アリスソフト二次創作スレッド Part6

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1名無しさん@初回限定
【注意事項】
・ここはアリスソフトのゲームの二次創作及び商業作品に関して語り合うスレです。
・18歳以上であることを自覚し、節度ある書き込みをしましょう。
・煽りや荒らしはスルーしましょう。スルー出来ない人も同罪です。
・基本sage進行でお願いします。
・個人HPに直リンするのは避けましょう。
・著作権を侵害している作品(※1)の話題は避けましょう。
・嫌いなSS・CG等の作品、作者があっても、叩くのではなくスルーするように。
・原作・スタッフ批判的な発言は荒れる原因になるので、批判はほどほどに。批判があっても流しましょう。

【ルール】
・燃え・萌え話はがんばれ、すごくがんばれ。
・色々想像を膨らませるのは構いませんが、人に押し付ける事だけは避けましょう。
・また、押し付けられてもいないものに反発するのも控えましょう。
・興味のない話題に対しても寛容に。
・自作絵貼り、SS投下等も大歓迎(※2)。
・ニコニコ動画等動画サイトに投稿されたアリスソフト系の動画の話題は、上記【注意事項】に違反しない範囲内で。(※3)
例 ○:絵師の投稿による完全手描き動画
   ×:ゲーム内のCG等を使い回したMAD等

(※1) 公式HP → お知らせ → インフォメーション → 「同人について」を参照
(※2) 公式HP、SS投稿板、うpろだ、レスで直接等……空気を読み、適当な手段にて
(※3) ただし、ニコニコ動画自体が著作権管理に関してはグレー(或いは完全に黒)な点も多く、
中には嫌悪感を示す人もいるかと思われます。どうしてもこのスレで話題にしたいのなら自己責任で。

アリスソフト公式HP
ttp://www.alicesoft.com/

前スレ
http://set.bbspink.com/test/read.cgi/erog/1220181043/
2名無しさん@初回限定:2009/05/23(土) 22:50:31 ID:r80YLnfa0
3名無しさん@初回限定:2009/05/24(日) 00:32:42 ID:tzJnU8Qu0
公式の四コマおもすれー^^
爆笑とまではいかないが毎回ニヤリとさせられてしまう
4名無しさん@初回限定:2009/05/24(日) 00:33:41 ID:tzJnU8Qu0
ていうか>>1乙言い忘れた
5名無しさん@初回限定:2009/05/24(日) 02:57:06 ID:UuaDtQ+y0
>>1乙ユー
6名無しさん@初回限定:2009/05/26(火) 16:31:33 ID:IRSlIr8R0
しかし「ランス」はアレだな、検索しにくいのがネックだな
何気なくDLsiteを巡回しててふとランスで検索してみたらフランスだのバランスだの関係ないのばっかひっかかりやがるw

「ランスシリーズ」だと一個も引っかからないし「アリスソフト」でもあんま出てこないし
7名無しさん@初回限定:2009/05/27(水) 00:09:58 ID:MM0PsMMz0
それpixivにも言える
タグで見たらいいんだけど、ランスで検索すると色々引っかかる
8名無しさん@初回限定:2009/05/27(水) 00:45:05 ID:4BeZKolU0
pixivはアリスソフトで検索かければ大抵ひっかかるでしょ
そんなに数無いし
9名無しさん@初回限定:2009/05/27(水) 06:38:32 ID:axCCpLE10
pixivだと「ランス」って単語を入力してタグ検索するんじゃなく既存の「ランス」ってタグをクリックすると
「バランス」みたいなのは引っかからないぜ

「戦国ランス」とかも排除されちゃうしあんまり新たな発見とかもないから「アリスソフト」の方が良いと思うけど
10名無しさん@初回限定:2009/05/27(水) 23:26:13 ID:MM0PsMMz0
今はタグで検索してるけど、俺にも若い頃があったんだよ…
11名無しさん@初回限定:2009/05/28(木) 09:29:54 ID:4M3GXsTZO
二次作者的に保健室はどうよ?
12名無しさん@初回限定:2009/05/28(木) 12:09:14 ID:hbuEQm0r0
ランスほどwktkしない
13名無しさん@初回限定:2009/05/28(木) 16:14:41 ID:RJm8aIJE0
俺は作者でも何でもないけど、
いつもの2800シリーズって感じで特にこれといったものは感じない
14名無しさん@初回限定:2009/05/28(木) 16:38:58 ID:mNPr8JTg0
アリスに限らずロープライスの抜きゲーが二次創作の対象になったことってあるんだろうかw
15名無しさん@初回限定:2009/05/28(木) 19:15:14 ID:4M3GXsTZO
そうか
なんかばにしゅ!とだぶせんの時も同じようなレスした気がするw
16名無しさん@初回限定:2009/05/28(木) 19:28:29 ID:mCkX0zLn0
だぶせんはそれなりに二次あったがな
17名無しさん@初回限定:2009/05/28(木) 19:49:00 ID:C8KhoNbr0
ばかな・・・陵辱系ゲーム販売禁止・・・だと!?
18名無しさん@初回限定:2009/05/28(木) 19:49:57 ID:mCkX0zLn0
ランスはすでに陵辱ないから大丈夫だろ
19名無しさん@初回限定:2009/05/28(木) 20:41:57 ID:qyYMHY1o0
ばりテン→pixivに5枚
妻みぐい→pixivに2枚
だぶせん→pixivに1枚
ばにしゅ!→pixivに4枚
保健室→pixivに1枚

細々と供給はある模様
20名無しさん@初回限定:2009/05/28(木) 23:26:31 ID:hbuEQm0r0
>>18
香姫 キューティ ウスピラ エリザベス
陵辱はないと申すか
21名無しさん@初回限定:2009/05/29(金) 00:45:15 ID:ycqOg9PA0
おいおいランス大丈夫か・・・
22名無しさん@初回限定:2009/05/29(金) 05:15:43 ID:Os1Plf8BO
ふと…




人面犬に犯されるウルザが浮かびました…
23名無しさん@初回限定:2009/05/31(日) 22:03:53 ID:Aqfr9kuh0
陵辱って正直あまり好きじゃないけどランスから無くなるのはイヤだなぁ
変身ヒロインものもつまんなくなりそうだし・・・
24名無しさん@初回限定:2009/05/31(日) 23:02:21 ID:fD7wnihR0
風太郎忍法帖とかベルセルクとかハードな陵辱描写があってこそってな作品はゲームじゃなくたっていくらでもあるしなぁ
いわんやぶちょ率いるアリスソフトをや
25名無しさん@初回限定:2009/06/02(火) 20:50:06 ID:RTE2Qw5S0
ランス終了のお知らせ?
マジかよ・・・俺の生きがいが・・・
26名無しさん@初回限定:2009/06/03(水) 18:15:10 ID:/AJS3T2J0
Links投稿板の鬼畜王SSがコンスタントに更新されてて嬉しいわ
27名無しさん@初回限定:2009/06/05(金) 18:31:40 ID:Q29Ttqtl0
公式アトリエの更新来たね。
4コマは面白いしランスはカッコ良いしイイヨイイヨー
以前リックの住居をスレで質問してたのはこういう事だったのか
28名無しさん@初回限定:2009/06/05(金) 18:47:01 ID:aHPl2tCE0
4コマのネタも尽きないもんだなぁ
むしろ以前よりオチが面白くなってる気もするし
29名無しさん@初回限定:2009/06/06(土) 10:20:12 ID:9tVF7f7B0
四コマ好きの俺、小躍りw
リックいいよリック
30名無しさん@初回限定:2009/06/07(日) 18:24:27 ID:rD7emN2F0
でも四コマの人、コミケ落選したらしいぞ
四コマ本だったら委託販売して欲しい
31名無しさん@初回限定:2009/06/07(日) 23:56:29 ID:luLInh9T0
俺コミケ行けないから委託さえしてくれたらOK
32名無しさん@初回限定:2009/06/12(金) 13:26:25 ID:k8J0k3Gk0
リンクスの戦国ランスの呼称表が変な事になってるんだぜ
あれって管理人だけが編集できるんじゃなかったっけ?
33名無しさん@初回限定:2009/06/12(金) 14:14:10 ID:AZnqNJMSO
確か管理人以外でも編集できたはず
…とうとうリンクス管理人もこのジャンル切ったか?
34名無しさん@初回限定:2009/06/13(土) 17:41:43 ID:MRxEnofp0
どんな風になってるか気になって行ってみたら全消しされてて吹いたw
35名無しさん@初回限定:2009/06/16(火) 09:07:48 ID:7gwGr00t0
氷河期だなぁ
春は来るんだろうか
36名無しさん@初回限定:2009/06/16(火) 14:00:21 ID:fRQ4MlUh0
ピクシブにコミケ受かったらしいサークルカットが二つ上がってた
戦国と闘神3
37名無しさん@初回限定:2009/06/16(火) 16:14:57 ID:WSbTfBTd0
ピクシブ最近地味に盛り上がってるよな
どっかで見た面子ばっかりだけど
38名無しさん@初回限定:2009/06/16(火) 21:27:20 ID:yx5wcu9d0
>>35
公式での動きとか、何か起爆剤があれば
39名無しさん@初回限定:2009/06/16(火) 23:13:28 ID:x3A1+9he0
公式の動きといえば求人が最終選考?の段階にまで行ったっぽいな
40名無しさん@初回限定:2009/06/17(水) 00:18:48 ID:WzpS+Y1B0
応募悩んでたら募集打ち切られてて結構凹んだ
ウダウダ悩む前に応募しておけばよかったのに我ながらアホすぎる…
41名無しさん@初回限定:2009/06/17(水) 08:33:34 ID:42B8dpeL0
>>40
そんなもんです
その後悔をばねに次回から頑張ると良いと思います
42名無しさん@初回限定:2009/06/17(水) 12:32:20 ID:3E4bXupNO
その分ジャンルを賑わせばいいじゃない

公式からして氷河期だけど
43名無しさん@初回限定:2009/06/17(水) 14:45:36 ID:bgtoBb7V0
とりあえず募集消しといたって感じだからまた復活するかもよ?
44名無しさん@初回限定:2009/06/17(水) 20:23:07 ID:MdihZGUv0
いや>>40には悪いがもうすんなり決まって欲しい>新ライター
禁断症状が・・・
45名無しさん@初回限定:2009/06/18(木) 21:58:42 ID:tXoDIZ2g0
46名無しさん@初回限定:2009/06/18(木) 22:29:46 ID:R1fhxOqg0
蘭っぽい
47名無しさん@初回限定:2009/06/19(金) 20:57:18 ID:pAbeb5Qk0
>>46
さきにお前のレス見たから蘭にしか見えなくなった
48名無しさん@初回限定:2009/06/19(金) 22:18:12 ID:4NIjSHBa0
>>46
描いた本人にも蘭にしか見えなくなったじゃねーかwww…らくがきすぎたか





ちょっと待って今描く
49名無しさん@初回限定:2009/06/19(金) 23:02:22 ID:WM0B5NkD0
wktk
50名無しさん@初回限定:2009/06/19(金) 23:47:50 ID:4NIjSHBa0
>>49
ちょwww期待すんなwww
てか描けたけど画像が貼り付けられない件
みんなどうやってうpってんの?
51名無しさん@初回限定:2009/06/19(金) 23:53:17 ID:4NIjSHBa0
すまん解決した。
というわけで
http://pixiv.blogimg.jp/tanokoutanokou-tadanotori/imgs/0/1/01c6237e.jpg

あまりにも似なかったのでワンピースのウルージでも描こうかとおもたよ。
52名無しさん@初回限定:2009/06/20(土) 05:45:21 ID:gk9If7VR0
色付いたらわかりやすいね
つかこんなにむかつく丹下犬は初めてだw
53名無しさん@初回限定:2009/06/21(日) 08:31:52 ID:xdPAkO1e0
獣姦で思い出したけど、
ttp://uploda.info/s/1245152777714.jpg
↑これがてるさんに見えて仕方が無い俺
54名無しさん@初回限定:2009/06/21(日) 11:49:15 ID:IsGYDHrkO
てるさんはこんなにおっぱい無いよ
55自作特攻隊(E /F) ◆0CrenIPJUU :2009/06/21(日) 13:46:22 ID:RR7dBoBe0
ぬんバトルノート製作中の写真

http://bbs.jpdo.com/cgi/70/img/725.jpg
http://bbs.jpdo.com/cgi/70/img/726.jpg

※作るだけです。
56名無しさん@初回限定:2009/06/21(日) 18:05:14 ID:bHR8wWkt0
>>51
むかつくw
再行動かよw
57名無しさん@初回限定:2009/06/21(日) 21:25:35 ID:XXjW3Me60
>>52
>>56
51だが。
丹下犬大好評♪本人(?)も喜んでるにみたいです。
丹下犬「好評でうれしいニャン♪再行動のときはいつでも呼んで欲しいでござる。」
語尾のニャンがかわいいですねー。蹴り殺したいぐらいに。


…ところで丹下犬の効果って再行動で合ってる?

絵チャで描いて仕上げるのを忘れていたみかん
http://pixiv.blogimg.jp/tanokoutanokou-tadanotori/imgs/e/1/e12d49ca.JPG
ラグナロクさん。絵チャでレイヤーを間違えて清書くさいものを消してしまって心が折れた。
http://pixiv.blogimg.jp/tanokoutanokou-tadanotori/imgs/f/8/f87f8773.JPG
日の目を見ることが無い気がするのでついでに貼り。
58名無しさん@初回限定:2009/06/21(日) 21:31:40 ID:XXjW3Me60
>>55
※作るだけです。←おいおい、俺にプレゼントする。が抜けているぜ?
すいませんパンツ見せてもらってよろしいでしょうか?
完成したらうpよろ。
59名無しさん@初回限定:2009/06/21(日) 22:03:37 ID:xdPAkO1e0
>>57
合ってる
戦国ではウルザに丹下犬装備はデフォ化しつつある
☆5ならお町の方が役に立つかもしれんが
60自作特攻隊WILLCOM ◆0CrenIPJUU :2009/06/22(月) 22:09:16 ID:Mh7jQC640
>>58 了解、量産キットは近親者に配給の予定です。
61名無しさん@初回限定:2009/06/22(月) 23:56:05 ID:2p2SUoqB0
>>36
pixiv見たけど闘神V本はの歯さんか
期待
62名無しさん@初回限定:2009/06/23(火) 00:18:20 ID:5oeenLAI0
自己満足で1と2の文章をテキストに起こしたんだが、SS資料での需要とかある?
63名無しさん@初回限定:2009/06/23(火) 01:16:39 ID:F524lJkx0
違法だから要らない
64名無しさん@初回限定:2009/06/23(火) 06:49:35 ID:bS61P4H+0
メインだもん!
65名無しさん@初回限定:2009/06/23(火) 06:50:08 ID:bS61P4H+0
寝ぼけて誤爆した
66名無しさん@初回限定:2009/06/23(火) 20:18:04 ID:zkIZ0Lt7O
>>51
よくやってくれた!
ありがとう!!
67名無しさん@初回限定:2009/06/23(火) 23:28:24 ID:zkIZ0Lt7O
>>62

是非にうpを!
68名無しさん@初回限定:2009/06/23(火) 23:52:36 ID:xasIDZQY0
>>62
俺の中では超需要あるからくれ是非に
69名無しさん@初回限定:2009/06/24(水) 00:31:26 ID:zpTCW7Po0
割れ厨と同等のクズ共は失せろ。
70名無しさん@初回限定:2009/06/24(水) 00:46:43 ID:61OP0MEgO
>>69
むしろおまいが失せろw
71名無しさん@初回限定:2009/06/24(水) 00:48:43 ID:qG2IslHn0
>>66
よかったのかホイホイそんなコメントして
オレはこんなものだって構わずうpるようなネカマなんだぜ?
http://pixiv.blogimg.jp/tanokoutanokou-tadanotori/imgs/c/9/c95062de.png
>>46>>47>>49>>52>>53>>56
おまいらもオレの中で(ry

反応もらえただけでも嬉しいです。うふふww
72名無しさん@初回限定:2009/06/24(水) 01:08:06 ID:5lM9uaQK0
>>62
このあいだ1プレイしたばかりだが欲しい
7362:2009/06/24(水) 04:01:14 ID:qbXQEDHd0
>>63が言うようにモロに著作権的に引っ掛かるなら控えようと思う、荒れる元になるし、
あんまり詳しく分からないんだが、実際のところどうなの?

後、漢字の変換とか一部の書式は個人的に見栄えがいいと思うのに変えてる。
一人のキャラに対して繰り返しのコマンドとか、(見る)と(話す)統合しちゃったり。
完全忠実にテキストにしたわけじゃない。
74名無しさん@初回限定:2009/06/24(水) 04:03:51 ID:N9zPsLpzP
>>73
1〜4.2までフリーなわけだし少しうpする程度ならいいんでね

見るとか話す統合されていたほうが見やすくていいね
すぐ消す分にでもうpしてほしい
75名無しさん@初回限定:2009/06/24(水) 04:35:24 ID:RLAvPTBm0
フリーって著作権放棄してるわけじゃないだろ
認められてるのはゲームの配布のみ
76名無しさん@初回限定:2009/06/24(水) 05:10:10 ID:N9zPsLpzP
>>62
ここに送ってください
[email protected]
77名無しさん@初回限定:2009/06/24(水) 11:10:55 ID:3yeeteqC0
フリー宣言読めばわかるが>>75の言うようにゲームだけ
「ゲームとして完全な形だけ」配布可だよ
だから当然引用の範囲を超えるテキストをupしたら著作権違反
78名無しさん@初回限定:2009/06/24(水) 18:42:27 ID:lBwgxRWKO
結構荒れてるようなのでアドバイスがてら

自サイトに一部の文章あげるときにアリスに直接聞いてみたがこの程度ならおkという返事が帰って来たよ
79自作特攻隊(E /F) ◆0CrenIPJUU :2009/06/24(水) 23:01:41 ID:Rdg46zDU0
8062:2009/06/24(水) 23:03:51 ID:qbXQEDHd0
>>78
一部の文章だけなく、ほぼ全部の文章だから……
実際こういうのうpしていいかどうかは、アリスソフトに聞かないと駄目なのかな。
81名無しさん@初回限定:2009/06/25(木) 09:35:26 ID:WHbrbobN0
>>62
ブリティッシュとの会話シーンだけくれ
82名無しさん@初回限定:2009/06/25(木) 16:29:01 ID:BwAb9TKg0
>>80
この板出入りできる年齢で著作権の知識ないってヤバくね?
匿名の板で意味判らん許可もらってる場合じゃないだろ
8362:2009/06/25(木) 19:42:01 ID:8RueYgHC0
結局荒らしただけになってしまって申し訳ない。
>>82
著作権って保持者の裁量で判断が違ってくるから意見を聞きたかった。
まあ、単純に知識が足りないのもあると思うが。
とにかく、保持者の意見が出ないこの場で結論が出るわけでもないし、自粛する。

とにかく色々と申し訳なかった。

>>81
一部分くらいなら平気そうなのでそれだけ貼るわ。
84名無しさん@初回限定:2009/06/25(木) 19:44:52 ID:8RueYgHC0
「うーー、助けてくれ……」
 ここはどうやら拷問場のようだ。セメントで塗り込められた男がいる。床にはガラクタが散乱している。
 初老の男だ。上半身裸で傷だらけだ。何度見てもただの男だ。余り長い間男を見ていると俺は気分が悪くなる。(うげーーー うげーーー)だから言っただろうが、余り長い間男を見詰めるなと。
「助けてくれ……俺は何も知らないんだ。た、助けてくれ。」
「生憎男を救うような善人者でないのでね。」
「そんな……お願いだ、助けてくれたら何でも言う事を聞く。」
「500GOLDだ。」
「そんな大金持っていない。」
「じゃ諦めろ。」
「金以外で何とかならないか?」
「お前に美人の娘はいるか?」
「四歳の娘なら。」
「残念だな、俺はロリコンじゃないんだ。これじゃお前を助ける理由が浮かばないな。」
 〔聞く〕
「や……やめてくれ……俺は何も知らないんだ。」
「こら、まだ何も聞いてないだろうが。」
「聞きたいことがあるなら、俺を助けろ。」
 〔襲う〕
「ま、待ってくれ、俺はそんな趣味は無いんだ。」
「俺だってだよ、馬鹿。」
 〔助ける〕
 しかし、どうやってこのセメントを取るのだ、不可能だ。
「助けて……」
 助ける術が無いなんて恥かしくて言えないな。よし、ここは。
「ばーか、お前なんか助けてやるもんか。」
 〔取る〕
 取るような物は何も無かった。
「このセメントを取ってくれ!」
「嫌だ。」
 〔出る〕
「じゃ。」
「待ってくれ、助けてくれ。」
85名無しさん@初回限定:2009/06/25(木) 20:18:29 ID:WHbrbobN0
>>84
あんがと
しかし4歳の娘いるってのはどういうことだ、ブリティッシュってもう100歳超えてるんだよな…?
あと500Gも黄金像で余裕で払えるよな…まぁカオス分として取ってあるらしいが。

まぁ1だから設定とか細かいこと考えてないから突っ込んでも無駄だろうけどw
86名無しさん@初回限定:2009/06/25(木) 21:47:21 ID:fAboRPbE0
あまり細かいことを考えては駄目だw
87名無しさん@初回限定:2009/06/26(金) 22:00:24 ID:6BTGXPZ70
ここまで闘神Vコミカライズの話題無し
88名無しさん@初回限定:2009/06/27(土) 08:28:12 ID:9S5Oi7XP0
織音が絶賛するなんて四コマの人すげーな
89名無しさん@初回限定:2009/06/27(土) 21:18:24 ID:POqDJ77Z0
>>87
同雑誌掲載の戦国ランスより作りが丁寧で絵も上手いと思うよ
ドギとかボーダーさんとか、男キャラが特に上手だ
女キャラの顔が判子だったのが気になるが
90名無しさん@初回限定:2009/06/28(日) 08:44:44 ID:FL7ly7l+0
>>88
織音が褒めるのは大いに結構なんだが
だからって急にコメントが増えるのを見てなんだかなぁと思った
スタッフが褒めてるじゃあ俺も褒めようっとみたいな

勿論そんなことを俺が言うのは筋違いだし、
コメが増えて作者が喜んでるのならそれに越したことはないんだけど
91名無しさん@初回限定:2009/06/28(日) 09:22:16 ID:jmk5cPQIO
スラルの人の時も織音が誉めた途端乞食絵師が擦り寄りやらかしたしな
スタッフには上手い作者のことはそっとしといて欲しいんだが
92名無しさん@初回限定:2009/06/28(日) 09:41:07 ID:SAWNazak0
>>91
公式サイトなんだからスタッフが感想言うのもアリだろう
個人的なサイトを持ち出して言うのではなく

