・傷痕(きずあと)
「あっ……す、すみません……」
王女ユリーシャが慌てて右手の動きをとめた。
娼婦として男性器に奉仕する、
これを今日、はじめてユリーシャに教えていたのだが、
慣れないユリーシャは、うっかり雁に爪をひっかけ
一物に傷をつけてしまったのだ。
「…………構わん。そのかわり、お前の口で癒してもらおうか」
「?」
ユリーシャは不思議そうに小首をかしげ、こちらを見つめる。
口唇で性器を愛撫する行いなど、想像の外にあったようだ。
むわっと牡臭が漂う一物に、頬を真っ赤に染めたユリーシャが口を近づけるまで、
いくばくか決心の時間が必要だった。
「んむっ……」
性器へのキス。…もう一度。…さらに、もう一度。
優しく傷口をいたわる、ほどよい湿った感触が、性器に感じられた。
「舌を使え」
ユリーシャの小さな舌がちろちろと唇から出、
ほどよい感触はそのまま、一物をねぶる。
──愛撫は本格的になっていった。
鈴口、一物の先の唇に、王女が愛らしい唇をつける。
…ちゅっ
王女の初めての口づけの相手は、平民であるこのクロードの唇、
そして、二度目の口づけの相手は、その一物の唇だ。
それにしても、この年齢で男の一物に奉仕されられている娘など何人いるだろう。
まして王女の位にある者が平民に……。クロードは笑みを浮かべた。
真っ赤な顔で息も荒く懸命に奉仕を続けるユリーシャに、
クロードは、容赦なく行為を続けさせた。
幼さゆえの恐いもの知らずか、ユリーシャは繊細な短髪を振り乱し、口での、
下品なほど激しい抽送を繰り返す。
…じゅっじゅっじゅっじゅっじゅっ……
「うむふっ」
クロードが手を伸ばすと、小さな女性器が、触られてもいないのに
蜜を湛(たた)えていた。
「フフ……。奉仕するだけで感じることを覚えたか。淫売め」
ぐすっ、と可愛い淫売が鼻をすする。
今日一日で、王女ユリーシャの小さな唇を、
小鳥のような愛らしい声を出すためだけのものでなく、
『顔に付いたもうひとつの性器』にしてしまったのだ。
そろそろ、仕上げの時間だ。
「これから、お前の口の中に精を放つことにする。すべて飲み込め」
涙をいっぱいにたたえた目でこちらを見上げ、
ユリーシャはうなずく。一物を唇に咥えたまま。
口中で、白い爆発が起こった。
ドクッ、ドクッ……
呻き声をあげることも出来ず、こくっこくっと喉を鳴らして
必死に嚥下するユリーシャ。
顔が真っ赤だ。目も堅く閉じている。
今、生まれてからこれまでで、いちばん恥ずかしいことを行っている……
言葉はなくとも、表情が、王女の心中を表してあまりあった。
「おちんちん、ごちそうさまでした。クロードさま」
口の端から白いものを垂らしたまま見上げるユリーシャに、教えたセリフを言わせ、
今日の調教は終わった。
爪で付けられたきずあとも、もう血は止まっていた。