百合・レズネタ総合スレッド

このエントリーをはてなブックマークに追加
206名無しさん@初回限定
いつものように仕事を終え、
一人暮らしの自分のアパートに戻る。
バッグを部屋の床に無造作に放り投げると、
梓は、ばさっ、と疲れた身体をベッドに投げ出す。

閉じたまぶたには、ひとりの顔が浮かんでいた。
部屋にいると最近毎日まぶたに浮かぶ、その顔。
「ん………」
器用に手早く右手だけでジーンズの前を開けると、中指をショーツに滑らせる。
ショーツのそこは、濡れていた。
(帰りの電車の中からだな、こりゃ……)
「あーあ」
軽く溜め息をついて自分の身体のいやらしさに呆れると、
梓は、素直にそのいやらしさに降参してショーツごとジーンズをずり降ろした。

機械的なほどスムーズかつ自然に、クレバスとそのほころびを、自分で慰める。
慣れている。
「…あ……、ん……あ……」
誰もいない自分の部屋だ。誰に気兼ねして声を押さえる必要もない。
このアパート、防音はまあまあ。気にせず梓は、自慰行為に没頭する。
(もう中学生や高校生でもないのに誰かを想ってオナニー…、か。
あたしもたいがいなヤツだ…)
部屋に帰って最初にすることが、白い尻まで丸出しにしての、自涜行為。
そんな、自分の恥ずかしさとみっともなさも、なぜか興奮をたかぶらせる。
「んっ……んっ……んっ……は、ア、あ、あっっ」
207名無しさん@初回限定:02/03/20 02:58 ID:NfID8cRc
もう処女ではない部分に、長くて細い中指を埋め、前後させる。
左手は、Tシャツの裾からブラの下に潜り込ませて、
たわわな丘をくすぐって刺激したあと、
乳首をつまんでしこしことさすりながら上下させる。
乳首は、かんたんに立った。
「あうう……はぁ、は……」
ぬるい愛液まみれになった右手の中指を抜くと、
いつも最後のとっておきにしておくクリトリスを、
自分自身だからできる微妙な柔らかさでつまんで、こする。
「ん!……あ!……いい…いい、よぉ……キモチいいぃ…」
オナニー。高校までは知らなかった行為だ。
梓は、同性──女の子から、これを高校時分に手取り足取り教えられた。
やり方は、当時からずっと、教えられたそのままだ。
「あ! いく! いく! イっちゃうっっっっ……!!!」
ブルブルブルブルッ!と派手な痙攣を起こし、
梓は、白い腹と尻を丸出しにしたまま、身を反り返らせる。
と、ぴゅっ、ぴゅっ、と液体が梓の秘所から飛んだ。
シーツを、広い範囲で湿らせてゆく。
「あふああぁぁ……っ」
まだ震えもそのままに、反った身をゆっくりとベッドに沈めてゆく梓。
息が荒い。目が、涙で霞む。
身体の痺れがおさまるのには、かなりの時間がかかった。
これが「潮を吹く」という俗称のある現象。
自分の身体のそんなことも、あの頃、あの子に教わった。
オナニーでこんなことまで起こるのは、さすがに梓にも珍しいが。
(電車の中で身体、ぴったりくっつきっぱなしだったもんな…)
混雑に押されて、想い人と肉体を押し付け合い、勝手に興奮してしまった梓のカラダ。
(バレそうだった……ヤバかったよな……)
それだけじゃない。
(早く帰って、……オナニーしたかった……)
電車の揺れが、押し付けられた肉体の感触が、よみがえる。
「駄目だ」
ぼそっとつぶやいた。自分に向かって。
(いつまでもこんなことしてちゃ、駄目だ)
梓は、勝負をかけてみようと決めた。

「おじゃましまーす」
「あ、うん、入って」
次の休日、買い物に付き合わせて、そのあと「お茶でも」と自分の部屋に呼ぶ。
梓の計画は現在、ここまでは成功していた。
「あはは、私のアパートとあんま変わんないみたい」
「沙織は何飲む?」
新城沙織は、梓に背中を向けて玄関で靴を脱いでいる。

***
208名無しさん@初回限定:02/03/20 02:59 ID:NfID8cRc

短大を出て、就職をした。
そして、明るく活発で、ころころとよく笑う元気な同僚が、気になった。
新城沙織。同い年の同期。
これは恋だ、ということが、梓にはわかった。
同性の間にだって、そんな想いが産まれることはある。
高校の時、梓はそれを我が身で思い知っていた。

