恋姫†無双〜ドキッ☆乙女だらけの外史演義〜 18

このエントリーをはてなブックマークに追加
1名無しさん@初回限定
ヘ:::::::::;;: -‐''''""( )1
 ゙、::::::::-‐''""" ̄"'i
  :V;;||:::: '~ニ=ッ, r='|
  i!f !:::::      ゙、i
  i!ゝ!::::     ‐/リ
  i::/:、 :::、  /''ii'V
  ̄ハ:::::\ "''il|バ''
諸葛亮 曰く
「は、はわわ、ご主人様、次スレは>>960前後の人か480KBを越えたら宣言してから挑戦してください」

外史より生まれ落つる外史。その無限に広がる可能性を書き綴る場です。
幾たび終端を迎えようとも、それは千代に八千代に続く恋の物語。

■関連サイト
BaseSon               ttp://baseson.nexton-net.jp/
真・ぷち姫†無双(携帯向け)   ttp://nexton-net.jp/sinputihime/
まとめサイト&専用UP板     ttp://koihimemusou.x0.com/
■前スレ
恋姫†無双〜ドキッ☆乙女だらけの外史演義〜 17
http://set.bbspink.com/test/read.cgi/erog/1252672237/
■関連スレ
恋姫†無双 シリーズ 総合スレ 172
http://qiufen.bbspink.com/test/read.cgi/hgame2/1255702343/
恋姫†無双〜ドキッ☆乙女だらけの避難所〜 7
http://koihimemusou.x0.com/test/read.cgi/koihime/1253894731/

■投稿ガイドライン(さるに関しては>>2参照)
1.SSはある程度書き溜めてから1レス分の最大行数32行&最大バイト数2048バイト以内に収まるように分割する。
2.分割して20レス以上になった場合は投下直前ではなく早めに告知してくれると支援され易いし他の書き手と被らない。
3.陵辱・オリキャラ・クロスオーバー等特殊ジャンルの場合はSSを書き込む前に告知する。
4.投下予定レス数は投下前に告知するか、もしくはSSを書き込む際に名前欄に 「1/10」「2/10」…「10/10」のように投下状況を記載してくれると解り易い。
5.分割したSSをひとつずつメ欄sageで投下していく。支援や時間帯にもよるが、1分以下間隔では規制されやすいのでご注意を。3〜5分間隔くらいがオススメ。
2名無しさん@初回限定:2009/10/18(日) 17:08:00 ID:ydMJnBK90
さるに関する考察コピペ

 さるについてな
 支援がてら、最近報告の多いバイさるについての個人的考察を。

 バイさるは、
 『一つのスレに ある時間(H)内に 最近の投稿(N)のうち 沢山投稿(M回)したら「バイバイさるさん」になる』
 と言われている。
 H,N,Mは可変らしいが、VIPに於いては一時間の間で10回連投するとほぼ確実にさるさんとなる。投下間隔は実はあまり関係ない(連投規制は別)。
 さるになったら次回の00分になるまで待つしかない。00分を挟む事によりリセットされる。

 既定時間内に10レス以上投下するには支援が必要。支援により上記Nが増え、Nに対するMが減るためである。
 経験的に1投下1支援で20くらい可能。恐らく既定時間内で半分以上自分のレスで埋めなければさるは発生しないと思われる。可変のため確実とは言えないが。
 また、一時間というのは00分から次の00分までであり、初書き込みから一時間の間ではない。だから00分を跨ぐように投下すれば、一人でも最大20レスが可能。
 その他のさる回避としては、株主優待の利用、IPの切替えがある。

 投下する方、目安にしてください。
 異論や間違いの指摘も受け付けます。
3名無しさん@初回限定:2009/10/18(日) 17:20:40 ID:Y/JzoZdz0
>>1
4名無しさん@初回限定:2009/10/19(月) 00:13:56 ID:KqnMqeE+0
ヘ:::::::::;;: -‐''''""( )1
 ゙、::::::::-‐''""" ̄"'i
  :V;;||:::: '~ニ=ッ, r='|
  i!f !:::::      ゙、i
  i!ゝ!::::     ‐/リ
  i::/:、 :::、  /''ii'V
  ̄ハ:::::\ "''il|バ''
諸葛亮 曰く
「は、はわわ、>>1様、乙です」
5名無しさん@初回限定:2009/10/19(月) 04:59:32 ID:fGnbgXQ60
ゆえ、、、、董√はまだかー!
6名無しさん@初回限定:2009/10/19(月) 09:47:22 ID:F8mGSVUqO
きょ〜うも楽しく>1乙だぁ〜♪
7名無しさん@初回限定:2009/10/19(月) 13:04:17 ID:oYgdtNXV0
>>1

ところで外史喰らいの人って続き書いてるのかな?
8名無しさん@初回限定:2009/10/19(月) 14:59:31 ID:EOKelTr6O
前スレ>46を見るんだ
9外史喰らい ◆g3lwFV02dE :2009/10/19(月) 16:14:22 ID:tCxAtfzy0
>>7
ひどいノルマのせいで、後1週間ほど文章に触れない生活を送っとります…
11月頭には投下できると思うんで、もう少しお待ちください。
10名無しさん@初回限定:2009/10/19(月) 18:52:33 ID:oYgdtNXV0
>>9
了解、全裸で待機しておきますわ
11名無しさん@初回限定:2009/10/19(月) 19:39:34 ID:m5qEy7rk0
>>10
せめてピンクのショーツを身につけるんだ
12メーテル ◆999HUU8SEE :2009/10/19(月) 20:48:03 ID:7S9sZB/I0
わたしの名はメーテル……投下予告をする女。
短編を書いたのだけど、……ちょっと多くなったので分割して投下させて貰うわね。
21日水曜日から、25日日曜日にかけての五日間、それぞれ午後9時30分からで、五分割の予定よ……。

明日は来られない可能性があるので、ちょっと早めに告知よ、鉄郎……。
13名無しさん@初回限定:2009/10/19(月) 21:00:27 ID:5yQMvLTQ0
久しぶりのメーテルか
14名無しさん@初回限定:2009/10/19(月) 21:51:17 ID:Vro8FuO10
ちょっと
寒いけど服脱いどくか

  ∧_∧
 ( ・∀・)
 ( ∪ ∪
 と__)__)  旦~
15名無しさん@初回限定:2009/10/19(月) 21:58:14 ID:c7vYO1Bn0
このスレにクーラーが設置されました。

  r──────────┐
  | l王三王三王三王三l o==ニヽ
  | |王三王三王三王三|  .| //
  ゝ 乂━━━━━━━乂_| `-=
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  / /  / / / /  / /
 / /  /  / /  / /  ゴーゴー
16名無しさん@初回限定:2009/10/19(月) 22:22:06 ID:1dsDduEr0
冷える!冷えるぞ!
しかし俺は耐えて見せるぞおお
17名無しさん@初回限定:2009/10/20(火) 13:42:55 ID:fLigYq1KO
基本このゲームはバカップルが多いよなw

あ、なんか寒い
18名無しさん@初回限定:2009/10/20(火) 20:12:07 ID:sYQ7SArD0
>>17 ということは三国重鎮はバカばっかりと言うことじゃないか!
19名無しさん@初回限定:2009/10/20(火) 20:35:40 ID:787PX58s0
>>18
うわ、ひでぇ
人の原型を残してねえよ…
20名無しさん@初回限定:2009/10/20(火) 20:45:24 ID:CONjfbWL0
今日はハンバーグか
21名無しさん@初回限定:2009/10/20(火) 20:47:59 ID:yoOXL6Xd0
まあ、国を損なわなきゃ、私生活でどれだけ恋愛に傾注しようが構わんからなあ。
22名無しさん@初回限定:2009/10/20(火) 21:14:11 ID:oPa/XKZQ0
>>18
砂漠の塵になったか
23名無しさん@初回限定:2009/10/20(火) 22:26:26 ID:JHQyE8yC0
まったく口の減らないやつらばかりだぜ






俺は猛省して次の人生はまっとうに生きようと思ってるんだ・・矢が・・矢が一杯で怖いんだorz
24名無しさん@初回限定:2009/10/21(水) 00:01:15 ID:kxedmqHq0
何の流れにも乗らずに徐庶元直ちゃんのことを妄想してみる
はわわとあわわに類するロリっ娘なのはガチとしてパティシエスタイルが有力か
エプロンとおたまで軍の采配…なんという違和感

最初劉備のとこにいたけど、母親が曹操の捕虜になってしまい魏に降るらしいけど
蜀√で三軍師そろって房中術の本を一心不乱に読みふけるのか
魏√で閑職についたところを北郷隊に拾われ肌馬になるのか

何にせよしっくりくる性格が設定できない時点で妄想オワタ\(^o^)/
25名無しさん@初回限定:2009/10/21(水) 00:40:15 ID:KYXV/PYU0
見た目蒼天徐庶そっくりなロリとか
26名無しさん@初回限定:2009/10/21(水) 00:49:22 ID:ywApdZlJ0
>>24
必殺技は是非とも、イナズマキックで。

いっかずちを落とすよ〜!(バキャ
27名無しさん@初回限定:2009/10/21(水) 00:59:00 ID:sEvXWhH60
一人だけ巨乳なのを妬まれて魏に亡命するとか
28名無しさん@初回限定:2009/10/21(水) 01:10:53 ID:nMOsCMoLO
どうせなら横山リスペクトの外はねヘアーで
29名無しさん@初回限定:2009/10/21(水) 01:11:10 ID:4fv/lr+Q0
>>24
よし、ならば我が妄想を受けよ!


徐庶母、一刀に骨抜き

徐庶母、徐庶へ手紙(魏のたねう……じゃなかった天の御使いの良さを長々と)

お母さん子徐庶、魏へ

初めは母親以外の誰にもその内面というか感情を見せない
&母の事で一刀を敵視で関係最悪

一刀のがんばりで徐々に打ち解けていく

比較的一刀の前では素を見せるようになり、一刀の前限定で鉄面皮から
笑ったり怒ったり泣いたりころころ表情が変わるようになる

素の姿が徐々に母親へ見せているときよりも輝かしいものへ
(それを母親にからかわれ赤面しながら追いかけっこ)

一刀召し上がる(スリーサイズはお好みで)

二回目の時に母親乱入、親子丼

こんな感じでどうだぁ!
30名無しさん@初回限定:2009/10/21(水) 01:26:33 ID:TqmPzhtK0
妄想力7000…8000…!?
馬鹿な!まだ上がるのか…!
31名無しさん@初回限定:2009/10/21(水) 07:51:48 ID:qNIOToTY0
何故か徐庶は気風の良い姐御のイメージ
32名無しさん@初回限定:2009/10/21(水) 07:55:09 ID:lnWGMk+9O
良い意味で脱帽
33名無しさん@初回限定:2009/10/21(水) 08:33:16 ID:NgU/7J+70
一刀の良さは分かるけど
桃香も大徳があり徐々も好きになってる筈だから
良さ書いても母親が幸せに暮らしてると思い安心して蜀で腕振るうんじゃね?w

種馬に狙われて母親が危ないと思って魏に来ただけなら
一刀が安全と思えば蜀に帰るだろうしな

病気とかで騙す場合は曹操が華琳だから母親だまくらかして連れてくるのは覇王として許さないだろうし
34名無しさん@初回限定:2009/10/21(水) 08:35:38 ID:wUwlGynw0
大徳(笑)
35名無しさん@初回限定:2009/10/21(水) 10:57:06 ID:U+YuA/Em0
>>33
ジョジョと申したか
36名無しさん@初回限定:2009/10/21(水) 11:28:44 ID:wyQHafd90
         ____
       /      \
      /   \ , , /\     マシンガン継投するお!  
    /  ==⊂⊃=⊂⊃=\    ピッチャー翠!
     |     ⌒(__人__)⌒ |     ピッチャー鈴々!
      \      ` ⌒´  ,/     ピッチャー春蘭!
.      /⌒〜" ̄, ̄ ̄〆⌒,ニつ
      |  ,___゙___、rヾイソ⊃
     |            `l ̄

   ∩∩∩    .    ∩∩∩
  .∩_:||_:|_:|        |_:||_:|_:∩
  │ ___  つ      ⊂  ___ │
   ヽ   ノ   ___   ヽ  ノ
  / /   /_ノ  ヽ、_\   ヽ \  ストライク一つもとれねーおwwwwwwwwwww
  (  く   o゚=⊂⊃=⊂⊃=゚o   > )  お手上げだおwwwwwww
  \ `/::::::⌒(__人__)⌒:::::\' /
    ヽ|     |r┬-|     |/
      \    | |  |     /
          | |  |
           `ー'´
37名無しさん@初回限定:2009/10/21(水) 11:30:45 ID:tG12i7iX0
桃香の胸には大徳がつまってるんだよぉー!
38名無しさん@初回限定:2009/10/21(水) 12:16:27 ID:SUoYpIZJ0
俺の中では、
徐庶と言われればちっこいロリっ娘のイメージだが、
単福と言われるときれいなお姉さんに…

>>16のIDの後ろ3文字がエロに見えたことといい、俺は重症みたいだ…orz
39名無しさん@初回限定:2009/10/21(水) 18:51:28 ID:pbN+z1To0
>>38
みえる!みえるぞぅ!
オレにもエロってみえるぅぅうう!!
40メーテル ◆999HUU8SEE :2009/10/21(水) 21:21:02 ID:b6a85zy/0
わたしの名はメーテル……投下する女。
「美羽の七乃」を含む一連の流れのスピンオフ短編を、先日の予告通り21時30分から投下させてもらうわ。

なお、今回は原作中で言及されていない名前のキャラクターが、何名か登場するのよ鉄朗……。
41美羽と七乃スピンオフ「遼来来」(1/23):2009/10/21(水) 21:30:17 ID:b6a85zy/0
 押し寄せる呉軍、その数およそ十万。
 対して迎え撃つ仲軍、七千余名。
 その戦力差は、火を見るより明らかであった。

 場所は城壁の上。
 北郷一刀の前に広がっているのは、地平の彼方まで黒々と染め上げる一面の闇。
 時刻は真夜中。頼りない星の輝きを補うために、周囲にはかがり火が焚かれている。
 吹く風はない。凪いだ、澄んだ夜だ。
 そんな中、一刀はなにをするでもなく、ただわだかまる闇を見つめていた。
「こないなとこにおったんか」
 背後から、声をかけられた。
「うん、ちょっと眠れなくてさ」
 一刀は後ろを振り返ってそう答えた。
 その視線の先には、月を背負った美しい女性が立っていた。
 すらりと伸びたしなやかな手足、肉感的なくびれた腰とサラシを巻いた大きな胸、それを包
み隠さず主張する服装は、出し惜しみを好まない彼女らしい格好だ。
 普段は結い上げられている髪が、いまこのときばかりは下ろされており、それはまるで夜空
を流れる天の川のよう。
 だが、何よりも目を引くのはその目。
 ややつり目がちの目は、人を惹き付けてやまない宝石の如き光を放っている。
 艶やかな唇は不敵につり上がり、眼光と合わさって、なんとも挑発的な装いを作り上げてい
た。
「霞こそ、こんなところになにか用か?」
 ――彼女の名は張文遠。真名は霞。
 数時間後には呉の大軍と衝突する、この城の司令官であり、そして一刀にとって、決して失
いたくないと思う、大切な女性でもある。

42名無しさん@初回限定:2009/10/21(水) 21:30:53 ID:WqdzsP+o0
支援
43美羽と七乃スピンオフ「遼来来1」(2/23):2009/10/21(水) 21:33:27 ID:b6a85zy/0
「ん。うちも似たようなもんや、なんや、こう、戦いの前で滾ってしもうてな。頭冷やさなあ
かんて思ったんよ」
 そう言って、霞はこれから起こることに期待を膨らませる少女のような、屈託ない顔で笑っ
た。
 だが一方、一刀は霞のそんな顔を見ても、同じようには笑えない。
「……なあ、本当に、やるのか?」
「やるよ」
 即答だった。
「それよりもうちは、一刀の方が心配や。本当にええんか? 死ぬかも知れへんよ?」
 『死』。
 それを突きつけられただけで、一刀の膝は震えだしてしまいそうになる。
 だが、それをぐっと堪える。
 彼女を前に、そんな姿は見せられない。
 やせ我慢だろうとなんだろうと、そこは意地の一点張りだ。
「……大丈夫。囮は、俺がやる」
「やっぱり恋じゃ駄目なん?」
「ああ、この城を守るには恋の力が必要だ。そして、敵を奇襲するには、霞の速さが不可欠だ。
だったらもう、消去法で囮になれるのは俺しかいないだろ」

 一刀が囮となって敵を引きつける、そしてその隙を縫って、霞が最速の一撃で敵の喉元を突
き破る。
 夜明けにときを同じくした奇襲作戦。
 それが一刀、霞、恋しかいない、兵も将も圧倒的に足りていないこの城の力で、唯一勝ちを
拾えるかもしれない作戦だった。
44名無しさん@初回限定:2009/10/21(水) 21:34:35 ID:WqdzsP+o0
支援
45美羽と七乃スピンオフ「遼来来1」(3/23):2009/10/21(水) 21:36:26 ID:b6a85zy/0
「……怖い?」
「怖くないよ」
「嘘やな」
 霞は再び振り返って一刀の横に音もなくそっと立ち、ささやくようにそう言った。
「霞は、怖くないのか?」
「ん、勿論怖い」
 ただ二人、どこまでも続いていそうな暗闇を見つめながら言う。
 不意に霞の左手の指が、一刀の右手の指に絡んだ。
「うちは、一刀を失うのが怖い」
 手を結ばれて、ドキリとした一刀が霞の方を向くと、いつ詰めたのか、目と鼻の距離に彼女
の顔があった。
「しても、ええ?」
 驚いて、霞の言葉に声を返そうと開きかけたその途端、霞の唇がそれを奪っていた。
「ごめん。やっぱ我慢できんかった」
 会心の悪戯を成功させた少年の顔で、彼女はそんなことを言った。
 実に霞らしいその顔を見て、一刀の頬も自然と緩んだ。
「勝てるかな?」
「当然」
 再び即応して、彼女は言う。
「一刀のために、一刀と過ごす未来のために、うちは絶対に勝つ。勝って、生きて、戻ってく
る」
 だから、と続けて彼女はその顔を、一刀の胸に預けた。
「時間ギリギリまで、二人でこうしてたいな」
 そんなふうにして重なる、影と影。
 夜明けは近い。


46名無しさん@初回限定:2009/10/21(水) 21:38:10 ID:WqdzsP+o0
支援
47美羽と七乃スピンオフ「遼来来1」(4/23):2009/10/21(水) 21:39:11 ID:b6a85zy/0
 ◇◇◇

 しばらくすれば空も白み始めるであろう、そんな頃合い。
 呉軍の陣中。無数の天幕が張られたその一角で、二人の少女が闇を薄くしつつある空を見上
げていた。
「いよいよですね。蓮華さま」
「ええ、そうね……。孫家の悲願を成就するための第一歩、それがいま、踏み出されようとし
ているわ」
 呉王が妹、孫仲謀と、その片腕、呂子明である。
 二人はこの戦いにおいて、それぞれ総司令官とその参謀という役割が与えられていた。
 はじめて任された大役。二人とて、その責任を重く感じていないわけではない。だが、それ
以上に、大きな希望が胸に輝いていた。
 憎き袁術を討つ戦いの、最初の大一番を任されたのである。この戦いに勝てば、孫家の悲願
に大きく一歩近づくことになるだろう。
 重圧よりいまはむしろ、すぐにでも駆け出したい気持ちの方が勝っていた。

「蓮華さま!」
「ん? どうかしたの亞莎?」
 威風さえ感じさせる柔らかい笑みを浮かべた蓮華を前に、亞莎は頬を赤くして深呼吸した。
「私、頑張りますっ! 頑張って頑張って頑張りますっ! ですから、絶対勝ちましょう!」
 拳を握って息巻く亞莎の言葉に、蓮華は一瞬目をきょとんとさせたが、すぐにまた微笑んだ。
「ふふっ。今日の亞莎はいつも以上に頼もしいわね。期待してるわ」
「はいっ!」
 元気良く亞莎が答えた。
48美羽と七乃スピンオフ「遼来来1」(5/23):2009/10/21(水) 21:42:26 ID:b6a85zy/0
 今回の袁仲への進軍は、孫呉のほぼ全総力を持って行われる。そしてその背景には、先に北
方から袁仲に軍を進めた曹操の存在がある。
 強大な曹魏の軍事力に立ち向かうために、仲はいまその力の大部分を北部へと集結させてい
る。
 呉と隣接する南西部方面には、最低限の兵力しか残されていない。攻め込むなら絶好の機会
なのだ。
(大丈夫。何も問題はない、不安材料もない、負けるはずがない)
 亞莎が心中で一人ごちる。
 そう、今回の戦いは兵力比にして十対一以上。負けるはずのない戦なのだ。
 むしろ重要なのは、いかにして勝つか。
 この戦は事実としては火事場泥棒である。しかし、民草にそう思われるのは避けねばならな
い。
 幸いにして、曹操は良政を敷いてはいるが、万人に受け入れられる劉備のような大徳は持ち
合わせていない。また、袁術の風評は最近までお世辞にも誉められたものではなかった。
 そういった諸々を加味して考えれば、今回の戦の勝ち方次第では『火事場強盗』を『江東の
解放者』にすり替えてしまうことも十分に可能というのが、周瑜と陸遜という、孫家きっての
智才たちの判断だった。
 そして、その華々しき勝利をどう戦場に描くかが、自分の双肩にかかっている。そう思うと
亞莎は体の芯から震えが走る。
 しかしそれもこれも、蓮華の横に立っていれば、何も心配いらないように思えてくるから不
思議だった。

 孫仲謀という女性は不思議な魅力を備えた人間である。
 とき大胆、とき剛胆、それでいて繊細。細やかな機微を解し、ただ自然体で人を導く。
 そこにいるだけで光り輝く、太陽のような美しさを備えた大器、それが彼女だ。
 器の大きさに関してなら、現王孫策すらも自分自身以上であると認め、次世代の後継者であ
ると公言して憚らないほどである。
 だが、そんな彼女にも決定的に足りないものがあった。
 それが『経験』であった。
49名無しさん@初回限定:2009/10/21(水) 21:44:28 ID:WqdzsP+o0
支援
50美羽と七乃スピンオフ「遼来来1」(6/23):2009/10/21(水) 21:45:33 ID:b6a85zy/0
 先代孫堅の時代から戦場に立ってきた孫策からしてみれば、孫権はまだまだ若輩。
 けれど、長々とその成長を待っていられるほど彼女たちには時間も余裕もない。
 だからこそ、この度の戦の総大将に、彼女が据えられたのである。
 重要ではあるが、それほど難しくなく、危険も少ない。
 この度の戦は、孫家次世代を担う若者たちが経験を積むには、まさに絶好の機会だと考えら
れているのである。
 その証拠に、孫権、呂蒙の他にも、孫尚香や周泰といった他の若い将も、今回の戦場では重
要な役割を与えられていた。
 一方で周瑜、黄蓋、陸遜といった旧臣たちはこの戦いに参加しない。
 例外的に甘寧だけは、孫権のお目付として参加しているが、それにしたところで、経験不足
が危惧される布陣であることに違いはない。
 孫家の新たなる世代の試金石。この戦いはそういう位置づけなのだ。

(大丈夫っ、絶対に勝ちます!)
 そう亞莎が決意を固くしている最中、二人は後ろから近づいてくる足音を耳にした。

「あら二人とも、こんな早くから随分と張り切っているようじゃない」
 片手を上げてそう二人に声をかけたのは、背の高い女性。
 ぴっちりと服を纏い、それが彼女の凹凸をこれでもかと協調している。
 目つきは鋭い。だが、いまはそこに優しそうな色を湛えている。
 肌の色は褐色。
 彼女の名は孫策伯符、真名を雪蓮という。江南の小覇王と呼ばれる、呉王孫策その人である。

51名無しさん@初回限定:2009/10/21(水) 21:48:11 ID:WqdzsP+o0
支援
52美羽と七乃スピンオフ「遼来来1」(7/23):2009/10/21(水) 21:48:49 ID:b6a85zy/0
「はい姉さま。孫家の悲願、その大きな一歩を感じているところでした。ね、そうでしょ亞莎」
「は、はいっ!」
 堂々とした蓮華と、緊張のためかまだ堅さが残る亞莎。
 二人を見渡し、雪蓮はさもおかしそうに笑った。
「うん。私の目に狂いはなかったようね。その様子なら、あとを託しても大丈夫かな?」
 ――『あと』。まだ当分先の話であるはずのそれを言われて、孫権は端正な顔を曇らせた。
「姉さま、軽々しくあとなどと……」
 そう言って、孫権が姉に苦言を呈そうとしたところで、
「ごめんごめん。蓮華もきちんと成長したんだなぁって思うと、感慨深くってね。つい」
 あははと笑う。
 そして笑ってから、すぐに真剣な王の顔になった。
「ところで、二人ともちゃんと眠ったんでしょうね。まさか一晩中そこで星を見てました、な
んてこと言ったら、ちょっときつめに叱らなくちゃならないわよ?」
 雪蓮から疑惑の眼差しを向けられて、蓮華がうっと息を飲む。
 対して、亞莎から迅速なフォローに入った。
「ち、違います! 私も蓮華さまも、きちんと眠っています!」
「へぇ、どのくらい?」
「い、一刻ほど……」
 正直に答えた亞莎に、蓮華がため息をついた。
 嘘がつけない性分なのはわかる、だがもうちょっと気を回して応えられないものかと、蓮華
は自分のこめかみを押さえた。
 一刻、明らかに仮眠の時間である。到底しっかり寝ているとは言い難い。
 蓮華は仕方なしに、姉の叱咤を覚悟した。
 だが、その予想に反して、次に雪蓮の口から出てきたのは柔らかな言葉だった。
「ならば良し。一刻でも寝ているのと寝ていないのでは、大分違うからね。それだったら私か
ら言うことは何もないわ」
「雪蓮姉さま……」
 てっきり叱られると思っていた蓮華は、思いがけぬ姉の言葉に己の耳を疑った。
53名無しさん@初回限定:2009/10/21(水) 21:49:52 ID:WqdzsP+o0
支援
54美羽と七乃スピンオフ「遼来来1」(8/23):2009/10/21(水) 21:52:33 ID:b6a85zy/0
 その驚きが顔に出ていたのだろう、雪蓮は蓮華の顔を見て唇を尖らせた。
「あら、私だって人の子よ。与えられた大役に、心が逸って眠れなくなる気持ちくらいはわか
るつもりよ」
 そう言って、雪蓮は微笑む。
 その笑顔に、蓮華は心の中で胸をなで下ろした。

「で、早速先ほど、敵に動きがあったみたいだけど、どう対処したのか聞かせてくれないかし
ら」
 敵の動きというのは、少し前に城から敵の一軍が現れ、呉軍とは逆方向へ逃走していったこ
とを指していた。
「あ、はい。その軍の追撃は周泰・甘寧両将軍に当たってもらいました」
「へぇ。その心は?」
「はい。敵軍の将は二人。張遼と飛将軍呂布です」
「らしいわね。袁術ちゃんが有する最強の手駒ね」
「はい。ですが、その手勢は併せて七千程度。我が軍の敵ではありません」
「そうね。戦いは数だもの」
「ならばこそ、敵は本隊に増援を頼むためにこの場を脱出したのだと思われます」
「うんうん。私もそう思うわ」
「さて、ならば重要になるのは、張文遠、呂奉先、どちらが城を脱出したかということですが、
これは張遼だとしか考えられません」
「それはなぜかしら」
「籠城戦となれば、張遼将軍最大の持ち味である、その『神速』が生かしきれません。また、
残るもう一人は天下に名高い飛将軍。どちらが残って我が軍と戦うかと考えれば、自ずと答え
は見えてきます」
「なるほど。逃げたのが張遼で、城に籠もって我々を迎え撃つのが呂布ということね」
「はいそうです。ですから、『神速の張遼』を追いかけるために、みんめ……周泰将軍と甘寧
将軍に兵士三千ずつを付けて派遣しました。周泰には足止めのため、昼間のうちから敵が退路
に使いそうな道に罠を仕掛けるように指示してあります。必ずや追いついてくれることでしょ
う。そして、一度追いついてしまえば、数に勝るこちらの勝ちは揺るぎません。よって、これ
で張遼を討ち取ることが可能なはずです」
55名無しさん@初回限定:2009/10/21(水) 21:53:41 ID:ZHy/Sevx0
支援
56名無しさん@初回限定:2009/10/21(水) 21:54:51 ID:WqdzsP+o0
支援
57名無しさん@初回限定:2009/10/21(水) 21:55:00 ID:KnCV1RCZ0
支援
58美羽と七乃スピンオフ「遼来来1」(9/23):2009/10/21(水) 21:55:59 ID:b6a85zy/0
「なるほど。事前の準備も万端というわけね」
「はい。また蒋欽・賀斉両名が敵城攻撃を準備しております」
 語り終えた亞莎の姿は、普段の引っ込みがちな様子からは考えられない、凜としたものだっ
た。
 それを見て雪蓮が、険しそうにしていた顔を崩した。
「……合格。よく頑張ったわね、亞莎」
 待ち望んでいた言葉。それ言葉を聞いた亞莎の顔が、ぱっと華やいだ。
「本当ですか!?」
「ええ、これならなんの問題もないわ。今後も蓮華のこと、よろしくね」
「やったわね、亞莎」
 雪蓮の言葉を聞いて、蓮華も亞莎の手を取って己がことのように喜んだ。
「はい! 蓮華さま!」
 亞莎は握られた手を何度も振って、笑顔を振りまく。

 そうして、三人は睦まじくを幸福なときを過ごした。

 鬼が迫るとも知らず。


 ◇◇◇


 駆ける。愛馬黒捷が夜の闇を縫って駆ける。
 精鋭中の精鋭。八百騎からなる決死隊を率いて、張遼は神速にて敵に迫る。
 夜を征く騎馬たちは、速く、速く、更に早く。ぐんぐんとその速度を増していく。
 その先頭で、張遼は愛しい男を想い、徐々にその思考をシャープにする。
59名無しさん@初回限定:2009/10/21(水) 21:57:09 ID:WqdzsP+o0
支援
60美羽と七乃スピンオフ「遼来来1」(10/23):2009/10/21(水) 21:59:04 ID:b6a85zy/0
 一刀は己の役割を全うした。
 敵の前衛部隊の一部が、囮である一刀を追いかけてその姿を消している。
 ならば次は、自分が役目を果たす番だ。
 愛する男が稼いだ時間を、一瞬たりとも無駄にはできない。自分が無駄にしたその時間だけ、
一刀の命は縮まるのだ。
 愛しい男を救うためには少しでも速く、囮にかかった部隊を撤退させるしかない。
 そのためには忠犬どもに、自分の主人が危機に陥っていると知らせてやるのが手っ取り早い。
 そうやって取って返した前線部隊が駆けつけるより先に、孫家の血脈を残らずすべて絶つ。
 それが、霞が己に課した使命であった。

(一刀のためなら、うちは……うちは!)

 あっという間に、霞の視界一杯に敵の大軍勢が広がった。
 一瞬体に身震いが走る。
 それでも霞は馬足を緩めたりしない。むしろその逆に、速度を上げる!
 狭まった視界の先、そこにいたのは、ここは通さぬとばかりに大槍を構えて行く手を遮る小
柄な少女。

(獣でも、鬼でも、なんにでもなったる!)

 接近、接触。
 一瞬の交錯。
 翻る飛龍偃月刀。
 すれ違いざま振るわれた斬撃は、少女の体を構えた大槍ごと真っ二つにしていた。
61名無しさん@初回限定:2009/10/21(水) 22:00:02 ID:WqdzsP+o0
支援
62名無しさん@初回限定:2009/10/21(水) 22:00:51 ID:KnCV1RCZ0
支援
63美羽と七乃スピンオフ「遼来来1」(11/23):2009/10/21(水) 22:01:29 ID:b6a85zy/0
「ち、陳武将軍ーーーーーーーーっ!」

 宙を舞った少女であったものの残骸から、生暖かい液体が滝のように降り注ぐ。
 嗚呼、いま斬ったのは武勇名高い赤目の陳武であったか。
 周囲から上がった悲鳴を耳にして、霞の中からそんな考えが気泡のように浮かんで消えた。
 それでも彼女は一瞬たりとも心を残さず、全速力で馬を走らせる。
 戦いの喜びも、勝利の悦びもない。
 いま彼女にあるすべては、愛した男を救うというただそれだけ。

(うちは獣、うちは鬼。孫策、あんたらを地獄に叩き落とすまでは止まれへんっ! だから、
一刀、一刀、一刀――!!)

 想いが純化され、一刀以外のことが頭から追い出される。
 その境地に辿り着いたとき、ふっと霞を縛るすべての束縛が消え去った。
 そして彼女は、巨大な力が自分の体に流れ込むのを感じた。


 ◇◇◇

 雪蓮が立ち去ってからしばらく。
 天幕へと戻った蓮華たちを待っていたのは、心地よい喧噪であった。
 決戦を前にして、その場にいる誰しもが活力を漲らせた顔をしていた。
 興奮に包まれた天幕に入り、蓮華は流れが自分たちに来ていることを確信した。
 司令官の登場に、それまで騒がしかった天幕の中が静まりかえる。
 そんな中を、蓮華は亞莎を付き添わせてまっすぐ突っ切って歩く。
 そして一番奥まったところにある座の前まで来ると、ゆっくりと腰を下ろした。
 座に着いて、改めて家臣たちの顔を順ぐりまじまじと見る。
64名無しさん@初回限定:2009/10/21(水) 22:03:28 ID:WqdzsP+o0
支援
65美羽と七乃スピンオフ「遼来来1」(12/23):2009/10/21(水) 22:04:17 ID:b6a85zy/0
 その場にいる誰も彼もが、期待に目を輝かせた子供のような顔をしていた。
 皆が、蓮華の一挙一頭足に注目し、その言葉をいまかいまかと待ちわびている。
 そんな彼らを前に、蓮華は一つ深呼吸して言った。

「構わない。続けて欲しい」

 その彼女の言葉に、
「若! では早速!」
「孫堅さま、わたくしに献案が!」
「わたくしにも!」
「いやいや! この私が先だっ!」
「ここはこのわたしめの報告が優先されるべきであろう!」
 主人の着席を待ちわびていた群臣から、次々声が上がる。
 ふと横を見ると、他の者たちと同じように目をきらきらさせた亞莎がこちらを見ていた。
 蓮華はその様子に内心苦笑しながら、それを一切表に出さず、自信を滲ませた顔で告げた。
「呂蒙。あなたが聞きなさい」
「――はいっ!」
 元気良く亞莎は答え、
「孫権さまへの献案・報告は、まずこの呂蒙が承ります!」
 その声に、今度は亞莎へ殺到する武官群臣たち。

 現在の呉軍の主な懸案事項は、今後の進軍経路と、北部から進軍する曹操軍の行軍予想とそ
の対策である。
 蓮華たちの目的は目先の城を落とすことではない。本命は寿春の占領にある。
 そのことは、同じように北から寿春目指して攻め上がってきている、曹操軍の存在抜きには
語れない。
66名無しさん@初回限定:2009/10/21(水) 22:06:11 ID:WqdzsP+o0
支援
67美羽と七乃スピンオフ「遼来来1」(13/23):2009/10/21(水) 22:07:53 ID:b6a85zy/0
 彼らが見据える本当の敵は、袁術軍との戦いのあとのに控える曹操の大軍なのである。
 一応、寿春攻略後には後続二万を率いた周瑜・黄蓋らといった重臣たちが合流する予定であ
るが、それをあてにするようでは曹魏の屈強な軍には勝てないことを、亞莎はしっかりと把握
していた。
 だから彼女がいま最も重要視しているのは、無駄を省いた迅速な行軍と、緒戦での消耗を最
低限に抑えることであった。

 矢継ぎ早に裁可と命令を飛ばす亞莎には、手負いの老いた虎を仕留める若い虎の余裕はない。
 既に亞莎の中では既に、真の敵である曹操軍との戦いが始まっているのである。

 そんな亞莎の姿を頼もしそうに見ていた蓮華の顔が、不意になにかに気づいたように別の方
に向けられた。
「――――?」
 主人の不審に気づいた亞莎が、怪訝な顔をする。
「どうかなされましたか?」
「いえ……なにやら、騒がしくないかしら」
「騒がしい?」
 蓮華の言葉に、亞莎がさっと手を挙げた。
 それを見た家臣たちの言葉が、一斉にやんだ。静かになった天幕の中、亞莎は目を閉じて耳
を澄ます。
 しかし、
「いえ、私には何も……」
 別段、何もとりたてて警戒しなくてはいけないような物音は聞こえなかった。
「しっ」
 けれども蓮華はそう言って亞莎の言葉を遮ると、目を閉じて広げた手のひらを耳の後ろにや
った。
68名無しさん@初回限定:2009/10/21(水) 22:08:09 ID:f8/4I36aO
支援
69名無しさん@初回限定:2009/10/21(水) 22:08:31 ID:WqdzsP+o0
支援
70美羽と七乃スピンオフ「遼来来1」(14/24):2009/10/21(水) 22:10:10 ID:b6a85zy/0
 一切何も聞き漏らさぬと、蓮華は耳に神経を集中させた。
 天幕の中に先ほど以上の沈黙が落ちる。
 誰もが息を飲む中、再び蓮華が口を開いたのは、たっぷりと十秒ほども経ったあとだった。
「……なにかの、息吹? それに合わせて大気が震えている」
「大気、ですか?」
 呟きに、亞莎が思わず疑問を返した。
 ものは試しと、亞莎も蓮華と同じように耳の後ろに手をやってみたが、やはり彼女には何も
聞こえなかった。
「なにかの聞き間違いでは?」
 戦場において、聞こえないものが聞こえてくるというのはよくあることだった。
 極度の緊張や疲れが原因だと言われているが、はっきりとはわからない。
 経験を重なれば少なくなるというそれが、蓮華が耳にしたものの正体に違いないと亞莎は思
った。
 何せいまは特に決戦前、気が昂ぶっている状態である。幻聴の一つくらい聞こえたところで
不思議なことではない。
 だが、亞莎の予想を裏切るように、争乱を告げる伝令が天幕に飛び込んできたのは、その直
後のことだった。

「ご報告申し上げます!」
 現れた男の姿。
 滝のように汗を流したその兵士の様子に、亞莎はなにか尋常ではないことが起きたと判断し
た。その場にいる各々の顔も、緊張で一気に顔が引き締まる。
「なにがあったか!」
 まずは軍師である亞莎が、一歩前に踏み出して兵士に報告を促す。
 亞莎はこの日のために様々な策を練っていた。大概の事態には対処可能とするだけの用意と
自信がある。
 口にした言葉には、それに相応しい自信が込められていた。
 だが、兵士の口から飛び出したのは、そんな彼女すら驚かせるに十分なものであった。
71名無しさん@初回限定:2009/10/21(水) 22:11:35 ID:WqdzsP+o0
支援
72美羽と七乃スピンオフ「遼来来1」(15/24):2009/10/21(水) 22:13:50 ID:b6a85zy/0
「敵騎馬部隊が我が軍を奇襲! 迎え撃った陳武さまが討ち死になさいましたっ!」

 予想外の一言で、亞莎の顔から一気に血の気が失せた。
「そ、そんな馬鹿な!? 敵の部隊は袁術に援軍を請うために出撃したはずです! 我が軍に
奇襲を仕掛ける余裕なんてあるはずが……!」
 動揺を抑えきれず、その言葉尻が震えてしまう。
「まさか……」
 しかし一方、彼女の頭の冷静な部分は、結果から過程を浮かび上がらせていた。
「まさか、あれは囮? ……別働隊が奇襲作戦、本命はこちらで……」
 一つ一つを口に出し、整理していく。
 思考停止しそうになる理性を置いて、脳髄だけがその回転をずんずん増す。
 事実だけ並べれば、導き出される推測は実に明快だ。
 敵は二つに分けた部隊の一つを囮にし、城を空にするのも厭わずもう一つの部隊を使って強
襲を仕掛けてきたに違いない。
 自分たちはまんまとそれに引っかかったのだ。

「………」
 最初は予想外の事態にパニックに陥りかけていた亞莎だったが、落ち着くにつれて彼女の姿
は静かに爪を噛んで黙考する形に変わっていた。
 考えを巡らし、思索が一段落した亞莎ははたと気がついた。
 自分をじっと見ている目があった。
 無論、視線の主は蓮華である。

「亞莎、策を」
 短くそう切ったその言葉。
 彼女は王の威風を漂わせながら、固い表情で亞莎に問いかけていた。
 その唇は硬く引き絞られている。奥歯を強く噛みしめているのが、亞莎にも知れた。
73名無しさん@初回限定:2009/10/21(水) 22:14:28 ID:WqdzsP+o0
支援
74美羽と七乃スピンオフ「遼来来1」(16/24):2009/10/21(水) 22:16:36 ID:b6a85zy/0
 そんな主人の姿を見て、亞莎は己の不明を恥じた。
 王が怒りを、動揺を押し殺している。だというのに、そんなときに軍師たる自分が平静を失
い、あまつさえ、そののちに沈思に耽るとはなんたるさまか。
 亞莎の顔が真っ赤に染まる。内心では恥ずかしさのあまり、逃げ出してしまいたかった。
 だが、亞莎にはまずなにを置いてもやらねばならないことがあった。

「……その前に確認させてください」
 言って亞莎は再び兵士に向き直った。
「敵の数は如何ほどですか?」
「はっ。正確な数はわかっていませんが、数百から、数千とも……」
 その報告を亞莎はしばし検討する。
 こちらの裏をかいた迅速な奇襲。おそらく実際の数はそう多くないはずだ。多くて精々二千
といったところ。
 それでもその数は事前に掴んでいる城の戦力として、かなりの割合になる。
 ならば城に残っている戦力はどれだけか。

 頭の中で冷静に算盤を弾き、彼女はすぐさま判断を下した。
「呂蒙隊、賀斉隊は本陣を守るように展開し、奇襲部隊を迎撃。その間蒋、欽隊は予定通り敵
城の攻撃を行ってください。また、追撃を行っている周泰隊、甘寧隊にも連絡を。敵の目的は
我が方の混乱を招くことです。各人には落ち着いてことに当たるように伝えてください」
 亞莎の口から流れるように、流暢な言葉がついて出た。
 敵の計略は実に単純かつ大胆だ。だがそれだけに、全容さえ掴んでしまえば脆い。
(大丈夫、いけます!)
 あえて当初の大方針は変えない。
 亞莎の指示した作戦は、数の上での圧倒的有利を生かした強引な力押し、至極真っ当なもの
であった。
75名無しさん@初回限定:2009/10/21(水) 22:17:01 ID:KnCV1RCZ0
支援
76名無しさん@初回限定:2009/10/21(水) 22:17:09 ID:WqdzsP+o0
支援
77美羽と七乃スピンオフ「遼来来1」(17/24):2009/10/21(水) 22:19:56 ID:b6a85zy/0
 伝令は亞莎が言ったことに蓮華が頷いたのを確認すると、新たなる役目を果たすべく立ち上
がり、その場を辞した。
 そうして天幕を去っていく伝令の背を見て、亞莎は面持ちは崩さぬままに緊張を緩和させた。
 一方亞莎の物言いを目にした群臣たちは、ほうっとその相貌を崩すことになった。
 未だに軍内からは『阿蒙ちゃん』など侮られることの多い彼女であったが、いま見せた背筋
を凛と伸ばした堂々たる立ち居振る舞いは、認識を改めねばならないとそう思わせるに十分な
ものであったからだ。
 彼らはこのとき、亞莎のことを呉の次代を担う才であると、はっきりと認めたのである。

 他方、亞莎や群臣たちが緊張を解いたのとは対照的に、厳しい面持ちを変えてはいない者が
いた。
 蓮華である。

 亞莎が指示した作戦は、戦力差を十分に活かした実に常道に乗っ取ったものである。
 なにも間違ってはいないし、問題もないだろう。だというのに、蓮華は現状に捨て置けない
しこりのようなものを感じていた。
 このままではいけない、なぜかそんなことを思うのだ。

「――亞莎」
「? どうかなさいましたか蓮華さま」
 蓮華の呼びかけに、亞莎は無防備な表情を晒す。
 他に異常がないか、もう一度調べた方が良い。
 そんなことを言おうとした矢先であった。
 蓮華の肌が、突然粟立った。
 そしてそれは目の前の亞莎も同じだったのか、彼女もまたなにかに戸惑った顔をしている。
78名無しさん@初回限定:2009/10/21(水) 22:20:04 ID:ZHy/Sevx0
支援
79名無しさん@初回限定:2009/10/21(水) 22:20:51 ID:WqdzsP+o0
支援
80美羽と七乃スピンオフ「遼来来1」(18/24):2009/10/21(水) 22:23:19 ID:b6a85zy/0
「!?」
 驚きも露わに蓮華が立ち上がるのと同時、彼女は突如として天幕が真っ二つに裂けたのを目
撃した。

 そして裂けた空からなにかが落ちてきた、そう感じた次の瞬間、世界を叩きつぶすかのよう
な轟音が響いた。
 広がった衝撃が周囲をなぎ倒し、砂埃が竜巻のように吹き上がる。
 巻き込まれた兵士が、何人も宙を舞う。

 しっかりと見ていられたのはそこまでだった。
 砂嵐が二人をも巻き込み、目を開けていられないほどになってしまったからである。
 それでも鋭敏な感覚を衰えた視力の代わりにしている亞莎には、猛威の中心になにかがいる
のがわかった。
「い、一体なにが……」
 感覚を研ぎ澄まし、その正体を探る。
 すぐにその正体は知れた、それは馬に騎乗した何者かであった。

 それが何者であるかを確かめる前に、亞莎は更なる異変に気がついた。
 捉えたのは聴覚。
 亞莎の耳は、大気の震えを感じ取っていた。

「蓮華さま! お逃げください!」
 誰かが、事態の把握すらできていないまでも、そう本能的に叫んだ。
 だが、すべては遅きに失していた。

81名無しさん@初回限定:2009/10/21(水) 22:23:56 ID:WqdzsP+o0
支援
82名無しさん@初回限定:2009/10/21(水) 22:24:16 ID:KnCV1RCZ0
支援
83名無しさん@初回限定:2009/10/21(水) 22:25:33 ID:waBQWGLO0
紫苑
84美羽と七乃スピンオフ「遼来来1」(19/24):2009/10/21(水) 22:25:50 ID:b6a85zy/0
 砂嵐が収まったあと、最初に降り注いだのは真っ赤な雨だった。
 生暖かい雨。
 ――それが血だと気づいたころ、今度は別のものが降り注ぎ始めた。
「……っ!」
 亞莎が悲鳴を殺して息を飲む。次に降ってきたのは、腕、耳、腸、大小様々な人間の部品。
 それら中には、よく知る鎧の色が混じっている。
 しかしそれが、味方の、呉の兵たちのなれの果てだと至るには亞莎は若すぎた。
 今度こそ頭が真っ白になる。
 けれども、真の恐怖はその後に来た。

『雄雄雄雄々々々々々々々々々々々々々々々々々々々々!!』

 その声に、比喩でなしに大地が揺れる。

 蓮華たちの前に立ちはだかったなにかが、生きとし生けるものすべてを震え上がらせる咆吼
を発した。
 そして手にした長物を、恐るべき速さで振るって血糊を散らす。
 するとその埒外な圧力を受け、周囲に残っていた人間が赤い霧となって四散する。
 そんな光景に遅れるようにして、これまで耳にしたことがないほどの断末魔の大合唱が、蓮
華たちの耳朶を打った。

 このようにして現れた者に亞莎は、しかしてそれを語る口を持たなかった。

――何という
85名無しさん@初回限定:2009/10/21(水) 22:27:09 ID:WqdzsP+o0
支援
86美羽と七乃スピンオフ「遼来来1」(20/24):2009/10/21(水) 22:28:16 ID:b6a85zy/0
 凄惨にして残虐。
 その渦中から姿を見せたのは、馬に跨った一人の女だった。
 馬も人も、その身はこれ以上ないというほど、血で染められている。
 髪も、顔も、すべてがべっとりと汚れ、幾重も赤と黒が重ねられた服は、ぴったりと体に張
り付いている。
 手には、蛮行の象徴たる凶器が握られている。

 その姿を見て思う。

何という、強さ

 率直な、亞莎の感想である。

 呂子明という者は元来武人である。
 戦いの渦中で軍師としての才を見い出され、軍師として仕えているが、その本質には常に武
がある。
 彼女を語るにはまず彼女の武を語らねばならない。それほどまでに呂蒙と武は分かち難い。
 そのように彼女だからこそ、現れた者の姿を一目見て、全身が総毛立つのを止められなかっ
た。

常軌を逸している

 その姿を見ればわかる。この者は数万からなる敵勢を、中央から突っ切って、ここに到達し
たのだ。
 想像もつかぬほどの屍の山を築いて、自分たちの前に現れたのだ。
 それはもう明らかに、人の領域では為し得ない強さだった。
 その力は、亞莎の知るあらゆる強さを超えていた。
87名無しさん@初回限定:2009/10/21(水) 22:30:07 ID:WqdzsP+o0
支援
88名無しさん@初回限定:2009/10/21(水) 22:30:37 ID:wUwlGynw0
張来来
89美羽と七乃スピンオフ「遼来来1」(21/24):2009/10/21(水) 22:31:13 ID:b6a85zy/0
 気がつけば、大気を振るわせる喧噪が、最高潮に達している。
 徐々に大きくなり、ついにはっきりと聞こえてきたそれは……。

『  来! 』

『  来 来! 』

『  遼来来! 』

『  遼遼来!! 』

『  遼 来 来 !!! 』

『  ――張!  』

『     ――来!  』

『        ――来!  』

『       遼 !     』

『       来 ! !     』

『       来 ! ! !     』

 恐慌に陥ったものたちが上げている、天を裂かんばかりの怒号と悲鳴だった。
 恐怖の伝播よりなお速く、張遼はここに辿り着いたのだ。
90名無しさん@初回限定:2009/10/21(水) 22:31:59 ID:KnCV1RCZ0
支援
91名無しさん@初回限定:2009/10/21(水) 22:32:04 ID:WqdzsP+o0
支援
92美羽と七乃スピンオフ「遼来来1」(22/24):2009/10/21(水) 22:34:19 ID:b6a85zy/0
これが天下に聞こえし『神速』、これが『張遼』

 瞳に映ったその姿が、亞莎の心臓を鷲掴みした。
 汗が噴き出てくる、動悸が速まる、呼吸が浅く速くなり、ともすれば忘れてしまいそうにな
る。
 目を逸らしたいのに、逸らせない。釘付けになった視線が離せない。
 全身の毛という毛は逆立ち、体ばかりが熱くなる。
 だというのにその一方で、その内面は凍り付くようにどんどん冷えていく。

 そこに至りようやっと、亞莎は自分が感じているのが恐怖≠セと気がついた。

あれは人か?

