京極夏彦が書いたシナリオのエロゲーがしたい!

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221京極夏場所

「あなたが――荒らしだったのですね」

低い、落ち着いた声だった。一面の桜である。満開の桜の只中である。
その桜の霞の中に一際黒き影がある。朽ちかけた墓石。そして――黒衣の男。
対峙するのは桜色に染まった女である。男は続けた。

「八方に張り巡らされた煽りのレスの、その中心に陣取っていたのは実は
 あなただった。煽られた者はその綻び傷んだネタの裏に、実は毒毒しくも
 鮮やかな8つのIDを隠し持っていた訳だ――」

女は云う。今更何を仰るのです、“スレはもうdat落ちして”います――。
男は云う。スレはdat落ちしても、あなたの“仕掛け”は終わっていない――。

「――邪魔者を邪魔者を以て制す。あなたの周囲から、あなたを煽る者は
 全て排除された。しかし、あなたは、これから再び煽られようとしている。
 つまりあなたの計画は“終了していない”のでしょう」

さあ――女は横を向く。

「あなたは、“この次にあなたについた粘着を排除する”ことで、名実共に、
 この葱板の中心に納まることが出来る訳だ。その先も――あるのですか」

女の顔に髪に、幾枚もの花びらが咲く。

「まさか貴方は――私のスレに、“荒らしdat落とし”とやらを仕掛けようと
 していらっしゃるのですか?」
「とんでもない。煽られもしないのにそんなことはしませんよ。
 あのスレを落とす理由など何もない。そして落とす必要もない」
「そうですわ。私は私自身の手でスレを落としたのです。“貴方がするように”」

そうでしょうか――男は瞬きもしない。
222京極夏場所:01/11/12 05:50 ID:QTUbcO2Z

「――貴方がするように、私は」
「では何故に乱れるのです――」

男は強く云った。女は本当に気持ち良かったのだ。いくつも嘘は吐いたけれども、
常に性感には正直だったのだから。
男は黒い羽織を脱いだ。花びらが幾枚も散った。

「聞けば貴方はどこやらで、自分は御亀様の使いだ――と仰ったとか」
「そんなのは詭弁――です」
男はイった。
女もイった。
「そうですね。中出しに――従いましょう」
そして漸く運動は停止し、同時に境界は消えた。
「――私は今回の避妊を――辞退致します」
男の視線が憂いを帯びる。
「後悔は――しないのですか」
「致しません」
そうですか――男は云った。

そして女は新たな桜色の衣を纏う。そして云った。
「高く――高く買ってくださいませ。私のために」
男はもう一度頷く。女は、静かに、毅然として云った。

「それが――女郎の理ですもの」