「心、って……」
一瞬、意味が読み取れず呆ける僕。その僕にアインはゆっくりと身体をもた
れさせる。
「"I love you"」
そして、唐突に耳元で囁いた。
「え、ええ?」
「愛してるわ、ツヴァイ。この世の誰よりも、何よりも。あなたを愛してる」
夜闇のようにどこまでも深い瞳を微笑ませ、彼女は僕に口付ける。さっきの
愛撫とは全然違う。技巧も何も無い、ただひたすらに触れ合おうとするような、
交じり合おうとするようなキス。
「ア、アインいきなりどうしたんだよ!?」
「聞いて。私の胸、張り裂けそうなほど高鳴ってる。あなたがいるから。あな
たと触れ合っているから。あなたを……愛しているから」」
アインは、僕の顔を抱きかかえ、囁く。やわやわと、たしかに柔らかいアイ
ンの乳房の感触を頬に感じる。
今まで意識していなかった”女”としてのアイン。柔らかく、しなやかな肢
体。滑らかで、あたたかな肌。優しい、心地いい匂い。
とくんとくんと速い彼女の鼓動は、僕を感じているからなのだろうか?
(……だとしたら……)
つられるように、僕の鼓動もどんどんと速くなってゆく。顔が熱い。赤くな
った顔を彼女に見られていないか、少し心配になった。
「こんな風にするの」
「…………へ?」
拍子抜けするように僕はアインを見上げ……いつもとまるで変わらぬ彼女を
見つけた。
―――夜闇よりも深い瞳の、完璧な猟犬―――