 亞莎は単純な疑問を浮かべた。
 本当に人なのか、人ではないなにかでないか。
 あるいはそうならば、このまま過ぎ去って欲しいと、天災じみたそれに願った。

 だが、それはゆっくりとこちらを見た。
 恐ろしささえ越えた存在が、

 こちらをミた。

 そして、その貌を奇妙に歪めた。
 あとから思い出しても、そのときに張遼がどんな顔をしていたのかを亞莎は思い出せなかっ
た。
 ただ口にした言葉だけが、耳元でささやかれたようにはっきりと聞き取れた。

93名無しさん@初回限定:2009/10/21(水) 22:35:38 ID:WqdzsP+o0
支援
94名無しさん@初回限定:2009/10/21(水) 22:36:54 ID:ZZbKhS0nO
支援
95名無しさん@初回限定:2009/10/21(水) 22:37:05 ID:KnCV1RCZ0
支援
96美羽と七乃スピンオフ「遼来来1」(23/24):2009/10/21(水) 22:37:08 ID:b6a85zy/0
  『ミィツケタ』

 途端、亞莎にかかっていた呪縛が解かれた。
 恐怖心がぐるりと反転して、それがそのまま行動に繋がる。
 体を前に出そうとする。
 呉の将として、なにを犠牲にしてでも、蓮華だけはお守りしなくてはならないと、軍師とし
て臆した心より先に、武人としての体が動いていた。
「総員! 孫権さまを守れ!」

 そして即座に動いたのは亞莎だけではない。
 周囲にいた屈強な男たちもまた、雄叫びと共に張遼へと殺到しようとしていた。
 彼らこそは雪蓮、そして蓮華を守ることを何より身上とする者たち。
 近直で王を守るという名誉に浴することを許された真の精鋭、孫家親衛隊である。

『おおおおおおおおっ!』
 天地が轟く。雄々しき叫びがこだまする。
 呉軍の中でも最も選りすぐられた猛者たちが、我先にと飛びかかった。
 その数三十。これだけの剛の者が一斉に襲いかかれば、どれほどの猛将であっても無事では
済むまい。
 そう思わせるに十分な、気迫と勢いを彼らは纏わせていた。

 だが、彼らは前に現れた存在は、既にそんな次元で語られるものではなかった。

 亞莎が感じたのはごうっという音、続いて旋風の唸り。
 視線の先では、赤い突風としか形容できないものが、男たちをまとめて貫いていた。
 次の瞬間、断ち切られ、八つ裂かれ、刻まれて爆散し、周囲に真っ赤な霧のみを生きた痕跡
として消え去る近衛兵たち。
 その動きを、亞莎は断片たりとも見抜くことができなかった。
97名無しさん@初回限定:2009/10/21(水) 22:38:57 ID:KnCV1RCZ0
支援
98名無しさん@初回限定:2009/10/21(水) 22:40:18 ID:WqdzsP+o0
支援
99美羽と七乃スピンオフ「遼来来1」(24/24):2009/10/21(水) 22:40:34 ID:b6a85zy/0
「その赤い髪……あんたが孫策やな」
 なんでもないことを訪ねるように、女が聞いた。
 そして答えも聞かずに、散歩でもするかのような気安い足取りで馬を前に進め始める。
「別に恨みはあらへんが……」
 軽快な声とは裏腹に、血に汚れた顔は、仮面のように無感情。
 けれどもそれは、嗤っているようにも、泣いているようにも、怒っているようにも、苦しん
でいるようにも見える、不思議な貌をしていた。

「とりあえず」
 地の底から響くようなその声が、
「――死ね」
 宣告するさまは、まさしく地獄の獄卒のそれであった。

 蓮華を標的に定め、張遼は必殺の間合いに飛び込むために、馬の腹を蹴った。
 すると名馬黒捷が嘶きとともに前足を踏みしめ、恐るべき瞬足を発揮する。
 遮る暇もない。
 刹那ののち、蓮華の視界一杯に、凶器を振りかぶった赤い影が映っていた。

 誰もが動こうとする。
 けれども、その誰よりも張遼は速く。
 飛龍偃月刀が、神速をもって蓮華の首を刈り取るべく音をたてて走った。
100名無しさん@初回限定:2009/10/21(水) 22:41:32 ID:hw9D9R/+0
ここで、ここで終わりなのか
101名無しさん@初回限定:2009/10/21(水) 22:42:55 ID:WqdzsP+o0
しえ…鬼引きだなあw
102名無しさん@初回限定:2009/10/21(水) 22:43:58 ID:wUwlGynw0
>>12で、今日から五日間連続でくると言ってるし、明日までの辛抱だな。
103メーテル ◆999HUU8SEE :2009/10/21(水) 22:44:28 ID:b6a85zy/0
わたしの名はメーテル……投下終了を告げる女。
というわけで、今回は一刀が活躍する舞台裏のお話よ。

次回は明日の午後9時30分から、似たような文量よ、鉄郎。
104名無しさん@初回限定:2009/10/21(水) 22:45:42 ID:wUwlGynw0
おつかーれ。
この分量が五つかw
楽しみだ。
105名無しさん@初回限定:2009/10/21(水) 22:45:59 ID:DlBkZcQe0
今日はココまでっすか?

「霞すげぇぇぇ…。」の一言ッス。

お疲れ様でした。
106名無しさん@初回限定:2009/10/21(水) 22:46:11 ID:KnCV1RCZ0

霞怖ええ……
107名無しさん@初回限定:2009/10/21(水) 22:47:57 ID:ZHy/Sevx0
これはトラウマになるレベル
108名無しさん@初回限定:2009/10/21(水) 22:49:35 ID:WqdzsP+o0
>>103
メーテル氏乙です
霞がマジもんの鬼状態ですな
次回の一刀サイドの話も楽しみだ

>>74の蒋、欽隊は蒋欽隊ですかね
109名無しさん@初回限定:2009/10/21(水) 22:51:00 ID:wUwlGynw0
>>107
七夕の時、蓮華が霞の名前だけでガクブルしてたくらいだからなw
110名無しさん@初回限定:2009/10/21(水) 22:52:13 ID:FBfHy36e0
乙〜

やべ思わず服脱いじまったよ
111名無しさん@初回限定:2009/10/21(水) 23:06:15 ID:wg6o03RdO
乙ですよ〜

恋する乙女は無敵!って感じ。
112名無しさん@初回限定:2009/10/21(水) 23:10:05 ID:Yh3VvfyL0
無敵すぎるかなーなんてちょっと思ったけど

霞が張遼ってこと思い出したらそんなことなかった
113メーテル ◆999HUU8SEE :2009/10/21(水) 23:17:53 ID:b6a85zy/0
>>108
わたしの名はメーテル……うかつな女。
その通りね、そこの部分は正しくは「その間、蒋欽隊は予定通り敵〜」よ、>>108の鉄郎……
114名無しさん@初回限定:2009/10/21(水) 23:34:44 ID:ZHy/Sevx0
史実でも無双だったしな
115名無しさん@初回限定:2009/10/22(木) 02:03:04 ID:AvotgMt+0
遼来遼来
このイベントを恋姫で、しかもメーテル氏に執筆していただけるとは、
感無量です!
116名無しさん@初回限定:2009/10/22(木) 02:46:59 ID:y2e120mT0
>>40
「美羽と七乃」だな

にしてもちんこさん
やっと出たと思ったら喋ってるの3レスかよw
117名無しさん@初回限定:2009/10/22(木) 05:46:54 ID:vBmDkf8J0
まさかの黒捷たん登場wお水が怖いのよね
118名無しさん@初回限定:2009/10/22(木) 07:02:27 ID:AzysJQAk0
霞こええけど、こんな強かったっけ?
と思ったけど蜀√でも恋と互角にやり合ってたんだった
ていうか、張遼だもんな
119名無しさん@初回限定:2009/10/22(木) 09:04:09 ID:SQ7TvQA40
メーテル氏乙です。
>『ミィツケタ』
これは確実にトラウマになるレベル。

あと、12レス目、
>「孫堅さま、わたくしに献案が!」
これは孫権でしょうか?
120名無しさん@初回限定:2009/10/22(木) 10:36:36 ID:oQ6BoV6e0
最近はロダに上げられるのが主流だから、スレに投下されたのみて懐かしくなった
121名無しさん@初回限定:2009/10/22(木) 12:13:46 ID:YjKYnTA3O
史実での『800人の張遼軍が10万の孫権軍を撃破した』という嘘臭い話がすんなり納得出来たなぁ。
122名無しさん@初回限定:2009/10/22(木) 12:18:49 ID:6HIcgyv50
遼来来やられちゃったよー、と思っているSS作者はきっといるw
123名無しさん@初回限定:2009/10/22(木) 12:58:23 ID:noyKmrd10
まあそれは先に書いちゃったもの勝ちって部分があるからなw
魏ルートでとか切り口変えてやりようはあるんだろうけど。
124名無しさん@初回限定:2009/10/22(木) 13:01:53 ID:56+CW8Rq0
流石数少ない演義よりも史実のほうが派手な活躍した武将w
125名無しさん@初回限定:2009/10/22(木) 13:05:26 ID:AvotgMt+0
>>117
黒捷「血は平気ッスよ!」

自分もチラッと思ったんだけど
メーテル氏は某蒼天を参考にしたんだろうか
126名無しさん@初回限定:2009/10/22(木) 13:16:41 ID:GwDqQP6rO
俺は黒捷たん登場と陳武真っ二つでそう思った
127名無しさん@初回限定:2009/10/22(木) 13:24:00 ID:AvotgMt+0
もしそうなら、呉追撃とかむっちゃ楽しみだ
全裸待機どころか、全裸で4日間行動できる
128名無しさん@初回限定:2009/10/22(木) 13:26:23 ID:wRmu6Qeo0
メーテルは何気ない所にネタが隠れてるから気が抜けないw
129名無しさん@初回限定:2009/10/22(木) 13:50:07 ID:WMypk/hQ0
上着から袴からサラシまでも真っ赤に染まってるんだろうなぁ
130名無しさん@初回限定:2009/10/22(木) 14:00:45 ID:wRmu6Qeo0
下までぐっしょり……ゴクリ
131名無しさん@初回限定:2009/10/22(木) 14:22:18 ID:mXICK8Zn0
>>111
乙女?一刀さんが食ってないはずはないw

恋姫†無双その名のとおりの奮闘振りを納得できる感じなのがいいな
まあ上位クラスの武将がマジギレして一閃として突っ込んできたら抑えきれないよなw
しかも呉の武TOP陣:雪蓮・思春・明命・祭が全員いないならなおさら
132名無しさん@初回限定:2009/10/22(木) 14:45:58 ID:vBmDkf8J0
霞はテンションで強さが大きく変化するような印象はあるな
平常時は春蘭や雪蓮と同じかそれ以下だろうが
MAXなら愛紗以上、優れた愛馬に乗ってたらさらに倍でドンだw
133名無しさん@初回限定:2009/10/22(木) 14:47:38 ID:6HIcgyv50
霞は配下も強い印象があるな。
他は部隊より将だけな気がするんだがw
134名無しさん@初回限定:2009/10/22(木) 14:55:14 ID:dQswG6Tz0
霞を甘く見た呉陣営のミスか
135名無しさん@初回限定:2009/10/22(木) 15:07:14 ID:mXICK8Zn0
まあ恋心補正なんて一刀に出会ってない亞莎には思い浮かばないわな
あと、TOPが嫌ってるはずの袁術だから忠義に値する人物と評価しないだろうから
こんな鬼神になって攻めてくるとは思わないだろうし
136名無しさん@初回限定:2009/10/22(木) 15:16:24 ID:d4g4xTbh0
三国屈指の名将の一人として警戒はしていたんだろうけど、まさかあんな化け物状態になってるとは思わんわなw
霞達が少数って事で勝利を確信して、その後の対魏戦に気を取られてて油断があったのもあるだろうけど。
137名無しさん@初回限定:2009/10/22(木) 15:33:43 ID:AvotgMt+0
>>128
ただ、ネタ元と思われる某蒼天では李典と楽進の見せ場でもあったので
それだけが残念
138名無しさん@初回限定:2009/10/22(木) 15:36:32 ID:6HIcgyv50
いや、まあ、蒼天持ち出すまでもなく、史実でも楽進たちの見せ場だけどな。
139名無しさん@初回限定:2009/10/22(木) 15:42:56 ID:AvotgMt+0
史実の方では呉軍襲来に慌てふためいた印象が強いかな
張遼に落ち着かされてからは協力して当たったけど
140名無しさん@初回限定:2009/10/22(木) 21:23:26 ID:A71Zw0Ya0
>>132
ガン泣き鈴々には勝てない
141メーテル ◆999HUU8SEE :2009/10/22(木) 21:24:33 ID:3R0sVMvC0
わたしの名はメーテル……投下予告をする女。
今日は10分遅れての40分から投下を開始するわ。

>>119
指摘の通り、孫権の間違いよ、鉄郎……
142名無しさん@初回限定:2009/10/22(木) 21:26:52 ID:LpLxe7fk0
>>140
最強の鈴々は橋の前だろ

後、ご主人様が危険に晒された時の愛紗も強いな
143美羽と七乃スピンオフ「遼来来2」(1/22):2009/10/22(木) 21:42:28 ID:3R0sVMvC0
 眼前に迫った張遼の姿を、蓮華はどこか希薄な現実感の中で眺めていた。

 死の運び手を前に、不思議な静けさすら感じるのだ。
 いろいろなことが突然に起こりすぎて、理解が追いついていない……というわけではない。
 むしろ来るべきものが来た、そんな必然と調和すら感じる。
 いま、蓮華の心は奇妙にやすらいでいた。
 そんな彼女の胸に去来するのは天命≠ニいう二文字。
 ここに蓮華は、己が天運が尽きたことを悟っていた。

 思い返せば無念は多いが、それでも蓮華には許された時間を精一杯生きたと誇れる満足があ
った。
 夢半ばに果てるのが天運ならば、受け入れる他ない。
 気がかりは優秀な姉と、まだ若い妹がなんとかしてくれるだろう。
 彼女たちに任せれば呉は安泰だ。

 そのような考えに身を委ね、ありのままの現実を受け入れて、蓮華は自分の首目掛けて迷い
なく迫ってくる白刃を眺めながら、静かに目をつむった。


 蓮華が目を閉じると、何もかもが闇に落ちた。
 視界が閉ざされると同時、不思議なことに音も消えた。
 肌をくすぐっていた朝風の流れも、感じなくなった。

 ああ、既に自分は死んでしまったのか。
 きっと痛みを感じる瞬間すらなく、自分は死の世界へ旅立ったのだろう。
 存外死ぬというのも、どうということもないのだな。
 と、そんなことを思いながら蓮華は閉じていた目を開いた。
144名無しさん@初回限定:2009/10/22(木) 21:45:54 ID:6HIcgyv50
お、はじまた。
145美羽と七乃スピンオフ「遼来来2」(2/22):2009/10/22(木) 21:46:17 ID:3R0sVMvC0
 するとそこに広がっていたのは、地獄だった。

 まず飛び込んできたのは不吉なまでに赤い世界。
 黒い縁に彩られた赤い太陽、赤い空に、真っ赤な大地。
 思いがけぬ光景に蓮華が一歩後ずさると、足元でぐにゃりとした感触のものを踏みつけた。
 何事かと思って下を見る。
「ひ…っ」
 このとき、蓮華ははじめて悲鳴を漏らした。
 赤く染まっていたのは地面ではなかった。
 その正体は、びっちりと敷き詰められた人間の死体であった。
 斬死体、圧死体、轢死体、燃死体、潰死体……。
 さながら死の展覧。地平の果てまで続く、死体の絨毯。
 それが赤い大地の正体だった。

 しかも、蓮華はその死体たちに見覚えがあった。
 あれは馬番の者、あれは配膳の者、あれは親衛隊長、あれは今朝方すれ違った者……。
 虚ろな目で蓮華を見上げている骸たち、それらすべてが呉の兵士たちのなれの果てであった。
 よく見れば、その中には五体をバラバラにされた明命や思春、亞莎といった、蓮華に親しい
者たちの姿まである。

 あまりに酷たらしい光景に、蓮華は口元を押さえて息を飲んで愕然とする。
 すると、こんな死体しかないはずのこの地獄の中で、彼女に声がかけられた。

『安心し、すぐにあんたも仲間入りや』
146名無しさん@初回限定:2009/10/22(木) 21:47:32 ID:yVLEYBca0
支援
147名無しさん@初回限定:2009/10/22(木) 21:48:39 ID:yEbcTzIO0
支援
148美羽と七乃スピンオフ「遼来来2」(3/22):2009/10/22(木) 21:51:33 ID:3R0sVMvC0
 感情の起伏が乏しく、恐ろしく乾いた平坦な声。
 蓮華が勢いよく振り向くと、そこにはいつのまにか赤い太陽を遮る影があった。
 逆光の中で飛龍偃月刀を振り上げる、血まみれの鬼。
 ――張遼だった。

 張遼が槍を振りかぶる。
 先ほどの焼き直し、このままならまた蓮華を避け難い一撃が襲うだろう。
 だが、それを受け止める彼女の趣は、まるで違った。

 必死の様相で奥歯を噛みしめる。
 先ほどのように、穏やかでなどいられない。
 これだけの責任を突きつけられて、震えずにはいられない。
「こんなのは……」
 自分の双肩にかかっている重さを突きつけられて、奮わずにはいられない。
 精一杯生きた?
 嘘だ。自分にはまだやらなくちゃいけないことが沢山ある。
 あとは姉と妹に任せる?
 孫仲謀という人間は、そんなに諦めの良い人間ではない。

「こんなのは嘘だ!」
 蓮華が叫び、無慈悲な飛龍偃月刀が振り抜かれる。
 凶刃が奔るその直前、惑いを振り払った蓮華は、左足を思い切り前へと踏み出した。
149名無しさん@初回限定:2009/10/22(木) 21:53:24 ID:5FoJAmkk0
支援です。
150名無しさん@初回限定:2009/10/22(木) 21:53:27 ID:lwf8V6AD0
支援
151美羽と七乃スピンオフ「遼来来2」(4/22):2009/10/22(木) 21:54:08 ID:3R0sVMvC0
 そして力一杯、奥歯を噛む。
(例え天命だとしても――)
 力を込めて、強く強く強く。
 割れてしまうのではないかというほど強く噛みしめる。
(――あんな光景を私は認めない!)
 ごく自然に、死を受け入れたはずの体が動いていた。

 蓮華の強固な意志が、霞を突き動かす天意≠ニは別の天意≠引き寄せた瞬間であった。

◇◇◇

 バサリという音を立て、斬り捨てられたものが、宙を舞って地に落ちた。
 その結果に霞の目がわずかに見開かれる。
 霞にとって予想外だったのは、それはいま眼前で起こったこと。
 蓮華は身を屈めて、咄嗟のところで断頭の一撃を避けていた。
 先ほど斬られて落ちたのは、蓮華の首ではなく、遅れた彼女の後ろ髪である。

「孫権さまをお守りしろ――!!」

 間髪入れずに誰かが叫んだ。
 その声を契機に、蓮華の危機を救うべく、再び呉の勇士たちが束になって霞に群がり始める。
 しかも、その数は先ほどの比ではない。
 『軍』の様相を呈した兵士たちの群が、その戦力を霞個人に叩き付けようとうねる。
 だが、そこに、
「張遼将軍に続け――!!」
 今度は遅参した奇襲部隊八百が、怒濤の勢いで乱入した。
 二つの波がぶつかるようにして両軍が激突し、混乱が巻き起こる。
 すると先ほどまで安穏としていたはずの場所が、一瞬で戦争の狂気が支配する乱戦場と早変
わりした。
152名無しさん@初回限定:2009/10/22(木) 21:57:02 ID:U4y6lJTh0
紫燕
153名無しさん@初回限定:2009/10/22(木) 21:57:41 ID:Uh07aTGa0
支援
154名無しさん@初回限定:2009/10/22(木) 21:57:44 ID:yEbcTzIO0
支援
155美羽と七乃スピンオフ「遼来来2」(5/22):2009/10/22(木) 21:58:12 ID:3R0sVMvC0
「蓮華さま! 早くこちらへ!」
 亞莎は蓮華の腕を素早く掴むと、彼女の体を引きずるようにして後退しようとした。
 既に周囲は張遼旗下の騎馬隊と、付近に待機していた本隊の兵士が入り乱れた混迷の極みに
陥っている。
 この混乱に紛れてしまえば、再び探し出すのは容易ではない。
 そう考えてのことであり、対する霞も重々そのことを承知していた。
「逃がさへん――――っ!!」
 霞は手近にあったもの、斬りかかろうとしていた呉兵の首を左手一本で握りつぶしながら持
ち上げると、その体を勢いよく蓮華たちがいる方に向かって投擲する。
 だがそれは、狙いがそれて彼女たちの近くに着弾。その場にいた何名かの兵士を巻き込んで
赤い花を咲かすに留まった。
「もう一度っ!」
 コツは掴んだ、次は外さない。
「ひっ!? ぎゃっ!」
 霞は別の手近な兵士を投射物に定めると、中指と薬指でその兵士の両の眼窩を抉って、軽々
持ち上げた。
 頭蓋を砕きながら、再び振りかぶって投擲体勢に入る。
 しかし、そうして執拗に追撃しようとする霞の腕を、幾人もの兵士たちが掴んでいた。

「孫権さま!」
「孫権さまをお守りするんだ!」
「孫権さまには指一本触れさせん!」
156美羽と七乃スピンオフ「遼来来2」(6/22):2009/10/22(木) 22:01:46 ID:3R0sVMvC0
 一塊、叫びながら団子のようになってしがみついてくる兵たち。
「ちぃっ!」
 霞はそれに構わず、掴んだ兵士を投げつける。
 けれども、彼らの執念のたまものか、霞の投擲は第二投も逸れて、蓮華たちには当たらなか
った。
「っ、邪魔くさい!」

 手元を狂わされた霞は、感情を爆発させて、素手で、飛龍偃月刀で、周囲の兵をなぎ倒して
引きはがそうとする。
 だが、それすらさせじと、兵たちはますます群がっていく。

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
 人波に呑まれ、見えなくなっていく張遼。
 蓮華がそのとき最後に見たのは、天に吠える鬼の姿だった。

「今すぐこの場を離れます! 私に付いてきてください」
「しかし……」
「わかってます! でも、速く!」
 必死の形相で言う亞莎。彼女が言いたいことくらい蓮華にもわかる。
 敵が迫るいまは、なにを置いてもまず逃げなくてはならないときなのだ。
 だが、だからといって自分を助けるために命を投げ出した者たちを簡単に切り捨てられるほ
ど蓮華は非情ではなかった。

 と、そのとき、蓮華は斬られた後ろ髪がパチパチと爆ぜる錯覚を覚えた。
 不意に、首だけで後ろを振り返る。
 そしてその瞬間、蓮華はこれまでみたことがない現象を目撃した。
 雲一つない蒼天がまばゆい光を発したのだ。
 同時、耳をつんざく雷鳴。
157美羽と七乃スピンオフ「遼来来2」(7/22):2009/10/22(木) 22:04:21 ID:3R0sVMvC0
 落雷である。
 空は雲一つない青空が広がっているというのに、雷である。
 不可解なそれが至近に落ちたのだと理解するのに、蓮華は半秒ほどの時間を要した。
 蒼天に雷。蓮華はその因果に、人の力では及ばぬ畏怖すべきものの存在を感じた。
 そう、まるでそれは、龍のような……。
 そこまで考えたとき、蓮華の中で先ほど張遼と対峙したときに見た白昼夢がフラッシュバッ
クした。

 鮮血の世界。
 ただ一人立つ張遼。無数の死体。
 仲間たちの無残な姿。

 結果的にはそれが、霧のようにかかった蓮華の迷いを振り払ってくれた。
 後悔はあとに残し、いまはただ走る一事である。
「行きましょう亞莎!」
 あのような未来は、なにを置いても避けねばならない。
 そのために、彼女は自分にできうる限りを尽くすつもりであった。
 二人は走る。

 ◇◇◇

「落石だ!」
 そう叫ぶ誰かの声が聞こえた。
 そして一瞬遅れて、ガラガラと音を立てて転がり落ちてきた巨石が、前方を塞ぐのが見えた。
 峡谷の矮路。迂回路はない。
 唯一の進むべき道が、閉ざされてしまった。
158名無しさん@初回限定:2009/10/22(木) 22:07:08 ID:5FoJAmkk0
支援です。
159美羽と七乃スピンオフ「遼来来2」(8/22):2009/10/22(木) 22:07:25 ID:3R0sVMvC0
「くそっ!」
 落石によって起こった砂埃を前にして、なんとか馬の足を止めた一刀が毒づく。
 敵の罠は周到だった。
 まるでこちらの動きを察知しているかのように、的確に仕掛けられた罠の数々。
 仕掛けた物の邪悪さがにじみ出ているようなそれは、見事に一刀率いる軍の動きを制限し、
翻弄した。
 そして彼らはついにいま、袋小路へと追い詰められたのだ。

 後方を振り返れば砂塵。
 迫ってくる敵軍のものである。

 思わず奥歯を鳴らしてしまう。
 一刀が引き連れてきた兵士の数は千五百。
 向かっている敵軍の数はわからないが、こちらより少ないということはないはずだ。
 下手をすれば、何倍もの大軍かもしれない。
 普通に考えて、正面からぶつかり合ったら万が一つの勝ち目もない。
 第一、こうして兵を引き連れてはいるものの、一刀自身は戦闘指揮の経験など皆無なのだ。
 だが、それでも……。
「全軍、戦闘準備だ!」
 生き残らなければならない想いは、一刀の中で煌々と燃えていた。

 汗の滲む手で腰に差した剣を掴むと、その硬さが、自分のいる場所が戦場であることを嫌が
応にも思い知らせてくれた。
 顔を引き締め、前を睨む。
 戦う覚悟を決めて、固唾を呑んで敵を見た。
 すると、こちらに向かって迫っていた呉軍の動きが、急に緩やかになったのがわかった。
 一刀がじっと見守る中、しばらくしてその動きが止まる。
160名無しさん@初回限定:2009/10/22(木) 22:10:22 ID:gBk3z0pA0
支援
161美羽と七乃スピンオフ「遼来来2」(9/22):2009/10/22(木) 22:10:44 ID:3R0sVMvC0
 動きを止めた呉軍。一刀の目には、その中から馬に乗った人間が二人が前に出てくるのが見
えた。
 女の子が二人だ。
 だが、一刀もこの世界に来て一日二日ではない。
 一見して可愛らしい女の子だったとしても、それが外見通りとは限らないことは、身にしみ
てわかっていた。
 一刀は軍を率いているのは、間違いなく彼女たちだろうと、そう思った。
 やがて、対面する両軍の間で馬を止めた二人は、名乗りを上げた。

「我が名は周幼平!」
「我が名は甘興覇! 袁軍の将に告げる。貴殿らは完全に追い詰められている、言い残すこと
があれば我らが聞こう!」

 朗々とした声が袋小路に響く。
 一刀の予想は的中した。
 周泰と甘寧。一刀が知る三国志の中では、二人とも赤壁の戦いでも活躍した呉軍の将だ。
 間違いなく彼女たちが、自分たちを追い詰めた軍の統率者だろう。

 そして、その彼女たちの登場に、一刀は一筋の光明を見た。
 軍を止めたということは、今すぐ戦いになるということはないに違いない。
 となれば、まだ話し合いの余地はある。
 どうにかして彼女たちを説得できれば、生き残る可能性はぐっと増すかもしれない。
162名無しさん@初回限定:2009/10/22(木) 22:10:51 ID:lqMpbX4oP BE:1695236257-2BP(1830)
支援
163美羽と七乃スピンオフ「遼来来2」(10/22):2009/10/22(木) 22:13:20 ID:3R0sVMvC0
 一縷の望みに賭け、甘寧たちがそうしたように、一刀も馬を進ませ前へ出た。
「俺の名前は北郷一刀。世間じゃ天の御使い≠ネんて呼ばれてる」
 大声を出さずとも、互いの声が聞こえる距離で一刀はそう言った。
 その距離まで近づくと、周泰と甘寧、二人の姿もはっきりと目にすることができた。
 二人とも、肌の色は江南の民の特徴として聞かされていた、やや濃い色をしている。
 片方は鋭い目つきの女性で、髪の毛を頭の後ろでお団子にしているのが特徴的である。
 もう一人は背中に長い刀のような武器を背負った忍者?のような格好をした長い黒髪が美し
い少女だった。
 共に、思わず見とれてしまうほどの美少女である。

 一刀の名乗りを聞いて、二人はすぐに目配せをする。
 そして体を強ばらせて息を飲む一刀に、目つきの鋭い方の娘が言った。
「ちっ、やはりか。おい、明命。どうやらおまえの危惧していたとおりのようだ」
「そのようですね。ここに張遼がいないとなれば……本隊を狙った奇襲が本命なのかもしれま
せん」

 ――しまった。
 会話を耳にした一刀の顔が青く染まる。
 二人の言葉を聞いて、己の迂闊さを悟ったのだ。
 彼女たちは敵に情けをかけるために呼びかけたのではなかった。
 自分たちが追いかけていた敵が、本当に張遼だったのかを確かめるための引っかけだったの
だ。
 そして一刀はまんまとそれに引っかかった。
 ならば、そんな間抜け相手に彼女たちがとる行動は一つだろう。
164名無しさん@初回限定:2009/10/22(木) 22:13:33 ID:5pyBFWu50
支援
165名無しさん@初回限定:2009/10/22(木) 22:14:55 ID:yVLEYBca0
支援
166名無しさん@初回限定:2009/10/22(木) 22:15:56 ID:cXYOaQb+0
支援
167名無しさん@初回限定:2009/10/22(木) 22:15:58 ID:gBk3z0pA0
支援
168名無しさん@初回限定:2009/10/22(木) 22:16:50 ID:5pyBFWu50
支援
169名無しさん@初回限定:2009/10/22(木) 22:17:10 ID:yEbcTzIO0
支援
170美羽と七乃スピンオフ「遼来来2」(11/22):2009/10/22(木) 22:17:40 ID:3R0sVMvC0
「ならば貴様に用はない。ここで死ね」
 目つきの鋭い方の娘、甘寧は幅広の曲刀を頭の後ろ手に構える独特のポーズでそう言って、
問答無用で躍りかかってきた。
 殺す気で襲ってくる相手に対して、説得もへったくれもない。

 一刀は慌てて剣を抜き、上段に構えようとするが、
「遅い!」
 迎撃体制が整う前に、甘寧は攻撃の間合いに入っていた。

 風を切って剣が振るわれる。
 万事休す、そう思ったそのときそのときであった。

 思いがけず、救いの主は現れた。
 黒い影が一刀の前に立ちはだかったのである。

 音もなく唐突に割っては入った何者かは、既に攻撃モーションに入っていた甘寧の腕を狙い、
信じられない速さの蹴りを繰り出した。
 ぱぁんという、足と手がぶつかり合う音が響く。

「ぐうっ!」
 予想外の闖入者の乱入に、甘寧は合わせられた手を庇いながら後退した。

 そうやって登場した者の姿を見て、一刀がうわずった声を上げる。
「お、おまえは……っ!」
「そう――」
 眼前に、甘寧を蹴り飛ばした姿勢のまま、微動だにせず片足でそびえ立つ巨身。
171名無しさん@初回限定:2009/10/22(木) 22:18:59 ID:lqMpbX4oP BE:484353825-2BP(1830)
しえんぬ
172名無しさん@初回限定:2009/10/22(木) 22:19:06 ID:dQswG6Tz0
しえん
173名無しさん@初回限定:2009/10/22(木) 22:19:21 ID:5FoJAmkk0
支援です。
174名無しさん@初回限定:2009/10/22(木) 22:20:00 ID:cXYOaQb+0
支援
175名無しさん@初回限定:2009/10/22(木) 22:20:15 ID:Uh07aTGa0
支援
176美羽と七乃スピンオフ「遼来来2」(12/22):2009/10/22(木) 22:21:00 ID:3R0sVMvC0
 ピンクのヒモパンビキニに、はちきれんばかりの特盛り筋肉。
 ワセリンでも塗っているかのようなテカテカのお肌。
 スキンヘッドの横、綺麗に結わえられたお下げが二つ。
 それを括るこれまたピンクのリボンがトレードマーク……そんなマッシヴ、アンド、プリテ
ィー!

「ぬふぅぅん! この世に舞い降りた天使! ご主人様のアイドル、貂蝉ちゃん登場よ〜ん!」

 マッスルポージングをきめる漢女道の継承者、貂蝉であった。

 そして更にもう一人。
「儂のことも忘れては困るぞ主殿よ! とわあああああ!」
 頭上から降ってきた声を聞いて上を向く。
 するとそこには、腕を組んだままで落下してくる、溢れんばかりの筋肉フンドシ髭燕尾スタ
イル。
 アクセントは屹立した髭と、力強い肉体がこれでもかと詰め込まれた純白のソックス+ロー
ファーの革靴。
 オリエント無敗のマスター漢女、卑弥呼が周泰の前に爆着した。

 あわや首はねの危機から脱した一刀は、なんとか助け出してくれた貂蝉に礼を言った。
「た、助かったよ……」
 流石にこんな場面での登場を予想していたわけでもなかったのだが、既に順応できる程度に
は、この不条理な存在とのつきあいができるようになってきた一刀である。
「いいのよん。愛するご主人様のためですもの。火の中水の中、戦場のど真ん中よぉん」
 そう言って貂蝉は、胸の前に手をやり交差する。古くさい言い方だと『だっちゅ〜の』のポ
ーズである。
 ついで明らかに重力とも柔らかさとも無関係な動きで、胸筋がぴくぴくと震えた。
 流石にその光景を目にし、助けてもらった身で申し訳ないと思いつつも、一刀は顔を引きつ
らせた。
177名無しさん@初回限定:2009/10/22(木) 22:21:27 ID:yEbcTzIO0
支援
178名無しさん@初回限定:2009/10/22(木) 22:22:42 ID:5pyBFWu50
支援
179名無しさん@初回限定:2009/10/22(木) 22:23:09 ID:Oi4t3I7g0
漢女来来!
180美羽と七乃スピンオフ「遼来来2」(13/22):2009/10/22(木) 22:25:11 ID:3R0sVMvC0
「立てるかしら?」
 そう言ってすっと差し出された手を、思わず条件反射的に手にとって一刀は立ち上がった。
「あ、ありがとう」
「どうってことないわよ、このくらい。それにしてもご主人様ったらぁ、単刀直入に聞くけど、
今回のこと、狙ってやったのかしらん?」
「狙ってやったって……え?」
「霞ちゃん、呉の大軍、八百の決死隊、絶体絶命の危機、それにこの場所。これら全て、ぜー
んぶ狙って揃えたのかということよ」
「えっと、話がいきなりすぎてわからないんだけど……?」

 貂蝉が人差し指を立てて話し始めようとしたところで、手を押さえていた甘寧が、怒りに身
を震わせながら眉間にしわを寄せ改めて体勢を低くした。
「おのれ……っ!」
 再び甘寧が構える。
 どこからか鈴の音が鳴る。先ほどのような無造作な構えではない、今度こそ本気だ。

 けれども、それを見た貂蝉ははぁと一つため息をつくだけだった。
「あららぁん。いまはわたしとご主人様が仲睦まじく愛の語らいをする時間なのよん」
「知るかそんなこと!」
「んもぅ、せっかちな女は損をするわよ」
「ぬかせっ!」
「う〜ん、困ったわねぇ。わたしはご主人様と大事な話をしなくちゃならないんだけど……卑
弥呼、卑弥呼ー!」
181名無しさん@初回限定:2009/10/22(木) 22:25:27 ID:AvotgMt+0
シ、シリアスが死…支援!
182名無しさん@初回限定:2009/10/22(木) 22:26:02 ID:yVLEYBca0
支援
183名無しさん@初回限定:2009/10/22(木) 22:26:40 ID:lqMpbX4oP BE:2179589459-2BP(1830)
存在感がすごいよなこの二人
184美羽と七乃スピンオフ「遼来来2」(14/22):2009/10/22(木) 22:28:32 ID:3R0sVMvC0
 その大声に、一刀も思わず貂蝉が声を投げつけた方を見た。
「なんじゃ! 儂はこう見えてもけっこう忙しいぞ!」
 少し離れた場所でそう答えた卑弥呼は、徒手対長刀の熾烈な戦いを繰り広げている真っ最中
であった。
「悪いんだけど、わたしがご主人様と話してる間、こっちの子の面倒も見て貰えないかしらー
?」
「なんじゃと!? さては貴様、主殿との甘〜い時間を独り占めするつもりじゃな!? 許さ
ん、許さんぞぉっ!?」
「や〜ねぇ。恋の戦いは正々堂々正面から、でしょう。抜け駆けなんてしないわよんっ。だか
ら今回だけはお願いよ。緊急事態だって、あなたもわかってるでしょう?」
「む、うむむっ! そうであったな。よし、あいわかった、今回だけじゃからな!」
「恩に着るわぁん」
 周泰と火花散る苛烈な戦いを繰り広げていた卑弥呼が、突然その場で強烈な踏み込みを行っ
た。
 するとまるでロケットが発射されるときのように、その巨体が足元の地面を爆発させて垂直
上昇。
「えぇっ!?」
 衝撃で突然目の前で巻き上がった土砂によって、周泰の視界が閉ざされる。
 その間卑弥呼は、無茶な筋力を活かした跳躍力で、重力を振り切って天高く跳び上がってい

 そして次の瞬間、どういうわけか卑弥呼は空中で進路を転換し、最初そうしたように、今度
は甘寧の前に『着弾』してみせた。
185名無しさん@初回限定:2009/10/22(木) 22:30:51 ID:xg82J7/30
卑弥呼の戦闘シーンがGガン風味で再生される支援
186名無しさん@初回限定:2009/10/22(木) 22:30:52 ID:5pyBFWu50
しえん
187美羽と七乃スピンオフ「遼来来2」(15/22):2009/10/22(木) 22:31:39 ID:3R0sVMvC0
「なっ!?」
 着弾の衝撃、甘寧の周囲にも土煙が舞う。
 あまりに突然の出来事に、甘寧の動きが止まる。
 そして驚きに上げた彼女の声に、野太い獣声が被さった。
「とおおおおおおおおおおお!!」
 視界を塞ぐ粉塵を切り裂いて、突き出された丸太のような太い腕。
 それは反応が遅れた甘寧の腹に滑り込み、気≠ェ込められた一撃を彼女に叩き付けた。
「ぐあっ!?」
 衝撃を受け、悲鳴を上げながら玩具のように衝撃に吹っ飛ばされる甘寧。
 そしてその体が、敵を見失ってきょろきょろしていた周泰のすぐ近くに転がった。
「し、思春殿!?」
 突如として跳んできた甘寧を見て、周泰が驚きの声を上げる。
 周泰が吹き飛ばされてきた方を見ると、そちらからはのしのしと巨体が歩いてくるところだ
った。

「ふしゅるるるる……。さあ来るがいい、尻の青い小娘どもめ。いましばらくの間、この卑弥
呼が相手をしてやろう」
 卑弥呼が仁王立ちに言い放つと、周泰と甘寧は、真剣な顔で頷き合って無言で武器を構えた。
 珍妙な格好とは裏腹に、その強さは本物。生半可な意気込みで戦って勝てる相手ではないと
踏んでのことである。
「くくくっ、お主たちには、わしが直々に正しいフンドシのしめ方というものを教えてやろう
!」

 少し離れた場所に、一昔前の特撮ヒーローものみたいな、冗談のような爆発が起きていた。
 呉の二人の意識が卑弥呼の方に向いたことを確認してから、貂蝉は改めて一刀に向き直った。
「ということで、これでしばらくは大丈夫そうね」
188名無しさん@初回限定:2009/10/22(木) 22:32:37 ID:I86TJHDk0
支援です。
189名無しさん@初回限定:2009/10/22(木) 22:32:53 ID:5FoJAmkk0
蓮華、色んな意味で貧乏くじ引いてるなぁw。

支援です。
190名無しさん@初回限定:2009/10/22(木) 22:33:49 ID:yVLEYBca0
支援
191名無しさん@初回限定:2009/10/22(木) 22:34:07 ID:lqMpbX4oP BE:871835292-2BP(1830)
しえんぬ
192美羽と七乃スピンオフ「遼来来2」(16/22):2009/10/22(木) 22:34:46 ID:3R0sVMvC0
「うーん、色々思うところはあるけど、いまはいいや……。それで、大事な話ってのは? さ
っき緊急事態がどうとか言ってたけど」
「一から話すと長くなるんだけど、ご主人様がやろうとしたことがちょっとばかり上手に行き
過ぎちゃって、まずいことになりかけてるのよ。そのことをわたしたちは伝えにきたの」
「?」
「わかりやすく言うとね、このままじゃ霞ちゃん、霞ちゃんじゃなくなっちゃうかもしれない
わよ」
「……は?」
 突然霞のことを持ち出されて、一刀の顔が呆けたものになった。

「で、ご主人様は、結局今回の状況を狙って作り出したのかしら? それとも偶然?」
正面から目を見据えられて聞かれたその質問に、一刀は内心でドキリとした。
「えっと、それは……ファクターを揃えてやれば、俺が知っている三国志の流れが再現される
かも知れないっていうことのこと?」
 京での玉璽を巡る騒動、官渡での一件、他にも細々としたいくつかの出来事。
 いま貂蝉がした質問。それは一刀がこの世界に来てから、何度か体験した、そういった不可
解な事柄から薄々感づいていたことを、肯定する問いかけであった。
「あはぁん。流石ご主人様、鋭いわね、ますます惚れ直しちゃう! っていうことは」
「……ああ。今回、ちょっと意識した」
「なぁるほど。分かるわん、今回みたいな苦しい局面を前にして、裏ワザに頼りたくなっちゃ
ったそのキ・モ・チ。でもね、それが今回は随分ととんでもないものを呼び覚ますことになっ
ちゃったのよ」
「貂蝉、さっきから回りくどく何のことを……だいたい霞が霞でなくなるって、一体どういう
ことなんだよ?」
 二人の会話がそこで途切れた。
 甘寧と周泰が、出鱈目理不尽の塊と戦っている音や声が聞こえてくるが、それを無視して一
刀はじっと言葉の続きを待った。
 貂蝉はそんな真剣な顔をした一刀の顔をしばらくみつめて、口元をほころばせると、再び説
明を始めた。
193名無しさん@初回限定:2009/10/22(木) 22:35:35 ID:yEbcTzIO0
なんという不敗無双。で支援
194名無しさん@初回限定:2009/10/22(木) 22:36:18 ID:lqMpbX4oP BE:387482742-2BP(1830)
しえん
195名無しさん@初回限定:2009/10/22(木) 22:37:34 ID:6HIcgyv50
ふんどしのしめかたw
196名無しさん@初回限定:2009/10/22(木) 22:37:57 ID:5pyBFWu50
しえん
197名無しさん@初回限定:2009/10/22(木) 22:39:32 ID:YjKYnTA3O
≫195
なっちゃいない!本当になっちゃいないぞ!by師匠
198美羽と七乃スピンオフ「遼来来2」(17/22):2009/10/22(木) 22:40:36 ID:3R0sVMvC0
「ええ、ご主人様の読みは悪くなかったのよ。正史から派生した外史には、正史本来の流れを
なぞろうとする矯正力、あるいは復元力と言い換えても良いけど、とにかくそういうものが備
わっているの」
「やっぱり……」
 そうでないかとは思ったのだ。
 この世界は、一刀が知る三国志の世界とは全く違う。
 違うのに、希に一刀が知る歴史によく似たことが起こる。
 それを説明するには、貂蝉が言ったような大枠が存在していると考えるのが一番楽だったの
だ。
「だからご主人様がやったように、あえて状況やキャラクターといったファクター揃えてやれ
ば、正史の流れにちなんだ結果が得られる可能性は十分にあるわ」
 キャラクター、そしてファクター。その言葉に一刀はうっすら顔をしかめながらも、先を促
した。
「うん、それはわかった。で、霞が霞で無くなるっていうのは?」
「やぁん、今日はみんなせっかちねぇ。お姉さん火照っちゃう! で、霞ちゃんのことだけど
ね。今回はそのご主人様が仕掛けた裏ワザが裏目に出たみたいなのよ」
「裏目?」
「これはわたしたちにとっても想定外だったのだけど、霞ちゃんの想いが強すぎたみたいでね、
そのせいで彼女、矯正力とシンクロしちゃってるのよ。その結果、本来意志なんて持っていな
い世界を正常に運営させるための力が、いま霞ちゃんの中に顕現しかかっているの。まあ、当
然と言えば当然よね。いくら霞ちゃんといえども、たった一人で十万人の大軍勢を相手にする
のは流石に無理。ということは、自分の力で不可能なことをやろうというのだから、不足した
分はどこからか借りてなんとかするしかないでしょう?」
「それが……」
「そう、矯正力よ。でもそうやって世界の矯正力に力を借りれば借りるほど、霞ちゃんの自我
は薄れていくことになる。そして最終的に、霞ちゃんは霞ちゃんじゃなくなってしまうかもし
れない。最悪の場合、天の意志≠チていう、この世界を運行しようとする力に意識を乗っ取
られてしまうかもしれない」
 そこまで聞いたとき、既に一刀の顔色は蒼白になっていた。
199名無しさん@初回限定:2009/10/22(木) 22:41:20 ID:AvotgMt+0
そういえば3人の共通点はフンドシか。性質は大分異なるがw 支援
200名無しさん@初回限定:2009/10/22(木) 22:43:48 ID:gBk3z0pA0
支援
201美羽と七乃スピンオフ「遼来来2」(18/22):2009/10/22(木) 22:44:18 ID:3R0sVMvC0
「そ、それじゃ……俺のせいで、霞の身に大変なことが起ころうとしているっていうのか!?」
 自分の考えたことのせいで、彼女が危険に晒されることは分かっていた。
 そのことで悩みもした。
 だが、霞が霞でなくなる、そんなことが起こるだなどと、一刀は思ってもみなかったのだ。
「ええ、しかも悪いことに、その兆候はもう出ているの。……丁度いいわ、あちらを覧なさい
な」

 貂蝉が突然振り返って背後を指さす。
 つられて一刀もそちらを見た。

 顔を向けたその瞬間、蒼天の空が突如として輝いた。

 なにが起こったのかがわからず、怪訝な顔をする一刀。しかし、一瞬遅れて耳に届いた轟音
で、いまのが落雷の光だったことを理解した。
 見上げた先には雲一つない、気持ち良いほどの青空が広がっているというのにだ。
「か、雷? こんな晴れた日に?」
「青天の霹靂。いまのはただの雷じゃないわよ。霞ちゃんの願いと想いに導かれた天の意志
≠サのものよ」
「それじゃあ、霞はいまので……」
「そう、いまの落雷で彼女はまた一歩天の意志≠ニの同化が進んだわ」
「それを……、自分の身に起こっていることを、霞は!?」
「知らないでしょうねぇ。でも、知っていたとしても、いまの霞ちゃんなら喜んで天の意志
≠ニ同化する道を選ぶでしょうね」
「そんな、どうして……」
 と、口にしてはっと気がついた。

「俺の……ため?」

 決まっているじゃないか。
 彼女は自分のため、自分と生きる未来のためと言っていた。
 ならば彼女がいま戦っているのは、北郷一刀のためなのだ。
202名無しさん@初回限定:2009/10/22(木) 22:44:22 ID:lqMpbX4oP BE:3051424679-2BP(1830)
しえんぬ
203美羽と七乃スピンオフ「遼来来2」(19/22):2009/10/22(木) 22:48:01 ID:3R0sVMvC0
 一刀の考えを肯定するように貂蝉が頷く。
「霞ちゃんはいま、すべてを投げうってご主人様を助けるために戦っているのよ。だから彼女
は決して止まらない、止められない。そして、そんな彼女の先には、自我を失ってこの世のす
べてをなぎ倒す化け物となる、そんな結末しか待っていないわ」

「主殿!」
 一刀が貂蝉の告げた言葉で愕然とする中、卑弥呼の大声が響いた。
「あら卑弥呼、もう終わったの?」
「うむ。あやつら二人して、先ほどの落雷を見た途端、血相を変えて後退していきよったぞい」
「ぬふぅん。なるほどねぇ、彼女たちの存在もまた、矯正力に組み込まれているのかもしれな
いわね。だとしたら虫の知らせの一つくらいあってもおかしくないわ。もしそうならご主人様、
残り時間はあまりないわよ」
「え?」
「左様。既に張遼は、度を超えてその力を振るいつつある」
「ええ、矯正力から力を借りてね」
「だ、駄目だそんなの! 速く霞を止めなくちゃ!」
 自分のために霞の身に重大なことが起ころうとしている、そう考えると居ても立ってもいら
れなかった。
 一刀は叫んで霞が戦っている戦場へと続く道を見る。
 そこで気がついた。先ほどまで隊伍を成していた呉軍の兵士たちが、一兵残らず消え去って
いることに。
 すぐさまその意味を悟る。周泰と甘寧が連れて戻ったに違いない。
 寿春へ抜ける最短ルートは、先ほどの落石で潰されてしまっている。これを迂回して別の道
を進むとなれば、相当の時間がかかる。
 どのみち援軍の要請は間に合わない。それを見越して自分たちは捨て置かれたのだ。
「……あ」
 と、そこまで思い至り、一刀は背後を振り返った。
 するとそこには一刀の命令を待つ、袁仲配下の兵千五百が控えていた。
204美羽と七乃スピンオフ「遼来来2」(20/22):2009/10/22(木) 22:51:32 ID:3R0sVMvC0
 彼らを置いてはいけない。
 だが、彼らを戦場に連れて行くのはもっと駄目だ。仮に連れて行っても、自分の指揮能力で
は彼らをみすみす殺すだけだと一刀にはわかっていた。
(だけど……)

 霞のことも捨ててはおけない、だがいまの自分には、多くの命を預かる責任があるのだ。
 一刀が一人で逡巡していると、そんな葛藤を見透かしたかのように貂蝉が言った。
「安心してご主人様。ご主人様の兵たちは、わたしがきちんと美羽ちゃんのところまで連れて
帰ってあげる」
「ほ、本当に!?」
「うむ、我らにかかれば、兵の千や千五百、相手するなど子供の手を捻るより容易いことよ」
「ええ。だからご主人様は、思った通りに行動してちょうだい」
「卑弥呼、それに貂蝉……」
 漢女たちの漢っぷりに、思わず鼻がツンとした。

 それを見て貂蝉が言う。
「おおっと、ご主人様ったら、門出に涙は似合わないわよん」
 続けて卑弥呼が言う。
「うむ、生きて返ってきたら、儂の胸で思う存分泣くが良い!」
 それを聞いた一刀の頭が、知らず自然と下がった。
 いまの一刀にはそうやって、正体不明の二人に、誠心誠意感謝を示すことしかできなかった。
「ほんと、二人ともありがとう。何度も俺を助けてくれて……」
「いいのよん、顔を上げてちょうだい。なんと言っても愛しいご主人様のためだもん。尽くす
女、それが……」

『漢女道!』
205名無しさん@初回限定:2009/10/22(木) 22:53:36 ID:5FoJAmkk0
支援です。
206名無しさん@初回限定:2009/10/22(木) 22:54:01 ID:gBk3z0pA0
支援
207美羽と七乃スピンオフ「遼来来2」(21/22):2009/10/22(木) 22:54:22 ID:3R0sVMvC0
 声をハモらせ、二人はタイミングを合わせて必要以上に筋肉を誇示するポージングをする。
 それを見た一刀がふらりとよろめく。
 しかしそれでも、二人の脳殺(脳細胞が死滅すること)に耐えて、一刀はあとを任せて駆け
出そうと……

「っとぉ、その前に!」
 見送りの言葉を言ったばかりの貂蝉が目に止まらぬ速さで一刀の前に回り込んでいた。

「うわぁっ! 心臓に悪いっ! っと、で、……なに?」
「ご主人様に言い忘れたことがあったわ。最悪、霞ちゃんが天の意志≠サのものになっちゃ
ったら気をつけてね。天の意志≠ヘ真っ先にご主人様を殺そうとするかもしれないから」
「な、なんだって!?」
 その言葉に、卑弥呼も然りと頷く。
「うむ。天の意志≠ゥらすれば、この世界を歪めている最大の元凶の一つは主殿であるから
な、最優先に狙われてもおかしくない」
「そんな、霞が……俺を?」
 冗談を言っている風ではない二人の様子に、一刀は呆然と呟いた。