何よりスタッフに感想もらえたら投稿者は嬉しいと思うんだが
93名無しさん@初回限定:2009/06/28(日) 13:47:17 ID:jmk5cPQIO
>>92
まあ確かにそうなんだよな
勝手なファン心理ってことで聞き流してくれ
94名無しさん@初回限定:2009/06/29(月) 15:14:24 ID:XM2xIXRt0
まぁ賞賛コメがついて嫌な気になる奴はいないだろうがニコのことに触れられるのは反応に困るだろうなw
95名無しさん@初回限定:2009/06/30(火) 18:34:13 ID:BlUsThot0
>>91
スラルの人、それでまたやる気出して復活してくれないかなぁとか密かに期待してたんだが
96名無しさん@初回限定:2009/06/30(火) 20:48:16 ID:npNEIbbC0
むしろあれで完全にこのジャンルから居なくなったような…
それはそうと最近地味にpixivに姉様絵が増えて嬉しいんだが
97名無しさん@初回限定:2009/07/01(水) 19:58:38 ID:dr8jV2nb0
公式でまたSSコンペみたいなのやってくれないかな
魔女贖みたいな感じでさ
98名無しさん@初回限定:2009/07/01(水) 23:38:31 ID:MY1C3Xd/0
二次をやってここまで楽しくないジャンルは滅多にない
99名無しさん@初回限定:2009/07/02(木) 00:42:45 ID:SusEU2Mw0
サイトヒキだからそこそこ楽しいけど交流しようと思ったら辛くなりそうだとは思う
100名無しさん@初回限定:2009/07/02(木) 01:06:50 ID:96J9NoXV0
>>98
同意
エロゲジャンルでは圧倒的に恋姫と差が付いちまったな
101名無しさん@初回限定:2009/07/02(木) 07:25:37 ID:Mp1xe0gR0
スルーは優しさ(キリッ
とか言っちゃってる時点で盛り上げる気が無いのは見え見えだしな
まずは和気藹々とした空気を作って作者を呼び込んだほうが自分の為にもなるだろうに
102名無しさん@初回限定:2009/07/02(木) 15:07:01 ID:6kZFfyQ80
古参ファン気取って新参に文句付けちゃってる時点でなぁ
103名無しさん@初回限定:2009/07/02(木) 16:36:39 ID:8uamDdw90
地味なゲームの小さな二次創作界隈のファンをやっていたせいなのか、
アリスジャンルが楽しくないとも辛いとも感じたことはなかったので
ネガティブな意見のオンパレードでびっくり

色々企画したり他人に積極的に働きかける行動派は、今は見当たらない割に
(知らないだけならスマソ)
花形ジャンルになることを願う人だけは今も多いんだな
104名無しさん@初回限定:2009/07/02(木) 17:31:57 ID:TT1mvHpB0
楽しくないならネガって雰囲気暗くしないでさっさと失せればいいのに
105名無しさん@初回限定:2009/07/02(木) 17:53:42 ID:6Fg89qpmO
またこういう流れか
離婚調停中の夫婦かお前ら
106名無しさん@初回限定:2009/07/02(木) 19:19:09 ID:V+ZJjLXt0
なんかよく分からん流れだ
107名無しさん@初回限定:2009/07/02(木) 20:15:26 ID:11EKYvPj0
リンクス管理人が色々と企画やろうとしたけど参加者が少なすぎて企画倒れになったのはあったな
嘘予告祭はそこそこ盛り上がったと思うが、
脇役祭?だっけか、あれはコメントも殆ど付かずに悲惨なものだった

鶏が先か、卵が先かって話かね
作者が去ったからコメントが減ったのか、コメントが少ないから作者が離れていったのか
もっと活発な別ジャンルに流れていったんだろう
闘神Vもイマイチ創作意欲をくすぐるようなものではなさそうだし、冬の時代は続きそうだな
108名無しさん@初回限定:2009/07/02(木) 22:14:16 ID:6Fg89qpmO
内容的には脇役祭りの方が好きなのは多かった
拍手も押したし
109名無しさん@初回限定:2009/07/03(金) 13:44:56 ID:JEbHbwOG0
>>107
こういう糞の役にも立たない批評家きどりが一番鬱陶しいわ
110名無しさん@初回限定:2009/07/03(金) 21:37:14 ID:TvBIO1wZ0
ランスの新ライターはもみあげルパン氏かね?
早くランス作ってくれー
111名無しさん@初回限定:2009/07/04(土) 10:34:12 ID:Z4RuESRCO
つーことは一連のアレは出来レースだったわけか
真面目に作品作って送った奴等、お疲れ
112名無しさん@初回限定:2009/07/04(土) 10:38:20 ID:DQKE9wgR0
ランススレで同じこと聞いたが一瞬で否定されたよw
かぐやとかで書いてた抜きゲライターだとさ
113名無しさん@初回限定:2009/07/04(土) 10:42:40 ID:JHZpY0Lp0
つーことはカグヤのあの糞長いテキストになるのか?
114名無しさん@初回限定:2009/07/04(土) 10:56:37 ID:JyWtG2340
ばにしゅ!やれば、もみあげルパンがどんなもんかわかる
115名無しさん@初回限定:2009/07/04(土) 13:58:48 ID:AWSiwbcz0
ランスが屁理屈型のM男になってホモに付き纏われるのはやだな…
116名無しさん@初回限定:2009/07/04(土) 21:06:01 ID:a0EAwxbR0
採用条件が「とりあえずルパン以上」だったんじゃね?
ルパン以下しか来なかったらルパン正社員採用決定みたいな
117名無しさん@初回限定:2009/07/11(土) 17:46:19 ID:CGfgvez40
二次創作の話題がないな
四コマ待ってるぜ
118名無しさん@初回限定:2009/07/14(火) 21:55:21 ID:vhOgGAxE0
Rの人もう書かないのかなー
119名無しさん@初回限定:2009/07/15(水) 18:10:19 ID:OAFMrSiH0
闘神Vのifものを書いてる(た?)けど、もう本人の熱が冷めちゃったんじゃないかなぁ
Rを完結させて燃え尽きたとか

なんかそんな印象を受ける
120名無しさん@初回限定:2009/07/15(水) 20:46:01 ID:6elHkdyO0
ttp://up2.viploader.net/pic2d/src/viploader2d597348.jpg
こんなん拾ったけどこれ公式?
121名無しさん@初回限定:2009/07/15(水) 20:59:02 ID:kdaa7jJE0
のコラ
122名無しさん@初回限定:2009/07/15(水) 21:02:28 ID:6elHkdyO0
そういうことかw
スマンw
123名無しさん@初回限定:2009/07/18(土) 05:37:02 ID:z9wYM9u10
アトリエのヒゲ祭りクソワロタ
124名無しさん@初回限定:2009/07/21(火) 12:37:45 ID:bI71Kot50
>>120
誰かこれの元絵もってない?
右の親指がなんかおかしいね
125名無しさん@初回限定:2009/07/21(火) 21:08:57 ID:u+KZOoYc0
126名無しさん@初回限定:2009/07/21(火) 21:22:11 ID:ZBkwQ3G10
違う着物の柄のやつだ
127名無しさん@初回限定:2009/07/21(火) 21:39:53 ID:u+KZOoYc0
128名無しさん@初回限定:2009/07/25(土) 00:01:20 ID:44Rjuo2+0
ランちゃんの同人誌が現実味を帯びてきたな
129自作特攻隊WILLCOM ◆0CrenIPJUU :2009/07/26(日) 11:24:07 ID:k+dDBJJx0
現在、WF幕張を偵察中、

A成人向け地区 

ハルカ 3ブース ナリカ 1ブース 柚希 1ブース で発見。
※ハルカは各ブースで数種類ほど有った模様。
130自作特攻隊WILLCOM ◆0CrenIPJUU :2009/07/26(日) 12:40:40 ID:aOdxNuXc0
WF・A地区一般を偵察

マルデ 1ブース 謙信 1ブース 発見
131自作特攻隊WILLCOM ◆0CrenIPJUU :2009/07/26(日) 15:17:47 ID:eNIPKpoD0
WF・B地区を偵察

五十六・謙信 のややデフォルメ 1ブース

DD・L エスカレイヤー 服 1ブース

WF・C地区 を偵察 発見出来ず。

WF・D地区 を偵察 

ハルカ 1ブース
ナリカ Vmfco 2010年発売の展示 YAMATO社

WF・E地区 を偵察 
アルター社製 ナリカ 
132自作特攻隊(E/ F) ◆0CrenIPJUU :2009/07/26(日) 19:12:42 ID:LKc86ORG0
133名無しさん@初回限定:2009/07/26(日) 19:20:34 ID:358THITd0
おつ、フィギュアのイベントかー
そういうのも行って見たいなぁ

やっぱ男キャラは無いんかねw
134名無しさん@初回限定:2009/07/26(日) 22:33:02 ID:YEqEE5RK0
>>132
相変わらず楽しそうだなw
135自作特攻隊(E/ F) ◆0CrenIPJUU :2009/07/26(日) 23:02:29 ID:LKc86ORG0
どもです、アリスソフト社系キャラの男は有りませんでした。

※他種他社キャラでは男性キャラも作られて売られてました。
136名無しさん@初回限定:2009/07/31(金) 20:09:14 ID:8BOxmMCc0
猫玄がばにしゅ!のコミカライズをやるのか
これはかなり期待だ
137名無しさん@初回限定:2009/07/31(金) 20:16:16 ID:8BOxmMCc0
スタッフ日記見たら、よーいちろーと同じポイントで喜んでた
死にたい
138自作特攻隊(E/ F) ◆0CrenIPJUU :2009/08/04(火) 22:28:47 ID:IF3vzim60
http://bbs.jpdo.com/cgi/70/img/767.jpg

シコシコ・・・紙やすりで微妙な仕上げ・・・♪
アリスソフト社は萌ツボを・・・ぷすぷすたのしいなぁ・・・♪
139名無しさん@初回限定:2009/08/07(金) 17:57:13 ID:gjfY9iRu0
今回の四コマは生々しくて素直に笑えねぇ…w
140名無しさん@初回限定:2009/08/07(金) 18:45:38 ID:wYobZlJl0
>>138
かわいい
次は巨乳つくってくれ
141自作特攻隊(E/ F) ◆0CrenIPJUU :2009/08/07(金) 22:14:50 ID:qlyVyobt0
http://bbs.jpdo.com/cgi/70/img/768.jpg

どもです、現在無断製作中の写真です。※何れ消します。
142名無しさん@初回限定:2009/08/08(土) 01:04:56 ID:2z757njb0
>>139
スタッフが「先取りされた!」とか言ってたりしてな
143名無しさん@初回限定:2009/08/08(土) 01:38:19 ID:Izg2clYh0
織音がエレノアさんの人気に驚いたようなこと言ってたが
それがこういう方向性での人気であることを理解してたのか気になるw
144名無しさん@初回限定:2009/08/08(土) 02:10:47 ID:QkuIbA2S0
アトリエの感想にでも出てたけど、まみーさんとニコニコでランス動画作った人って同じ人なのかな
絵柄も似てる気がするがネタの雰囲気がやたらと被る

一応参考までに
http://www.nicovideo.jp/watch/sm5175376
http://www.nicovideo.jp/watch/sm6052345
http://www.nicovideo.jp/watch/sm5646589
145名無しさん@初回限定:2009/08/08(土) 02:30:48 ID:zyXKJMN40
同一人物で確定でしょ
pixivでのPNと一緒だし
146名無しさん@初回限定:2009/08/08(土) 07:06:05 ID:WmqcjRYjO
>>144
野暮の典型だな
少し上のレスくらい見ろよ
147自作特攻隊(E/ F) ◆0CrenIPJUU :2009/08/09(日) 19:51:49 ID:yGkAooX00
http://bbs.jpdo.com/cgi/70/img/771.jpg
マルチですが・・・一応・・・
148名無しさん@初回限定:2009/08/13(木) 06:02:26 ID:10w+pNRL0
なんかLinksのランキングがいきなりでっかく変動したな
20位台のが10位以内にはいってたりとか・・・どうしたんだこれ
149名無しさん@初回限定:2009/08/13(木) 11:15:52 ID:KMSpZvK+0
ランキングなんてあったのか
今まで気付かなかった
150自作特攻隊WILLCOM ◆0CrenIPJUU :2009/08/16(日) 15:42:04 ID:IL/JFwBP0
今日はコミケを偵察

 同人サークルは数ブースで、戦国・ハルカ・アライブス・闘神Vが少数。
3000円クラスのは同人誌化もコスプレ化も無い模様…
151名無しさん@初回限定:2009/08/16(日) 21:00:18 ID:Jj6V5p0mO
>>150

あんたの前衛的な人形はよくわからないけど
その行動力には畏れ入るよ
152名無しさん@初回限定:2009/08/16(日) 23:04:03 ID:p39Jvv450
オタの鑑だな
153自作特攻隊WILLCOM ◆0CrenIPJUU :2009/08/17(月) 12:18:24 ID:CZV3txxW0
どもです、
次はC3(キャラホビ)にアマチュア・アリスフィギュアキットの偵察に行く予定です。
154名無しさん@初回限定:2009/08/17(月) 13:40:46 ID:4HpkWzNj0
おーがんばれ、またレポ頼む
ところで自作はこれ↓にも行ったりするのか?
ttp://www.alicenokobeya.com/
155自作特攻隊(E/ F) ◆0CrenIPJUU :2009/08/17(月) 21:30:35 ID:SsgNdegH0
遠すぎた日本橋・・・予算が無いので無理です。
156名無しさん@初回限定:2009/08/20(木) 20:57:30 ID:0YhqGwY30
>>154
これって、どのくらい参加あるんだろうな
おれ関西なんで行きたいんだが
157名無しさん@初回限定:2009/08/20(木) 21:02:53 ID:5B2i61ctO
主催がブルー腐なのがな
どうせ中身もブルー腐の同窓会イベントなんだろう
158名無しさん@初回限定:2009/08/20(木) 22:20:02 ID:UyTHzArP0
マイナージャンルのオンリーイベントは割と独特の雰囲気があって楽しいっちゃ楽しい
手広く迎えてるようなイベントで腐的な雰囲気になったりは多分しないでしょ

なんかピクシブで参加するようなこと言ってた人(非腐)が一人いた気がするんだが見当たらない
159名無しさん@初回限定:2009/08/20(木) 22:59:19 ID:8J6SfxU80
>>156
そこのブログに書いてあるけど34(00年)、48(01年)、61(02年)と増えていってるが今回はどうなんだろう
男女比は毎回2:1から3:1程度と意外に男も多いっぽいな
男1に女2ぐらいだと思ってた
160自作特攻隊(E/ F) ◆0CrenIPJUU :2009/08/23(日) 23:31:32 ID:BSOS3LmJ0
161自作特攻隊WILLCOM ◆0CrenIPJUU :2009/08/30(日) 11:35:57 ID:88RuNKix0
キャラホビ2009を偵察するも、

ボークス社のブースにおなじみの品が有っただけ。

 個人出店のブースは何一つアリスソフト社キャラは無し、
同時にアリスソフト社系コスプレイヤーも未発見、

帰宅開始…

162名無しさん@初回限定:2009/09/01(火) 21:40:58 ID:/SFAAV/m0
しょーやの続きはよかいてほしいな・・・
163名無しさん@初回限定:2009/09/02(水) 01:15:55 ID:qfIAeq/K0
ここでそんなこと言うよりHPの掲示板で言った方がいいと思うぞ
164名無しさん@初回限定:2009/09/04(金) 23:00:11 ID:uyXp/luu0
作者が喜ぶ意見や感想は直接作者に送った方が効果ある
作者がここ見てるとは限らないぜ
165名無しさん@初回限定:2009/09/05(土) 22:33:47 ID:gPOafngC0
>>154にあるアリスの小部屋、参加数23(現時点)だとさ
ちょっと開催するのが遅すぎたな、07年にやってればもっと増えてたろうに…
166名無しさん@初回限定:2009/09/06(日) 14:57:55 ID:NFntbiS40
今までの開催したやつより、だいぶ少ないみたいだな
ブルーがなくなって、昔ほど燃えゲーの勢いがないからか?

応募締め切ったこの段階でランス次回作発表とかだったらタイミング悪いな
167自作特攻隊WILLCOM ◆0CrenIPJUU :2009/09/06(日) 16:04:21 ID:IWk/0WSO0
※ホビージャパンを読んでて…10号 296P

戦国ランス『上杉 謙信』フィギャ 全長約7.5cm 彩色済み 

電撃G"sFestival COMIC Vol.8付録 10月26日発売予定 2480円
アスキー・メディアワークス社

※専門誌の付録の模様、
168名無しさん@初回限定:2009/09/10(木) 02:12:37 ID:Emnatlmt0
>>166
参加しようか結構本気で考えたけど主催の嗜好と人となりが
生理的に無理だったからやめておいた
少なかろうが似た者同士好きな者同士でやった方が楽しいだろうし
169名無しさん@初回限定:2009/09/10(木) 03:51:28 ID:ZI/KnLZwO
4コマの人が参加してるなら一般で行くけど無いだろうな
170名無しさん@初回限定:2009/09/10(木) 07:10:03 ID:j+NLtNOR0
>>168
その辺はあんま気にせんと近場に住んでるようなら暇つぶしがてら足を運んでみるのもいいと思うぞ
俺は遠くて行けないが好きなジャンルのオンリーイベントってのは結構楽しいぜ
171自作特攻隊WILLCOM ◆0CrenIPJUU :2009/09/10(木) 12:11:19 ID:OsYI0WfR0
レポ楽しみにしてます…♪
172名無しさん@初回限定:2009/09/11(金) 16:20:48 ID:NoIOm8VT0
普通に関東圏だから無理だなぁ俺は
参加数も少ないし高い交通費払ってまで行く気にはなれん
近場にある人ウラヤマシス
173自作特攻隊WILLCOM ◆0CrenIPJUU :2009/09/11(金) 20:48:27 ID:jIV3aGdF0
自分が20代の頃は、神奈川県・川崎市の会館で

アリスファン・プライベート・イベントが有りました。

同人誌や同人ゲームにコスプレイヤーも居ました。

※最近は聞かなくなりました…
174名無しさん@初回限定:2009/09/11(金) 22:18:36 ID:xdo3KIiH0
戦国以来二次ネタ的には空振り続きだからしょうがないでしょ
ランスの新作が出たり完結したりすればまた人が増える・・・と思う

増えてくれ
175名無しさん@初回限定:2009/09/11(金) 23:22:51 ID:DiYyPk7MO
闘神がせめてもうちょいキャラ付けちゃんとしてればなー…
戦国と違って主要キャラの性格思い出せんもん
176名無しさん@初回限定:2009/09/11(金) 23:36:38 ID:GQhthA5m0
闘神は問題点は色々あったと思うがむしろ個々のキャラは良かったと思う
ゲームそのものに思いいれが出来ないのが問題だが

そういやアンソロとかあったな
177名無しさん@初回限定:2009/09/11(金) 23:42:41 ID:OfPuuq9K0
幻一郎なんかは最高だったと思う
ルミーナもかわいかったし
178名無しさん@初回限定:2009/09/12(土) 01:50:53 ID:sNCGtA/+0
たまにボーダー夫妻に会いたくなる
179名無しさん@初回限定:2009/09/12(土) 01:53:31 ID:9mZYErPf0
闘神はセーブ数少ないから幻一郎さんが出てくるところをセーブしようにもセーブできないという・・・
180名無しさん@初回限定:2009/09/12(土) 04:08:30 ID:KkO0awsB0
闘神やったことないけど、セーブデータをコピーして別のフォルダに保存しておけばいいんじゃないの?
181自作特攻隊WILLCOM ◆0CrenIPJUU :2009/09/12(土) 12:12:10 ID:HGzUkgc20
最後に本当に結婚させられてしまうエロゲー…

なんか有ったら恐ろしいだろうな…

闘神3の2次を書いてくれる先生降臨に期待。
182名無しさん@初回限定:2009/09/15(火) 22:04:54 ID:i6HLmIBj0
なんだかんだでアリス系で活動してる人は頑張ってるよなー。
そこそこ更新はされてるし
183名無しさん@初回限定:2009/09/17(木) 23:59:22 ID:q4YpI0/o0
小部屋の参加サークルリスト更新されてるけど
おまいら目付けてるサークルとかある?
184名無しさん@初回限定:2009/09/18(金) 21:47:18 ID:VM7O6gLZ0
見たけどブルー系が多いな
TAMAMIさんが参加されてるからそれで目当てで行く人はいそうだが・・・
ノーマルジャンルで参加してる人は肩身が狭そうだ

4コマの人がサンクリ出るらしいから、どっちかというとそっちのが気になる
185名無しさん@初回限定:2009/09/18(金) 22:05:30 ID:Tto/qies0
え?あの人まだランスでホモ同人やってんの?やだな・・・
4コマの人がサンクリ出るなら久々に上京しようかね
186名無しさん@初回限定:2009/09/19(土) 01:13:55 ID:Hx4TP7v+0
>>183
そのパンチの効いた面々の中に2、3人くらい混じってる
まともなサークルさんがすげぇ不憫なんだが
申し込んでしまったんじゃまぁお疲れとしか言いようがない
187名無しさん@初回限定:2009/09/19(土) 02:56:40 ID:jCwajNpt0
ガレキ作ってる人とかも参加してるんだよな・・・よし自作行って来い
188自作特攻隊WILLCOM ◆0CrenIPJUU :2009/09/19(土) 05:52:48 ID:GZJpaiIP0
予算が無いので無理です………
189名無しさん@初回限定:2009/09/19(土) 08:07:26 ID:ZBqDAjCv0
ヨモスエ同好会が激しく浮いてる気がするw
190名無しさん@初回限定:2009/09/19(土) 11:04:13 ID:4rGCjjXDO
流れ的にこのイベントは回避した方が良さそうだな
それよりリンクスが完全に沈黙状態なのが気になる
191名無しさん@初回限定:2009/09/19(土) 12:09:02 ID:iEuRDAGr0
特選中華漢方逸品
192自作特攻隊(E/ F) ◆0CrenIPJUU :2009/09/19(土) 21:11:21 ID:rpO2jzTP0
っ赤ひげ薬局
193名無しさん@初回限定:2009/09/20(日) 07:50:20 ID:NUvA5MFb0
思ったより参加が少ないのと
気になる人がいないのと
ブルーがそのうち多いのと

行こうかどうしようか悩んでしまう関西在住の俺

>>190見て回避を選びそうになってしまった

オンリーって珍しいんだよな?アリスの場合…
194190:2009/09/20(日) 09:30:06 ID:JQnrdDi8O
>>193
知らんけど関西住みなら近いし行けば?
まあ人口比とプロが参加してるって強みで主催周辺とTAMAMI取り巻きに
腐女子うぜぇきめぇ死ねって気分にさせられるのは
だいたい目に見えてるから俺は回避するけど
195名無しさん@初回限定:2009/09/20(日) 11:45:02 ID:adYq30ys0
なんか腐叩きしたいだけな空気プンプンな書き込みだな
196名無しさん@初回限定:2009/09/20(日) 12:20:47 ID:JQnrdDi8O
はいはい腐アレルギーの厨房はそちらのイベントにはお邪魔しませんから
どうぞお好きなようにしてくれと
197名無しさん@初回限定:2009/09/20(日) 17:08:16 ID:wFigmL8i0
TAMAMIってなんかしたの?
198名無しさん@初回限定:2009/09/20(日) 17:56:32 ID:IQl9ankV0
ちょい上のレスと件のイベントのサークルリストからHP見たらなんとなくわかると思う
自分もこれさえ無ければランスでとりの後釜やって欲しかったんだがなぁ・・・と思うよ
199名無しさん@初回限定:2009/09/20(日) 19:41:32 ID:NUvA5MFb0
>>194
ありがとな
暇をもてあましそうだったら行くわ
200名無しさん@初回限定:2009/09/20(日) 21:43:44 ID:jDHh9/0v0
好きなアリス系作家が絵描きも字書きもオン専な俺は勝ち組
でも参加する人は偉いと思う
頑張ってね
201自作特攻隊WILLCOM ◆0CrenIPJUU :2009/09/21(月) 11:44:01 ID:YIh15qAE0
今ごろ会場は賑わっているんでしょうね…

