「おそらく、今の彼女は過去のどの瞬間よりも強いでしょう。
不本意ですが――――あなたに手を貸すしかなさそうです」
「――――シエルさん、貴女も随分仕方のないひとなんですね。
ひとりでは到底彼女にはかなわないから力を貸してくれ、と
初めから素直に言えばいいんです」
「どうも、立場が分かってないみたいですね秋葉さん。
いくら強力なちからだろうと、目覚めたばかりのあなたが御しきれるはずがありません。
感応者の琥珀さん、と言いましたか。
彼女のサポートがない状態で、アルクェイドに勝つ自信があるんですか?
手を貸すのは、あくまでこちらです。忘れないでください」
「そうね――――どっちだって構わない。
兄さんを取り戻せるなら、私は遠野の誇りも何も要りません。
あのひとを奪ったあの女を、ただ消したいだけですから」
「……わかりました。ひとまずは彼を取り戻すことに、全力を傾けましょう」
「ええ。
……それが今の私の、唯一だから」