「そうよ。だからもしかしたら、ご主人様はこれから見たくないものを見るかもしれない。そ
れでも行くのかしら?」
 その言葉で、一刀はまっすぐに問いかけるに貂蝉の瞳が、引き返すならこれが最後のチャン
スだと告げていることに気がついた。

 ならば答えはただ一つ。
208名無しさん@初回限定:2009/10/22(木) 22:54:32 ID:6HIcgyv50
>>198
>状況やキャラクターといったファクター揃えてやれ
「を」が脱字かな?
209名無しさん@初回限定:2009/10/22(木) 22:56:47 ID:gBk3z0pA0
>>208
流れの中では埋もれて見逃すかもしれんから終わってからの方がいいんじゃないか?
210美羽と七乃スピンオフ「遼来来2」(22/22):2009/10/22(木) 22:57:57 ID:3R0sVMvC0
「ああ!」
 一刀は力強く頷いた。
「それは天の意志≠ナあって本当の霞じゃない。俺は俺の知っている、霞を信じる!」
 迷うことはない。いま重要なのは霞を信じる、その一事だ。
 一刀の言葉に、貂蝉は満足したように頷いた。
「そう、だったらもうわたしたちには、頑張ってハッピーエンド目指すご主人様を応援するこ
としかできないわ。でも、これだけは覚えておいて、この世界で奇跡を起こすのは、いつだっ
て絆の力だってことをね」
「わかった!」
 そう言って、ぐっと親指を突き出した貂蝉に、一刀もまた、親指を突き出して返したのだっ
た。



 一度部隊に戻り、副官に事情を説明し終えた一刀が、馬に乗ってこの渓谷を去っていく。
 その姿を見送りながら、卑弥呼が唸る。
「ううむ。相変わらず主殿はイイオノコだのぅ。胸の漢女回路も思わずぎゅんぎゅん回ってし
まうわい!」
「そりゃあわたしたちのご主人様ですもの」
 腕を組んで手のひらを頬にあてて、ほうっと息をつく貂蝉。
「あとは、『揺り戻し』があるかどうかね」
「ああ」

 そうして一刀の姿が完全に見えなくなったことを確認してから、二人は落石によって塞がれ
た方の道を見た。
「さて、それじゃあわたしたちも始めましょうか」
「石ころごときの相手というのは、些か不満じゃがのぅ」
 そう言って、二人はバキボキと手をならしたのであった。
211名無しさん@初回限定:2009/10/22(木) 23:03:04 ID:yVLEYBca0
支援
212メーテル ◆999HUU8SEE :2009/10/22(木) 23:05:28 ID:3R0sVMvC0
わたしの名はメーテル……投下終了を告げる女。
今回はやや世界観に踏み込んだお話よ。
「美羽と七乃」を含む、一連の流れの外史での世界観は、たまたまこうであるというだけのものよ。

>>208
「を」の脱字ね……わたしの名はメーテル、誤字脱字が多い女……
しっかり校正しても、取り切れていない女……

次は明日の午後9時30分からよ、鉄郎……
213名無しさん@初回限定:2009/10/22(木) 23:07:05 ID:6HIcgyv50
おつかれー
今日のは怖くもあり、明日が楽しみでもあるな。

誤字脱字は、特に多いとは思わないけどw
214名無しさん@初回限定:2009/10/22(木) 23:08:29 ID:A71Zw0Ya0
最近の大河バリの過剰演出ワロ
215名無しさん@初回限定:2009/10/22(木) 23:08:40 ID:lqMpbX4oP BE:1356189247-2BP(1830)
おつかれメーテル

>「くくくっ、お主たちには、わしが直々に正しいフンドシのしめ方というものを教えてやろう!」
今回のポイントはここだな、俺はそう決めた
216名無しさん@初回限定:2009/10/22(木) 23:10:20 ID:JB64hSdR0

ちょっとフンドシ買ってくる
217名無しさん@初回限定:2009/10/22(木) 23:13:43 ID:gBk3z0pA0
メーテル氏乙です。
今なら恋すら圧倒しそうなくらいの霞だけど、そうなっている事への代償があるわけか。
しかし漢女2人がかっこいいな。
卑弥呼の着弾とふんどし指南には噴いたけどw
218名無しさん@初回限定:2009/10/22(木) 23:13:56 ID:VX64GHYb0
乙です

蓮華を守る兵士達がファルコの為に身を挺する元斗の兵とダブって見えた
219名無しさん@初回限定:2009/10/22(木) 23:16:20 ID:TI2uXH+C0
無双の力の源が分かった
そういう設定だったのね
220名無しさん@初回限定:2009/10/22(木) 23:22:51 ID:Oi4t3I7g0
霞がついに張遼越えちまった

まぁ、外史的なねじれが発生すればそうなるわな
221名無しさん@初回限定:2009/10/22(木) 23:51:33 ID:YjKYnTA3O
メーテル氏乙〜

もし暴走した霞が一刀を傷つけちゃったら正気に戻った時すんごい落ち込みそう
222名無しさん@初回限定:2009/10/23(金) 00:34:04 ID:c5sLI5O20
落ち込んだ霞を励ます?ために、七日七晩の閨無双があって欲しい
223名無しさん@初回限定:2009/10/23(金) 00:53:31 ID:RtJR3odhO
メーテル氏おつでした
一刀、頑張って霞を取り戻してほしい。

>>222
一刀なら余裕とみた
224名無しさん@初回限定:2009/10/23(金) 01:25:12 ID:Kvbw7h9W0
>223
霞のほうが持たないと思われ。
225名無しさん@初回限定:2009/10/23(金) 01:29:55 ID:JYMCH8Z+0
魏ルート寄りなら凪、無印寄りなら愛紗をカンフル剤に投入すれば元気になるのに……。
226清涼剤 ◆q5O/xhpHR2 :2009/10/23(金) 03:15:07 ID:9kbk1Qjr0
専用版に無じる真√N関連のファイルをUPしました。

形式:Zipファイル
内容は以下の通りです。
・以前作ったものにワカレミチ篇を追加した出来事表
・州地図
・ワカレミチ篇終了時勢力図
・ワカレミチ篇終了時徐州地図
※自作ですので造りが甘いです。

一応アドレスも貼っておきます。
URL:http://koihimemusou.x0.com/bbs/ecobbs.cgi?dl=0435
微妙ですがよければどうぞ。
227名無しさん@初回限定:2009/10/23(金) 07:33:51 ID:o04nZtgr0
>>226
おお、これは便利。乙です!
228名無しさん@初回限定:2009/10/23(金) 13:33:32 ID:1wK3d3Gt0
メーテル乙。
やっぱり合肥の戦いの再現だったか。
最初の大一番で、いきなり来来される蓮華カワイソス……
229名無しさん@初回限定:2009/10/23(金) 20:39:44 ID:OGLqIc1M0
最近ようやく時間できてまとめ読みしてるけど

 呉メインって少ないのな
230名無しさん@初回限定:2009/10/23(金) 20:44:15 ID:JYMCH8Z+0
呉は子供も出来て幸せに終わってしまっているからなあ。
補完的な短編ならともかく、長編は難しいんじゃないの。


演義的には呉がそもそも恵まれていないのはおいといてw
231メーテル ◆999HUU8SEE :2009/10/23(金) 21:22:49 ID:B2sCQU3T0
わたしの名はメーテル……今日も9時30分から投下する女。
今回でちょうど半分よ、鉄郎。
232名無しさん@初回限定:2009/10/23(金) 21:23:26 ID:tpxXXWH9P BE:2373330277-2BP(2000)
待ってたよメーテル
233美羽と七乃スピンオフ「遼来来3」(1/21):2009/10/23(金) 21:30:44 ID:B2sCQU3T0
 荒い息をした馬が止まる。
 蓮華と亞莎。張遼の追撃を振り切った二人が到着したのは、後方に据えられた『もう一つの
本陣』であっ。
 まばらであるがきちんとした天幕が用意されているそこは、本来のそれに比べるとこじんま
りとした印象を受けるものの、しっかりと機能を備えた司令部なのである。

「そ、孫権さま!?」
 早速蓮華の到来に気づいた見張りの兵士が、慌てて跪いて礼をする。
 そしてそれに気がついた周囲の兵士たちも、腰を落とそうとするのを見て、蓮華は手を上げ
てそれを制した。
「ご苦労様。勤めを妨げるつもりはないわ。そのまま続けてちょうだい」
「はっ!」
 跪いていた兵が勢いよく立ち上がり、その他の兵たちも揃って礼をした。

「ふぅ……」
 職務に戻る兵士たちを見ながら、蓮華がため息をついたのも束の間、
「蓮華姉さま!」
 背中から突然襲われた。
 誰かが、勢いよく彼女の背中に飛びついたのである。
 こんなことをする心当たりは一人である。
「姉さま〜姉さま〜」
「こら小蓮っ!? もう、やめなさい!」
 負ぶさるように蓮華の背中にぶら下がっていた娘が、言い当てられて「えへへ〜」と言いな
がら手を離して足を降ろした。
 振り向いた蓮華の前に立っていたのは、蓮華や雪蓮と同じ髪の色をした、まだ幼さが色濃く
娘だった。
234美羽と七乃スピンオフ「遼来来3」(2/21):2009/10/23(金) 21:33:18 ID:B2sCQU3T0
 彼女の名は孫尚香、真名を小蓮という。
 孫策、孫権に続く孫家三姉妹、末の妹である。
「ごめんなさーい」
 小動物のように屈託なく笑う彼女こそが、この司令部の本来の主人であった。
 城を攻略したあと、そこに入って駐留する軍の指揮官を任される予定だった彼女は、雪蓮の
指示の下、その予習としてこうして小さいながらも陣を一つ構えて、後方で控えるように言い
つけられていたのである。
 下手をすれば指揮系統の混乱を招きかねない強引な実地訓練であったが、今回はそれが幸い
した。

 本陣を攻撃され、司令官である蓮華が逃走するという手痛い失態を犯しながらも、呉軍の指
揮系統が崩壊しなかったのは、『第二の脳』とも言えるこの中枢があったからに他らない。
 偶然の産物であるものの、まさに不幸中の幸いであった。

 蓮華はじゃれついてくる小蓮を困ったような顔で見ながら聞いた。
「雪蓮姉さまは?」
「姉さま? 姉さまならなら、怖い顔をしてあの天幕にいるよ」
 言って小蓮が指さしたのは、他のものより一回り大きな天幕だった。
 おそらくそこが、本来小蓮がいなければいけない場所なのだろうことは容易に想像がついた。

 亞莎に目を向けると、彼女は心配そうな顔で蓮華を見つめていたが、蓮華が頷くと自らもお
ずおずと頷きを返した。
「では亞莎は、打ち合わせ通り張遼を足止めするための策で、時間を稼いでちょうだい。その
間に私の方も話をまとめるから」
「……はい」
235名無しさん@初回限定:2009/10/23(金) 21:35:11 ID:u9bojy5AO
メーテルさん来た!
支援するぜ!
236L:2009/10/23(金) 21:36:04 ID:/d2hmY+uO
寝る前に支援
237美羽と七乃スピンオフ「遼来来3」(3/21):2009/10/23(金) 21:36:58 ID:B2sCQU3T0
 そう目を伏せて礼をした亞莎はなにか言いたげであったが、蓮華はあえてそれに気づかない
ふりをして無視した。
 そして、雪蓮がいるという天幕の方を見る。
 自分の考えは間違っているのかもしれない。けれど直感によるひらめきを常日頃から大切に
するように言っている姉なら、わかってくれるという気持ちもどこかにあった。
 と、そんなことを思っていたために、こちらを見て心配そうにしている小蓮に気づくのが遅
れた。
「蓮華姉さま、大丈夫?」
「……ええ。ちょっと考え事をしてしただけよ」
「うーん、そうなの? なんか、蓮華姉さまも亞莎もちょっと変な気がするけど……、そんな
に敵の奇襲ってすごかったの?」
 可愛らしく小首を曲げてそう聞いてきた小蓮の言葉に、蓮華が怪訝な顔をした。
「小蓮。ここにはどの程度の情報が入ってきている?」
 そして聞いて、自身の中で不安が増大したのを感じた。
「え? うぅん……姉さまたちの本陣が敵の奇襲攻撃を受けたってことくらいかな。あとはそ
のときに少し被害が出たってことくらいで 他のことはなんか色々混乱してて……って、姉さ
まどうしたの?」
「ん、いや……」
 危機感なく、きょとんとした顔でそう言う小蓮の姿を目にして、
 ――危うい
 蓮華はそう思った。

 いま小蓮が話した情報には、肝心要のことがすっぽりと抜け落ちてしまっている。
 鬼神のごとき、あの張遼の異様が彼女には伝わっていない。
 それだけではない。あれだけ想像を絶する奇襲攻撃を受けたというのに、この陣地にはどこ
か緩んだ空気すら漂っている。
 見回すと、誰しもが先ほどまでの蓮華たちのような、勝利を確信した希望に満たされた顔を
している。
 そこには、あるべき危機感がまったく足りていなかった。
238名無しさん@初回限定:2009/10/23(金) 21:38:38 ID:O/qpRETn0
支援
239美羽と七乃スピンオフ「遼来来3」(4/21):2009/10/23(金) 21:39:23 ID:B2sCQU3T0
 あるいは、姉が兵たちに動揺を招かぬようにと情報を制限しているのかもしれないとも考え
たが、それでもいまの蓮華には、この状況が危険な兆候のように思えてならなかった。



「姉さま、ただいま到着しました」
 天幕に入りそのように挨拶をすると、現れた司令官の姿に周囲が一斉に静まりかえった。
 その中で蓮華はさっと、天幕の中の人員を確認する。
 やはり、そこには本陣で散り散りになった群臣たちの姿がなかった。
 つまり、あの場からここへ辿り着けたのは、今のところ自分たちだけということである。

「無事で良かったわ。張遼の騎馬隊に奇襲を受けて、本陣を脱出したと報告を受けたときは、
流石にひやっとしたわよ」
「お恥ずかしい限りです」
 そう言って、蓮華は神妙に頷いた。
「んー……。それで? なにか言いたいことがありそうな感じだけど?」
「………」
 その言葉に、蓮華は内心で舌を巻いた。
 こんなふうに心中を言い当てられたとき、この姉にはなにかもすべてがお見通しなのでない
かと思ってしまうことがある。
 同時に、そんな姉を相手にこれから自分が行わなくてはならない説得の難しさを、蓮華は改
めて確認した。
 それでも、最初から気圧されるわけにはいかない。
 蓮華は雪蓮の目を見てきっぱりと切り出した。
240名無しさん@初回限定:2009/10/23(金) 21:39:24 ID:bhsCb8Fa0
久々に支援
241名無しさん@初回限定:2009/10/23(金) 21:40:08 ID:O/qpRETn0
支援
242名無しさん@初回限定:2009/10/23(金) 21:43:27 ID:v9Ro/W/+0
しえn
243美羽と七乃スピンオフ「遼来来3」(5/21):2009/10/23(金) 21:43:28 ID:B2sCQU3T0
「姉さま。私はこの度の戦、一度撤退して体勢を立て直すべきだと考えます」

 開口一番の撤退進言。
 その言葉に、一瞬周囲がしんと静まりかえった。そして一斉に、先ほど以上にざわめきが馬
を支配する。
 周りにいた臣下たちは、蓮華の言葉にそろって驚愕と困惑を示している。
 それはそうだろう、彼らは勝利を確信していたのだ。まさかそれを蓮華の口から水を差され
るとは思っていなかったのである。
 だが一方の雪蓮は、聞いた直後こそかすかに驚いた顔を覗かせていたが、いまはもう平素通
りの不敵な笑みを浮かべているだけであった。

「……意外ね。あなたのことだから、真っ先に報復に飛び出していきかねないと思っていたの
に」
 片目を瞑ってそう返す。
 すると蓮華は、姉の言葉が終わって一呼吸の間を置いてから、口を開いた。
「このままアレと戦うのは、危険が大きすぎます。どれだけの犠牲が出るかわかりません。我
々は一度退いて対策を練ってから出直すべきです」
「……あなたの言いたいこともわかるわ」
「と、いうと……?」
「私も、張遼を相手にするのは割に合わない犠牲を払わなくちゃいけないことを分かっている
わ。でも、撤退するというあなたの意見に頷くことはできない。これは決戦なの。ここで張遼
を討っておかなければ、呉の将来に重大な禍根を残すことになりかねない。まずはなにがあっ
ても勝利すること、それが第一よ」
「姉さま! 姉さまは何も分かっていません! アレを相手にするのはそんな次元では……」
「蓮華、いいから少し頭を冷やしなさい。敵は実質単騎なのよ。確かにそれなりの被害を出す
ことになるでしょうけど、正面から落ち着いて戦えば、なんの問題もない筈よ」
「姉さま!」
244美羽と七乃スピンオフ「遼来来3」(6/21):2009/10/23(金) 21:45:45 ID:B2sCQU3T0
「それに、既に張遼を討つべく、徐盛に部隊を率いさせて向かわせているわ。だから安心しな
さい。万事心配いらないわ」
 いまの呉軍の司令官は蓮華である。
 だが、姉が徐盛を向かわせたことを、勝手と非難することはできない。
 それはむしろ、指揮不能となっていた蓮華の代わりを務めていてくれただけなのだから、感
謝こそすれ非難できよう訳がない。
「それに何より、既に四将軍が城を包囲して攻撃を始めているいま、こちらの勝利は時間の問
題。ここで退く道理がないわ」

 聞き分けのない子供に諭すよう言われた、穏やかな姉の言葉。
 彼女の言い分はまったく正しい。
 雪蓮が口にしたことが正論なのは確かだ。だが蓮華の理性ではない部分が、姉の判断は間違
っていると叫んでいた。
 惜しむらくは蓮華の中に、そのことをうまく伝えられるだけの言葉がなかったことである。

 戦闘中止を訴える司令官、続行を命じる王。
 言葉を交える二人の間には、驚くほどの温度差があった。
 そしてそれを埋めようとやっきになるほど、齟齬が生じて二人はますますかみ合わなくなっ
ていく。
 雪蓮の瞳に迷いはない。彼女はこの戦いの勝利を確信しきっている。
 それはそうだろう。いくら強いと言っても所詮は孤人。十万からなる群≠ナある呉軍が負
けるはずがない。そう考えるのが当然だ。
245名無しさん@初回限定:2009/10/23(金) 21:46:39 ID:O/qpRETn0
支援
246美羽と七乃スピンオフ「遼来来3」(7/21):2009/10/23(金) 21:48:13 ID:B2sCQU3T0
 だが、一方で蓮華の考えはそうではない。
 あの張遼の強さは理屈じゃない。
 なにがあっても、あれは戦うべき相手ではないと感じているのだ。
 無論、蓮華の現状把握能力は、歴戦の猛者である姉のそれに遠く及ばない。
 けれど蓮華の中のなにかが、あの張遼は危険だとずっと警告しているのだ。
 ただの直感、されど直感。
 晴天の雷鳴に龍を感じて以来の、胸騒ぎがそこにはあった。
 なにか取り取り返しがつかないことが起きてしまうと、そう感じるのだ。
 蓮華はそんな心の声に従って、己の直感を信じて、更に辛抱強く説得を続けた。
 何より姉なら分かってくれる、そう思っていた。

 しかし、それが甘い見通しであったことを蓮華は知ることになる。

 ◇◇◇

「あの……」
 小蓮の言葉に、雪蓮と蓮華は反応しない。
 二人が話し始めてから、幾分か時間が経過していた。
 議論は平行線を辿り、やがてはその間に不穏な空気が漂い始めている。
 そんな兆候を察した小蓮がおずおずと口を開いたが――。
「………」
「………」
 二人は黙したままで、末の妹の言葉など一顧だにしない。
247名無しさん@初回限定:2009/10/23(金) 21:50:06 ID:u9bojy5AO
更に支援
248名無しさん@初回限定:2009/10/23(金) 21:50:25 ID:bhsCb8Fa0
支援
249名無しさん@初回限定:2009/10/23(金) 21:50:58 ID:v9Ro/W/+0
しえん
250美羽と七乃スピンオフ「遼来来3」(8/21):2009/10/23(金) 21:51:12 ID:B2sCQU3T0
「張遼を討ち、城を攻略する。ほんの少しの辛抱、そんなに難しいことじゃないわ、私たちに
はそんな子供の使いもできないと言いたいのかしら」
「そうは言っていません。私はいまは一度引くべきだと言っているのです」
「好機を逃せば、次はないかもしれないのよ」
「大業を成すなら、始めこそ慎重になるべきです」
「慎重と臆病は違うわ……そろそろ冗談では済まないわよ」
「これも呉のことを考えてのことです」
 当初穏やかだった雪蓮の目が、徐々に本気の色を帯びてきているのが小蓮にもわかった。

 雪蓮と蓮華。この普段仲が良い姉妹は、滅多にないことだがこうして一度こじれ始めると、
互いに退けなくなってしまうことがままあった。
 こうと決めたら退かない強情な姉に、同じく強情な妹。
 あるいはそうした気質は孫家の血筋なのかもしれなかったが、こうして二人が衝突した場合
に仲裁するのは母孫堅であり、宿将黄蓋であり、つきあいの長い周瑜の役目であった。
 だが、残念ながらその三人はこの場にいない。

 だがいなくとも、誰かがやらねばならぬ。
 何よりいまは戦いの最中なのだ。ならば自分がやるしかないではないか。
 意を決して、小蓮は口を開いた。

「ま、まあまあ。蓮華姉さまも無事に戻ってこられたんだから、そんなふうにピリピリしなく
たって……」

 途端、
『『子供は黙っていなさい!』』
「ぴぃ!?」
 二人の口からぴしゃりと雷が落ちた。
 そしてそれを契機に、二人の言い合いは更に加速する。
251名無しさん@初回限定:2009/10/23(金) 21:51:27 ID:OGLqIc1M0
紫苑
252名無しさん@初回限定:2009/10/23(金) 21:51:51 ID:O/qpRETn0
支援
253名無しさん@初回限定:2009/10/23(金) 21:53:24 ID:tpxXXWH9P BE:3487342098-2BP(2000)
しえんぬ
254名無しさん@初回限定:2009/10/23(金) 21:53:33 ID:v9Ro/W/+0
しえn
255美羽と七乃スピンオフ「遼来来3」(9/21):2009/10/23(金) 21:54:16 ID:B2sCQU3T0
「大体! 姉さまは現状に危惧を抱いてらっしゃらないのですか!」
「兵たちの士気は高いわ! 確かに引き締めは必要でしょうけど、そのことで必要以上に慎重
になる必要もないと思っているだけよ!」
「私は必要なだけの慎重さを持つべきだと言っているだけです!」
「……っ! ねぇ蓮華、なぜそんなに焦っているの? まさか単騎相手に怖じ気づいたわけじ
ゃないでしょうね?」
「雪蓮姉さま方こそ、ことを急ぎすぎではないですか? 姉さまの思い描く孫家の天下とは、
いまを逃せば次がないものような脆弱なものなのですか?」

 あっという間に二人の緊張感が高まっていく。
 このままでは不味い、そんなことを思ったときだった。
 この場面に、実に間の悪い人間が一人、姿を見せた。

「こ、これは一体!?」
 と、天幕の入り口に立ち尽くして声を上げたのは、蓮華と別れて時間稼ぎの策を各方面に指
示を出して戻ってきた亞莎であった。
 状況を把握できないでおろおろとしている亞莎が、小蓮にはこのときばかりは輝いて見えた。
「亞莎! 丁度良いところに!」
「小蓮さま、これは一体どうしたことですか!?」
「何って見ての通りよ! 姉さまたちが大変なの! 早く止めてあげて!」
「え、ええ!? わ、私がですか!?」
 来て早々、思いもしなかった難事を託されて、亞莎が狼狽する。
 無理、絶対に無理。
 そんなことを思いながらも、も責任感の強い亞莎は断ることができず恐る恐るといった様子で
二人の間に割り入った。
256名無しさん@初回限定:2009/10/23(金) 21:55:48 ID:v9Ro/W/+0
しえん
257美羽と七乃スピンオフ「遼来来3」(10/21):2009/10/23(金) 21:57:17 ID:B2sCQU3T0
「あの、お取り込み中申し訳ございません……呂子明、ただいま戻りました……」
 生きた心地がしないとはこのことか。
 そんな心境で、顔を服の袖で隠す仕草をする亞莎を見た二人は……
「丁度良いところに来たわね亞莎。あなたからもこの頑固者に言ってあげてちょうだい。いま
退くことがどれだけ愚かかということを」
「丁度良いところに来てくれた亞莎。一緒に姉さまを説得して欲しい!」
 蓮華と雪蓮、二人から両肩を掴まれた。
「え、えええ!?」
 無論、そんな展開になって、亞莎はますますおろおろとするばかりであった。

 一方、周囲にいた人間たちは、そんなやりとりに呆気に取られるばかりで、こっそりと外へ
抜け出す小蓮を見咎める者など居はしなかった。

 ◇◇◇

「まったく! 姉さまたちったら失礼しちゃうわ!」
 のしのしと歩く虎の背に跨った小蓮は、そのスジの人が見れば一発でメロメロになるような
仕草で頬を膨らませていた。
「なんでシャオのときは『うるさい小蓮』で、亞莎のときは『丁度良かった亞莎』なのよ。失
礼しちゃうわ、まったく、まったく、もうっ!」
 彼女が可愛らしく怒っているのは、一大決心をして止めに入った結果が、散々であったこと
が原因である。

「そりゃあ、シャオはまだ子供かもしれないけど……。中身は立派な大人なんだから!」
 そうやって小蓮がぷりぷりと頬を膨らませている間も周々はのしのしとその歩を進めていく。
「もういいもんっ! 周々!」
 その合図で、待ってましたとばかりにだっと虎が駆け出した。
 顔に当たる風が気持ち良い。
 そうしていると、ささくれだった気持ちが安らぐのを感じた。
258名無しさん@初回限定:2009/10/23(金) 21:57:37 ID:O/qpRETn0
支援
259名無しさん@初回限定:2009/10/23(金) 21:59:44 ID:v9Ro/W/+0
しえん
260名無しさん@初回限定:2009/10/23(金) 21:59:52 ID:tpxXXWH9P BE:726530235-2BP(2000)
支援
261美羽と七乃スピンオフ「遼来来3」(11/21):2009/10/23(金) 22:00:27 ID:B2sCQU3T0
 しばらく走って辿り着いたのは、陣中の一角にある小高い丘だった。
 丘の上からは、遠く果てまで続くのではないかという呉軍の陣容が目に入った。
 そこから見える光景は、改めて圧倒されるほどの迫力があった。
 これこそが、呉の力なのだと再確認させられて、見ているだけで沈んだ気持ちが充実するの
を感じた。

 だが、そんな光景を眺めていた小蓮は、ふと違和感に気がついた。
 普段より孫の字が書かれた旗が多い気がする。
 いや、意識して見ると、明らかに多い。本来立てる必要のない場所にまで孫旗が翻っている。
 これはどういうことだろうか、そんなことを思って丘からの景色を眺めていた小蓮の耳に、
不意に風に乗って人の声が届いた。
 聞こえてきた方へ意識を向けた小蓮は、突然視界の端が、朱に染まったのを目撃した。
 目にゴミが入ったのかと思い、手でごそごしと擦り、それからもう一度よく目を凝らしてみ
た。
 すると、目の良い小蓮はそこにいるものの正体がわかった。

 それは人だ。
 下は足元までの長い袴、上は露出の大きな服を着た女だ。それが手にした槍を操って、呉軍
の中で単身暴れ回っていた。
 女が進む先に血の花が咲く。女が進んだあとには何も残っていない。
 思わず自分の目を疑ってしまう、そのくらい、女は出鱈目に強かった。
 小蓮も、思春や祭の強さを間近で見たことがあるが、目にした女の強さは、更にその上をい
っていた。
262名無しさん@初回限定:2009/10/23(金) 22:03:24 ID:s+kY3wkR0
F-2
263美羽と七乃スピンオフ「遼来来3」(12/21):2009/10/23(金) 22:03:43 ID:B2sCQU3T0
 少なくとも、槍の一振りでまとめて敵を数十人なぎ倒すような人間を、小蓮は知らなかった。
 と同時に、叫びの意味に思い当たる。
 それはつまり、『張遼が来た』ということだ。
 ついで、暴れ回る張遼を見ていて、無数に立っている旗の意味にも気がついた。
「なるほど。あれだけ旗が立っていたら、どこに姉さまたちがいるか分からないっていう訳ね」
 よく見てみれば、孫旗以外の旗は降ろされているか、控え目に掲げられている。
 これならば、旗を目印にして居場所を探すというのは難しいだろう。

「そして、あれが蓮華姉さまが言っていた張遼ってことね」
 呟き、改めてまじまじとその姿を注視して、小蓮はぶるりと身震いをした。
 返る血も構わず、獣のように突き進むその姿。
 確かにこんな壮絶苛烈な戦いぶりを見せられれば、蓮華の言うことにも頷けないでもない。
「でも、だったらっ!」
 そう言って彼女は、日頃から使っている戦輪ではない、腰の後ろに穿いていた弓を取り出し
た。
 弓腰姫、彼女がそう呼ばれる所以である弓を構え、小蓮は狙いを定めた。
 見える範囲に敵は一人しかいない。
 標的は視線の先で暴れ回っている、あの猛将だ。
「小蓮がやっつけちゃうんだからっ!」
 口だけは勇ましく、指先は楽器を爪弾くように繊細に。
 キリキリと、力を込めて弓を限界まで引き絞り、ただひたすら射る的だけに意識を集中させ
る。
264名無しさん@初回限定:2009/10/23(金) 22:04:13 ID:O/qpRETn0
支援
265名無しさん@初回限定:2009/10/23(金) 22:05:00 ID:v9Ro/W/+0
まずいな
266名無しさん@初回限定:2009/10/23(金) 22:06:28 ID:bhsCb8Fa0
支援
267美羽と七乃スピンオフ「遼来来3」(13/21):2009/10/23(金) 22:07:11 ID:B2sCQU3T0
 赤い嵐のような猛威と、小蓮との距離が縮まっていく。
(まだ……)
 堪える小蓮。
 やがて、そうときを置かずに、張遼は小蓮の射程ぎりぎりに到達した。
(……まだよ)
 まだ指を離さない。
 視界の先で、おぞましくも美しい武の化身が近づいてくるのが見える。
 けれどもまだ矢は放たない。
(狙うなら)
 更に距離が縮まり、ついに張遼が必中の境を踏み越えた。
 その瞬間、
(いまっ!)
 彼我の距離が零になったような錯覚を覚え、小蓮はついに矢の束縛を解き放った。
 だが、
「っ!?」
 細い指が矢の束縛を解くのと同時、それまで余所を見ていた張遼の顔がぐるりと動き、その
視線が小蓮を捉えた。
(まず……っ!)
 振動を抑え込み、反射的に矢をつがえて第二射を放つ。
 一撃必中、息も尽かせぬ連射。それが的を射貫かんと風を切る。
(よしっ!)
 手応えはあった。
 間違いなく最高の射だった。
 絶対に命中する。
 しかしそんな確信は、次に目にした光景で霧散した。
268名無しさん@初回限定:2009/10/23(金) 22:08:16 ID:tpxXXWH9P BE:1017141473-2BP(2000)
しえn
269名無しさん@初回限定:2009/10/23(金) 22:08:43 ID:u9bojy5AO
シャオやべえ
支援
270美羽と七乃スピンオフ「遼来来3」(14/21):2009/10/23(金) 22:09:23 ID:B2sCQU3T0
「うそっ!?」
 呆気に取られて声を上げる。
 小蓮の動体視力すら及ばぬ速さで張遼の左手が掻き消えたかと思うと、次の瞬間その手が前
方でなにかを掴んだのだ。
 なにを掴んだのか、それを他でもない小蓮がわからないはずない。
 自分が射た矢を、張遼は空中で素手掴みにしたのだ。
 常識的に考えて、狙ってできる芸当ではない。
 
(でもっ!)
 と、小蓮は心中で続けた。

 飛来する、もう一つの矢。
 一の矢を止めた張遼は、続く二の目の矢を同じようにして槍を握った右手で掴み取った。
 左右の手が矢を掴んでいる。
 それを見た小蓮は、

「最後っ!」
 つがえて狙いを定めていた、三本目の矢を放った。

 一本目が掴まれた段階で用意していた三本目の矢が風を切って飛翔。
 そしてそれは、刹那ののち、ついに張遼の脳天を射貫いた。
 命中の拍子に張遼の首が跳ね上がり顔が上を向く。
(やった!?)
 小蓮が期待を込めて見つめる中、張遼の四肢がだらんと伸びたような形になった。
 この戦場において、決して止まることのなかった体が、ついにその動きが止めたのである。
271名無しさん@初回限定:2009/10/23(金) 22:10:23 ID:u9bojy5AO
まだまだ支援
272名無しさん@初回限定:2009/10/23(金) 22:10:39 ID:bhsCb8Fa0
歯、か…?
273名無しさん@初回限定:2009/10/23(金) 22:10:49 ID:qBMre1oE0
こええええええええええええ
274名無しさん@初回限定:2009/10/23(金) 22:11:53 ID:v9Ro/W/+0
275美羽と七乃スピンオフ「遼来来3」(15/21):2009/10/23(金) 22:12:17 ID:B2sCQU3T0
「やったああ!」
 丘の上では、射手が歓声を上げてその場で飛び跳ねていた。
「これがシャオの実力だもん! 思い知ったか!」
 いくら化け物じみていても、頭を射貫いて倒れぬはずがない。
 張遼を倒した。
 蓮華が恐れた敵を、自分が討ち取ったのだという喜びを、小蓮は飛び跳ねて表現する。
「ふーんだ、これで姉さまたちもシャオのことを無視できなくなるんだから!」
 そんな風にして、得意げになって笑う。
 そう、笑っていると……

 不意に、風が、唸った。

「え?」
 近くで、『ガオンッ』としか表現できない、耳にしたことのない音がした。
 そして遅れて頬に、強い風が吹き付ける。
 その次は、「がっ!?」「ぐっ!?」「ぎっ!?」という、悲鳴のような音。
 なにが起こったのか。
 それを確認するため、小蓮は慌てて声がした背後を振り返った。
 すると、少し離れたところに重なり合うようにして倒れている兵士たちがいた。
 いや、それは倒れているのではない。誰が見ても一目瞭然に、彼らは全員まとめて事切れて
いた。
 そして、それだけの惨状を生み出した兵器とは……。
「どうして、シャオの矢、が?」
 それだけ理解した小蓮は、そんな馬鹿なという気持ちを抑えて、恐る恐る向き直った。
 そこにあったのは先ほど動きを止めた張遼の体。
 だだ、先ほどまでと違う点を一つ挙げるとするならば……

 その左手が、前へと突き出されていた。
276名無しさん@初回限定:2009/10/23(金) 22:15:04 ID:bhsCb8Fa0
し、しえん
277名無しさん@初回限定:2009/10/23(金) 22:15:49 ID:v9Ro/W/+0
しえn
278美羽と七乃スピンオフ「遼来来3」(16/21):2009/10/23(金) 22:16:26 ID:B2sCQU3T0
「ひっ……!?」
 ぞわりとしたものが小蓮の背中を這い上がり、本能が彼女に小さな悲鳴を漏らさせた。
 そして小蓮が見ている先で、脳天を打ち抜かれたはずの張遼の首が、ゆっくりと動く。
 動いて、空を仰いでいた顔が、元の位置へと戻っていく。
 そうして地に対して水平に目線を戻した張遼の歯には、三本目の矢が挟まれていた。
 だが、そんなことより小蓮に恐怖を喚起させたのは、己をまっすぐに凝視するその目が、不
気味な金色に輝いていたことだった。

「見つけたァ!」
 喜声が上がる。
 小蓮の姿を確認した張遼は、音を立てて鏃をかみ砕き、それを口から吐き捨て、地面を蹴り
抉りながら天高く跳躍した。
「今度こそきっちりバラしたる!」
 白刃煌めく大槍を手にした張遼が、人間離れしたバネで空を舞う。
「うおおおおおおおおおおおお!!」
 叫び上がる獣の咆吼。
 逃げなくてはと思う。
 けれども耳にした小蓮の体が、彼女の意思とは裏腹にすくみ上がって硬直してい
た。
 ――逃げられない
 そう感じた。

 けれども、天意はこのとき少女の味方をした。

「総員、てぇっー!」
 飛び上がった張遼に対して、待っていたとばかりの号令が響いた。
 弓兵隊長の合図の直後、無数の弓なりの音、そして飛来を示す風切りの音がした。
 一斉、空中という遮蔽物の一切ない場所に躍り出た獲物に、射かけられる矢の嵐。
279名無しさん@初回限定:2009/10/23(金) 22:17:39 ID:tpxXXWH9P BE:1307754239-2BP(2000)
霞が…
280名無しさん@初回限定:2009/10/23(金) 22:17:47 ID:v9Ro/W/+0
支援
281美羽と七乃スピンオフ「遼来来3」(17/21):2009/10/23(金) 22:20:12 ID:B2sCQU3T0
 跳躍した張遼を待ち構えていたのは、視界を真っ黒に埋め尽くすほどの飛翔物。
 実際に矢が到達するより先に、音でそのことにいち早く気がついた張遼は、小さく舌打ちを
してから、器用に手の中で飛龍偃月刀を風車のように回転させた。
「しゃらくさいわァっ!」
 すると張遼の槍の回転が、大車輪と化して矢を阻む盾となる。
 のみならず、槍の高速回転が大気を攪拌して気流を生み出し、強烈な竜巻を作って巻き込ん
だ矢の軌道までをも変えてしまう。
 標的を射貫くことなく矢が次々落ちていく。あるいは明後日の方向に飛んでいく。
 そうやって飛んでくる矢の濁流を防ぐ張遼の並外れた行動に、当の射かけた弓兵たちの方が
動揺を示した。
 当然だ。彼らはこんな人間がいるなどとは、露ほども思っていなかったのだ。
「怯むな! どんどん撃て!」
 兵たちの中に走った衝撃に気づいた別の弓隊長が叫ぶが、もう遅い。
 いまの霞には、矢勢が弱まったその一瞬は、十分すぎる猶予であった。
「ふ――っ」
 張遼は息を吸い込んで飛龍偃月刀の回転を止め、それから体を反らし、背負うようにして大
きく振りかぶった。
 そしてそれを、体の捻りを加えて、上から下へ、勢いよく地面に向かって振り降ろす。
「せぇえいっ!」
 かけ声と共に振り降ろされた得物から、不可視の衝撃が走った。
 瞬時に落着。衝撃が周囲の兵士を巻き込みながら、それは轟音と共に大地に大穴を穿つ。
 密集地帯に叩き付けられた攻撃は、無数の人間の血を顔料にして、戦場に大輪の花が咲かせ
る。
 だが、それで終わりではない。
「るぅらぁああああああああああ!」
 張遼は振り降ろした刃を、気合いの一声と共に、そのまま横へ滑らせた。
 すると刃の軌跡に合わせて、筆を走らせるようにクレーターから一直線に朱が伸びた。
 進む先に血柱が上がっていた。
282名無しさん@初回限定:2009/10/23(金) 22:21:32 ID:tUx7pClB0
支援
283名無しさん@初回限定:2009/10/23(金) 22:22:07 ID:v9Ro/W/+0
しえn
284名無しさん@初回限定:2009/10/23(金) 22:22:29 ID:Z96HxN540
スゲエ・・・、支援
285名無しさん@初回限定:2009/10/23(金) 22:22:29 ID:qBMre1oE0
支援
286名無しさん@初回限定:2009/10/23(金) 22:22:50 ID:u9bojy5AO
一騎当"万"だなこの霞…
支援
287名無しさん@初回限定:2009/10/23(金) 22:24:00 ID:+x6DimwV0
矢の雨さえ無効化するか・・・・・・
無双の武将どころじゃねえ支援
288美羽と七乃スピンオフ「遼来来3」(18/21):2009/10/23(金) 22:24:29 ID:B2sCQU3T0
 瞬間遅れて、数え切れない断末魔の叫びが上がる。
 大地に残された傷痕、吹き上がった血柱、呆然とした兵たちの頭上に遅れて降り注が
れる鮮やかすぎる赤い雨、そして耳を塞ぎたくなるような悲鳴。
 現実感すら喪失しかける、まさに悪夢としか思えない尋常ならざる壮絶な光景。
 それは兵たちの心に、かつてないほどの恐怖を呼び起こさせるに十分であった。

「う、うわああああああああああああああああああああああ!!」「逃げろ! 逃げろ逃げろ
逃げろぉ」「鬼だ、鬼が来る!」「張遼は鬼じゃ!」「助けてくれ! なんで俺が!」「嫌だ
ぁ! こんなところで死にたくない!」「遼来! 遼来!」「助けて、誰か助けて!」「俺は、
俺にはまだやりたいことが!」「あああああああああああ!!」「わあああああああああああ
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」

 一つの叫びが二つの叫びを呼び、二つが四つ、四つが八つ。恐怖は伝染し拡散する。
 唐突、残っていた兵たちが、一斉に恐慌状態に陥った。
 誰しもが我先にと、前のにいる人間を押しのけてその場から逃げ出そうとする。
 統率も、連携もなく、ただ本能をむき出しにして逃げようとする兵たち。
 こうなってしまうと、人の群れとは存外脆い。いかな訓練された軍隊であろうとも、一度瓦
解してしまえば、あとに残されるのはただの烏合の衆に過ぎない。
 結果としてこのとき、周囲の呉軍は雪崩をうって総崩れとなった。

「ひ、ぃ……や、」
 目の前には滅多矢鱈と逃げ惑う大人たち。
 半潰走状態に陥った軍勢、その混迷のただ中に、腰を抜かして尻餅をついた小蓮がいた。
「グルルルル……」
 唸りを上げる一頭の獣がその前に出る。
 彼女に危害を加えようとするものから守護せんと、白虎は牙を剥いて威嚇するが、歩いて近
づいてくる張遼はそれを気にした様子を見せない。
 それどころか、
「その背格好、さしずめ孫家の末妹ってとこか……まあええわ、あんたをバラして晒して血祭
りにして、孫策の奴を退くに退けんようにしたる」
 そんなことを言いながら、彼女は近づいてくる。
289名無しさん@初回限定:2009/10/23(金) 22:26:38 ID:O/qpRETn0
支援
290美羽と七乃スピンオフ「遼来来3」(19/21):2009/10/23(金) 22:27:23 ID:B2sCQU3T0
 手首のスナップを効かせてビュンビュンと飛龍偃月刀を試し振りして、黄金の目をした張遼
が近づいてくる。

 距離が狭まり緊張が高まる中、ガタガタと奮える小蓮の前で、ついに猛虎が吠えて獲物に襲
いかかった。
 それを見て小蓮が泣きながら叫ぶ。
「周々駄目ェェっ!!」
 けれどもその制止を聞かず、周々備わった鋭い牙と爪で、敵を引き裂かんと飛びかかる。
 そうして襲いかかってきた肉食獣を、張遼は、
「うるさい」
 轟音を伴った片手の一撃で、なんでもないように打ち払った。
 子猫でも振り払うように軽さで動かされた左手の裏拳。それが周々の大きな体を軽々吹き飛
ばしたのだ。
 そうしてはね飛ばされた周々が、一度二度と地面をバウンドして転がり停止した。
 吹っ飛ばされ、倒れて横たわった純白の毛皮は、土と血で無残に汚れていた。
 それでも主人を守ろうと、周々は懸命に体を起こそうとする。
 そうしてゆっくり起き上がり、よろよろと動こうとして……再びその体が崩れるようにして
横向きにどっと倒れ込んだ。
「周々、周々ぅ!!」
 小蓮の呼びかけにも反応しない。
 ただぐったりと倒れ込んだ周々を見て、小蓮はただただ恐怖で打ち震えた。
「さ、これで守ってくれるもんは、もうおらんようになった」
「ひっ……!」
 後ずさる小蓮を、追い打つ張遼の氷の言葉。
「いまの虎は手加減しといたから、もしかしたら息はあるかもしれへん。でもあんたの場合は
確実に殺す。絶対に死なす。酷たらしく殺す」
「ひっく、やだ、周々、誰か……」
「ははっ」
 笑った言葉とは裏腹に、目を黄金色に染めた張遼の顔は、仮面でも被っているように表情が
ない。
 人とは思えぬ暴力的なまでに濃密な存在感。それが死を引き連れて近づいてくる。
291名無しさん@初回限定:2009/10/23(金) 22:28:44 ID:bhsCb8Fa0
ばけものと化してるな・・・
292名無しさん@初回限定:2009/10/23(金) 22:29:08 ID:u9bojy5AO
怖ぇ…
支援
293美羽と七乃スピンオフ「遼来来3」(20/20):2009/10/23(金) 22:30:59 ID:B2sCQU3T0
「誰か、助けて……っ!」

 目をきつく閉ざし、服の胸元を強く握り、恐怖に震える少女はそう、『誰か』に呼びかけた。
 けれども、ここでそれを聞き届ける者はいない。
 二人の姉はいない、仲間たちもいない。兵たちは皆、小蓮のことなど気にかけていない。
 この場で助けてくれる者など、いようはずもない。
 それでも、いまの小蓮にはそんな願いを口にすることしかできなかった。
 無為の願い、絶望の祈り。

 だが、この物語にはそれを聞き届ける者がたった一人だけいた。

「わかった」
 と、そう力強い声が聞こえた。

 期待などしていなかった。
 されど、返るはずのない声が返ってきた。
 小蓮が涙に濡れた顔を上げる。
 そこには、見たことのない青年が、こちらに背を向けて両手を広げ立っていた。

「俺が君を、必ず守ってみせる。そして絶対に、彼女に君を殺させたりなんかしない」

 そう宣言した男のことをを、小蓮は知らない。
 彼こそが天から袁術の下に舞い降りたと噂される男、『天の御遣い』北郷一刀であることを、
彼女はまだ知らない。
 けれど、その背中はこれまで見てきたどんな男のものよりも、強く、たくましく、大きかった。
294名無しさん@初回限定:2009/10/23(金) 22:31:10 ID:v9Ro/W/+0
間に合ってくれ
295メーテル ◆999HUU8SEE :2009/10/23(金) 22:35:05 ID:B2sCQU3T0
わたしの名はメーテル……またまたまたまたうかつな女。
21分割ではなく20分割だったのよ鉄郎……

今回の投下分で半分を経過よ。
一刀登場というところで、続きは明日の午後9時30分からよ、鉄郎……
296名無しさん@初回限定:2009/10/23(金) 22:35:17 ID:u9bojy5AO
一刀キタ━━(゚∀゚)━━!!
20/20って事は今回はここまでかな?
続きが楽しみすぎる
投下乙でした!
297名無しさん@初回限定:2009/10/23(金) 22:35:40 ID:qBMre1oE0
乙です
一刀さんおいしいなぁ
298名無しさん@初回限定:2009/10/23(金) 22:37:08 ID:tpxXXWH9P BE:1549929784-2BP(2000)
メーテルおつつ

一刀間に合ったよかったああああ
299名無しさん@初回限定:2009/10/23(金) 22:38:14 ID:bhsCb8Fa0
アレの前に立てるとは・・・
さすがちんこだ!俺(ry
300名無しさん@初回限定:2009/10/23(金) 22:40:03 ID:o04nZtgr0
>>295
いいところで、お預けとはあああ
301名無しさん@初回限定:2009/10/23(金) 22:40:17 ID:ntAJvKdcO
乙ですよ〜

今回の霞こえー!

というか霞が一刀に怪我させちゃわないとしても、こんな化物状態を見られたらそれだけで女の子としてかなり致命的なショックを受ける事確定
302名無しさん@初回限定:2009/10/23(金) 22:43:01 ID:O/qpRETn0
メーテル氏乙です
恐るべしシチュエーションブースト効果
さて、こっからが一刀の見せ場だな
どうやって霞を止めてここから離脱するのか…
303名無しさん@初回限定:2009/10/23(金) 22:46:17 ID:MqRPNgeN0
どうしよう。男前過ぎるちんこさんの登場にときめいた。
おのれメーテル、どう乙してくれよう。
304名無しさん@初回限定:2009/10/23(金) 22:51:31 ID:JYMCH8Z+0
メーテルおつかれー。
もう人外と化しているな。

ところで、>>233 (1/21)

>蓮華と亞莎。張遼の追撃を振り切った二人が到着したのは、後方に据えられた『もう一つの
>本陣』であっ。

たぬきになってる。
305名無しさん@初回限定:2009/10/23(金) 23:14:48 ID:gTkPJWd90
むかしPS2で戦神というソフトがあってだな
霞の戦い見てるとそんな感じがする…

亞莎の策が足止めにもなってないしorz
肉の壁と偽の旗で時間稼ぎしてるだけじゃないか…
シャオは無謀だったかも知れないが呉の姫としては正しかったと思う
もし矢を放たなければ霞は眼下の兵を一兵残らず殺していたはずだしね
306名無しさん@初回限定:2009/10/23(金) 23:43:31 ID:UvMuGGpa0
更新お疲れ様です。万夫不当とはこの事か・・・。
307名無しさん@初回限定:2009/10/23(金) 23:45:17 ID:WnJk+t4V0
>>262
おぬし、F-2支援戦闘機のことを言っておったな?