レポ書く人が来ると良いなぁ…
202名無しさん@初回限定:2009/09/21(月) 11:54:02 ID:D85bFojk0
賑わってたらいいけどな
203名無しさん@初回限定:2009/09/21(月) 18:42:56 ID:5K18b4OJ0
>>202
賑わってたよ。
204名無しさん@初回限定:2009/09/21(月) 19:21:19 ID:g3ChhKXw0
>>203
どんな感じだった?kwsk
205名無しさん@初回限定:2009/09/21(月) 19:53:36 ID:q6XcTnUR0
>>203
楽しんできたようでなによりだ

来週のサンクリは4コマの人の他は誰が出るんだっけ?
206名無しさん@初回限定:2009/09/21(月) 19:53:38 ID:5K18b4OJ0
>>204
参加サークルは少なかったけどみんな和気あいあいな感じだったと思う。
てかスタッフ来てたよ。お絵かき用に設置してあるホワイトボードに織音とちーぼうが絵描いたりしてた。
207名無しさん@初回限定:2009/09/21(月) 20:14:29 ID:g3ChhKXw0
>>206
mjd?
それは参加した人は嬉しいだろうな>スタッフ参加
和気藹々とした空気なのは相変わらずで良かった
208名無しさん@初回限定:2009/09/21(月) 20:29:37 ID:8pphndPs0
>>206
うわっそれ行きたかったな
そういや会社もそんな遠くないんだもんなぁ
209自作特攻隊(E /F) ◆0CrenIPJUU :2009/09/22(火) 08:59:37 ID:l9QAR29p0
楽しそうで何よりです、

東京のプライーベート・イベントも有ると良いですね・・・
210名無しさん@初回限定:2009/09/22(火) 19:19:15 ID:i+qnTAIH0
>>206

そういうの聞くだけでもなんか頑張ろうって気になるな(まだ何もやってないけど)
俺も行って元気を貰ってくればよかったぜ
211名無しさん@初回限定:2009/10/03(土) 23:29:44 ID:PP3GpITr0
アリス2010で少し盛り返して欲しいわ
新作のたびに同じような事言ってる気がするけども
212名無しさん@初回限定:2009/10/04(日) 06:57:07 ID:jJD9pB/M0
2010は燃料としては弱いだろうなぁ
やっぱランス8か大シリーズをですね・・・
213名無しさん@初回限定:2009/10/04(日) 08:24:09 ID:HoDyMUvh0
スタッフの宝箱だっけ?あれと、わいどにょ次第では盛り上がるんじゃないかと
…思うけど甘いだろうか

わいどにょで、いろんな世界の住人が会話することになったりしたら
214名無しさん@初回限定:2009/10/06(火) 21:12:03 ID:iXMUJsLy0
過疎ってんなー
215名無しさん@初回限定:2009/10/08(木) 15:56:04 ID:GeIY/NIh0
ランスの漫画版を連載している雑誌が隔月刊になったから、少しは話進みそう。
216名無しさん@初回限定:2009/10/08(木) 16:56:15 ID:jxFwKe090
売れてるんだなw
買ってる人のほとんどはおまけ目当てだろうか
最新のは謙信フィギュアだっけ
しかし漫画目当ての人間は高すぎて手が出せないという
217名無しさん@初回限定:2009/10/09(金) 18:47:15 ID:bvCAkiGy0
大帝国・・・だと・・・
218名無しさん@初回限定:2009/10/19(月) 11:21:19 ID:epLZR7VHO
二次創作じゃなくて雑談スレだな
219名無しさん@初回限定:2009/10/19(月) 19:43:29 ID:9wrc9mMF0
まぁ二次創作について語るスレだな
住人が創作するのは別の板になるんじゃないか?
220自作特攻隊WILLCOM ◆0CrenIPJUU :2009/10/25(日) 11:54:35 ID:/fRf2N4X0
月刊モデルグラフィックス・2009・12・P91

で、闘神都市Vのフィギャー

レベル神クミコ、1/6 14700円
アザミ・クリケット1/6 12600円

年内発売予定の記事有り、ボークス社製
221自作特攻隊(E/ F) ◆0CrenIPJUU :2009/11/01(日) 17:10:43 ID:Y0BCgv9x0
http://bbs.jpdo.com/cgi/70/img/833.jpg

久しぶりに大悪司で遊んで・・・
ウイミィの女性仕官が気に入ったのでモソモソ・・・♪
222名無しさん@初回限定:2009/11/04(水) 19:37:26 ID:6hA9nar90
>>216
漫画は単行本でいい派だがフィギュアが気になって買ってみた
雑誌のおまけとしたらそこそこかな
でももう少し値段が上がってもいいから大きめにしてほしかったかも
漫画は今回から雪姫編だが、意外な展開でちょっと驚いた
詳細は単行本が出てないから書かないが、個人的にはアリだった
223名無しさん@初回限定:2009/11/04(水) 23:23:30 ID:j0pfKJIT0
雪姫で意外と言うとアレか、天狗に犯られる前にランスが助けるとかそんな展開か
224名無しさん@初回限定:2009/11/05(木) 20:04:53 ID:xmgoCFBS0
そんなのランスじゃねーなw
225名無しさん@初回限定:2009/11/05(木) 22:11:54 ID://xg+ts00
ランスだったら助けてもおかしくないだろ、って思ったが作品としての「ランス」って意味かw
226名無しさん@初回限定:2009/11/07(土) 10:33:39 ID:3PtnAACu0
うーん、助ける→「助けたから犯らせろ」→結局犯られる
の流れもランスらしいっちゃランスらしいと思うけどな
漫画の展開がどうなのかは知らんけども
227名無しさん@初回限定:2009/11/10(火) 12:46:00 ID:h3e6HDtK0
昔某ブログで雪姫助けるSS書いてくれって頼んだことがあるんだが、今考えると無茶苦茶な要求してたな・・・
228名無しさん@初回限定:2009/11/10(火) 20:00:11 ID:bvupmoPs0
>>226
似たようなパターンを戦姫で使ってるからそれはない気がする
単行本待ちだからどうかしらんが

>>227
強要じゃなきゃリクエストぐらいはいいんじゃね
乗るかどうかは作家次第なんだし
229自作特攻隊(E/ F) ◆0CrenIPJUU :2009/11/12(木) 22:33:50 ID:4cec0/zv0
http://bbs.jpdo.com/cgi/70/img/838.jpg
http://bbs.jpdo.com/cgi/70/img/839.jpg

※マルチですがモソモソしてました・・・♪
230名無しさん@初回限定:2009/11/26(木) 22:35:30 ID:L0khjSWY0
最近アリスの二次創作ものを読み始めたんだけど(ほとんど休止してるけど)、ここの住人的にオススメの作品とかあります?
231名無しさん@初回限定:2009/11/27(金) 01:28:37 ID:2+mkYiCZ0
漠然としすぎててどう答えていいのやら
原作は何?ジャンルは?
エロ?非エロ?
232名無しさん@初回限定:2009/11/27(金) 08:36:28 ID:LfBh4Cw20
すまん、自分でも漠然としすぎててびっくりした・・・
原作はランスシリーズ。エロ非エロ関係なし。

自分の既読とか関係なく、ここの住人的にオススメは何なのかな?と思っただけなので、適当に応えて頂ければ・・・
233名無しさん@初回限定:2009/11/28(土) 09:39:56 ID:oiJqBlmt0
>>230
とりあえず完結してるのをメインに紹介すると、
戦国なら六本氏の「戦国ランスR」が完結しててオススメ
しょーや氏の「こんなじゃきた貝がないよね」はまだ連載中だが更新が滞りがちなのが残念
短編なら「色々な書き物」ってブログサイトに結構あるから行ってみるといい
更に脇キャラ主人公でいいなら、アリスソフト二次創作LinksのSS投稿掲示板にある
「わんぱく爺とじゃじゃ馬娘」と「彷徨える武の行方」が上手くまとまってて出来がいい
前者は毛利家、後者は本多忠勝がメイン
エロ有・脇キャラでいいってのなら理想郷の「梟森」かな、
これは月光としのぶが主人公のやつなんだが隠れた名作の一つだと俺は思ってる
エロオンリーだと公式の「香惨歌」がオススメ、これは完全なひぎぃ系だから読むときは注意だがエロい
香ちゃんが色々されちゃいます

戦国以前のとなると数が多すぎてLinks・公式図書館あたりをひたすら探れとしかいいようがないが、
「魔王ケイブリス」でググったり、
図書館の「魔王」「真鬼畜王」あたりはしっかり完結してるんで読んでみるといい
「Waiting RESET!!」「魔王少女スラル」はまあ独自設定が気にならないなら面白く読めるだろう
他にも面白いものはあるんだが、いかんせん未完結のものが多い(更新はほぼ絶望的)
連載中のものだと、Links投稿掲示板の「if もう一つの鬼畜王ルート」かな
だた若干更新速度が落ち気味だから、気に入ったのならコメント支援をしてみるもよし、俺はしてる

他にもオススメはあるんだがとても書ききれないのでこの辺で
長文ですまん
234名無しさん@初回限定:2009/11/28(土) 18:50:51 ID:JbYYPw170
昔魔王ランスものがすごい人気だったけど
ほとんど更新途中で終わって消滅してるんだよなー
俺は生で立ち会えてないんでアーカイブで発掘するしかないんだが勿体ないわ
235名無しさん@初回限定:2009/11/28(土) 20:53:45 ID:gRDSSkKx0
ランス世界の魔王って、存在が邪気眼とか中ニ病の世界に片足以上突っ込んでるからな
執筆途中で急に冷めちゃったりすると続けようって気にならないのかもしれない

でもたまにそういうのが懐かしくなって無性に読みたくなるときがあるから困る
236名無しさん@初回限定:2009/11/28(土) 21:20:53 ID:GmZmGy9w0
俺はRough Edgeが好きだったな
237名無しさん@初回限定:2009/11/29(日) 06:51:28 ID:764On4lz0
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org407479.txt.html

作文能力ないけど闘神Vの評価があんまりなので頑張ってみた
レメディアは至高なり
238名無しさん@初回限定:2009/11/29(日) 16:17:59 ID:U2xFs43V0
あれ、消えてる?
239名無しさん@初回限定:2009/11/29(日) 17:01:52 ID:BZtKrZXP0
突然すまん。裏鬼七堂ってサイトにあった「真・鬼畜カカロ」と言うSSを探してるんだが、サイト自体は閉鎖していて、アーカイブでも引っかからない。
誰か保存してたらUPしてもらえないか。
240名無しさん@初回限定:2009/11/30(月) 03:40:12 ID:apJjGwI40
>>238
闘神V再構成、レメディア√プロローグ的なものだったんだけど、
どう考えても完結しなさそうなのでやっぱりやめた
ナっくんとレメさんがイチャラブし始めてから作中時間がまったく進まないw

なのでこっちを完成させて投下
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org410475.txt.html
フィオリ様の遊び 闘神レメディアver

ナクト×洗脳レメディア
流され系エロなので本編のエロが嫌いな人は要注意
さらに、ナクト君が本編以上のレメディア狂信者なニッチ仕様です
241名無しさん@初回限定:2009/11/30(月) 13:43:46 ID:GIJoZErI0
>>240
GJ!
保存した
原作のレメディアのHシーンて少なすぎるよな・・・
館で後日談でも来るかなと思ってたんだが、ふみゃは産休だったろうし普通に無理だったな
織音め、余計なことしやがって
242名無しさん@初回限定:2009/12/04(金) 13:26:07 ID:v17rhww20
なんかこのメーカーの二次創作は駄作、地雷率高杉
時間返せ馬鹿
もう少し展開練れよ、表現凝れよ
基礎からやり直せ
243名無しさん@初回限定:2009/12/04(金) 17:04:18 ID:jhsWVC0CO
そんなこと言いながら最後まで読むとかツンデレ気取ってンのか
244名無しさん@初回限定:2009/12/04(金) 21:34:02 ID:tpo1ZRfz0
>>242
あなたのような人がいるから、ここから人が去っていったんだね
245自作特攻隊(E/ F) ◆0CrenIPJUU :2009/12/04(金) 22:48:24 ID:wS4lv6vp0
>>244 叩きのせいで善意で書く方が減りました・・・

 ※叩き上等で前進するのは基地外や馬鹿と呼ばれるようになりました・・・
馬鹿に向かって馬鹿とは何だと・・・開き直って前進するしか無さそうです。

 プロの作家でさえ、本人宛に「死ね」等の投稿が有り、「死にません」と返事を出しているみたいです・・・が・・・

 見なきゃ良いのに見て叩き、それとも見ては叩く悪魔なのか・・・?
出る杭は打たれるで、叩かれて鍛え上げられるから叩き上げ・・・・・・

 公開すれば叩かれるのは作家の宿命と腹を括り反骨精神で矢面の中を前進するしか
道は無いのかも知れません。

 応援してくれる方々も居るのなら、なおのこと嫉妬し叩く鬼も怒るのでしょう

 公開するとは矢面に立つ事で叩かれるとは素質が有るから
鬼や悪魔が嫉妬し躍起になって叩くと言う事なので・・・

 巨匠になる素質が有る以上、叩かれては考えて鬼や悪魔が舌を巻く知恵を練り出し矢面の中を
前進するしか無さそうです・・・
246自作特攻隊WILLCOM ◆0CrenIPJUU :2009/12/06(日) 12:04:02 ID:1Fd3Pfyo0
月間ホビージャパン2010 1月号 P259にて

アルター社より1:8スケール彩色済みPCVモデル 全高約21cm

魔想志津香 2010 3月発売予定 

※価格は記載無し。無塗装の原型が公開。
247名無しさん@初回限定:2009/12/07(月) 03:41:51 ID:tMkua4ta0
駄文投下します

ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org431599.txt.html

>>240の後日談
ナクト×レメディアのイチャエロ

館(2010)でのレメディアエロ追加の夢が潰えた以上、駄作でも自家発電するしかないという現状…
誰か駄文を見かねて書いてくれないかな…
美人でエロい体してて恥ずかしがり屋で不幸属性なんて色々夢が膨らむのに
おしっこさせるとか、緊縛プレイとか、集団陵辱(オプション:見せつけられるナクト君)とかさ
248名無しさん@初回限定:2009/12/08(火) 00:48:46 ID:ZGrjvWdB0
>>246
> 魔想志津香 2010 3月発売予定 
情報thx
楽しみだわ
249名無しさん@初回限定:2009/12/13(日) 21:35:13 ID:w6ZI9I/50
冬コミでアリス系本出すサークルはどうだろ・・・。
2010が出るから少しは期待できるかな
250 ◆tlZ8lQfHXX2y :2009/12/14(月) 19:15:40 ID:SAXclZHx0
ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org457272.txt.html

ナクト×レメディアの緊縛えっち
縛ってはいるけど、ソフトSM程度
…しっかし、エロくならんなぁ…
251名無しさん@初回限定:2009/12/18(金) 19:31:13 ID:XFPUnT9w0
>>250
既にファイルがなかったんだぜ・・・。

もうすぐ仕事が終わるから、アリス2010と戦国ランスの2巻を買いにいくんだ。
本スレはネタバレが嫌だから見てないw
SSとか同人とか沢山増えるといいな。
252名無しさん@初回限定:2009/12/18(金) 20:08:44 ID:tXgluQQq0
>>251
バレっつっても「○○が可愛い」とかしか無いぞw
253名無しさん@初回限定:2009/12/21(月) 11:45:38 ID:2ryZbUSP0
02改の新人ライターいい感じだな
良い人材が見つかったようでほっとした
254名無しさん@初回限定:2009/12/27(日) 10:55:12 ID:PZxYhYul0
まみーさんの四コマはランちゃんへの歪んだ愛がにじみ出てるなw
255名無しさん@初回限定:2009/12/27(日) 23:18:03 ID:h0C/mhhD0
まあランちゃんはイヂメてナンボだろwww
02ののぞみポジは彼女だと勝手に思ってるぜ俺
256自作特攻隊(E /F) ◆0CrenIPJUU :2010/01/01(金) 07:34:21 ID:OiQKla/c0
http://bbs.jpdo.com/cgi/70/img/860.jpg

あけまして、おめでとうございます。
257名無しさん@初回限定:2010/01/07(木) 02:28:09 ID:EjWAKxEG0
240〜のレメディア関係再UP希望
久しぶりに来たらこんな嬉しいことになっていようとは
258名無しさん@初回限定:2010/01/07(木) 14:06:18 ID:7p7bkpt60
やっと規制解除された
おまえらあけおめ
259名無しさん@初回限定:2010/01/08(金) 14:14:08 ID:i2bGkRit0
ランス8が遠すぎる
アリスソフトでランス以外のRPGっぽいゲームが微妙に感じたから余計に待ち遠しい
今年じゃなくて来年なんだろうなー
発売するのって
260名無しさん@初回限定:2010/01/08(金) 19:01:57 ID:AynEeIsA0
来年は大作は大帝国だけだろうしな

ランス8はなんか4年後とか聞いたんだが…
261名無しさん@初回限定:2010/01/08(金) 23:07:04 ID:AWjNfK5q0
02のライターがイマイチなのが不安
無駄にテキスト長いし寒いし
262名無しさん@初回限定:2010/01/09(土) 00:17:45 ID:GwWDkDT10
4年後w
長すぎる・・・
途中で事故とかで死んだりしてなw
4年も経ったらゲーム自体に興味無くなってる時期だろうなー
そろそろ飽きてきたし
263名無しさん@初回限定:2010/01/09(土) 00:18:31 ID:v0rLmfaN0
>>261
お前が何か書いて応募しろよ
264名無しさん@初回限定:2010/01/09(土) 00:51:00 ID:Ta3dw8mq0
>>262
昔の自分「エロゲ買ったのに積んでるとか、馬鹿なの?死ぬの?」
今の自分「あー、なんかその気持わかるわー…」

近い将来、間違いなく「あるあるwww」になるはず
ランス買ったのに積んでる自分とか想像したくねーよ…
265名無しさん@初回限定:2010/01/09(土) 14:05:04 ID:ltnihpb70
>>261,>>263
モノ作りは黎明期〜発展期までに入り込んだ人間が旨い
それより後のは言っちゃ悪いけど旨味がない

スタッフさんらが自社製品を楽しくプレイできてるうちは買うけど
正直02改とはるうられは単独製品じゃなくて救われてると感じた
266名無しさん@初回限定:2010/01/09(土) 19:41:17 ID:NxXD+oRA0
>>240
>>247
>>250
見れない……
267名無しさん@初回限定:2010/01/10(日) 18:09:38 ID:8h1AQKNK0
>>265
FDに単独製品並のクオリティを求めるのもどうかと思うが、
こういう考え方をしてしまう自分がつくづく信者なんだなぁと感じて若干凹む
268名無しさん@初回限定:2010/01/10(日) 18:47:15 ID:eP9QGsoY0
うられは悪司みたいな外道主人公かと思ったら
ただの自己弁護のうざい内向的ヘタレキャラで吐き気がした
ゲーム内容もストレス仕様で正直アリスの未来は明るくないと思った
269名無しさん@初回限定:2010/01/10(日) 19:28:39 ID:j+LjbyGd0
うられは初め
なんでこんなストレス溜めるような主人公にしたんだろう?と思ったが
やってるうちにあれはあれでいいような気がしてきた
270名無しさん@初回限定:2010/01/11(月) 21:04:06 ID:vGFbH6Vy0
でもあんな主人公だと面白さ半減じゃね
271名無しさん@初回限定:2010/01/11(月) 21:45:39 ID:pOOp1yXj0
つか、二次全然関係ないような
悪司でうられを書いてみようって流れならともかく
272名無しさん@初回限定:2010/01/12(火) 00:58:58 ID:TAIcecjc0
>>270
いや、感情移入する主人公としてでなく
あくまでキャラの一人と考えたらあれで良いなと思えたんだ。
ノベルで無くゲームだからということもあって。
ところでそろそろ二次の話に戻ろう
273名無しさん@初回限定:2010/01/16(土) 17:27:05 ID:J0jtMwh40
冬コミはどうだったん?
274名無しさん@初回限定:2010/01/24(日) 06:15:08 ID:Nunkozaa0
しかしランスのSSは戦国と鬼畜王ばっかだな
ウルザとかリズナのSS読みたいのに・・・
キャラに人気が無いのか?
275名無しさん@初回限定:2010/01/24(日) 10:47:12 ID:3gy+q8Gq0
同意

セスナとかウルザとかウスピラとかのゼスの人は見かけないけど
それ以上にヘルマンなんて

鬼畜王じゃないんだ
正史の方が読みたいんだ
276名無しさん@初回限定:2010/01/24(日) 11:08:40 ID:yd/dGnZK0
今じゃランスでSS書く人なんかほとんどいないけどね
どうにもならないよ
277名無しさん@初回限定:2010/01/24(日) 11:17:07 ID:7TCyn4Vs0
ですよねー

>>275
というかヘルマンは女っ気無さ杉だから人気が出ないのはしょうがない
ヤク中と脳筋男女と眼鏡戦争オタク(俺は結構好きだけど)ぐらいしかいねーし
[での新キャラに期待するしかない
278名無しさん@初回限定:2010/01/24(日) 12:45:38 ID:3gy+q8Gq0
ちょろちょろ書く・描く人がいてもなかなか続かない感じ

>>277
俺も眼鏡戦争オタク好きー
正史でどんな子になるのか期待しつつ心配しつつ
279名無しさん@初回限定:2010/01/24(日) 22:49:37 ID:voRyMHjL0
>>274
5Dはまだわかるけど、6のSSが無いのは不思議だよな
やっぱ鬼畜王とか戦国と違ってストーリーに妄想の入り込む余地がないからかね
俺もデレたウルザのSSとか読みたいわ
280名無しさん@初回限定:2010/01/25(月) 16:42:10 ID:V1fuz/x90
ウスピラとかと違ってウルザは戦国にも出演したから誰か書きそうなもんなんだけどなー
なんでだろ
281名無しさん@初回限定:2010/01/25(月) 16:45:56 ID:DTqLLNFz0
長編で下手に流れ変えるといろいろずれて大変そうな感じはする
282名無しさん@初回限定:2010/01/25(月) 20:58:24 ID:UfGJOXv40
8では鬼畜王での一番人気リセットが登場しそうだしそこで往年の活気が戻れば…
もっともリセットはキャラ的に外伝やスピンアウトの好材料にもなるから
オフィシャルでやる可能性もあるか。
283名無しさん@初回限定:2010/01/25(月) 21:56:17 ID:n+wgCsLT0
ウルザの家族が死んだ事件とか妄想の余地ありそうだな
ただ、バッドエンドだしあんま見たくないし書きたくないんだろうなぁw
284名無しさん@初回限定:2010/01/26(火) 13:00:34 ID:Fk5aZHX20
ウルザはランスとの距離感を書くのが難しいと思う
285名無しさん@初回限定:2010/01/28(木) 12:03:05 ID:NCq8vM9I0
いまいちデレてるのかデレてないのかわからんキャラだよな>ウルザ
6のとぅるーえんどと戦国の花火デートでは完全にデレたと思ったけど結局好感度は愛情までいかんし
286名無しさん@初回限定:2010/01/28(木) 23:19:05 ID:tCPRTGUS0
魔王ケイブリス読んで二次創作に興味をもったんだが
ランス系のもので他に人気なものある?
287名無しさん@初回限定:2010/01/29(金) 06:58:14 ID:ONXKbR6/0
俺の脳内じゃウルザはデレデレなんだけどな
288名無しさん@初回限定:2010/02/02(火) 01:45:09 ID:jSnXolJw0
おまえの膿んでる脳内の話などどうでもいい
289名無しさん@初回限定:2010/02/02(火) 17:15:22 ID:b+Agzrjw0
>>288
>>286がスルーされたからって怒るなよ
290名無しさん@初回限定:2010/02/02(火) 17:21:40 ID:GMUj1oo10
>>289
>>286だけど>>288じゃないよ・・・
291名無しさん@初回限定:2010/02/02(火) 17:38:07 ID:43eo9RbLO
ウルザの好感度が信頼止まりなのはランス8への布石だろ
まそうさんと同じ
292名無しさん@初回限定:2010/02/02(火) 18:05:06 ID:b+Agzrjw0
>>290
そうなの?
早とちりスマン