強引に強引に自分に迫って来た、高校のあの後輩。
そんな趣味はないから、となかば彼女を遠ざけていた梓の壁を
あの子は何度も無理矢理ぶち破って、……とうとう、想いを遂げてしまった。
自分たちは恋人同士だと、梓の口からはっきり認めさせるほどに。
そんな風に強引に梓の心を奪っておいて、あの子は、あっさり行ってしまった。
もう誰の手も届かないところへ。
女の子を愛するように心と身体を作り変えられてしまった梓を、
ひとりぼっち、この世に残して。
209名無しさん@初回限定:02/03/20 03:00 ID:NfID8cRc

あれほど激しかった悲嘆は歳月によって少しずつ静められた。
(…すべてはもう、たゆたう思い出の中…ってな)
ただ、あれ以来生まれた、自分の中の何か空虚なもの。
それを、ただ在るだけで埋めてくれた、新たな存在。
それが新城沙織。
もちろん、彼女は梓の想いなど知りはしない。
仲の良い同期、というだけだろう。
沙織と話したこと、昼休み一緒にはしゃいだこと、
上司への不満で意気投合したこと、
そんな他愛もないことをアパートに帰っては反芻し、
知らず顔をほころばせる自分。
そんな自分が、逝った後輩を裏切っているようで心を重くもした。
だが、梓は死者が思い出で埋めてくれる以上の何かが、欲しかった。
(あの子が、あたしが不幸になる方選ぶのを喜ぶかな?)
初めてそう思えた日、梓は、沙織への気持ちを恋だとはっきり自分で認めた。

 ***
210名無しさん@初回限定:02/03/20 03:06 ID:NfID8cRc
  
「コレ、コレ、この前、観たいって言ってただろ?」
「わー、梓ちゃん、憶えててくれたんだ♪」
沙織のリクエストで紅茶を入れ、ついで沙織が観たがっていた映画のビデオを出し、
もっと長い時間部屋に留めることに成功する。
映画が終わる頃には、もう、ご飯時。

梓が以前から自慢していた料理の腕を見せたいと言い出すと、
沙織の方も喜んでくれた。
どうやら沙織も、少々遅くなっても構わない気分になってきたようだ。
気ぃ使う必要なし、と言うのにどうしても、と言って手伝ってくれる沙織。
一緒の作業を、肩を寄せ合いながら隣り合ってするのが、
あらためて、沙織という女の子をとても身近な存在に思わせる。
腕が触れる、体温を感じる。鼓動が、早くなる。
(ああ、あたし、恋してるよ……)
胸を熱くしている自分を隣に気取られないようにするのに、梓は苦労した。

夕食は自分で感動してしまうほどの完璧な出来で、
美味しい美味しいを連発して山盛りのおかわりをも平らげてくれた沙織に、
梓は大袈裟にも(生きてて良かった…)とさえ思った。
食後に出したアルコールが、チェーン店で自分用に買い置きしていた
安い缶チューハイだったのが失敗のような気もしたが、
ここで気合いの入った高い品でも出したらかえって変に思われるかも、
と考えて良しとする。
211名無しさん@初回限定:02/03/20 03:06 ID:NfID8cRc

「沙織…」
「なーに? 梓ちゃん」
いつの間にか、梓は沙織の真横に座っている。
沙織はそんなにアルコールに強くないのか、顔を真っ赤にして
気持ち良さそ〜うにくたっと梓の肩へ頭をあずけていた。
「聞いて欲しいんだ、あたしの話。真面目な話」
「うん」
「あたし、高校の時つきあってた人がいたんだ」
「うん」
「女の子」
「うん。………えっ?」

それから梓は、全部を話した。高校の時のこと。
その子は、もういないこと。三年ぶりに好きな人ができたこと。
そして……。
「その好きになった人が、沙織なんだ……」
212名無しさん@初回限定:02/03/20 03:07 ID:NfID8cRc