メーテルさん乙
張遼本人もここまで誇大に強さを評価されるとは思ってなかったろうなぁ
いくら特別な力が働こうとも
308名無しさん@初回限定:2009/10/23(金) 23:47:11 ID:JYMCH8Z+0
演義で史実より過小な描写しかしてもらえなかったことの反動だよw
309名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 00:06:40 ID:dwX4DEmQ0
メーテルさん乙

ところで、黒捷と張遼騎馬隊はどうなったんだろうか?
霞だけ残して、他は全滅しちゃったのか?
310名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 00:51:44 ID:l4gQ18460
乙でございます

多分、置いて行かれて付いてこれてないんじゃなかろうか……
311名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 05:09:52 ID:2Mz1T9vcO
シャオが殺される寸前とか、いくら何でもタイミング良すぎる
一刀がタイミング図ってたとしか思えない
それと先行した明命が到着してないって意味はまさか‥‥
312名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 07:21:56 ID:KvXRRDVl0
ご都合主義という言葉をしらんのかw
それにチョウセンがいるんだから細かいことはどうにでもなるさ
313名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 15:43:28 ID:K0x4e4aj0
また鬼引きかいっ
314名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 16:03:42 ID:UdW3+KB70
まだ半分って、一体何日連続でやる気なんだ……長ぇ
315名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 16:27:18 ID:Kexva4/y0
もういっそ北郷帝みたいにまとめてロダに上げた方が良いような気がする。
それぐらい長いよね。
それに何かぶつ切りでお預け食らってる感じだ。
これなら遅くなっても良いから、書き上げ一度に全部投下して欲しいよ。

きっと皆、我侭言うなとか嫌なら見るなとか言うんだろうなw
316名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 16:44:38 ID:pG1NzQw50
>>315
安心しろ。少なくとも俺は同意だ。
二日連続はまだしも何日も連続だと他の作品の投下がどうなるか心配なんだ。
結構みんな夜投下のほうが多い気がするし……。
317名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 17:17:15 ID:X2kGLSBSO
最盛期と違って被る心配する程投下ないし、問題ないと思うけどね。

被ったらどっちかが後にずらせばいいし、それで今まで問題起きなかったんだから大丈夫だ。
318名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 17:34:31 ID:4rNWfSy8O
今日初めてTINAMIの話を見てみたんだけど

あっちの一刀さんは最強無敵なのが多いん?
319名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 17:42:09 ID:pG1NzQw50
>>317
まぁ、ここでSS書いてる人はいい人多いから問題は起こらないだろうとは思う。
だけど、やっぱり多くの人がスレを覗く時間帯を独占はさすがに……って思うんだよね。

しかも、一つ一つが長文だから投下終了まで割と時間掛かるわけだし、それに次の人が投下するまで
空けなきゃならない間隔を足すとそれなりの時間をとっちゃう。
だからその長時間のスレ使用に関しては二日くらいはいいけど、それを何日も続けるのはさすがにやりすぎかなって思ったんだわ。

とはいえ求める人がいるんだからそれも致し方ないんだろうとも思うんだけどね。
320名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 17:49:58 ID:QtY7hviH0
独占は前日以前に予告しておけば無問題
過去スレですでに話し合い済みだし、ちゃんとテンプレ化してるでしょ
321名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 18:38:01 ID:qh8trHQ0O
今回ほどの規模のはなかった気はするけどな
322名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 19:08:17 ID:+O3wFRQmO
一月とか独占しなきゃ問題無いんじゃない?
時間帯だって人が少ない時でも最終的にここの素晴らしいまとめサイトの神様がまとめてくれるから後からでも余裕で見れる。
さて、明日は休みだ、張来来をリアルタイムで見れるぞー!(;_;)
323名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 19:45:11 ID:WGOFpYuW0
ここに来て日の浅い連中は文句ばっかだな
もしかして生まれてからも日が浅いのか?
324名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 20:05:27 ID:+O3wFRQmO
>323
これ最低6570日は生きないと出来ないはずだが(笑)
325名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 20:10:03 ID:bHeXtRP80
長すぎて支援砲撃でスレが埋まったこともあったよな。
326名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 20:10:44 ID:WGOFpYuW0
“奴ら”は騒ぎ出すと手がつけられんから、多少ぼかして言ってる

例.生まれて日が浅い(なんだ赤ちゃんか) 最近の世代(小学生くらい?)

“奴ら”は××だからこうすれば気づかない
327名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 20:13:23 ID:bHeXtRP80
分りやすく言ってやれよ。
半年ROMれと。
328名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 20:26:15 ID:71Sn5aHk0
みんな優しいな。
おれだったらこう言うわ。
「永遠ROMってろ」と。
329名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 20:31:38 ID:WGOFpYuW0
では分かりやすく
君達は我々と違って気が異なるから、しばらくは板の様子を見たり規約や過去ログを見たりしてきちんとルールを理解しよう
330名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 20:32:02 ID:8+W1mxbMO
>>319
ルールがちゃんとに決まってるからんだからもういいじゃん。

メーテル氏到着まで今まで通り待とうよ
331名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 20:40:42 ID:+6vtZ8MD0
まずは>>12のメーテルの告知を見なおして、期間くらいは把握しておくと幸せになれるかと。
332名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 20:43:50 ID:8+W1mxbMO
ごめん、思いっきり文章噛んでた
凪に蹴られてくるわ
333名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 20:46:30 ID:GAN4tvreO
≫馬鹿野郎!閏年分が足りないぞwww
334名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 20:48:50 ID:GAN4tvreO
ぐあ!ミスった。すまぬ
≫333は≫324宛だ
335名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 21:07:28 ID:+O3wFRQmO
>333
≫馬鹿野郎!閏年分が足りないぞwww
そんなの面倒だから省いたんだよ。
めんどくさい、息をするものめんどくさい。
336メーテル ◆999HUU8SEE :2009/10/24(土) 21:23:04 ID:joG4JVAA0
わたしの名はメーテル……投下する女。
なにやら物議を醸してしまったようね、お詫びするわ。
思うところがあってアップローダーを使うのは意図的に避けているのよ。
かといって100レス以上を一度に投下もどうかと思って、こういう形になったのよ。

今日の分は午後9時30分からよ、鉄郎……

>>304の鉄郎
たぬきね……しっかり「た」が抜けているわね……
まとめさん、>>233の3行目
「 本陣』であっ。」
の部分を
「 本陣』であった。」
に修正してくださると嬉しいわ……
337名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 21:27:35 ID:bWbORHF+0
お待ちしております
338美羽と七乃スピンオフ「遼来来4」(1/21):2009/10/24(土) 21:31:15 ID:joG4JVAA0
「――かず、と?」
 立ちはだかった者の姿を認めた霞の瞳、その片方から黄金の輝きが失せる。
 それを見た一刀は、まだ手遅れになっていないことを確信した。
 ならばとるべき行動は一つ。
「霞! 話を―――!」
 今すぐ彼女を止めなくてはならない。

 だがその言葉の途中で、霞の視線が引き寄せられるように、一刀の頭の少し上へ向けられた。
 そしてまた、両の眼が金色に燃え上がる。
 一刀がなぜと凍り付いた直後、その答えは舞い降りた。
 頭上をよぎった黒い影。そしてギィン、という耳をつんざく金属同士がぶつかり合った音。
 振り降ろされた剣を受け止めた飛龍偃月刀から、派手に火花が舞って散る。
「小蓮さまには指一本触れさせん!」
 何者かが一刀と小蓮、二人の頭上を飛び越えて躍りかかり、張遼に打ち下ろしの一撃を叩き
付けたのである。
 金属をぶつけ合った音に続いて、今度はドンッという音が響く。
 以前にも猪々子と関羽との戦いで聞いたことのある音である。激突に伴う強烈な衝撃波が、
周囲をなぎ倒す波紋と化して広がろうとしているのだ。
「危ないっ!」
 一刀は咄嗟に振り返り、小蓮の華奢な体が吹き飛ばされないように、彼女をしっかりと抱き
しめた。
 だがそうされる直前、小蓮は現れた者の名を叫んだ。
「思春!」
339名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 21:31:46 ID:ENyldGqS0
支援
340美羽と七乃スピンオフ「遼来来4」(2/21):2009/10/24(土) 21:33:48 ID:joG4JVAA0
 そう、張遼と干戈を交えて、火花を散らしているのは他でもない、勇猛でならす呉の将甘興
覇であった。

「はっ、たああああっ! てぇいっ! せやあああ!」
「ちぃっ! こいつ、一々鋭いっ!」
 思春と霞、二人は互いに電光石火の剣速で、容易に相手を絶命させうる一撃をぶつけ合う。
 斬撃の速さ、重さ、技巧の深み、これらすべてにおいて張遼が勝っている。だというのに、
後先を考えていない思春の激しい攻勢によって、二人の戦いは一時的な膠着状態に陥っていた。
「せやけど……っ!」
 そんな猛攻は長く続けられない。
 消耗によって少しでも斬撃の手を緩めれば、流れは即座に張遼のものとなるのは明らかだっ
た。
 だからこそ、この膠着も時間限定のものに過ぎない。
「そらそらそらそら! 息が上がってきたで!」
「く、そっ……!」
 二人ともそのことはわかっている。
 そして、あと少しで流れが一方的なものになる、そんなときにこの膠着を崩す新たな声が割
り込んだ。

「はああああああ!」

 人海を切り裂いて風が吹く。
 いや、それは風ではなく、駆ける人だ。
 その風体は一見して理知的な服装や片眼鏡といった文官の装い。
 普段着ている長袖の上着はいまは無い、纏っているのは露出の多いインナーだけである。
 そして、いまその手を長袖の代わりに覆っているのは、無骨すぎる鉄甲『人解』。
 呉軍軍師、呂子明。彼女は知謀の士にあるまじき猪突猛進を発揮して、張遼に単独突貫を敢
行する。
341名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 21:33:51 ID:ivTeMPAv0
これより待機を終了し、支援を開始する。
342美羽と七乃スピンオフ「遼来来4」(3/21):2009/10/24(土) 21:36:27 ID:joG4JVAA0
「これ以上――っ!」
 亞莎は気≠足裏で収束・爆発させて即席のブースターにし、横合いから流星の速さで、
切り結ぶ二人の暴風圏深くに飛び込んだ。
 そしてすくい上げる豪烈な一撃を繰り出しながら叫ぶ。

「好きには――っ!」 
 それに合わせて思春も叫ぶ。
 目立ちすぎる亞莎の突撃に、嫌が応にも張遼の意識が裂かれたその隙を逃さず、逆に『鈴音
』の剣速を上げて斬りかかる。
「ちぃっ」
 けれども、いまの霞ならこの程度の同時攻撃、捌けぬ程でもない。
 足を動かし半身をずらし、左手を飛龍偃月刀から離して握り固める。
 拳による迎撃を試みようというのだ。
 が、そうやって張遼が二人同時に対応しようとしたところで、更にまた影。 

「させませんっ!」
 最後の人影は、突如として張遼の背後から音もなく現れた。
 長すぎる抜き身の長尺刀を手に、背後から鋭く袈裟に斬りかかったのは周幼平。
 手にしているのは魂すらも切り裂くといわれる名刀『魂切』。

「「「はああああああああーっ!!!」」」
343名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 21:39:12 ID:ENyldGqS0
支援
344美羽と七乃スピンオフ「遼来来4」(4/21):2009/10/24(土) 21:39:22 ID:joG4JVAA0
 全身全霊、それぞれ渾身の力を込めた徒手、曲刀、長尺刀が走る、奔る、趨る。
 事前に打ち合わせたわけでもないだろうに、それでも三人の攻撃は、完璧にタイミングを合
わせた三種三様三方の連係攻撃となった。
 並の将なら、そもそも同時に走る剣筋を知覚できない。
 一騎当千の将であっても、まずもってすべては避けられない。

 しかし、
「くっ……」
 張遼は、それらの攻撃のことごとくを、歯を食いしばるだけで凌いでみせた。

 逆に、攻撃を仕掛けた呉将三者が、
「あぐっ」
「きゃっ」
「ぐうっ」
 短な苦悶をそれぞれ漏らした。

 背後から襲いかかった明命は、勢いよく引かれ突き出された石突きで鳩尾を突かれて撃墜さ
れた。
 右方からアッパーカットを見舞おうと踏み込んだ亞莎は、タイミングを見計らった張遼の左
拳によるカウンターをまともに食らって派手に吹っ飛んだ。
 左方から斬りかかった思春は、斬撃の隙間を縫って放たれた神速ので突きを受け流すので精
一杯だった。

 そうして三人それぞれ、強制的に距離を離される。
 結果として、彼女たちの攻撃は失敗した。
 のみならず、ダメージを受けた亞莎と明命に至っては、攻撃を受けた場所を押さえて呻いて
いる。
345名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 21:40:10 ID:ENyldGqS0
支援
346名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 21:40:48 ID:Y2hC8pPi0
支援
347美羽と七乃スピンオフ「遼来来4」(5/21):2009/10/24(土) 21:42:15 ID:joG4JVAA0
 だが、負けてはいない。

 彼女たちはこの難敵を前に、誰一人欠けることなく最初の衝突を生き残った。
 ここまでの道、立ちはだかるものすべてをなぎ倒して殺戮で切り開いてきた張遼を相手に、
後退するだけで済ませたのである。

 それは思春たちからすれば、馬鹿げた強さである張遼の『底』を見たと言うことだった。
「確かに聞いたとおり尋常ならざる強さだ……。だが、足止めに専念すれば止められぬほどで
はない!」
 思春が再びその目に闘志を燃やし、敵に向かって走った。
 彼女だけではない、あとの二人もそれに続く。



「霞!」
 嵐の勢いで猛然と戦い始めた霞と呉の三人。
 まばたきの間に、彼女たちの戦いは一刀の知覚できない領域に突入してしまう。
 もう一刀の目では、どんな戦いをしているのかさえわからなかった。

 歯痒い。
 自分の無力さを痛感する。
 戦場で何もできないことが、これほどまでに恨めしく思えたことはこれまでなかったかもし
れない。
 一方で思いのままに今すぐ彼女たちの間に飛び込んで、止めろと叫びたい衝動に駆られる。
 だが、そんな一刀を思い止まらせたのは、小賢しい理性と、一刀の制服を強く掴んで離さな
い少女の存在であった。
348美羽と七乃スピンオフ「遼来来4」(6/21):2009/10/24(土) 21:45:27 ID:joG4JVAA0
 彼女もまた、一刀の腕の中、泣きそうな顔をしながら戦いを見つめていた。
 北郷一刀という人間の中には、そんな少女を見捨てる選択肢はない。
 それでもしばし逡巡して、
「……くそっ、まずはここから離れないと」
 そう口にした。

 四人が戦っている場所から、一刀たちがいる場所までの距離は、目算で二十メートル程度。
 こんな距離、英傑たちの戦いを考えれば決して安全とは言い難い。
 一刀はとりあえず、少女の手を引いて、安全な場所へ移動することにした。
 『助ける』と言ったこの少女を守るためにも、ひとまず安全場所に連れて行くのが最善と思
われたのだ。
 何より霞にこの少女を殺させてはならない、そう思ったのだ。

 そうして今後の方針を決めて、一刀の行動を起こそうとしたときだった。
 彼は首筋に突然、ひやりとした金属の冷たさを感じた。
「小蓮から離れろ……」
 そこでようやく、一刀は自分の首に鈍く光る剣が押し当てられていることに気がついた。
 そして、その怒気を孕んだ声に小蓮が反応した。
「蓮華姉さま!」
 声をした方をゆっくりと振り返ると、そこには剣を手にした赤髪の少女が立っていた。
 鋭い目つきに、厳しい口調。
 決して友好的な雰囲気ではない。
 しかし一刀には、目の前の娘に、腕に抱えた少女や、以前出会った孫策に共通する雰囲気を
感じ取ったことの方が重要だった。
「まさか、君……」
349名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 21:46:26 ID:WGOFpYuW0
支援砲撃、弾着、今!
350名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 21:46:33 ID:skZ7j9oa0
紫煙
351美羽と七乃スピンオフ「遼来来4」(7/21):2009/10/24(土) 21:48:19 ID:joG4JVAA0
 口を開こうとした一刀だったが、蓮華はそれを途中で遮った。
「貴様、その妖しい出で立ち……一体何者だ。小蓮になにをするつもりだった!?」
 放たれた激しい言葉に、一刀は自分の腕の中にいる小蓮を見る。
 小さな彼女は自分の腕の中にすっぽりと収まっている。
 なるほど、これは確かに――
「ち、違うの姉さま!」
 と、蓮華に慌てて抗弁しようとした小蓮の言葉。その末尾を一刀は聞きとがめた。
「姉さま? っていうことはやっぱり……」
「姉さま聞いて、この人はシャオを救ってくれたの!」
「君は、君はもしかして孫権? 孫権仲謀?」
「シャオのことを助けてくれた命の恩人なの!」
「だったら孫権さん! お願いだから話を聞いてくれ。俺は『天の御使い』北郷一刀。なんだ
ったら孫策さんには会ったことがあるから、あとで確認したって良い!」
「かずと……一刀って名前なのねっ! じゃあじゃあ、これからは一刀って呼ぶから、シャオ
のことはシャオって呼んで!」
「このままじゃ取り返しのつかない、大変なことが起こるかもしれない! だから俺の言うこ
とに従って欲しいんだ!」
「姉さまお願い! 一刀は何も悪くないの! 一刀はシャオを一生守ってくれるって言ってく
れたのっ!」
「一刻も早くこの戦場から兵を引きあげて欲しい!」
「運命の人なのっ!」
352名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 21:49:07 ID:ENyldGqS0
支援
353名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 21:50:17 ID:WGOFpYuW0
なんというカオスww
354名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 21:50:40 ID:ENyldGqS0
妙な誤解が発生しているw
355名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 21:50:47 ID:+O3wFRQmO
追いついた!支援砲撃開始!
356美羽と七乃スピンオフ「遼来来4」(8/21):2009/10/24(土) 21:51:50 ID:joG4JVAA0
 途切れることなく矢継ぎ早に言葉をたたみ掛ける二人。蓮華は逆に両者に詰め寄られる形と
なって後ずさった。
 しかし、すぐなぜ自分が押されているのだと思い至り、顔を真っ赤にして怒鳴り返した。
「ええいっ! 二人とも、黙りなさい!」
 その思わぬ大声に思わず二人は、
『は、はい』
 声を揃えて頷くことしかできなかった。
 
「そう……なるほど。ではあなたには礼を言わないといけなかったようね」
「いや、別にお礼なんて……」
 小蓮と蓮華は、お互い簡潔に状況を説明し合い、その結果として蓮華は剣を引いてくれた。
 それを見て、一刀は心底ほっとする。
 何度経験しても、真剣を向けられるというのに慣れない一刀である。
「小蓮がいないことに亞莎が気づいて、それで胸騒ぎがして戻ってきた明命たちにも手伝って
もらったんだけど……間に合って良かったわ」
「……ごめんなさい」
「で、あなたがあの噂の、管輅の占いに出てきた、『天の御遣い』というのは?」
「え? あ、ああ。どんな噂だか知らないけど、多分俺がその『天の御遣い』だよ」
 蓮華はそれを聞いて一度目を閉じた。
「……だったら、最初に剣を突きつけたのは正解だったようね」
 そして彼女は、再度その剣を、一刀の首に突きつけたのである。
「な、なんで!?」
 一刀が驚きの声を上げる。
357名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 21:52:43 ID:rE7DBafa0
私怨開始
358名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 21:53:37 ID:8+W1mxbMO
支援
359美羽と七乃スピンオフ「遼来来4」(9/21):2009/10/24(土) 21:54:59 ID:joG4JVAA0
「袁術に拾われ、そして袁家の血族に迎えられたという『天の御使い』。姉からは、あなたこ
そが最も危険な男だと聞かされている。だから、妹を助けてもらったことは感謝しているが、
その上で……おまえを拘束させてもらう」
「そ、そんな! 俺は霞を、張遼を止めなくちゃいけないんだ!」
「……わかって欲しいなんて言わない。でも、こちらもなりふり構っていられないのだ。おま
えを……盾にさせてもらう」
 勝手な言い分に、一刀は言い返そうとした。
 だが、蓮華の綺麗な目に苦悩が滲んでいるのを見て、思わずそれを呑み込んだ。
 それほどまでに、彼女は思いつめた目をしていたのだ。

 そんな風に押し黙った一刀を見て、蓮華は一瞬だけすまなそうな表情を浮かべて言った。
「こんなことを話す必要はないけれど、煩わしさにかまける一時が惜しいから教えてあげるわ

「え?」
「我が軍は既に撤退することを決定している。あとはこの場から素早く退くだけだ」
「て、え、えぇ!? あの雪蓮姉さまを説得できたの!?」
「説得したんじゃないわ。形の上だけで納得してもらったのよ」
「でもそれなら、別に俺を拘束する必要なんて……」
「その撤退を、あの張遼が大人しく見ていてくれると思う?」
「う……」
 『思う』とは言い切れなかった。
360名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 21:56:21 ID:+O3wFRQmO
リアルタイム支援は久しぶりだな〜
361名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 21:56:53 ID:yPcROIUg0
とはいえ目の前で一刀引っ張っていこうとした時点で撤退とか無理になる気もするがなw 支援
362美羽と七乃スピンオフ「遼来来4」(10/21):2009/10/24(土) 21:57:28 ID:joG4JVAA0
 一刀はいまも戦っている霞たちの方へと目を向けた。
 侵攻してきた呉軍を撤退させることができれば、一刀たち本来の目的は達せられる。
 だがいまの霞を見る限り、彼女が逃げる呉軍を追いかけて孫策たちの命を狙わないとは断言
できなかった。
「私だって本当はこんな真似は本意ではない……だが、軍が撤退を完了するまで、おまえを人
質にさせてもらう。幸い、おまえと張遼は知らぬ仲でもないようだしな」
「なんでそのことを……って、そっか真名か。でも霞が、俺の安全よりも、使命の方を優先す
る可能性は?」
「それはそれで仕方がない。おまえはただの保険だ」
「……それは、参ったなぁ」
 そう言って、一刀は両手を頭の上に上げて恭順を示した。
 霞を救わねばならない、そのためにはこの戦いを終わらせなくてはならない。
 だが、目の前の蓮華は本気だ。
 一刀は自分の腕前では、到底目の前の孫権に敵わないであろうことを承知していた。
 それに、彼女もまた仲間を救うために最善を尽くそうとしているのだとわかってしまう一刀
には、これ以上どうすることもできなかった。
「君たちの目的は、あくまで無事に退くことであって、張遼を討ち取ることじゃない。これは
間違ってない?」
「ええそうよ。いまの張遼を討ち取ることで出る被害は見過ごせない」
「それを聞いて安心したよ……。わかった、君の言うとおりにするよ」
 あるいはその言葉には、自分が人質に取られたことで、あわよくば霞が戦いをやめるかもし
れないという、期待が含まれていたのかもしれない。 
 けれど、あとで思い返せば、一刀はこのとき何が何でも逃げ出せば良かったと思うのだ。
363名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 21:57:36 ID:ENyldGqS0
支援
364名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 21:58:12 ID:skZ7j9oa0
紫煙を燻らせながらの支援、とくらぁッ!
365名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 21:58:54 ID:ENyldGqS0
まあ火に油注ぐようなもんだよなあw
366名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 21:59:02 ID:gqC1fWqb0
逆に追っかける名分ができてしまうでござる
367名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 22:00:23 ID:t8xhMNu+0
支援砲撃だ!耕してしまえ!
368美羽と七乃スピンオフ「遼来来4」(11/21):2009/10/24(土) 22:00:44 ID:joG4JVAA0
 張遼の動きが、突如として鈍った。
 その目が驚愕に大きく見開かれている。
 それがこちらの隙を誘い込もうとする罠であることも考え、思春は張遼から目を離さなかっ
た。
 しかし、動きが鈍り、剣筋に迷いが生じたのも確か。
 巻き返すには、これ以上ない絶好の機会であった。
「亞莎! 明命! 少しの間相手を頼む! 死ぬなよ!」
 合図となる思春の声に、二人は黙して応えない。
 ただ、手数を増やすという行動でのみ意思を示すだけだ。
 それを見て思春は二人の理解に感謝し、大きく後ろに跳躍した。

 思春が降り立ったのは、混乱する兵たちが固まる一角であった。
「聞けぇ! そして見よ! 孫呉の兵たちよ!」
 そして思春は高らかにそう宣言しながら、その身を翻す。
 同時、手にした刃が、水平に流れる。
 合わせて、鮮やかな赤が飛び散った。
 喉を切り裂かれて仰け反ったのは、逃げ出そうとしていた兵士の一人であった。
「甘寧将軍!?」
 血迷ったかのような彼女の行動に、周囲の兵たちから困惑の声が上げる。
 だが思春は、それをかき消す大声で叫んだ。

「貴様らそれでも栄えある孫呉の兵か! 恥を知れ! 怯える兵は孫呉の兵に非ず! 敵に背
を向けた臆病者は即刻、この私が冥土に送ってやろう!」
 リィンと鈴の音が響く。その鈴の音と怒号に、誰もが息を飲んだ。
 するとそれでそれまでの騒ぎが嘘のように、潮が退くようにして周囲が静まりかえる。
 そしてそのことを確認して、この機を逃さず思春は言葉を続ける。
369美羽と七乃スピンオフ「遼来来4」(12/21):2009/10/24(土) 22:03:35 ID:joG4JVAA0
「なにをやってる楽隊! さっさと楽をならせ!」
 従わなければ斬り捨てる。そう言外に言ってのける甘寧に、近くに控えていた楽隊が震え上
がった。
 がなり立てるように奏でられ始める勇ましい楽の調べ。それに乗せて思春は更に叫ぶ。
「隊列を整えろ! 武器を構えろ! 訓練を思い出せ! 奮い立て孫呉の勇士たちよ!」

 恐怖を制するには恐怖。
 思春の行動によって、崩壊状態だった兵士たちの動きに歯止めがかかった。
 本来のまとまりからすると目も当てられない惨状だが、いまはそれでいい。
 戦いは流れだ、その流れを引き戻す一助になれば……最悪でも、蓮華たちが逃げのびる邪魔
にならなければ、それでいいのだ。

 強引に統率を回復させた思春が再び張遼との死闘の場に戻ると、丁度三者が睨み合う形で動
きを止めているところであった。
 亞莎と明命は二人とも肩で息をして、小さな手傷が増えているいるものの、きちんと健在で
ある。
「大丈夫か二人ともっ!」
 その声に、

「私はまだやれます!」
「問題ありません!」

 亞莎と明命は即座に応えて、戦闘継続の意志を構えで示した。
 三人とも、既に数え切れないほどの刃を交えて、いやと言うほどにわかっている。
 この敵は、これまで相手にしてきたどんな敵よりも強い。
 その強さはどんな尺度で測っても桁外れだ。犠牲抜きに倒すことはまず不可能だろう。
370名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 22:05:38 ID:+O3wFRQmO
支援砲撃!山の形を変えてやれ!
371名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 22:06:16 ID:ENyldGqS0
支援
372美羽と七乃スピンオフ「遼来来4」(13/21):2009/10/24(土) 22:06:33 ID:joG4JVAA0
 だが、
「ならばよしっ! 蓮華さまは小蓮さまと合流なされた、あとは我々が時間を稼ぐだけだ! 
覚悟を決めろ! 例えここで命果てようとも、絶対に蓮華さまたちをお守りするぞ!」
『はいっ!』
 三者とも、難敵を前にかつてないほど気力が漲っていた。
 自分たちが最後の守りだという事実が、実力以上の力を引き出しているのだ。
 負けられない、譲れない。
 守りたい人がいる。
 そんな想いや願いが彼女たちの原動力になっていた。

 だがしかし、
 想いの強さが力になるというのなら、

「邪魔や……」

 願う心が力になるというなら、

「邪魔や邪魔や邪魔やああああああああああああああああああああああああああああ!!」

 いまこの戦場で、彼女に勝るものなど誰一人としていなかった。
 視界の先で喉元に刃を突きつけられ、連れ去られようとしている愛しい人を、守りたいと思
う気持ちは誰よりも強かった。

373名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 22:07:05 ID:ENyldGqS0
ですよね〜支援
374名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 22:07:31 ID:skZ7j9oa0
生唾を呑みながら支援
375名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 22:07:52 ID:t8xhMNu+0
あっちゃー、こりゃ火に油注いだな
まぁいい、支援砲撃は続行だ!
376名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 22:08:06 ID:uOtNCXIh0
支援させて頂きます。
377名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 22:09:04 ID:yPcROIUg0
だよなあ…… 支援
378美羽と七乃スピンオフ「遼来来4」(14/21):2009/10/24(土) 22:09:20 ID:joG4JVAA0
 絶叫と同時、電光が走った。

 叫びに呼応するようにして、空から稲妻が彼女の体に吸い込まれるように流れ落ちたのであ
る。
 閃光、そして轟音。
 たがうことなく霞の体に落撃する、晴天の雷。
 だが、異常はそれだけで留まらない。
「なんだと!?」
 驚く思春の声をかき消して、更に雷鳴。強烈な音と衝撃が、なおも周囲を襲った。
 先ほどの雷と同じものが。立て続けて五つ六つと連続して落ちる。
 しかもそれらすべてが、仁王立ちする張遼を直撃する。

 幾度もまばたく電光の、あまりの強烈すぎる輝き。
 瞼を閉じていてなお、網膜に像が焼き付けられるほどの光。
 それはまさに、天が地に降り人の身に宿った瞬間であった。



 しばらく続いた光と音の狂騒が静まり、視力が回復した人々が目にしたのは、一つの怪異で
あった。
 体に稲妻を纏い、ほどけた髪を生き物のようにくねらせて、全身から黄金の光を放つ張遼。
 あれだけの落雷を身に受けたというのに、当然とばかりにその身には火傷の跡一つない。
 もうそれはいっそ、神と呼んで差し支えない、人間本来の枠組みを超えた存在であった。
379名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 22:10:31 ID:+O3wFRQmO
火に油?
重油に爆弾でわ?
380名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 22:11:04 ID:yPcROIUg0
孫呉オワタ 支援
381名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 22:11:20 ID:t8xhMNu+0
あ、これ三国無双MULTI RAIDだわ
382美羽と七乃スピンオフ「遼来来4」(15/21):2009/10/24(土) 22:12:53 ID:joG4JVAA0
『………』
 呆然とする思春たちを前、張遼は足を広げ、だらりと下げいた飛龍偃月刀を、掲げるように
頭上に構えた。
 すると飛龍偃月刀がバチバチという音を立てて、一層強烈な光を放った。
 異変はそれだけではない、周囲の空気が恐ろしい勢いで張遼の持つ槍へと引き込まれていく。
 それはまるで、巨大な龍が大きく息を吸い込んでいるかのようであった。

 不意に、蓮華は強烈な悪寒に襲われた。
 最悪の光景、血の海の既視感。
 彼女は即座に一刀と小蓮の頭を抑えた。
 そして彼女は叫んだ、わけもわからず、ただ力の限りに。

「みんな、伏せ―――――」
 しかし、

 直後、ためを解放して、人智を越えた神速で飛龍偃月刀が水平に振るわれた。
 薙ぐようにして刃が走り、光が、奔る。

 結局、蓮華はこの世に地獄が生まれ落ちるのを止められなかった。



 霞を中心として、太刀筋が光の輪となって広がる。
 衝撃と共に広がる光の輪。
 斬光の同心円。
 それがどこまでも広がっていく。
383名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 22:13:49 ID:+O3wFRQmO
孫呉終了のお知らせをいたしま〜す
支援
384名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 22:14:09 ID:ENyldGqS0
支援
385名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 22:14:23 ID:skZ7j9oa0
巨神兵を幻視したのは自分だけでいい…支援
386名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 22:14:36 ID:t8xhMNu+0
今の霞ってこんな感じ?大分違うと思うけど
http://www.gamecity.ne.jp/musoumrsp/all/GI07.jpg
387名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 22:15:05 ID:yPcROIUg0
空き巣狙いに全兵力突っ込んで人質まで取ってこれとか泣くに泣けんな。支援
388名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 22:15:24 ID:uOtNCXIh0
一刀君、漢をみせろ。

支援。
389名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 22:15:25 ID:ENyldGqS0
支援
390美羽と七乃スピンオフ「遼来来4」(16/21):2009/10/24(土) 22:15:37 ID:joG4JVAA0
 そして、斬撃が風を切って過ぎ去ったあと、追いかけるように無数のなにかが空を舞った。

 それも、一つではない。

 無数の
 それはもう無数の
 首が、

 首が、首が、首が、首が、首が、首が、首が、首が、首が、首が、
 首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が
 首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が
 首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が
 首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が
 首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が
 首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が
 首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が
 首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が
 首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が
 首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が
 首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が
 首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が
 首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が
 首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が
 首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が
 首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が
 首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が
 首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が
 首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が

 血の尾を引いて、空に舞う。
 理不尽すぎる力の前に、無慈悲にも万単位の命がに失われた瞬間であった。
391名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 22:16:44 ID:yPcROIUg0
って一撃で万単位かい。何という無理ゲー
支援
392名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 22:17:06 ID:GAN4tvreO
トラウマじゃすまないなこれ……
支援
393名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 22:17:32 ID:ENyldGqS0
本当に理不尽だw
394名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 22:17:41 ID:a7ESfplu0
こ、怖過ぎる・・・
395名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 22:18:40 ID:a7ESfplu0
一気に400近くの首が飛んだのか・・・
396名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 22:18:42 ID:+O3wFRQmO
あれ?俺いつの間に型月のフェイトを読んでるんだ?
支援
397美羽と七乃スピンオフ「遼来来4」(17/21):2009/10/24(土) 22:18:49 ID:joG4JVAA0
「そ、んな……」
 二人を地面に引き倒して自らも難を逃れた蓮華が、顔を上げて呆然と呟きを漏らした。
 視界に入る範囲、いたるところで頭部を失って案山子が立っていた。
 立ち尽くした無数の亡骸が首から勢いよく血を噴出させている。
 それが、一つ、また一つと倒れていく。
 その光景はあまりにシュールすぎて、まるで悪い冗談のようで、蓮華にはそれらがつい先ほ
どまで皆生きていた人間たちの、なれの果てだとは信じられなかった。


 そうして蓮華が絶句する中、張遼の方でも変化が起こっていた。
 彼女が握っていた飛龍偃月刀。それが突然、硝子の割れるような澄んだ音を立てて、木っ端
微塵に砕け散ったのである。
 柄も、刃も、すべてが破砕して、輝く粒子となって崩壊して風に流れて消えていく。
 人為を尽くした最高の業物であったそれも、いまの彼女が振るうにはあまりに脆弱であった
のだ。

 得物を失った張遼であったが、彼女が右腕を天に掲げると、たちまち天から新たな稲妻が走
った。

 だが、今回のそれは張遼の身に落ちたわけではない。
 雷光の中、張遼は信じ難いことに、その手に落雷を掴んでみせたのだ。
 掴まれた稲妻が、まるで苦しみに身をよじるようにして暴れ回る。
「――――――っ!!」
 暴れる雷に、張遼が声にならない叫びを上げた。
 するとどうだろう、それまでのことが嘘のように雷が静まっていく。
 そうして雷が収まったとき、張遼の手の中には黄金色に輝く飛龍偃月刀が握られていた。
 稲妻を統べ、龍を使役する。
 それはまるで神仙の御業のようであった。
398名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 22:19:47 ID:+O3wFRQmO
>395

>一気に400近くの首が飛んだのか・・・
万だよ万
399名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 22:20:03 ID:t8xhMNu+0
ゼウスかよwwww
しかし、ここまでくると種族:霞だな
400名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 22:20:08 ID:skZ7j9oa0
ゲシュタルト崩壊モノだな、コレ…支援
401名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 22:21:00 ID:gQCBMlgu0
まさに三国無双状態だな
402名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 22:21:04 ID:yPcROIUg0
事情知らないと、天の使いに手を出したから天が怒ってるんだ、とか思ってもおかしくねぇ展開だなあ
支援
403美羽と七乃スピンオフ「遼来来4」(18/21):2009/10/24(土) 22:21:22 ID:joG4JVAA0
 しかし、そんな光景を目にしても、なおも奮い立つ者たちがいた。
「くそっ……化け物めっ! 行くぞ二人とも! 我らの血のたぎりにかけて、なんとしても絶
対にこれ以上好きにさせるな!」
「は、はいっ!」
「仕留めますっ!
 蓮華の叫びで咄嗟に伏せることができたため、災禍を逃れた三人である。

 呼吸を合わせ、一斉飛びかかる思春、亞莎、明命。
 先ほどと同じ、三対一の戦いが始まった。
 まとめて幾十、打ち鳴らす剣撃の音が、血の海の地獄に響く。
 けれども、そうして対峙する黄金色の張遼は、これまでとはまったくと言って良いほどに、
力も、速さも何もかも違っていた。
 明らかに、強さが増している。
 それでも三人は、完璧な連携で攻撃をし続ける。
 取り囲んだ三方からの、間断ない超速の連続攻撃。
 突き、絶ち、斬り、穿ち、弾き、裂き、砕き、刺し、薙ぎ、崩し、殴り、蹴り、返し、衝す。
 持てる技のすべてをぶつける、出し惜しみなどしない。
 ただ一人の敵を倒すために、全力で挑む。

 そうする彼女たちは確かに強かった。
 けれども、それは人という枠組みの中の話である。
404名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 22:22:03 ID:a7ESfplu0
>>398
首が で判断したんだ。オイオイ・・・どこの神話の世界だよ・・・。
405名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 22:22:40 ID:+O3wFRQmO
>399
種族:霞
「今後ともよろしく」
406名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 22:23:54 ID:8U/w3ig20
>>405
ちょっとメガテンやってくる!
407名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 22:24:01 ID:skZ7j9oa0
む、『絶ち』は『断ち』の間違いか…?
俺の勘違いだったら謝るぞ…支援
408美羽と七乃スピンオフ「遼来来4」(19/21):2009/10/24(土) 22:24:16 ID:joG4JVAA0
 最初に崩れたのは、亞莎の担う一角であった。
 彼女の武器は他の二人と違い、圧倒的にリーチが短い。
 鉄甲という武装は、究極的にはインファイト以外の選択肢が存在しない武装なのである。
 しかしそれでも、本来なら長柄武器を持つ相手に対して、鉄甲による打撃域に踏み込めたの
なら、そこが最も安全な距離となるはずだった。
 だが、こと今回の戦い、この相手に限って言えばその原則が当てはまらない。
 張遼が振るうあまりの暴力、あまりの破壊力、それは余波と呼ぶにはあまりに大きな力のう
ねりを発生させていた。
 荒れ狂う嵐のようなその動きに、少しでも巻き込まれたのなら、人間の体などあっさりと圧
壊されかねない。それだけの恐怖を張遼の動き一つ一つが秘めていた。
 そして、常に敵の眼前に居続けることで、最もそのプレッシャーに晒されるのも亞莎であっ
た。
 そんな彼女の消耗の速さは、他の二人の比ではない。
 加えて、亞莎は純粋武官である他の二人に比べてスタミナが足りていない。
 あるいは昔のまま、武将として蓮華に仕えていたなら違ったかもしれないが、軍師に転向し
た彼女が、最初に耐えられなくなるのは自明の理であった。

「くううぅっ!!」

 摺り足、踏み込み、体捌き、足捌き。
 亞莎は踊るようにして、最前線で果敢に接近戦を挑み続ける。
 だが、衰えを知らずに攻め立てる二人に対して、徐々にだが彼女の動きだけが遅れだしてい
た。

「大丈夫か!」
「まだ、やれま……きゃっ」
「亞莎!?」
409名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 22:24:57 ID:ENyldGqS0
支援
410名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 22:26:13 ID:+O3wFRQmO
>406
せめて今日の分、見てからにしる。
その後なら、でもアクシデントでも霞は出てこないぞ(笑)
411名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 22:27:18 ID:Wx7yBNga0
終わりがけだが支援開始
412美羽と七乃スピンオフ「遼来来4」(20/21):2009/10/24(土) 22:27:25 ID:joG4JVAA0
 明命を攻撃した飛龍偃月刀の余波で発生した、のたうつ蛇のような放電現象を受けて、生理
現象として亞莎の足の筋肉が痙攣を起こす。
 そしてそのわずかな隙を見逃さず、すかさず張遼の鞭のようにしなる強烈な蹴りが入った。
「うああっ!?」
 咄嗟の防御、左腕をたたんで張遼の足との間に人解を滑り込ませた亞莎だったが、それでも
その衝撃は彼女の腕と内蔵の一部に、看過できないダメージを残すに十分な一撃だった。
 防御した姿勢のまま、その軽い体が威力を吸収しきれずに吹き飛ばされそうになるのを、彼
女はすんでのところで踏ん張って堪えた。
 そして、

「ぅ」

 亞莎は踏ん張った姿勢のまま腰を沈ませ、そしてこれまで行った中で、最大最圧の震脚を踏
んだ。

「ああああああああああああああああああああああ!!!」

 音を立てて地面が抉れる。
 そこから生まれる圧倒的な速さと破壊力を持った、彼女そのもののような愚直なまでの拳撃。
 亞莎はそれをまっすぐに、放つ。
 避けられても、まっすぐに。
 受けられても、まっすぐに。
 放つ、放つ、放つ、

 放つ放つ放つ放つ放つ放つ放つ放つ放つ放つ放つ放つ放つ放つ!!
413名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 22:28:07 ID:Wx7yBNga0
もういっちょう
414名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 22:28:28 ID:ENyldGqS0
支援
415名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 22:28:54 ID:ZYuvIaXS0
支援
416名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 22:29:25 ID:yPcROIUg0
最後の支援っ
417名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 22:30:23 ID:+O3wFRQmO
恐らくこれが今日最後の支援と成るだろう、私から言えるのは皆死ぬな!まだ明日も有る!以上だ。
418美羽と七乃スピンオフ「遼来来4」(21/21):2009/10/24(土) 22:31:32 ID:joG4JVAA0
 防御に使った左腕は、折れてこそいないが動かすだけで尋常ではない痛みが走る。
 一方肋骨の方は、数本まとめて駄目になっているだろう。
 体を動かす度に、これら負傷箇所から気絶するほどの激痛が走る。
 痛めた内臓からの出血が逆流し、口の端から血が溢れて地面を点々と汚すけれども、そんな
ことには構っていられない。
 亞莎は命を燃やして怒濤の連打を繰り出し続ける。

「亞莎!!」
「亞莎っ!?」
 フォローに入ろうとしていた思春と明命から悲鳴のような声が飛ぶが、それでも亞莎の動き
は止まらない。
「あああああああああああああああああああああ!!」
 幾十幾百、唸りを上げて間断なく打ち付けられる拳打の嵐。
 鬼気迫る表情で、亞莎は渾身の一撃を放ち続けた。
(持って十秒! どうかっ!)

 そのとき、衝撃と音で気を失っていた一刀が目を覚ました。
 彼が頭を起こし、そして真っ先に目に飛び込んできたのは、激しく拳を振るう亞莎の姿であ
った。
 それを見て一刀は、

 ああ、まるで、燃え尽きる寸前の線香花火のようだ

 と、思い。
 そしてそんな彼女のことを、心の底から綺麗だと思った。
419名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 22:32:25 ID:ENyldGqS0
支援
420名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 22:34:37 ID:t8xhMNu+0
一刀さん!ボーっとしてないで亞莎と霞を止めて!
421名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 22:35:46 ID:+O3wFRQmO
一刀…見とれてないで動けよ
422名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 22:35:57 ID:yPcROIUg0
亞莎逃げて! さりげなく一刀に君の死亡フラグ立てられてるから!
423名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 22:36:11 ID:uOtNCXIh0
お疲れ様でした。

霞〜、帰って来〜い。
424名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 22:37:15 ID:+O3wFRQmO
>420
  `¨ − 、     __      _,. -‐' ¨´
      | `Tーて_,_` `ー<^ヽ
      |  !      `ヽ   ヽ ヽ
      r /      ヽ  ヽ  _Lj
 、    /´ \     \ \_j/ヽ
  ` ー   ヽイ⌒r-、ヽ ヽ__j´   `¨´
           ̄ー┴'^´
425メーテル ◆999HUU8SEE :2009/10/24(土) 22:38:36 ID:joG4JVAA0
わたしの名はメーテル……投下終了を告げる女。
思いの外派手になっているけど、多分これから先、ここまで派手なものは多分もう書かないと思うわ。

それでは、最後は明日の午後9時30分からよ、鉄郎……
426名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 22:40:08 ID:sqcrIv6X0
メーテル乙

亞莎ガンガレ
427名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 22:41:12 ID:skZ7j9oa0
お疲れ様でした!
さてコレからどうなるか…楽しみですな
428名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 22:41:22 ID:GAN4tvreO
乙です

そりゃこんなの見たら袁仲に喧嘩売れないわ
429名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 22:42:00 ID:MLa84M8X0
一般兵からしてみりゃ、こんなのの居る国に喧嘩売って勝てるとは思わないよなあw
430名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 22:42:22 ID:ENyldGqS0
メーテル氏乙です
もはやここまでくると天災みたいなもんだなw
せっかく転がり込んできた貢物(一刀)を捧げて静まるのを待つしか
しかしシャオの勘違いはその後混乱を呼びそうだなw
431名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 22:43:46 ID:Wx7yBNga0
乙カレー 毛の長い女 くれぐれも便所には気をつけるんだぜ
432名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 22:45:04 ID:XWM9YCam0
霞さんいつのまに宝具エクスカリバーを手に入れたんですかw
433名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 22:48:04 ID:+O3wFRQmO
三国バサラ?
メーテル氏乙
独り言だとブ○ッ○ラ○ー○9
434名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 22:56:01 ID:GAN4tvreO
≫432
設定的にも『約束された勝利の偃月刀』状態だしw
435名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 22:56:17 ID:+6vtZ8MD0
いやあ、ここまでくると、もう霞は自然現象みたいなもので、それにひたすら立ち向かう三人が、
美しくてかなわんね。
436名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 22:58:24 ID:a7ESfplu0
霞「我は天の災い。この場所に居たお前達は、運が無かっただけだ。」
437名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 23:05:35 ID:skZ7j9oa0
>>369の15行目、『小さな手傷が増えているいるものの』ってなっている事を報告
正しくは『小さな手傷が増えているものの』と思われる
438名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 23:10:28 ID:+6vtZ8MD0
>>344
>神速ので突きを受け流す
神速での か 神速の どっちかの間違いかな?
439名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 23:21:18 ID:bWbORHF+0
思春が来なければ収まってたのに…
蓮華も人質とかするより、皆で土下座でもして謝った方が
多分ここまでの惨劇は起きなかっただろうな…
命がけの3人には悪いが、万単位で人殺せるの相手だと
誇りや信念がいくらあっても勝てそうにない
440名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 23:25:37 ID:+6vtZ8MD0
普通は相手がそんな存在だと思わないw
少なくとも当日までは、それなりに普通の武将だったんだぞw そりゃ、強いのは強かったが人間だったのが
いきなり人外になってるって普通想像しないよw
441名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 23:29:50 ID:cS3k0fm/O
思春も蓮華も極めて常識的な判断だよ
今の霞が非常識ってレベルじゃねーだけだ
442名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 23:30:37 ID:ENyldGqS0
敵対勢力としては排除を試みるか撤退するかしか無いからな
んで今は撤退開始するとこだから時間稼ぐしか蓮華達に選択肢は無いよな
止めるのに一刀を使うとすればまあ人質ってのは妥当な判断ではある
今回の場合全くの逆効果だけどw
443名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 23:32:54 ID:D/YKU7dP0
一刀が死んでないだけましか。
2話前に殺されてたらその場で孫一派が滅んでもおかしくは無いと思う。
444名無しさん@初回限定:2009/10/24(土) 23:46:17 ID:K0x4e4aj0
しかしながら、主要キャラの死人なしで収拾つけるのは無理だな
445名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 00:00:29 ID:sqcrIv6X0
メーテルおそろしい子
魏√アフターで、
華琳がもう限界(キレタ)

そうだ一刀をさらいに行こう

管輅に頼み込んで(シバキ倒して)天の国へ行く方法を知る

誰が行くか揉めに揉めて華琳、桂花、凪、季衣に決定
って所までをシリアス無しで
2200字ぐらい書いたけど
自分の稚拙な表現に愕然とした・・・
スッパリとやめる決心がつきました
メーテルありがとう

全裸待機で続きを楽しみに待ってます
446名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 00:04:31 ID:UdEg5xQ/0
天に行く方法なら管輅に聞くより
真桜えもんがタイムマシンを作る方が何故か納得できるな
447名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 00:20:43 ID:ZyU/svR20
メーテル氏乙です
あわわわ、霞さんメタモルフォーゼしてしまった・・・どうする一刀。
続きが気になる
448名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 00:29:58 ID:q71zEkwp0
首が・・・のところで夢枕獏を思い出した自分・・・
449名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 03:09:10 ID:COUJVlSc0
>445
投下してみてはどうか?
自分も皆には及ばないが、こつこつと魏ルートアフターで霞のはなしを書いているぞ。
プロットは出来上がってるのだが、仕事が忙しくて肉付けがなかなか完了しないorz
450名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 05:43:45 ID:nC4MenvU0
うむ、比較してしまう気持ちはわかるが
投下して反応を貰うことで成長できる部分もあるだろうし
気軽にやってみてもいいんでないかな?
451名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 08:20:44 ID:WIJhcbmn0
ほーけい『反応みてるってことは見せてっていってほしいんだろにーちゃん、はやくだしなよ』
452名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 09:56:20 ID:uO3aIikk0
結局古参は、職人に好意的じゃない奴には噛み付くのなw
優しく言うとか関係ないし。
これじゃ直に投下する職人も減るわ。
自分のせいで荒れたらたまったものじゃないしな?
453名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 10:53:30 ID:mqCjf/Eu0
新参乙
454名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 12:02:42 ID:lFQqOA2i0
今回のはどう見ても職人に好意的じゃないから噛み付かれたんじゃなくて
昔話し合って出来たテンプレをちゃんと守ってるのに自分ルールを押し付けようとしたから噛み付かれたんだろ
状況をちゃんと理解してから書き込め
455名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 12:19:54 ID:SvuAapxoO
>>452の脳内で「俺ルール>>>>>>テンプレ」なのはよく分かった
456名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 12:29:00 ID:8LQC8aWf0
構うなよ……。

それはともかく、
>>445
背中おしてほしいんだろ、ほら、やってみるんだ。
まあ、実際、同じテーマででも短いものを書いてみて、それを投下して様子を見るってのもありだぞ。
457名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 14:02:09 ID:Vh7mq85F0
背中押しておいて一歩踏み出すと袋叩きにして追い返す
それがここのクオリティ
458名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 14:07:35 ID:3Jvq/ucR0
>>457
袋叩きというがこちとらアドバイスのつもりで言ってるんだぞ?
459名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 14:17:40 ID:E5T1F5s00
>>テンプレうんぬんやらルールやら
まぁ>>452はテンプレ嫁とも思うが……
四日連続というのもどうだろうとは思ったな

一般的な生活してたら投下できるのなんて夜くらいだろうし。
いくら事前予告って言ってもそういった投下できる時間を一週間の半分
奪いますよっていうのはいいのか?