てか>>286みたいなレスって定期的に見るけど、一体どういう答えが欲しいんだよ
293名無しさん@初回限定:2010/02/02(火) 23:15:26 ID:wocb4c/x0
「魔王ケイブリス最高!他は糞!読む価値無し!」
これが言いたいんだろ

ランススレでも定期的に「ランス系のSSでオススメのものあります?」とかいきなり聞いてくる奴いたけど
空気読めよ馬鹿作者が
スレの空気悪くなるわ、二次創作のイメージ悪くなるわで大迷惑なんだよ
294名無しさん@初回限定:2010/02/03(水) 01:25:09 ID:h+LIG7Nm0
うかつに作品褒めると必ずアンチが必ず湧くっていう
このジャンルほんと先がないというか盛り上がりえないというか・・
295名無しさん@初回限定:2010/02/03(水) 07:27:25 ID:ZZe+4DoO0
大概スルーされてて空気悪くなってると感じた事ないんだが>>293が単に一人で不快に思ってるだけなんじゃねーの?
296292:2010/02/03(水) 12:06:13 ID:M06RsRrE0
でも「ランス系のSSでオススメのものありますか?」みたいなレスは見るだけで辟易するな
今までどういうものを読んで、どういう展開がツボにはまった、とか言わずに漠然と聞いてくるだけだし
エスパーじゃねぇんだからわかるわけないっつーの

>>286にしたって、魔王ケイブリスって今現在見つけるの割と難しい方だろ、二次創作初心者には
いきなり魔王ケイブリス見つけられるような奴が他のSSくらい探せないの?って話になるわな
それに似た様な発端で>>230>>233>>242の流れになった実例もあるし、正直一体何がしたいのかわからん
スレ内を流し読みすることすらできないのかと
それとも>>233で挙げられてるようなやつは全部糞ですかそうですか
297名無しさん@初回限定:2010/02/03(水) 17:01:05 ID:ZEHR6cb/O
>>233で思い出したけど、お前ら「魔王」みたいな作品ってどこが好きなの?
個人的に何の救いもないバッドエンドすぎてあんまり好きになれなかったんだが
298名無しさん@初回限定:2010/02/03(水) 17:07:12 ID:pu2ukWivO
>>296
作者が評価されずに逆ギレしてるみたいに見えるから落ち着け
まあぶっちゃけRと忠勝の以外は読んでてだれるしあんまり面白くないけど
299名無しさん@初回限定:2010/02/03(水) 18:36:31 ID:XalSXr3x0
一部を持ち上げて他を落とすとか、底意地の悪さが滲み出たレスだな
300名無しさん@初回限定:2010/02/03(水) 18:41:38 ID:bPMwORfz0
>>293
メッタに話題に上がらないし
最近上がった時もアンチも沸かなかったし別に空気は悪くならなかったぞ
スレ見ていない荒らしってバレバレだな
301名無しさん@初回限定:2010/02/04(木) 00:46:28 ID:xuWrCNBx0
原作に飢え気味の人が増加してそうな丁度今頃が二次創作加熱のチャンスだと思うんだが
302名無しさん@初回限定:2010/02/05(金) 01:35:57 ID:+RUKZknFO
しかし二次創作スレなのにSS投下が全くないな
スレタイが悪いんかね
303名無しさん@初回限定:2010/02/05(金) 09:07:32 ID:SQ6Vn2DW0
いつのまにやらこんなスレができてたぞな

戦国ランスのSS
http://set.bbspink.com/test/read.cgi/erog/1264792630/
304名無しさん@初回限定:2010/02/06(土) 21:36:26 ID:cDfu8f710
>>302
投下すると誰かしら貶すからだよ
305名無しさん@初回限定:2010/02/06(土) 21:42:44 ID:0ulj0czk0
ってか二次創作に関する情報交換スレなんじゃないのか?
306名無しさん@初回限定:2010/02/07(日) 00:18:17 ID:bQswjBQp0
>>304
叩いてるのは一人か二人だろ
まあこんな過疎スレで一人か二人だと結構な割合になりそうだがw
307名無しさん@初回限定:2010/02/07(日) 09:49:35 ID:4V2I+5RK0
2ちゃんでの作品晒しなんて作者によっては嫌がらせになるからな
情報交換スレとして機能しないのは当然といえば当然
軽い妄想なら工作スレでもやれるし、冬コミ情報すらないしで何のためのスレだか分からなくはなってる
308自作特攻隊WILLCOM ◆0CrenIPJUU :2010/02/07(日) 11:08:07 ID:l2VnUa6Y0
現在WF A・18金エリアを偵察中・・・

・上杉謙信 1 ・ハルカ 1 を発見
309名無しさん@初回限定:2010/02/07(日) 11:34:02 ID:CmP6pEh10
>>307
というかこのスレで話題に出しても叩かれる可能性が高いから作者に迷惑かかるかもしれない、
そんな心理が働いて結局何も話せずじまいってのが今の俺

まみーさんの四コマとか話題にしたいけどアンチが付きそうだから自重してるし
310自作特攻隊WILLCOM ◆0CrenIPJUU :2010/02/07(日) 11:47:12 ID:OaRvr1hU0
WF Aブロックを偵察中

・謙信・五十六のデフォルメフィギャ
・ハルカ

を発見
311自作特攻隊WILLCOM ◆0CrenIPJUU :2010/02/07(日) 12:48:10 ID:i4Gdv8fw0
WF Bブロック  ・ハルカ 
312自作特攻隊WILLCOM ◆0CrenIPJUU :2010/02/07(日) 14:32:22 ID:nsiPWzSa0
WF C・Dブロック 一品も無し
313自作特攻隊WILLCOM ◆0CrenIPJUU :2010/02/07(日) 15:06:47 ID:2cNOxm4v0
WF Eブロック アルター社 ボークス社 が展示、
他の企業ブースは発見出来ず。 
314自作特攻隊WILLCOM ◆0CrenIPJUU :2010/02/07(日) 15:48:43 ID:r4JnOIeF0
WF コスプレコーナを偵察 摩想さんのコスプレイヤーを発見

以上、偵察完了、帰宅開始・・・
315名無しさん@初回限定:2010/02/17(水) 08:54:59 ID:2dGkXGBe0
過疎
316名無しさん@初回限定:2010/03/03(水) 22:27:30 ID:/hGyJokP0
そーか
317名無しさん@初回限定:2010/03/06(土) 07:21:19 ID:JqJdaQwa0
アトリエと図書館終了か
香惨歌と魔王はエロくてヌけるから保存しとく
318名無しさん@初回限定:2010/03/06(土) 12:30:34 ID:j8ebPL680
嘘かと思ったらマジだった
これで更に衰退が進行するな・・・
319名無しさん@初回限定:2010/03/06(土) 12:50:45 ID:NcHOZj900
模様替えする時に画像リンク貼り直しとかするのが大変だからリセットしちゃうってくらいのものではないかと思ってる
320名無しさん@初回限定:2010/03/06(土) 20:49:37 ID:j8ebPL680
完結の見込みのない古い奴はそのまま消されそうだけどな
321名無しさん@初回限定:2010/03/07(日) 00:08:54 ID:XlIqhAC10
保存しといてね、みたいなこといってたから、普通に消すだろ
322名無しさん@初回限定:2010/03/07(日) 05:13:47 ID:7mfkVi760
完全に終わったな
公式から二次創作を衰退させるような事をするとは
323自作特攻隊(E/ F) ◆0CrenIPJUU :2010/03/09(火) 22:31:36 ID:wNXWrY2b0
http://bbs.jpdo.com/cgi/70/img/894.jpg

二CH次元・製作中のわいどにょ系やもりんでした・・・♪

※本家はマイナービギナー者には敷居が超えられないベルリンの壁なのでした。
324自作特攻隊(E/ F) ◆0CrenIPJUU :2010/03/10(水) 22:54:46 ID:JYo3p/rN0
http://bbs.jpdo.com/cgi/70/img/895.jpg
完成した、わいどにょ・やもりんの写真
325名無しさん@初回限定:2010/03/12(金) 02:36:14 ID:MPJHSEpo0
駄作ばっかだから痛手皆無だよ
326自作特攻隊WILLCOM ◆0CrenIPJUU :2010/03/12(金) 13:37:09 ID:x3F+v04L0
っ世界の駄っ作機

※駄作自慢の自分も本家以下、分家以下、で遠く離れた秋葉原
気にせず楽しんで作るのが萌え所の模様・・・♪

駄目から何故5回繰り返して改善
327名無しさん@初回限定:2010/03/12(金) 23:40:51 ID:giERZbY90
>>325
死人に鞭打つような真似して楽しいか?
それとも自分が現役だった昔はもっとマシだったとでも言いたいのか?
328名無しさん@初回限定:2010/03/13(土) 16:20:14 ID:PHfF5ita0
>>327
かまってやるなよ。

ここにいけば二次創作が見られる、ってのが二次創作Linksくらいになってくるな
あそこも更新が少なくて、企画も最近やってないみたいだけど
329名無しさん@初回限定:2010/03/13(土) 17:55:56 ID:kQuWFEPU0
>>322
おrz
330自作特攻隊WILLCOM ◆0CrenIPJUU :2010/03/13(土) 18:36:13 ID:5kGI+aAP0
※参加賞ハンターの自分では厳しい模様・・・
331名無しさん@初回限定:2010/03/13(土) 21:50:16 ID:XZJFKdPU0
参加賞すら取ろうとする気のない俺よりは100倍マシだ
332名無しさん@初回限定:2010/03/13(土) 22:31:14 ID:79Vt9mWk0
玉石混交がアマチュア創作の醍醐味ですよ
333自作特攻隊(E /F) ◆0CrenIPJUU :2010/03/14(日) 09:03:34 ID:T8C8jr320
石を磨くと玉になる訳ですが、
玉を地道に捜すか石を根気良く磨くかでしょうか・・・

っ砥石

さてと・・・自分もブービー賞ハンターを目指して紙ヤスリでシコシコ・・・♪
334名無しさん@初回限定:2010/03/14(日) 12:25:04 ID:x1v9G5hp0
最初から玉の奴なんていない
どんな奴もまずは石からはじまる
335名無しさん@初回限定:2010/03/21(日) 17:16:18 ID:VMVICpMv0
>>334
そうだな
そして石のまま砕いてしまうのがこのスレw
336自作特攻隊(E/ F) ◆0CrenIPJUU :2010/03/22(月) 01:09:38 ID:dBWz5Mpg0
石を叩きのめして玉砕・・・そして灰になって絶滅。
337名無しさん@初回限定:2010/03/22(月) 17:03:55 ID:JEbIvXzj0
ま、実際絶滅しかけてるわな
このスレに二次創作してる人がどれだけ残ってるのかと
338自作特攻隊WILLCOM ◆0CrenIPJUU :2010/03/25(木) 13:55:31 ID:YskLP/k60
叩きは叩くが叩かれる人に勝る才は有るのか不明。

 恥も書けないのに叩きで右に出る者は居ないが、
叩かれる者より前に出る事は無さそうな模様・・・
魔王LPによって凍らされてしまったシィルを助けるために、カラーの技術を求めて旅をするランス。
彼女抜きで冒険すること自体は、それほど珍しいことではない。
事実、シィルがいないときには人工生命体であるあてな2号をお供につけたり、現地で調達するなどして今までやってきた。
それに、氷漬けのシィルを預かってくれている現JAPAN国主であり、義理の妹(正式なものではないが)でもある織田の香姫は信頼できる。
しかし、それでもランスの無意識のずっっっと底にある、彼女に関する心配やら不安は、一向に消えて無くならなかった。
もっとも、無意識とは当の本人が気づくことができない領域のものであるからして、無意識たるのである。
したがって、現在とある街道をしかめ面(つら)で歩く彼は、まったくもって普段通りであった。‥モンスターがやたらと襲いかかってくること以外は。
「ったく、こうもモンスターが頻繁に襲ってくるんじゃ、ダンジョンと変わんねぇじゃねえか」
JAPANから自由都市郡を横切り、リーザス経由でヘルマンへ入国。その後、周辺でカラーの情報を再度集めようと計画していたのだが。
「俺様と香ちゃんと鈴女の、パーフェクトなプランに穴があるとは思いたくはないが、〈ざしゅっ〉「はにほー!」」
「ふん、とりあえず休憩だな。一応、地図を確認してみるか」
ハニーだけでも15は倒しただろうか。いい加減うんざりして、どこか休める場所を探しに辺りをキョロキョロと見回してみる。
すると、彼の左耳が息も絶え絶えに助けを求める、美少女(推定)の声を捉えた。
「うぅ‥誰かいるの?お願い、助けて‥」
「むむっ 美少女が俺様に助けを求めている。こっちか!」
魔剣カオスをぶんぶか振り回すと、先刻レーダーで感知した方角へ突っ走る。
腰まで伸びた草むらを掻き分け、大木が点々と立ち並ぶ街道より少し離れた一角。
そこには、黒髪に大きめのポニーテールを結った姿が印象的な、まさしく美少女が倒れていた。
すぐさまランスは長年の冒険者生活からなる、経験と勘を頼りに診察を始める。
どうやら、深い傷や多量の出血こそ見当たらないものの、強い打ち身や擦り傷などでだいぶ消耗しているようだ。彼女一人だけで動くのは難しいだろう。
「おい 世露丸だ。飲めるか?ムリでも飲め。楽になるぞ」「んぐ、んんっ うぅにがー」
そのまま擦り傷をきれいな水で洗い、軟膏を塗って清潔な包帯と当て布を取り出し、きゅっと縛る。
相手が美女・美少女の時にのみ発揮される、ランスの優しさ技能LV.1である。
「ん‥あ、ありがとうございます」
〈こうかはばつぐんだ〉
(心の友もようやるのう。このまま黙っておればこの娘、早々にオチそうじゃな。“黙っていれば”だが)
魔剣が、既に誰もが予想している“お約束”を期待しつつ、自分の出番は無いんだろうなぁとため息を吐く。
そして、少女の応急処置が一段落すると、ついにその時間がやってきた。
どこからともなく東ドイツ国歌をギターアレンジした、アップテンポなBGMが聴こえてくる。
「さてお嬢さん、キミのお名前はなんていうのかな?」
今、肉食獣が牙を剥く―。
(BGM:東ドイツ国歌)
ダメージを受けた部位の一部がなかなか際どい所であったため、処置を終えた今あらためて彼女を見ると、とても露出の多い格好をしている。
例えるならワンピース型の水着の上に、破いたシーツを外套代わりに羽織った状態とでも言おうか。
世露丸と鈴女からもらった軟膏が効いているのだろう。
発見したときよりもかなり顔色が良くなってきた少女から、この辺りの情報を訊き出していたのがおよそ数十分前。
そして今、体力を回復するために彼女は無防備にも、ランスの目の前で眠ってしまう。
「むふふ チャーンス‥」
あわや、寝込みを襲われてしまうRちゃん(仮名)の運命や如何に―。
と、ここで快晴の空に巨大でピンクなもこもこ頭の女性像が浮かんできた。ピンクのもこもこがランスに向けて語りかける。
(BGM:シィルのテーマ オルゴールver.)
『ランスさまー (エコー) 女の人に乱暴されては、いけませんよー (エコー) いけませんよー‥』
ランスの左手が止まる。空を見上げるとそこには、久しぶりに見る奴隷の笑顔。
そうだ、いったい俺様は何をしているんだ。アイツは氷漬けになってもまだ、こうして俺様を止めてくれる。
そこまでしてくれるのなら俺様も、もうエロいことは止めにしてやろうではないか―
「―なんて言うと思ったかー!がははは、そんなに言うならここまで来て俺様を止めてみるんだなー!」
(BGM:東ドイツ国歌)
『あわわわ ランス様ー、かわいそうですよー』
「んきゃーなに?!え、なになにどうなってるのっ。助けておかーさーん!」
「むふふ おお、初めてなのか。よしよし、優しくしてやろう」
「うわーん!あ、でもこの人よく見たらかっこいいかも。ちょっと口がデカイけど」
とりあえず、冒険の始まりとしては上々かもしれない。
終わり。
元ネタ:過去のシィルスレより、“お空で星になってランスを見守るシィル”というネタレスを参考にさせていただきました。
342名無しさん@初回限定:2010/03/29(月) 22:03:41 ID:ZdXCf+Wt0
>>339-341
お、いいね
343名無しさん@初回限定:2010/03/30(火) 00:05:37 ID:wG9R54R60
http://www.nicovideo.jp/watch/sm8726295
MADだけど、戦国や6などのランスのキャラがここまでアニメするのは
これしかないんじゃないか
344名無しさん@初回限定:2010/03/30(火) 00:17:17 ID:IxQeKIhn0
まみーさんじゃん
345名無しさん@初回限定:2010/03/30(火) 00:52:02 ID:31Dma0LQ0
>>343
完成してたのかw
途中までの奴は見たことあったけどすっかり忘れてた
346【春のある日に嘘をつくお話 前編 】:2010/03/30(火) 10:34:35 ID:nBbAcCeQ0
春、JAPANであれば桜の下で宴会を催す頃。
ここ、自由都市群内 カスタム都市 エレノア・ラン都市長の部屋では、いつもの三人が集まっていた。
マリア・カスタード、ミリ・ヨークス、そして魔想志津香。
あとは今の時間 外回りへ向かう姉の代わりに店番をする、しっかり者の妹 ミル・ヨークスを加えて、“カスタム五人衆”が完成する。
ちなみに以前の“四魔女”なる名称は、ラギシスの件をきっかけに自然と呼ばれることはなくなった。
その代わりに、彼女達のファンクラブ(非公式)を中心に広まり始めているのが、この“五人衆”という名である。
麗(うら)若き乙女につける名前としては、どこか殺伐としたネーミングから、市民達が日ごろ彼女らに抱く印象を窺(うかが)い知ることができよう。
現在、時刻は正午を回る頃。
エレノアより昼食会を兼ねて相談があると呼び出された三人は、目的地である都市長室へ到着した。
「〈コンコン〉ランー、入るぞー?」
仕事の途中ということもあって、幾分 露出を抑えたジャケット姿のミリを先頭に、ぞろぞろと部屋へ入る。
「いらっしゃい、今日は来てくれてありがとう」
また徹夜したのだろう。最後尾を気だるげに歩く志津香の姿を見て軽く苦笑し、ハーブティーを淹れつつ挨拶を返すエレノア。
「食事の準備ももうすぐだから、適当にくつろいでて」
「あ、私も手伝うよ」
「ありがとう、マリア」
「んじゃ俺はこっちでネボスケ姫の面倒みてるわ」
「んー、ぅるっさいわねぇ」
347【春のある日に嘘をつくお話 中の上編 】:2010/03/30(火) 10:35:43 ID:nBbAcCeQ0
「―で、いったい今日はどうしたんだよ?」
昼食もほとんど食べ終え、お腹も満足したところでミリが本題を切り出す。
そんな彼女に、実はね…とファンにはお馴染みの憂いを秘めた顔で、説明を始める。
「えーっと、つまり来月の初めに“一日だけ嘘をついても良い日”を設ける、その相談をしたいって話ね?」
「頭の堅そうな市議会の連中にしちゃ、シャレたイベントなんじゃねぇの?」
「‥眠い。ラン、ソファかりるわよー」
返事を待たずクッションに顔を埋めて眠る志津香を他所(よそ)に、話を進める三人。
「でもよぉ、来月ってことはもう大体決まってるもんだと思ってたけどな」
「そうなんだけど…」
実際、あとはエレノアが黙っていても勝手に進めていける段階まできている。
主に街の機関誌や魔法ビジョンの各局メディアらが、この日のためにとこぞって企画を立ち上げ、準備をしていた。
このままいけば将来は、冬のAL教祭やチョコレートフェアに並ぶイベントとなるかもしれない。
だが―
「みんながどれくらいの嘘をつくのかわからなくて、ちょっと不安で…」
「ん、確かにこの街の人達はノリの良い人が多いけど‥」とマリア。
「っても、ランが心配するような質(たち)の悪い嘘はあらかじめ禁止しときゃ良い話だろ」
「お前はなんでも心配しすぎなんだよ、まぁそういう優しいとこもランの魅力の一つだけどなっ」
そう言って、照れ隠しにエレノアの頭を少々乱暴になでるミリ。
二人の気づかいに胸を暖かくしたエレノアは、彼女の髪をやわやわと愛撫し始める右手を柔らかく掴んで戻し、感謝の言葉をそっと告げるのだった。
348【春のある日に嘘をつくお話 中の下編 】:2010/03/30(火) 10:37:25 ID:nBbAcCeQ0
半ば廃墟と化したカスタムの街並みを前に、元・都市長ら四人が呆然と立ち尽くす。
「まさか、こんなことになるなんてね‥」
眼前の、モヒカン頭で改造うし車を乗り回す元・商店街組合会長をチューリップで沈め、マリアが呟く。
LP000X年。カスタムは世紀末を待たずして救世主を待ち望む事態へと陥ってしまった。
もはやそこには、かつての愛と希望にあふれる街の風景はなかった。
悲しみと暴力が支配し、絶えまぬ悲鳴が木霊する。
「人間なんて、普段から嘘ばかりついて生きてるんだから、こんなことになっても何も不自然なことないわ」
「いや、不自然だろ。っつうか大丈夫かお前?」
据わった目をして妙なことを宣(のたま)い始めるエレノアに、危機感を覚えるミリ。
遠く東の空の下では、どこから聞きつけたのか志津香の異父妹ナギが、一風変わった愛情表現でもって姉を追いかけ回している。
「あ、いま倒れたのは都市庁舎かしら?いいえ 違うわね。庁舎だったらもっと、どかぁんって壊れるもの」
「うふふ、何だか身体が暑くなってきちゃった。おーい 志津香ちゃあん、私も混ぜてくださいよぉーう」
夢現(うつつ)のまま大量破壊魔法が飛び交う場所へと歩きだすエレノアを、彼女の友人達はついに止めることができなかった―。
349【春のある日に嘘をつくお話 後編 】:2010/03/30(火) 10:50:01 ID:nBbAcCeQ0
「―なんてこともありえるかもしれないわね、私の占いによると」
「…〈がたがたがたがた〉」
昼食会も終わるころに起き出した志津香が、マリア達から相談の内容を聞いて急に占いを始めたのが数分前。
そのあまりにあんまりな結果に、ガラスハート都市長の顔色は今やブルーハニーとお揃いだ。
「ら ラン、大丈夫だから!志津香の占いなんてほとんど外れるしっ」
「当たることもあるけどねー「志津香!」」
志津香の悪い冗談に涙目になるいじられ都市長、それを絶妙にフォローしてたまに失敗するマリア。
エレノアが泣くので、テーブルに突っ伏してなるべく抑えめに爆笑するミリ。
そして、(この場にいたなら)姉を諌めつつ志津香につっこむミル。
ここまでがカスタム都市長室におけるいつもの風景だったりするので、エレノアファンの諸兄にはぜひとも安心していただきたい。
ちなみに、“嘘をつける日”のイベントは無事 成功に終わり、その後もカスタム都市の有名イベントの一つとなったとか。
終わり。
※キャラの性格・関係などの装飾および捏造が苦手な方、申し訳ありませんでした。
350名無しさん@初回限定:2010/03/30(火) 11:52:38 ID:ZWk+qfNx0
>>343
三ヶ月とか大変だなぁ
351名無しさん@初回限定:2010/03/30(火) 12:24:28 ID:0dV01QQwO
>346−349
GJ
352名無しさん@初回限定:2010/03/30(火) 15:52:39 ID:BF+Jrcpw0
上のシィルのと同じ作者かねぇ?
よろしい、どんどん続けてくれたまえ
353名無しさん@初回限定:2010/03/30(火) 17:07:20 ID:t0El126l0
ニコはアカ無くて見れねぇ
354名無しさん@初回限定:2010/03/30(火) 20:40:20 ID:wG9R54R60
まみーさん孤軍奮闘すぎる
355名無しさん@初回限定:2010/03/30(火) 21:42:03 ID:pDEGalDZ0
動くといえばオリオンのHPに投稿された戦国ランスOPのGIFとかあったな
アレはまさに神業だった
356名無しさん@初回限定:2010/03/31(水) 08:55:19 ID:oRNcHDtzO
5Dのデモムービーのアニメは織音が担当したのかね?
357名無しさん@初回限定:2010/03/31(水) 09:14:18 ID:Q6nKJKua0
どっかに依頼してるだろ
あの時期は他もアニメでやってたな
358【あてなプリンスHOTEL 前編 】:2010/03/31(水) 10:37:25 ID:DS/W6yI/0
―ご主人様、事件なのれす―
「ももも申し訳ございませんお客さま。うちの従業員がルームサービスで入った際に、お客さまのお召し物にコーヒーをこぼしてしまうなんて!」
「誰に向けてか知らねえけど説明ご苦労さん。あーっと、まったくどうしてくれるんだ」
「俺のじゃなかった、わたくしの大事なドレスがめちゃくちゃじゃないのよ」
「(ミリ、棒読みすぎ)こ 困ったわ、晩餐会に招待されているのにこれじゃあねぇ‥」
「(ふふ まだまだね志津香ちゃん)だいたいチェックインした時から思ってたんだけど、このホテル 従業員に対する教育が行き届いて無いのではなくて?」
「(ひんひん ランさんなんでそんなにノリノリなんですかぁ‥)うう、誠に申し訳ございません。直ちにお召し物はクリーニングさせていただきます」
「それと、万が一間に合わない場合は代えの物をこちらでご用意させていただきますので―」
事態が混乱を極める中、そこへおっとり刀でランス社長が駆けつける。
「むむ、なんとめんどくさい事になっとるんだ。こんな時に、あの宇宙一頼りになるスーパー人工生命体、あてな2号くんがいてくれたらなぁ…」
「お呼びれすか、ご主人様?「うおっ この声は‥まさか?!」」
「呼ばれて飛び出てしゃらららーんれす。ご主人様のウルトラベストパートナー、あてな2号ちゃん参上!」
「あてなちゃーん、うう 良かった。助かったよ〜 ぐすん」
359【あてなプリンスHOTEL 後編 】:2010/03/31(水) 10:38:37 ID:DS/W6yI/0
ホテルの受付デスクの上で仁王立ちするあてなに、皆が注目する。
彼女の実力を知る者達は安堵(あんど)の思いで嬉し涙を流し続けた。
間も無くあてながおもむろに両手を上げ、デスク上から10回転半ジャンプを決めると、ミリのドレスに染み込んだ汚れは消えていた。
それどころか、まるで新品のように光沢(こうたく)を増している。
“ブラボーあてな、おおブラボー!”ランス社長を始め、その場の人々は全員スタンディング・オベーションだ。
鳥はあてなを誉め称え、ハニーが山より巨大な彼女の銅像を建てる。
「あてなよ、俺様にはお前が必要だ。留守番なんてしなくて良いから、ずっと俺様についてくるんだ!」
「ご主人様!あてなはご主人様のお側にずっといるれす―」
―というのが、このあてなプリンスホテルなのれす。
「ふーん(←砂の城を作るのに夢中で聞いてない)」
今はただの砂のホテルれすが、いつか本当に建ててやるのれす。
「いえーい、B-29ごっこだー!ぶーんぶーんどんどーん〈ぐしゃぐしゃごしゃ〉」
あっ …あてなのホテル………ご主人様のお城もれすか。
お仕置きしに行くれすね、あてなもついていくれす。あのクソガキ かじってやる。
終わり。
ランス4.2、ランス&あてな&言裏の三人で砂場で遊ぶシーンから妄想。
あてなが可愛すぎてついカッとなって(ry
360名無しさん@初回限定:2010/03/31(水) 11:27:46 ID:oRNcHDtzO

