉妬するか、それもまた想像するだに辛いものがあります。
彼女にはそこに割り込むだけの業はなかった…のか、それとも…
157 :
fusianasan:2005/09/03(土) 01:42:32
妄想つまんねー、そんな下手糞なオナニーはチラシの裏にでも書いてろよ。
ずっと真中に一途な東城と、韓国人に股を開いた西野
159 :
fusianasan:2005/09/03(土) 02:06:32
ずっと真中に一途な西野と、韓国人に股を開いた東城
160 :
fusianasan:2005/09/03(土) 03:29:55
Zです。大変楽しませて頂きました。特に最後の東城の必死さが何だかすごく…
紆余曲折ありましたが、完結おめでとうございます。
PS自分は唯ファンだから唯の出番がちょいとほしかったような…すみません、無視してください。
乙です。
とにかくこの一言にすべてを託します。
162 :
fusianasan:2005/09/03(土) 09:40:52
さすが東儲
西野への怨念っぷりがすごい
もしつかさがその子くれ、といっていたら、
真中にとっても綾にとっても最悪の復讐…orz
乙でした!
色々ありましたが最後まで読めてよかったです。
後味悪くもなくとてもいい作品だったと思いますよ!
まぁ実際は西野とくっつきましたけどね。
東城が復讐しないか心配。彼女の性格上十分ありえるから・・・。
166 :
fusianasan:2005/09/03(土) 14:46:02
>>165 漫画の話なんだから、心配も何も・・・
現実と区別つけましょうよ。
167 :
fusianasan:2005/09/03(土) 14:58:41
東城は罪悪感なんて感じないでしょ
あくまで読み物なんだからキャラの性格が云々言うのやめません?
パロディなんだから漫画とは分けて考えるべき。
圧巻!同じいちご好きとして内容には満足しました。
本編が中途半端に終わっていしまい歯がゆい思いをしていましたので
続きがどうしても気になってました。こういったパラレルワールド的な
物語りもいいなと思いました。私はつかさのファンなので最終的に真仲と
一緒になれた事は正直にうれしかったです。私の中で作者さんの内容で
いちごの物語は完結しようと思います。長文お疲れ様でした。
171 :
fusianasan:2005/09/03(土) 16:28:10
>>166 妄想氏は漫画を漫画と割り切れなかったからこういう小説書いちゃったんですけどね^^;
なんか馬から落馬的な表現がチラホラあるな。「ペニスの一物」とか「精液を射精」とか「陰部の性器」とか「中に中出し」とか。
173 :
K:2005/09/03(土) 16:53:46
秀作だわ…これは感動した。
あのー、作者の自演レスが多いんだけど晒しちゃっておk?
>>174 西ヲタ乙
韓国人に股開く西野のファンよ
東儲の被害妄想ってほんとうに酷いんだな
改めて実感・・・
さすがにこれはちょっと引くなあ
178 :
fusianasan:2005/09/03(土) 20:05:37
>>175 東ヲタ乙
韓国人に股開く東城のファンよ
179 :
fusianasan:2005/09/03(土) 20:42:05
妄想SSもどき=東儲兼西アンチ
強引な韓国ネタ絡ませにマジ引き・・・ここまで後味の悪いSSも久々だわ
妄想SSもどき氏って単なる東城ファンかと思ったけど、実は狡猾なアンチ西野だったんだね・・・
けっこう好きな書き手だったし、最初は応援してたけど一気に幻滅したわ
あのさ〜、妄想氏は色んなスレで色々と言われて
やっと誰かがたててくれたこのスレに投稿を
してくれたのにそこまでして
批判したい気持ちが理解できん出来んわ。
よほど暇な連中なのよろな〜。
特に、
>>172とか
>>180とか。
まあ西野を貶めようとする悪意に満ちてるSSってのは事実だな
身内(東スレの避難所)でも「あれはやりすぎ」の声が上がってたくらいだし
184 :
fusianasan:2005/09/03(土) 22:27:50
自演妄想SSもどき=東儲兼西アンチ
ほんのわずかでも西野に好意があれば読むなと、
注意書きが欲しかったよ。
ただのIF東城略奪END物かと思って楽しんでたんだよ。
続き待ってたしワクワクしてた。
まさか韓国人にレイプされて性器裂傷の不妊って…。
西野には産めない子供を、東城に産ませて勝たせてあげたいのはわかるけどさ。
不妊の理由にそこまで悪意いっぱいの設定つくることないだろ。
西野に限らずどのヒロインでもそんな目にあってほしくないよ。
エロパロだから、その陵辱シーンがメインなら別だけどさ。
酷い目にあったって過去の告白だけだから、意趣返しがメインに見えるよ。
そんな設定を妄想してたのかってゾッとした。
そんなふうに、西野を最低の目にあわせてやりたいって
思ってる東城ファンは、ほんの一部だと思うけどさ。
でも怖いよ。どうしてそこまで憎めるのか。
西野ファンらしきのが怨念SSとか言ってたのを
二次創作くらいでガタガタ言ってウザイよって思ってたけど、
その通りだったよ畜生読むんじゃなかったって感じだ。
ああ、後味悪い。
普通に西野と離婚して東城とやり直すのが見たかった。
なんかすっげぇ後味悪い。。。
妄想氏は東城を幸せにしてやりたいということよりも
西野への怨み、憎しみを作中でぶつけてるような気がしたのは俺だけ?
187 :
fusianasan:2005/09/03(土) 23:54:05
絶賛の自演ばっかしてないで出てこいよ?
下手糞東儲妄想さん?
この作品を絶賛できるのはよっぽどの東城好きか西野嫌いじゃないと無理でしょ。
189 :
fusianasan:2005/09/04(日) 00:15:22
西派だけど感動したよ
これを真のラストとすることにしたよ
正直重いエロパロ(長いエロパロ)は興味ないんでスルーしてたけど、
いろいろ感想が書かれてるので目を通してみた
・・・「エロパロ」「東城萌え」よりも「西野貶め」ありきの作者だったのか、というのが素直な感想
正直東城好きでもつらい内容だよ。
だって結局東城は選ばれてないんだから。
相変わらず西野も可哀想だし。鼻毛はどこまでも鼻毛だし。
192 :
fusianasan:2005/09/04(日) 00:39:21
東派だけど最低だよ
やっぱりジャンプの最終回が誰もが認める真のラストだね。
妄想氏は東城派を代表して
「東城派はこれほど西野を憎んでいます」
と言ったようなもんだな
漫画板の厨も読んでやがるのか
東城派は東城の幸せよりも西野の不幸のほうが大事なんだね
197 :
基地外妄想SS東スレまで出張乙。:2005/09/04(日) 01:16:27
17:09/04(日) 00:58 LmrQrlfw [sage]
妄想氏のSS終わったみたい
綾は真中と結ばれなかったけどすごい素晴らしい作品だったよ。
あれこそいちごの真のエンドだと思うよ。
pie.bbspink.com
正直普通に東城と真中がラブラブな幸せもんが見たかった
パロだとはわかってるけど後味悪すぎ
別に西ヲタでもなんでもない俺だが、こればっかりは「読まなきゃよかった」ってのが本音だ
しかもエロくないし
東城派と西野アンチ以外は後味悪いだろこれ
まあ東城派=西野アンチなのかもしれんがな
どうも話題になってるみたいなので読んでみた
書き手の西野への怨念を感じて吐き気がした
マジで読まなきゃよかった
>>201 現役東城派の一人として言わせてくれ
こんなエロパロはまったく望んでなんかない
西オタだが普通に楽しんで読んでた。
むこうのスレで叩かれてたときも擁護した
だが何だあの韓国ネタは?