俺はそれで自分の好きな作者が投下お預け食らったりしたら最悪だけどな
なんつーか、ルール内のことでも限度があると思う

というか、その辺を考えてるから昔、直投下してた人たちはやめたんだと思う。
そうでなきゃ、タイミングしだいでレスのつき具合が変わるtxt投下なんてしないだろ。
直投下の方がリアルタイムで支援やら途中経過での期待の言葉やら貰えて気分良いし。
投下してる間に人が増えてレスもつきやすくなることだって少なくないし。
手間だって、何レス分かにわけて投下すりゃいいだけだからそんなめんどくさくない。せいぜい時間くらい。
それでもtxt投下をしてくれるようになったから同じ日にいろんな作品の投下が可能になったわけだし。
そうやってちょっと考えれば作者たちがそれぞれ気を遣ってるのがわかる。

とは言っても、txt投下しろとは全く思わん。直投下はやっぱり良いもんだからな。
ただ他の作者の投下タイミングを"四日も潰す"ことはしないで欲しかったな。

それと、取りあえず流れを見て思ったのは、お前らは他の作者への被害はどうでもいいってことなんだな。
SSさえ読めて問題の作者がルールを一応でも守っていれば……。ようくわかったよ。
460名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 14:19:30 ID:8LQC8aWf0
こうして、善意(のつもり)の愚か者のせいで、さらにスレが廃れるのであった。
461名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 15:05:58 ID:dymG3yro0
こまけぇこたぁ(ry AAry
462名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 15:16:37 ID:nC4MenvU0
えーと、一応ここで以前書いてた者の一人として言わせてもらえば
投下のタイミングが数日遅れることで困ることはとくにありませんので
お気になさらず
463名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 15:30:31 ID:YMuOVHVz0
俺もここでたまーに短めの短編上げてるが、『絶対今週に上げたい!』なんて思うこと無いぞ。
予告無しで4日間連続で上げられたらまたかーぐらい思うだろうけど、予告もあるわけだし。
464名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 15:41:14 ID:zY11o0XJ0
>>459
以前は投下が被ることなんかよくあったし、その辺は作者同士で
「この時間に投下予告されてますが、投下しても大丈夫ですか?」
的なことを聞いて「どうぞどうぞ」的な感じで折り合いつけて
うまくやってたっつーの
ここに投下してくれてる作者方もその状況を知ってる人が多いし、
オマエみたいにそれをすぐ「被害」とかいってしまいうような
謎な被害妄想を持ってる程度の低い人間じゃないから
465名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 15:45:46 ID:BKvZooA90
さて、質問があるんだが良いかね?
今、『恋の日記』みたいな感じで短いの書いてんだが…

字数は少なくても、最大32行は守った方が良いよな?
466名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 15:46:51 ID:8LQC8aWf0
守った方がいいもなにも、三十二行より多く入れて投稿できないよ。この板じゃ。
467名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 15:54:03 ID:BKvZooA90
>>466
スマン、どうにも書くのが初めてな分、不慣れでな
答えてくれてアリガト、感謝する!
468名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 16:15:37 ID:d0kamCQD0
ガイドラインの1.はルールじゃなくてこの板の仕様だよ
469名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 16:59:06 ID:o1KZZthG0
貂蝉と卑弥呼を同時に相手して互角の華雄が実は恋姫最強なんじゃ
470名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 17:03:54 ID:2NgrPwdH0
恋する乙女は皆最強です
471名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 17:15:44 ID:a3vSLBwb0
じゃあ紫苑と祭と桔梗が弱いってことになるじゃないか!
472名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 17:18:23 ID:gXDxx0pS0
華雄は負けたあと修行して超パワーアップしてるから二人相手に互角
473名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 17:37:10 ID:jTlra/XW0
でも修行してパワーアップしても愛紗に負けてたり……
まあ、恋姫†夢想の話だが
474名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 17:52:34 ID:sw49BYkB0
>>467
赤壁での孔明の策を船ではなく生身でやってのけるとは、すごいな
475名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 17:53:57 ID:Vh7mq85F0
>>459
消えろカス
476名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 17:54:42 ID:cRXTq/+gO
>>471
年齢の関係もありますね、わかります
477名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 17:54:49 ID:sw49BYkB0
おっと、>>474>>471へのものだ。失礼した。
478名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 19:01:55 ID:Nn3j0avl0
そういや真恋姫夢想はでないのか?
479名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 19:54:47 ID:BKvZooA90
な、なぁ…恋の日記、桃香しても大丈夫か?
gdgdで、初めてで、オチなしなんだが…妄想力が尽きたorz
しかもたったの3レス分だ…
480名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 20:01:17 ID:8LQC8aWf0
どーんといけ。
最初は短いのでちょうどいいじゃないか。
そうして、だんだんと慣れてくほうがいいぞw
481名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 20:07:17 ID:BKvZooA90
そ、それじゃ次のレスから桃香開始!
さぁ、オラに力を分けてくれ!(感想的な意味で
482とある恋の日記:2009/10/25(日) 20:08:57 ID:BKvZooA90
―とある恋の日記―
 
 
 
あったかい日のお昼

 ご主人様が庭に来た
 セキトやみんなの話をした

 恋にあんなに話して来た人、初めて
 
 
寝ると気持良いと思った日のお昼

 ご主人様と“けいら”をしに市に行く
 美味しそうな香りがしたからお腹が減った
 そしたらご主人様、いっぱいご飯買ってくれた
 やっぱりお腹いっぱい食べれるのは良い、幸せ
 
 “けいら”が少し、好きになった
 
 
雲が美味しそうな日のお昼

 寝ていたらご主人様がいつのまにか傍に居た
 夢かと思って手を伸ばしてみた、けど掴めたから引っぱった
 
 隣に寝るご主人様はあったかい
 それに、いい香りがしてなんだかほわほわする
 
 気がついたら夜になってて、愛紗にご主人様が怒られてた
 ご主人様、大変そうだった
483名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 20:11:18 ID:xS+gnDtR0
恋の日記


かゆ
うま
484とある恋の日記:2009/10/25(日) 20:11:33 ID:BKvZooA90
セキトとお散歩の日のお昼

 ご主人様も一緒にお散歩
 セキトも何だかいつもより嬉しそうだった
 恋もご主人様と一緒で胸がきゅっとなった
 
 …こんな感情、初めて
 
 その後の水浴びもなんだか落ち着かない
 ご主人様が気になって、気になって、気になって…
 
 …また、胸がきゅっとした
 
 
チョウチョが可愛く飛んでた日の夕方

 愛紗とご主人様が一緒に居た
 笑って、怒られて、苦笑して、また笑ってた
 
 愛紗も怒ってはいたけど口元が笑ってた
 
 ………胸の奥が、チクッってした
 
 
少し暑い日の朝

 ご主人様に会いに行こうとしたらお仕事中だった
 邪魔しちゃ悪いと思った、けどまた愛紗が一緒に居た
 
 …愛紗ばっかり、ずるい
 愛紗はいつもご主人様を独り占めする
 ………胸の奥がまた、チクッってした
485とある恋の日記:2009/10/25(日) 20:12:39 ID:BKvZooA90
涼しくて気持良かった日の朝

 ご主人様の部屋に行った
 でも寝てたから何となく眺めてた
 
 ご主人様の寝顔は何度か見てる
 けど、なんだか胸の奥がキュッってして顔が熱かった
 
 結局、恋はご主人様を起こさずに部屋を出た
 
 
お引越しの日のお昼

 ご主人様が殿をやるって言った
 愛紗達みんなが止めてるのに、鈴々だけ連れてって…
 
 恋も、目の前が霞んで見えた気がした
 だって、ご主人様は弱い
 強いけど、弱い
 なのに危ない所に行く
 
 だから恋は、自分からついていく
 ご主人様が死なないように
 それ以上に傷付かないように
 
 ご主人様の傍が恋の居場所
 ご主人様の笑顔が恋のご飯
 ご主人様の幸せが恋の幸せ
 
 ………その日、戟がいつもより軽く感じた
486とある恋の日記:2009/10/25(日) 20:17:02 ID:BKvZooA90
…以上となりまふ!
ゴメン、オチがあんまりにも唐突なのは俺の所為だから恋を殴らないで!!

至らない所は多々あれど、精進中の身故、何卒平にご容赦をOTZ

>>483
絶対やると思ったよ!
487名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 20:17:53 ID:7vEshT+wO
>483
一瞬同じ事を思いついた事は認めるぞ。
488名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 20:20:03 ID:7vEshT+wO
恋を殴れる訳ないじゃ無いですか、心情的にも技量的にも(笑)
489名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 20:26:49 ID:rEXRaYPB0
乙。
なんというか日付があれなのがが恋らしいと言うか、可愛いw
490名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 20:51:46 ID:u94VVDJtO
日記乙

なかなかいいと思うけどな
キャラもちゃんとらしいと思うし

SS続ける気が有るなら頑張れ。
491名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 21:01:22 ID:sw49BYkB0
乙です
ちょっと気になったんでひとつ
細かい話だから無視してくれていいよ

>>484 …こんな感情、初めて → …こんなキモチ、初めて

に直したほうがキャラを掴めてる気がする
お目汚し失礼
492とある恋の日記:2009/10/25(日) 21:12:27 ID:BKvZooA90
何か友達の電話から戻って来たら感想が!コレは謝々と言わざるを得ない!

>>488
たしかにどう考えても心情的にも技術的にも無理です、ありがとうございました

>>489
日付は意識してたんで何か嬉しす

>>490
取り敢えずは恋の日記をもう一回は書きたいなぁ…と
後はもう、気分!

>>491
…確かにそっちの方が恋っぽいorz
うぅむ、まだまだ精進が必要なのを痛感!
直したいけど桃香しちゃったから直せないナリィ…

兎にも角にも感想謝々!すげぇ励みになったわ〜
493名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 21:12:57 ID:M1ju7/lvO
GJ!
久々に和み系作品読ませて貰ったよ
494名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 21:14:17 ID:8LQC8aWf0
恋かあいいのう。

でも、とりあえず三点リーダは一つじゃなくて二つ組で使ってほしい。
495とある恋の日記:2009/10/25(日) 21:20:17 ID:BKvZooA90
>>493
おぉ、和んでくれたなら本望!

>>494
自分でも三点リーダーは二つ組の方が恋らしいと今回で思ったよ
コレで更なる恋の日記がかけるやも!?

感想が一杯が嬉し過ぎて生きるのが辛い
496メーテル ◆999HUU8SEE :2009/10/25(日) 21:20:58 ID:bsXt3xFD0
わたしの名はメーテル……9時半から、最後の分割分を投下する予定の女。
ながながと付き合って貰ったこの短編も、今回の投下分でおしまいよ、鉄郎。

>>492
桃香乙よ……
犬っぽさが出ていて、とても良かったと思うわ。
次も楽しみにさせて貰うわね……
497名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 21:24:15 ID:I7P7QohJ0
>>495
三点リーダは恋らしいとか以前に二つセットで「……」のように使うのが正しい使い方なんだよ
498名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 21:28:28 ID:8LQC8aWf0
恋姫のゲームでも三点リーダは二つ組で使われてるしね。

>>496
今日で終わると思うとどうなるのか楽しみでもあり、不安でもあるなあ。
投下待ってるよー。
499とある:2009/10/25(日) 21:28:36 ID:BKvZooA90
>>メーテル氏
ま、まさか感想を頂けるとは思わなんだ
一所懸命頑張る所存であります!

毎回読ませて貰ってるので楽しみに待機する故!

>>497
それは初耳!
また一つ勉強になった、謝々!
500美羽と七乃スピンオフ「遼来来5」(1/33):2009/10/25(日) 21:31:10 ID:bsXt3xFD0
 一秒、
「くそっ! 明命、次で決めるぞ!」
 叫んで思春が、必殺の形に鈴音を構える。
「はいっ!」
 明命も同じように、両手で魂切を強く握りしめた。

 亞莎が行っている連続攻撃は、先ほど思春が行ったものと同じ類の性質を持つものだ。
 ペース配分を考えないがむしゃらな全力攻撃で、釘付けにして動きを止めるつもりなのだ。
 彼女は負傷によって自分の自由に動ける限界が近いことを悟り、あえてその役目を買って出
たのだ。
 それはひとえに、残りの二人が未だ健在なうちに、決定打を打てるようにするためにである。

 二秒、
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
「はあああああああああああああああああああ!!」

 呼吸を整え、『ため』を作り、最高の一撃を放つために精神を研ぎ澄ます。
 仲間が決死の覚悟で作り出してくれた、その一時を無駄にしないために、来るべき一瞬のた
めにすべてを込める。

 三秒、
 依然として亞莎の動きは止まらない。
 それどころか、左右のラッシュは天井知らずにその回転速度を上げていく。
 最初こそ完璧に捌き、弾き、防いでいた張遼も、一発、もう一発と被弾する数が増えてきた。
 そもそも亞莎の攻撃は、雨あられの連撃とはいえ、一発一発が熊でも昏倒させうる一撃であ
る。
 だというのに、それを何発当てても亞莎の手に返ってくるのは岩でも殴ったかのような感触
のみ。
501名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 21:31:48 ID:BKvZooA90
支援開始!
502美羽と七乃スピンオフ「遼来来5」(2/33):2009/10/25(日) 21:33:26 ID:bsXt3xFD0
 しかしそれでも、
(効いているはず!)
 そう信じて亞莎は拳を打ち続ける。
 そうしているうち、張遼の動きが突然止まった。
 まばたきの間に、ダース単位の拳が張遼を捉える。
 明らかに何らかの変化が起こる先触れであろうが、それを訝しむ時間すら惜しいと、亞莎は
構わず拳を振るい続けた。
 そうして次に張遼は、握った槍を、天に向かって返すようにして放り投げた。
「――ッ!?」
 予想だにしなかった行動。それでも手は止めず、驚きを内心だけに留めた亞莎は賞賛される
べきだったろう。

 四秒、
 すぐに亞莎は張遼の行動の意味を理解することになった。
 飛龍偃月刀を放り投げて素手となった張遼が、ここにきてはじめて明確に迎撃の構えを見せ
たのである。
 体は猫背に曲げられ、手はだらんと下ろされる。
 それは、亞莎にとって見たことのない戦闘姿勢だった。
 直後――
(これはっ!?)
 怒濤の連続攻撃を繰り出していた亞莎が、その頭を直感だけで後ろへ退いた。
 ほぼ同時、真下から打ち出された豪腕が、風を伴って鼻先を掠めた。
「っ!!」
 驚きが顔に出るが、それでも動きは止められない。
 亞莎は張遼の拳を避けながら、その動きを反動にして頭を振りながら前に出て左右のワンツ
ーに連結しようとする。
 だが、その振り子の揺り戻しに合わせて、更に視界の外、見えない角度から新たな拳が飛ん
できた。
 反応。
 これも首を捻って、亞莎はギリギリで回避することに成功する。
 それで亞莎は明確に理解した。
 張遼は、自分と素手の打ち合いをするために武器を捨てたのだと。
503美羽と七乃スピンオフ「遼来来5」(3/33):2009/10/25(日) 21:36:35 ID:bsXt3xFD0
 五秒、
 正面から顔面を狙って突き出した亞莎の拳が、空を切る。
 張遼が背骨を直角に曲がるほどに体を反らして、攻撃を避けたのである。
 むしろ逆に、亞莎の視界が予想外の衝撃と激痛で揺れた。
「!?」
 張遼が避けながら無茶な姿勢で放った拳が、脇腹を抉ったのだ。
「くぅっ!」
 亞莎はそれを、奥歯が割れるほどに力を込めてその場に踏ん張った。
 だが、突然拳に力を乗せるのに欠かせない、足を踏み込むための力が抜けた。
 足がガクガクと震えそうになるが、それも根性で抑え込む。
 そうしてとりあえず手数で刻む連打によって弾幕を張る。
 けれども、足が動かない。
 フットワークなければ、張遼の拳は避けられない。

 張遼の拳が唸り、粉々に砕けた片目がねが宙を舞った。

 六秒、
 張遼の拳が亞莎の顔面に、左腕に、脇腹に次々突き刺さる。
 為す術もなくサンドバッグのように殴られ続ける。
 当然のこととして亞莎も防御しようと試みているのだが、低い体勢、そしてなお低い位置か
らの拳が、無駄な動きという天然のフェイントを織り交ぜることで、巧みに死角から彼女を狙
い打つのだ。
 時折亞莎も反撃の手を出すのだが、
「――――ッ」
 それはことごとく回避されてしまう。
504名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 21:37:57 ID:u94VVDJtO
支援戦闘を開始する!
505美羽と七乃スピンオフ「遼来来5」(4/33):2009/10/25(日) 21:39:32 ID:bsXt3xFD0
 七秒、
 切れた額から血が流れ、目に入って開けていられなくなる。
 もっとも、元来目の悪い亞莎は、相手の姿を眼で見ていない。
 気配と予測で動きを察知して防御し、攻撃しているのだ。
 だがそれでも、体が動かなくなれば、どちらも適わなくなることに変わりはなかった。

 八秒
 見るも無惨な残虐の時間が続く。
 ろくに動けない亞莎の体に、打ち込む拳が容赦なく突き刺さる。
 腰もろくに入ってないように見える拳が、異様に重たい。
 これまで徒手を武器にする者とも幾度となく戦ったことのある亞莎だったが、こんな戦い方
を目にするのははじめてだった。
 当てられない、避けられない。
 それでも時間はすぎていく。

 九秒、
「う、ああぁぁっ!?」
 ついに亞莎の体に致命的な一発が入った。
 体の内側から強烈な熱が広がり、内なる臓のどれかが破壊されたのだとわかった。
 耐え難い嘔吐感が亞莎を襲う。
 堪らず口が血塊を吐き出した。
 その身は内外ともに傷だらけ。折れた骨は無数、内蔵もいくつか駄目になっている。
506名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 21:40:55 ID:BKvZooA90
支援物資、供給致します!
507名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 21:42:06 ID:JbHeelfm0
亞莎がやばすぎる・・・・・支援!
508美羽と七乃スピンオフ「遼来来5」(5/33):2009/10/25(日) 21:42:53 ID:bsXt3xFD0
 それでも彼女自身の闘志は、未だ衰えてはいなかった。
 まだ戦える、自分はまだやれる。
 彼女は不屈の精神力で耐えていた。
 だが、精神力で耐えるにも限度がある。心とは裏腹に、その体は既に生命の限界を迎えてい
た。
 目に未だ戦意を宿したまま、ついに亞莎の体は崩れ落ちるように垂直に崩れ落ちた。

 十秒、
 倒れた亞莎には目もくれず、張遼は手をだらりと下ろした猫背の姿勢のまま、次の標的――
思春の方を向いた。
 そして必殺の一撃を放つべく予備動作の最中で隙だらけの彼女に向かって跳躍――
「さ、せませ……んっ」
 しようとして、できなかった。
 地に伏した亞莎が、足首を掴んでいたのだ。
「いま、ですっ!」
 亞莎がかすれた、精一杯の声で叫ぶ。

 そうして彼女は、ついに十秒という短くも貴重な時間を、仲間たちのために作ることに成功
したのであった。


509美羽と七乃スピンオフ「遼来来5」(6/33):2009/10/25(日) 21:45:23 ID:bsXt3xFD0
 今にも絶えそうなか細い仲間の言葉。
 彼女の懸命な努力に応えるべく、思春は周囲から巻き込み吸い込んでいた空気を開放した。
 その体をギリギリまで沈ませて、腰溜めにした剣を振るう。
「閃っ!」
 剣を振るった思春。張遼との彼我の距離は数メートル。
 本来、白兵武器をそんな距離で振り回しても当たるわけがない。
 だがそんな常識を覆すように、その斬撃の軌跡が伸びた=B
 当たるはずのない斬撃が、衝撃波となって扇状に広がったのである。
 基本は先ほど、張遼が放った特大の円斬と同じもの。
 見よう見まねで放ったそれが、今度は張遼を屠るべく走る。
 
 高さは膝の位置。形状は左右逃げ場のない扇状。
 こうなっては広がる剣閃を避けるための逃げ道は、上にしかない。
 けれども自由にさせまいと、その足には亞莎がしがみついている。
 そして更に、抜き打ちで斬撃を放った思春は、それを追いかけ自分自身も前に飛び出した。
 そのまま体を捻って背中を晒して独楽のように一回転。振り向きざま、横払いにもう一つ、
斬撃を放つ。
 最初の閃撃に追いつく二の太刀、音速を超えて振るわれる追撃の斬攻を繰り出したのだ。
「――っ斬る!!」
 用意された追いかけ二の太刀が、張遼を襲う。

 受ける側からすれば、膝と胸、二つの高さで振るわれる超音速の横斬りが、同じタイミング
で襲ってくるこの攻撃は、避けるにしても受けるにしてもやっかい極まりない攻撃といえる。
 この不可避の連撃を前にした張遼は、
『剋阿阿阿阿阿阿阿阿阿阿阿阿ッ!!』
 このときはじめて声を発し、人の声帯から発せられたとは思えない大音声で迎え撃った。
510名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 21:46:32 ID:1MdHFzqF0
支援砲
511名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 21:47:53 ID:u94VVDJtO
霞スゴ!
支援攻撃続行!
512名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 21:48:32 ID:3Jvq/ucR0
支援砲撃
513美羽と七乃スピンオフ「遼来来5」(7/33):2009/10/25(日) 21:48:40 ID:bsXt3xFD0
 ドンッという音と共に、思春はその身に壁に激突したかのような衝撃を受けた。
 『音』には様々な使い道があるということは、他ならぬ思春自身がよく知るところである。
 けれども、張遼のこの暴力的な使い方は、彼女の想像の遙か上を行くものであった。

 思春の前を先行していた一の太刀筋『閃』が、咆吼によって生じた音の衝撃を受けて相殺さ
れ霧散したのである。
 彼女の体を襲った衝撃は、剣閃を散らした余波だったのだ。
(だがそれでもっ!)
 既に思春は斬撃のモーションに入っている。今更走る刃は止められない。
 また、止めるつもりもない。
 足に力を込めて、絶好の攻撃間合いにステップイン。
 膝、腰、肩、手首、すべてを連動させて、そこに遠心力を加えて、剣を滑らせる。
 狙うは張遼の、胸の高さ。
 流れるようにサイドスイングで振るわれる、断ち切る二の太刀。
 正真正銘物理的な攻撃である斬撃が、張遼の胴を両断するべく、その身に迫る。

 だが、
「――――ッ!?」
 攻撃した思春の眉が跳ね上がる。

 鈴音は張遼を切り裂く直前で、その刃を空中に制止させていた。
 正しくは、止められていた。
 思春が両手で振るった曲刀の、その腹の部分。そこを張遼の諸手が、上下からがっちりと挟
み込んで止めていたのだ。
 真の達人、真の巧者だけが辿り着くことのできる無刀の極地。
 張遼が見せたそれは、剣術で言うところの『無刀取り』であった。
514名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 21:50:24 ID:BKvZooA90
無刀取り…だと!?支援継続
515名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 21:51:06 ID:dymG3yro0
紫苑
516名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 21:51:29 ID:dymG3yro0
雪蓮
517名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 21:51:33 ID:1MdHFzqF0
更に
518美羽と七乃スピンオフ「遼来来5」(8/33):2009/10/25(日) 21:51:38 ID:bsXt3xFD0
 必殺の攻撃が止められた。
 一の刃、二の刃、共に必殺でありながらついに相手を倒すに至らなかった。
 思春が仕掛けた勝負は決着した。
 それだけの攻撃を繰り出しながら仕留め損なった思春は、ここでその表情を絶望に染めるは
ずであった。
 だというのに、思春は絶望するどころか顔を歪ませていた。
 口の端をつり上げ歓喜の形を作っていた。
 そう、彼女にとってこの程度は織り込み済み。
「いけっ! 明命!!」
 その声に応えたのは
「はいっ!」

 空から降ってきた声である。

 既ここに至って隠す必要なしと、張遼の真上で気配と殺気が膨れあがる。
 一直線に、人が落ちてくる。
 刃を鏃に、自身を羽に。明命は自らを一本の矢に見立てて天空を流れ落ちる。
 速く、速く、何よりも速く!
 思春の放った一の太刀、二の太刀は共にこの明命の一撃を隠すための目くらましであったの
だ。

 避けられるタイミングではない。手を離せばすぐさま鈴音がその身を切り裂く。
 詰んだ≠サう、思春と明命が確信したときであった。
 張遼はまたも予想を裏切る行動に出た。
 爪先で、足元に転がっていたものを蹴り上げたのである。
519名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 21:52:24 ID:1MdHFzqF0
ってー
520名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 21:52:42 ID:dymG3yro0
小蓮
521美羽と七乃スピンオフ「遼来来5」(9/33):2009/10/25(日) 21:53:12 ID:bsXt3xFD0
 勢いよく蹴り上げられたその体は、殆どなんの抵抗もなく張遼と明命との間に割り込む形と
なった。
 体中を傷だらけにして力尽き、ぐったりと脱力しきった戦友。
 その姿が突然目の前で大きくなり、手にずぶりという、肉を貫く感触が伝わった。
 気がついたときには、魂すら切り裂く名刀『魂切』の刃が、亞莎の無防備な胸を深々と刺し
貫いていた。

「あ……」

 自分がなにをしたかわからない。

 自分がなにをしてしまったかわからない。

 驚愕に目を見開いて声を漏らした明命の体を、次の瞬間、焼け付くような熱が襲った。
「……あ、」
 目だけを動かして、自分の胸元を見る。
 すると真っ赤な血を溢れ返えさせるその中心に、黄金の刃が生えているのがはっきりと見え
た。
(な、ぜ?)
 そのなぜは、

 なぜ、自分が亞莎を傷つけることになったのか。
 なぜ、どうしてこんなものが胸を貫いてるのか。
 なぜ、どうしてこんなことになったのか。

 そんなことを問うなぜ≠セった。
522名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 21:54:29 ID:LegsXD5i0
乱戦で敵の肉体を利用するのは正しいが、まさか武将が入り乱れるこの戦闘でも発生するとは・・・。
523名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 21:56:32 ID:2UE+PTv80
肉の壁は星ですら苦戦してたからな
雑魚な分数が多かったけど
524美羽と七乃スピンオフ「遼来来5」(10/33):2009/10/25(日) 21:56:35 ID:bsXt3xFD0
 そうして結局明命は、自分が地面に激突して意識を絶たれるそのときまで、天に放り投げら
れた飛龍偃月刀が、いまになって落下して自分の背を貫いたのだと理解することはなかった。

 二人の体は、受け身を取ることもなく地面へと墜落した。
 そして張遼は鈴音から手を離し、明命の体から得物を引き抜く。
 引き抜かれる瞬間、その体が小さく動いたのを見て、思春は我に返った。

「貴様あああああああああっ!!」
 思春が激昂の叫びを上げて、力の限り手の中の凶器を叩き付けた。
 渾身の一撃。
 しかし、それは黄金の槍に阻まれて、憎い敵に届かない。
「あああああああああ!!」
 更に打ち付けられる一撃。
「あああああ!」
 何度も何度も、鬼の形相で気迫と共に滅多矢鱈と斬りつける。
 その攻撃は一撃、また次の一撃と、その速さ、鋭さ、重さを際限なく増していく。
「おおおおおおおっ!!」
 常人並なら一合と持たないその斬撃の嵐に、張遼は片手の飛龍偃月刀で一つ残らず合わせて
みせた。
 のみならず、彼女の槍もより速く、鋭く、重くなっていく。
 物質と非物質の狭間にある稲妻の飛龍偃月刀は、一合合わせる度に、鈴音を伝わって思春の
体に電流を流し込んでくる。
 苦痛がその身を焼く、それでも思春は斬りかかるのを止めなかった。
 友のために、主君のために、誇りと信念を貫き通すために。
525名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 21:56:54 ID:dymG3yro0
支援
526名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 21:56:54 ID:sw49BYkB0
ヒャッハー!支援砲撃だ!坂をケチャップまみれにしてやるぜぇ!
527名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 21:57:55 ID:BKvZooA90
支援物資を搬入しながら……ゴクリ
528名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 21:58:20 ID:3Jvq/ucR0
無刀取りといったな
あれは「真剣白刃取り」だ
529名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 21:58:41 ID:dymG3yro0
クルッポークルッピープー
530名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 21:58:48 ID:u94VVDJtO
ちょっ!

し、支援……
531美羽と七乃スピンオフ「遼来来5」(11/33):2009/10/25(日) 21:59:47 ID:bsXt3xFD0
◇◇◇

 今回の局面に際して、一刀は己の知る二つの歴史的戦いを参考にした。
 一つは、曹操が行った『下肥城攻略戦』。
 曹操の精鋭五万を相手に籠城戦を選択した呂布が、圧倒的な戦闘力を発揮してこれに立ち向
かった戦い。
 結果として水攻めによって曹操軍の勝利に終わるこの戦いだが、籠城戦を行った呂布に対し
て、曹操はそこまでしなけれ城を落とせなかったのである。
 一見して守りに向かない恋を、籠城戦をする配置につけたのは、まさにこの戦いのことを念
頭に置いてのことである。
 そして一刀が参考にしたもう一つが、『合肥の戦い』である。
 大軍を率いて曹操領に侵攻した孫権を、張遼率いる寡兵の曹操軍が打ち破った戦い。
 この戦いを霞に再現させることで、一刀は呉軍を止めようとしたのであった。

 北を曹操、南を孫策。二強から攻められるという覆しようのない苦境を前に、一刀は自分が
知る歴史の流れに賭けた。
 これまで何度となく目にした、一刀が知る『三国志』とはまったく違うはずのこの世界で、
『三国志』が再現される不可思議、それに賭けたのである。
 だが、その結果が最悪の形で結実しようとしていた。

 朦朧としていた意識をはっきりとさせた一刀が見たのは、赤い赤い大地と、その中心で血ま
みれで戦う霞の姿。
 低い低い、四つん這いに近い猫背の姿勢で、片手に持った槍を振り回して、野獣の動きで甘
寧を追い詰めている。
 一見してわかるほどに甘寧は強い、これまで見てきた中でも指折りの強さかもしれない。
 だが、相対する霞はそれ以上に強かった。
 必死に抵抗する甘寧を一方的に蹂躙していくその姿は、既に霞の姿をした別のなにかのよう
に思えて仕方がない程である。
532名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 22:01:32 ID:1MdHFzqF0
玉米ー
533美羽と七乃スピンオフ「遼来来5」(12/33):2009/10/25(日) 22:02:23 ID:bsXt3xFD0
 だが、そうやって目にして、はじめて一刀は自分が霞になにをさせようとしていたのかを理
解した。
 思い知らされた。
 気づきながらも目を背けていた、己の傲慢さと、最低な行動の因果をようやっと認めた。

 張遼が孫権軍を撃退するというのは、世界のあるべき形だったかもしれない。
 だがそれを利用して自分の都合のいいようにするというのは、彼女が張遼であるという事実
だけに目を向けて、霞という個人を顧みないということである。
 それは結局のところ、北郷一刀が霞を道具としてしか見ていなかったのと変わらない。

 彼女の真の願いはなんだった?
 こんな戦いを、彼女は本当に望んでいたのか?
 あんな風に、人を辞めてまで、獣のように戦い続けることを望んでいたのか?

 ――違うはずだ。

 では、そこまでわかっていながら、自分を守りたいと言ってくれた女性の願いを利用して、
あんな姿にさせている自分はなんだ?

「最悪じゃないか、俺……」
 どうしようもない呟きが漏れた。

 大変なことすべてを霞に押しつけて、のうのうとその力を利用しようとした。
 ちょっとばかり智恵が回ることに胡座をかいて、彼女がどうなるかなんて考えもしなかった。
 誰かのためというのを言い訳にして、他の誰かの苦しみを知ろうともしなかった
 それが北郷一刀の罪。
 そしてこれが、その罰。
534名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 22:03:23 ID:BKvZooA90
うぅっ…支援
535名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 22:04:43 ID:1MdHFzqF0
支援
536美羽と七乃スピンオフ「遼来来5」(13/33):2009/10/25(日) 22:05:32 ID:bsXt3xFD0
 北郷一刀は、もっと別の方法を模索するべきだった。
 こんな風に、故意に世界の流れを誘導するような安易な解決策に、頼るべきではなかったの
だ。
 何より、北郷一刀にとって『三国志』とは打破するべきものであり、縋り付く依り辺ではな
かったはずなのだ。


 立ち上がり、踏み出そうとした一刀の腕を、後ろから誰かが掴んだ。
 蓮華であった。
「やめろ北郷、おまえは……無力だ」
 固い声でそう言った。
 彼女はいまも気を失って倒れている小蓮を抱いている。
「……逃げるぞ。ついてこい」
 そう言って妹を背負う彼女の横顔は、とても辛そうであった。
 他人の無力を指摘して、自分の無力を嘆く。
 苦しそうに言ったその蓮華の表情で、一刀は彼女という人間が少しわかった気がした。
 本当はきっと、誰より優しい人間なのだろう。
 そして何より彼女は正しい。
 今更北郷一刀一人が彼女の前に立ちはだかったところで、何も変わらない。

 だけれど、

「俺は逃げないよ」

 それでは、

「無力だから、一体それがなんだっていうんだ」

 止まれない!
537美羽と七乃スピンオフ「遼来来5」(14/33):2009/10/25(日) 22:08:43 ID:bsXt3xFD0
「俺は、苦しんでいる誰かが必死に助けを求めていて、それを見て見ぬふりをするなんてのは
いやだ!」

 無力を言い訳にして、じっとしていることなんてできない。

「綺麗事だってわかってる! それでも、目の前で泣きながら助けてって言っている子がいた
ら、俺は助ける!」

 そう、それが……

「俺にはあの霞が泣いているのがわかる! だから絶対助ける! それが俺だ! 北郷一刀だ
!」

 心のままに正直に、一刀は叫びを上げた。

 かつて彼は願った。
 『美羽や七乃、そして他のみんな、仲間たちみんなが仲良く笑っていられる世界が欲しい』、
と。
 それはいまも変わっていない。
 みんなを幸せにしたいと、そんな壮大な夢を見た特大のエゴイスト。
 この絶望的な状況で、北郷一刀はそんな夢想を、まだ諦めてはいなかった。

「なにを……言っているんだ、お前がアレを止められるとでも!?」
 振り返って見ると、孫権の体は細かく震えていた。
 もう一度、霞を見る、
 確かにいまの彼女の姿は恐ろしい、悪鬼のようだ。
 だがそれでも、霞を見て怯える孫権をみて、一刀はとても悲しいと思った。
 本当は、彼女はこんなふうに誰かを怯えさせるような人間じゃない。
 だから、いまの孫権を見て、悲しいと思ったのだ。
538名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 22:09:29 ID:dymG3yro0
(* >ω<)=3
539名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 22:09:57 ID:dymG3yro0
おいちゃん!支援おかわり!
540名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 22:10:27 ID:dymG3yro0
あいよ!支援大盛りー!
541名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 22:10:27 ID:2UE+PTv80
張遼(霞)の前に絶体絶命な新孫呉
蓮華も絶望的な気持ちに陥った時天の御使い北郷一刀がたち上がる

ここだけ見れば呉√と思えなくもない

支援
542美羽と七乃スピンオフ「遼来来5」(15/33):2009/10/25(日) 22:11:31 ID:bsXt3xFD0
「違うよ。止めるんじゃない、俺は霞を助けるんだよ」
「たす、けるだと……?」
「ああ、霞があんな風になってしまったのは俺のせいだから、俺が助けるんだ」
 霞を見て、決意を口にして、己がやらねばならぬことを再確認する。
 ああなるまで追い込んだのが自分なら、やはりすべての責は自分にある。
 決着は自分がつけなくてはならない。

 一刀の言葉に、蓮華は信じられないものを見たかのように、呆然と呟いた。
「馬鹿だ……北郷一刀、おまえはとてつもない馬鹿だ。あんなものを助けるだなんて」
「馬鹿でいいさ」
「大体、あんなものを、どうやって……っ!?」
「……やり方なんてわからない。ただありのままの自分を、ぶつけてみる」
「無謀すぎる! そんなことをしてなんになる! 自ら死にに行くようなものだぞ!?」
「いや、違う。俺は、俺も霞も、二人ともが生きていくために行くんだ。俺は霞を助ける! 
そのためなら奇跡だろうと、どんな都合の良い荒唐無稽だって、なんだって起こしてやる!」

「北郷一刀……。おまえは、どうしてまで……」
 理解できないものを見るような孫権が首を振った、それに一刀は言う。

「だってさ」
 深く深呼吸する。
 そして、
「好きな子のことくらい助けられなくて、なにが男だよ!」
 万感の想いを秘めて、彼は走る。
543名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 22:12:16 ID:1MdHFzqF0
支援の出店
544名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 22:12:38 ID:3Jvq/ucR0
>>541
あぁ・・・完全に呉√だ・・・
545名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 22:12:39 ID:BKvZooA90
流石一刀!全力で支援物資を搬入だ!
546名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 22:14:17 ID:dymG3yro0
私は支援が好きだ。
547美羽と七乃スピンオフ「遼来来5」(16/33):2009/10/25(日) 22:14:23 ID:bsXt3xFD0
 ◇◇◇

「霞!」
 身近な距離を走り、一刀がその名を呼んだとき、丁度張遼は思春との戦いを終えたばかりだ
った。
 思春の首を片手で掴んでいた持ち上げていた張遼が、輝く猛禽の瞳で一刀を見る。
 たったそれだけで、一刀の心は恐怖に負けそうになる。
 が、一刀は臆病な自分に喝を入れ、奮い立たせてその視線を正面から受け止めた。
「霞! 俺を見ろ! 霞が好きなのも、いま殺したいのも、俺だろう!? だったら、俺だけ
を見ろ!」

 両手を広げ、堂々と言った。
 それでも心のどこかが、怖がっている。
 殺されるかもしれないことが怖いいんじゃない。
 霞じゃなくなってしまった霞を正面から見つめるのが怖い。
 自分のせいで、あんな姿になってしまった霞を見るのが辛い。
 自分のしでかした結果を、見つめるのが苦しい。

 けれども、弱い心に打ち勝って、北郷一刀は彼女を迎えるように両手を広げた。
 すべてを真正面から受け止めるつもりであった。
 それが、何もできない自分にできるただ一つのこととわかっていた。

 一刀に注意を向けた張遼は、掴んでいた思春の首を離した。
 重力に従って、ドサリと落ちる思春の体。
 傷だらけで到底無事とは思えないが、その胸元が小さく上下しているのを確認して、一刀は
安堵した。
548名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 22:14:50 ID:u94VVDJtO
ここが勝負どころだ!
支援を絶やすな!
549名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 22:14:59 ID:BYJr4wh60
紫苑
550名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 22:15:37 ID:3Jvq/ucR0
撃て撃て!休むまもなく支援砲撃だ!
551名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 22:16:09 ID:2UE+PTv80
一刀さんのように
愛と勇気と希望
を振り絞って支援
552美羽と七乃スピンオフ「遼来来5」(17/33):2009/10/25(日) 22:17:39 ID:bsXt3xFD0
 だが、そんな一瞬の気の緩みも束の間、
「――か、はっ!?」
 急にその視界が暗転した。

 衝撃。
「ぐっ、げほっ、ゲホゴホッ!」
 堅いものが勢いよく背中からぶつかり、肺の中から空気が一気に外に押し出されて窒息感が
一刀を襲った。
 だが、一番痛いのはそこではない。
 額が痛い、割れるように痛い。
 眉間を殴られたのだ。
 そのことに思い至ったのは、激しく咳き込む中見上げた、空の青さのおかげであった。
 速すぎて近寄られたのも殴られたのもまったくわからなかった。
 首を起こして前を見ると、先ほどまで一刀が立っていた当たりに、仁王立ちした黄金の霞が
立っているのが見えた。
 その目は無機質で、何も映していない。
 いまはそれが悔しい。

「くそっ……!」
 一刀は必死に体を起こし、力が入らない膝を両腕で支えて、やっとという様子でなんとか立
ち上がった。
 こんなことになるなら、美羽と遊んでばかりいないでもっと自分を鍛えておけば良かったと
思う。
「し、」
 『霞』そう名を呼ぼうとしたところを、神速で近寄った張遼の右のフックが一刀の顔面を捉
えてその口を遮った。
553名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 22:18:34 ID:3Jvq/ucR0
あぁ、一刀さん!
554名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 22:19:07 ID:u94VVDJtO
一刀を援護する!
支援砲撃を!
555名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 22:19:48 ID:j1nHUy3GO
支援。
この世界よ、救われてくれ
556美羽と七乃スピンオフ「遼来来5」(18/33):2009/10/25(日) 22:20:24 ID:bsXt3xFD0
 たった一撃で踏ん張りが利かなくなった足が崩れるより速く、今度は左からのフック。
 思い切り左に振れた頭が、今度は右へと振らされる。
 そして滑り込むような一撃が、がら空きの腹を狙い撃った。
「かっ!」
 腹を打たれる、一刀が受けたのはそんな生半可なものではなかった。
 それはいきなり内蔵が丸ごとひっくり返されて、ぐちゃぐちゃにかき混ぜられたような、ち
ょっと形容しがたい一撃だった。
 恐ろしいまでに強烈な嘔吐感が襲い、一刀は堪らず体をくの字に折り曲げた。
 頭が下がり、無防備にさらけ出される後頭部。それを待っていたかのように、そこ目掛けて
打ち下ろしの拳が叩き込まれた。
 鈍い音が響き、一刀は抵抗することもできずに、俯せで固い地面へと倒れ込んだ。


 正直なところ、『どうにかなるだろう』と、まだそんなふうに軽く見る気持ちがどこかにあ
った。
 それはそうだろう。一刀はそれだけの絆を、霞を結んだと思っていた。
 だがどうだろうか。
 その甘い見通しの末は、無残なものだった。
 完膚無きまでに打ち倒されたのが、現実だった。

 そんな彼の中で、ある考えが鎌首をもたげた。
(霞にとって、俺は……)
 その程度の存在だったのか?
 そんな疑念が一刀の中をよぎった。
 大切に思っていたのは一刀だけで、想いは一方的なもので、霞の方はそうじゃなかったんじ
ゃないのか?
557名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 22:20:32 ID:1MdHFzqF0
搬入 搬入っと・・・
558名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 22:21:57 ID:BKvZooA90
支援!支援だ!
559美羽と七乃スピンオフ「遼来来5」(19/33):2009/10/25(日) 22:23:24 ID:bsXt3xFD0
 そんな疑念が次から次へと湧いてくる。
 いや、それは疑念と言うよりも、精神の冷静な部分の分析だった。
 一刀は霞が自分を攻撃してきた意味を、しっかりと読み取っていた。
 それはつまり、絆なんてものは幻想であり、奇跡なんてものは起こらないと、そんな大人の
理解であった。
(もう、霞は帰ってこない……)
 そう思ったそのときだった。

 一刀は不意に走った体の痛みに苦しんだ。
 息が詰まるほどの激痛に……、矛盾を感じた。

 『どうして自分は痛みを感じているのか?』

 そんな簡単な疑問に辿り着いた。
(そういえば、どうして、俺、生きているんだ?)
 痛みを感じると言うことは、生きている証拠だ。
 だが、霞が霞でなくなってしまったというなら、なぜ自分は生きていられるのか。

 その疑問の応えに行き当たると同時、一刀は突然自らの視界が開けた気がした。

「そう、だ……」
 彼女の心は、いまも天の意志≠ノ塗りつぶされてなんていない。
 もしも彼女が本当に霞でなくなってしまっているなら、一刀は最初の一撃で死んでいたはず
だ。
 それに、一刀が受けた攻撃はどれも拳によるもので、彼女は飛龍偃月刀を使っていない。
 容易に命を奪うことができる凶器を使っていない。
 それこそが、霞が消えていないという確かな証明ではないか。
 そう考えるとつじつまが合う。
 彼女はまだ霞だ。自分をぶちのめしたのは、霞だ。
560名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 22:25:09 ID:1MdHFzqF0
ええい 支援はまだか
561名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 22:25:15 ID:sw49BYkB0
支援砲撃を続けろ!メーテルの進軍を援護するんだ!
562名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 22:25:41 ID:u94VVDJtO
一刀が反撃に出るぞ!
支援砲撃!撃ちまくれ!
563名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 22:25:56 ID:VtxI/pKzP
しえんしえん
564名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 22:26:11 ID:NTjv+hx20
さすが一刀さん
主人公だぜ
565美羽と七乃スピンオフ「遼来来5」(20/33):2009/10/25(日) 22:26:22 ID:bsXt3xFD0
 どんな姿になっても、どんなことをしても、彼女はまだ霞だ。
 自分を殴ったのは、天の意志なんていう代物ではなく、彼女の意志だ。
 そう考えると、一刀は自分の心が再び奮い立つのを感じた。

 霞は天の意志そのものになったわけではない。
 そのことはのみならず、自分を殴ったのが紛れもない彼女の意志だったことを示している。
 それは彼女に拒絶されたということだ。

 けれども、その拒絶もわかる。
 そして、どれだけ拒絶されようとも、彼女がまだ霞であるというなら、一刀はそれをありの
まま受け止めるつもりだった。


 そうして一刀は、再び立ち上がった。
 気を失ったのが一瞬だったのか、霞の姿はまだ最後に見たのと同じ場所に居てくれた。
 相変わらず、何も映していないように見える彼女の瞳。
 だが、一刀は躊躇わなかった。

「来いよ! 俺が霞の全部を受け止めてやる!」

 その言葉の直後に、霞の拳が飛んだ。
 それを一刀は顔面で、受けた。
 よろけて、踏ん張って、気合いで耐えた。
 更にまた拳。
 流石に耐えられずに、今度こそ膝をつく。
 しかし、その膝を無理矢理支え、一刀は立ち上がる。
566名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 22:27:15 ID:oRW+EwkJ0
支援
衛生兵!衛生兵!
567名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 22:27:48 ID:BKvZooA90
手に汗握りながら支援物資を搬入するぞ!
568名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 22:28:52 ID:1MdHFzqF0
薬も包帯も足らん 物資の搬入を急げ
569美羽と七乃スピンオフ「遼来来5」(21/33):2009/10/25(日) 22:29:25 ID:bsXt3xFD0
「もっと、もっとだ! 全部を俺に……!」

 霞の拳は容赦なく一刀を滅多打ち、そんなことがくり返される。
 一度、二度、三度と一刀は立ち上がる。
 顔は腫れ上がり、見える部分も見えない部分も痣だらけ。
 満身創痍。

 そうして、気がついたときには一刀は霞に押し倒されていた。
 マウントポジションを取られ、それでもなお一刀は迸る言葉を止めない。
「俺が『天の御使い』で、霞が『張遼』であることは変えられない!」
 どうして彼女は自分を殺すでもなく、ただ殴るのか?