あてなとホテルの組み合わせとなw
361名無しさん@初回限定:2010/03/31(水) 11:37:24 ID:HDYG8Brf0
あの辺のアニメはちみのツテで依頼したとか言うのは妄想だったっけ?
362名無しさん@初回限定:2010/03/31(水) 17:11:29 ID:GyKYohMk0
w
363名無しさん@初回限定:2010/03/31(水) 21:40:19 ID:ioBrFCBE0
図書館閉鎖と聞いて数年ぶりに
消える前に皆どんなの保存したのか聞いてみたくなった
とりあえず>233で上げられてるのと五十六記、LP5年〜、宇堂桐人さんシリーズは回収済
364名無しさん@初回限定:2010/03/31(水) 22:16:16 ID:pCtRg3nh0
図書館閉鎖まじ?
365名無しさん@初回限定:2010/03/31(水) 22:50:40 ID:4PVPEVhH0
閉鎖っていうかリニューアルにともないリセットって感じだと解釈してる
どちらにせよ今までのは見れなくなるかも知れないとは公式にいわれてるから保存はしといたほうがいい
366名無しさん@初回限定:2010/03/31(水) 23:05:48 ID:pCtRg3nh0
図書館にある「魔王」の退廃&狂気的な雰囲気が好きなんだが

かなみちゃんも魔人化してほしかった・・・
367名無しさん@初回限定:2010/03/31(水) 23:21:47 ID:i+7ZKOJr0
読者投稿企画のようなものは続けるかもしれんが過去作は見れなくなる

多分こんな感じだろう
お気に入りのSSやCGがあれば保存しといた方がいいだろうな
368名無しさん@初回限定:2010/03/31(水) 23:22:50 ID:i+7ZKOJr0
って、今見たらトップページが準備中ってなってて中には入れないんだがw
369名無しさん@初回限定:2010/03/31(水) 23:39:03 ID:7mvSvSIj0
23時からメンテじゃなかったっけ
370名無しさん@初回限定:2010/03/31(水) 23:43:14 ID:HtXvPp6f0
普通に入れる、と思ったらchromeだからか
IEだと無理だった
371名無しさん@初回限定:2010/04/01(木) 00:51:16 ID:BY09GOBk0
TOPページは無理でも履歴や直打ちで図書館はまだ見れるな
つか改めて見ると色々古いSSでシリアスしてる健太郎のギャップが凄い
鬼畜王と戦国で設定別物だから仕方ないけど
372名無しさん@初回限定:2010/04/01(木) 08:37:21 ID:GWrXv1tB0
ぎゃああああ図書館もアトリエも消えてるううううううううううううううう
373【織田城 料理教室 改 前編 】:2010/04/01(木) 09:45:33 ID:p4+5KNFj0
【織田城 料理教室 改(別名“愛”のエプロン)in猿殺しルート】
秋。
野山の緑が紅く染まり、昼夜ともに快適な暮らしをおくれるようになる季節。
織田家は、全国統一をもはや目前としながらも表・裏の両当主がアレなため、のんべんだらりと日々を過ごしていた。
そんな現在の織田城内において、(ランスの)女性を中心に料理が一大ブームとなる。
きっかけは、JAPAN料理も良いがたまには大陸のやつも食べたい、と駄々をこねた裏のバカ殿の発言だった。
それを受けてリーザス・ゼスの両国から援軍に来ている者達と、親交を深める機会として丁度 良いと判断した有能おデコ軍師。
彼女 直江愛が主催者となり、料理教室という名の食事会(もしくは懇親会)を月に二回ほど開催。
料理ができる・できないに関わらず、純粋に“料理作りを通した交流”をコンセプトにしたそれは、初回から見事に成功した。
もっとも、初めの方こそリーザス・ゼスの間の一部でぎくしゃくした面もあったが、回数を重ねるうちになくなっていった。
その後も口(くち)コミなどで広まり続け、ついには料理教室専用の建物まで建ててしまう。
こちらの主犯は表の殿様。彼の料理好き(主に団子作りであるが)と、面白いこと好きは まじパない。
“建設値”の高い武将達が、軒並み暇を持て余していたのも要因の一つだろう。
事後報告を受けた3Gがえっぢに絡み酒をする夜が四日続いたのは、今となっては良い思い出である。
なにはともあれ、今日もJAPANは平和であることには違いない。
374【織田城 料理教室 改 中の上編 】:2010/04/01(木) 09:46:31 ID:p4+5KNFj0
「うむ、やはり愛ちゃんのとりの唐揚げは美味いな」
「あぁ。愛の料理はなんでも美味しい」
「二人とも 褒めてくれるのはとても嬉しいんだけど、いい加減つまみ食いは止めてくれないかしら」
もはや料理教室 恒例のイベントの一つである、ランスと軍神の襲来だ。
とは言え、彼らが来ることはそれほど嫌がられているわけではない。
飢えすぎ もとい上杉謙信が上品かつ大量にたいらげる光景は、男女問わず非公式のファンをつくり―
率直な意見をズバリ言ってくれるランスは、料理を学びに来ている娘達にとって逆に有り難がられていたりする。
(ただし男は基本スルーしている)
「愛ちゃんは、軍師を辞めても唐揚げ屋でたべていけるな」
「む。どうしよう、愛。そしたら私は通いつめてしまう」
「はいはい今のところ軍師辞める気はさらさら無いから安心してくださいね」
その後、愛がアドバイザーも兼ねているため見回りに出ると言うので、自分達も別のテーブルへ行くことにする。
「お、あれに見えるは風華ちゃんではないか」
「良い匂いがする‥ランス殿、行ってみましょう」
巫女服の上にエプロンと言う男の神秘を体現させた格好で、スパイスの良い香り漂う鍋をかき混ぜる玉籤 風華。
味見をした小皿を置くと、二人に気がつき ふわりとした笑顔で挨拶してくる。
375【織田城 料理教室 改 中の下編 】:2010/04/01(木) 09:47:14 ID:p4+5KNFj0
「ランスさん、謙信様、こんにちは。宜(よろ)しければ味をみていただけませんか?」
「うむ、風「いただこう」‥謙信ちゃん」
「す、すまない。佐渡ではあまり目にしない食べ物だったので、つい…」
そう言って顔をうつ向けながらも、きっちり箸と丼を受け取る我らが軍神。
彼女に対して妙に甘くなってしまうランス。気にするなと右手を振って、自分も丼を受け取る。
「おお、カレーうどんか!なつかしいな」
「はい。名取さんと一緒に最近、大陸のお料理を勉強しているんです」
彼が自由都市群内、アイスの自宅で生活していた頃。たまにシィルがいない時には、気が向くと自分で食事を用意する。
その際、定番メニューの一つであるのがこの“カレーうどん”だ。
安い・簡単・美味いの三点が揃(そろ)うこの一品。
同居人のあてな2号も、これが出ると“カレーうどんの踊り”をやたら楽しげに披露するくらい気に入っている品である。
「ん。‥うん、すばらしい」
「うどんの食感はもちろん、カレーの辛さと出汁の風味が互いを尊重している」
「風華殿、‥その」
謙信の瞳が躊躇(ためら)う言葉と裏腹に、寸胴鍋と己の丼を忙しげに行き来する。
「ふふ、おかわりですね。喜んで」
言われて喜ぶ謙信の臀(でん)部に、ぶんぶん揺れるわんわんの尻尾が幻視できたのは、ランスだけではないはずである。
376【織田城 料理教室 改 後編 】:2010/04/01(木) 09:59:11 ID:p4+5KNFj0
風華のテーブルを後にして、見当 かなみ・マジック ガンジーの二卓をはしごする。
最新の鈴女情報によると、二人は近頃“家庭”料理の修行をしているそうだ。
かなみは肉じゃがで、ややあっさりめの味つけ。
マジックはランスの可愛い似顔絵をケチャップで描いた、オムライス。
どちらも食後、ランスに対してやけに真剣な顔で「どうだった?」と訊いてくるのだが、「普通だな」の一言でK.Oされている。
主食が続き、何かデザートはないかと会場を物色するランスと謙信。
甘い香りに引き寄せられた先には、名コーチの異名をもつ吉川 きくと織田 信長。
そして青い顔をする彼らの間で、たった今できたと思われる団子を片手に渾身の笑みを浮かべる、織田の香姫がいた。
〈ランスは にげだした〉
〈しかし まわりこまれた〉
「ランス、香が頑張って作ったんだよ。食べてくれるだろ?」
「ほ ほら、上杉の軍神だって食べてるんだ。だいじょぶだって」
信長に羽交い締めされ、きくが口に入れる絶妙なコンビネーションによって、ランスは…倒れた。
彼が「ドラマCD…」という謎のうわ言を呟く間に、直江 愛が駆けつける。
団子を一欠片 慎重に口へ運ぶと、その眉間に九重の皺がよる。
「レベル‥9。これはある意味 奇跡だわ」
奇跡の団子を片手に、担架で運ばれていくランスへ付き添う謙信。
「義兄に対する愛がつまった、美味しい団子なのだが…」
そう言って不思議な顔をする謙信に、“愛”があればなんでもOKとはいかないのだと、心の中でつっこむ親友軍師。
まこと、愛とはままならないものである。
ちなみに、その後 復活したランスの性格が異様なほど紳士的になっていたのだが、これはまた別のお話。
終わり。
某 スレに投稿したものを改訂しました。
「らんぷぷ」TADAさんの画力が向上している件。
377名無しさん@初回限定:2010/04/01(木) 11:36:16 ID:UN5CwCXpO
図書館とアトリエ何故消した

四コマ好きだったのに
378名無しさん@初回限定:2010/04/01(木) 12:09:53 ID:FcVOoO670
保存しとけって言われてたんだから保存しとけよ
379自作特攻隊WILLCOM ◆0CrenIPJUU :2010/04/01(木) 12:38:58 ID:EAxPAY8R0
※なぜ本家の図書館とアトリエが(一時?)無くなったのか・・・?

推測、

・URL書き換えにコストがかかる。
・本家以外でも公開できるようになったから。
380名無しさん@初回限定:2010/04/01(木) 13:39:35 ID:WRbh4IzOO
>>373-376


TADAの絵は初期のスタッフ日記見てると、あれはあれで才能だと思えてくるから困る
381【勇者と闘って引き分けた時のお話 前編 】:2010/04/02(金) 09:21:05 ID:ddfUTNIk0
「くそったれ‥いつも邪魔でうるさい癖に、こんな時に限って居やがらないのか あのバカ剣は」
樹木の枝葉を隠れ蓑に、手足の出血部位を手早く止める。
左利きであるランスは、左半身にダメージを受ける機会が多い。
特に、上半身へ至っては急所である心臓部分を庇うために、左上腕三頭筋(いわゆる力瘤の後ろ側)周辺部の裂傷が目立つ。
「いちち、くそー。あの野郎、妙な技使ってきやがって‥」
半壊した肩部のアーマーを取り外し、背もたれている大木の根本へ置く。
これまで(ランス5D終了時点で)二体の魔人を滅ぼして一体を追い払い、なおかつ元・魔王にすら勝利したランス。
そんな彼を追いつめる者の名は アリオス・テオマン、現役の勇者である。
彼の必殺技である“一式ハヤブサ”。
赤の将軍リックが使う、バイ・ラ・ウェイを彷彿とさせる流れるような連続技のそれは、手持ちのロングソードではどうにも捌ききれなかった。
さらに、アリオスが現在装備している剣。
名前をエスクード・ソードと言い、伝説とともに語り継がれる勇者の剣である。
強度一つとっても安さがウリの汎用武器には、逆立ちしたって負けるはずがない。
戦闘開始からたった数分の打ち合いで、すでに刀身部にヒビが入っている現状からして、その差を証明している。
『ランス様、近ごろ物騒ですし、何があるかわかりません。外出する際はこれを―』
「―んで、救急セットか。帰ったらシィルに一発“ごほうび”くれてやるか、な」
彼自身 気づかない内に口元を綻(ほころ)ばせつつ、応急処置を続けるのだった。
LP0003年X月。
その日、ランスはキースギルドの依頼を片づけに、アイスの南東にある都市 ラジールまで来ていた。
わざわざ別の街のギルドへ冒険者を募るくらいだからそれなりに覚悟して行けば、その依頼自体は彼にしてみるとあくびが出るほど 簡単な内容だった。
実際 朝から眠くて仕方がないので、依頼の現場でもあるラジールの東にある森を適当にぶらつき、良い場所を見つけたら少し寝ようとしていたその矢先。
カスタムに住む恋人 リリナと会った帰り道を歩く、勇者アリオスと遭遇するに至る。
「あの すみません、道をお尋ねしたいのですが‥」
「ぁあ゛ん?」
間(ま)が悪かったのだろう。
陽当たり良好で邪魔な草むらもない場所を見つけ、寝入る瞬間の出来事だった。
心地好い時間をヘタレた男(ランス主観)に妨害されて頗(すこぶ)る機嫌が悪いランスは、そいつを適当に斬って追っ払おうと判断。
「いきなりランスアターーック!」
「んなっ?!」
驚いたアリオスは咄嗟に後ろへ跳ぶが、放出された気によって巻き起こされた土砂は防げず、まともに頭からかぶってしまう。
「がははは、俺様の睡眠を邪魔した罰だ。いーい気味〜」
「くっ、道を訊こうとしただけなのに攻撃してくるなんて‥あなたは僕の行く手を遮る敵になるというのですね!」
こうして もしも出会い方が違ったなら、それなりに仲が良くなっていたかもしれない二人の闘いが始まった。
「ちっ。適当な戦士の一人でも通ってくれりゃあ、剣が調達できるんだが」
ラジールの東にある森、そこはワープゾーンが多いことで地元では有名な場所。
噂でユニコーンが出没するとのことから、日ごろ金銭欲の強い冒険者達が少なくない数で出入りしているのだが。
「そう都合良くはいかねーか」
現実は非常である。
体感で数十分は経っただろうか、彼の右耳が遠くの方でガシャガシャと鞘鳴りの音がするのを捉えた。
身体を深く沈め、匍匐(ほふく)の体勢にする。その際 斬られた両足の皮膚や筋肉が疼くが、奥歯を食いしばり耐える。
骨や腱などの重大なところまでやられなかったことは、(認めたくはないが)不幸中の幸いだろう。
足音が近くなる。相手の息づかいが感じられる距離、――ヤツだ。
がしゃ がしゃ がしゃ
近づけ、もっとだ。もっと来い。このバカになった剣で仕留められる距離までは、まだまだ遠すぎる。
ざむ ざむ ざむ
剣が硬かろうが、振らせなければ良い。技が速かろうが、ださせなければ良い。
「ニンゲン」
クソ野郎の頭の影が近づいて来た。寝転んだハニー四体分の距離。まだだ、まだ我慢しろ。
「ねぇニンゲンってばっ」
ちっ、何だうるせぇな。いま良いところなんだあっち行け、しっしっ。
「むー。ここはアタシたちハチ女の“なわばり”なんだからっ。ニンゲンは きちゃダメなんだからー」
とうっ 〈ぺちん〉
「あうっ‥い、ったーいっ。もーおこった!みんなー、ここにわるいニンゲンがいるよー!」
384【勇者と闘って引き分けた時のお話 後編 】:2010/04/02(金) 09:32:42 ID:ddfUTNIk0
「確か、こっちへ逃げたと思ったんだけど…」
そう呟くと目を上下左右に動かし、辺りを注意深く見やる。
気配はある。だが、この森に住む動物やモンスター達のそれに紛れて、今一つ確証がもてない。
「あれだけの剛剣をつかいながら、陰行の術まで身につけているとは…侮れないな」
油断をしないようにと、身を引き締めたその時。勇者の強化された聴覚が、独特の羽音を拾う。
そして、前を見れば成人男性ぐらいの大きさのものが、大量の土煙を後ろに巻き上げ こちらに爆走して来ている。
「‥けー!‥どけー!!」
彼が走るそのすぐ後ろ。今まで土煙だと思っていたそれが、とてつもない量のハチ女の集団だと気づいた時。
勇者 アリオス・テオマンの意識は途切れた――。
――う、う‥ん?
はっ?!よ、よかった。蜂いない、ハチ女もいない!
ふぅ‥まったく、ヒヤヒヤしたなぁ。ハンカチハンカチって、…無い。
ハンカチどころかお金も、食料も、僕の大事な恋人達の写真が入ったアドレス帳まで!まさか、彼が…?
アリオスはある一つの可能性を思い浮かべると、そのまま言い知れぬ強い敗北感に襲われたのであった。
あの後、命からがらハチ女の大集団から逃げ切ったランス。
しかし 彼がアイスの家に辿り着いた時には止血した傷は開き、なおかつハチ女達の攻撃により大重体となっていた。
大泣きするシィルのヒーリングによって一命を取りとめたものの、医者には絶対安静を言い渡されたランス。
彼は、ベッドの中でとあるアドレス帳と三枚の写真を見ながら、誓う。
「治ったら、絶対にこの女どもを俺様のモノにしてやる…絶対にだっ ‥いてて」
リーザス、カスタム、ゼスの三ヶ国を跨いだエロく 壮大な復讐劇が今、幕を開ける―。
終わり。
参考にさせていただきました:鬼畜王ランス(ゲーム、攻略&設定本)、ひつじ小屋別館様
385名無しさん@初回限定:2010/04/02(金) 10:32:17 ID:ryQ5o9nQO
おお、今日も乙
毎日楽しみにしてます
386名無しさん@初回限定:2010/04/02(金) 13:53:19 ID:EUJKs7cR0
図書館消されたし表示範囲狭いしでリニューアルは散々だな
387名無しさん@初回限定:2010/04/02(金) 15:36:01 ID:OGw+fsKz0
>>381-384
乙乙
なかなか面白かった

>>386
しかもなんつーか、色気が足りない
これじゃあ購買意欲が湧かないと思う
どっかに委託して作ってもらった方がいい
388携帯からですが【 】の者です:2010/04/03(土) 10:38:14 ID:YHQJt3/IO
>>385,387
レスありがとうございます。
残念なことにPCが規制されたため、しばらく長文&連レス投稿をお休みいたします。
携帯から短いネタを投稿するかもしれませんが。