長い、沈黙が部屋を支配した。
(駄目だな。やっぱり。もう、友達でもいられないのかな)
そう思うと、鼻がつーんと痛くなって、涙が滲んできた。
肩にまだもたれたままの頭のぬくさ。自分の背中に垂れた彼女の長髪。
最後かもしれないと思うと、すべてが愛おしい。
「なあ。ごめん。でも、なんかしゃべって」
「……びっくりした」
なけなしの勇気をふりしぼって沙織の顔を見ると、
沙織は“鳩が豆鉄砲食らった”顔の三分の一ぐらいの表情はしていた。
「びっくりしたよお…。うん。ほんと」
「ごめんね。そういうの、恐いだろ。気持ち悪いかな」
「そんなことないけど……」
「ごめん。ごめんね」
「なんで謝るの?」
「……」
「いや、あのね、あたしだって梓ちゃんのこと好きだよ。
恋愛対象としてかどうかは、わからないけど……」
「……」
「気持ち悪くなんてないよ。
正直言って、梓ちゃんのこと友達としては大好きだし。
ここ何年かで一番気が合う人だなあって思うし。
仕事してる姿もきびきびしてるしさあ。リーダーシップもあるし。
憧れてるぐらいだもん。
その梓ちゃんが、あたしのコト、そんなに真剣に好きだって言ってくれるのに、
気持ち悪いとか恐いとか絶対思わないよ」
「…………ほんと?」
「けど」
来た、と梓は思った。
213名無しさん@初回限定:02/03/20 03:08 ID:NfID8cRc
「自分が女の人相手に、恋愛できるかどうか、わかんない……。
考えたことないから。ほんと」
「じゃあさ」
梓は言った。
「一度。一度だけでいいから、試してみない?」

「行く…よ」
「ど……どうぞ」
梓は正面から沙織に向き合う。そっと、顔を近づけた。
唇が、触れた。
優しく優しく、押し、引きして、圧力を沙織の唇にかけ続ける。
「ん……」
沙織の声の振動が、梓の唇にも伝わって来て、こもる。
(沙織とキスしてるんだ……)
沙織の体温を、唇の皮膚で、
愛し合う者同士だけのもののはずの場所をくっつけあって、感じているのだ。
予定の倍くらいの時間くちづけてしまった後、ようやく梓は、沙織から唇を離した。
「…………はぁ」
「どうだった? 気持ち……悪かった?」
「……ううん?全然。気持ち……良かった……かも」
「ほんと!?」
「ていうかあ、梓ちゃんにファーストキスあげちゃいました! あはは」
「ええっ!」
「記憶に残ってる限りではあ、誰とも付き合ったことないから、初めてだよ?私」
「い、いいの? そんな大事なもの?」
「だって梓ちゃんは大事な友達だしね」
ニコっと笑う沙織が可愛い。
「じゃ、じゃあ……もうちょっと先まで試してみない?」
214名無しさん@初回限定:02/03/20 03:14 ID:NfID8cRc

「気持ちいい……」
梓は今、沙織を横抱きにして、胸をこねまわしている。
酔いも手伝ってか、沙織は大人しく目を瞑って受け入れる。
「ああ……ん……なんか気持ちいい」
「ここは?」
服の上から乳首のあたりをつまむ。
「あっ!」
「痛い?」
「ううん。そこ、敏感なんでびっくりした。気持ちいいよ」
梓は愛撫を続ける。
さっき謝ったはずなのに、唇も、容赦なく奪う。
ちゅっ、ちゅっと、濡れた音が続く。
「次は、恋人同志のキス……してみる」
「えっ? …ぐっ」
舌を沙織の口に潜らせた。からめる。なでさする。
「うう──…ん」
たっぷりとふたりの唾液を混ぜ合わせる。
ココロに勢いがついてきた。……止められない。
「んっ!」
くちづけしたまま、もう服の上からではなく、服の下、
それもブラの下に手を潜らせて直に胸に触る。
「んっ! んっ! んっ!」
215名無しさん@初回限定:02/03/20 03:14 ID:NfID8cRc

そして十分後、沙織は、めろめろにされて
ベッドの上に裸で乗せ上げられていた。
梓も、ブラウスを脱ぎ、ブラを外す。下半身はとっくにショーツだけだ。
「沙織……」
沙織をネタにして自分がオナニーしていたベッドに、
沙織本人をこうして乗せているのが、心苦しい。
だから、最後の、質問をした。
これで駄目だったら、ここでやめるつもりだった。
「これって……レイプかな?」
沙織は、頭を横に振った。

