・傷痕(きずあと) -2-
「あら………」
エレーヌが美しい眉根をくもらせた。
ベッドに腰掛けたクロードの股間の前に、
奴隷のようにひざまずいたところ、
男性器に小さな赤いきずあとを発見したのである。
(ユリーシャ…ね?)
今日の午前をクロードはユリーシャの教育にあてていたはずだ。
前の晩は自分の番。そして夜半になった今また、自分が教育を受けているのだから、
自然、その傷の原因が誰なのかは想像がつく。
「…………」
処女だった娘が、淫らな教育をうけて、娼婦として使われている。
それは、エレーヌの心を重くする現実である。
(自分がもっとよい働きをしていれば──)
実際は、王妃としての自分をすべて捨てて、献身的に娼婦として
勤め上げているのだが、エレーヌにその思いは拭い去りがたい。
(もう遅い)(取り返しが付かない…)
ということも、わかってはいるのだが……。
ぴちゅっ
ぴちゃっ!
「ふ……」
ひざまずいたまま、エレーヌはクロードの一物に奉仕をはじめた。
ピンク色をした美しい舌を、肉の棒に優しく何度も何度もこすりつける。
唾液で傷を塗り込めようというように。
クロードの口の端が歪む。
そういう、母としてのエレーヌの心の動きが、
クロードには手に取るようにわかった。
しかも、哀しいことにエレーヌにできることは、実の娘と同じ男、
その一物に、同じように口腔で奉仕することしかないのである。
哀れな母をひざまずかせて、クロードは笑んだ。
性器の鈴口に、艶(つや)っぽい唇が口づける。
娘たちにする親愛のキスならいざしらず、エレーヌが口づけまで許した相手、
それは、夫、ドトール王に次いではこのクロードが初めてだろう。
(そして、性器への口づけもな…)
やわらかくなよなよと舌が鈴口を割って入り、
たまらないむず痒さと快感が性器にはしる。思わず、震えた。
エレーヌと一物との、ディープ・キス、というところか。
戯れた思い付きにクロードはかすかに含み笑いをすると、言った。
「乳房を持ち上げろ」
いつものように乳房ではさませるのだろう、とエレーヌは思ったようだが、
違った。
乳首で、一物の鈴口と裏筋を、擦らされたのだ。
みっともないほど勃起した乳首と、パンパンにふくらんだ亀頭が、
いやらしく絡み合う。
鈴口と裏筋を軟らかい乳首の先が通過するたび、
電気のようにクロードの先を快感がつらぬく。
しかしクロードは耐え、それをおくびにも表情に出さない。
「あんっ、ううっ!」
逆に、先端の快楽に耐えられず声を漏らすのは、エレーヌの役割となった。
今度は、ふたつの乳首で一物を挟まされ、それで一物全体を擦らされる。
すべすべとした突起の感触が、絶え間なくクロードを上下に刺激する。
「あふっっ…あ、ふっ……」
乳首の快感と、あさましい自分の姿が、エレーヌを昂ぶらせる。
(何を……しているのだろう。私は……)
王妃たる自分が。しかも、実の娘と同じ男の一物相手に。
(すべては国のため、カルネアのため…………うッッッッ!!!)
クロードが、いきなり、足の親指を股間の割れ目に押し入らせた。
「あッあッあッあッ」「濡れているぞ……フフ」「や……やめ」
クロードの指の動きは止まらない。
たまらない刺激に、たちまち息は荒くなり、血が頭に昇る。
腰が、指の動きにあわせて前後に動きはじめる。
(ああ………私は淫売……?淫蕩の血が流れているの?この、身体には…ッ)
くちゅくちゅという股間の音。気が付くと、エレーヌは乳首で一物を擦り上げながら、
亀頭を夢中で唇で咥えていた。
「ん……ん……む……む……!」
「そろそろ精を放つぞ。すべて飲んでもらう。その前に……」
「ふ……ふあいっ」
クロードは思う様エレーヌの口中に精を放つと、飲み込ませず一度
口を開けさせた。紅潮した王妃の美しい顔、しかしその中心、口中は
白い液だまりとなってしまっている……。
顎を掴んで、むりやり鏡に顔を向けさせると、エレーヌの頬を
涙が一しずく、伝った。
そしてゴクン、とようやくすべて飲み込ませ、舌で一物を清めさせる。
挨拶を言わせた。
「おちんちん、ごちそうさまでした。クロード様…」