必要性を全く感じないぞあんなの
あんな展開望んでるやつなんて極度の東オタだろうが西アンチだろうがおらんだろうに
206 :
fusianasan:2005/09/04(日) 02:43:30
西ヲタだがよかったと思うよ
そのまま韓国人と再婚する西野ってのもよかったと思うけど
こうして見てるとむしろ208が負け惜しみ(ry
見事な墓穴っぷりワロスw
一人の東儲がせっせと西儲装って工作してるのがバレバレじゃんwww
妄想SSもどきは河下と同レベルの釣り師だよ
>>201 勘弁してくれ('A`)
アンチ西じゃない東城派だっているんだ
途中まで普通に読んでたけど韓国ネタで萎えたよ俺は
こんなこと考えてあまつさえSSとして書いてしまう人がいるなんて空恐ろしいよ
134 名前:マロン名無しさん[sage] 投稿日:2005/09/04(日) 02:49:11 ID:???
ID:hmjENASNアワレwwww
135 名前:マロン名無しさん[sage] 投稿日:2005/09/04(日) 03:11:38 ID:???
>>134 そいつ妄想SS本人だったりしてなw
214 :
妄想SSの正体:2005/09/04(日) 03:53:58
827:09/04(日) 02:46 hmjENASN [sage]
パリ留学中に韓国人と愛し合うつかさタン最高!!
妄想SS氏は綾ファンじゃなくアンチつかさだったのか
つーか綾ファンを隠れ蓑にされるほうが迷惑
内容に本編と全然違うところがあって驚いた。
文化最後の初体験に至るエピソードだけど、
西野は「真中が東城を振った」なんて知らないし、
「真中が東城を振って喜んで抱きついた」こともないよ。
勿論、そういうことがあっても内心喜んだだろうけどね、人間だから。
実際は、「真中が東城に西野との交際を説明してくることによって、
東城ではなく西野を選んだ」と西野は把握している。
真中は、東城の告白については、東城の個人的なことなので、
西野に伝えるのを避けたんだと思う。
東スレでは当時「綾のせいにした」と怒り狂っていたけれど、
ありゃむしろ真中の東城への思いやりだと思うよ。
なまじ構成力があるだけに
キャラヲタ厨房には読ませられない問題作
マジでこれエロパロ板で投下しないで良かったな
厨房じゃなくても読むの酷
お世話になります。
昨日にも一度顔を出したかったのですが体調不良で帰宅後ずっと寝ていまして今起きたところです。
見てみましたらお褒めと昨晩くらいからの主に批判(煽りなど含めた)双方の沢山のレスを頂きまして恐縮です。
どなたかがこの避難(非難)スレを立ててくださったのでこのように最後まで発表させて頂けました。
後書きではありませんが少し補足みたいなものを。
SSですが夢で見た話を元に当初思いついた通りの話で最後まで進めました。
つかさと結婚した真中が後に綾と再会して不倫するが結局はつかさの元に戻ってしまうのだが綾は真中の子供を身篭って
出産する・・・(これからどうなるかはわからないが)真中夫妻そのものには子供が出来ずにいた・・・、という設定です。
つかさのフランス時代での話で後味悪い思いされた人もいらっしゃったでしょう。
実際ここのパートは何回も書き直したのですが結局ああいう形になってしまいました。
真中に面影の似た東洋人ということで架空の韓国人の方に登場していただきました。
つかさには可哀相な思いをさせてしまい改めて自分の力の無さを痛感致します。
ですが決してアンチつかさなどではありませんのであしからず(そう思う人はそう思うでしょうが)。
コンセプトとしては原作に昔から自分が抱いていたどこか取り繕った感じの甘さとはすこし違ったドロドロとした大人の
人間模様などを描くことを第一に考えてましたがそれでも結果的に綾もつかさもああいう事になっても真中には相変わらず
優しかったかな、と思いましたが・・・。
それと本当は天地はもっと沢山登場する予定でしたが話が大きくなりすぎると考えて全部カットしてしまいました。
さつきや唯だってもう少し出番があったんですが綾とつかさの二人の対比をメインにした為に本当に申し訳ない程度の扱いに
なってしまいました(それでも美鈴は結構出番がありましたが個人的に綾の次に好きなキャラなので頑張ってもらいました)。
いろいろ書きましたが表現方法からなにまで実に下手糞さが随所に滲んでおります。
要所要所でお前ここはちがうんじゃないか?と感じられる方々、ご容赦ください。
所詮妄想もどきな代物かと思いますがそれでも貴重な経験を積ませてもらえました。
ひとつの妄想のネタと割り切って今まで読んで頂いた方々には重ねて有難う御座いましたとお礼を言わせてください。
それと原理的な特定のキャラ好きの方々には特に長ったらしく極めて不快な思いをさせるだけと思いますので決して読んだり
しないようにお願い致します(冒頭で一応注意書きはしていますが)。
これを書きながらこれとは別のストーリーが思いついたりしましたが作品として発表するかはちょっとわかりません。
とにかく今は一つの物を何とか形に出来てよかったと安堵だけしております。
それでは皆さん、これで失礼します。
このSSが大多数に受け入れられていない理由を
「キャラヲタ厨房だから」
と思いたがってるのはわかった。
自分はキャラヲタ厨房でなくて
ストーリーを理解している
読解力のある大人だと思っているのもわかった。
こういう人々に支えられてこのSSはあるんだな・・・
>>219 乙です。
是非、思いついたストーリーの
投稿を期待してます。
>>215 何逃げようとしてんだ?
そもそもは東スレでやってたものだろw
過度のマンセーしてたのも東スレ。
妄想氏は東城派兼西アンチ。
>>219 長ったらしい言い訳だな。
チョンにレイプさせてる時点でよっぽどの怨みがあるのだと考えるのが普通。
エロパロスレで「東儲の西野への怨念SSなんか見たかねーよ」って言ってたやつを叩いてたが、今考えてみればあいつらが正しかったんだな。
もう東城派は西野嫌いと言われても仕方がないような希ガス。
厨どもに叩き材料を増やしただけ。
レイプじゃないだろ、恋人同士なんだから
真中より韓国人を選んだくせに西野は卑怯だな
西野のクズっぷりをうまく表現したな
妄想氏GJ
西野ざまあみろm9(^Д^)
227 :
東儲妄想氏の本性:2005/09/04(日) 11:17:59
29:09/04(日) 10:19 BmdXmaR7 [sage]
妄想氏のSS読んだ。悲しいよ綾(つω;`)
また悲恋って感じだったけど、すごくいい作品だった。綾が真中の為に一生懸命選んだネクタイ(´・ω・`)カワイソス
なんか妄想氏が叩かれてるけど西野はあれくらいひどい目にあってくれないとね。綾は今までさんざんひどい目にあってたのに西野は良い思いばかりしてたんだから。
妄想氏お疲れさまでした。次回作はぜひこのスレでの投下を期待してます。
文句あるなら読むなよwと言いたい。
229 :
fusianasan:2005/09/04(日) 11:20:44
230 :
fusianasan:2005/09/04(日) 11:24:07
>>219 東儲代表として思い切り叩けるからまた出てきてね。東儲オナニー妄想さん♪
231 :
東城応援スレにて:2005/09/04(日) 11:26:49
19:09/04(日) 01:11 ArKKcVX6 [sage]
17
あまりの後味の悪さに素で吐き気を覚えた
綾ファンとしてというか一人の人間として、
このキチガイ作者と同じ仲間に思われるのが本気で嫌だと思った
まあこれが東城派(=西野アンチ)にとっては「いちごの真のエンド」なんだから叩いてるやつはほっとけ。彼らはこれで満足みたいだから。
233 :
fusianasan:2005/09/04(日) 11:40:18
そう考えるといかに東儲が惨めったらしいかわかるなW
基地外作者の基地外オナニー話で満足する基地外東儲ってところかWWW
>>219 長々と言い訳してるけど要するに西野が嫌いなんだろ?