「でも、俺たちは生きてる! この世界で生きてる! だから俺も霞も、この世界を構成する
ただのファクターなんかじゃない!」
 それは、彼女が北郷一刀を拒絶しているからだ。
 
「俺たちは、泣いて、笑って、誰かを愛して、そんなごく普通の人間だ! 決められた役割な
んて、一側面でしかない! だから……だから、負けるな! 霞、自分自身に負けるな! 張
遼に負けるな!」 
 北郷一刀が霞の姿を見たくないと思ったように、きっと霞も、北郷一刀にそう思ったのだ。
 愛する者にいまの自分を見られたくないという拒絶の意志こそが、一刀に叩き付けられる拳
の正体だ。
 けれども、人を愛すると言うことは、拒絶されたとしても、向き合わなくてはならないとき
があるのだ。
 そして、結局だらしのない自分のツケは、自分で払わなければならない。
570名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 22:31:42 ID:u94VVDJtO
一刀にあってお前逹に無いのはガッツなんだ!
支援の手を緩めるな!
571美羽と七乃スピンオフ「遼来来5」(22/33):2009/10/25(日) 22:32:44 ID:bsXt3xFD0
上がった拳が打ち下ろされ、一刀の顔が殴られる。
 右の次は左で。
 振り上げて、振り降ろす。
 振り上げて、振り降ろす。
 何度も、何度も、

 一刀の叫び。
「戻って来てくれ、霞!」

 くり返す動きから、徐々に力が無くなっていく。

「霞! 霞! 霞! 霞! 霞ぁぁぁぁああああ!」
 壊れたラジオのように、ただ愛しい者の名を呼んだ。

 何度も、何度も、何度も呼びかけ、
 何度も、何度も、何度も殴られ、
 ついに霞の動きが止まった。

 そして、一刀の顔を、何かが濡らした。
「かずと……」
 彼女の唇が小さく動く。

「一刀……苦しいよ」
 その小さな声を、北郷一刀は聞き逃したりなんてしなかった。
 一刀は渾身の力を込めて体を起こし、その体を抱きしめた。
 本当は両手で抱きたかったけれども、左手が言うことを聞かなかったために右手だけで、半
分寄りかかるような、不格好な抱擁をした。
 そうやって精一杯、しっかりと彼女を抱きしめた。
572名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 22:34:00 ID:oRW+EwkJ0
支援!支援!
力の限り支援だ!出し惜しみするな!!
573名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 22:34:35 ID:NTjv+hx20
漢だ
574名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 22:34:41 ID:sw49BYkB0
松岡修造が沢山居るwww
575名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 22:34:50 ID:BKvZooA90
おぉっ!一刀が血路を切り開いたぞ!
支援物資を搬入するのにも力が入るってもんだ!
576美羽と七乃スピンオフ「遼来来5」(23/33):2009/10/25(日) 22:36:10 ID:bsXt3xFD0
「ごめん、霞……ごめん」
 いつのまにか、霞を包んでいた黄金の気配は消え去っていた。
 そして、それに変わるようにして、滂沱の雨が霞の顔を流れ落ちていた。
「ウチが……ウチがみんなを、殺して、それで、それで……」
 たどたどしい、子供のような霞の声。
「ひっく、……こないな、ウチを見んで……見んといて……一刀……ぐすっ」
 その言葉に一刀は、
「やだ」
 と、短く答えた。

「俺は霞の全部が好きだ。戦いが好きなところも、お酒が大好きなところも、大ざっぱなとこ
ろも、全部好きだ」
 一刀は血と、涙で汚れた霞の顔を、やはり血で汚れた自分の手で拭い、

「だからさ……」
 顔にかかった髪をどけて、

「その重みを、俺も背負うからよ」
 唇にキスをした。


577名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 22:36:47 ID:u94VVDJtO
いけるか?!このまま押しきるぞ!
支援砲撃てぇぇっ!
578名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 22:37:42 ID:BYJr4wh60
しおん
579名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 22:38:37 ID:j1nHUy3GO
支援。
一刀はやる時にやる役が合うよなあ……ホント。
書き手さん達の力も大きいが。
580名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 22:39:33 ID:1MdHFzqF0
こらぁ ふにゃちんども〜 さっさと動くの〜っ!!
581美羽と七乃スピンオフ「遼来来5」(24/33):2009/10/25(日) 22:39:45 ID:bsXt3xFD0
 エピローグ



 あの戦と呼べぬ戦いから、二日のときが経過していた。
 最終的に呉軍が被った被害は、死傷者合わせておよそ四万弱。
 張遼旗下八百の騎兵によって受けた被害であるが、その実殆どが、張遼一人の手によるもの
であることを、軍中で知らぬ者はいない。
 その鬼神の如き強さは、足重く撤退する呉軍のうちで瞬く間に恐怖と共に広がっていた。
 結果としてこのとき植え付けられた恐怖心が、ひいては呉のその後の命運に大きく関わって
いくこととなるのだが、そのことを語るのはこの段階ではまだ早い。


「お二人とも、どうぞご無事で……」
 そう言って跪いたまま頭を垂れたのは、墨を流したかのような美しい長い黒髪と、ともすれ
ば他者に冷酷な印象を与えかねない鋭い目つきをした美女であった。
 彼女は周瑜。字を公謹、真名を冥琳という。
 雪蓮が最も徴用している重臣であり、呉最高の頭脳である。

 彼女が跪くこの天幕には、いま、四人の人間がいた。
 一人は彼女自身。
 そして、一人は冥琳に対して、やや疲れを滲ませた声で上座から声を返した雪蓮である。
「相当手ひどくやられはしたけれどね。その様子だともう既に見てきたみたいだけど、どう思
う?」
 大敗という結果を前に、それでもなんでもないことのように語る主君の言葉に、冥琳はやや
躊躇いを交えながらも実直に頷いた。
「正直なところ、これほどとは思っていませんでした」
「でしょうね。……流石にあんなのが出てきたんじゃあ、どうしようもなかったわ。袁術ちゃ
んも、随分と恐ろしいものを懐に忍ばせてたもんね。……でもって、蓮華の勘は大当たり」
「……わたしも報告を受けたときには、なにかの冗談かと思いました。雪蓮の判断が間違って
いたとは思いません」
582名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 22:42:25 ID:W0ATXZQm0
支援
583美羽と七乃スピンオフ「遼来来5」(25/33):2009/10/25(日) 22:42:26 ID:bsXt3xFD0
 そう言って、二人は互いに目を見つめ合い、それから深いため息を吐いた。
 彼女たちが暗に言っているのは『もしも』の話だ。
 『もしも』雪蓮が蓮華の言葉に即座に従ったら、こんなことにはなっていなかったかも知れ
ない。
 『もしも』自分がその場にいたとしても、同じ判断をしただろうという、実のないIFの話で
ある。
 なんでもないふうに言ってのけた雪蓮だが、その実でなんでもないなどとは思っていなかっ
た。
 しっかりと、大事として受け止めている。
 そしてそれは、冥琳にしても同じであった。

「それで、結局最終的な被害の方は?」
「兵たちの被害はおよそ死者が三万。それに比べると怪我人の数はそうでもないんだけど、そ
れでも相当数。加えて、無事な兵たちの大部分も、当分の間戦闘は無理ね。あんな地獄を見て
しまったあとだもの」
「心の傷、ですか。無理もありません」
「そして、それと同じくらい痛いのが人的損害……」
 その言葉に、この場にいながらまだ一言も発していなかった二人のうち一人が呟いた。
「……幼平たちのことですな」
 そう言った彼女は、耐え難いことに耐えるように俯きながら震えていた。
 雪蓮や冥琳よりも、年かさな女。
 灰がかった長い髪を、ポニーテールにして後ろに流した彼女の名は黄蓋、字は公覆。名は祭。
先代孫堅の代から仕える宿将である。
 その宿将がいま、慟哭に身を震わせていた。
584名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 22:42:46 ID:BKvZooA90
良いエピローグの入り方だ…支援
585名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 22:43:36 ID:W0ATXZQm0
支援
586名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 22:44:05 ID:BYJr4wh60
しえんしえーん
587名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 22:44:12 ID:VtxI/pKzP
しえん
588名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 22:44:13 ID:oRW+EwkJ0
支援、支援、支援
589名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 22:44:19 ID:u94VVDJtO
負傷者の救助を急ぐぞ!
速く支援物資を!
590名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 22:44:20 ID:1MdHFzqF0
支援 支援
591美羽と七乃スピンオフ「遼来来5」(26/33):2009/10/25(日) 22:46:24 ID:bsXt3xFD0
「儂が、儂がおればこんなことには……っ! 天は、なぜ天は老いさばらえたこの儂を残し、
未来ある者たちの悲運を望んだのか!?」

 雪蓮が兵をまとめて『爆心地』であるそこに、蓮華たちのもとに駆けつけたとき、既にその
場に張遼の姿はなかった。
 そして残されていたのは、泣きくれる蓮華と、気を失った小蓮と、傷だらけの思春と、既に
冷たくなった明命と亞莎であった。
 幸いにして、すぐに応急手当が行われた思春は一命を取り留めたが、その彼女も意識不明の
状態である。
 無論、今回の人的被害はそれに留まらない。
 指揮官以上の被害も陳武他多数に渡り、新時代の呉の試金石であった筈の戦いは、幕を引い
てみればその次世代を担うはずの若者たちを、少なくない数失うという悲惨なる結末となった。

 祭が涙を流す横で、平静を保っているように見える冥琳が問いかけた。
「それで、明命たちを弔う準備の方は?」
「もうあらかた終わっているわ。今日、あなたたちの到着を待ってから見送りをするつもりだ
ったのよ」
「そうですか……。蓮華さま、心中、お察しいたします」

 その言葉に、この場で口を開いていなかった最後の一人が、びくりと肩を振るわせた。
 それは雪蓮の横で俯いて座っている蓮華であった。
「冥琳、私は……」
 蓮華はそれだけ言って、言葉の途中でそれを呑み込んだ。
 彼女の顔色は悪い。きっとあの戦いから一睡もしていないのだろう、一目見て憔悴しきって
るのがわかった。
 そんな彼女の様子を見かねて、冥琳が口を開いた。
「蓮華さま。気にするなとは申しません。ですが、彼女たちは呉の礎となったのです。そのこ
とを、努々忘れぬよう……、もしもあなた様が倒れるようなことになれば、彼女たちも安らか
に眠れぬことでしょう」
「冥琳……」
592名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 22:49:14 ID:u94VVDJtO
くっ!間に合わなかったというのか……
支援だ……
593名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 22:49:16 ID:1MdHFzqF0
あうあう
594美羽と七乃スピンオフ「遼来来5」(27/33):2009/10/25(日) 22:49:40 ID:bsXt3xFD0
 不器用な慰めの言葉に、蓮華が小さく笑おうとする。
 だが笑えなかった。
 笑いたいのに、笑えないのだ。
「冥琳……私は、私は……」
 そしてそんな蓮華の肩に、優しく手が置かれた。
「では、行きましょうか」
「……はい、姉さま」

 先ほどとは別の天幕。
 その中心にはいま、二つの台が置かれていた。
 上にはそれぞれ、顔に白い布を被せられた二人の人間が寝かされている。
「明命! 亞莎……っ!」
 吐き出すように呟いたのは、祭だった。
 彼女はこれでもかと手を握りしめている。握りしめすぎて、手からは血が滴っている。
 けれども、誰もそんな祭に何も言うことができなかった。
 他の三人も、内に秘めた悲痛を隠せずにいた。

 水を打ったような静寂が、場を支配する。
 祭も、先ほど発した言葉を最後に沈黙していた。
 ただ四人、俯き、彼女たちの冥福を祈る。
 生者が死者にしてやれることなど、弔いの他にはそう多くない。
 ただ頭を垂れ、死を悼み、それを乗り越えていく。
 それが悠久の彼方、人類が死と生との間に分かちがたい隔たりを見つけて以来の、倣いであ
る。

 黙して語らず。
 そんな中、蓮華の頬から、滴が落ちた。
595名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 22:50:53 ID:WIJhcbmn0
age
596名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 22:51:13 ID:BKvZooA90
黙祷を捧げつつ、支援を行おう…
597名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 22:52:02 ID:1MdHFzqF0
線香・・・線香の支援はまだか・・・
598美羽と七乃スピンオフ「遼来来5」(28/33):2009/10/25(日) 22:52:30 ID:bsXt3xFD0
 そして、その唇が小さく動く。
「……めいっ、しぇっ……」
 そしてもう一度。
「明命、亞莎……っ!」
 今度ははっきりと、その名を呼んだ。
 彼女の中で、もう言葉を交わすことのできぬ友たちの思い出が蘇っていた。
 明命とはつきあいが長く、母亡きあと、袁術によって雪蓮と離ればなれにされていたときも、
彼女はずっと彼女の傍にいてくれた。
 亞莎とは、それほど長いつきあいではない。だが、明命と同じようにその気を許せる相手だ
った。彼女のひたむきさは、常に蓮華の体を、心を支えてくれた。
「二人とも、どうして……っ!」
 ――どうして逝ってしまったの。
 声にならない声が、嗚咽にならぬ嗚咽が、次から次へと喉からせり上がってくる。
「ああっ! 明命っ! 亞莎ぇっ!!」
 涙を流し、その名を叫んだ。
 そして……

「呼びました?」
 と、蓮華の声に背後からそんな声が返された。

「―――は?」

 蓮華の口から、なんとも間抜けな声が漏れた。
 聞き覚えのある声に、全員が後ろを振り向いた。
 そして今度こそ全員、開いた口が塞がらなかった。
599名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 22:53:04 ID:LegsXD5i0
次の時代を担うはずの優秀な若手を多く失うって、致命的だろうな・・・。
600名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 22:53:05 ID:sw49BYkB0
哀しいが、時代は戦国乱世 支援
601名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 22:53:12 ID:jTlra/XW0
支援
602名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 22:53:21 ID:W0ATXZQm0
何…だと
支援
603名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 22:53:41 ID:LegsXD5i0
ほえ? 支援。
604名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 22:53:47 ID:BYJr4wh60
!?
605名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 22:54:23 ID:1MdHFzqF0
ちょっと待った 線香待った 支援部隊待機だwww
606名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 22:54:27 ID:u94VVDJtO
総員敬礼……
まだ俺達は止まるわけにはいかん……
支援を続けるぞ……
607美羽と七乃スピンオフ「遼来来5」(29/33):2009/10/25(日) 22:55:46 ID:bsXt3xFD0
 それも仕方ないこと。
 何せ、彼女たちの前に立っていたのは、亡霊としか思えない存在であったのだから。

「呼びましたか? 蓮華さま」
 そう、彼女たちの前にけろりとした顔で立っていたのは、死んだはずの明命、周泰幼平であ
ったのだ。

「み、みみみみ、明命!?」
「はい……なんでしょう、蓮華さま」
「おお! おお、幼平よ!? おまえ、それほどまでに未練であったか! 死してもなお主君
の呼びかけに応えるとは、見上げた忠誠心じゃ! 儂は、儂は猛烈に感動したっ!」
「お、落ち着きなさい! ゆ、幽霊などと、そんなっ!?」

 蓮華、祭、冥琳、それぞれが平静を失ったリアクションを返す中、一人雪蓮だけが冷静に、
その亡霊(?)に話しかけた。
「えーと、明命? あなた本物? 生きてるの?」
「はい? ええと、本物です。生きてます、よ?」
 小首を傾げて明命が言う。
 その様子は心底、どうしてそんなことを聞かれるのか分からないといった風体である。
 その様子に、勢い乗り出して蓮華が言った。
「じゃ、じゃあ亞莎も!?」
「はい。向こうの天幕で寝てますけど……あ、華佗さん」
 と、そこで四人は、天幕が開いてそこから外の光が差し込んでいることと、外からこちらへ
顔を覗かせている者がいることに気がついた。

「こんなところのいたのか。まだ寝ていないと駄目だと言っただろう」
「すみません。蓮華さまたちがこちらの天幕に入ってくるのが見えたものですから」
「それでも、だ。それでなくとも君はしばらくの間、絶対安静なんだぞ」
「はい……」
 叱られて、小さな動物を思わせる仕草で、明命がしゅんとうなだれた。
608名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 22:55:56 ID:NTjv+hx20
ゴッドヴェイドォォォーーー!!
609名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 22:56:02 ID:sw49BYkB0
木梨則武の葬儀ドッキリを思い出したwwww
610名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 22:56:13 ID:jTlra/XW0
支援
611名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 22:56:34 ID:u94VVDJtO
と思ってたんだがどうした?!
状況報告を!
612名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 22:56:43 ID:1MdHFzqF0
あうあう
613名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 22:56:52 ID:BYJr4wh60
華佗すげえええええええええええええええ
614名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 22:57:47 ID:BKvZooA90
良くやった五斗米道!
今なら好きなだけ支援してやるぞ!
615名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 22:57:53 ID:W0ATXZQm0
さすが華佗そこにしびry
支援
616名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 22:58:16 ID:sw49BYkB0
俺の弔意を返せwwwwww
617名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 22:59:05 ID:jTlra/XW0
支援
618美羽と七乃スピンオフ「遼来来5」(30/33):2009/10/25(日) 22:59:05 ID:bsXt3xFD0
 さて、こうなっては皆の注目の目は現れた男に向けられた。
 この男は何者か?
 明命に『華佗』と呼ばれた成年は、その身に白衣のようなものを纏っていた。
 それを見て、蓮華が問いかけた。
「もしかして、あなたが明命と亞莎を助けてくれたの?」
 それは全員の疑問の代弁でもあった。
 そして、華佗はこともなげに応えた。
「ああ、そうだが」
「でも、心の臓が止まって二日は経っていたのよ?」
「だが脳死には至っていなかった!」
 そう言って、華佗は白い歯を見せて笑い、握りしめて親指を突き出した拳を、ぐっ、と蓮華
に見せた。
「……納死?」
「そう、脳死だ。だがあと半刻遅ければ危なかった」

 言って一人で頷いている華佗に皆が困惑の眼差しを向ける中、雪蓮だけは顎に指を当てて考
え込んでいた。
「華佗……華佗、そう言えば以前聞いたことがあるわね。各地を放浪して人々を治す高名な医
者がいるって。もしかして、あなたがそれ?」
「それは多分俺のことだが。高名だというのはただの買いかぶりだ。俺なんてまだまだ……今
回だって、俺が未熟だから、師匠から譲られた金針を失って……うっ!」
 と、それまで元気そうだった華佗が、突然苦しそうな顔をして膝を突いて苦しみだした。
「ぐ、ぐううっっ!!」
 脂汗を浮かべたその様子に、流石に尋常ではないと思い雪蓮は声をかけた。
「だ、大丈夫?」
「……ああ、大丈夫だ。流石に『地獄と天国』を使いすぎたな……少し疲れただけだ、休めば
すぐに治るさ」
 その顔は真っ青だったが、医者が大丈夫と言っている以上、雪蓮からは何も言うことがなか
った。
619名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 22:59:25 ID:u94VVDJtO
全てチャンネルを使って彼女達の無事を知らせろ!
支援!
620名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 23:00:09 ID:BYJr4wh60
いやいやいやいやいやw
621名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 23:00:56 ID:1MdHFzqF0
支援
622名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 23:01:31 ID:WIJhcbmn0
ちがう!ゴッド!!ヴェイドゥだ!!
623名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 23:01:32 ID:jTlra/XW0
支援
624名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 23:01:33 ID:3Jvq/ucR0
あぁ、自軍が残り一国で全員が重症のときに探索で華佗を見つけた気分だ・・・
625名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 23:01:51 ID:NSU9hJa/0
>>598
王大人、死亡確認かよ支援w
626名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 23:01:54 ID:NTjv+hx20
やっぱチートだな勇者王
627名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 23:02:06 ID:oRW+EwkJ0
支援・・・
支援を・・・
たのむ・・・・
628名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 23:04:01 ID:NSU9hJa/0
死の運命よ、光に、なれぇぇぇぇぇぇぇぇっ!支援
629名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 23:04:05 ID:jTlra/XW0
支援
630美羽と七乃スピンオフ「遼来来5」(31/33):2009/10/25(日) 23:04:23 ID:bsXt3xFD0
 一方、明命と亞莎の生存、華佗の登場、これらのことで、雪蓮を除く者たちはまだ目を丸く
したままであった。
 だが、その衝撃が余韻として色濃く漂っているここに、更に新たな声が割り込んだ。
「あ、いたいた。皆さまこちらでしたか〜」

 またまた天幕が開いた。
 そして、そこから明るい声と共に一人の女性が入ってくる。
「伯言!?」
「陸伯言、任務を果たして戻って参りました〜。って、はれぇ? 皆さんどうしたんですか〜
?」
 そうしてはつらつとした笑顔と、間延びした独特のしゃべりで入ってきたのは、陸遜伯言。
穏である。
 彼女は今回の呉軍の侵攻作戦に当たり、後詰めではなく、別の重要な役割が与えられて、別
行動をしていたのだ。
 そのこととは、北でぶつかる袁術主力軍と、曹操軍との激突をつぶさに見届けることであっ
た。

「何なのかしらね……嫌っていうほど立て続くわね。……それで、曹操軍の様子はどうだった
?」
 雪蓮が、やや目つきを鋭くして、他の者たちが呆気にとられているのを置いて、穏に聞いた。
「はい。やはり曹操さんの軍は精強を極めてますねー。一筋縄ではいきません」
「そうでしょうね。それで、戦いはどうなったの? 袁術ちゃんはどの程度被害を与えられた
の?」
「はいー。えっとですねぇ。結果から先に言えば、袁術さんが勝ちました〜」
「はぁ?」
 穏の言葉に、雪蓮が眉をひそめて、顔全体で『意味が分からない』という表現をした。
「う〜ん。曹操軍は袁術軍と衝突することなく兵を退いたんですよ」
「なにっ!? それは本当か!?」
 その言葉に、祭が聞き捨てならないと穏の肩を掴んだ。
「は〜い、わたし嘘なんていいませんよ〜。だから祭さま、落ち着いてください〜」
「ええい、これが落ち着いてなどいられるか! 袁術はいかなる妖術を用いて曹操軍を撤退さ
せたのだ!」
631名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 23:04:26 ID:dymG3yro0
元気に!なぁぁれぇぇぇ!!!
632名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 23:04:39 ID:W0ATXZQm0
支援
633名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 23:05:18 ID:dymG3yro0
思春
634名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 23:05:22 ID:jTlra/XW0
支援
635名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 23:05:25 ID:2UE+PTv80
ある意味
一刀・ちょーせん・ひみこ・かゆうまの四天王の上を行く華佗すげえ
636名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 23:05:39 ID:W0ATXZQm0
支援
637名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 23:06:07 ID:BYJr4wh60
あと半刻遅ければとかいうレベルじゃねぇw
638名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 23:06:19 ID:dymG3yro0
医者王デスカラ!
639名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 23:07:09 ID:u94VVDJtO
どうやら死ぬ人間も少なくて済みそうだ。
宴で使う支援物資を準備しておくか……
640名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 23:07:28 ID:NTjv+hx20
漢女だな
641美羽と七乃スピンオフ「遼来来5」(32/33):2009/10/25(日) 23:08:05 ID:bsXt3xFD0
 それは誰もが思う疑問だった。

「えっとですねぇ……」
 周囲が注目する中、穏の口がこほんと咳払いをする。
 そして彼女の口から出てきた言葉は……
「歌合戦です」
 やはり、想像の外のものであった。

「……はぁ?」
 再び全員が目を丸くした。
 すると穏はゆっくりとしたマイペースな口調で説明を始めた。
「だから歌合戦ですよー。十日間睨み合った両軍は、最終的に歌合戦で決着を付けることにし
たんです。負けた方がその場から軍を撤退させるという約束で」
「まさかそれで……」
「はい。最後は袁術さんたちがその歌合戦に勝ってしまいまして、曹操さんたちは北へ撤退し
てしまいました〜」
「ば、馬鹿な。そんな……」
 歌合戦で、戦いを回避した?
 歌合戦で、敵を退却させた?
 そんな馬鹿なことと、思って当然、いや然るべき。
 だがそれに、ただ一人、雪蓮だけが笑っていた。

「は、あはははっ! なるほど、不条理で滅茶苦茶ねぇ」
「策殿! 笑い事ではありません!」
「まあまあ。いかにもって感じだけど、確かに袁術ちゃんならやりそうではあるわね」
642名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 23:08:35 ID:dymG3yro0
あと半刻ってレヴェルじゃねぇぞ!(AAry
643名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 23:08:36 ID:EZpTI+Eo0
>>639
死者3万が少ない、だと?
644名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 23:08:44 ID:jTlra/XW0
支援
645名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 23:09:28 ID:W0ATXZQm0
支援
646名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 23:09:39 ID:BKvZooA90
のど自慢か!?支援
647名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 23:09:42 ID:j1nHUy3GO
支援。
やだ、なにこの展開……そういえば作者はメーテル氏であると忘れてた……
648名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 23:09:59 ID:2UE+PTv80
恋姫†無双〜ドキッ☆乙女だらけのマクロス演義〜
ですねわかります
649名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 23:10:17 ID:u94VVDJtO
なにっ?!歌合戦に支援物資を持っていかれた?!
速く新しく用意するんだ!
650名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 23:10:19 ID:VtxI/pKzP
ちえん
651名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 23:10:47 ID:NSU9hJa/0
二日間心臓が止まっても脳死に至らない、それが恋姫クオリティ……
というより、今回はどう考えても『天国と地獄』で死の運命引っこ抜くか、光にしたとしか思えんw。
652名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 23:11:54 ID:3Jvq/ucR0
美羽・・・恐ろしい子!
653美羽と七乃スピンオフ「遼来来5」(33/33):2009/10/25(日) 23:12:07 ID:bsXt3xFD0
 よほど面白かったのか、目尻に涙を浮かべた雪蓮は、お腹を押さえて笑っている。
 一方、祭は鬼の形相で『戦いを侮辱するか袁術!』と怒り狂っていた。
 だがその他の者たちは、皆一様に複雑な表情を浮かべていた。
 あの袁術が、曹操を退けるとは思ってもみなかったからだ。
 一方で、憎くき袁術を、自分たちの手で討つ機会が残っていることに安心したのも事実だ。
「でも私の読みだと、袁術ちゃんのことだから、何にも考えないで曹操と戦って、けちょんけ
ちょんにやられると思ってたんだけどねぇ」
「しかし、そうはならなかった」
 雪蓮の言葉に、鋭く冥琳が言葉を挟んだ。
「うーん。誰かが袁術ちゃんに悪いことでも吹き込んだんじゃないかしらね?」
「吹き込んだ? 一体だがそんなことを……」
「さぁて……でもそれを見つけられるかどうかが、今後の呉の未来を左右するような気がする
わ」
 雪蓮はそれだけを言うと、穏の脇を通って天幕から出て行ってしまう。

 雷神£」遼の出現。
 まるで図ったかのように現れた華佗の出現と明命、亞莎の蘇生。
 歌合戦による決着。
 何もかもが腑に落ちなかった。
 まるで自分の知らない、得体の知れない仕組みを突きつけられたようだった。
 それを知らなくてはならないと思う。
 呉の未来は、その仕組みの先にしかないように思った。

 雪蓮は切れ長の目を鋭くして、天幕の外に広がる空を見上げた。
 その向こうにあるのはなんなのか、それを見極めるようにして、いつまでも青い空を見上げ
ていた。

654名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 23:12:16 ID:W0ATXZQm0
支援
655名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 23:13:53 ID:BYJr4wh60
乙です
前半すごい重かったのに後半笑わせてもらいました
656名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 23:15:19 ID:u94VVDJtO
なんとかのりきったな。支援した同士達に余った支援物資を配るぞ!

メーテル氏乙でした!
657名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 23:16:16 ID:OPOknjgf0
メーテル乙
誰か死なないとこの状況回避出来ないだろと思ってたが医者王の存在をすっかり忘れてたw
658名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 23:17:26 ID:1MdHFzqF0
乙乙
659名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 23:18:17 ID:hfkalrFS0
乙です
マクロスっぽいオチなのに歌ったのは明命でない不思議w
660名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 23:18:40 ID:NTjv+hx20
トンデモ展開を文章力で名作に変えてしまうメーテル氏はすごいなあ
661名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 23:19:35 ID:EKKhPdaOO
乙でした
心停止して2日も脳死に至らないこと、筋肉が壊死してないことも
考えてみれば、両方とも気持ち悪いぐらいに不自然なことですわな
662メーテル ◆999HUU8SEE :2009/10/25(日) 23:19:39 ID:bsXt3xFD0
わたしの名はメーテル……投下終了を告げる女。
ということで、今回のお話は幕引きよ。
美羽と七乃の裏側では、こういう真面目なお話も行われているのよ……主に一刀が苦労する形で。

支援してくださった皆さん、ありがとう……感謝を、あなたに。
この戦いの裏側、北で美羽たちが何をしていたかも、ある程度書き進めてあるから、次はそれかもしれないわね。



追伸:ここまでやっておいてあれだけれども、「美羽と七乃」全体の流れは霞純愛ルートではないのよ、鉄郎。
663名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 23:19:46 ID:BKvZooA90
医者王の存在を有効活用しましたなw
まったく予想外の展開、御馳走様デシタ!
664名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 23:20:26 ID:2UE+PTv80

シリアスで泣き有り笑い有りといういい名作
665名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 23:22:10 ID:2NgrPwdH0
乙。

つまり一刀には「本命」が別に居ると…
666名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 23:23:59 ID:u94VVDJtO
ここまでやって霞純愛じゃないのか……
やっぱりメインは美羽様?
667名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 23:28:03 ID:OPOknjgf0
>>665
何いってんだ
一刀からすれば全員「本命」に決まってるだろ
668名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 23:32:34 ID:2NgrPwdH0
>>667
ゴメン、俺が間違ってた
669メーテル ◆999HUU8SEE :2009/10/25(日) 23:34:33 ID:bsXt3xFD0
わたしの名はメーテル……修正依頼をする女。
ごめんなさい、寝る前にまとめさんに修正依頼よ……

>>571
の1行目。
『上がった拳が打ち下ろされ、一刀の顔が殴られる。』

『「俺はありのままの霞が好きだから!」
 振り上がった拳が打ち下ろされ、一刀の顔が殴られる。』

>>576
の18行目。
『「その重みを、俺も背負うからよ」』

『「その重みを、俺も背負うから」』

に修正して頂けないかしら……本当に、何度も何度も申し訳無いわ……
670名無しさん@初回限定:2009/10/25(日) 23:38:22 ID:R+SGo4Uu0
メーテル氏乙です
霞の人外無双モード、呉の面々の必死の抗戦、一刀の頑張り、そしてオチw
最初から最後まで満遍なく楽しませてもらいました
しかし北は詠あたりが上手くやったのかと思いきや歌合戦かw
671名無しさん@初回限定:2009/10/26(月) 00:03:17 ID:sw49BYkB0
メーテルさん乙でした
ここしばらく無かった大作の投下支援楽しかったです
672名無しさん@初回限定:2009/10/26(月) 00:13:14 ID:jJhFS7QU0
>>581
> 雪蓮が最も徴用している重臣であり、呉最高の頭脳である。
重用、だろうな。
673名無しさん@初回限定:2009/10/26(月) 01:20:38 ID:AGZwkFUR0
メーテルお疲れ様です。

恋姫って
苦手なキャラ一人もいないんだよなぁ

何でかな?
674名無しさん@初回限定:2009/10/26(月) 01:22:39 ID:VenHvCnR0
今まで色々な作者さんの作品にオリジナルの要素が強いとか理由付けて
別の場所に投稿しろと言ってきたのに、今回のメーテル氏の作品にはそんな意見全く無いのね
おまえらの基準が分からない・・・
675名無しさん@初回限定:2009/10/26(月) 01:24:32 ID:0tpcS5VM0
苦手になるほど描写が多くないからじゃないかな
676名無しさん@初回限定:2009/10/26(月) 01:38:02 ID:6B87pXWn0
>>674
古参だから
677名無しさん@初回限定:2009/10/26(月) 01:42:17 ID:AGZwkFUR0
>>675
たしかに・・・

真で5人ずつぐらいまとめて
サイドストーリー出してほしいな

全11本セット(全キャラ抱き枕カバー付)
35万ぐらいなら買いそうだw
678名無しさん@初回限定:2009/10/26(月) 01:46:53 ID:61YiWeBx0
>>674
俺も同意……このスレの基準がわからなくなったよ
679名無しさん@初回限定:2009/10/26(月) 01:57:03 ID:qCGtrsih0
基準?
面白ければ正義

霞とブライアン・ホークがだぶって見えたw
680名無しさん@初回限定:2009/10/26(月) 01:57:16 ID:Nc80bpkq0
>>674
オリジナル要素が嫌がられるんじゃない、オリキャラ無双が嫌がられてるだけ。
あとは理由のない、恋姫キャラの性格改変と貶めとかな。
681名無しさん@初回限定:2009/10/26(月) 02:01:08 ID:aRnkQRrq0
そうか?
別にキャラクターとしては誰も崩れてないし、正史の影響どうのこうのはオリジナル要素が確かにあったけど
説得力としては別に悪い部分もなっかた
某所にあるようなオリキャラや魔改造一刀に自己投影して喜んでるような物とは全然次元が違うと思うぞ?
682名無しさん@初回限定:2009/10/26(月) 02:02:27 ID:aRnkQRrq0
アンカー付け忘れたOTZ
681は>>674
683名無しさん@初回限定:2009/10/26(月) 02:03:43 ID:jJhFS7QU0
しかし、張遼でこれくらいだと、恋が天意を受けて呂布化すると、さらにえらいことになるんだろうなw
セキトが馬に変化するとか含めてw
684名無しさん@初回限定:2009/10/26(月) 02:06:16 ID:0c+xtFiz0
性格が全然違ったりオリキャラ登場がなかったらいいよ
685名無しさん@初回限定:2009/10/26(月) 02:06:48 ID:Pv2xpWPp0
>>683
なんかもののけ姫を思い出すわ
686名無しさん@初回限定:2009/10/26(月) 02:07:52 ID:W1e0f5sV0
本気を出せばTOPクラスの霞が本気を出して合肥の戦い再現
中位ランクの思春明命亞莎を圧倒した(星vs北郷隊のシリアス版)
後半は一刀さんがサンドバックになりつつ霞の乙女心をガッチリつかみ暴走止めた
最後は華佗さんによりめでたしめでたし
ちなみに裏で美羽vs天和達で歌対決があったよ!

だから特にオリキャラがでしゃばってるとかじゃないしな
霞を
オリキャラ・名前だけ出てた半オリキャラ・俺一刀
このどれかに変えた瞬間叩かれるものに大変身だが
687名無しさん@初回限定:2009/10/26(月) 02:11:39 ID:Yeoh848C0
>>674>>678
というかあなたたちが今回のメーテル氏の作品はオリジナル要素が強くて受け入れられないと思うならそれはそれでいいんじゃないか。
だからといって、俺や他のスレ住人がオリジナル要素が強いって思うかどうかは別だが。人それぞれだからな。
またスレで受け入れられない作品は別の場所に投稿しろと言うのはむしろいいことだと思うぜ。
賛否両論程度ならまだしも、スレの住人のほとんどから批判受けているのに、延々とここに投下し続けても正に誰得だからな。
それならオリ主、オリ設定とかが受け入れられやすい理想郷とかに誘導した方がいい。
688名無しさん@初回限定:2009/10/26(月) 02:13:13 ID:R2xTL/Rf0
回を重ねればオリジナル部分が強く出るのは当たり前だしそれは仕方ない、メーテルや北郷帝はその典型
他所に行った方が良いと言われてる人達は初っ端からオリジナル要素強かったり一刀がオリキャラ化してる
基準は明白だろう
689名無しさん@初回限定:2009/10/26(月) 02:21:23 ID:ijfkv1Vj0
すみません、そろそろ投下したいんですがいいですか?
話が終わるまで待てと言うなら待ちますが……。

それとメーテル氏乙です。
話の造り、各キャラの把握、などなどが良く出来ていて思わず話に陶酔してしまいました。
その文章力もろもろが羨ましいです。
690名無しさん@初回限定:2009/10/26(月) 02:21:35 ID:hUMAC70H0
美羽と七乃の本編はまとめサイトにあるメーテル氏の6つの項目だけですか?
それとも他のところで連載してたりするんでしょうか
袁術√で完結しているの読んだ事ないのであったらぜひ読みたいです
691名無しさん@初回限定:2009/10/26(月) 02:22:02 ID:jJhFS7QU0
空気を変えるためにもGO!
692名無しさん@初回限定:2009/10/26(月) 02:25:41 ID:Nc80bpkq0
まあ、なんで一刀一人で敵陣の霞のところまでたどり着けるんだ、とか
なにその王大人的な復活方法とか、
なんで雪蓮達だけ現場に間に合わないんだとか
ツッコミ所は万歳だけど、そこはご都合主義的なものだと言われたらそれまでだしなぁw


693名無しさん@初回限定:2009/10/26(月) 02:25:42 ID:eVJd3gJM0
>>674>>678
TINAMIか理想郷へいけ
そして二度とここへは顔出すな
694名無しさん@初回限定:2009/10/26(月) 02:25:57 ID:W1e0f5sV0
むしろ投下お願いします
ありがたやありがたや
695清涼剤 ◆q5O/xhpHR2 :2009/10/26(月) 02:34:42 ID:ijfkv1Vj0
少なくとも二名からGOサインがでましたので専用版にUPしました。


無じる真√N-26話

(この物語について)
・今回は前書きがあります。一読をオススメします。
・原作と呼称が異なるキャラが存在します。
・一刀は外史を既に一周しています。
上記が苦手な方にはおすすめできません。

(注意)
・今回は前書きがありますのでそちらを一読ください。
・過度な期待などはせずに見てやって下さい。
・未熟故、多少変なところがあるかもしれません。

URL:http://koihimemusou.x0.com/bbs/imgf/0437-26.txt

正直、メーテル氏の作品の後にこんな陳腐なものを……とも思いますが
まぁ、気が向きましたらお付き合いください。
696名無しさん@初回限定:2009/10/26(月) 03:17:27 ID:lNx7aUuT0
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!

メーテル氏乙
そしてwktkしながら無じる真を読ませて頂く
697名無しさん@初回限定:2009/10/26(月) 03:24:20 ID:Yeoh848C0
>>695
乙です
白蓮さんの一行死がこんな所で役に立つとはw
今後はどのような戦乱に巻き込まれていくのか気になります
698名無しさん@初回限定:2009/10/26(月) 04:23:17 ID:tFGxadLY0
何だか眠れなくて覗いてみたら…清涼剤氏の新作ktkr!
いやぁ、アレからどうなるかドキドキだったけど、あぁなりましたかー

本当に毎回楽しく読ませて貰ってますんで、体を壊さない程度に頑張って下さいな♪
699名無しさん@初回限定:2009/10/26(月) 10:45:49 ID:klpZY71h0
>>693
なんで読者にそういうこと言うんだ?
それは作者に言う台詞だろw

あとそういうキツイ言い方するお前も帰れ
700名無しさん@初回限定:2009/10/26(月) 11:08:44 ID:ehq+VilW0
>>695
GJ!
701名無しさん@初回限定:2009/10/26(月) 11:47:08 ID:kEE2STZu0
遼来来読み直して思ったけど、冥琳って本編で雪蓮に対して1回も敬語使ってなかったような気がするんだが
702名無しさん@初回限定:2009/10/26(月) 11:51:34 ID:eKW367/60
無印では敬語だったよ
703名無しさん@初回限定:2009/10/26(月) 11:52:32 ID:bF8TUJpM0
>>695
貂蝉話しちゃったのか、皆に揉みくちゃにされてもしょうがないなw
白蓮不憫だけど可愛い、可愛いけど不憫
これから登場人物が増えていくし、更に影が薄くなる危機をどう乗り越えるか見物だね
704名無しさん@初回限定:2009/10/26(月) 23:19:03 ID:T7PFxIDfO
>>695

帰宅途中にスレ除いて投下を見つけたからもどかしい……
いち早く読みたくて家へ向かう足が速くなるw
705名無しさん@初回限定:2009/10/26(月) 23:31:04 ID:EfVl3ydv0
>>695
清涼剤氏乙です
消滅回避おめでとうw
うらやましい災難に遭ってる一刀は頑張れw
しかし貂蝉の話の続きが気になるな

誤字脱字報告です

雪蓮と冥琳の会話部分
・「以外と速かった〜」
恋とねねのシーン
・ちんきゅーキックをおみまするところ〜
706清涼剤 ◆q5O/xhpHR2 :2009/10/26(月) 23:59:49 ID:ijfkv1Vj0
>>705
誤字報告ありがとうございます。
どうしても見落としてしまい、いつもいろんな方に余計な手間をおかけして
ばかりで申し訳ないです。
校正の回数でも増やしてみようと思います。

また何かお気づきになりましたらご報告ください。
707名無しさん@初回限定:2009/10/27(火) 00:07:05 ID:naaELAZa0
校正ってほかの人に見てもらわないと絶対完璧にはできないよね・・・
一人でもの作るってことの限界ってやつかー
708名無しさん@初回限定:2009/10/27(火) 00:08:40 ID:8ZHJgxyl0
よーめ
709名無しさん@初回限定:2009/10/27(火) 00:09:10 ID:8ZHJgxyl0
はわわ……
710名無しさん@初回限定:2009/10/27(火) 01:24:10 ID:JO/JT5cW0
(^ω^)
711名無しさん@初回限定:2009/10/27(火) 02:18:19 ID:SQLoO5ZK0
久々ですが董√最新話を桃香します

ttp://koihimemusou.x0.com/bbs/imgf/0438-1256577339.txt

今回微妙にサブタイに偽り有りです
これから年末に掛けてまた忙しくなるので間は空くと思いますが、一応年内には完結の予定です
それでは次回最終章『天壌無窮』で
712名無しさん@初回限定:2009/10/27(火) 04:45:13 ID:OxVvLMcBO
なんだかんだでもう700か
今回はものすごく早かったな
713名無しさん@初回限定:2009/10/27(火) 06:43:47 ID:g1i8BaK/0
直投下だと、支援の分が入ってレス数膨れ上がるからな。
そうでなくても分量多かったし。
714名無しさん@初回限定:2009/10/27(火) 06:56:03 ID:Drc2BPVm0
容量にして150k近く。
商業ベースだと2/3冊分か。
3ヶ月のブランクがあったとはいえ、早いなぁ。
俺もあやかりたい。
715名無しさん@初回限定:2009/10/27(火) 08:32:45 ID:Pj0AJGIe0
>>711

ここに来てみんな投下ペースダウンしてるから更新はありがたいです
716名無しさん@初回限定:2009/10/27(火) 08:47:31 ID:NwqF6Uq60
>>711
乙です
っと、そーきたか
どうなることやら・・・

一つ誤字報告をば
「私は姉者にさせてくれるな」
→「私や姉者にさせてくれるな」
717名無しさん@初回限定:2009/10/27(火) 10:36:53 ID:7myqXu8P0
>>711
乙です。こんな文章を書きたいナリィ…

えっと、誤字かは分かんないけど
4行目「驍将の何恥じる…」は「驍将の名に恥じる」かな?
718名無しさん@初回限定:2009/10/27(火) 18:27:42 ID:h88ySAG50
>>711

うぅむ……なるほどなぁ……そうきたかぁ
色々と熱い!もう彼女とかカッコ良すぎ(良い意味でw

だけど、その反動で年内完結というのが一層寂しく感じる……

>>695

それにしても条件該当者って大勢の恋姫ヒロインの中で二人しかいないんだよな
さすがちんこさんだな少ない当りを引くとはw
719名無しさん@初回限定:2009/10/27(火) 19:49:00 ID:aYpbvXcg0
しかし焔耶のDQNさときたら、チョイ役でもウザいな

桂花は華琳様と相思相愛で見ていてエロ和むが
焔耶は桃香に一方的な執着心で付きまとってるのがストーカーの様でなんともはや
720名無しさん@初回限定:2009/10/27(火) 20:50:57 ID:7myqXu8P0
さて、恋の日記を今の内に桃香するか…

内容は前回の続き(?)の日記4レス分とおまけ1レス分の計5レス!
次レスから桃香開始!さぁ、みんな!オラに元気を分けてくれ!!(感想的な意味で
721とある恋の日記 弐(1/5):2009/10/27(火) 20:52:51 ID:7myqXu8P0
―とある恋の日記 弐―




お引越しが終わった日の夜

 みんなでお酒やご飯をいっぱい食べた
 鈴々や翠達とどれだけ食べれるか勝負、した
 
 星や紫苑はお酒を飲んでこっち見てた
 愛紗も飲んでたけど……変な風になってて面白かった
 
 ご主人様はニコニコ、笑ってた
 ずっとニコニコして、みんなを見てた
 本当に嬉しそうで……恋は胸の奥があったかくなった
 
 恋はご主人様を守れた
 あったかい、恋の居場所を守れた
 ……凄く、幸せ
 
 
 …………あ、鈴々達との勝負は恋が勝った
 ご主人様に撫でてもらえて……胸がほわってなった
 
 
お庭で寝転ぶのが気持良かった日の夜

 鈴々からご主人様と力いっぱい遊んだって聞いた
 ……なんだか、不公平
 恋だって遊びたかった
 明日、ご主人様を遊びに誘うって、決めた
722とある恋の日記 弐(2/5):2009/10/27(火) 20:54:03 ID:7myqXu8P0
夕焼けが綺麗だった日

 朝早めにご主人様を遊びに誘いに部屋に行った
 ……けど、ご主人様がうなってて、愛紗が恐い顔してた
 少し迷ったけど正直に遊びに誘ったら
 愛紗がまた恐い顔してご主人様は困った顔、した
 
 ……ご主人様を困らせるのは、嫌
 でも、胸の奥が……もやもや、ちくちく、する
 
 なんだか知らない内に恋は膨れて、部屋の隅に座ってた
 「ご主人様を待ってる」って、座って待ってた
 ご主人様が困るのを知ってたのに
 お仕事の邪魔になるって、知ってたのに
 恋は、恋は……どうして?
 
 気が付いたらご主人様が一緒に遊んでくれるって笑ってた
 いつものニコニコした、恋が幸せになる……ニコニコ
 凄く嬉しくて、市に着くまで頭、真っ白
 
 それからいっぱいご飯をもらって
 ご主人様はそれを見てニコニコしてくれて
 普段とは違うご主人様も見せてくれて
 それが凄く、恋は嬉しくて
 胸が、ほわってなった
 
 帰りもずっと手を握ってくれた
 恋のお願い聞いて、遠回りもしてくれた
 ご主人様と離れたくないって凄く、思った
 この手を、この場所を、離れたくない放したくないって
 
 …………恋は、凄く、思った
723とある恋の日記 弐(3/5):2009/10/27(火) 20:59:03 ID:7myqXu8P0
小鳥がかわいく鳴いてた日の夜

 …………ご主人様と、ひとつになった
 汗、いっぱいかいて、いっぱいちゅーもした
 ご主人様がする事全部に胸がきゅってなって
 ひとつになった時は……胸の奥があったかで、ほわってなった
 
 ひとつになる事は子供を作ること
 家族がいっぱいなら寂しくなくなるから

 ……そう思ってた、けどご主人様は別の事も教えてくれた
 教えてくれて、恋と子供作っても良いって言ってくれた
 意味、わからなかったけど……恋は嬉しい気持ちになった
 
 ……でも、生きてた中で一番痛かった
 けど、ご主人様が幸せそうだったから……恋も、幸せ
 
 恋、早くご主人様と子供が欲しい
 
 
暑い所に行った日の昼

 ……かわいい猫にあった
 モフモフしてて、気持良さそう
 いつも恋の家族にしてあげるようにしてあげたら
 幸せそうな顔をして喜んでくれた
 
 けど、恋達と一緒の言葉を話してた
 愛紗が変になってたけど、ご主人様が撫でてくれたから気にしない
 
 
 ……星には恋が後でいっぱい叱っておいたから、もう大丈夫
724とある恋の日記 弐(4/5):2009/10/27(火) 21:02:33 ID:7myqXu8P0
恋が生まれた日

 みんなに“おめでとう”って言われた
 愛紗、鈴々、星、翠、紫苑……みんなに言われた
 ご主人様にも言われた……胸の奥にあったかいの、広がった
 
 誰かに祝ってもらうの、恋は初めてで……
 それでもご主人様がニコニコして恋をずっと見てるのが嬉しくて
 みんなが祝ってくれるのが嬉しくて
 恋は、ずっとニコニコしてた
 
 また来年もご主人様達とする約束が出来た
 再来年も、ご主人様達と……出来たらいい
 みんなニコニコしてると、ご主人様がニコニコしてくれるから
 ご主人様がニコニコしてると、恋は幸せ
 
 恋の居場所はご主人様の傍
 恋の仕事はご主人様を守ること
 けど恋が傷付いちゃ駄目だし、ご主人様も傷付いちゃ駄目だから、難しい
 
 でも恋、頑張る
 ご主人様が幸せってキモチになるように……頑張る
 恋のご主人様が幸せなら、恋はずっと幸せなキモチだから
 
 ……ご主人様、大好き
725とある恋の日記 弐(5/5):2009/10/27(火) 21:05:33 ID:7myqXu8P0
おまけ


愛「ご主人様、少しお時間宜しいですか?」
一「何だい、愛紗?何か問題でも……」
愛「いえ、最近恋の調子がいまいち宜しくないのです。ご飯は今まで以上に食べているようなのですが――」
一「ウン、いつもの恋じゃないか」
愛「話は最後まで聞くように!……食べはするのですが、どうやらその後に戻しているらしいのです」
一「えぇ!?それ、大丈夫なのか!!?」
愛「皆の前では戻さぬらしいのですが……ねねからの相談で発覚しました」
一「…………恋の所、行って来る!」
愛「はい、政務の方は大丈夫ですので宜しく――」
紫「心配要らないわよ、ご主人様」
二人「「紫苑!?」」
恋「……恋も居る」
二人「「恋!?」」
一「いや、驚く前に恋大丈夫か!?何なら華陀に診て貰って良し早速使いの人を――」
紫「ご主人様、落ち着いて下さいな」
一「……ごめん。で、心配要らないってどういうこと?」
愛「私も気になるのだが……どういうことだ、紫苑?」
紫「それはね――」
恋「…………恋、ご主人様の赤ちゃん出来た」
一「………………」
愛「………………」
紫「これまでのは全部悪阻や妊娠による食欲増進。だから病気じゃ――」
二人「えぇーーーーーーーーーーっ!?」
紫「ない……はぁ。ご主人様、愛紗さん。二人とも落ち着いて」
恋「……耳、キーンってした」
一「恋!」
恋「……なに、ご主人様」
一「おめでとう…そしてありがとう!(ギュッ)」
恋「(ポッ)…………(コクッ)」
726とある恋の日記 弐:2009/10/27(火) 21:09:33 ID:7myqXu8P0
以上となりまふ!
いやぁ、自分の妄想がダダ漏れで恥ずかしい…

コレからちょくちょく書いて行きたいとは思ってるんで感想や指摘等々は絶賛受付中!
727名無しさん@初回限定:2009/10/27(火) 21:30:04 ID:jVDOAyjA0
>>719
全面的に同意しておこう
728名無しさん@初回限定:2009/10/27(火) 21:35:12 ID:o/cuBekg0
>>726乙です
しかしこれは読んでるほうもなにやら気恥ずかしくなってくるなw
はわわご主人様、他にすることはないのですか
729名無しさん@初回限定:2009/10/27(火) 21:37:30 ID:naaELAZa0
焔耶は反骨にしすぎた
730名無しさん@初回限定:2009/10/27(火) 21:58:55 ID:e9OGQGIc0
>>726
乙。
ほのぼのしてていいが、妊娠発覚後の周りの反応がどうなるかw
指摘としては紫苑は愛紗をちゃん付けで呼ぶってとこかな。
731とある恋の日記 弐:2009/10/27(火) 22:13:03 ID:7myqXu8P0
>>728
それを言っちゃ書いた本人はどうなるのよ…orz

>>730
妊娠発覚後……恐すぎて想像するのヤメマシタw
そして思わぬ所で痛恨のミス!まとめさん…直して頂けると有り難いデス
732名無しさん@初回限定:2009/10/27(火) 22:29:33 ID:S+PmSjNa0
無印恋姫で、正史を望むIKEMEN二人の事なんだけど
正史を望む理由って確りとした設定あった?
733名無しさん@初回限定:2009/10/27(火) 23:00:53 ID:alLuOC4G0
>>732
あの2人は正史というよりは
北郷一刀に歪められた外史の流れを正しい流れにしたいってかんじじゃなかったけ
そしてあの2人自身がそうしなきゃいけないと望んでいるわけではなく
あの2人はそういう存在に作られたからこそそうしていたんじゃなかったけ
何度も駆りだされているらしくその役割自体には結構うんざりしていたような
734名無しさん@初回限定:2009/10/27(火) 23:03:17 ID:o/cuBekg0
んんっと、正史を望むっていうか、恋姫の世界観における正史ってのは
俺らや製作者のいるリアル世界のことなんだよ、たぶんね

一刀がもともと居た世界も春恋の外史の一つであって
チョウセンたちは外史の管理人だけど、所詮は物語の登場人物ってこと
だからそのことを理解してはいても、正史に介入することはできない
まあメタな設定ってやつだな
735名無しさん@初回限定:2009/10/27(火) 23:06:48 ID:ZbVv9rK40
一刀が介入することにより新たな外史の流れが作られるのが望まれない云々言われてたが
現在、真だのアニメ化だのアンソロだの4コマだの、おそらくその辺の話を書いたライターですら
想像だにしなかった外史が生まれてるのがなんか笑えるw
736名無しさん@初回限定:2009/10/27(火) 23:20:29 ID:VVO3f4qa0
まさかここまで外史が生まれるとは思わなかったろうなw
二次創作はもちろん、商業作品も多い多いw
737名無しさん@初回限定:2009/10/27(火) 23:27:29 ID:naaELAZa0
それほど三国志が日本で人気だってことだよ
738名無しさん@初回限定:2009/10/27(火) 23:29:07 ID:aYpbvXcg0
若い中国人は三国志を「日本のゲームの話」だと思ってるらしくてなぁ
739名無しさん@初回限定:2009/10/27(火) 23:29:26 ID:h88ySAG50
そういえば、左慈とか外史否定とかって無印や真の魏ルート以外ではあんま触れられてないような気がする
あ、でも一応漢ルートの初めのほうかなんかでも否定組に関してはちょっと触れてたっけ?
だけど、やっぱ色んなメディアにしてもSSとかにしてもその辺の話ってないような気がする
特に真発売後に関してはSSですら見かけないし、使われてても上手い使われかたじゃない気がする……

扱いが難しいのかねぇ……外史消滅を望む存在設定
740名無しさん@初回限定:2009/10/27(火) 23:32:29 ID:axt2748n0
>>725
恋かーいーなー。

でも、もう少しねねに触れてあげてw
741名無しさん@初回限定:2009/10/27(火) 23:34:11 ID:aYpbvXcg0
>>740
「ひゃあああ!な、なにをするのですっ!あっ、そ、そこは、だ、めぇ…なの、です…」
742名無しさん@初回限定:2009/10/27(火) 23:55:52 ID:S+PmSjNa0
こんがらがってきた

一刀の登場で歪んだ世界を元にもどそうとする「存在」に、個性を付け足した感じでいいのかな?
で、本人たちは飽き飽きするくらい外史を消滅させてきた、と

743名無しさん@初回限定:2009/10/27(火) 23:59:31 ID:axt2748n0
どうとらえたっていいんだよ。
そうしてまた外史が生まれる。
744名無しさん@初回限定:2009/10/28(水) 00:13:20 ID:0OinLKuW0
>>716-717
誤字報告ありがとうございます
これってまとめに載った後は仲の人にお願いすれば良いんでしょうかね?
取り敢えず避難所にて依頼してみます
745名無しさん@初回限定:2009/10/28(水) 00:44:58 ID:1SdVvB8wO
>>719>>727
キャラ叩きは止めてくれ…
好きな奴だっているんだ
746名無しさん@初回限定:2009/10/28(水) 00:50:53 ID:ZJ6lfCQL0
ツンアホと呼べばかわいく見れるもんだ
747名無しさん@初回限定:2009/10/28(水) 00:57:38 ID:WUDg6G5k0
>>745
そういうのは徹底的にスルー。
748名無しさん@初回限定:2009/10/28(水) 01:09:50 ID:L6oVSpri0
長編考える時はどこまで考えるんだろう、最初に全部決めてから書くのか、
書きながら話をつくってくもんなのかのう
749名無しさん@初回限定:2009/10/28(水) 01:52:56 ID:WUDg6G5k0
>>748
俺は恋姫では長編書いてないんだけど、他では長編も書く人間として言うと、
全体の大きな枠組みは最初に決める。
でも、そこに至る細かい流れは、だんだん決めていく感じ。

重要な出来事や伏線は最初に決めておかないとなかなか難しい。
でも、自分で書いたことが、いつのまにか膨らみ積み重なって、うまく融合することもあるので、
全て計画的にやるのがいいとも限らない。
750名無しさん@初回限定:2009/10/28(水) 01:56:01 ID:BZF68iOv0
>>742
このスレで説明すると
正史(スレ)で色々な話が読みたい、書きたいと思う事で外史が生まれる(スレに投稿される)
しかしその外史(作品)を全ての人が読みたいとは思わない(オリキャラ等)
そこで外史を消そうとする意思(他の所に移動させる)が左慈達となり
存続させようとする意思(ここで投稿を続けさせる)が貂蝉となる

