SS投稿スレッド@エロネギ板

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8軌道修正につきまだ最初ダケっす
…………まだ、瞼の奥にマズルフラッシュの参照が残っている。
 真っ暗な天井に浮かぶ光の影を眺めながら、僕はいつになく物思いに耽って
いた。
 荒野を照らす月明かりが格子窓から射し込む。日が落ちてからもう、かなり
の時間がたっていた。いつもなら、疲れ切って眠っている筈の時間。しかし今
夜に限っては、何故か気が昂ぶる。眠気がしない。
―――なにかがおこる。
 自分の内から、そんな声が聞こえるようだった。
「……起きてるの?」
 だから、なのだろうか。そんなアインの声が聞こえた時も、僕はさほど驚き
はしなかった。
「うん、なにか……眠れなくって」
 天井の光のシミを眺めなら、僕は答える。視界に彼女は入ってはいなかった
が、気配で彼女が近くにいることがわかる。
 日頃の訓練の成果か、それとも彼女がそのようにしているからか……。
「そう……丁度よかったわ」
「何かあるの?」
 夜間戦闘の練習だろうか? そんな事を考えながら僕は身を起こす。と、そ
の瞬間、僕は信じがたい音を聞いた。
―――シュル
 僅かな衣擦れの音。驚愕に僕はアインに目を向ける。
「訓練よ」
 アインの表情は、いつもとこれほども変わってはいない。
 しかし、その彼女の肢体を覆うものは無く、白々とした月光に裸身を曝して
いた。その光景が僕には、妖精かなにか、幻想的なモチーフの絵画の一場面の
ように見えた。
9名無しさん@ピンキー : 2001/03/11(日) 20:43 ID:???
「く、訓練? 何の訓練だい?」
 声が上ずっている。アインの美しさと、そしてこれから起こる事への期待と
に。
「SEX」
 拍子抜けするくらいはっきりとした回答。そしてアインは、普段と変わらぬ
歩調で僕の方へと歩む。
「……SEXって……なんでそんな」
 僕は、どぎまぎしながらも彼女から目を離すことは出来なかった。普段意識
したことのない彼女の「女」が、僕の視線を捕らえて離さない。
「潜入、潜伏、ターゲットへの接近等に有効な手段だからよ」
「……それって、ターゲットとかと……その……SEXをして……」
「そういう使い方もするわ」
 ゆっくりとアインの手が僕の頬に触れる。いつの間にか、彼女は息が届くほ
どの距離にいた。
「動作の速度はナイフを使った暗殺の時と同じ位。速すぎず、遅すぎず、人間
が警戒を抱く速度ぎりぎりを常に意識して」
 繊細な指先が頬を、首筋を撫でる。それだけで、背筋が震えるような感覚が
僕を襲った。
「性感帯は男女ほぼ同じ。感覚が敏感な部分……皮膚の柔い場所や粘膜が露出
している部分はほぼすべて性感帯と考えていいわ」
「……くぅ……うあっ……」
 二度、三度と指が往復する。そのたびに、僕の口から女の子のような声が漏
れる。他人に触れられると言う事が、こんな感覚を生むなんて、僕はそのとき
初めて知った。
「でもね、一番の性感帯は……ここ」
 アインは、愛撫の手をだんだんと下げて行く。首筋から鎖骨、鎖骨から胸へ
と。そして、僕の胸板の上……丁度心臓のあたりで手の動きを止めた。
「……胸?」
 アインの掌の暖かさが、破裂しそうな勢いで鼓動する心臓にまで伝わってく
る。まるで、心臓を直接愛撫されているみたいだった。
 しかしアインは、僕の回答にかぶりを振り
「こころよ」
 そう、短く答えた。