真中に面影の似た東洋人なら別に日本人でいいじゃん
マジで気持ち悪いよアンタ
ID出ないって便利だな。否定派も賛成派も自演し放題だw
>>219 ( ゚д゚)ポカーン
長々と言い訳しつつ自分の非は決して認めようとしない姿勢は
それこそどっかの国ソックリですね
237 :
fusianasan:2005/09/04(日) 13:22:49
他スレを見ると圧倒的に批判ばっかりなのが現状だけどな
>>238 それ単発IDだしw
東儲の工作必死だなwww
240 :
fusianasan:2005/09/04(日) 13:30:08
33:09/04(日) 13:27 Yj0tb8UZ
pie.bbspink.com
西野派が自演して批判してる
応戦求む
東信者mg(^Д^)プギャー
>>219 自分に都合の悪い部分から目をそらして、必死に都合よく解釈しようとしてるのが笑える
IDが出る他の板で身内からも批判が噴出してる件については無視ですか?
242 :
fusianasan:2005/09/04(日) 13:33:33
馬鹿ばっか
246 :
fusianasan:2005/09/04(日) 14:23:13
この作者と東ファンを一緒にしないでほしい。
途中まで期待して読んでたけど、この展開は正直がっかり。
248 :
fusianasan:2005/09/04(日) 14:57:24
249 :
fusianasan:2005/09/04(日) 14:58:53
あれだけマンセーしといて、こうなったら妄想氏と東ファンを一緒にすんなとかよく言えるな。
本当に東城ヲタってクズだな
>>247 心配せんでも一緒にせんだろ
この作者は単なる基地外だろ。擁護して損したよ
まあ一流の釣り氏だったな
妄想氏は綾好きだって普通に言ってたじゃんかww
要素として
西叩き>>>>>>>>>>>東好き
なんだよな
作者の腰の低さや言葉の柔らかさが怖い。
前書きと後書きを読んで誰があんな内容だと思うだろう。
謙虚だけど真面目すぎて長文になっちゃう少し空気読めない人、って思ってた。
それがどんな罵倒レスより強烈な悪意を込めたSSを書くとは。
自分はSSの内容というより作者に引いている。
西嫌いを公言してる人が書いたもんならどうということはなかった。
叶えられない願望乙、少ない仲間内で褒め称えあってなさいと笑えたのに。
良い人っぽく見えてたから後半読んで背筋が凍った。
でも今考えると、東スレでは他人の意見を聞いていたが、
エロパロスレでは批判レスはほぼ無視してたもんな。
結局は自分の好きなようにしてた。ここでもそうだし。
天然だと思いたかったが、そうではないのかもしれない。
そんな内容は予感させず爆弾を秘めた後半を一気に投下するあたり、
できるだけ多くの人に例の場面を読ませたかったのかと。
人の悪意ほど怖いもんはないです。
>>254 うん。
物腰の良さに誤魔化されがちだけど、自分に都合の悪い意見は全てシカト、もしくは
都合よく解釈してるのが怖いね
>>219なんてほんとに鳥肌立った
>>256 しかもあの文章量。ものすごい情念だ。まさに鳥肌。
>>255 さすがにこの作者と一緒にされるのは気の毒だと自分も思う。
ちょっと誰儲とか関係ないくらい規格外じゃないか?
>>257 PTAは真性とか抜かしといて自分たちの時だと仲間じゃないとかものすごく都合がいいな
>>258 いやだから真性の基地外なのはPTAも妄想SSも一緒
東城信者ってとことん卑怯なやつらだな
自分たちのスレの過去ログでも読みなおしたら?
妄想氏へのマンセーぶりを見たら誰だって妄想氏は東城信者だと思うがね。
しかも妄想氏はジャンプでのエンドに納得できないからSSを書き始めたんだろ?
エンドに納得できないとかうだうだ言ってんのは大半が東城信者か西野アンチだろうが
また東城ヲタが自分たちの保身のために工作してんのか。
「妄想氏が書いたSSをいちごの真のエンドにするよ」とか言ってマンセーしてたやつらが今は「妄想氏と東ファンを一緒にすんな」か。
もう必死だとしか言いようが無いな。
どんなに喚こうが、SSの内容を見れば妄想氏が東城ヲタで西野アンチだということは一発でわかるから勝手にやれよ。
要するに、妄想氏は○○儲とか○○アンチとかそういうレベルを凌駕した、
柔らかい物腰の裏にドス黒い悪意を隠した書き手ってことだろ?
たとえばこれが、東城と西野を入れ替えた話だったとしても
きっと東儲はもちろん、それ以外の儲も後味の悪さを覚えたことだろう
このSSをマンセー&絶賛してるのは東城派と西野アンチだけってことでFA?
>>264 いや、一番マンセーしてるのは作者の名無し書き込み
似s
西派だけどものすごく感動した。
とりあえずこのSSを近くサイト開いて残すよ。
東城信者兼西野アンチの作品としてな
東スレの過去ログ読んだら、妄想氏は普通の東スレ住人で
ある夜にいちごの夢を見てそこから妄想SSが始まったみたいだな
西叩き>>>>>>>>>>>東好き
271 :
fusianasan:2005/09/04(日) 15:53:59
272 :
東スレにて絶賛の嵐!!:2005/09/04(日) 16:01:29
29:09/04(日) 10:19 BmdXmaR7 [sage]
妄想氏のSS読んだ。悲しいよ綾(つω;`)
また悲恋って感じだったけど、すごくいい作品だった。綾が真中の為に一生懸命選んだネクタイ(´・ω・`)カワイソス
なんか妄想氏が叩かれてるけど西野はあれくらいひどい目にあってくれないとね。綾は今までさんざんひどい目にあってたのに西野は良い思いばかりしてたんだから。
妄想氏お疲れさまでした。次回作はぜひこのスレでの投下を期待してます。
274 :
fusianasan:2005/09/04(日) 16:33:48
そりゃ東儲お得意の仲間外しだからなW
巣では偽善ぶってるのバレバレ
>>262 いや自分は西ファンで作者にドン引きして東ファンを擁護気味だが
「妄想氏が書いたSSをいちごの真のエンドにするよ」って言ってたようなのは
いまだにマンセーしてると思うよ。投下直後はマンセー意見がついてるじゃん。
その後叩かれ出すと
>なまじ構成力があるだけに
>キャラヲタ厨房には読ませられない問題作
とか書いてるし。
多くの人が引いたり怒ったりぞっとしてる場面を
この人達はなんとも思ってないんだよ。
そもそも感覚が違うとしか思えない。
マンセーしてるのは東儲だと思うが
作者と一緒にするなと言ってるのとは違う奴だろ。
奴ら的には素晴らしいSSで何が引かれてるかもわからないし
心変わりする必要もないんだろう。
東城に子供が出来た以上、西野はどう考えても邪魔者だったのに
自分のことだけを考えて真中にすがりつくとこが西野らしいな
>>277 毎日通ってる。ただ、まだ治らないみたいだからそっとしといてあげて
279 :
fusianasan:2005/09/04(日) 17:43:52
真中に西野という彼女が出来た以上、東城はどう考えても邪魔者だったのに
自分の事だけを考えて真中にすがりつくとこが東城らしいな
ちょっとした疑問
この小説は抜きにして何故韓国人は2ちゃんで嫌われてるの?
