ヤクバハイル捜索願

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931予告1
「おい、ジャック」
「なんだ?」
「このスレはあとどれくらい書きこめられるんだ?」
隣に居る俺の相棒のロウが問いかける。
「そうさな、5回が限度だな」
ここは波止場の駐車場。俺たちは張り込みのため、ここに"レディマドンナ"を
止めてノートパソコンからネットサーフィンに興じていた。
"レディマドンナ"ってのは俺の愛車「オースティン・ヒーレー・スプライトMk1」と
いうオープンカーの愛称で、スパイものにはお約束の特殊装備が施されている。
「広告に対してすぐに削除されるようだな。大丈夫か? この書きこみは?」
「仮にもこの作品の大元を作った人のスレだぞ。大丈夫にきまってるじゃねえか」
と、応える俺であったが不安はない訳ではなかった。
932予告2:02/11/02 21:01 ID:1UIn1zHy
申し遅れた。俺の名は、

           ジャック・ヘフナー

王室エージェンシー・CLOUD7のメンバーで相棒のロウ・リッケンヴァッカー
と二人で「L/R」と呼ばれる屈指の凄腕エージェントだ。
俺たちの活躍は本国から遠いここ日本でも有名だと…
「あー、ムダだよ。日本での人気は無いに等しいから」
「はぁ? だって日本語から翻訳されたゲームじゃねえか?」
ロウのつっこみに虚を突かれた俺はこの「事実」が理解できなかった。

       原作は海外じゃけっこう有名、日本じゃ最低のマイナー。

                  L/R
933予告3:02/11/03 17:25 ID:EOhXP5Lf
僕の名は、
     ロウ・リッケンヴァッカー
今はパートナーのジャックと共に日本の某大企業のご子息の救出作戦中です。
波止場の廃工場跡にご子息を拉致した敵のアジトを発見し、ちょっとした
仕掛けで無事にアジト内に潜入しました。
「おい、俺のレディマドンナに傷がつかないだろうな?」
ちょっとした仕掛けというのはご子息そっくりの人形をジャックの愛車に乗せ、
人形には僕がご子息の声色で敵を挑発する言葉を録音し、リピートで再生させ
無人のレディマドンナは自動操縦でアジトをまわり、それを聞いた敵の早とちり
な連中が、これまた3台の車でレデイマドンナのお尻を追いかけていったところです。
"彼女"は僕らの指示が出るまで都内を回り続けるでしょう。
 ところが敵のアジト内には…
「おい、マシンガンを持った連中がまだいやがる」
ジャックはサングラスをかけて銃を構えました。僕も懐から銃とサングラス、
そしてシガーケースからタバコ(閃光弾)を取り出しました。
       あくまでも銃は僕らの最後の武器だ。

                  L/R
934予告4:02/11/03 19:03 ID:ReToXqd+
あ、はじめまして。私の名は、
     クレア・ペニーレイン です。

お父さん、じゃなかった、ミスターの指令で日本のテレビ局に来ています。
「お台場」っていう海が見える秘密基地みたいなテレビ局なの。
今日はここの編成局で重要な打ち合わせに立ち会うことになりました。
「こちらこそよろしくお願いしますレディ」編成局の怖そうなおじさんと握手する私。
対してこちらはよわっちいお兄さんプロデューサーDさんと私で打ち合わせが始まったの。
Dさんのアニメの説明に対して編成のおじさんの表情はしかめっ面のままです。
この人、ママからどんな教育受けてきたのかしら。あいそ笑いぐらいしてほしいわ。
打ち合わせは平行線をたどって…
もうこのテレビ局では放送できないのかな… と、思ったそのとき"奇跡"がおこったの。
「この作品の原作は"エロゲー"です」
そうDさんがおじさんに説明したとたんに、おじさんの顔がいきなり笑いだしたので
ビックリ。
「あっはは、あなたたちもお人が悪い。はじめからそうおっしゃってくれれば"ワク"を
空けましたのに」
 えっ、どういうこと? "エロゲー"って何? 後でDさんから聞いたんだけど
以前"エロゲー"原作のアニメを放送したらDVDがバカ売れしてテレビ局も儲かったんだって。
それ以来"エロゲー"原作は儲かるから他のアニメの企画よりも通りやすいんだって。
打ち合わせが終わってから私は「"エロゲー"って何ですか?」って聞いたんだけど…
「あははははははは、魔法の言葉ですよ」って言ったきり答えてくれなかったわ。
そんなこんなでアニメ「L/R」は来年の1月より放送開始です。放送スケジュールは
まだ秘密だけど3月には2本立ての1時間スペシャルが予定されているから君たちには
お得な話ね。 放送日が楽しみ!

       創造するのは私たち。想像するのはあなたたち。

                  L/R
935ラスト:02/11/04 14:00 ID:UlGXHvTL
いよお、覚えているか? 俺の名は、
     ジャック・ヘフナー だ。

いゃあ、ピンチもピンチ。俺たち二人、銃が弾切れ。そして目の前にはマシンガン
を持った敵3人に隊長格のヤツがご子息の頭にピストルを突きつけているところだ。
俺たちは火のついていないタバコを咥えて銃を捨て手を上げるしかなかった。
「フハハハハ・・・。 ついに憎っくきジェイ・アールを処刑することができるぞ」
ジェイ・アールじゃねえ、"エル・アール"だっての!
「後生だよ隊長さん。 死ぬ前に一服させてくれ〜」
ロウのいつもの演技がはじまった。この千両役者め!
「…よかろう。おい! 火をつけてやれ。 おい! 手はあげたままだ! 
下げようとしたらすぐに蜂の巣にしてやる!」
         …そして敵の1人がロウのタバコに火を付けた瞬間!

それから10分後。俺は愛車レディマドンナを転がし、敵のアジトが爆発するの
を尻目にご子息の両親とクレアの待つホテルへと向かっていた。
横にはロウが、後部座席にはご子息が寝ていた。ご子息には悪いが業務上の秘密
を守るため、敵に拉致された数日間の記憶を消してある。
俺たちの活躍、そして秘密道具を知るものは俺たちCLOUD7のメンバーと、
このアニメを見ている君たちだけだ。
じゃあな、また会おうぜ。合言葉は…
        『ヘイ! バーバラ! ハイ! デ・セサ・ソン!』

       結局のところ俺たちの生死を決するのは、このちっぽけなタバコ…。

                  L/R