わかりにくいか・・
751名無しさん@初回限定:2009/10/28(水) 11:34:45 ID:u/tdqKX60
左慈達の暗躍の結果=途中で中断されたSS

で、OK?
752名無しさん@初回限定:2009/10/28(水) 13:00:27 ID:yDXHdJ410
結果というよりは目的かな?ニュアンスとしてはそんな感じかも
ある意味一刀って、二次創作SSにおけるオリキャラ主人公そのものだし
そういう作品を認めたくない気持ちは
恋姫のオリキャラ主人公モノSSなどを読めばよくわかりますw
753名無しさん@初回限定:2009/10/28(水) 13:27:34 ID:8weAJ8XA0
外史という穴が空く事で正史がズタズタになるのを防ぐ為に毎回出動してるんだろうからなあ>左慈・干吉
「今日もまた穴を塞ぐ仕事が始まるお」を続ける内に「穴空けてんじゃねーよ、死ね!」になっちゃったんだろうな
754名無しさん@初回限定:2009/10/28(水) 13:55:37 ID:CZ9cqDBz0
どこの英霊だよw
755名無しさん@初回限定:2009/10/28(水) 17:33:36 ID:85kQyn2OO
>754
同じ事思った(笑)
756名無しさん@初回限定:2009/10/28(水) 18:59:00 ID:8CHqbgdkO
でも正直、外史とか左滋の存在がイマイチ好きになれない俺
二次SSだと大概この設定が使われてるけど世界が崩壊するー、とかそういう壮大な展開はなんか一歩ひいちゃうんだよね
真でアイツラが出なかったことには正直ホッとしてました
757名無しさん@初回限定:2009/10/28(水) 19:52:45 ID:85kQyn2OO
誰が桃香(様)予定者はいるかー!
758一刀十三号 ◆vgiLUhkT66 :2009/10/28(水) 20:07:26 ID:85kQyn2OO
よし誰も居ない、ひっそり約五分後に桃香します。
759三教一致拠点風イベント ハロウィン祭:2009/10/28(水) 20:13:19 ID:85kQyn2OO
シュタ!
「にゃー(お帰りお嬢ちゃん)」
「ああ、お猫さま、一時的にただいまです」
「にゃー(一時的?)」
「はい、何故か帰ってこなくてはいけない気がして」
「にゃー(強制力かな?とにかく24桃香です)」
三教一致【拠点風】イベント
波浪印災!昼ノ部
760名無しさん@初回限定:2009/10/28(水) 20:13:44 ID:ySN62EOBO
甘いな
ここにいるぞー!
761名無しさん@初回限定:2009/10/28(水) 20:15:19 ID:jMA3wyJO0
ここにいr(ry

さて、支援に徹しますかねw
762三教一致拠点風イベントハロウィン祭1-24:2009/10/28(水) 20:18:08 ID:85kQyn2OO
事の発端の発言は珍しく鈴々だった。
「ねえ、お兄ちゃん。10月は天の国では催し物はないの?」
「(10月?10月、何か有ったな?何だっけ?)」
考え込む俺に痺れを切らして飛び付きかけた鈴々に女性が話掛ける。
「有るわよ、鈴々。それも鈴々が好きそうな催し物が」
「おぉ、雪蓮なのだ。で、好きそうな催し物って何なのだ?」
今やすっかり仲良くなって、三国首脳陣は真名で呼び会えるまでに成った。
「ハロウィンよ、鈴々」
「波浪因?」
「・・・発音が、(まあ有る意味間違って無いかも)ハロウィンよ。発音はあまり重要ではないかも知れないけど正しく言えるなら言えた方が良いはずだからね。鈴々、ハロウィンよ」
「ハロウ印」
「その調子」
「ハロ…ハ…ハロウ…ウィン……ハロウィン?」
「あら?上手く言えたじゃない、鈴々。じゃあご褒美に催し物の内容はお菓子を貰えるのよ」
「お菓子を貰えるのか!」
既に目を輝かせてる鈴々。
「そう、催し物に参加している普通の格好をしている人に『トリックオァトリート』って言うとお菓子を貰えるの」
「鳥っくおあ盗りーと?」
763三教一致拠点風イベントハロウィン祭2-24:2009/10/28(水) 20:22:08 ID:85kQyn2OO
「トリック・オァ・トリート、意味は『お菓子をくれなきゃ悪戯するぞ』で、合ってるわよね一刀」
「概ね喋っておいて今さら確認ですか?雪蓮さん」
「今さら鈴々の期待を裏切る訳にはいかないもの」
期待させてるの貴女ですが?
「お兄ちゃん、ハロウィンをやるのだ!トリックオァ盗りードなのだ。皆に広めてくるのだ」
食べる事になると覚えが良いのか、雪蓮の教えが良いのか?ほぼ片言英語を覚えた鈴々は執務室を飛び出した。
「雪蓮、鈴々の教師やらない?」
「教師?ご冗談を私には向かないわよ」
「いや、立派にやれると思うが…で、何でここに居るの?」
「あら?酷いわね、月の定期報告じゃない。忘れたの?ブーブー」
「忘れてないよ、でも今月は四ヶ月ごとの大報告の月ではないから下士官か通常の文官じゃない?」
「ますます酷ーい、わざわざ私が会いに来たのに嬉しくないの?」
泣き崩れる格好をする雪蓮。
「嬉しく無い訳が無いけど、けどさ国王がそうそう国を空けていいの?」
「それなら問題無いわよ。私、近々引退して蓮華に国王の座明け渡すから」
「なら安心だね・・・・・エェ―――!」
驚いて叫ぶ。
「一刀、急に五月蝿い」
764名無しさん@初回限定:2009/10/28(水) 20:22:51 ID:jMA3wyJO0
支援物資搬入開始っと
765三教一致拠点風イベントハロウィン祭3-24:2009/10/28(水) 20:26:34 ID:85kQyn2OO
「だって、国王辞めちゃうんだよね」
「基本、漢の国内での戦が無くなった今、政治的には蓮華が呉の国王に成った方が上手く機能するのよ。
 そりゃ相談役としては残るわよ、本当は完全に引退して一刀の傍に居たいけど許してくれないのよ、ねえ冥琳」
雪蓮の発言に驚く。
「冥琳も!?」
姿を現しながら。
「それは自分だけ引退して愛しい男の傍らで酒を飲みふける等誰が許すか」
眼鏡を直しながら。
「私も第一線からは退く、下が育たんからな。だが引退はしない、雪蓮もだ」
後ろで、“冥琳の意地悪、イーだ”とか叫んでいる雪蓮はこの際ほっとこう。
だが次の瞬間、もっと驚く羽目に会う。
「任せられる人が居るのは羨ましいわよ正直」
「華琳!」
「「曹孟徳!」」
余りの驚きに本来真名を許しあっている雪蓮と冥琳が字で呼んでしまうぐらいだ。
「あら?雪蓮に冥琳。真名は許したわよね?」
「うぬ、すまぬ華琳。あまりに驚いて」
「あんまり貴女が脅かすからでしょ、華琳」
謝る冥琳に反発する雪蓮。
「まあここまで驚くとは思わなかったわ、私もやり過ぎたわ許して雪蓮、冥琳」
「じゃあお互い様で」
「了解した。しかし何故、今ここに貴女が?」
766三教一致拠点風イベントハロウィン祭4-24:2009/10/28(水) 20:31:02 ID:85kQyn2OO
「気分転換よ、只の。流石にずーっと机に向かっていると突然黙って旅に出たくなるのよ。で、思えば今は定期報告の時期、これを利用しない手はないわと行動に移っただけよ?」
何かいけないのかしら?と本気な目で悩む華琳にため息一つ漏らす自分。
「ああ、早く私も後継者が欲しいわ、第一候補はやはり自分の子供かしら?」
「……なら早く出来ると良いね」
惚れた女性の子供と聞いて少し気が荒れたのか素っ気なく答える。
すると近づきながら。
「馬鹿ね」
次に人差し指を喉から顎にかけて滑らせて。
「お父さんは貴方に決まってるじゃない」
惚れた女性の顔が面前まで迫る。
この場に蜀義三姉妹が居たら一波乱有ったで有ろう。
華琳の突然の告白に顔を真っ赤にする俺、その事が恥ずかしくなり顔を真っ赤にする華琳。
「……で、何かしら?ハロウ…印、……ハロウィンって」
流石は華琳、照れ隠しの話題変更と聞き慣れない英語の発音をほぼ一発で成功した。
「羅馬の方?外国の風習で確か魔除けだっけ?」
「一刀、羅馬より上、イングランドやアイルランドの風習だって教えくれたじゃない一刀。魔除けなのはほぼ合っているわよ」
767名無しさん@初回限定:2009/10/28(水) 20:31:29 ID:zX1CpcMl0
C
768名無しさん@初回限定:2009/10/28(水) 20:33:24 ID:jMA3wyJO0
\支援/
769三教一致拠点風イベントハロウィン祭5-24:2009/10/28(水) 20:35:04 ID:85kQyn2OO
「(今のところ全部俺から聞いた事にしてるけど、雪蓮の奴本当に記憶が曖昧なのか?疑わしくなってきた)」
もちろん俺は教えてない、第一ハロウィンなんて風習、日本ではまだそんなに馴染んでないのだから。
「どう華琳?せっかく知ったのだから体験してみたら?子供達にお菓子も配るのよ、将来の一刀の子供の予行練習だと思って」
照れた事を掘り返され“五月蝿いわよ、雪蓮!”と叫ぶ華琳を笑いながらたしなめる雪蓮。
結局は。
「やっても良いわよ、いい気分転換に成りそうだし。喜びなさい季衣、お菓子食べ放題だそうよ」
華琳の台詞にギョっとすると。
「本当ですか?華琳様」
柱の影からひょっこり顔を出す季衣。
「ええ、本当よ」
「やったー!ありがとな兄ちゃん」
「季衣が居るなんて聞いてないぞ」
「あら、言って無いもの聞いてないのも当たり前じゃない」
いえ、そんな事、しれっと言われても…
「それに一刀、いくらお忍びでも私が単身で行動するなんてのは極稀よ」
稀にならば完全単身行動するんだ、とか内心で思っていると華琳は更に言葉を続ける。
「流琉、あなたはお菓子作りに…そうね、いい機会だから私とお菓子作りを競いましょう」
770名無しさん@初回限定:2009/10/28(水) 20:36:30 ID:jMA3wyJO0
接続悪いが…支援は続ける!
771名無しさん@初回限定:2009/10/28(水) 20:37:20 ID:1SdVvB8wO
おやこれは十三号氏
支援物資を運ばねば
772三教一致拠点風イベントハロウィン祭6-24:2009/10/28(水) 20:39:08 ID:85kQyn2OO
「か、華琳様と料理勝負ですか?」
季衣の現れた柱の反対側から姿を現す流琉。
「またにはいいでしょう流琉。それに凪、あなたもいい機会だからお菓子作りにも挑戦しなさい」
「わ、私がお菓子作りですか?」
「えぇ、凪も居るの?」
「私はお邪魔ですか……」
やや暗い顔で姿を現す。
「いや…」
言えないよな、元々北郷隊で仔犬の様になついてたから気になるなんて。
「やはりお邪魔なんですね…」
「一刀?」
「違う!違う!…そのなんだ、首都の警備隊を筆頭で真面目に勤める凪なら子供達が喜ぶお菓子を真面目に考えて作ってくれるだろうと思っただけ」
咄嗟に考えた事を口走ると凪の表情が明るくなった。
初めて見た時から華琳様に対する忠義心とは別の不思議な感情を抱いてた、最近それが恋心らしい事に気付かされ今回会う機会を得た。
当然、凪としては真名を預けたが自分の様な下っぱは忘れさられてるだろうと思っていた、しかし自分の真名で反応してくれてた時点で半分は舞い上がっていた。
だが他の誰かと勘違いしている可能性も考えて登場時あの様な不思議な態度での登場となったのだった。
773三教一致拠点風イベントハロウィン祭7-24:2009/10/28(水) 20:43:12 ID:85kQyn2OO
それも警備隊をしている事とそれに対して評価をしてくれた事にそうは見えないが、既に凪は完全に舞い上がっていた。
「わ…解りました!全力で取り掛からせていただきます!」
「凪、肩の力抜いて」
「ハッ!」
ますます肩に力が入る。
「ふう、どうなる事やら?一刀。責任をとりなさい」
「俺?」
「あなたしか居ないでしょう、これで結果的に凪に自信消失な事になったらただじゃすまなさいわよ、警備隊での有一の生真面目なんだから」
鋭く華琳の目が光る。
ビクッ!!
「…解ったよ」
半場脅迫にうなずく俺。
「ならこちらは確実な祭と将来有望な亞莎を出しましょう」
いままで黙っていた雪蓮が口を開いた。
「孫呉は料理関係が極端に弱いのよね〜」
「しかたないだろう雪蓮、孫呉復帰に向け皆ガムシャラで料理等している暇は無かったのだから」
「それは儂が暇に託つけて料理の腕を磨いたと言いたいのか?冥琳よ」
「祭殿!城下の視察はもうよろしいので?」
「うぬ、旨い酒も店も見つけた。酒等の娯楽品、街が豊かでなくてはそうそうこの様な上質な物は並ばぬ」
街のレベルを酒で図るのは流石は祭といったところか。
774名無しさん@初回限定:2009/10/28(水) 20:44:32 ID:jMA3wyJO0
支援物資、足りるかなぁ…
775名無しさん@初回限定:2009/10/28(水) 20:46:14 ID:zX1CpcMl0
776三教一致拠点風イベントハロウィン祭8-24:2009/10/28(水) 20:47:25 ID:85kQyn2OO
「で、話を反らすな冥琳よ。料理の旨い儂はなんじゃっと?」
普段やられてばかりだからか、ここぞとばかり攻撃に入る。
「…それは…祭殿の…日頃の努力の賜物かと」
「そうじゃろう、策殿も飲んでばかりでなく冥琳も本ばかりではなく、少々料理でもたしなんでは?男は胃袋から支配すると中々楽ですぞ」
祭の言葉に思う処があるのか沈黙の雪蓮、代わりに冥琳が喋る。
「遊びで来た訳でわないのだ、その波浪印とやらの料理は祭殿と亞莎で。私達二人は蜀での本来の仕事をさせてもらうぞ」
行くぞ雪蓮!、と雪蓮を連れ出す冥琳。
内心“ちょっとつれないなあ冥琳”は何て思っている自分がいた。
こうしてハロウィンの日時は華琳がお忍び行動での色々な意味での限界やや越えの三日後の二十五日、各々いろんな思惑を忍ばせ準備に入る。
ちなみにハロウィン衣装はいつもの仕立屋に特注、街には城で子供達にお菓子を配るとだけ知らせる。
魔除けだとか子供達を妖精・小悪魔に見立てる等、余計な事を言って要らない不安・不信を買っても特は無しと朱里と雛里の判断だった。
777名無しさん@初回限定:2009/10/28(水) 20:51:05 ID:4HmVfaSiO
くっ!十三号氏が来ているのに気付けなかったとは!
後れ馳せながら支援戦闘を開始する!
778名無しさん@初回限定:2009/10/28(水) 20:51:36 ID:GBxLcbtL0
支援
779三教一致拠点風イベントハロウィン祭9-24:2009/10/28(水) 21:01:50 ID:85kQyn2OO
◇ ◇ ◇
で、今日はハロウィン当日の朝。
実は今忙しい、しかも政務である。
お菓子の新天地の開拓として朱里と雛里に天のお菓子ケーキを朧気な記憶で教えていた。
すると偵察に来た華琳と巻き込まれた流琉、好奇心で訪れた祭さんも入れて伝授していてその間政務が疎かになった。
それを愛紗に見つかり説教を喰らう。途中で、自分も前日は皆にハロウィンの配り用のお菓子を作りたいと提言。
ますます怒られたが、ハロウィン当日には今までの遅れてる分を取り返せるならと前日のお菓子作りの許可を得て現状に至る。
◇ ◇ ◇
コンッ!コンッ!
不意にドアを叩く音に。
「誰かな?どうぞ」
仕事量が意外と多く返事だけで机から動かずに対応した。
すると、
「「トリック・オア・トリート」」
姿を表したのは小悪魔姿の鈴々と璃々だった。
「ああ、璃々と鈴々。はい、じゃあお菓子ね」
「ああ!これご主人様のクッキーだー!」
「本当なのか璃々?おお!本当にお兄ちゃん特製クッキーなのだ」
「特製ってそんな大袈裟な」
初出のホワイトデー以来やたら人気が有る俺のクッキー。
780名無しさん@初回限定:2009/10/28(水) 21:03:49 ID:jMA3wyJO0
支援物資をひたすら搬入!
781名無しさん@初回限定:2009/10/28(水) 21:06:26 ID:GBxLcbtL0
支援
782名無しさん@初回限定:2009/10/28(水) 21:06:37 ID:4HmVfaSiO
支援物資はお菓子だぞ!
間違えても砲撃するなよ!
783三教一致拠点風イベントハロウィン祭10-24:2009/10/28(水) 21:06:39 ID:85kQyn2OO
出来は素晴らしく良いというわけではないのだが食感が良いのか中々人気が落ちない。
何度か作っているのでコツも分かり腕もだいぶ上達はしているだろうが、朱里あたりが作れば王座はいとも簡単に譲り渡す羽目になるのだが製作を頑なに拒否する朱里や雛里である。
何故なんだろ?
とにかく竹篭に入れたお菓子を渡しながら。
「湿気っちゃうと、味が落ちちゃうから早めに食べろ〜」
「分かったなのだ〜」
「ご主人様、ありがとう」
既に目は竹簡に向かい見送る事もせず、返事だけで送り出す。
璃々たちの後、数十人の子供達にお菓子を渡し送り出す。
無論、服装は普段着だが。
午前が終わるかな?そろそろ昼かな?と思ったころ一人の来訪者が来る。
「……トリック・オア・トリート」
不意の言葉に視線を上げると狼の姿をした狼男ならぬ、狼少女。
意外と…いや、かなりハマっている姿に見とれてしまう。
「……トリック・オア・トリート」
もう一度、恋の言葉に我に帰り。
「はい、お菓子」
竹篭を一つ差し出す。
仕事の為、視線を竹簡に戻すが視界の端に写る竹篭が一向に消えない。
すると、
「……トリック・オア・トリート」
784名無しさん@初回限定:2009/10/28(水) 21:09:07 ID:4HmVfaSiO
呂布将軍の分の支援物資を速く!
785三教一致拠点風イベントハロウィン祭11-24:2009/10/28(水) 21:11:13 ID:85kQyn2OO
???
流石に不思議に思い恋を見ると、恋の視線は俺の脇のクッキーの山に注がれていた。
「・・・流石に駄目だぞ恋、まだ子供達も来るから足りなくなるだろ」
「……大丈夫、追加のクッキーもう出来てる……はず、…それにそのクッキーそろそろ湿気って美味しさ半減……だから恋が処分する」
ぬぬ。事、食べ物に関しては鋭くなる恋さんだな、手強い。
「でも、まだ届いて無いだろう、その間に子供達が押し寄せたら足りなくなっちゃうぞ〜」
この間、ずっと竹書に目をやり恋とは会話のみ。
「……トリック・オア・トリート」
再度恋が訴え出る。
「………駄目だよ〜」
幾ばくか時間が過ぎたかな?仕事に夢中で分からなかったのだが。
「……じゃあ、トリック」
「え?」
恋の言葉に驚く、意味分かっ…
ペロッ!
ほっぺを舐められた。
「恋?」
「…トリック」
ペロペロペロッ!
ほっぺから耳たぶに。
顔が真っ赤になる俺に追い討ちをかけてくる恋。
ペロペロッペロペロペロペロッペロペロペロペロッ!
耳たぶから首筋に移る。
「アハハ、れ・恋ちょっと」
ペロペロペロペロペロペロ……
786名無しさん@初回限定:2009/10/28(水) 21:11:17 ID:GBxLcbtL0
クッキー支援
787名無しさん@初回限定:2009/10/28(水) 21:13:04 ID:jMA3wyJO0
な、なんと羨ましい…くっ、呂布将軍の為にお菓子を搬入だ!
788名無しさん@初回限定:2009/10/28(水) 21:14:25 ID:GBxLcbtL0
むしろさらなるトリックのためにクッキーなし支援
789三教一致拠点風イベントハロウィン祭12-24:2009/10/28(水) 21:15:24 ID:85kQyn2OO
「ヒャハハハハハハハハ…、恋!わ、分かったよ降参。ヒャハハハ、降参するお菓子渡すから、止めてくれ〜」
すると、ピタッ!と愛撫攻撃が止む。
「ハ〜ハ〜」
肩で息をする俺だった。
「でも、念のために十個は置いとくよ。恋」
「……………必要無いけど、分かった」

必要無い?
意味が分からないが承諾は得た、クッキーの戦果に満足気な微笑みを作る恋を見て自分もつい顔が緩む。
「…ご主人様。…クッキー大事に食べる」
クッキーを抱える恋を見送り、何時までもにやけてる訳にもいかないと思った矢先。
「相変わらずご主人様は恋にお甘いのですね」
ギクッ!
やや怒気をはらんだその声の主は愛紗。
ぎごちない動作で後ろを向くと、両手で追加分の焼きたてクッキーを持っていた。
「愛紗さんいつからそこに?」
「恋が執務室に向かうのを見たので、もしやと思い追加を持って来たのですが」
ダンッ!
割れ物のクッキーを叩きつける訳にもいかない愛紗は少々強めに足を踏み込み俺を睨む。
「ちなみに、………駄目だよ〜からです」
殆んど最初からじゃないか!背筋に嫌な汗が流れてしかもやたら寒い。
790名無しさん@初回限定:2009/10/28(水) 21:17:01 ID:GBxLcbtL0
愛紗がクッキー焼いてきたのかと思った支援
791名無しさん@初回限定:2009/10/28(水) 21:17:50 ID:4HmVfaSiO
い、いかん!北郷様に傷薬の支援が必要かも知れぬ!
792名無しさん@初回限定:2009/10/28(水) 21:18:35 ID:1SdVvB8wO
トリックオアトリート支援
793三教一致拠点風イベントハロウィン祭13-24:2009/10/28(水) 21:20:09 ID:85kQyn2OO
話を反らそうと話題をふる。
「愛紗はお菓子を作らないの?」
不機嫌なのが更に不機嫌になり。
「先日ようやくチャーハンが形になったばかりなのにお菓子などと高等技術を要する物など」
溜め息を一つ吐いたのち。
「朱里や雛里、華琳殿や流琉はご主人様が教えになった、“形喜”とやらが子供達に大好評で休み無く働いているというのに………ご主人様は」
恋に渡したクッキーが有った場所に追加のクッキーを置く愛紗。
「仕事もせずに恋とその、………イチャついてるなんて…もういいです」
扉に向かい歩き出す、そのまま扉に手をかけた瞬間。
「愛紗!」
「はい!」
反射で返事をして振り向く愛紗に。
「トリック・オア・トリート」
ギシッ!
左の手のひらを扉に押し付け。
「え?…ですが今しがた、お菓子はそこに置いてしまい、今の私は…」
カチリ!
右手で扉の鍵を掛ける。
「…ならトリックだね…」
愛紗の耳元で呟くと唇を重ねて舌を絡めたディープキスをする。
「んっ……チュッ…んん、はぁ、……んふぅ……チュルッ、んむっ!?んっ、ルロッ、チュルッ、んん!!ん〜〜〜!」
体感的にはおそらく五分、ようやく愛紗の唇から自分の口を放す。
794名無しさん@初回限定:2009/10/28(水) 21:22:49 ID:jMA3wyJO0
一刀…誤魔化しやがった!
くそう、トリックオアトリート支援!!
795名無しさん@初回限定:2009/10/28(水) 21:22:55 ID:GBxLcbtL0
支援
796名無しさん@初回限定:2009/10/28(水) 21:23:31 ID:4HmVfaSiO
この状況で支援物資を搬入は出来んwww
797三教一致拠点風イベントハロウィン祭14-24:2009/10/28(水) 21:24:34 ID:85kQyn2OO
「機嫌直してくれた?」
「知りません!」
声は怒っていたが目がちゃんと笑っているのを確認する。
「それでは、朱里達の手伝いがまだ有るので失礼しますご主人様」
鍵を開けて部屋を出る、その時に顔を見ればすっかりご機嫌の様子に一安心して政務戻った。
時折来る子供達の相手が程好い気分転換になり政務は捗る、気付くと昼を周り陰の位置からおおよそ三時だろうと推測する。
流石に小腹も空き体も動かしたいと思い朱里達の様子を覗き行った。
◇ ◇ ◇
念のための筈の玉座の間が狭かった、軍議の時でもかなりの大人が入れる筈なのだが今や子供達に占拠されていた。
「はう〜、あっ!ご主人様」
たまたま俺に気が付いた朱里が声を掛けてきた。
「大…盛況だね」
「はい…それはもう目が回る程、あわわ〜」
朱里と雛里の目を覗くと実際目が回っている、そろそろ限界なのかな?
「一刀!あなたも手伝いなさい!」
華琳の叱咤が飛ぶ。
「へいへい、手伝いますよ。朱里何をすればいい?」
「すいませんご主人様に手伝わせて、何時もならお断りするのですが本当に忙しく…」
「いいから、何するの」
「はわ!すいません、それでは……」
798名無しさん@初回限定:2009/10/28(水) 21:25:14 ID:1SdVvB8wO
一刀さん知能犯だなw
支援
799名無しさん@初回限定:2009/10/28(水) 21:26:06 ID:GBxLcbtL0
支援
800名無しさん@初回限定:2009/10/28(水) 21:28:48 ID:LIgEoPFY0
砲弾の代わりに、飴玉で支援。
801三教一致拠点風イベントハロウィン祭15-24:2009/10/28(水) 21:29:02 ID:85kQyn2OO
それからケーキを運び・子供達を並べ・多少盛付けも手伝った。
「しかし、凄い数だね」
呆れ返りながら喋る俺、ここ白帝城に首都を移動してから日は浅いはず、大人ならともかく子供がここまで集まるとは正直驚いている。
「それはご主人様と桃香様の善政で家族を連れてでもこの地を訪れる者が後を断たないのですから」
手伝いながらも誇らしげに説明する愛紗。
「まあ俺はともかく、桃香や朱里の善政は間違いないからな」
「そんな、ご主人様も…」
「ハイハイ、ノロケはいいから愛紗も一刀も口じゃなく手を動かす」
「うう…」
会話を華琳に中断され呻き声をあげるも手伝いの作業に戻る。
「他でもお菓子配ってるよね?」
「そういう企画なのでしょ」
「いやこの数を見てると全員ここに居るんじゃないかな、と」
「おそらくほぼ全員居るんじゃない?」
「え?」
「それは只でさえ普段口に入らない菓子を、ましては見たことも聞いたことも無い菓子が有れば真っ先に食してみたいと思うのは子供はおろか、大人でも思うでしょう」
「そんな……もんだよな。ごめん皆、周りを喜ばせ様と…考え無さ過ぎた」
802名無しさん@初回限定:2009/10/28(水) 21:30:06 ID:GBxLcbtL0
支援
803名無しさん@初回限定:2009/10/28(水) 21:31:58 ID:jMA3wyJO0
むぅ…何か支援物資を運んでいる内に甘いモノが食いたくなってきた…
804名無しさん@初回限定:2009/10/28(水) 21:32:52 ID:1SdVvB8wO
一刀のクッキーってどんなやつだろ
アイスボックスはなさそうだが絞り出し?型抜き?
805名無しさん@初回限定:2009/10/28(水) 21:32:53 ID:4HmVfaSiO
俺達の戦場は厨房だ!
支援物資を絶やすなよ!
806三教一致拠点風イベントハロウィン祭16-24:2009/10/28(水) 21:33:25 ID:85kQyn2OO
「大丈夫ですよ、ご主人様。お菓子でも知らない知識を得て生かす、それで子供達も喜んでる。問題有りません」
「朱里ちゃんのおっしゃる通りです…ご主人様」
「子供は国の宝なのよ、その宝達が喜んでるならそれでいいんじゃない?」
ここに居る皆がこの催しを肯定してくれたことに感謝する。
「ですがご主人様…そろそろ“けいき”の残りの数が…並ぶのに制限を掛けませんと」
「分かった、貰えてない子供はいないよね」
「ほぼ間違いなく、今居る子供達は二週目もしくは三週目かと」
「よし、愛紗!一旦並ぶのを中断させて」
分かりました、と返事をして最後尾らしい所に向かって行く。
「早く頂戴なのだ!」
「ああ待たせてごめんね、はいこ……鈴々何してるの」
「わわ、ばれたのだ!」
ばれたじゃないだろう、第一こんな目立つ仮装してたら……いや仮装が目立ち過ぎて中身が隠れたのか。
「こら!鈴々居ないと思ったらサボるはおろか子供達のお菓子を…」
「にはゃ〜、鈴々は子供なのだ!」
「都合のいい時だけ子供になるんじゃない!待て鈴々、反省が無い様だお仕置きしてやる」
こうして愛紗と鈴々が玉座の間から姿を消したのだった。
807名無しさん@初回限定:2009/10/28(水) 21:33:30 ID:1SdVvB8wO
…と、大事な一言を忘れてた
支援
808名無しさん@初回限定:2009/10/28(水) 21:34:30 ID:GBxLcbtL0
支援
809三教一致拠点風イベントハロウィン祭17-24:2009/10/28(水) 21:37:13 ID:85kQyn2OO
そうしてる内にケーキが無くなる。
「ごめんな、ケーキは品切れだ」
「「「えー」」」
子供達の抗議の声が木霊する。
「城内にお菓子ならまだ有るから、貰っておいで」
すると、
「「「はーい」」」
と、元気な返事が返って来て各々が新たな宝探しに出向いて行った。
静まった玉座の間の扉を閉めて労いの声を掛ける。
「お疲れ様」
「もう、本当に疲れたわよ」
「その割には嫌な顔してないよね」
「誰も嫌だったなんて言ってないですから」
その時残ってた朱里・雛里・紫苑・音々音・華琳・流琉・俺が一斉に笑いだす。
「見ましたかご主人様、子供達のあの笑顔」
「ああ」
「魏でもやろうかしら、ねえ流琉?」
「検討の価値は有ると思います。なによりこの新しい知識と技術をもっと試してみたいのも事実です華琳様」
「そうね、それも有るわね」
月と詠が持って来たお茶を飲みながら話が拡大する、華琳と流琉に至っては予算の割当てまで話が進んでいる。
「(二人共どこまで話大きくする気なのだろう?)」
これだけ女の子が集まれば話に花も咲くもので邪魔しちゃ悪いのと残りの状況確認も兼ねて玉座の間を後にする俺だった。
◇ ◇ ◇
810名無しさん@初回限定:2009/10/28(水) 21:38:14 ID:9T4Unqrw0
砲火
811名無しさん@初回限定:2009/10/28(水) 21:39:26 ID:4HmVfaSiO
搬入先が変わったか。
支援物資の生産を続行する。
812名無しさん@初回限定:2009/10/28(水) 21:40:56 ID:GBxLcbtL0
支援
813三教一致拠点風イベントハロウィン祭18-24:2009/10/28(水) 21:41:05 ID:85kQyn2OO
先ずは亞莎と祭さんがいる部屋に向かった。
「一刀だけど入るよ、平気かい?」
「どーぞ一刀さん」
祭からの返事が無いが亞莎からは承諾をもらったので部屋に入る、部屋には亞莎だけで祭さんの姿が見えない。
「祭さんは?」
極々普通の疑問を亞莎にぶつけてみる。
「それが、その。自分が作ったお菓子が配布中止になって、ふて腐れて自分のお部屋へ」
「何かしたの?」
「さあ?そこまで存じてません。唯、朱里さんと揉めていたのは確かです」
「朱里と?」
「はい」
この組合せ事態珍しいが、揉めるとは尚珍しい。
だが今は詳しい事が解らない以上後回しだ。
「で、亞莎が作ったのわ」
「ゴマ団子です、一刀さん!」
俺が喋っていたのを遮ってまで説明に亞莎。
「それにしても、大分上手く出来上がっているね」
「ありがとうございます、一刀さん。お世辞でも嬉しいです」
「お世辞じゃないよ」
この言葉に顔を真っ赤にする。
「食べていい?」
「どうぞ、あっ!でも台詞を言わないと」
「ああ、トリック・オア・トリート」
「はい、どうぞ」
亞莎から手渡されるゴマ団子、食べる前にもう一つ質問。
814名無しさん@初回限定:2009/10/28(水) 21:43:21 ID:1SdVvB8wO
祭さん酒でも入れたのか?
支援
815三教一致拠点風イベントハロウィン祭19-24:2009/10/28(水) 21:45:05 ID:85kQyn2OO
「何でゴマ団子なの?」
「何故でしょう?」
質問された側が真剣に悩んでいる、だが答えらしきものは有るらしくあっさりと答える。
「物心ついた時から既に…いやゴマ団子の存在を知った時から興味を惹かれ、何故かいつか来る日までに上達してないといけない気がするのです」
「それで、いつか来る日って?」
「分かりません」
「何でそう思うの?」
「解りません」
「だったらいつかその日が来ると良いな、亞莎」
「はい」
パクッ!
「おぉ!すっごく旨いぞこれ、早く子供達に教えてやらないともったいない」
ツー…
亞莎の右目から人知れず流れ落ちる一筋の泪、気付いたのは当人の亞莎のみ当然一刀が気付く事などない。
咄嗟に袖で顔を隠すと。
「どうしたの?」
心配する一刀。
気配で涙が残ってない事を確信し、腕を動かし顔を出す。
「一刀さん、ありがとう!」
「ん?俺何かした」
「いいのです、ともかくありがとうなのです」
そうして、魅せてくれた亞莎の笑顔は今までで一番輝いていた。
◇ ◇ ◇
816名無しさん@初回限定:2009/10/28(水) 21:45:39 ID:GBxLcbtL0
支援
817名無しさん@初回限定:2009/10/28(水) 21:48:34 ID:4HmVfaSiO
呂蒙様の想いは世界を越えられたか……
支援を続行する。
818三教一致拠点風イベントハロウィン祭20-24:2009/10/28(水) 21:49:06 ID:85kQyn2OO
「確かここは凪だったな、入るけど平気かい?」
「あぁ、一刀殿」
恐らくはケーキを襲撃していた子供達が目標を失い次に凪のお菓子に目を着けたのだろう、そして今しがた襲撃を終え去ったんだろうなとやつれた凪の姿と疲れた声から想像が出来る。
だが、しかし。
「一刀殿は恥ずかしいなあ、もう少し軟らかく」
「では、一刀さん?」
凪には隊長と呼ばれてたのが慣れ過ぎて、改めて“一刀さん”と呼ばれると色々と強力すぎる。
「やっぱり駄目です、その出来たら慣れるまではやはり一刀殿でよろしいですか」
顔を真っ赤にしながら凪の方から断りが入った。
恥ずかしくも有り少し悲しいも有った。
「分かった好きにして」
「ありがとうございます、しかし子供達は元気ですね」
「まあ元気が一番だよね」
「全くです」
いい雰囲気の中、残ったお菓子に目をやる。
「これ凪が作ったお菓子?」
「はい、初めてなので定番の物をと」
確かに定番だがそれだけに人気も高い残り僅か数個、タダで食べれるとあればここまで減るのはほぼ瞬殺だったのだろう残りの一つを掴むとヒョイとつまみ食いする。
「あっ!一刀殿……」
819名無しさん@初回限定:2009/10/28(水) 21:49:18 ID:9T4Unqrw0
これはどこに運び込めばいいんだ? 支援支援っと
820名無しさん@初回限定:2009/10/28(水) 21:50:17 ID:GBxLcbtL0
支援
821名無しさん@初回限定:2009/10/28(水) 21:51:47 ID:jMA3wyJO0
支援物資を搬入する最中につい、ニヨニヨしてしまうw
822三教一致拠点風イベントハロウィン祭21-24:2009/10/28(水) 21:53:02 ID:85kQyn2OO
「うん、初めてのお菓子がこのできなら問題無いよ、良いお嫁さんになれるよ」
「なっ!なっ!」
耳まで真っ赤にして振り向いたまま動かなくなる凪を素直に可愛いと思った。
すると棚に木箱が見える、好奇心に駆られて手に取り蓋を開けるとケーキが出てきたことにビックリ。
「なんだ凪、ちゃんとケーキも作ったんじゃん」
凪の作ったケーキに対して好奇心の方が勝った、一つ摘まんで一口。
俺の声に我に還った凪が叫んだ。
「一刀殿それは駄目です!」
だが既に時は遅し。
「★〆±§◆¶ж〜!!」
口の中で火がついた!
よくよく考えれば隠していたということはこれは凪個人用のお菓子、そして凪の味覚の趣向は激辛。
ならばこのケーキの味付けもビタビタで有って然るべきだと気付くべきだった。
「う〜う〜」
情けない呻き声をあげて二口目等噛めずにどうにか舌で少し押し上げる以外何も出来ない俺。
水なんか少量しか用意しておらず、それも子供達に撃墜済み。
あまりの辛さに半場涙目で本当に何も出来ない。
すると決心した顔の凪が話掛けてきた。
「一刀殿失礼します!」
すると口から少しはみ出ていた激辛ケーキを巧くくわえて自分の口に。
823名無しさん@初回限定:2009/10/28(水) 21:55:44 ID:4HmVfaSiO
辛いケーキってスターオーシャンのアイテムクリエイションの失敗作だよね。
支援物資を搬入。
824名無しさん@初回限定:2009/10/28(水) 21:55:46 ID:GBxLcbtL0
支援
825名無しさん@初回限定:2009/10/28(水) 21:56:20 ID:9T4Unqrw0
引けーっ 力の限り引けっー 根性見せてみろーっ
826名無しさん@初回限定:2009/10/28(水) 21:56:44 ID:LIgEoPFY0
絶対、真っ赤だよなあこのケーキ。
827三教一致拠点風イベントハロウィン祭22-24:2009/10/28(水) 21:57:09 ID:85kQyn2OO
口に運んだ激辛ケーキを噛んだ凪の顔が緩みだす。
「(あ、甘い、辛いのに甘い?)」
一刀の唾液を含むだろう激辛ケーキを食べてる凪の顔はその真逆の激甘の物を食べてるかの様な顔をしている。
「う〜う〜」
今の状況の元凶で有った激辛ケーキが口から消えるも、今だ辛いエキスか何かが残っているのか?口が麻痺して相変わらず情けない呻き声しか出せない。
そこに陶酔した顔の凪が再度覆い被さって来た。
「重ね重ね失礼します。か、一刀、殿」
「「んぅ…ちゅっ、…ン…んむ…れぅ、れろ……ぇろれるぅ……」」
まず、舌の先を丹念に自分の舌でなぶる、次に舌全体をやはり自分の舌全体を使って丹念に絡める。
やがて麻痺が解けた俺が自分から凪の舌に絡め様として自分の歯に舌が当たると。
「○Å&ヰω!!」
辛さが復活する、歯の裏にでも辛子エキスが残っているのか?
「一刀殿、じっとしていて」
「……コクッ」
最早舌すら動かせず凪にされるがままの状態だ。
歯を裏まで凪の舌でなぶられる、凪の顔がますます赤く陶酔していく。
口の中をすっかり凪に凌辱され、既に辛さなんか微塵も感じない。
828名無しさん@初回限定:2009/10/28(水) 21:59:55 ID:4HmVfaSiO
支援物資にお菓子が必要なのか疑問に思ってきた。
甘い!
829名無しさん@初回限定:2009/10/28(水) 22:00:33 ID:9T4Unqrw0
赤くてもウマウマできる気概が必要^^
830名無しさん@初回限定:2009/10/28(水) 22:02:31 ID:u/tdqKX60
支援の方々、一刀への攻撃は許可する。
831三教一致拠点風イベントハロウィン祭23-24:2009/10/28(水) 22:02:57 ID:85kQyn2OO
今では自分からも積極的に凪の舌を絡める。
最早、俺も頭がのぼせているのか夢中に凪の口を貪る。
そして俺の手が凪の胸に伸びて突起物を摘まんだ瞬間!
「んんっ―――!!!」
凪が気をやった。
凪の声に我に返った俺は直ぐ様に謝った。
「ああ、ごめん凪!途中から解らなくなってきて……本当にごめん」
「はぁ、はぁ…、大丈夫です…一刀、殿。むしろ今は…何故か嬉しいのです。一刀殿に女性だと認められたと思えて本当に嬉しいのです。謝らないで戴きたい」
「凪は充分魅力的な女の子だよ」
この言葉に凪が再び顔を赤くする。
「それから…一刀殿、あの…その…」
「何?」
「一刀殿の方は…よろしいのでしょうか」
「何故が」
「ですから……」
凪の視線が下半身に向かう、俺も釣られて下を向くと……そこにはそそり立つ息子の姿が・・・
「アハハハハは…はぁ、今はいいや。配る物は無くなってるけど誰がいつ入って来るか分からないし」
「そうですか、少し残念ではあります」
「そう言ってくれるのは嬉しいよ…その内機会を作って二人きりでね…」
呟いた俺の台詞に凪が思考停止する、全く反応が無い様なので仕方なく部屋を後にした。
832名無しさん@初回限定:2009/10/28(水) 22:04:37 ID:9T4Unqrw0
支援
833名無しさん@初回限定:2009/10/28(水) 22:05:23 ID:jMA3wyJO0
大佐!支援を行いつつ、一刀へ向けて射撃を行っても構いませぬか!?
834名無しさん@初回限定:2009/10/28(水) 22:05:55 ID:1SdVvB8wO
子供達の大隊に遭遇!
支援物資の提供を求めています!
835名無しさん@初回限定:2009/10/28(水) 22:05:57 ID:GBxLcbtL0
支援
836名無しさん@初回限定:2009/10/28(水) 22:06:38 ID:4HmVfaSiO
自分で砲撃するなと言っておいてなんだが……

支援砲撃用意!目標種馬!
837三教一致拠点風イベントハロウィン祭24-24:2009/10/28(水) 22:07:45 ID:85kQyn2OO
その後やや前屈みでも自分の部屋まで悠然と見せ掛けながら帰る、何人かにはバレてるみたいだったが……。
夜の華琳や雪蓮をもてなす宴会までにいきり立った息子を鎮めるのは大変苦労をした。
ちなみに我に帰った凪が目の前に一刀が一口だけ食べた激辛ケーキを確認すると小さくガッツポーズを取ったのだった。

ハロウィン祭昼ノ部終了。
夜ノ部ニ続ク?。
838名無しさん@初回限定:2009/10/28(水) 22:10:19 ID:4HmVfaSiO
くそっ!撃ち損じた!
支援部隊員は夜の部までにありったけの砲弾を用意するんだ!
839名無しさん@初回限定:2009/10/28(水) 22:10:24 ID:1SdVvB8wO
搬入したお菓子が…
投下乙でしたー!


夜ノ部…だと…?
840名無しさん@初回限定:2009/10/28(水) 22:11:09 ID:9T4Unqrw0
乙 しかし、なぜだろう 砲撃は続けたいな ちくしょうw
841名無しさん@初回限定:2009/10/28(水) 22:11:45 ID:8A7JEeC80
乙〜激辛なのに激甘とはこれ如何に!!
842名無しさん@初回限定:2009/10/28(水) 22:12:15 ID:YKstxMWn0
おおリアル遭遇
十三号氏乙
843名無しさん@初回限定:2009/10/28(水) 22:14:30 ID:4HmVfaSiO
しまった。怒りに我を忘れていたようだ。

投下乙でした。

ただし砲兵部隊の編成は着々と進んでいるがwww
844名無しさん@初回限定:2009/10/28(水) 22:16:38 ID:jMA3wyJO0
桃香乙!
だが、一刀よ…夜は背中に気を付けるのじゃぞ……ふふっ
845一刀十三号 ◆vgiLUhkT66 :2009/10/28(水) 22:16:55 ID:85kQyn2OO
「にゃー(まずは多数様の支援本当にありがとうございました)」
m(_ _)m
「しかし、お猫さま?双頭の龍(後)は?」
「にゃー(お嬢ちゃん、疲れてると激甘な話を書きたくなるんだよ、双頭もちゃんと構想は出来てるよ、多分)」
「多分ですか?第一お猫さま?激甘を書きたいなら、アイドル達の続き三国アイドルをお書きになれば」
「にゃー(あれは甘いじゃなくエロイだから……ちょっと待て何でそれを知っている)」
「お猫さま、私の特技は情報収集ですが?」
「にゃー(・・・このバカ娘が!トップシークレット?を喋るな!)」
846名無しさん@初回限定:2009/10/28(水) 22:24:43 ID:9T4Unqrw0
なにやら聞き捨てならない単語がちらほらと・・・
847名無しさん@初回限定:2009/10/28(水) 22:26:11 ID:GBxLcbtL0
乙でした
種馬すぎるw夜も期待
848名無しさん@初回限定:2009/10/29(木) 00:11:43 ID:u+bzKiJaO
十三号は俺の一番好きな作者だけにありがたい
849名無しさん@初回限定:2009/10/29(木) 00:36:21 ID:GxxgZIUD0
>>848
ほう、奇遇だねぇ
同じだよw
まぁ、人によって熱を上げる対象作品が異なってるとは思うけどね

そういや、このスレを見てるみんなはどの作者が好きなんだろう?
実は前からちょっと気になってたんだよね

支障なければ、一番だけでいいから教えて欲しいな
850名無しさん@初回限定:2009/10/29(木) 00:39:52 ID:tTNFADSD0
そんな質問するってのは、荒らしたいのか。まあ、荒らしたいんだろうな。
851名無しさん@初回限定:2009/10/29(木) 00:42:50 ID:A2GlT01X0
誰か一番
そのネタで荒れなかったことはない。
852名無しさん@初回限定:2009/10/29(木) 00:45:14 ID:GxxgZIUD0
>>850
いや、荒らそうとか別に考えてなかったんだけど……

前から結構●●が一番好きだとかの発言があったから
実際どうなのかなって思っただけなんだよ

別に一位から最下位までランク付けしろなんて言う気もないしね
というかランク付けしたら荒れるだろうってのは同意だけど、どれが好きか聞くくらいなのもダメなの?
853名無しさん@初回限定:2009/10/29(木) 00:45:26 ID:d6ZDhNIL0
今更だけど、SS読んでるとたまに出る、北郷の旗って何で十文字?
本編のどっかにそういうのあったのかな
854名無しさん@初回限定:2009/10/29(木) 00:47:16 ID:tTNFADSD0
>>853
北郷家の家紋だから。島津の流れだから、十文字。
無印からずっと丸に十字だよ。
855名無しさん@初回限定:2009/10/29(木) 00:48:36 ID:GxxgZIUD0
十文字の理由は無かった気がするかな
一説では名字が北郷だからって言われてるけど……実際どうなんだろうね
856名無しさん@初回限定:2009/10/29(木) 02:46:09 ID:ODkfFcU0P
俺はまとめサイトのFAQで納得したけど…
857名無しさん@初回限定:2009/10/29(木) 02:50:28 ID:yTvs3KPI0
そもそも旗印については工作板で語り尽くされてるからな
858名無しさん@初回限定:2009/10/29(木) 08:27:26 ID:MW/Cmt8OO
「島津氏の分家で北郷氏ってのがいるから一刀はその流れをくむ家なんだろう」って話をここか本スレで見かけた覚えが
北郷帝シリーズは「一刀は島津氏分家の北郷氏の末裔」って設定で書かれてるみたいだな

>>852
誰が一番好きか表明するって事は少なくとも一番とそれ以外をランク付けする事になる
それに今までで「○○最高!他の奴は底辺」みたいな事を放言した馬鹿もいる
だから一番云々の話題は荒れる元だと嫌われる
859名無しさん@初回限定:2009/10/29(木) 15:24:44 ID:mf3UGacY0
なんにしろSSスレで順位付けは最大級のタブーだわな
860名無しさん@初回限定:2009/10/30(金) 08:40:48 ID:daIhnv620
そもそも一刀自身、どの√でも誰が一番好きなんて決めていないからな
俺達も此処に投下してくれる作者達全員上下無く好きだという事で手を打とう
861名無しさん@初回限定:2009/10/30(金) 13:22:19 ID:ysr7zeDbO
>>860
つまりみな一刀になれと言うことですね。
862名無しさん@初回限定:2009/10/30(金) 16:13:15 ID:r99i2V7QO
うわ〜俺生き残れる自信無いわ〜。
そうだ!猫になろう!(笑)
面倒見良い方結構いるし。
863名無しさん@初回限定:2009/10/30(金) 22:44:44 ID:Eu02K1oDO
十三号氏の周りにいる猫になったとしたら、風の火計や水計の餌食になるかもwww
864名無しさん@初回限定:2009/10/30(金) 22:50:12 ID:Rop64ntxP BE:678094272-2BP(2000)
呉の野良猫になって毎日明命のところに行くよ俺
865名無しさん@初回限定:2009/10/30(金) 23:44:22 ID:xc2giSyr0
>>864
一刀と明命の幸せを祝福したいだなんていい奴だな、貴様。
866名無しさん@初回限定:2009/10/31(土) 08:24:26 ID:HLXiI4oIO
867名無しさん@初回限定:2009/10/31(土) 09:03:33 ID:6C0C9jJpO
>>866
そのエピソードが元になった無印での三バカ拠点の時に
あぁ、三人を一刀さんが頂いちゃうのか(性的な意味で)
と期待したのもなにもかもがみな懐かしい……。
868名無しさん@初回限定:2009/10/31(土) 15:54:52 ID:aUwLHAAa0
すいません。
公式オフィシャルで武将たちの強さランク評があったと思うんですが
どんなものでしたっけ? どこかにあったような気もするんですが

あとここって18禁も事前告知はいるのですか?
869名無しさん@初回限定:2009/10/31(土) 18:28:51 ID:lq/P+4/o0
VFBに1〜5段階で各能力値が載ってたが
正直同じ5の値でも明らかに差が見えるキャラとかもいるので目安程度のものだと思う
870名無しさん@初回限定:2009/10/31(土) 18:53:50 ID:gTL/YkxU0
VFBの声優コメントで袁術のコメントだけ見つかんないんだけどもしかしてない?
871名無しさん@初回限定:2009/10/31(土) 18:54:42 ID:gTL/YkxU0
すまん、恋姫スレと間違えて誤爆した
872名無しさん@初回限定:2009/10/31(土) 19:29:37 ID:TlmCp4tJ0
>>868
>>869の言うとおり、オフィシャルと言えるものだとVFBにしかないが、正直あれはネタ程度w
実際にはシチュエーションによって大きく変わるから、おおまかなくくり以外は気にしなくていいと思うよ。

SSで言ったら、そのSSの流れで強いやつが決まる。
抱えているものとか、手傷の有無とか、集中力を阻害する要因とか。
だから、話の流れの中で強さを考えればいいと思うよ。

18禁描写はアブノーマルなものでもなければ事前に断りを入れることは特に必要ないと思うけど。
873名無しさん@初回限定:2009/10/31(土) 20:12:27 ID:9iu5oQw7O
まぁ、18禁描写は見たくない人がいるかも知れないから、最初にエロ有りとか書いておけば十分だと思う。
874名無しさん@初回限定:2009/11/01(日) 07:53:48 ID:Wm34P2T8P
元がエロゲで18歳未満立ち入り禁止の板で18禁描写見たくないというのもなんだかなあ
875名無しさん@初回限定:2009/11/01(日) 09:11:47 ID:z75J/cBcO
>>874
まぁ凌辱モノは、ってことじゃない?
公式の「恋姫の凌辱版出すお!」ってエイプリルフールネタで発狂してた奴もいたし、この作品でそういうのはきついんだろう
876名無しさん@初回限定:2009/11/01(日) 09:14:25 ID:z75J/cBcO
>>874
まぁ凌辱モノは、ってことじゃない?
公式の「恋姫の凌辱版出すお!」ってエイプリルフールネタで発狂してた奴もいたし、この作品でそういうのはきついんだろう
877名無しさん@初回限定:2009/11/01(日) 09:15:10 ID:z75J/cBcO
おぉう、連投スマソ
878名無しさん@初回限定:2009/11/01(日) 10:58:19 ID:K6yFbz2SO
まあ人を選びそうなプレイの場合は一言断っとくのが無難かもね
SMとかお尻とか調教とかスカとか
879名無しさん@初回限定:2009/11/01(日) 14:25:37 ID:uct+DrZi0
桂花調教 〜ああっ、わたしは華琳さまのいやしい下僕です!〜