誰か猿でも分かるように簡単に説明して。
次回作があるとしても妥協はして欲しくないですw
かなり読み応えがあった。
俺は相当の東アンチだが、
この作者の小説は最初からずっと「東城を好きな奴が書く話じゃない」と思ってたよ。
このSS、展開や真中の心情は完全に東城贔屓だが、
東城のキャラクターは完全に別物になるほど貶められまくってるだろ。
漫画の東城を 本 当 に 好きなら、東城をこんな腐った人間として描写はしないだろう。
このSSには、作品やキャラへの愛情が感じられないんだよ。あるのは自己愛だけだ。
とりあえず妄想氏には一言。
無節操な過激さと「甘さで取り繕わないドロドロした大人の人間模様」を取り違えると
単なる子供騙しになるよ。
>>219 書き手なら読みやすく句読点を打って欲しい。
内容というよりその表現に独りよがりなところが多く読みにくかった。
今のご時世に韓国人に汚れ役を着せないで欲しかった。
韓国人が真中に似てると言う描写もないし、性器裂傷の不妊も今の時代ではなんか浮いてる。
書きたいことを書くのが二次創作なんだろうけど、後付で説明するより作品中にもっと補足表現があったほうがいい。
ついでに言えばあなたは2ch向きではないから個人サイトでのんびり書いて欲しいね。
284 :
fusianasan:2005/09/04(日) 19:53:42
信者って程じゃないけど、どちらかといえば東の方が好きだったから、
あの最後の一気に投下した部分を読むまでは、続きを結構楽しみにしてた。
でもあの展開には引いたよ。
実際作者は誰信者でもなく、ただの基地外だと思う。
東信者と一緒にしたらかわいそうだよ。
東城信者じゃなきゃ東スレになんか投下せんだろw
アンチ意見、同じ奴が文体変えたようなレスばっかだな。
>コンセプトとしては原作に昔から自分が抱いていたどこか取り繕った感じの甘さとはすこし違ったドロドロとした大人の
人間模様などを描くことを第一に考えてましたが
う〜ん、やっぱりそうだったのか、という感想だ。
妄想氏はそういうのが書きたかったし、書くのが目的だったんだね。
そりゃあ、エロパロ板のいちごスレは追い出されるよな。
あっちは、あくまでエロパロが中心だから。
内容は甘いラブコメだったりエロしかない殺伐だったりしても、
書きたいものはエロパロ。
妄想氏のように、どろどろとした人間模様を何よりも第一とするものはもはやジャンルが違う。
東城信者必死だな
カワシタもこんな西新ジャの圧力で
ラストを変えざるを得なかったのか。
290 :
fusianasan:2005/09/04(日) 20:45:25
てか、お前ら全員なぜそんなに熱くなってんだ?そんなんだからいつまでも彼女できねぇんだよ
>>286 文体が変わってて同じ奴と判断できるのは何故?
>>291 ヒント:286が自分で自演レスばかりしてるから
294 :
fusianasan:2005/09/04(日) 21:13:53
578:07/11(月) 01:44 ??? [sage]
576
>東ENDになるって確定したわけでもないのに。
連載が長引いたからより一層可能性が上がった。
ほぼ確実に東エンドになる。ならなかったら気がすむまで叩いていいよ。
と言っても君は西野エンドがなくなった時点でもういくら叩いても気がすまんでしょうけど。
悔ちいね僕ちゃんね。
>よっぽど西野が嫌いなんだな東儲は。
西儲がいっぱい乗り込んでは「西野エンドになるよー」て主張してましたからね。
ざまぁみなさいといった感じです。はい。
>>287 自分はそれを意識しつつ読みきったけど、
それを究極まで追求するならば、一番最後の
でもまたいつの日か・・・・。
は余計だったかも
なんで漫画のキャラ如きで熱くなってんの?
所詮キャラなんだし、そこまで肩入れすんのはキモいぞ。
一般人の書いたSSとしてよめないの??
西信者に人並みの理性を要求するのは酷という物。
そもそも妄想氏がエンドに納得行かなくて書いた怨念の籠ったSSなわけで
つまり書き手が一番熱くなってるわけで
まああれだ
妄想氏は基地外東信者で何を言っても無駄だと
それこそ東信者に人並みの理性を要求するのは酷だなw
300 :
296:2005/09/04(日) 22:43:54
補足だけど俺も一応西が一番好きで
妄想氏のSSには少しキツイものがあったけど
それを理由に妄想氏個人を叩くのはちょっと違うと思うし、
いくら怨念が感じられてもここは妄想氏専スレなわけだから
来てる時点で文句は言えないと思う。長レススマソ。
>>300 それはちょっと違うだろ
普通に読んでて最後にあれだけ不快な内容があったらそりゃ叩かれもする
ここは妄想氏専用スレではあるがマンセー専用スレではない
「非難」所というスレタイは冗談だとしても感想の一環として叩かれるのは
公に公開してる以上避けられないことだ
東信者は墓穴掘ったなw
303 :
fusianasan:2005/09/04(日) 23:13:41
全てにおいての負け犬は東儲だったなW
これは隠す事が出来ない事実ですね
304 :
296:2005/09/04(日) 23:24:02
>>301 勘違いしとった。「非難所」ってかいいてあるじゃんね、
それに言ってることもわかる。すまんかった。
>>300 漫画のキャラ如きっていうけどオリジナルだったら叩かない
書いてるのが誰オタだろうが一般人だろうが関係ない
「韓国人にレイプさせて性器裂傷させて子供の産めない体にしよう」
そんな妄想が原作の最終回への不満から生まれSSに書かれてる
嫌悪感を感じる人いて当然だし
されたのが西野でも東城でもさつきでも唯でも誰でも同じ
叩いてるの西オタだけだと思ってたらそりゃ間違い
不満はあれど原作に愛情があるからものすごく不快
>>280 亀だけど、「嫌韓流」って本を読むとよく分かるよ。
思うんだけどさ、なんで君らはここまで素人のSSにマジになってんの?
本当に21歳以上か?
21歳以上だからこそ素人のSSでも、だろ
こんなSS内容で喜べるのは厨房
なに熱くなってんの?
なにマジになってんの?
次はたぶん「なに釣られてんの?」か
「なに頑張っちゃってんの?」かな
しばらく考えたけどあまり思いつかなかった
上のが21歳以上の言い争いだと思うと失笑物だけどな。
>>311 そんな君に・・・
「なに必死になってんの?」
東西信者は実年齢はともかく、精神が中学生以下ですからね
316 :
fusianasan:2005/09/05(月) 01:19:22
東信者の精神が中学生以下なのは認めよう。
というよりも2chにいる多くの人はまともな精神状態じゃないだろ。
まぁそんなことはどうだっていいじゃないか
妄想SSが完結してこのスレは役目を終えたんだから
>>317 その中でもズバ抜けてると思うがね>東西信者
>>308 >21歳以上だからこそ素人のSSでも
え、なんで?w
>>319 いや、見た感じどこも似たようなもので目糞鼻糞。
まぁ俺の勝手な思い違いかもしれないから気にしないでくれ。
322 :
fusianasan:2005/09/05(月) 01:40:27
ウンチ!!!!!!!
>>320 素人だからという理由で読むにも批評するにも感想を言うのにすらも値しないと決め付けるのではなく、
一応は読むし思ったことは言うということ
思ったことを言いすぎるのは厨房と変わらんよ
なんかもう、困ったら「2chクオリティ」で片付けとけみたいな。
ロナウジーニョ!!!!!
×2chクオリティ
○いちご信者クオリティ
× 2chクオリティ
△ いちご信者クオリティ
○ リア厨クオリティ
まあ、つまりあれだ、シャンプーは目に入ったら痛いってことだ。
読んだ
すごい感動したよ
西野派だけど本編のラストは物足りなかったし俺はこっちのラストのほうが断然いいよ
>>331 189 名前:fusianasan[] 投稿日:2005/09/04(日) 00:15:22
西派だけど感動したよ
これを真のラストとすることにしたよ
266 名前:fusianasan[sage] 投稿日:2005/09/04(日) 15:32:34
似s
西派だけどものすごく感動した。
333 :
fusianasan:2005/09/05(月) 09:17:09
抽象的すぎたかな?
