入浴を終え就眠前の肌の手入れを済ませたわたしは、ノックもせず兄の部屋に入った。
兄は振り向くこともなく言った。「もう寝る?」
「うん」「オレはあと1時間」「起きてよっかな」「いいよ寝てて」「とりあえずおやすみ」
兄は天井の灯りを消し卓上の蛍光灯だけで勉強を続けるようだ。
わたしは着衣を脱いでたたむと広いベッドの片側にもぐりこむ。
わたしの部屋にはベッドがない。
兄が呼んだ。「舞美」「ん〜なに?」「キスしたい」
わたしはベッドを出ると裸のまま兄に歩み寄った。
兄は椅子から床におりるとわたしの頭を両手で引き寄せた。
わたしは口を少し開いて待った。すぐに兄が舌をからめてきた。
しばらく舌だけを味わっていた兄は、そのあとわたしの歯茎を丁寧に何度か隅々まで舐めた。
それで満足したらしく顔を離し、混じり合った二人の唾液をごくりと飲んだ。
「ん、あんがと」「ん」
兄は机に、わたしはベッドに戻った。それぞれ満たされて。