雪月澄乃だよ〜あんまんおいしいよ〜

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271出雲彼方
>>266-267ということで◇2.とりあえず絵を見せてもらう。
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「鍵、閉められなくてゴメンだよ〜」

澄乃は腕を絡めながらふすまを恨めしそうににらむ。
一階を雑貨屋にするために改装してはいるが、
それさえなければこの家は文化財ものなのだろう。

ふすまや障子、その程度のしきりしかない
この家には、個人のために閉じられた空間はない。

澄乃のような娘なら今まではその必要もなかったのだろう。
その澄乃が俺と2人だけの空間を欲しがっている……。
よこしまに解釈しようとすれば、誘っているともとれる言葉だった。
俺の想像よりもはるかに早く、澄乃は女になりつつある。

「いや、今日は本当に絵を見に来ただけなんですが」

動揺からさっきまでの堅さがとれない。

「えぅ…まだヘンだよ……」

「澄乃の絵を見に来ただけだって」

「それでいいよ……でも、ほんとにうまくないよ?」

「それは俺が決めるって。見せてくれよ」

「彼方さんにヘタって言われたら、もう描けないよ……」

決める、と言う言葉がいけなかったのだろうか。

「決めるって、そういう意味じゃないって……」
「ちょっと見てみたいってだけだよ」