ホームページは大帝国の制作が終わったら、桜秀蘭氏らの手によりとてつもなくパワーアップすると、信じています。
389名無しさん@初回限定:2010/04/03(土) 11:41:41 ID:4nsrfg5O0
PC規制大変だな
390【Bar_Aliceへようこそ! 前編 】:2010/04/04(日) 02:39:13 ID:R0yXbK5uO
無限にある平行世界の中の一つ。
JAPAN国 TOKYO都に社を構えるアリスソフト TOKYO支社。
その近くにある飲み屋街の一角で、一際盛況なBarがある。名前を“Bar_Alice”。
自らを コーモリ と名乗るぴちぴちの強悪魔がマスターを務めるこの店は、いわゆるオカマの方々が相手をしてくれる一風変わった飲み屋である。
世間ではまだまだ敬遠されがちなジャンルであるが、出される酒・料理はもちろん 店の雰囲気や接客など。
一度入ればそこらの店では満足できないほどの質の良さに、リピーターはもちろん。新規の客数も着々と増やしている、いろいろな意味でバケモノのようなBarだ。
「ふむふむ、ふーん」
「コーモリちゃん、おはよ。楽しそうに新聞読んでるけど、何か良い記事でも見つけたの?」
とある休日、マスターとは古い付き合いになるゴニンジャイの忍 六十八号が、朝食を作りにキッチンへと向かう途中で声をかける。
「おはよ、レッドちゃん。いえね、ここの記事にある“今日は何の日?”てやつなんだけど」
「どれどれ。……んまっ、ステキ!すると今日はワタシ達の記念日になるってわけね」
「そうなのよっ。近年のアリスソフトを代表するオカマキャラとして、今日という日を心からお祝いしたいところよネ」
二人が言う記念日とは、本日(4月4日)は“オカマの日”であると伝える、新聞記事をよんでの言だ。
記事によると、O-SAKA府ミナミのニューハーフパブ「ベティのマヨネーズ」が、1985年4月4日にオープン。
これがちょうど女の子の節句の3月3日と、男の子の節句の5月5日の中間で「オカマの日」にいいのではと判断。
それから、同店で毎年イベントを開いていた習慣が広まったものらしい。
391【Bar_Aliceへようこそ! 中の上編 】:2010/04/04(日) 02:41:20 ID:R0yXbK5uO
忍六十八号(以下:レッドと略称)の用意したティーカップを掲げ、感謝の言葉を口にするコーモリ。
休日の朝らしい穏やかな空気が流れるその空間へ、おずおずと声をかける者がいた。
「あの〜‥お話し中のところ申し訳ないのですが…」
なんだかわからないけど良い話をしていたっぽい二人の邪魔をするのが、心底偲(しの)びないといった風で声をかける美青年。
「あら いけない、ごめんなさいネ。気がついたようで何よりだわ、えっと?」
「カーチス・アベレンです。その、昨夜はご迷惑をかけてしまい―」
「あぁ 気にしなくても良いのヨ。酔って騒ぐオトコのコなんて、そうそう珍しくないからネ」
と、ウインクを一つ。タイミングを見計らっていたレッドが、カーチスにハーブティーを届ける。
「はい、ボウヤ。酔い醒ましに効くわよー。熱いからふうふうして飲んでね?」
「あ ありがとうございます‥」
忍者の服と異様にマッチした、特撮戦隊ものっぽい仮面を被る姿に萎縮しつつも、お礼を忘れない好青年。
頃合いや良しと観たか、コーモリが本題を切り出す。
「それでカーチスちゃん。アナタ昨夜言ってたことが本当なら、行くところが無いみたいだけど。本当なの?」
「あぅ‥本当です」
言って、ますます小さくなるカーチス。
そんな彼を安心させようと、なるべく柔らかい声色を心がけてコーモリが尋ねる。
「ね、アナタみたいなコがお酒で乱れちゃうくらいだから、きっと訳アリなんだと思うんだけど」
「よかったらアタシ達に話してみない?力になるし、それに今よりスッキリするかもしれないしネ」
微笑む彼の右隣で、レッドもうなずく。
392【Bar_Aliceへようこそ! 中の下編 】:2010/04/04(日) 02:43:17 ID:R0yXbK5uO
二人の人柄にほだされたのか、それともやはり自分でも誰かに相談したかったのか。
数瞬の間はあったものの、カーチスは昨夜の所業の理由を話し始めた。
「―すると、そのパパイヤっていうアナタが惚れていた女の子が、スッゴいHで」
「告白しようとして彼女の研究室に行ってみれば、ちょうどその最中で」
「しかも全員イケメン、イケショタの超ハーレム状態だったと」
話し終えて、自分の現状を再確認したこともあってか、涙目で首肯するカーチス。
「着の身着のままで魔法研究所の寮を飛び出したものの、行くところは無く‥」
「しかも彼女がスケベな理由が、その手に持つ魔道書によるものだと解ってるからこそ、質(たち)が悪いのネ」
鼻をすすりながらもう一つうなずくと、話を続ける。
「アレをどうにかするための研究をしていたんです、でも行き詰まっちゃってて‥」
「告白なんて、本当は魔道書の呪いを解いた時にするつもりだったんです」
「でも‥一言で良いから、彼女の声が、き 聞きたく なっちゃって‥ぐすん」
魔法や呪いが当たり前にあるこの世界では、このような魔道具(もしくは呪術具)により被害を受ける者も少なくない。
彼の年齢。そして今まで接した中で感じた、カーチス・アベレンというその人柄を鑑がみるに、今回の出来事は些か荷が勝ち過ぎてしまったようだ。
気づかれない程度の小さなため息を吐くと、コーモリはレッドとなにやら二言三言交わして、カーチスの隣に座る。
「魔道書“ノミコン”って言ったわネ?」
「は、はいっ」
「禁断の魔道書、なんてニンゲンの間じゃ有名みたいだけど…アタシなら何とかできると思うワ」
393【Bar_Aliceへようこそ! 後編 】:2010/04/04(日) 03:01:33 ID:R0yXbK5uO
「本当ですか?!」
思いもよらぬ発言に、興奮してソファから立ち上がり 詰め寄るカーチス。
「落ち着きなさいナ、カーチスちゃん。ただし、条件があるワ」
「何でしょうか、僕にできることならなんでもしますっ。だから!」
右手の人差し指で彼の唇をそっと抑えると、真剣な声で続ける。
「まず 研究所の寮へ連絡を入れて、無断外泊の罰を受けること。「あう…」」
「次に 研究所へ一・二ヶ月程度の休暇を申請してちょうだい」
「そして最後に、アタシが呪いを解く研究をしている間、研究だけでなく“アタシのお店”も手伝うこと。以上ヨ」
長台詞に一息吐くと、冷めた紅茶で喉を潤すコーモリ。
「わかりました、すぐにやります!…コーモリさん、お店ってまさか」
「そ。今日からアナタも“Bar_Alice”のメンバーよン、よろしくネ」
固まるカーチスを他所に、レッドが荷物を抱えて戻ってくる。
「ふー重かった。コーモリちゃん いろいろ持ってきたわよ、彼に似合いそうな綺麗なお・べ・べ」
「あらステキ!それじゃさっそく試着してみようかしら。さっ カーチスちゃん、こっちいらっしゃいナ」
トリコロールが映(は)えるシルク地のドレスと、レースをふんだんにつかった純白の下着を着せられる中で、カーチスはふと考える。
“もっと良い方法はなかったのか”と。
しかし、実際問題 己の力だけでは解決できないことが多すぎるのもあり、いま逃れてもどうにもならないのではないか。
そう結論づけると彼は、我が身に起こる悲惨な状況に涙し、やがて考えるのを やめた。
終わり。
“アリスソフト”のSSということで一つ、お許しいただけると幸いです。
ちなみに“オカマの日”は本当にあります。成り立ちは文中の通りです。Googleに感謝。
394【オールドゼスより愛をこめて 前編 】:2010/04/05(月) 12:22:01 ID:qdG/QNSFO
「むぅ…暇だ」
 昨日の夜から降り続ける雨のせいで、どうにも外に出る気力が湧かないランス。
 起床してずっと家の中にいるため、暇をもてあましてはいるのだが。
 そんな退屈のデフレ・スパイラルに陥った彼は、何とは無しにキッチンで てきぱきと家事をこなす良き奴隷、シィルを見やる。
 彼女がぱたぱたと台所を動く度に、特徴的なピンクのもこもこが ふわふわと揺れる。
〈ぱたぱた ふわふわ〉
〈じゃー かちゃかちゃ ふわふわふわ〉
〈きゅっきゅっきゅっ ふわふわりん ふわりん〉
「シィーーール!」
 一度気になりだすともう止まらない、ついに堪りかねて彼女を呼びつけた。
 何かあったんですかっと 慌てて駆けてくる姿に気を良くしながら、もこもこに手を突っ込み存分に堪能する。
「あー…気持ちエエ…」
 その魔性の手触りに魅入られている主人を見て、シィルは家事の残りを数えると、少し休憩することにした。
「………はー、えがったぁ…」
 あれから数十分は経っただろうか。
 そろそろ首が疲れてきたなーなどと ぼんやり考えていたところで、漸くランスは帰って来た。
「しかしあれだな、このもこもこは遺伝か?それともオリジナルなのか?」
 これまでの経験から予想して、彼のためにピンクウニューンを作りに立ち上がろうとすると、不意に妙なことを訊いてくる。
395【オールドゼスより愛をこめて 中編 】:2010/04/05(月) 12:24:00 ID:qdG/QNSFO
「えっと 私の父も同じ髪型なので、遺伝になるかと」
「ふーん」
 自分から訊いたわりに、軽く聞き流すような相づちをうつランス。
 とは言えよく有ることなのであまり気にせず、再度 飲み物を用意しに行こうとした時。
 そういえば、自分の家族は今 どうしているのかと考え、動きが止まる。
 もう一度だけ もこもこに手を突っ込もうか迷うランスが、うつ向いたままの彼女に気づいて声をかける。
「おい、どうした。何をいきなり暗くなってやがる」
 我に返ったシィルが首を振り振り否定し、その場から逃げようとする寸前 がっしと捕まえ、彼女の餅のように伸びる頬をぐにゅぐにゅする。
「ほ〜れほれ、ご主人様に隠し事をしようとした罰だ。むにょーん、おぉ これは面白い」
「ひゃうぅ、ひぃまふ。ひぃまふから、ひゃなひへふらはい〜」
 もこもこに続き、“もちもち”まで堪能してご満悦のランス。
 対するシィルは、じんじんと指の跡が残る頬を涙目で抑えつつ、先ほど感じた自分の家族への思いを多少言い辛そうではあったが、正直に打ち明ける。
「ふーん。‥そういやお前の家族ってどこ住んでるんだ?」
「オールドゼスの方です。でもマジノライン崩壊の騒ぎで、もしかしたら別のところにいるかもしれません」
「わからないのか?」
「はい…」
 それを訊いたランスは、しばらく何かを考えるように頭を掻いて小さく舌打ちすると、外へ出かけて行った。
 自分のうじうじした姿を見て、機嫌を損ねてしまったのだろうか。‥このままじゃダメ、元気ださなきゃっ!
 シィルは両頬をぱちんと叩き、気合いを入れる。
 そして中断していた家事の続きへ戻ると、想い人が帰宅した際 機嫌を直してもらえるように、好物のへんでろぱを準備し始めるのであった。
396【オールドゼスより愛をこめて 後編 】:2010/04/05(月) 12:28:05 ID:qdG/QNSFO
 月日が流れて、そのような会話を交わしたこともすっかり忘れていた頃。
 シィルは、家のポストにずいぶんと厚い封筒が投函されているのを発見した。
 消印はゼス国。差出人名を見ると、ウルザ・プラナアイスとある。
 過去 幾度も共に戦った良き友人の名前を見つけ、胸を暖かくするシィル。
 毎朝の日課である玄関先の掃き掃除もそこそこに、寝ぼけ眼で朝食を摂る主人の元へ駆ける。
「おっ、やっと来たか」
 気のきいた奴隷が慎重に封を開けたそれを、真剣な表情で目を通す。
 なぜかガンジー王の名前がアイスフレームリーダーとして記名され、判子も捺された手紙を一枚読み終えると、まだ中身が詰まった封筒と一緒にシィルへ渡す。
 お前宛ての物だと渡されたそれを、疑問府を浮かべつつ受け取り 読み始める。
 そこには、ウルザの几帳面さが窺(うかが)える整った字で、依頼されていたシィルの家族を探しあて無事を確認できたことと、現在の彼らの住所。
 そして、彼女の両親直筆の娘へ宛てた便箋が封筒いっぱいに同封されていた。
 涙でくしゃくしゃの顔でランスを見る。間もなく、背中を向けたまま まるで独り言のように呟き始めた。
「俺様はこれから、ウルザちゃんに会いにゼスへ行く。‥お前はどうする?」
 胸がいっぱいで言葉がでない。とにかく伝わるようにと、彼の背中を強く抱きしめる。
 やがて、暖かくごつごつした手のひらが自分のもこもこを撫でるのを感じて、シィルは安心した。
終わり。
PC規制のため、前回のコーモリ姐さんの話に続いて、携帯から投稿いたします。
失礼いたしました。
397名無しさん@初回限定:2010/04/05(月) 13:18:29 ID:djcA25K50
戦国漫画は休載するのかよ
398【春の交通安全週間を実施するお話 前編 】:2010/04/06(火) 18:11:55 ID:dsp1DZp/O
 正午。
 自由都市地帯 カスタム都市庁舎 都市長室。
 午前の業務もつつがなく終わり、この部屋の主である現・都市長 エレノア・ランは、もうそろそろ来るであろう友人達のために昼食の準備を行なっていた。
 本日のメニューは、こかとりすのもも肉のディアボラ風と春野菜のスパイシーサラダ。
 デザートの るとのらのアイスは、三人が来る途中で買ってきてくれるそうだ。
「…うん、良い感じ」
 ディアボラ風の解釈は、ペッパーを使うかマスタードを使うか様々だが、マスタードの苦手なマリアのために今回はレッドペッパーを用いて、(視覚的にも)“悪魔”な辛さを演出してみる。
 とは言え、臭いが特別気になるような調味料は控えめにしているので、社会人としても女の子としても安心して楽しめる。
 美味しいものが食べたい、食べたあとにも仕事がある。この二つをこなさなくてはならないのが、働く女性の辛いところだ。
〈こん こん〉
「おっす お疲れさん。おっ、いーい匂いだねぇ」
「あー、目が醒めるわー‥」
「もう。志津香ったらあんまり徹夜ばかりしてると、すぐお肌ボロボロになっちゃうよ」
「マリア、その言葉そのまんまあんたにも返すわ‥」
 面子が揃い、部屋の中が途端に賑やかになる。
 ちなみに、あまりにも自然に台所へ立っているが、もちろん最初からこの部屋にキッチンがあった訳ではない。
 初めは皆で、あらかじめ作ってきたお弁当を持ち寄っていたのだが。
 ミリが鳴き、マリアが造ったシステムキッチン。“チューリップ1010(トートー)号”のおかげで、現地で作って食べるようになった。
 当番制のはずが、近ごろはエレノアとマリアの二人体制になってしまっているのは、もはや当人達ですら気にしていない。
 そんなこんなで本日の昼食会も、ミルが店番のためいつもの四人。
「それにしても 交通安全週間なんて、また面倒くさいこと考えるもんだな、議会の連中も」
 店番だけでなく、趣味というより副業と化している小説書きが忙しい妹の分のアイスを、キッチン左隣にある冷凍庫へしまいながらミリが切り出す。
「あっ、違うの。今回は私から提案させてもらったのよ」
「へー、特別 大きい事故が起きたわけでもないのにどうしてまた?」
志津香が るとのらをスプーンでいじくりつつ尋ねた。
「うん、今はまだ大丈夫なんだけど…」
「ここのところ 街が良くなっていくのに比例して、うし車とか乗り物に乗って来る人達が増えてきているの」
「あぁ、そういや商人だの観光客だの、出入りする連中が増えたなぁ」
「材料の仕入れでいつもお願いする業者さんも言ってたわね、最近大通りがたまに渋滞するようになったとか」
 マリアの言葉に首肯するミリとエレノア。
「俺のとこに来るハピネス製薬の営業マンも、たまにぐだぐだ言ってるな それ」
「そうなの。だから、交通整備の方も平行してやっているけど、その間に市民の方達に安全について意識してもらおうと思って」
「うんうん、ランってばすごい!もうすっかり都市長の顔してるよねっ」
「そっそんな‥私なんてまだまだよ、マリアちゃん」
 そう言うと赤くなった頬を冷まそうと、ぱたぱた右手を団扇にするエレノア。
「良いねぇ‥そのキリッとした都市長の仮面を剥がして、“女”の顔が見たくなるぜ」
「どうだい 今夜あたりこの部屋で、お互いスーツを着て‥」
「ッ?! もうっ、ミリったらランス君みたいなこと言わないでよ!」
 悪い悪いと手を合わせて謝る彼女に、怒るのを止めてため息を吐くエレノア。
 茶葉を換えようと席を立ち、エロい親友の怪しい左手を避けてキッチンへと向かうのだった―。

「だ、だめです〜ランス様ー!ラジールへのびるカスタムメインストリート、封鎖できませぇええんっ」
「ちぃッ、かなみ!南側はどうなってる」
「こっちも同じよ!この街は成長し続けているのよ、地図に載って無い道がいくつも有って、もう最悪よ!」
「ヒステリーおこす暇があったら、走れバカモンが!」
 ランスは、魔法マイクの回線を全チャンネルオープンにすると、あらためて全捜査員へ激をとばす。
「いいか、キサマら。すでに犯人は“現役の都市長”を一人殺している。一つの街のトップをだぞ!」
「キサマら所轄のヒラどもが、交通整備以外で役に立てる時がきたんだ。しっかりやらんか、アホどもが!」
401【春の交通安全週間を実施するお話 後編】:2010/04/06(火) 18:37:33 ID:dsp1DZp/O
「そんな、ランス様…」
 魔法マイクのスイッチを切ろうとした、ランスの後ろから声がかかる。
「ランス殿、ペガサスが‥ペガサスが刺されたのです。ペガサスが…」
 バレスが幽鬼のごとき表情で、一歩また一歩とランスの元へ近づいて行く。
「爺一人倒れたぐらいがなんだと言うのだ、現場に戻れ。捜査を立て直す。聞こえているのか?バレス!」
 人の命を何だと思っているのか…唸り、跳びかからんとするバレスを、周囲の同僚達に取り抑えられる。
 慈悲は無いのか‥。この世に神はいないのかと、床に這いつくばる彼がむせび 嘆いたその時。
 魔池のスイッチが入ったままだった魔法マイクの隣 スピーカー部分から、優しくも芯の通った声が部屋中を駆け巡る。
「人が刺されたんですよ、同僚が。血の通った仲間が…」
「答えてくださいっ、ランス様!私達は、誰のために、何のために現場でっ。身体を張っているんですか?」
「事件は、会議室で起きてるんじゃありません‥」
―事件は現場で起きているんです!!

「どうしたの?これ…」
 まさかの死体役での出演決定に、複雑な表情で目の前で笑いを堪える己の親友に、一言問う。
「あぁ、ミルの奴がさ。今度また本を出す予定なんだけど、感想き 聞かせてくれって‥ぶふっ」
 マリアは自分の名前が見当たらないことに涙し、志津香は「その後シィルちゃんがあのバカをぼこぼこにする展開を熱望」‥感想ではなく、要望を書いていた。
「とりあえず。ミルちゃんとは一度、腹を割って話し合いたいわ。えぇ、腹を割って ね」
 その後“みるく・よーぐると先生”の次回作が、とあるデカ口のイケメン冒険者と、彼が冒険先で知り合った街の都市長とのラブストーリーであると発表される。
 それがエレノアによる直談判の成果なのかは、果たして不明だ。
 余談ながら、“交通安全週間”の方もまずまずの効果を見せたそうな。
終わり。
>>397 私としてはせめて貞本漫画版エヴァのように、忘れたころにでもまた再開してほしいところです。
402名無しさん@初回限定:2010/04/06(火) 22:24:07 ID:NI9pbX680
今日も乙です〜
仕事の昼休みで楽しみにしています
403【髪を切るお話 前編 】:2010/04/08(木) 11:32:56 ID:5i7yNyK0O
「よろしければ、髪の毛先だけでも整えましょうか?」
 ある日の夕食後、前髪を少しうるさそうにつまんでいたランスへ、声をかける。
「んーそうだなぁ‥まかせる」
 満腹になり眠くなってきたせいか、丸投げ気味の返事をする彼だが、これも長年連れ添った奴隷を信頼してるからこそである。多分。
「それじゃすぐに準備いたしますね」
 居間の床にビニールシートを敷き、その上に散髪にちょうど良い高さになる、馴染みの椅子をセット。
 その間、半ば以上夢の住人と化していた主人の肩を、優しく左右45度程度の振り幅で揺する。
 寝起きがあまり良くない彼に、気持ち良く起きてもらうためのちょっとしたコツが、この左右に揺する際の角度にあるのだ。
「ランス様ー。(小声)準備ができましたので、起きてくださーい(赤ん坊に歌う子守歌ぐらいの音量で)」
「むぅ‥前が見えん」
 眼を閉じているのだから当たり前である。
「ランス様、こちらですよ」
 シィルに両手を引かれ、ぼーっとしながら歩いていく。
 そのまま椅子に座ってもらい、首の周りに使い古しのシーツをかける。
 ハサミと長めで歯の細かく並ぶ櫛、霧吹きなどの道具も準備万端だ。
 あとは目の前で、ヘッドバンキングのように縦横無尽に動く、彼の頭をどのように固定するかが問題である。
 そこでシィルは、同居人であり友人でもあるフロストバイン謹製 超人工生命体、あてな二号に協力を要請することにした。
「あてなちゃん、ちょっと手伝ってほしいんだけど‥」
「シィルちゃん」
 いつになく真面目な表情で、あてなが答える。
404【髪を切るお話 後編 】:2010/04/08(木) 11:40:26 ID:5i7yNyK0O
「あてなは今、めーそー中なのれす。残念だけど、シィルちゃんのお手伝いは‥〈あふぅ〉できないれす」
 あくびをしながらする瞑想など修行になるわけもなく、意訳すると今 眠いから邪魔すんなということになる。儚い友情だ。
 シィルが途方にくれたその時、彼女にとってはまさしく救いの声がかかる。
「あてなーぁ…」
 ランスの寝言。本来であればただの寝言なのだが、こと あてな二号にはそれで充分だった。
「なにしてるんれすシィルちゃん、ご主人様のために早くやるれすよ」
(あれで良いんだー?!)
 どこか腑に落ちない感情をもて余しつつ、作業を始める。大丈夫、いつものことだし。
 やはり相変わらずランスは起きないものの、あてなが頭を押さえてくれているので順調に進む。
(前髪が終わったら、後ろも合わせて切ろうかなぁ)
 その時、不意にあてながいる方から「は、はっ、…」などと くしゃみを堪える声が耳に届く。
 慣れが油断を招いたのだろう。まずいと感じた時には遅かった。
「はっ、くちょんっ!」〈じょきん〉
「あっ」「あぅ…」
 青いビニールシートの上に落ちる、茶色の髪束。他に落ちているものより一際目立つ、大量の――束。
 シィルの脳内にどこからともなく、ギターの響きが素晴らしいアップテンポなBGM、俗に言う“東ドイツ国歌”が聞こえてくる。
 あまりにもお約束の未来予想図が、走馬灯のように駆け巡る中でシィルは…。
(明日の早朝にでも電話してマリアさんに相談してみよう)
 …対処療法を模索していた。決して逃げようとはしない、まこと奴隷の鑑(かがみ)である。
 もっとも、単に逃げても無駄だと悟っているのかもしれないが。
「そろ〜っと…「あてなちゃん?」ぎくっ」
 頑張れ二人とも。あんまり耳元で騒ぐからランスがもうすぐ起きるけど、とにかく頑張れ!
終わり。
>>402 レスありがとうございます。その一言が書き手として、とても嬉しく思います。
405自作特攻隊WILLCOM ◆0CrenIPJUU :2010/04/08(木) 12:24:03 ID:0bvFctJf0
今日も楽しく、↑じろじろ・・・♪
406【原領立て直しAチームですわ! 前の上編 】:2010/04/09(金) 11:10:43 ID:Ftf23o6i0
―願わくば我に七難八苦を与えたまえ 山中鹿之助―

