窓の外に広がるのは冬特有の曇天の風景。今にも雪が降りそうな寒々とした世界。
しかし、暖房の効いた部屋の中は温かだ。孝之の頬を伝った汗が、ぽつりと肋の
浮かんだ胸へと落ちる。
「……あ、……あぁ」
孝之が腰を打ち付けるたび、嬌声が漏れる。未だきつさの残る壁を押し分け、
先端が一番深いところを何度も叩く。以前に比べれば幾分マシに成りつつあるが、
乱暴に扱えば折れてしまいそうな細い体。そんな遙に大きく足を開かせ、容赦なく
何度も腰を振る。遙も感じているのか、孝之の腰のリズムに合わせて自らも動く。
「ああ……、た…孝之君……今日は…大丈夫だから……中でも……いいよ」
喋るのもやっとという感じで遙が孝之に言う。孝之はそれには答えず、高まり
つつある放出への達成感を感じ、遙の背中に手を回す。密着度を高めながら、
さらに激しく腰を使う。胸板には押しつぶされた遙の胸の感触。そしてその胸の
先端で固くなっている物も感じられる。
「あっ………、もう……」
もうすぐいきそうなのか、遙も孝之の背中に手を回す。そして、お互いにきつく
抱きしめあう格好となった。
「くっ……」
孝之は射精感を覚え、遙の中から抜け出す。そして、遙の日に焼けていない
真っ白なお腹の上に熱い粘液を吐き出した。
「もうっ……孝之君……今日は大丈夫って言ったのにぃ」
遙は頬を膨らませ、至極残念そうに孝之に言う。
「………ゴメン」
いくら遙が良いと言ったからといって、流石に中出しはまずい。そう思いつつ、
言葉の上だけで孝之は遙に謝る。そして、遙のお腹の上の物をティッシュで拭き
取った後、ベットの上にゴロンと横になった。もう、何度見たか思い出せない、
遙の部屋の天井。それをただ、ぼーっと眺める。
そんな孝之の胸元に遙がすり寄る。
「ねえ、孝之君?」
「……ん?」
「わたし、昨日橘町の駅前で見たんだ。水月とね……、平君が一緒に歩いてた」
「……………」
「あっ……ゴメン。また変なこと言っちゃったのかな。ゴメンね、孝之君……」
無言でいる孝之に、慌てて遙は謝った。
「………いいよ。水月のことはもう好きとか嫌いとか……、そんな風には思って
ない……、と思う……」
遙の方にはあえて向かず、天井を見上げたまま孝之は言う。水月には感謝して
いる。その思いは今でも変わらない。ただ、今自分が本当に好きで、愛している
相手は、もう水月でないのは確かだ。
「………そうなんだ。それでね、平君と水月、どうも付き合ってるみたいだったよ。
以前の二人とは違う感じだった」
「………そうか。慎二のやつ、こないだ電話したときのもそんなこと言って
なかったな。………遠慮でもしてるのか?」
「そうかもしれないよ。ねえ……孝之君、また4人で会いたいね。それで……ね、
あのね……、今までは3人だけで飲みにとか行ってたんでしょ? 今度はね、
私も飲みに行ってみたいな。ダメかなぁ?」
孝之は、正直、まだ水月とは会いたくはないと思った。心の中では整理がつい
ていると思う。ただ、それは自分だけの事かもしれない。でも、水月も慎二とつ
きあい始めたとなると………、もしかしたらまた4人で会えることが出来るかも。
「今日、慎二に電話してみる。飲み会の件も含めて、それとなく聞いてみる」
「有り難う……孝之君。孝之君は、優しいね。あっ、そろそろ茜が帰ってくる
時間だよ。1階のリビングに降りておこようよ」
遙はそう言った後、もう一度だけ孝之に口付けた。