内面、真実、夢、理想、希望→西野
外見、虚飾、見栄、現実、嘘→東城
エロパレで投下する度に荒れまくるから作者のために元々隔離目的で立てられたスレ
その為読みたくない連中はもう目にする必要などなくなった
一部続きを期待する人間らのレスがちょぼちょぼ見受けられていた
本人が光臨して一気に最後まで投下する
特定のキャラファンであっても架空のネタとして理解し続きを期待していた人間らの感想が書き込まれる
それ以降何故かこんな隔離スレまで来て読む必要のない連中がどっと押し寄せてくる
そんでもってIDの出ない板で煽り煽られ放題
それ目当てで明らかにやって来ているのがいる
そもそも最初から相手にせず無視しとけばいいのに内容にああだこうだとケチつける
エロパロスレでは当初住人ら含めほとんどケチをつけることもなかったのだが
主に不倫行為が匂い始めてからやたらいろいろと内容にケチがつけられてくる
更にそこから往生際が悪い、原作を無視してると今度は全ての東城ファンを含めた様な言い方で悪口に転換されていく
その結果として作者と一部読みたい奴らの為に隔離されたのにまたエロパロ板と同じ光景が再現されている
>>334 普通に読んでいて普通に続きを期待してた人間の中にも
不必要な描写の中にあまりにもドス黒い怨念を見せられ
作者に呆れ返った人間がいるのをお忘れなく
336 :
fusianasan:2005/09/05(月) 10:53:53
まさしく俺も
>>335だ。
不倫もの嫌いじゃないけど、最後に投下された部分読んで嫌気がさした。
あの部分を読むまで応援してくれてた人達を
妄想もどき氏は裏切ったと思う。
337 :
fusianasan:2005/09/05(月) 10:59:16
アンチが一人でがんばって煽ってますね。こんなとこにまで来て
しかしこんなに後味悪いSSは初めてだな。
西オタは読むなぐらいの注釈がほしかったよ
>>338 その手の注釈はあったんじゃ?と思って過去ログ読んだけど無かった
西ヲタは見ないでくださいなんてストレートに書いてたらかえって余計に叩かれてたのでは?
最初の冒頭部分で決して爽やかな話ではないから読んでて不愉快になられた方はもうあぼーんなり
無視なりしてくれと書いてある。
そして挙句はここのスレまでたどり着いた。
それで最初から読んでいた人間で終盤あたりの展開で不快になったというなら話は別だけど
結果的にそれも冒頭の決して爽やかでない話ということでしょう。
その妄想氏の冒頭の挨拶?にはこうも書いてある
>またSSの感想やご指摘、お前キモい等々何でもかまいませんのでご意見ありましたら宜しくお願いします。
確かに。
でもやはり確信的荒らしとかは迷惑だな。
俺は妄想SSもどきこそが2ちゃんねる初心者を装った確信犯だと思う
じゃなきゃあんな基地外じみた内容の文章なんて書けないよ
いや、お前がそうだろうがw
批判レスも擁護レスも70%くらいは自演なんだろうなぁ
ID非表示板の仕様
>>345 串使用不可・一回線一票のみの投票スクリプト使って
是非を問えばいいと思う
まあいいじゃないのもう終わったことなんだから
つーかこれからこのスレ何に使うの?
絶賛してるやつら=東儲
批難してるやつら=西儲
大雑把に分けるとこんな感じかな。
ていうかちょっと前まで一部の知る人ぞ知るスレだったのに
なんでこんなに書き込みがあるんだ?
>>348 いつも通り、西派が「西派じゃないよ」東派が「東派じゃないよ」と主張しながら口論するスレになります
>>351 それがしたいなら他所にいくらでもそんなスレがあるのにね
>>350 一部の知る人ぞ知るスレ?
エロパロにしっかりリンク貼られてるんだから
エロパロに来てる奴なら荒らしも含めて全員知ってるはず
リンク貼られてなくても誰かが知って教えれば結局は同じだっただろうな
>>350 東スレで妄想氏の嘆きSS誕生
↓
エロくなるからという理由でエロパロの東西南北勝者スレへ
↓
一向にエロくならないしエロSSというよりエロが入る程度のSSなので批難の嵐
↓
ここに避難所(非難所)が立つ
↓
東派、東西南北勝者スレからの読者、粘着荒らしが集まる
↓
西スレに晒され、それを見た西派もやってくる
↓
例の如く喧嘩をおっぱじめる&面白がって荒らしも混ざる+自演で余計人が多く見える
>>349 西派はいないんじゃないか?
奴らは本誌でハッキリ勝利してるわけだし、某派と違ってやたらと暴言吐いたりもしないかと
356の登場で351のようになる土台が出来てくるわけだ
妄想氏って東城スレ住人だろ。
過去ログ読めばわかる。
ちなみに東スレにおける妄想氏と確認できうる最初の書き込み
325 名前:名無しかわいいよ名無し[sage] 投稿日:2005/07/30(土) 07:52:09 ID:uUv9/PAi
ネタバレ最終回のラストページ見た
そんで最後真中と西野の2ショットの絵で幕
で一番下に東城綾のアイコン[いちご100%]おわり
冷静に考えたらホント無茶苦茶だわこの漫画
最終回のあまりのショックですげー生々しいこの漫画の夢見てしまったし・・・・
それだけショックだったんだろうな
>>359 何となく洪秀全を髣髴とさせる危なさだな…
最後の展開は、東儲は絶賛・西儲は批判っていうレベルのものじゃなかった。
人としてどこかおかしいよ。
途中までは西オタの俺でも楽しめた
途中からはだれも楽しめない、そんなSS
363 :
fusianasan:2005/09/05(月) 20:01:03
妄想SSもどき ◆KbijCSt4HMって女だろ
女ってドロドロした話が好きだよね
俺なんかメチャメチャ楽しめたよ。
印刷までした。良くできてる。
ぶっちゃけていうと、元のスレの
やおいなSSなんて面白くないんだよ。
いかにも童貞が書いたっぽくて。
次作が読みたいが
この雰囲気じゃそれを求めるのは酷かモナ。
>>366 じゃあきみにやまありおちありいみありなssを書いて頂きたい
「お前東派だろ」「お前西派だろ」と決め付けレスが散々続いたこのスレで今更こんな発言が出るとは
>>366 やおいなSS・・・やおいってホモじゃないの?
おもわず頭の中で男キャラが絡み合っちまった
いつも思うんだが、批難レスがついたら「じゃあお前がやってみろ」とかいうズレたレスがつくのは何でなんだろうな
留学行ってすぐさま他の男と付き合うような尻軽女にされ
レイプされて子供を産むのが難しい体になり夢も挫折に終わった落ちこぼれにされ
ラストでは嫌味ばかりの性格悪い女に書かれ・・・
嗚呼、妄想氏は本当に西野がお嫌いなのだな。西野好きな俺としては悲しい事だ。
まぁパロディSSとしてのクオリティは高かったし、それなりに楽しませてはもらった。
「ヤオイスキー」が辞書に載ってて笑った。
東城スキーは西野嫌いってことなのか
375 :
fusianasan:2005/09/06(火) 00:54:34
妄想SS=東儲=西アンチ
はガチだね。
俺、東派だけどあんな怨念だらけの話なんかチラシの裏に書いてよ
普通にウンコみたいな出来だったね
俺も東寄りだがあの話は誰も絶賛なんかしないと思う。
普通の人間ならな
>>376 上のほうに絶賛してらっしゃる方々がいらっしゃいますが。
まあ東儲にとっちゃあ西野へのいい憂さ晴らしSSになったでしょう。
って事は東儲はまともな奴じゃないな、妄想も自演なんで基地外だわ
>>379 だから、東儲がみんな絶賛してるわけじゃないでしょ。
東儲でも嫌気さしてる人はいっぱいいるよ。
絶賛東儲:批判東儲=7:3
誘導的な貶めレスつけてる奴らも似たようなもんだけどな
383 :
fusianasan:2005/09/06(火) 08:27:12
妄想氏、次の作品の
投稿よろしく。
>>384 期待してる人らがいてももうやりにくいでしょう?