 ランスが織田家を去ってから、およそ半年が経ったある日。
 山中子鹿は元・原家、現・織田領内原国の代表 阿樹姫のお目付け役として、原城内にて政務を行なっていた。
 JAPAN全土を巻き込んだ魔人の一件が落着した後、国土が疲弊した元・足利と原の両家は、織田の援助の元にそれぞれ足利家を山本五十六。
 原家を阿樹姫と子鹿の二人を中心に、復興させていくことになった。
 もっとも原の側は当初、その生き残りである阿樹姫が「わたくしにお任せを!」と、以前の彼女からは考えられないような真摯な態度で立候補していたのだが。
 とんでもない浪費癖により傾国させた前科は重く、彼女のお目付け役が必要だと3G他、織田家の重鎮達は考える。
 そこで外様の身分であるものの、先の合戦において“全体防御式神”を用い、現・JAPAN国代表である香姫を一心不乱に護り抜いた功績から、山中子鹿に白羽の矢がたったのだった。
 なお、ランスが「面倒だからくじ引きで適当に決めておけ」と言っていたのを、香姫の口添えを受けた3Gが、爺バカぶりを発揮したのもまた一因らしい。
 こうして子鹿と阿樹姫。また二人の交渉・建設など、内政面で足りぬ部分を補佐するもの数名で、“原領立て直しAチーム”が結成される。
(ちなみにこの場合のAチームのAは、もちろん阿樹姫の“A”だ。)
 現地での仕事は良く言えばやりがいのある、悪く言えばなかなか気の遠くなるような状況からのスタートだった。
 決して国力が豊かなわけではない原領において、阿樹姫の使い込みや織田の侵攻、さらには魔軍との戦にまで巻き込まれては堪(たま)らない。
407【原領立て直しAチームですわ! 前の下編 】:2010/04/09(金) 11:11:31 ID:Ftf23o6i0
 子鹿は原の領土の現状を調査すると同時に、救急救命医療のトリアージよろしく、放置しておくと危険な地域・事柄を優先順位をつけて選り分ける。
 加えて、それぞれの分野に少しでも長けた者がいれば遠慮なく使い、必要があれば現地に赴くこともいとわなかった。
 いま彼女は、元・尼子家の領主として培ってきたもの全てをもって、この復興を成功させようとしていた。
 が、ここで問題が一つ。彼女はまるで何かに取り憑かれたかのように、己の身体を気遣うことなく働き続けたのだ。
 そのあまりのワーカホリックに、適度に休みをとるよう勧める者もいたのだが。
 子鹿は、折を見て休ませていただきますと言いつつ、今まで半年近く働きつめていた。
 彼女がここまで必死になってしまうのも、近しい者ならおおよその理由が察せられるだけに、かえって何も言えなくなってしまうのだった。
 一方、阿樹姫もそんな子鹿を心配しながらも、自らがやるべき事を懸命に探し、動いていた。
 領内に戻ってからまず先に、かつての家来や城下の住民達の前で深く謝罪した。
 ただ謝るだけなら誰でもできる。彼女もそれで終わるつもりはなく、私財のほとんどを売り払い国の援助の足しにした。
 次に城下を回り、各地域で今 何が求められているのか。衣食住か、はたまた医職充であるかなど。
 自分の目で見て耳で聴き、人々の話をなるべく取り入れんとした。
 それでもかつて、国を傾け貧しくしたきっかけである彼女に対する隔意は減らない。
 当然であると阿樹も思う。何年もかかって悪くなった身体が、急に良くなる訳がない。それと一緒だ。
 だが、認めてくれる者もでてきた。共にこちらへ来たチームの中でさえも、初めは彼女のやる気を疑う者がいた。
 しかし、嫌っていたはずの地味で動きやすい服を身に纏い、一週間に一・二足のペースで草鞋を履き潰す彼女を見て、次第に城内 城下を問わずある噂が流れるようになる。
―曰く、阿樹姫様は変わった。ずいぶんとお優しくなられた。
―また曰く。まるで、何か“憑き物”が落ちたかのようだ などなど。
408【原領立て直しAチームですわ! 中の上編 】:2010/04/09(金) 11:12:20 ID:Ftf23o6i0
―真っ暗闇。
 あれから頻繁に見る夢。七難八苦の道中に自分を庇って、部下を次々と死なせてしまった時の夢。その続きを見ているのかと思ったが、違うようだ。
 上半身をゆっくりと起こす。自分は布団に寝かされていたらしい。さっきまで頭にのっていたと思(おぼ)しき、温くなったタオルが額から落ちてきた。
 周囲を見る。寝室の壁に寄りかかり、こっくり こっくり 舟を漕いでいるのはハチスカ棟梁と説得法師。
 そして、枕元には良き友人である阿樹姫がいた。こちらは布団というより、子鹿のお腹に突っ伏した状態で眠っていた。
 状況から察するに、働いている途中で倒れた自分を看病してくれていたのだろう。
 ありがたいと感謝するより先に、ついに周りへ迷惑をかけてしまった自分のふがいなさに、涙が出てくる。
「‥う、ふぇ…」
「こら、〈ぺちん〉「あうっ」何をいきなり泣いておりますの?根暗デコメガネ」
「今さら泣かなくても、迷惑どころか散々 心配かけているのですから」
「まずは一言、言わなきゃいけないことがあるでしょう?」
「ご、ごめんな‥「違います」…ありがとうございます、阿樹姫様」
「よろしい。それと、後ろで狸寝入りを続けている男どもにも 一応言っておきなさい」
 ちなみに、この部屋まで運んだのがハチスカ。薬や食料などを集めてきたのは説得法師だ。
 冷や汗を後頭部から一筋垂らしつつハチスカが呵々(かか)と笑い、説得法師が自慢の“交渉力”を無駄に発揮する。
409【原領立て直しAチームですわ! 中の下編 】:2010/04/09(金) 11:46:16 ID:Ftf23o6i0
「ツマリ 起キルタイミング 逃シタワケヨ「そうそう、不可抗力じゃ」」
〈パチン〉
 阿樹姫の扇子が閉じる音で、途端におとなしくなる二人。全く良く調教されている。
 三人の他愛のないやり取りに唖然としながらも、子鹿の表情に精気が戻ってくる。頃合いや良しと見た阿樹姫は、彼女なりに慎重に言葉を選び話を始める。
「わたくし達は、いいえ。わたくしは、あなたの気持ちに分かったふりをしていたようですわね」
「‥阿樹姫様、いきなり何を?」
「今まで、なぜあなたがこの国のために身体を壊してまで尽力してくれるのか、気になっておりましたの」
 扇子を懐にしまい、代わりに取り出した柔らかいハンカチで子鹿の寝汗と涙の跡を、そっと拭う。
「あなたの‥織田家に来るまでのお話を聞いて、こんな時代だから“仕方がない”って、思っていましたわ」
「それがどんなに、相手にとって残酷なことか深く考えずに‥」
「その涙の理由も、夜毎魘(うな)されている悪い夢も全て、今すぐ話せとは申しません」
 そう言って、たびたび子鹿が自分の部屋へ泊まりに来る夜を思い出し、奥歯を噛み締める。
 もっと以前に気づいてよかったはずなのだ、自分は。なのに―。
「ただ、もっと“わたくし達”を頼ってほしい。ハチスカも、「おう!」説得も、「オゥイエス!」他にもあなたの助けとなる方はたくさんおりますわ」
「そして、わたくしも。‥もう、間違えません」
410【原領立て直しAチームですわ! 後の上編 】:2010/04/09(金) 11:47:42 ID:Ftf23o6i0
 子鹿を抱きしめ、阿樹は思う。
 彼女と出会い、過ごすようになってからの自分と、原の家にいたころの自分。
 豪奢な着物に囲まれて、全国津々浦々の美食を満喫し、女中や召し使いに傅(かしず)かれることで、足利の家から追い出された我が身を慰めていたあの頃。
 それと比べて今は、なんと充実していることだろう。物で埋められぬ心の隙間を、この小さくて暖かい親友が満たしてくれているのだ。
 ランスのハーレムに連れてこられてからしばらくは、たまに彼から呼び出される時以外、日々を無為に過ごしていた。
 だがそんなある日、鈴女に取られたメガネを涙目で追いかける子鹿と遭遇する。
 何も知らない者からすれば、子供をイジめている光景に映るそれを見て、当時の傲慢が着物を着て歩いている自分にしては珍しく鈴女を叱りつけた。
 それがきっかけで子鹿と鈴女の三人と知り合い、やがて良き友人となるのだから、人生何が起こるか分からないものである。
 そして、阿樹姫に抱きしめられて、背中を優しく撫でられながら子鹿は考える。
 毛利の追っ手から半死半生で逃げる最中に祈ったあの願いは、果たして正しかったのだろうか。
 いや、あれがなければきっと自分は逃げる途中で心が折れ、どこぞで腹を斬っていたかもしれない。
 今の己があるのは、間違いなくあの願いと、最期まで自分を支え続けてくれた家臣達のおかげであろう。
 だから、そんな過去を忘れてしまいたいとは思わない。
 しかし、それに囚われすぎてもいけないのではないか。
411【原領立て直しAチームですわ! 後の下編 】:2010/04/09(金) 11:49:03 ID:Ftf23o6i0
 そう考えるに至り、どこか胸の支(つか)えがとれた気がして、子鹿は泣いていた。
 阿樹姫の、今は亡き母を想わせる暖かさに包まれて、とても久しぶりに大声をあげて泣くことができた。
 途中、親友の数少なくなってしまった部屋着に染みが付いてしまうと気づいて、抱きしめられている身体を離そうとしたのだが。
 彼女が構わぬと頭を撫でてくるので、それに甘えることにした。
 それから、一頻(ひとしき)り落ち着いたころに四人は遅めの夕食を摂った。
 これまで仕事漬けであった子鹿は、久しぶりに誰かと一緒にする食事に心が弾む。
 説得法師のインチキアメリカンジョークにハチスカが爆笑すると、阿樹姫が冷たい眼差しで容赦のないツッコミを入れる。
 そんな仲間というよりもっと近い、家族のようなやりとりを見て、子鹿は尼子の家で十勇士の皆と暮らしていたころを思い出すと、ちょっぴり切なくなって少しだけ涙目になった。

 阿樹姫の布団で一緒に眠ることになったその晩、子鹿は再び夢を見る。
 夢に出てきたかつての家臣達は、皆どこかほっとした顔をしていた。
 一人の家来が近づいきて、一言 彼女に告げる。それを聞いた子鹿は少し寂しそうな顔をした。
 しかしやがてそれを改めると、威厳あふれる声でもって彼らを送り出すのであった。
終わり。

※相変わらず独自の設定、改変があります。
これ以前に書いたSSもそうですが、このスレのテンプレにもあるように、決して“押しつける意図があって改変&捏造している訳ではない”ことを、ここであらためて明記させていただきます。
なので原作の彼らのファンの方々、及び捏造など苦手な方々におきましては、何卒 ご了承いただきたく存じます。
412名無しさん@初回限定:2010/04/09(金) 14:25:10 ID:T2uLu/YF0
てすと
413名無しさん@初回限定:2010/04/09(金) 17:00:32 ID:ZrAuI05S0
図書館が復活して、フレーム内にアイコンがひしめいていて狭っ!て思ったら夢だった
414名無しさん@初回限定:2010/04/09(金) 20:50:01 ID:AQKiZKnDO
最近ここで頑張ってる人読みやすくて面白いな
415名無しさん@初回限定:2010/04/10(土) 01:40:56 ID:B8OV3gWr0
mesh規制解除キター
コメントしたいのにできないもどかしさときたら…
これでようやく乙が言えるわ
このペースでこのクオリティ、マジで恐れ入るぜ
独自設定・解釈なんざ気にせずどんどんやってくれ
416【うし車の車窓から 前編 】:2010/04/10(土) 13:55:44 ID:Y/n58En+0
 ゼス国 弾創の塔とテープのおよそ中程にある、現・世直し人助け組織アイスフレームのアジトを出発し、北のイタリアへ向かう。
 以前 何かの折に立ち寄った時は、二級市民街の治安が悪く決して健康かつ文化的とは言えぬ惨状に、思わず眉をしかめてしまった。
 それが今では、マジノライン停止後の魔人侵攻の混乱を経て、あの閉塞的で重苦しかった空気は幾分 和(やわ)らいだ感がある。
(ん、何やら珍しい店があるな。店主が‥しゃもじ?)
「おーい、パットン。あそこの店で何か適当に食べ物買ってきてちょーだーい」
「はっ あそこの‥って、しゃも次郎さんとこの店か よっ。食べ物なんて、はっ はっ あったかね?」
 時速40〜50キロで進むうし車と平走しながら、あいつがぼやく。
 今日はイタリアのさらに北にある街 サバサバを通過して、アダムの砦まで行く予定だ。
 予定だったのだが、この街の住民から訊いた話によると、サバサバの街にはマルチナ・カレーという超一流シェフがいるらしい。
 彼女が営む店、サクラ&パスタは魔人侵攻の混乱の際に、その他の主要施設同様 暴徒達の襲撃をうける。
 しかし、通りすがりの緑のデカ口冒険者によって無事に助けられた後、またその街で営業を再開したという話だ。見上げた根性である。
 彼女のその気概に応え、なおかつ明日以降の旅を成功させるためにも、ここは是非とも行かねばなるまいサクラ&パスタ(語尾)。
「おーい、買ってきたぞー!」
 あいつめ、やっと戻ってきたかサクラ&パスタ(語尾)。
「遅い」
「そっ 思うなら、ちょっとはうしをっ 停めようとは思わねぇのかよっ」
「それじゃサバサバに着くのが遅くなってしまうじゃないのさ。あたし達はのんびり旅行を楽しんでるわけじゃない」
417【うし車の車窓から 後編 】:2010/04/10(土) 14:00:56 ID:Y/n58En+0
「一秒でも早く、サクラ&パスタで一流シェフの腕前を堪能するのが目的なんだってことを、努々(ゆめゆめ)忘れぬことのないように」
(一秒でも早くゼスとリーザスを抜けて、ヘルマンの仲間達と合流しなきゃいけないんだからね)
「おい、本音と建前が逆になっ―〈炎の矢〉どわっちちっ」
 豆を撒くように無造作に放たれる炎の矢が、パットンにタップダンスを踊らせる。
「それで、何か良いものあったかい?」
 聞かなかったことにしとけと いつものキシシ笑顔は鳴りを潜め、威圧感溢れる微笑みで話題を変える。
「お、おう。これだ、“いかなご弁当”」
 ランニングでかく汗とは違う冷たいそれを流しながら、心持ち誇らしげに弁当を渡す。
 隊長さんに渡しそびれた赤い引換券がまだ残っててなぁ‥と、楽しげな顔をして話を続けるパットンを他所に、ハンティは――固まっていた。
 彼女が直前まで想いを募らせていた、マルチナシェフの美食メニューとは間違いなく真逆をいくであろう それ。
 地元では有名なのであろう、“イタリア名物”と書かれたヨモギ色のカバーがポイントだ。
 今回パットンは余った赤い引換券を使って手に入れたが、普通に貨幣と交換して購入することもできる。
 なのでご覧の視聴者の皆様も、お立ち寄りの際には安心してお買い求めいただきたい。
「ちょ、おいっ せっかく買ってきたのにあげるってなんだよ!」
「こんなん渡されても、〈がつがつ〉走りながら食べたら、〈がつがつ〉腹が痛く‥うおっいてぇ!ほらやっぱり!」
 なお、地元の三代目が手間隙かけてこさえた いかなごの佃煮は、栄養豊富で消化も良く 大変味わい深い風味の一品であるが。
 走りながら食べられるようには作られていないので、番組をご覧の皆様は決して真似されないよう、ご注意いただきたい。
終わり。
4月10日は駅弁の日というわけで、某番組のパロを一つ。
レスを下さった皆様、暖かいメッセージありがとうございました。
418自作特攻隊WILLCOM ◆0CrenIPJUU :2010/04/10(土) 18:44:25 ID:wBXfUXzM0
じろじろ・・・♪ (水飴)ーーー
419名無しさん@初回限定:2010/04/12(月) 21:01:46 ID:bSnF6R4F0
楽しく読ませてもらってます
それにしても凄いペースだな
420【JAPAN一アイドル決定戦 前編 】:2010/04/13(火) 12:20:49 ID:sSDF6lwO0
 時は夕刻、織田城 大浴場にて。
「えっと、“JAPAN一アイドル決定戦”‥ですか?」
 右腕を洗っていた手を止め、シィルが聞き返す。
「そーそー。この前 小松がアイドルのお仕事いろいろ教えてあげたら、ランスさんたらいきなりぴきーん、閃いた!って」
「一番のアイドルを決めるイベントを開催すれば、可愛い女の子は集まるし―」
「なにより、優勝したアイドルちゃんを口説いちゃえば、もーうはうはだー!がはははは。って張り切ってたよー」
 ランスのそれに似せた声で、湯船の中からその時の出来事を伝える大道寺小松。
 ばっしゃばっしゃとオーバーな身振りも加わって、おかげでシィルの脳裏には当時の主人の言動が、ありありと目に浮かんだ。
 案外、小松には役者の素養もあるのかもしれない。
「ったく、裏番の仕事サボって何やってんだか‥あのバカは」
 志津香が自身の長い緑髪を、頭の上でまとめながらため息を吐く。
「あーでもほら、JAPANもほとんど統一しちゃったし」
「暇になったランスがおバカなこと言い出すのも、いつものことじゃない?」
「‥マリア。あんたそれ、フォローでもなんでもないから」
 あれ?と首を傾げる彼女を見て、呆れたように頭を押さえる志津香。それにかなみが苦笑いしつつ、小松に話を戻す。
「それじゃ大道寺さんは出場するの?そのアイドル一決定戦」
「んー‥“JAPAN一”っていうのが結果が見えてるようで、いまいちやる気がでないんだけどー…」
 そう言って己の周囲を見回して、うんうん唸ってみたかと思えば一転、何やら思いついた表情で一言。
「そうだっ。みんなも一緒に出てみよーよ、この大会!」
 とんでもないことを宣(のたま)う小松であった。
421【JAPAN一アイドル決定戦 中の上編 】:2010/04/13(火) 12:21:41 ID:sSDF6lwO0
 その後 大道寺小松プロデューサーの、「女の子として生まれたからには、アイドルやんなくちゃっ」の言に心揺さぶられたシィルとマリア。
 普通の女の子の生活に憧れていたこともあって、悩むかなみ。
 そして、初めこそ“めんどくさい”“修行があるから”でお誘いをかわしていた志津香も、マリア達を取り込んだ小松Рの手練手管の前に、二週間で陥落。
 こうして四人は小松の指導によって、彼女を超えるアイドルとなるため、レッスンに励むことになるのだった。

〈ダンスレッスン〉
 ソロではなく、ユニット“デスティニーガールズ(以下略称:デスガ)”として出場登録をした彼女達。
 当日 使用する曲を選ぶまでは順調だったのだが、ここで思わぬ難関が行く手を阻む。
「盆踊りならお祭りでやったことあるんだけど‥」
 タオルで汗を拭い、グチをこぼすのはかなみ。
「こ これからは、研究だけじゃなくて、と トレーニングも、しよ」
 体育座りで壁にもたれて、荒い息を整えるマリア。
 前作、ランス6ではマジノラインの険しい山肌を、チューリップ抱えて踏破した彼女であったが。
 リア・パラパラ・リーザス女王から依頼された、“チューリップ量産計画”の多忙さ故か、身体がなまってしまっているようだ。
「およそ五分程度とは言え、きっちり踊って周りにそろえて‥」
「加えて歌いながらとなると、なかなか堪(こた)えるわね」
 トレーニングウェアの上掛けを脱いで、緑のシャツ一枚になる志津香。
 そこへ、シィルが全員分のスポーツドリンクを持って戻ってきた。
422【JAPAN一アイドル決定戦 中の中編 】:2010/04/13(火) 12:22:33 ID:sSDF6lwO0
「わわっ マリアさん、大丈夫ですかっ」
「あ、ありがと‥シィルちゃんが元気で、よかっ‥た…」
「マリアさーーーんっ」
 日ごろ、ランスの荷物を背負って旅をする彼女の体力は、(合間の休憩を含めた)三時間に及ぶダンスレッスンもなんのその。
 休憩の度に率先して、他のメンバーにドリンクなど用意していた。
 ただし、体力があってもダンスの方は皆と同じく、なかなか上達しないのだからままならない。
 マリアとともに、ちょっとした小芝居で現実逃避してしまうのも、仕方のないことである。多分。

〈ボーカルレッスン〉
 大会まで残り二ヶ月。
 今まで散々 曲を聞いて踊り続けた彼女達を見て、小松Рは平行して続けていたボーカルレッスンにも力を入れ始めた。
 これまでは発声練習や音程の取り方、楽譜の読み方などの基礎訓練を行なっていたが、いよいよ本番で使う曲の練習にとりかかる。
 織田城 小松Рの部屋の隣、魔法マイクの吊るされたスタジオ&トレーニングルーム。
 彼女も普段から練習や音録りを行うこの場所で、レッスンを始める“デスガ”の面々。
 小松Рが鳴らすピアノの音に合わせて ドレミで歌い、まずは歌の曲調を知る。
 曲を把握できたところで歌詞をのせて歌い、それにも慣れたら歌詞を読み込み、曲の世界観をどのように表現するか、小松Рも交えて話し合った。
 そして、採用された意見を楽譜の内容とすり合わせ、あらためて歌いこむ。この段階まできてようやく、踊りながら歌う練習が始まった。
 スタジオの中では小松Рを始め、“デスガ”のメンバー達の誰もが真剣な目をして取り組んでいる。
 当初は全く取り合わなかったはずの、あの魔想志津香でさえも。
 いつもは戦いの世界に身を置く彼女らであるが、やはりそこは女の子。
 いつの時代も憧れの的であるアイドルの、しかもJAPANで一番になろうというのだ。熱が入らないはずがない。
423【JAPAN一アイドル決定戦 中の下編 】:2010/04/13(火) 12:38:39 ID:sSDF6lwO0
〈ビジュアルレッスン〉
 小松がアイドルとして雇っているメイクアップアーティストは、小松自身も大会に出場する以上“デスガ”に付けると問題が有ると判断。
 どうしようかと悩んでいると、ここで思わぬ助っ人が現れる。
 練習風景を面白そうに眺めていた鈴女が、里で暇していた忍のおネエこと忍 六十八号を連れてきてくれた。
 この赤い不審者 もとい忍 六十八号の腕により、シィル達四人はまるで蛹(さなぎ)から蝶へ変わるがごとく、輝いて見せた。
 もこもこ、メガネ、みどり、そしてかえるぱんつ。
 各々の素材を活かし、かつユニットとしての統一性も持たせたそれは、良い意味での存在感を観る側に伝えてくる。
「ふふっ、これは小松も本気ださないといけないかなー」
 ここにきて、やっと己の良きライバルになると確信を強めた小松が、Pの顔でもアイドルのものでもない、獲物を見つめる表情で呟く。

