131 :
名無しさん@初回限定:
水月「喜劇だ。」
「孝之と付き合って以来―。」
「孝之に愛され続けていると思っていたわたしが実は。」
「実は一度も愛されていない。」
「ははは、これ以上の喜劇があるかね。」
「ならば、愛されたいな。」
遙 「それはかないません。」
「たった今生まれたばかりのささやかな夢。」
「この私が断つ。」
水月「遙っっっ。」
「気づいていたよ。涼宮 遙」
「私は孝之に愛されていなかったのだ。」
「孝之の恋人だったはずのこの私の人生が、その実、暗黒に満ち―。」
水月「プール」
「ほら」
「プール」
「パパがね…………」
「泳ぎに連れて行ってくれないの…………プール……」
「私はたくさん泳ぎに行きたいのに…………」
遙 「愛されつづけることで支えてきた自我。」
「その実、――――――」
「一度も愛されていないと解した今――――」
「彼女の脳は、自我の崩壊を選択した。」
「水月君。」
「私が好きなだけ泳ぎに連れて行ってやるさ。」
水月「ほんと」
「本当に」
遙 「ああ、本当だとも。」
134 :
名無しさん@初回限定:2001/07/15(日) 13:59 ID:kPwdTagI
孝之 「えっ、消え………た…。」
水月 「やはりな。」
孝之 「えっ、何……で…………。」
水月 「催眠術だ。現実ではない。」
「おそらく、君は遙と語らい、愛し合い、膝枕してもらっていたのだろうが、
全ては君が作り出した虚構の映像。」
「かりそめのものだ。」
「遙を失い、ねじれ屈折した君の精神構造は私の術を歓んで受け入れると踏んだのだが」
「案の定―――」
「君の心に根付く乾きは、私の簡単なトリックに待ちかねたかのように飛びついた。」
「君の欲求は、現実ではない遙との暮らしを作り出し――――」
「思う存分、遙と愛し合ったはずだ。」
「気の毒なことに。」
「現実の恋人はこの私。」
「君にとって絶望的な恋人であるこの私だ。」
孝之 「ふーん、おかげで良い夢見させてもらった…………」
「水月っっっ」
「遙…………今、君のそばに…………」