――夢。“兄になる夢”か。
素晴らしい夢だった。聞いているだけで、強い羨望感や開放感を抱く。
私は既に判断し始めている。その夢には必ず隠された意味がある。
――私の眼鏡っ娘の夢のように。
妹の夢。妹。妹。妹。妹。淫らな、
圧縮。置換。歪曲された願望の充足。
「素晴らしい…夢ですね」
「私は、それは私が自殺した時の記憶なのではないかと……思います」
単純明快な結論を述べた。余計な詮索は打ち切られた。
そうだ。それでいい。それ以上の意味は無い。
希望や萌えバナが想起されただけだ。歪曲はない。
それなら首吊りはただの“きっかけ”だ。そうに違いない。
「あなたは自殺を図った前後の記憶は戻らなかった、とおっしゃいましたが――
それは例えば、その妹の夢を契機に、戻らなかったスードラの記憶が戻った、
という意味でしょうか」
「でも、もし本当にそれがそうなら、おっしゃる通り妹が、その……
首吊りというのですか、自殺をしてもスードラはスードラということで
ございましょうか」
――なる程。鬱打氏脳。