「んっ……んっ……」
ディープキスをしながら、左手で沙織の乳房をこね、
右手をショーツの中に入れて動かす。
沙織はもうされるがままだ。
「脱がすよ……」
ショーツをおろす。
「ああっ……恥ずかしい……よ……」
「初めて他人にぱんつ下ろされるんだもんね…」
わかるよ。あたしの時もそうだった。
そう思ったが、それは沙織との出来事ではないから、言わない。
「あたしのも下ろしてくれる?」
酔った上に甘い愛撫で身体中の力が抜けている沙織は、
それでもなんとか腰の下、梓のお尻とヘア、性器が
露出するところまでは下ろすことに成功した。
ふとももでひっかかって困っているのを、
梓が自分で下ろして、足首から抜く。
完全な裸体になって、沙織と肌を合わせる。
216名無しさん@初回限定:02/03/20 03:15 ID:NfID8cRc
「ん……」
今日、たぶん二十回目ぐらいになるディープキスをしながら、
沙織の左足をあげ、クレバスに自分のそれを合わせる。
「ああぁ〜〜っ!! ふあっ!」
「ん……うまくいった……」
クリトリスとクリトリスがぴったりと重なった。
腰を、震えるていどに微妙に動かす。
「あああ〜〜っ、こんなの、こんなの〜……!」
沙織が顔を覆った。
「恥ずかしいよう……」
「ごめん、沙織。でも、好き。大好き!」
ちゅっ、ちゅっと、乳首に、へそに、唇に、
愛しい人のすべてにくちづけてゆく。
少しの罪悪感、そして圧倒的な幸福感と興奮が梓を昇り詰めさせる。
高校時代、あの子に篭絡されなければ、
自分はこういう今の自分には、ならなかったろう。
でも、ならなければ、
こんな幸せな瞬間には一生出会えなかったかもしれない。
いま沙織をベッドで下にして、自分は、こんなにも、幸せだ……。
「あず……あ、梓ちゃああぁぁ〜〜〜〜んっっ!!」
「沙織、沙織、沙織っっっっっ!!!」
梓は沙織の絶頂を目の前に見ながら、愛しい人の身体の上でやはり絶頂を迎えた……。
217名無しさん@初回限定:02/03/20 03:17 ID:NfID8cRc

「……ゴメンね。変態だよね。こんなの」
興奮が過ぎ去り、入れ替わるように梓の心を重く後悔が支配した。
「もー! あやまらないのっ」
まだ頬を染めながら、沙織は梓の鼻をつまんだ。
「それなら私ももう変態だよ?」
くすっと笑う。
「気持ち良かった。素敵だった! すっごく幸せ……、だったよ」
「ほんと?」
「もう、恋人だね。私たち。
こんなことしといて責任取らないなんて言ったら、そっちの方がヒドいよ?」
「……うん」
梓の顔にも、ようやく笑みが浮かんだ。
「ねえねえ、これってさあ、私が女の子で、梓ちゃんが男の子役ってことだよね?」
「い、いや……そういうのはみんなそれぞれだよ。
別にどっちがイニシアチブとったっていいしさあ」
「あ、じゃあじゃあ、私の方がしてもいいの!?」
「うん」
沙織の勢いはちょっと怖じ気ずかされるほどだ。なんだか微笑ましい。
「わーい♪ あたしも、じゃあ、梓ちゃんにしてみたい!
えへへ〜。めろめろにしちゃうよっ」
早速、梓をひっくり返して押し倒すと、沙織は梓の大きな胸に顔を埋めた。
「あはは、まふまふだよー♪」
そして今度は沙織の方からディ−プキスをする。
その下でふたりの乳房がからむのは、
沙織だって結構大きい方だから、とても魅惑的な光景だった。
218名無しさん@初回限定:02/03/20 03:18 ID:NfID8cRc

***

“せんぱい♪”
「えっ?」
寝静まった沙織の寝顔を眺めていた梓の耳に、
幻のようにあの子の声が届いた。
「かおり……?」
嬉しそうな、幸せそうな、声。
心に残ったしこりが、あった。
あたしひとり、幸せになっていいのか?
あの子を、過去に置き去りにして……。
でも、その声は、あくまで嬉しそうに、幸せそうに聞こえた。
祝福してくれる……。
そう思いたい。
(忘れないから。きっと忘れないよ、かおり……)
そう思う。祈りながら。
明るいその声を胸に残し、
梓も、電気を消して沙織を抱きながら眠りにつくのだった。

                          
(終わり)