こういうのか。
880名無しさん@初回限定:2009/11/01(日) 14:26:18 ID:B/d9ZMoN0
それ普段と変わらないじゃないw
881名無しさん@初回限定:2009/11/01(日) 15:14:47 ID:uct+DrZi0
桂花調教2 〜華琳さまやめさせてください! いやぁ! こんな奴の子供なんて産みたくないっ!〜

おかしいな、桂花一人でジャンルが全部カバーできるぞ……
882名無しさん@初回限定:2009/11/01(日) 17:07:28 ID:O4bnvpHoP
桂花は万能だな
さすがだ
883名無しさん@初回限定:2009/11/01(日) 17:30:40 ID:4+a2t7EE0
だが巨乳属性だけはカバーできまい
884名無しさん@初回限定:2009/11/01(日) 17:39:10 ID:uct+DrZi0
桂花調教3 〜こんな体にされるなんて〜
885名無しさん@初回限定:2009/11/01(日) 17:57:25 ID:0woHAnnDO
蜂蜜パワー?
886名無しさん@初回限定:2009/11/01(日) 20:39:32 ID:DjrbTJ6X0
桂花調教4 〜もうダメッ!ウンチ出るっ、ウンチ出ますうっ!!〜
887名無しさん@初回限定:2009/11/01(日) 21:06:27 ID:msy5n/Ul0
とりあえず、お前らが最低の屑だってことはよーく分かった。
888名無しさん@初回限定:2009/11/02(月) 03:27:48 ID:FhDRC81PP BE:871835292-2BP(4444)
避難所に風鈴さんが投下してるぞい
889名無しさん@初回限定:2009/11/02(月) 07:25:24 ID:HePK84aOO
ありがとう、ちょっと見てくる
890避難所より転載:2009/11/03(火) 12:50:44 ID:JXz92lnS0
492 名前:メーテル ◆999HUU8SEE [sage] 投稿日:2009/11/02(月) 23:34:07 ID:g1F0bfOE0 (PC)
わたしの名はメーテル……遅刻してきた上、規制に巻き込まれた女。
10分後にハロウィンテキストを投下させてもらうわね、鉄郎。
終わったら、どなたかスレの方に転載していただけると嬉しいわ……
「杷炉韻である!」
「杷炉韻だね」
「杷炉韻って何よ」

 夏も終わり、そろそろ肌寒くなってくる秋の夜長。
 王者の威風漂う、その絢爛なる部屋に、美羽、大喬、小喬の三人がいた。

「ふふん。小喬は相変わらず世間知らずじゃのぅ。どれ、大喬よ、不出来な妹に説明してやる
がよい」
「あのね小喬ちゃん。杷炉韻っていうのは、一刀さんがいた天の国の行事で、お化けの格好を
しながら『お菓子をくれなきゃ、悪戯しちゃうぞ』っておどかして、お菓子をもらう行事なん
だって」
「そんな天の国の行事なんて、わたしが知るわけないでしょ!」

 江南の二喬と呼ばれるこの二人が、城に住むようになってから、幾ばくかのときが流れてい
た。
 呉からの交換人員として、半ば献上品のように差し出されたこの二人。元はといえば、美羽
と七乃の二人を籠絡するという密命を帯びて遣わされたのであるが、季節が一つ移り変わった
いまとなっては、すっかり美羽の遊び相手となってしまっている。

「というわけでじゃ、そなたら二人には、妾と共に仮装をして菓子をもらう栄誉を与える!」
 美羽は踏ん反り返ってそう言った。
「何それ、勝手にすればいいじゃない。わたしたちには関係ないし。ね? お姉ちゃんもそう
思うでしょ?」
「わたしは……」
 言いよどんで大喬が美羽を見ると、美羽が『それ! ずばっと言ってやるのじゃっ!』とい
うジェスチャーをしていた。
「……面白いんじゃないかなって……」
「ふはははははー! 流石に姉のほうはよくわかっておるのぅ!」
「またお姉ちゃんったら! 美羽には甘い!」
 とまあこの三人、終始この調子である。
「で、仮装するって言っても一体何をするのよ。わたしもお姉ちゃんも準備なんてしてないわ
よ」
「うむ! 当然ながら妾に相応しい装いを用意してある」
「そんなこと聞いてないし……」
 言うや否や美羽はとととと、部屋の隅へ歩いていき、そこに置いてあった木箱を手にとって
戻ってきた。
 手にした木箱。
 美羽はおもむろにそこに手を突っ込むと、入っていたものを取り出して二人に見せた。
「……南瓜?」
 そう、中から出てきたのは、手のひらサイズのカボチャである。
 だが、ただのカボチャではない。
 職人技の精緻な彫り込みによって、見事に龍の頭の形に整えられていた。
「妾に相応しいものといえば龍しかあるまい!」
 美羽はそう言うと、その龍の顔の形をしたカボチャを頭にのせて、えへんを威張ってみせる。
「そしてそなたらには、これを持つことを許す!」
 と、彼女は次に、棒を二つ、それぞれ二喬たちにずずいと押し付けた。
「何これ?」
 小喬はそう言って棒を受け取ると、しげしげとそれを見た。
 棒の長さは肘からゆびさきくらいまでの長さ。
 そしてその先端部分が、緑色をした鱗を持つ龍の胴体部分に繋がっている。
「あたしたちはこれを持ってあんたのあとについて行くってこと?」
「うむ!」
 要するに、美羽一人だと龍の胴体を引きずることになるので、二人の役目はその棒で胴体部
分を支えていて欲しいということらしい。
 明らかに三人いないと成立しないこの仮装に、小喬は深く溜め息をついた。
「しょうがないわねぇ……」
「わかったか。では参るぞ! 二人とも妾についてまいれ!」
「う、うん……」
「はいはい」

 こうして、杷炉韻の夜がはじまったのだった。
 ◇七乃の部屋の場合◇

「さて、最初はまずここじゃ!」
 まず美羽が立ち止まったのは、先ほどまでいた美羽の部屋の隣、七乃の部屋の前であった。
 基本的に、美羽の重臣たちには希望すれば城の外に用意された屋敷に住んでもよいことにな
っている。
 ただ、いま現在は城内に割り当てられた部屋で生活している者が殆どである。
 この城に引っ越してきたときに、『お嬢さまのお部屋の隣がいいですぅ』と言って誰よりも
先に美羽の隣の部屋を確保した七乃も、そんな一人であった。

「はいはい。さっさとすれば」
「うむ!」
 美羽は勢いそう言うと、元気よく七乃の部屋の戸を叩いた。
 『人の部屋に入るときは、いきなり戸を開けちゃいけません』
 一刀の教育のたまものである。

 ドンドンドンドンッ!
 美羽が戸を叩く。
「七乃、妾じゃ! ここを開けてたも!」
 すると部屋の中から七乃の声がした。
『お嬢さまですか?』
「うむっ!」
『えー? 本当にお嬢さまですかー?』
「うむ! 本当の本当に妾なのじゃっ!」
『本当の美羽さまなら、この問題に答えられるはずです』
「何じゃ、申してみよ!」
『孫子が兵法において、一番大事なこととして説いているのは?=x
「孫子って誰じゃ?」
『わー、本物のお嬢さまだ〜』
 ガチャリという音と共に、七乃の部屋の戸が開かれた。
 それを見ていた美羽が『わははは』と得意満面な顔で入ってく。
 そしてその後ろについて行く二人は、美羽の性格がこうなのは、七乃の影響に依るところが
大きいのではないのかという疑惑を深めたのであった。

「美羽さま、よくいらっしゃいました」
 通された七乃の部屋は、趣味よく小綺麗にまとめられていた。
 全体的に美羽の部屋と似偏った雰囲気があるが、これは美羽の部屋の内装などを決めたのが
全て七乃だからである。

「うむ七乃よ。今日は杷炉韻じゃ、妾に菓子を寄越すのじゃ! あま〜いやつじゃぞ!」
「はいはい、わかってますよぅ」
 言って、七乃は予め用意してあったのか、机の上にあった小箱から、薄紙に包まれたものを、
一つ、二つ、三つと手に取った。
「はい、お嬢さまの大好きな蜂蜜の飴ですよ〜」
「おおっ!」
「はい、大喬ちゃんと小喬ちゃんにも蜂蜜の飴ですよ〜」
「ありがとうございます、七乃さん」
「あ、ありがとう……」
 そうして三人に飴を渡し終わった七乃は、改めて美羽に向き直った。
「いいですか美羽さま。沢山もらっても、蜂蜜の飴は、一日二つまでですからね。あと、食べ
たら寝る前には歯を磨かなくちゃ駄目ですよ」
「わ、わかっておるそのくらいっ! 我は四世三公を排した名門袁家の家柄であるぞ! わか
らぬはずがなかろう!」
「わーい流石お嬢さま! ここで家柄とか関係な〜い!」
「わはは! そうじゃろうそうじゃろう! もっと妾をほめてたも!」
「あはは〜」
 夜の城に、わははあははと、明るい笑いがこだました。

「ど、どこから突っ込めばいいかわからなかったわ……」
「はははは……」

 ◇月・詠の部屋の場合◇

「わはははは、妾たちに菓子を寄越すのじゃ!」
 次に美羽たちが向かったのは、月と詠に割り当てられた部屋である。
 本来、陣営の筆頭軍師ともなれば一人部屋が割り当てられて当然なのだが、そこはそれ。彼
女たち二人の希望によって、二人は相部屋が割り振られているのだ。

「ああ、早速来たわね」
「うん。ちょうどそのお話を詠ちゃんとしてたんだよ」
「ならばわかっておるな! 菓子を寄越さねば悪戯をするのじゃ!」
 その言葉に、思うところがあったのか詠が手で顔を覆った。
「……むかつくわ。そういう行事だってわかってても、恫喝外交に屈したみたいで、すごくむ
かつくわ」

 さて、その部屋の内装と言えば、『上品』という言葉が似合うものであった。
 美羽や七乃部屋と比べると煌びやかなどの点では、華やかさに欠けるが、その分落ち着ける
雰囲気なのだ。
 机の上や、寝台の上、その他いろいろなところにファンシーな小物が置かれているのは、月
の趣味なのだろう。
「まあまあ。はい、美羽ちゃん。七乃さんから聞いてるよ、蜂蜜の飴」
「うむ!」
「大喬ちゃんと小喬ちゃんも」
「あ、ありがとうございます……」
「くれるって言うなら、もらっといてあげるわ!」

 そうやって三人に飴を渡してから、月は美羽のほうに向いた。
「いい美羽ちゃん。沢山もらっても、蜂蜜の飴は、一度に食べちゃ駄目だよ。一日二つまでだ
からね。あと、食べたあと寝る前には歯を磨かなくちゃ駄目だよ」
 その言葉に美羽は、
「……はて、先ほど誰かにも同じことを言われたような……?」
 と、人差し指でこめかみを押さえながら首を傾げた。
「七乃よ! あんたさっき七乃からも同じこと言われてたでしょうが!」
「おおっ! そうであったそうであった! うむ、わかっておるぞ!」

 わかっているのかいないのか、小喬が呆れる中、美羽はわははと声をあげた。

 ◇恋・音々音の部屋の場合◇

「おまえらいい加減騒がしいのですよ。馬鹿騒ぎがこの部屋まで聞こえていたのです!」
 開口一番、音々音の口からそんな言葉が飛び出した。

 城の外に屋敷を持つものもいるというのは、先ほどの通りだが。天下の『飛将軍』呂布奉先
もその一人である。
 だが、彼女の場合は屋敷は持っているが、普段からそこに住んでいるわけではない。
 与えられた屋敷には、主に動物たちが住んでいるのだ。そして彼女自身は普段、城内に用意
された部屋で寝起きしているのだ。
 だが、そんな寝起きしている部屋にも、様々な動物たちが溢れていた。
 ここにいる動物たちは、まだ子供ばかりである。
 恋は拾ってきた動物や、怪我をしているのを手当てした動物の中でも、まだ子供のものはこ
うやって自分の部屋に引き取ってきて、暫く一緒にいるのだ。
 なお、音々音が一緒に生活しているのは、彼女本人の希望によるものである。
「ささ、恋殿。あれを」
「うん」
 恋は音々音に促されて、机の上に用意されていた薄紙に包まれた飴玉を、無造作にむんずと
掴むんだ。
「美羽、大喬、小喬」
「おまえら、ありがたく思うのですよ。恋殿が菓子は心が広いのです!」
 そう言って二人が三人のほうを向き直ると、

『わふぅ』
「わはははははっ! こ、これ! 舐めるでない! わはは!」
『ハッハッハッハッハ!』
「やっ、駄目、ちょっと! なんてところに潜り込んでくるのよ! そ、そこはだめぇ!」
『ばうっ』
「お、重い、重いよ……誰か、助け……」
 部屋の中にいた動物たちが彼女たちに群がっているところだった。

「おおう……なにやら絵的にすごいことに……。って、恋殿、手を差し出してどうしたのです
?」
「ねねにもあげる」
「な、何ですとー!?」
「一刀が、杷炉韻は子供にお菓子をあげる日だって……」
「ねねは、ねねはずっと恋殿について行きますぞー!」
 音々音は、滝の涙を流しながら天にも昇る心地で叫びをあげる。
 そしてそれに紛れるように小喬の声が、最後にか細く響いた。

「そんなことより早く、助けなさいよ……」
◇麗羽の部屋の場合◇

 ややくたびれて麗羽の部屋の前。
 そこで美羽は「う……」と呻いた。
 ここに来て、初めて美羽は部屋の戸を叩くのを躊躇っていた。

「どうしたの? 早く叩けばいいじゃない?」
「わ、わかっておるわ!」
 美羽が麗羽を苦手とすることを知らない小喬の声に急かされるようにして、美羽はドンドン
と戸を叩いた。

「まあ美羽さん! よくぞいらっしゃいましたわね!」
「ちぃーっす」
「美羽さま、こんばんは」
 と、開かれた戸の中から挨拶を返したのは麗羽、猪々子、斗詩であった。
 この三人に関しては、詠と音々音が城の外に屋敷を与えることに猛反対したために、城内に
麗羽に一部屋、猪々子と斗詩に相部屋が与えられていた。
 その理由は
『あんなの放っておけるわけないじゃないっ!』
『何をしでかすかわからないのですっ!』
 との二人の主張である。
 要するに、この三人は要監視対象なのだ。

 一応麗羽一人に宛がわれた部屋であるそこは、ある意味では美羽の部屋によく似ていると言
なくもなかった。
 豪華絢爛。絨毯から調度品、その他小物に至まで、ありとあらゆるものが贅をこらされた逸
品で統一されている。
 美羽の部屋が、美羽の趣味によるちゃめっ気がアクセントになっているとすれば、こちらは
豪華一点張りと言ったところである。
「まあまあまあ。その頭に乗せているカボチャが仮装ですのね。美羽さんにお似合いの、可愛
らしい龍ですこと。よろしいっ! 猪々子、この三人の飴をお与えしてちょうだい!」
「あいあいさー」
 麗羽の合図に合わせて、猪々子が返事をする。
 そして彼女は高笑いが響く中、三人に蜂蜜飴を渡して回った。
「うむ、大義である!」
「あ、ありがとうございます……」
「ふんっ、一応礼は言っておいてあげるわ!」
「いいって、いいってっ」

 三人の反応に気をよくした麗羽はますますテンションをあげていく。
「ほーっほっほっほっほっ! 三人とも、この海よりも寛大なわたしの心に、感謝するといい
ですわっ!」
「まあ、飴を用意してくださったのは七乃さんなんですけどね」
「ほーっほっほっほっほっほっほっほっほ!」
 そんな斗詩の声も無視して、麗羽の高笑いは次第にハウリングを増して……
「それでは麗羽姉さま。ありがとうございました」
 と、そこで、美羽は適当に礼だけ言って、厄介なことに巻き込まれる前にそそくさとその場
を退出した。

「あの三人と話していると、頭が痛くなってくるのじゃ」
「ああはなりたくないわねー」
「だ、駄目よ二人とも、そんなこと言っちゃ……」
 ◇華なんとかの部屋の場合◇

『修行の旅に出る! 探せるものなら探してみろ!』
 その戸には、そんな張り紙がされていた。

「何じゃ、留守か」
 それだけ言うと、美羽は踵を返そうとする。
「留守か、じゃないでしょ! 将軍が勝手に消えたのよ! もっと他に言うことあるでしょ!
?」
 という小喬の言葉に、美羽は心底わからないという顔をした。
「んん? 何かあるかのぅ……。まあ、華……華……華何とかじゃからな。普段から気にして
おらんからようわからんのじゃ。そんなことより、次じゃ次っ!」
「ちょっとっ!?」
 こういったこの城の危機管理や、人員掌握を、本気で冥琳に報告するべきかと日々悩む小喬
であった。

 ◇白蓮の部屋の場合◇

「おーい残念長史、ここを開けるのじゃ−!」
 戸口の前に立って、美羽がそう大声で叫ぶと、
『残念って言うなぁっ!』
 と、中から声が響いて、ガラリと戸が開いた。

「おお、残念のほうはおったか」
「面当向かってだから残念とか言うなぁ!」
 立っていたのは、私服に着替えた白蓮である。
「それで、こんな時間に一体何の用なんだ?」
「うむ、今日は杷炉韻ぞ! 悪戯をされたくなければ菓子を寄越すがよい!」
「あー、そっか今日が七乃の言ってた日か……、まあいいや、用意するから、おまえたち三人
とも中に入れ」
 その言葉に三人は、
「美味しくない茶はいらないわよ」
「し、失礼いたします……」
「ふははははっ! 入ってやるからありがたく思うのじゃ!」
 そう言って三人は中に入った。

 そうして招かれた白蓮の部屋は、なんというか普通だった。
 そこそこ小綺麗に片付いており、そこそこ女の子っぽくあり、そこそこ落ち着いている。
 奇抜さもなければ、アクセントもない。印象にも残らない。
 有り体に言えば……
「なんというか、つまらん部屋じゃのぅ」
「そうねぇ。普通っぽいわね」
「おまえらそんなこと言うために来たなら帰れ!」
 叫びながら、白蓮は机の上をごそごそと探していた。
 どうやら机に置いておいた飴を無くしてしまったようなのだが、散らかっているわけでもな
いのですぐに見つかるだろう。

 そうやって白蓮が飴を探している間、きょろきょろと部屋の中を見ていた美羽は、壁に掛け
られた変なものを見つけた。
「ん? 何じゃこれは?」
「仮面、なのかな……?」
「……趣味悪いわねぇ」
 壁に掛けられていたそれは、白を基調に金縁をあしらった、目元を隠すタイプの仮面であっ
た。
 旅芸人や、役者などがつけるものに、見えないこともない。
 けれども、部屋に飾るような洗練されたデザインには到底思えない。
 三人がそれを見ながら感想を漏らしていると 飴を見つけた白蓮がやってきた。
「おい、見つけたぞー。って、何を!?」
「ん? どうした残念。妾たちは趣味の悪い仮面を見ておっただけじゃぞ」
「趣味が悪……っ」
「コレはないわねー」
「ないのぅ」
「二人とも、本当のこと言ったら失礼だよぅ」
 口々にそう言われて、白蓮は壁にふらりと手をついた。
 そして、空いた手のほうに握られていた薄紙に包まれているものを美羽が目ざとく見つけた。
「何じゃ、飴のほうは見つかったようじゃな。うむ、くるしゅうない。妾たちがもらっておい
てやるぞ! では皆のもの! 次の部屋じゃ!」

 そうして美羽たちが去っていくと、あとにはうちひしがれた白蓮だけがその場に残されてい
た。
「趣味が悪い……趣味が悪……」
 そうやってブツブツと呟く白蓮であった。

 ◇霞の部屋の場合◇

 張遼の部屋の前、美羽の後ろで大喬と小喬はガタガタと奮えていた。
 いまや張遼は呉においては、鬼神雷神と恐れられる存在である。
 『遼来来』と言えば、泣く子もちびって黙るという恐れられようだ。
 彼女たち二人が、このようにガタガタ震えて怯えるのも致し方ないことであった。

「むう、そういえば霞のやつはいま、床に伏せっておるのだったな」
 そう言って美羽は顔を上にあげて、唇に手を当てながら暫く考える仕草をした。
 合肥の戦いののち、霞は頻繁に体調を崩すようになっていた。
 この日も彼女は体調を崩し、床に伏せっていると、美羽は七乃に聞かされていたのだ。

「よし、病の床にある家臣を慮り、今回は訪ねるのをやめるぞ! ふははは! 天下万民に何
とも大きな妾の懐の深さを示すのじゃ!」
「……ここでそんなことしても、誰も知ったこっちゃないでしょうけどね」
 ◇一刀の部屋の場合◇

「最後はここじゃ!」
 美羽たちが最後に訪れたのは、奥まった場所にある部屋であった。
 今回彼女たちは、城内に住まう親しい者たちの部屋を訪ねている。
 そういう意味では、該当する中で、その部屋が今夜巡っていない部屋であった。
 この部屋は、天の御使い≠ナあり、袁家血族に名を連ねる男、北郷一刀に用意された部屋
であった。

 美羽が意味もなくうむうむと頷いていると、もじもじとした大喬が口を開いた。
「それにしても美羽ちゃん……」
 そしてその奥歯にものが詰まったようなものいいのあとを、小喬と大喬は別々の口で続ける。
「あいつの部屋を最後にするなんて……」
「一刀さんの部屋を最後にするなんて……」
 そこで二人は呼吸を合わせて、

『『案外えっちだよね』』
 と、そう言った。

 その言葉の意味するところに気がついて、美羽がぎょっとする。
「な、何を言っておるのじゃ! 妾は別にそういう……」
 確かに、このあとは特に何もすることがない。部屋に帰って寝るだけである。
 そして寝るだけなら、別に部屋に戻らずとも……。
「べ、べべ、別に妾はそのようなことは何も考えておらんのじゃ!」
「いいよ美羽ちゃん、別に隠さなく立って。……それにわたしだって、美羽ちゃんの白い肌を
思い出したら……」
「ちょっ! 大喬、何を押し付けておるのじゃ……わ、妾のお尻に何か、何か堅い、堅いもの
が当たってっ!」
「お、お姉ちゃん!? こんなところでサカっちゃだめだよ!」
「だって、美羽ちゃんがいけないんだもん……。こんなに美味しそうなお尻をわたしの前で見
せつけて……」
「う、うひいぃっ!」

 半ば逃げ出すようにして、美羽が勢いよく一刀の部屋の戸を開けた。
 すると、
「おっかえり一刀ー!」
 と黄色い声で叫んだ何者かが、矢の早さで美羽の首に飛びついた。
「うきゃっ!?」
 悲鳴をあげながら、美羽がもんどりをうって倒れこむ、
 そして美羽を押し倒した何者かは、その胸にすりすりと自分の顔を押し付けていた。
「一刀ー、一刀ー、かーずとー! 今日はどうする? ご飯食べながらシャオにする? お風
呂入りながらシャオにする? それとも、シ・ャ・オ? って、何か一刀縮んだ?」
「むきゅう」
 押し倒され上に乗られた美羽は、すっかりと目を回していた。
「小蓮さま!?」
「あ、小喬に大喬だ。やっほー」
 そう言って、美羽の上で二喬に手を振ったのは、孫尚香、小蓮であった。
 彼女は二喬たちと一緒に袁仲入りした一人なのだが、彼女の使命は他の二人とは違って天
の御使い*k郷一刀であった。けれども、彼女に関しては籠絡するのではなく、むしろ籠絡さ
れたといっても過言ではない状態である。
「しゃ、しゃしゃ、小蓮さま、服を着てください……っ!」
 飛び出してきた小蓮の姿を見て、小喬が顔を真っ赤にしてそう言った。
 何せ彼女の格好といったら、裸に肌が透けて見えるほどの薄着を纏っただけの、何とも艶め
かしい、目のやり場に困る姿だったのだ。
 殆ど隠していないのは、露骨に隠していないよりいやらしいということを、二人は知った。
「なぁんだ、一刀じゃなかったんだぁ。折角シャオがお風呂に入って、玉の肌に磨きをかけて
待ってるのに、シャオの旦那さまったら何してるのかしら。それで、小喬と大喬は何してるの
?」
「実は……」
 と、小喬が一刀の部屋を訪ねた事情を説明すると小蓮はそれに、
「三人ともお子様だなぁ。シャオだったら、飴玉なんかよりも一刀の赤玉が欲しいなぁ〜」
 という感想を漏らしたのだった。

 結局、美羽は次の日の朝になるまで、意識を取り戻すことは無く、把炉韻の夜はそんな風に
終わったのだった。

 終
906避難所より転載:2009/11/03(火) 13:06:54 ID:JXz92lnS0
510 名前:メーテル ◆999HUU8SEE [sage] 投稿日:2009/11/03(火) 00:04:39 ID:PM8qL7bw0 (PC)
わたしの名はメーテル……投下終了を告げる女。
今回は真で居なくなってしまった二人が登場よ。

突然寒くなったから、風邪には注意するのよ、鉄郎……
907避難所より転載:2009/11/03(火) 13:08:04 ID:JXz92lnS0
531 名前:稟曰く、[sage] 投稿日:2009/11/03(火) 03:09:09 ID:+KJw0TG+0 (PC)
魏√個別EDの三つ目で、今回は桂花です

ttp://koihimemusou.x0.com/bbs/imgf/0439-1257185226.txt

季衣と凪はシリアス風味だったので今回は軽めの話にしてみました
まあ何となく桂花にシリアスは似合わないと言うイメージがあるので
やっぱり桂花は噛み付いてくるのを弄って涙目にしてニヤニヤ眺めたいキャラですし

次に書くとしたら秋蘭ですかね
その後は誰にしよう

あと例によって寄生虫の身なので、どなたか外史スレに転載して頂けるとありがたいです
908名無しさん@初回限定:2009/11/03(火) 15:15:31 ID:NuAHvRDn0
うお、お二人もいらしとる
909名無しさん@初回限定:2009/11/03(火) 15:15:41 ID:lzIZL5ET0
メーテルと個別√の人乙。

っていうかドwwwwwwリwwwwwwwフwwwwwww
910名無しさん@初回限定:2009/11/03(火) 22:25:23 ID:Ilb+v0ZF0
そろそろ書けないかなー?
911名無しさん@初回限定:2009/11/04(水) 04:14:38 ID:OQWc5pGvO
メーテルさんも個別√の人も乙です
桂花可愛いよ桂花ww
二喬が今回霞と顔を合わせなかったのは何かの伏線だろうか
912名無しさん@初回限定:2009/11/04(水) 13:57:55 ID:jInwd+lk0
俺は一刀さんも部屋にいなかったことと併せて、
二人で霞の部屋で……な展開を妄想してニヤニヤしておく
913名無しさん@初回限定:2009/11/04(水) 18:44:37 ID:L5p0TLFyO
いや純粋に看病かと
914名無しさん@初回限定:2009/11/04(水) 20:12:19 ID:ZbMv/Gof0
天の意志によるその後の体調不良が実は
「力の残滓による発作的かつ強烈な発情状態(一刀の閨無双に匹敵)」
だったら、ニヤニヤ看病で>>912>>913どちらも満足



…しないか
915名無しさん@初回限定:2009/11/04(水) 20:50:14 ID:tjDt+oj+0
むしろ、史実だと合肥の戦い後暫くして張遼が没したのを考えると……
916名無しさん@初回限定:2009/11/04(水) 22:43:37 ID:L5p0TLFyO
あ〜あ〜、聞こえない聞こえない。
917名無しさん@初回限定:2009/11/04(水) 22:54:42 ID:Qr7Yh/GhO
そんな恐ろしい事は言わないでおくれ……
918名無しさん@初回限定:2009/11/04(水) 23:38:37 ID:Di3lyHtP0
外史の場合一刀さんの看病が行き過ぎて懐妊→しばらく出産・育児休暇の方があり得るw
まああの超絶無双状態は二度と無いだろうな。
919名無しさん@初回限定:2009/11/05(木) 01:57:47 ID:ykTcW1yO0
しかし、このメーテルの一刀さんは何人の武将と寝たのかが妙に気になる。
920名無しさん@初回限定:2009/11/05(木) 02:02:10 ID:GTkCw/cN0
ここ最近はメーテル氏、石秀氏と来たわけだが……次はどの作品がくるのだろうか……wktk
921名無しさん@初回限定:2009/11/05(木) 04:17:57 ID:iWtdFBUA0
「一壷酒氏が勢いで書いた北郷帝の番外編」……、てのはナイよな……。

すいません、言ってみたかっただけです……。
12月まで待ってます。
922名無しさん@初回限定:2009/11/05(木) 05:10:57 ID:2OY1WQEk0
個人的には無じる真かな、貂蝉の言葉の真相がはやく知りたい……
923名無しさん@初回限定:2009/11/05(木) 07:41:13 ID:lvSmWkNRO
俺は馬ニラ氏の、一刀の校長物語が読みたいなぁ。
でも、リアルが忙しいらしいから気長に待つか。
924名無しさん@初回限定:2009/11/05(木) 08:54:37 ID:cNWYNar80
校長は読んでて痛い
925名無しさん@初回限定:2009/11/05(木) 13:11:34 ID:av4uvZy/O
どこが駄目か指摘するんならともかく
「読んでて痛い」だけじゃ只の書き手叩きにしかならないからやめとけ
926名無しさん@初回限定:2009/11/05(木) 14:42:39 ID:t+DiPB+R0
やっと規制解除、長いよ
アニメの影響かゲームがやたら高かった、真恋姫夢想は出ないのかな。
長編用の話を考えたけど、どこで終わらしていいのか思いつかくなってしまったw
先考えずにやってみるべきなのかなぁ
927名無しさん@初回限定:2009/11/05(木) 15:07:22 ID:9o3GqWtl0
無印の夢想の惨状もあるし真夢想が出ても喜ぶ人は少ないだろ
イエティが前作を教訓にするなんてありえないし
928名無しさん@初回限定:2009/11/05(木) 15:14:53 ID:OTv+aPJ90
>>926
物語で一番難しいのは「どう終わるか」なんだぜ。
構想段階で出来ていないものが、途中で見えると思ってはいけない。

書き続けているうちに色々と膨らみすぎて、終わり方を変えざるを得ないことは多々あるけど、それにしたって
元があるから出来ること。
929名無しさん@初回限定:2009/11/05(木) 16:47:29 ID:t+DiPB+R0
>>927
夢想ひどかったのか、買ってないから知らなかったw
>>928
三国以外の勢力で考えてるとやっぱ統一endかなとか思うんだけど長くなりそうなんだよな
どっかで見切りつけて終わるべきかなとか考えてたら中途半端になっちまった
930名無しさん@初回限定:2009/11/05(木) 17:14:57 ID:N9EdiFbOO
長いのだから長編なのである。
今日桃香予定者いるかー!
931名無しさん@初回限定:2009/11/05(木) 17:20:10 ID:YfroSj/40
一度全体を見直して再構成した方がいいのかもね。
主題をハッキリさせて贅肉になってるとことかをカットするのもありかと思う。
932名無しさん@初回限定:2009/11/05(木) 18:26:01 ID:OTv+aPJ90
>>929
統一エンドなんて原作ゲームでもないじゃないかw
蜀は国としてはまとまってないし(五胡対抗のために軍はまとめてるみたいだけど)、呉は蜀残存だし、
魏が統一に一番近いけど、全部征服したものの二国をそのまま残してるし。

書きたいことをどこまで書いて、それにはどの局面で終わるのが正しいのか考えてみたらどうかな?
戦乱の終わらせ方にも色々あるわけだし。
933名無しさん@初回限定:2009/11/05(木) 18:29:46 ID:BZ5/SeBD0
>>929
まぁ、なんだかんだ言ってもその辺は結局は書く人もとい貴方次第だと思う
見切りを付けずにストーリーの構築を続けるにせよ、一旦筆を置いて再構成するにせよね
そもそも、書き方なんて何通りだってあるわけだからね……自分にあるやり方を探すしかないと思う
(その上で他人の考えを参考にするのは良いと思うけど、鵜呑みは駄目ゼッタイ)

それと、完璧なストーリー構築が出来る人なんてそんなにいないと思う
筆を置いては考え悩みそれを振り切ってはまた書いていく……そんなもんだと思うよ
少なくとも、凡人代表としてはそうですw


一応自分がやってるストーリー構築方法をシンプルにしたものだけど載せとく

0.世界観、各キャラについてよくまとめておく
1.骨組み(おおまかに重要な点のみ決める)
2.エンディングはいくつか考える
3.イベントの考案とそれを時間軸に直したうえでどう書くか検討
4.後はキャラに動いてもらって話を構築
EX.リアルタイムで新しいエピソードやイベント、エンディング候補の追加を行う
  (後になって思いつくことや気付くことがあるので)

まぁ、これでやると自分でも最終的にどのエンディングにたどり着くかわからないんで
エンディングは絶対にコレって言う人にはお勧めできないけどねw
(ただし、話の方向を引っ張れる人は別)
934名無しさん@初回限定:2009/11/05(木) 20:38:18 ID:t+DiPB+R0
皆さん色々ありがと、もうちょっと煮詰めてみるですよ。
935一刀十三号 ◆vgiLUhkT66 :2009/11/05(木) 20:41:34 ID:N9EdiFbOO
「あの〜お猫様、お仕事に戻ってよろしいですか?」
「にゃー(構わないんじゃない?行ってくれば)」
「それでは」
シュタ!!
「にゃー(ふう、酷い目に有った。10桃香です)」
三教一致【拠点風】イベント
波浪印災!夜ノ部
936名無しさん@初回限定:2009/11/05(木) 20:42:11 ID:QIli9OrEP
まってたぞ!!
937三教一致拠点風イベントハロウィン祭1-10:2009/11/05(木) 20:45:16 ID:N9EdiFbOO
日が沈み夜になった。
一般の子供が居ない・身内のみ、と条件が昼間とは違いかなり本格的にハロウィンの色をかもし出す。
建物が中華風なだけで、緑色だが一応かぼちゃの飾りも有る。
お化けも充実し、ドラキュラ・狼少女・フランケンシュタインの化物・ミイラ女・ピクシー・小悪魔・ケットシー等々が居る。
これらの衣装が嫌、恥ずかしいと言う人には雰囲気を壊さない為に執事服・西洋風ドレスまたは緑色のメイド服を着用してもらっている。
皆が揃うや否や宴会色が一番醸し出す。
「それでは皆さんお静かに。お手元に有る見慣れぬ食料、我らが蜀の主、ご主人様の天の国のお菓子をなるべく再現しました」
“オォー”初見の物が多く歓声が上がる。
「で、そのお菓子について不肖者ですが諸葛亮が説明させていただきます」
“やんや、やんや”と応援とヤジ飛ぶ中、朱里は司会進行を進める。
「まずは白い『けいき』製作者は華琳さんでご主人様情報ですと『生くりーむ』を使った『しょーとけいき』だとの事です。
 王道は『一五』が乗って『一五しょーと』になるらしいのですが生憎『一五』が無い為、あらゆる果物で代用しております。ではご主人様から一言」
938三教一致拠点風イベントハロウィン祭2-10:2009/11/05(木) 20:49:05 ID:N9EdiFbOO
「正直、技術的ではなく材料的に成功しないだろうと思ってました。かなり欠かせない材料バニラエッセンスが入手した時は、貿易って重要だな〜と実感しました」
「ありがとうございました、ご主人様」
「なによそれ一刀!私のケーキに対する感想が何も無いじゃない」
「味の感想はこれからだろ」
「それにしたってもう少しましな話しは無かったの」
「これ、今後も含めて凄く重要だと思うけど」
「そんなことは分かってるわよ!……はぁ、もう次でいいわ」
「……それでは失礼して、次は流琉さんの作った『けいき』は『ばうむくうへん』です」ショートケーキの隣に見事に仕上がっているバアムクウヘンが有る。
「こちらは先程の華琳さんとの違いは見た目もさることながら、生地に味付けをして焼き上げた時点で完成する事でして。
 ですから余計にこの様に均等に焼き上げるのは大変難しいとの事。焼き方は到って単純、芯になる木の棒に生地を塗りながら焼く、
 下に垂れるのを常に回転させながら均等に焼く、ただそれだけです。単純ですがこの何層にも焼かれて出来た風味を堪能して下さい。ではご主人様から一言」
939名無しさん@初回限定:2009/11/05(木) 20:54:26 ID:mSgoibKz0
支援
940名無しさん@初回限定:2009/11/05(木) 20:55:41 ID:QIli9OrEP
しえんぬ
941名無しさん@初回限定:2009/11/05(木) 21:17:01 ID:lvSmWkNRO
一刀十三号氏の続きは避難所で投下されてるっぽい
942一刀十三号 ◆vgiLUhkT66 :2009/11/05(木) 21:35:48 ID:N9EdiFbOO
書けるかな?書けたら、避難所に逃げました。m(_ _)m
943風鈴 ◆VOACf8e.7. :2009/11/06(金) 03:24:31 ID:/f0Y5QK60
寝る前に3レス程こっそり投下しておきますね。
944真√:霞拠点 1/3:2009/11/06(金) 03:25:09 ID:/f0Y5QK60
──真√──

………
……


 血で血を洗う激戦となっている戦場を、ただ静かに眺める一刀の視線の端に、ふわりと小さな“白”が映った。

 ふと空を見上げると、まるで今の自分の気持ちの様な重く垂れ込めた灰色の空から、ひらりひらりと白い欠片が舞い落ちて、
ただ静かに赤い戦場を白く染め上げて行く。

 その、怨嗟と怒号の渦巻く地に舞い踊る空の欠片は、まるでそう──魂──の様で。

「……霞……」

 気が付けば、一刀の瞳からはただ一滴が零れ落ちていた──。











真・恋姫†無双 外史
北郷新勢力ルート:霞拠点  ──永久不別 ソレハ、チイサナチカイ──
945真√:霞拠点 2/3:2009/11/06(金) 03:27:58 ID:/f0Y5QK60
「……っていう夢を見たんだ」
「不吉すぎるわっ!」

 スパーンッと、軽快な音が、痛快な痛みと共に一刀の脳裏に響いた。
 原因は考えるまでもなく、隣を歩く霞が一刀の頭を平手で張ったのだが。
 そりゃ思わずツッコミを入れたくなるかと、自らの夢を語った──と言えば聞こえはいいが、
単に見た夢を話しただけである──一刀にして思うので文句はないのだが……
「……っつ〜〜〜」
 痛いものは痛い。
 後頭部を抑えて唸っていると、霞は半眼で睨みながら、、
「んで?」
 と問いかけてきた。
「……でっていうと?」
「だ〜か〜ら、その先や!その先!夢の続き!」
「いや、そこで目が覚めた」
「投げっぱなしかい……」
 一刀の答えにがっくりと肩を落とす霞。
 そんな彼女へ、やれやれと肩をすくめながら言う。
「まったく……そう言ったって、夢なんだから仕方ないだろ?」
 一刀がそう言うと、霞は「そらそうやけどー」と、頬を膨らませて拗ねた様に言うと、
「じゃあ、一刀はその夢のウチがどないなったと思う?」
946真√:霞拠点 3/3:2009/11/06(金) 03:59:59 ID:/f0Y5QK60
 霞に訊かれた一刀は少し考えた後、
「そうだな……きっと前線で暴れまわってるんだろうな。
 で、俺が『霞……』って言った後、激戦の中を潜り抜けて、霞が駆けつけて来てくれるんだよ」
「なんやんそれー。結局ウチは生きとるっちゅーことかい」
 もっと面白い答えはないんかーと文句を言ってくる霞に対し、一刀は少し困った様な表情をしつつも、
「ああ。……少なくとも俺は、例え夢の中の事だとしても、霞が死ぬなんてのは想像もしたくないな」
 そんな、それまでの雰囲気から一変した、真剣味を帯びた一刀の言葉に、霞はしゃーないなぁと小さくため息を吐く。
「せやけどな、一刀?ウチらが出とるんは戦場や。殺し合いの場である以上、絶対言うもんは無い。
 ……それこそ、恋かて万が一っちゅーもんは有る。
 第一……ウチらが人間である以上、いずれは死ななあかんのやし、別れが無いなんて事こそ、絶対無いんよ?」
 そんな、諭す様に言う霞に対して、一刀は「そんなことは解っている」と言った顔をしつつも、言葉を返す。
「それでも……それでも俺は、霞が……俺達のうちの誰かが居なくなるなんてことは、想像もしたくないって思うよ」
 別れはいずれ訪れる物。それでもそれが自然と訪れるまでは、誰も欠ける事なく居たいと、一刀は訥々と語った。
 それは、言ってしまえば唯の願望で、我侭で。
 けれども、そんな風に自分の身を案じてくれるのが、霞は素直に嬉しくて。
 だから──
 そんな一刀へ霞はもう一度、しゃーないなぁと、笑みを浮かべながら言う。

「せやったら、ウチが誓ったる。
 ウチはどんな戦いからも絶対に戻って来て──こうやって、何度でもアンタの横で笑ったる。
 せやから──」

 アンタも、ずっとウチらの傍に居たってな──と、朗らかに笑いながら、彼女は小さな誓いを立てたのだった。
947風鈴 ◆VOACf8e.7. :2009/11/06(金) 04:01:25 ID:/f0Y5QK60
お目汚し失礼。

もっとカッコイイ霞が書きたいものだ。
948名無しさん@初回限定:2009/11/06(金) 04:13:44 ID:2CxHCuFeP BE:1549929784-2BP(4444)
おお、きてたーおつつ

>アンタも、ずっとウチらの傍に居たってな
このウチらの傍にっていいな
ジーンってきた
949名無しさん@初回限定:2009/11/06(金) 04:45:55 ID:rYOklwyy0
おお、風鈴氏乙
一瞬死んだのかとあせった
霞いい女すぎるぜ
950名無しさん@初回限定:2009/11/07(土) 23:26:08 ID:9SUqGgR20
この時期になるとどこのSSも更新ストップするなぁ
つまらん
951名無しさん@初回限定:2009/11/08(日) 01:26:44 ID:ryw6kU5J0
誰か・・・・誰か更新してくれよ・・・・
952名無しさん@初回限定:2009/11/08(日) 01:35:25 ID:1DsVs8QQ0
「無いなら書けばいいのですわ」とレイハ・アントワネットがおっしゃっております。
953名無しさん@初回限定:2009/11/08(日) 02:06:54 ID:EvppYSfRP
全√やってないやついるとか
954名無しさん@初回限定:2009/11/08(日) 12:35:58 ID:63ubk6TW0
全√どころかまだ買ってない
発売してからしばらくすると追加要素つけて再発売するから下手に買えねー
無印も放っておいたら新装版が出てそっちを買った

・・・サーカスや雄図グループほど露骨じゃないとはいってもね
955名無しさん@初回限定:2009/11/08(日) 12:47:28 ID:Coezll470
追加要素も何も新装版はお返しディスク付いてただけだろう
それもハガキ送れば皆貰えたやつだし
真にはお返しディスク自体存在しないんだからいつまで待っても無駄だぞ
956名無しさん@初回限定:2009/11/08(日) 13:08:44 ID:+8/S2iUh0
真恋姫無双マルチ隷奴という、完全別個の外伝が出る可能性はなきにしもあらず。
957名無しさん@初回限定:2009/11/08(日) 13:21:21 ID:51fjD12G0
ていうかむしろ外伝を出せ
958名無しさん@初回限定:2009/11/08(日) 13:32:06 ID:+8/S2iUh0
っていうかもう次スレの季節なんだな、今回は3週間か。
早かったなぁ。
959名無しさん@初回限定:2009/11/08(日) 14:17:19 ID:/FNFY+od0
今回はメーテル氏の五夜連続スレ投下もあったしね。
しかし後一月半で発売一周年か。
原作本編では月日の流れが曖昧な部分が多かったけど、
何かしらの記念日的なお祝いとかしたりするのかね。
960名無しさん@初回限定:2009/11/08(日) 15:12:02 ID:lwpdgpBw0
原作中でも一年しかたってないんだから記念日もなにも。
961名無しさん@初回限定:2009/11/08(日) 15:27:16 ID:DhCjoewm0
恋姫武将・軍師が入り乱れ、夢の饗宴

蜀魏のツン軍師ダブルフェ○ラ『この全身精液無節操孕ませバカちん○こ!』
魏呉のお猫様もふもふ大決戦、『一刀様は』『お兄さんはー』『渡しませんっ!』『のですよー』
呉蜀の三熟じょ、げふんげふん…三弓将『ご主人様』『お屋形さま』『北郷』『今宵は朝まで』


真・恋姫†無双〜妄想伝〜
2010年○月×日発売未定!
962名無しさん@初回限定:2009/11/08(日) 15:41:43 ID:NiLyGa+HO
伏せ字になってないぞー
963名無しさん@初回限定:2009/11/08(日) 15:52:36 ID:Coezll470
次スレ立てとくか
964名無しさん@初回限定:2009/11/08(日) 15:57:05 ID:Coezll470
恋姫†無双〜ドキッ☆乙女だらけの外史演義〜 19
http://set.bbspink.com/test/read.cgi/erog/1257663313/
965名無しさん@初回限定:2009/11/08(日) 22:41:31 ID:SW0a8UhY0
>>964
乙ー
966名無しさん@初回限定:2009/11/08(日) 22:42:25 ID:SW0a8UhY0
ごめん、ミスって上げた
967名無しさん@初回限定:2009/11/09(月) 00:04:11 ID:Fufb0jvK0
>>964
968名無しさん@初回限定:2009/11/09(月) 00:35:58 ID:CXAQnKLI0
980くらいでよかった気もしないでもない。
969名無しさん@初回限定:2009/11/09(月) 22:16:06 ID:J6TZxe+X0
大規模規制の余韻がまだ続いている影響だから仕方ない
970名無しさん@初回限定:2009/11/10(火) 10:17:39 ID:69Tqw+6s0
それにしたって書き込みなさ過ぎだな
971名無しさん@初回限定:2009/11/10(火) 14:32:16 ID:/gIA4VSH0
ヒント:平日
972名無しさん@初回限定:2009/11/10(火) 15:15:53 ID:69Tqw+6s0
いや日曜日からの事を言ってるんで平日とか関係ないw
973名無しさん@初回限定:2009/11/10(火) 15:51:46 ID:L7IbhtVi0
まあ、投下がなければ一日二日書き込みがないなんて珍しいことじゃない。それで堕ちちゃう板でもないし。
一年前はほんとなんもなかったw

中途半端にこっちが残っているから、埋まるのを待ってるのかもしれんし。
974名無しさん@初回限定:2009/11/10(火) 15:55:02 ID:wA6r9urc0
昨日避難所に22レスの投下あったけどな
規制がなく充分な支援があるならこっちに投下するつもりだったみたい
975名無しさん@初回限定:2009/11/10(火) 17:32:08 ID:jzLq7BDNP
>>973
> それで堕ちちゃう板でもないし。
いや950越えてるこっちのスレや、10レスにも達してない次スレは放置すれば仕様上落ちるぞw
976名無しさん@初回限定:2009/11/10(火) 17:49:00 ID:S1ylXtsrO
VIPとかと違って、1年以上放置しない限り落ちる事はないよ。
977名無しさん@初回限定:2009/11/10(火) 18:15:40 ID:jzLq7BDNP
正確なレス数までは知らないがスレ終盤の970とか980辺りに来たり、新スレで数レスしかしない場合に数日書き込みないと落ちるのは2ch全体通しての仕様だよ
978名無しさん@初回限定:2009/11/10(火) 18:15:51 ID:zEdGfXEc0
規制解除マダー?^^;
979名無しさん@初回限定:2009/11/10(火) 18:16:30 ID:zEdGfXEc0
解除キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
980名無しさん@初回限定:2009/11/10(火) 18:26:58 ID:1W4OtFbw0
>>976
終盤で落ちるやつは名称が分らないが
スレ立て後すぐに落ちるのは即死判定っていうのが存在するんだよ
さると同じで非公開だから何時間以内に何レスないと落ちるのかは不明だけど
981名無しさん@初回限定:2009/11/10(火) 20:38:59 ID:9uF8TMqX0
あと20か……そろそろ埋めSSこないかな
982名無しさん@初回限定:2009/11/10(火) 22:13:53 ID:qsEfHlo00
外史喰らい乙乙
焔耶かわいいし、こっちの一刀は無印っぽい良さがあるな
983名無しさん@初回限定:2009/11/10(火) 23:16:25 ID:i7s3M5i90
きっと職人さんが埋めSSを用意して待っているはず!
984名無しさん@初回限定:2009/11/10(火) 23:37:45 ID:jTYZCMFr0
残念。また規制の嵐に突入だ
985名無しさん@初回限定:2009/11/10(火) 23:42:13 ID:8rGzRhFf0
なん、だと?
986名無しさん@初回限定:2009/11/11(水) 01:14:57 ID:BD2nVNN/P
酷いな

> 6 名前: ノイズo(東京都)[] 投稿日:2009/11/10(火) 23:19:42.67 ID:3EvQHJ/W
> ◎ 規制なし 
> × 全ての地域回線で規制
>
> JCOM 別件×    emobile 別件×
> freebit 別件×    @nifty ×
> eaccess ×      DION 本隊以外×
> DTI ×          asahi ×
> BIGLOBE ×     excite ×
> OCN ×        ODN 一部規制
> plala ×        softbank ×
> so-net ×        UCOM ×
> Gyao ×        wakwak ◎ 
> WILLCOM ×     commufa ×
> eonet ×        ZAQ ×
> BBIQ ×

※さらにwakwak規制間近の報あり
987名無しさん@初回限定:2009/11/11(水) 01:26:41 ID:rfFzxEJd0
なにこの大惨劇
988名無しさん@初回限定:2009/11/11(水) 01:30:16 ID:BvQHL+WD0
ひっでぇ何これ
989名無しさん@初回限定:2009/11/11(水) 01:48:17 ID:KHtq8ZwhP
うへぇ……最悪だな
990名無しさん@初回限定:2009/11/11(水) 01:58:40 ID:BvQHL+WD0
ここもう埋めたほうが
規制も酷いし投下があるとは思えぬ
991名無しさん@初回限定:2009/11/11(水) 09:57:44 ID:xf30csTA0
まとめサイトのアニメFAQ
貂蝉と卑弥呼は何処に居たの?

第4席と第6席で両者のグラフィックが入れ替わっています
992名無しさん@初回限定:2009/11/11(水) 10:09:03 ID:noR0KBbBO
桂花の落とし穴、埋め
993名無しさん@初回限定:2009/11/11(水) 10:42:56 ID:xf30csTA0
まとめサイトSS妄想伝
連載作品の外史喰らい
8>>765 外史喰らい編第4-1話

8>>765の部分がリンク切れになっています
994名無しさん@初回限定:2009/11/11(水) 11:28:15 ID:xQZauDXyO
心の隙間を埋め
995名無しさん@初回限定:2009/11/11(水) 15:06:53 ID:noR0KBbBO
>>994
ドーン!
996名無しさん@初回限定:2009/11/11(水) 15:27:36 ID:2mUJT38M0
997名無しさん@初回限定:2009/11/11(水) 22:07:49 ID:sqD76+VU0
規制解除されてたら埋め
998名無しさん@初回限定:2009/11/11(水) 22:15:22 ID:3Y5vCg9+0
同じく解除されてるか確認埋め
999名無しさん@初回限定:2009/11/11(水) 22:15:46 ID:yr3lMjFn0
ウメレルカナ?
1000名無しさん@初回限定:2009/11/11(水) 22:21:05 ID:3Y5vCg9+0
解除確認
規制の原因になるような事する奴は貂蝉と卑弥呼に掘られてしまえ
10011001
このスレッドは1000を超えました。
もう書けないので、新しいスレッドを立ててくださいです。。。