>>382 あんな妄想オナニーを絶賛してる君達と一緒にしないでよ、気持ち悪いなぁ。
東儲ってすぐに仲間にしたがるんだから、困ったもんだわ
困ったらすぐ仲間にすがるのは東西信者の習性だから仕方ない
西派「西派じゃないけど、このSSには引きました!作者はキチガイです!」
東派「西派だけど、とても良かったです!感動しました!傑作です!」
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄○ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
O 。
, ─ヽ
________ /,/\ヾ\ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
|__|__|__|_ __((´∀`\ )< というスレッドなのサ
|_|__|__|__ /ノへゝ/''' )ヽ \_________
||__| | | \´-`) / 丿/
|_|_| 从.从从 | \__ ̄ ̄⊂|丿/
|__|| 从人人从. | /\__/::::::|||
|_|_|///ヽヾ\ / ::::::::::::ゝ/||
────────(~〜ヽ::::::::::::|/ = 続 =
「続」なのか
もう「完」にしてくれよ
完にしてもどうせ続ける
じゃあ完ということで。
以後書き込み中止。
と、話を逸らすのに必死な東儲でした
と、390の振り出しに戻りました
>>394 しょうし”き きみには か”っかりた”
マンセー意見が前半に集中するのは
妄想氏ファンが更新をマメにチェックしていたから。
簡単な理屈。
そういやなんか文章が暗く感じると思ったら
地の文に「・・・」がやけに多いからなんだな
「たのだった・・・。」ってなってると
ホラー番組のナレーションっぽく頭の中で読んでしまう
あと関係ないけど次回作があるとしたら
東城以外のキャラは出さないほうが良いと思う
触手×東城とかがネチネチネチネチ書いてあったら
うっかりファンになるかもしんない
触手ておま
400 :
fusianasan:2005/09/06(火) 22:53:38
400ゲトー
文章が暗いのは、真中の性格が暗いからだと思う。
本編の真中とは似ても似つかない。
加えて東城と西野は女の形をした人形のようでキモイ。
多分、妄想氏の作品中の真中=妄想氏の性格。
荒らしも自演煽りに飽きた頃だし、
そろそろ・・・。
妄想氏は東ヲタ(西野アンチ)の宝だろ
405 :
fusianasan:2005/09/09(金) 09:12:41
西アンチの宝ではあるが、東ヲタの宝ではない。
むしろ東アンチじゃないの?この人。
東ヲタなのは間違いないよ
407 :
fusianasan:2005/09/09(金) 11:06:47
東スキーだったら、東城にあんな惨めなことさせないと思う。
妄想氏が東スレの住人であることは疑いようのない事実
東城への愛が屈折してるんだよきっと
>東城への愛が屈折してる
波タカシを思い出したw
>>407 惨めとかいうより、キャラが別人。
>>372風に言うと
たいして好きでもない天地と付き合うような尻軽女にされ
振られて何年も経過しとっくに結婚してる男をまたも狙い誘惑してやりまくりの粘着淫乱になり
成功したとはいえ爽やかファンタジーとは程遠い、暗いドロドロ愛憎作家にされ
ラストではどれだけ人を不幸にしても自分のしたいようにしかしない性格悪い女に書かれ・・・。
妄想氏はこういう女が好きで、東城をこういうキャラだと思ってたのかね。
今度は最後の映画合宿のあとから書きなおしてくれ!!
今回のはドロドロしすぎ…
基地外妄想に縋り付く東儲w
ここまで来たらウンコまみれだな東儲も豚城もw
413 :
fusianasan:2005/09/10(土) 08:20:57
乳がでかけりゃいいじゃん
414 :
fusianasan:2005/09/10(土) 15:42:36
なんで東ヲタは妄想氏を仲間じゃないと言い張るんだろ。
>>2あたりを読めば彼が東ヲタで東スレ住人だという証拠があるのに
415 :
414:2005/09/10(土) 15:44:46
>>3にあったわ
>ちなみに自分はれっきとした東城綾ファンです、一応。
>その為彼女の描写には自然に力のこもった物になっております。
416 :
名無しさん@そうだ選挙に行こう:2005/09/10(土) 21:05:53
ありふれた言葉を単調にならべてばっかりいるんじゃない
417 :
西野:2005/09/11(日) 23:03:05
いちご3%
419 :
fusianasan:2005/09/13(火) 09:04:03
>>219 妄想氏、また東儲を叩き潰せる作品待ってます。
いい餌撒いてよね、カス東儲作者WWW
妄想氏は綾ファンの宝です。私も西野は嫌いですから気にすることはないですよ。
西野は綾から真中を奪って漫画を糞化させた戦犯ですしね。
422 :
fusianasan:2005/09/13(火) 19:51:12
うわ・・・東儲って陰湿・・・
424 :
fusianasan:2005/09/13(火) 22:28:58
ベンチで綾はモドキンの小さな体を抱きかかえながら震えるようにうずくまっていた・・・。
つかさの発言した言葉の一言一言を思い返しながら・・・。
「あたしたちって本当はもっともっと仲の良いお友達になれたんじゃないかって・・・」
「身辺が落ち着いたらまた執筆していかなきゃね!愛読者だったあたしも応援させてもらうから」
「もどきももう贅沢なんかいえない立場にあるから映画以外の仕事でもなんでもやっていかなきゃあ、って言ってるんだ・・・」
・・・わかっている、わかっているんだ・・・、と綾は震えながら思うのであった。。
それはつかさはこうして綾と直に対面してまでもはっきりと彼女に伝えるべき事を伝えに来たのだ。
それは自分に対して「もうあたしたちには関わり合いを持たないで欲しい」というメッセージを伝えに・・・。
妻であるはずの自分には子供が出来ず愛人だったあなたに彼を寝取られ挙句彼の子供まで出来るだなんて・・・。
それでもあなたの産んだもどきの赤ちゃんは堪らないくらいにまで愛おしい・・・。
そんな風に彼女の相反した様な無念な思いを感じずには入られなかった・・・。
(ごめんなさい、西野さん、本当にごめんなさい・・・でも、それでもあたし妄想SS君の子供が産みたかったの・・・)
モドキンを抱きかかえて懺悔の涙を零しながらも綾はこうも思う。
(作家になんてなれなくてもよかった・・・自分の将来の夢なんかどうでもよかった・・・本当はあたしは愛する人に愛されて
共に結ばれて子供も出来てそれで平凡な家庭を築ければそれでよかった・・・妄想SS君があたしの小説をいつか映画にして
みせると約束してくれたあの日からずっと、あたしはひたすら妄想SS君そのものを待ち続けていたんだ・・・)
ハッキリしている事は二つあった。
一つは妄想SSもどきと結ばれ家庭を持つことが出来たのは自身の夢破れた西野つかさであったが子供はいなかった。
もう一つは作家の夢が叶った東城綾は妄想SSもどきとの家庭を持てなかったものの代わりに彼の子供を設けた事だ・・・。
綾は泣き崩れていた・・・、そして赤ん坊のモドキンもまた目を覚まして母親と共に一緒に泣き崩れ始めた・・・。
赤い夕陽の輝きが池の水面一杯に赤々と広がっていった・・・。
ネックハンキングツリー
次の作品待ってます。
428 :
fusianasan:2005/09/16(金) 02:19:36
また東儲叩くいいおもちゃになるから期待して待ってます
おつ
続き
おつ
妄想氏、
次の作品待ってます
妄想氏
また東儲をぐちゃぐちゃに叩き潰す餌になるので次の作品待ってます。
+ +
∧_∧ +
(0゚・∀・) ワクワク
(0゚∪ ∪ + テカテカ
と__)__) +
ワクワク
綾〜
437 :
fusianasan:2005/09/25(日) 00:04:26
∩___∩
| ノ ヽ/⌒) あばばばばばば
/⌒) (゚) (゚) | .|
/ / ( _●_) ミ/ ∩―−、
.( ヽ |∪| / / (゚) 、_ `ヽ
\ ヽノ / / ( ● (゚) |つ
/ / | /(入__ノ ミ あばばっあびゃばびゃばば
| / 、 (_/ ノ
| /\ \ \___ ノ゙ ─ー
| / ) ) \ _
∪ ( \ \ \
\_)
妄想さん、次回作待ってます。
妄想さん、また東儲をぶっ潰せるので次回作待ってます。
+ +
∧_∧ +
(0゚・∀・) ワクワク
(0゚∪ ∪ + テカテカ
と__)__) +
441 :
fusianasan:2005/09/30(金) 06:49:15
age
443 :
fusianasan:2005/10/02(日) 22:56:55
+ +
∧_∧ +
(0゚・∀・) ワクワク
(0゚∪ ∪ + テカテカ
と__)__) +
妄想氏は、復讐SSを書いたら満足しちゃったみたいだな
保守
+ +
∧_∧ +
(0゚・∀・) ワクワク
(0゚∪ ∪ + テカテカ
と__)__) +
妄想氏、次の掲載ないですか〜
待ってる人は次を楽しみにしてるから?
