たとえばむかし、あるところにお城がありました。
なに不自由なく育ったお姫様は幸せであることに飽き、
実験と称しては塔の上から袋詰めの猫を落し、
その自由落下の中に生命の意味を見出していたのでした。
けれども、落せば落すほど
お姫様はわからなくなってしまったのです。
「人生って、わからないなあ!」
お姫様は家来に命じて、自分と似た年恰好の
12人の娘をさらい、自分と同じ服を着せ、
自分と同じ化粧をさせ、窓から落しました。
12人目を落し終えたあと、お姫様は
「人生って、わからないなあ!」
と言いました。
そしてお姫様は一生幸せに暮らしましたとさ。
もちろん、これはたとえばなしです。
けれどもたとえばそれが人生というものなら、
私は‥‥ 私は‥‥‥