それとも叩きたいから?
449 :
fusianasan:2005/10/12(水) 09:13:07
叩き潰すから、東儲と西アンチを纏めて潰せるから都合がいい。
↑
あばばっあびゃばびゃばば
451 :
fusianasan:2005/10/14(金) 06:51:44
ほしゅ
452 :
fusianasan:2005/10/16(日) 19:22:55
453 :
fusianasan:2005/10/22(土) 07:28:12
454 :
fusianasan:2005/10/28(金) 18:39:36
保守だけのスレになったね
456 :
ほしゅ:2005/11/14(月) 20:46:15
いちごの続き面白カータ!いろいろ批判もあるみたいだけど漏れはかなり気にイータ!
早く続きキボンヌ
(出来ればつかさも東城も両方幸せになるエンド…ただし淳平と結ばれるのはつかさで…)
西野ファンの人なの?
458 :
つかさ基地外:2005/11/15(火) 20:53:23
面白カータ!!新作マダー?(次はつかさも東城も両方幸せになるエンドキボンヌ…ついでにつかさ信者なのでやっぱり真中とつかさが最後には結ばれるもので…)
面白カータ!!新作マダー?(次はつかさも東城も両方幸せになるエンドキボンヌ…ついでにつかさ信者なのでやっぱり真中とつかさが最後には結ばれるもので…)
460 :
fusianasan:2005/11/17(木) 14:50:30
461 :
いちごカムバック〜:2005/11/17(木) 16:45:38
いちごのファンブックみたいなの出ないのかな〜?誰か知らない?
462 :
orz:2005/12/06(火) 21:33:47
ついにいちご終わってしもた…こうなったら妄想SSもどき氏の新作しか残されてない!
早く新作プリーズ〜叩くの控えてあげるから〜東城エンドでなくても我慢するから〜
hosyu
ほしゅ
467 :
fusianasan:2006/01/02(月) 04:22:08
しかし何回よんでも感動する。
468 :
fusianasan:2006/01/06(金) 19:36:24
どのへんに一番感動した?
469 :
490:2006/01/08(日) 18:19:00
西野が韓国人に股を開いてたあたりかな
470 :
fusianasan:2006/01/12(木) 01:07:34
なるほど東城信者か…まあ東城がどうあがこうと原作では西野が勝利者なわけだし…逆にこういう展開もあってもいいのかも。
とはいえ、何故西野を強姦したのがコリアンなのかが気になる…
狐狸庵のレイプ率が高いからかな
472 :
fusianasan:2006/01/13(金) 06:10:42
俺は感動するのは、真中が西野に浮気の報告をして西野が許すとこだな。最終的に自分の所にもどってきたらいい。ってのがよかった。
473 :
fusianasan:2006/01/14(土) 12:32:03
確かにそうだな…西野にも落ち目(まあ、被害者なわけだけど…)があるとはいえ、何もいわずに真中を許せるのは並の女ではできないね〜…なんだか、西野が聖母のよいに思えたよ。
474 :
fusianasan:2006/01/14(土) 12:35:46
確かに、何も咎めず真中を許せる西野はやはり並の女ではないね…なんだか西野が聖母のような感じがしたよ…
475 :
fusianasan:2006/01/14(土) 17:32:35
前にもあったけど、同じの2回書き込むのやみろ…
PS.西野なんかクソくらえ!
所詮韓国人に股を開いた女
477 :
fusianasan:2006/01/15(日) 17:25:35
あれは被害者だろ〜?西野タソに罪はない!
東儲必死杉w
479 :
fusianasan:2006/01/16(月) 20:40:31
ていうか、結局このはなしのなかでは誰も幸せにならずに終わったな…やっぱり次回はハッピーエンドキボンヌ!
480 :
fusianasan:2006/01/16(月) 23:26:37
待ってるから、次の作品出すときはもっと僕らをハアハアさせる妄想SSになっていてね!
481 :
fusianasan:2006/01/20(金) 05:52:53
482 :
fusianasan:2006/02/10(金) 00:38:08
西野エンドに納得できない負け犬の集まりか…いい加減認めたらどうだ?西野が勝利者だということを…
未だにこんな程度の煽りをしにくる奴がいるのか
484 :
fusianasan:2006/02/23(木) 16:17:43
あぁ東城よ…どうかこのスレが落ちぬよう、職人が戻ってくるようお守り下さい…
元々の別板のSSスレって今でも機能して続いてるの?
sage
とりあえず保守るか…
506 :
fusianasan:2006/03/19(日) 00:17:47
http://agj.jp/zv ↑とりあえずやってみたけど、
最近よくある騙しじゃないみたい。
会った事は無いけど、約束はしてる。
先週の金曜会うはずだったけど残業で延期・・・
アドレス交換して続いてるメル友は2人いるよ。
大丈夫なんじゃないかな?
他に大丈夫そうなサイトないですか?
騙しsage
513 :
fusianasan:2006/05/06(土) 14:43:42
見える 2006年 04月 29日
最近・・・見れるようになったもの。
悪魔の心をもつもの顔や声、笑い声が
奇形してみえたり、映画やアニメできくような悪魔のような声に
きこえるようになりました。びっくりするほど、鬼のような顔や声に聞こえる
ので、そういう人は避けています。以前はかんじなかったことです。
教会にいくと・・・お祈りしているひとからは疲れや悩みを抱えてる人は
すぐに分かります。場所柄カップルもおおいのですがあの人達の心は健康
そのものです。 お祈りしてるひとも健康な方もいらしゃいます。
昨日、ママが台所にいて椅子にすわっていましたが、
黒いオーラーがもうもうとでていました。何かあったでしょってきたら
ちょっとねっていった。んー死相がでてるよっていったら、びっくりしてた。
もちろん半分冗談でいったのだけど・・・何かいわれったってかんじでしょって
いったら、なんでわかるっていわれた。 にー・・・・
その後、妹にさんざんこぼしてた。妹はほんといいこでママの愚痴をきいて
ママはわるくないよって力む。パパは妹は将来、銀座のママになれるという。
パパがおしごとから帰ってきて妹に水くれというと・・・・
冷えたビールとコップをもってきて・・・
「今日はこちらの方が、よろしいと思いましたので・・・」という
で「お疲れ様ですうってビールをつぐ」、5歳年下の彼女は末恐ろしい女だそうです。
あ、ちょっと話がずれてしまいましたね。
聖母マリアの奇跡
http://yesmaria.exblog.jp/i0
514 :
fusianasan:2006/05/30(火) 19:44:18
ほしゅ
515 :
fusianasan:2006/09/22(金) 15:06:53
しゅ
516 :
fusianasan:2006/09/22(金) 15:07:25
( ^ω^)
585 :
fusianasan:2006/10/18(水) 18:58:11
誰かかいて
588 :
(-.-)zzZ:2006/11/04(土) 20:11:12
「えっ…!?私が…?」
まあ当然のリアクションだろう。
「今度の映画はさ、アクション風にしたいんだ。それで東城にはその映画の…誘拐されるヒロイン役になって欲しいんだ。」と言ったのだから。
「わ、わたしじゃないとダメなの…?」
東城がおずおずと聞いた。
「どうしてもこのヒロインは東城のイメージなんだ。お願いだっ!」
「そこまで真中君が言うなら…いいよ」
よし。これでようやく実行できる。
「じゃあさ、早速練習に入りたいんだけど、いいか?」
「え?今から?? うん…いいよ。それで私は何をすればいいの?」
「うーん… まずは犯人達に捕まって縛られるところの確認をしようか。」
589 :
(-.-)zzZ:2006/11/04(土) 20:41:40
「う、うん… わかったよ真中くん…」
よしよし!今まで東城のコスプレはいろいろ見たけど緊縛はまだ見たことないからな。やはり卒業するまでに一度見たいよなぁ〜
おっと、そろそろ用意せねば!!
「じゃあまず手を後ろにしてもらえる?」
「うん… あのっ!あんまりキツくしないでね?」
「大丈夫だよ、東城。あくまで練習、練習。」
そう言いながら早速バックから深紅のロープを取り出した。
ゆっくり、だが確実に。首から縄をまわし、腋へ。東城のふっくらした大きな胸を強調させるように東城の体に縄を食い込ませていく。
「あっ… んんっ…!」
ついにビクッと体を震わせて声を出したのは縄をDカップは手堅い胸にかけはじめた時だった。
「東城、もっと力を抜いた方がいいぞ?」
「でっ でも…」
「いいからいいから。もう少しの辛抱だから、ね?」
10分程で上半身を縛り上げた。東城の柔らかそうな体を包んでいる制服の色とは対極に位置する赤は東城のグラマーな体を最大限に強調している。きれいだ。大きな胸は縄と縄の間からこぼれている。
「えっと… こんな感じかな、真中くん?」
やはり恥ずかしいのか、顔は少し紅潮していた。
「まだ上半身だけだぜ?これじゃあ誘拐されても逃げられちゃうだろ。やっぱりリアルさを出さないと!」
と言いつつ今度は東城の下半身に縄をかけはじめた。
590 :
fusianasan:2006/11/04(土) 21:01:57
「そっ、そこはやめて!」
スカートに手を伸ばすと東城が珍しく拒否した。
「まあまあ。練習だから気にするなよ、東城。」
ここまで来たんだ、もう止められない!と心で念じつつスカートを捲り上げた。
「あっ!」
東城の声はもう耳に入らず一心不乱に作業を開始した。
さっきと同じようにロープで縛り上げる。股縄をかなり強く食い込ませると
「んんっ… はぁあ…」
と東城の口から甘い吐息が洩れた。たまらずそのまま口を東城の口と合わせた。
「むぅ!? …んッ あむウ…」
様々な息が東城の口から洩れる。興奮して舌を絡めようとすると、東城は舌で少し抵抗した。そんな事は気に留めずひたすら強引にディープキスを続けると、深紅の縄で亀甲縛りをされたやわらかなそうな体をくねらせはじめた。
クチュクチュといういやらしい音が部室に響く。
そっと唇を離すと東城は力が抜けたのか、ちょうど床に仰向けの体勢で倒れた。
その間にバックから今度はボールギャグとバイブを取り出した。
続きおっせーよ!
捕手
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うめ
うめ
うめ
うめ
うめ
うめ
うめ
うめ
うめ
うめ
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ま
だ
か
ま
だ
か
785 :
fusianasan:2007/05/22(火) 00:00:14
埋めたて工事中。
てめえが書けばいいことだろ
あ
り
保守
791 :
fusianasan:2008/03/03(月) 11:50:34
あ
792 :
fusianasan:2008/03/11(火) 19:16:10
793 :
fusianasan:2008/03/11(火) 23:37:57
バナナ
だから?
w
ume
ume
ume
ume
ume
ume
ume
ume
ume
ume
ume
ume
ume
ume
ume
ume
ume
ume
ume
ume
ume
ume
ume
ume
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ume
ume
ume
ume
ume
ume
ume
ume
ume
ume
ume
ume
ume
ume
ume
ume
ume
ume
ume
ume
ume
ume
ume
ume
ume
ume
ume
ume
ume
ume
ume
ume
ume
ume
ume
ume
ume
ume
ume
ume
ume
ume
ume
ume
ume
ume
ume
ume
ume
ume
ume
ume
ume
ume
ume
にこにこ
879 :
fusianasan:2008/05/06(火) 21:52:35
こんなんあったんだ?
880 :
fusianasan:2008/09/26(金) 05:28:07
881 :
fusianasan:2008/09/28(日) 18:15:48
え?
882 :
fusianasan:2008/10/02(木) 01:23:04
何?
891 :
fusianasan:2008/11/13(木) 01:40:55
sage
892 :
fusianasan:2008/11/19(水) 06:08:06
さげ
894 :
sage:2008/11/23(日) 03:10:56
895 :
fusianasan:2008/11/27(木) 09:18:36
上げさせていただきます
896 :
fusianasan:2008/11/29(土) 13:38:02
上げますね
897 :
fusianasan:2008/12/03(水) 03:16:03
上げるぜ
アゲアゲ
899 :
fusianasan:2008/12/10(水) 05:31:35
上げようかねぇ
900とったどー
うp
907 :
あきら:2008/12/31(水) 07:32:41
n?
na?
909 :
fusianasan:2009/01/04(日) 10:02:21
912 :
fusianasan:2009/01/15(木) 19:44:20
913 :
fusianasan:2009/01/18(日) 02:12:11
914 :
fusianasan:2009/01/19(月) 02:25:56
はじめて読みましたが感動しました。
ぜひ続編を書いてください。
www
916 :
fusianasan:2009/01/30(金) 03:14:22
wxw
917 :
fusianasan:2009/01/30(金) 06:21:47
↑38歳?
919 :
fusianasan:2009/02/04(水) 00:44:48
はい
うそつき
本当
927 :
fusianasan:2009/03/21(土) 03:57:31
928 :
fusianasan:2009/03/26(木) 02:22:11
929 :
fusianasan:2009/03/31(火) 03:23:10
♪
930 :
fusianasan:2009/04/09(木) 00:01:09
931 :
fusianasan:2009/04/15(水) 03:15:40
932 :
fusianasan:2009/05/03(日) 00:41:47
ハァハァ
933 :
fusianasan:2009/05/03(日) 01:05:30
よし
934 :
fusianasan:2009/08/23(日) 15:11:01
きた
934: 2009/08/23 15:11:01
きた
お久しぶりです
937 :
まりあおまんこと怒張ちんぽのファック:2009/11/04(水) 05:47:10
ひとりで
ずりせん
していろ
938 :
fusianasan:2010/04/01(木) 23:04:06
今日読んだのですが
続編があるとしたら
こんな感じになると思います。
最後のシーンが特に良かったです。
939 :
fusianasan:2010/04/05(月) 20:12:31
続編まだー?
つい最近単行本に手をだした新参者だが
リアルタイムで祭に参加したかったZE(´・ω・`)
妄想ssさん乙でした。
941 :
sage:2010/10/21(木) 22:50:34
tes
あ
943 :
fusianasan:2011/04/10(日) 04:09:03.33
書けよ
もも
りんご
ばなな
めろん
かき
なし
ぶとう
さくらんぼ
みかん
すいか
モモ
リンゴ
バナナ
メロン
カキ
ナシ
ブドウ
サクランボ
ミカン
スイカ
もも
りんご
バナナ
メロン
柿
梨
ぶどう
さくらんぼ
みかん
スイカ
いちじく
キウイ
マンゴー
春
夏
秋
冬