 大会まであと二週間。四人は、追い込みの時期を迎えていた。
 時に傷つき倒れそうになっても 仲間同士で支え合い、明日の栄光目指して駆ける―。
 そんな一昔前のスポ根アニメを地でいくような、熱い空気が彼女らを包んでいる。
 他の出場者からの妨害もあった。
 シィルの靴に山盛りの画鋲が入れられていた他、マリアのメガネに目玉が描かれていたり。
 志津香の帽子に詰め込まれたお菓子、かなみの予備カエルパンツに落書きなど。
 しかし、彼女達は立ち止まらない。それらの地味な嫌がらせがむしろ、燃え盛る闘争心に油を注いでいるのだ。
 やがて時は経ち、五人はついに大会当日を迎える――。
424【JAPAN一アイドル決定戦 後編 】:2010/04/13(火) 12:39:31 ID:sSDF6lwO0
 織田領内 多目的運動場広場。
 本番の日を迎えたそこには、“JAPAN有名アイドル”大道寺小松と、“デスティニーガールズ”シィルを含む四人以外にも、大勢の女の子が集まっていた。
 プロデューサーの顔をした小松が、自慢の弟子と向き合う。
「いーい、みんな。あなた達一人一人は小さな火だけど、四人合わせればすっっごい炎になるよっ」
「待ってるから。決勝戦で会おうね!」
 彼女の、指導者としては最後の言葉を深く心に刻みこみ、神妙な面持ちで頷く四人。
 しばらくして、前方のステージ上へランスが現れると魔法マイクを手に取る。
 いよいよ、JAPAN一のアイドルを決める時がやってきたのだ。
「あーあー、てすとてすと。おほん。…これより、第一回 JAPAN一アイドル決定戦を開催する!!」
 大歓声。
 古代ローマの闘技場さながらの、360度を囲む観客席からの熱気が、離れていても皮膚に突き刺さるように届く。
 志津香がかなみの肩を叩く。大丈夫、緊張なんてしてる暇ないから。
 アイコンタクトを交わし、再びステージへ向き直る‥とここで、スタッフらしき黒子の者が、際どいサイズの水着を渡してきた。
 濡れると良く透けるであろう、白いビキニを手にしばし呆然として小松を見る。
 すると彼女もこちらを見て、知らない、こんなの聞いてないと首を左右に振る。
 イヤな予感がする。周りにホースを持った黒子が集まってきた。
 ちょうどその時、ランスが皆の疑問に、いつものがはは笑いとともに答える。
「第一回戦は、これだーーー!」
 各方角に備え付けられた、巨大魔法ヴィジョンに映し出されたそれは――。
【ドキッ♪チーム対抗 女の子だらけのウハウハ騎馬戦 ポロリもあるよ!】
「どうせ、こんなことだろうと思ったわよーーー!!」
〈白色破壊光線〉
「うぎゃーーっ」
 志津香の魔法を皮切りに、かなみの火丼の術、マリアのチューリップが炸裂する中。
(そういえば、大会で何をやるかまでは皆わからなかったんだっけ…)
 そんなことを考えつつ、己の主人が逃げ惑う様をただぼんやりと見ているあたり、シィルは珍しく怒っていたのかもしれない。
終わり。
暖かいレスありがとうございます。
次の投稿は少し間が空きます。ご了承ください。
425【原領立て直しAチーム!2 前の上編 】:2010/04/16(金) 11:45:38 ID:sAOtkinY0
 先の大戦で敗けた原家は、織田に吸収後 織田領原国となりましたが、JAPAN国主 香姫様の計らいで、わたくし達に全てが一任されました。
 ここで彼女の信頼を裏切るようでは、現・原の国守 阿樹姫の名が廃(すた)ります。
 かつての愚行を自戒とし、国の繁栄 民の安寧を誓いとする、織田領きってのキワモノ揃い。(失礼な!)
 わたくし達、原領立て直しAチームですわ!
 わたくしは、原国々主 阿樹姫。通称 貧乏姫。
 現地調査と聞き込みを主に担当、内政は勉強中。
 わたくしのような常識人でなければ、このチームのリーダーは務まりませんわ。
 ワターシは説得法師。通称 ブラザー。
 自慢のルックスに、ピープルはみんなイチコロね。
 交渉かまして、魚類から妖怪まで、誰でも仲間にしてあげるよ。
 え、あ はい!私ですね。私の名は山中子鹿です。通称…阿樹姫様には根暗デコメガネって、たまに言われます。
 得意なことですか?防御なら任せてください、全体防御式紙!
 ‥え?ぅわーーん、チビって言うなーーー!
 ハチスカ棟梁。通称 棟梁。
 建築業の天才だ。一晩で城だって建ててやるぞ。
 でも火爆破だけはかんべんな。
 わたくし達は、道理の通らぬ世の中にあえて挑戦いたします。
 いつもどこでも東奔西走、原領立て直しAチーム!
 何かありましたら、お近くの目安箱に投書してくださいまし。
426【原領立て直しAチーム!2 前の下編 】:2010/04/16(金) 11:46:49 ID:sAOtkinY0
「――で、なんですの?このビラに書いてある、けったいな謌(うた)い文句は」
「説得が「棟梁が」」
「お一人ずつでどうぞ?」
 阿樹姫の扇子が〈ぱちん〉と閉じる。それと同時に二人の、特に説得法師の浅黒い肌まで青色に染まっていく。
 阿樹姫が、彼らにここまでさせる何をしたのかは、今のところ謎である。
「‥もう良いですわ、あなた達が悪ノリするのも今に始まったことではありませんし」
 部屋の角に追い詰められて震えていたはずの二人が肩を組み、「そーそー、前から前から」とラインダンスを始める。
 この男どもに反省の色はないのかと、こめかみを抑える阿樹姫。
 そこへ、事態の急変を伝える使者が現れる。
「阿樹姫様、大変です!」
「子鹿?どうしたの、そんなに慌てて」
 棟梁が昼間の陽気で少し温くなった水を、部屋の水差しから湯呑みに注ぎ、子鹿へ渡す。
 一礼して受け取った彼女はそれを一気に飲み干すと、一つ間をおいて告げた。
「元・原家国主 原昌示様の姪っ子、原サーニャ様がご来訪召されました!」
「な なんですってー?!!」
 ぐんっとのけぞり驚く阿樹姫を他所に、隣に座る説得法師へ小声で尋ねるハチスカ。
「説得、お前何か知ってるか?そのサーニャ殿の事」
 訊かれた説得、懐からやけに年季の入った手帳を取り出したかと思うと、頁(ページ)をめくり始めた。
 情報を検索する指が手帳の真ん中まで辿り着き、それと同時に説得法師のサングラスの縁(ふち)が光る。
 目当ての情報がヒットしたらしい。
427【原領立て直しAチーム!2 中の上編 】:2010/04/16(金) 11:47:47 ID:sAOtkinY0
 原サーニャ。元・原領国持(くにもち)である、原昌示の姪。
 ゲーム内においては3G曰く、“大陸の血が混ざっていて、茶髪で可愛い”とのこと。
 長く茶系のウェーブがかかった髪と、フレームの目立たぬオシャレなメガネが印象的な綺麗なお姉さんだ。
 だが、残念なことに一枚絵はおろか立ち絵すら無い、ヒロインとしてなかなか不憫な扱いをされる娘の一人である。
「ふむ。なんだかメタな情報しかなかった気がするが、もっと他に無いのか?年齢とか、スリーサイズとか‥」
「棟梁、悔しいけれどワターシのメモではこれが限界よ」
「すると、後は本人が来るまでのお楽しみってわけじゃな」
 野郎どもが少々 下世話な話題で盛り上がっている中、女性陣はサーニャをどのようにして出迎えるかで頭を悩ませていた。
「阿樹姫様、サーニャ様と最後に会われたのは‥」
「…あの人の葬儀以来になるかしら」
 魔人ザビエル率いる魔軍との戦争が起こる前、大陸からふらりとやって来た異人、ランスが織田家の影番となり、原領を侵攻。
 当時の原家側には、それを跳ね退けるだけの軍備も策略も、お世辞にも足りていたとは言えず。
 まして籠城後、他国(阿樹姫の実家である、足利家が主になるだろうか)からの援軍を待てるような経済状況でもなかった。
 あっという間に本丸まで制圧されてからは、敵軍の大将であるランス自ら乗り込んできて、危うく昌示に殺されそうになっていたところを助けられた。
 その後、阿樹姫は紆余曲折あってランスのハーレム屋敷へ行き、子鹿と鈴女の二人と出会うことになるのだが。
 一方、原昌示は弓部隊を率いる武将の一人として戦場に立ち、本能寺へと出陣した際に現れた巨大な白虎の牙により、その命を散らしたらしい。
428【原領立て直しAチーム!2 中の下編 】:2010/04/16(金) 12:07:11 ID:sAOtkinY0
 それがあの人の最期だったそうだ。3G殿が、とても心配そうな顔で教えてくれた。
 別にあの人のことは愛していた訳ではない。しかし、彼の遺体が入った棺を前にすると、胸の奥が妙に寒々しくなった事は覚えている。
 その葬儀の時だっただろうか。不躾にも、こちらを睨むような視線を送ってくる娘がいたはずだ。
 無礼に思って、女中に誰であるか確認したから間違いないだろう。
「結局、きちんと会って話すのは今日が初めてになりますわね‥」
 そう一人ごちると、阿樹姫は使い込まれた扇子を広げ、唇を隠すかのように覆う。
「ふむ、という事はだ。サーニャ殿には昌示殿の後を継いで、国主になる権利があるのかの?」
「昌示様には御子様がおられなかったので、血縁であるサーニャ様にはその権利があるかと」
 ハチスカの半ば確認に近い問いに、子鹿が不安な顔を隠しきれぬまま答える。
「後継者問題‥わお、まるで昼ドラーマの世界ね」
 説得法師の緊張感に欠けた発言に、すわっ制裁か?!と棟梁が身構えたその時。
 ただでさえ混迷する原城 執務室へ、さらに凶報がもたらされる。
「失礼、大事にござります。原サーニャ様が賊の手により誘拐され申した!」
((((何この急展開ーーーッ!?))))
 報告に来た部下の手前 動揺を表へ出さずにはいたものの、個性弾けるAチームメンバーの心中が、珍しく一致した瞬間である。
(普通ならここで、叔父を慕っていたサーニャさんからわたくしへの、泥々とした断罪ストーリーが展開されるのではなくって?)
 そこは感動・鬼畜・笑える不幸に定評のある、“アリスソフト様”の二次創作なのだから仕方ない。
 何はともあれ、原領立て直しΑチームの出陣である。
429【原領立て直しAチーム!2 後の上編 】:2010/04/16(金) 12:08:35 ID:sAOtkinY0
「うっへっへっへっ、仮にもこの国の後継ぎになるかもしれないお人が、不用心だったなぁマヌケ」
「いやいや。お城に到着して、手続きの最中油断したところを狙った、俺達の頭脳プレーが勝ったガイキチ」
「フンガー!フン、フンガーーー!(←勝利の雄叫び)」
 伊勢の東南、港町の中にある倉庫が乱立する一角。
 現在あまり使われていないであろうそこを、悪党ならではの嗅覚で探し当て、アジトにした彼ら。
「まぁよ、さ さすがのお上連中もこ こんなとこまで追っては来れないジャンキー」
「ふっ、大陸から流れに流れて、こんなとこまで来ちまった時にゃどうするかと思ったけど、意外と何とかなるマヌケ」
「フンガー!」
「そう誉めないでほしいマヌケ。これもリーダーとしての、当たり前の仕事だマヌケ」
「可哀想だけど、これも人助けだと思ってがまんしてほ ほ ほしいジャンキー」
 いかにもな ならず者の集団を目の前に、猿轡(ぐつわ)で声を出せず、手足も縛られ動けぬサーニャ。
 下っぱ数十人が周りを囲み、黒い大男の手がこちらへ迫るのを見て、硬く眼を閉じ神へ祈ったその時――。
「召喚。鬼達よ、鉄の扉をぶち壊せ!」
 ――ずん。胃の腑に響く重低音、次いで倉庫の奥。ならず者どもがサーニャを中心に半包囲の陣形をとる中、黒い人のすぐ左。
 鬼数体が一斉に体当たりし、文字通りぶち開けた扉の片側が飛んで突き刺さっていた。
「ふんが…」
 突然の出来事に涙目になる彼のすぐ下、こちらも飛来してきた鉄塊に度肝を抜かれながら、何が起きたのかとそちらを見やる。
 正面。大きくこじ開けられた入口に立つ四人と三鬼。
 夕焼けをバックライトに、こちらへ歩いてくる彼らの顔は、逆光でわからない。
 それでもサーニャには予感があった。きっと彼らは味方であると。
 この窮地において彼らこそ、自分を助けてくれる神の遣わした清廉なる使徒なのだと。
「Aチームの“A”は、“アホ”にお仕置きのAでもありますの。皆さん、覚悟はよろしくて?」
 サーニャの淡い妄想は、一瞬にしてハズレた。
430【原領立て直しAチーム!2 後の中編 】:2010/04/16(金) 12:09:31 ID:sAOtkinY0
 鬼三体が飛び出し、ばったばったと下っぱどもをぶん投げる中、悠々と歩みを進める女がいた。阿樹姫だ。
 少し色褪せた小袖を纏い、動きやすさを考慮したのか旋毛(つむじ)のやや下の方で髪をまとめている。
 鉄扇片手にゆらゆらと、舞うように下っぱ連中を薙ぎ倒す彼女の周りには、いつの間にか白目を剥いた野郎の山が築き上げられていた。
 そんな彼女の後ろをフォローするのは、ハチスカ棟梁と説得法師の二人。
 棟梁の樫の木から削り出した長い角材がびゅんとうなり、説得法師が一人ずつ丁寧に意識を刈り取っていく。
 他の三人に武力の面では一歩も二歩も遅れをとってしまう説得法師だが、なぜか催眠術に秀でているため、このような役割となっている。
 子鹿が操る黒鬼が、最後の一人となった下っぱを段ボールの山へ放り投げる。
「あら、あとはあなた方四人だけのようですわね」
 言うなり、ちろりと流し目をおくる阿樹姫。ジャンキーとガイキチは、怯えて身をすくませている。
 が、ここで黒い人がサーニャを担いでリーダーの下(もと)へと走る。
「フ、フンガーーー!「?!ぅん゛〜〜〜っ」」
「よーし、良くやったマヌケ!このままこいつを人質に逃げ‥え?」
 説得法師が両手をぱすんと叩く。
 担いだはずのサーニャは今、阿樹姫の手により猿轡とロープを切られている。
「ヘイ、ミスター。良い夢見れたね?」
 ピンク色の唇がチャーミングな、ならず者リーダーが全てを理解した時、四人は既に捕縛されていたのだった。
431【原領立て直しAチーム!2 後の下編 】:2010/04/16(金) 12:30:45 ID:sAOtkinY0
 その晩。下弦の月が雲もなく、すっきりとよく見える空の下。
 伊勢 原城内庭園にて、今回の当事者メンバー五人が集まっていた。
 先刻捕らえたならず者グループは、城の牢中にて明朝の沙汰を待つ身である。
 本来であれば、原家の後継者候補を誘拐など斬首、良くて拷問でも文句は言えないはずなのだが。
 先の魔人大戦により働き手がかなり不足している。そのため、彼らは明日にでも真珠迷宮内部にて真珠発掘、運搬などの強制労働の刑に処す予定だ。
 そして今、織田城のそれには及ばぬものの、ハチスカの趣味により風流な演出極まるこの庭園にて。
 現・原領代表 阿樹姫の処遇もまた、決まろうとしていた。
「魔物達との大規模な戦争があったとは言え、優しかった叔父のこと、そして長い間 民に苦しい生活をさせたこと」
「元・国守の血に列(つら)なるものとして、全て赦せるものではございません」
「ですがサーニャ様!「子鹿、良いのです」」
 阿樹姫が、子鹿の肩に手をかけ制する。
「わたくしは事実、それだけのことをしてきているのですから」
「…えぇ、ですから本来であれば私が後を継ごうと考えていました。昨日までは」
「と、申されますと?」
 ハチスカが思わず合の手をいれる。
「今日ここに来るまで、幼い頃 親しくしていただいた領民の方々のお話を聞き、そして夕刻あなた方に助けられて、考え直しました」
「原領立て直しAチームリーダー、阿樹姫殿」
「私。元・原領国主 原昌示の姪 原サーニャは、貴方の誠(まこと)を見定めるため、貴方の下で働くことを希望致します」
 サーニャの予想だにしなかった言葉に、しばし呆然とするAチーム一堂。
「それに私、あの暗い倉庫から助けていただいた際に、その‥子鹿様に一目惚れしてしまいまして…」
「ぴぃっ?!」
「くっ。あなた、ずいぶんと見る目がありますのね」
「ぇえーーーっ!」
 爆弾どころか核のごとき発言が飛び出す中、見かねた説得法師がフォローをする。
「子鹿、大丈夫よ。阿樹姫様は君をからかっているだけね、多分」
「そうでないと困ります!‥て少なくともサーニャ様は本気じゃないですかっ」
「ウップス。…グッドラックよ、子鹿」
「ぅわーーーん!!」
終わり。
※ パロディ、独自の設定、改変あります。何卒ご了承ください。
432名無しさん@初回限定:2010/04/17(土) 00:42:21 ID:Ml0622FoO
>>425-431
乙乙
ならず者とかwなつかしいな
こいつら鬼畜王にでてたやつらだよな、たしか?
433自作特攻隊WILLCOM ◆0CrenIPJUU :2010/04/17(土) 06:26:17 ID:RHtLxCom0
じろじろ・・・♪
434【リズナが結婚について考えるお話 前編 】:2010/04/17(土) 11:02:00 ID:U+BJKiuT0
「お見合い‥ですか?」
「うむ。先日の交流会で、リズねえを気に入ったという貴族がいてな」
 頭をかきつつ、大きなアクビをかます魔法大国ゼスの王様、ラグナロックアーク・スーパー・ガンジー。
 日ごろ覇気に満ち満ちている彼が、ここまでリラックスするその気になるお相手。
 彼女の名前は、リズナ・ランフビット。ガンジーとは幼なじみであり、一部では伝説の魔法抵抗力をもつ者として有名である。
 数年前。
 とある緑のデカ口イケメン冒険者の率いる反政府組織が、魔人領との境に在る巨大魔法要塞“マジノライン”を停止させる。
 それをきっかけに、一時この国は崩壊した。
 旧体制は容易く瓦解(がかい)し、各地で暴動が発生。国民は、長大な隊列を組んで東へ大移動する事態となる。
 だが、結局 件の原因となったデカ口冒険者のパーティーが、侵攻してきた魔人を倒して封印。
 マジノラインを再起動させ、残った魔軍の殲滅など、少々自業自得のきらいはあるものの、きっちり決着をつけたのだった。
 その後、元・穏健派反政府組織は現・世直し人助け組織へ様変わりし、リーダーをなぜかガンジー王が兼任することで、今日(こんにち)まで続いている。
 その時の大戦で活躍した者の一人が、リズナである。
 彼女は大戦後、新たにメンバーが変わったゼス四天王の補佐という立場に落ち着いた。
 戦争を通じて知り合った、ウルザ・プラナアイスは優しくて、山田千鶴子は少し厳しい。
 王の娘マジック・ガンジーは、ランスに一途で見ていて可愛くて、チョチョマン・パブリはスゴい人。
 リズナは、あらためて己の立ち位置を思い出すと、正面 優雅に紅茶を楽しんでいる、ガンジー王へと向き直り尋ねる。
435【リズナが結婚について考えるお話 中編 】:2010/04/17(土) 11:02:50 ID:U+BJKiuT0
「それで、何で私なんでしょう?」
 ガンジーの疑問の目に、一息 間をおいて話を続ける。
「その‥私、こういったことに慣れていないものですから」
「相手が気になるとか、そのようにふわふわした気持ちでお見合いを申し込んでくるなんて、あまり想像できなくて‥」
 そう言って、利き手側の頬に手を当てため息を一つ。
 決して、今どきの若い子達の気持ちがわからないとか、そういう事ではない。
「確かに貴族の若い奴らには、まだまだ浮ついた者が多いな」
「私としてはランス殿のように、色を好むにふさわしい強さをもっていれば、問題ないのだが」
 どうにも口だけの連中が多すぎる、と愚痴るガンジー。
 遊んでいるように見えて、見るべきところはきちんとしているのね、と心中お姉ちゃん気分で感心するリズナ。
「そんな若者が多い中、珍しく彼は真面目な子でな」
「正確にはパーティーより前、国民が大勢で避難している際、戦うリズねえを見て一目惚れしたらしい」
「で、先日のパーティーで偶然にも再会することができて、つい舞い上がってしまったそうだ」
 リズナは、上流階級の貴族と聞いて抱いた印象からは離れたその純朴さに、少々驚いていた。
 ガンジーから渡されたファイル、王のお付きの忍者 カオルがわざわざ“詳細に”調査してくれた、それを見ても通常の結婚相手としては申し分ないであろう。
 しかし、リズナは迷わなかった。
436【リズナが結婚について考えるお話 後編 】:2010/04/17(土) 11:04:28 ID:U+BJKiuT0
「王子‥いえ、王様。お話は大変ありがたいのですが――」
「うむ、先方には既に断りをいれてあるさ」
「えっ?」
 自分なりによく考えて出した結論が、とっくに必要の無かった事に固まるリズナ。
「いやなに、彼も有望な青年ではあるがね。リズねえを預けられるかと聞かれれば、残念だがまだまだ力不足だ」
 継いで、山田千鶴子が見れば鼻血を出して狂喜するであろう、お茶目な笑みを浮かべてガンジーは言い放つ。
「それに‥リズねえにはランス殿がいるんだろ?」
 途端、顔面がレッドハニーとお揃いの色になるリズナ。
「私だってもう良い年の娘をもつ身だ。好いた惚れたもそれなりに見てきているさ」
 言って、自慢気に呵々(かか)と笑うガンジー。次は“デリカシー”を勉強するべきである。
〈薙刀一閃〉
 部屋の角で震えるガンジーを他所に、リズナはふとランスと結婚した自分を想像してみる。
 …新婚初日で家から一歩も外へ出られないのが、ありありと目に浮かんだところでひとまず止める。
 テイク2。……シィルを始め志津香やマリア、かなみなどなぜかいろいろな女性と同居していた。止める。
 これを最後にしようと3度目。………人類圏を統一し、魔人と戦う彼の隣。そこで止めた。
 結局、彼と一緒になるのはそういう事なのだろう。お決まりの結婚生活なんてちっとも似合わない。
 えっちで、乱暴で、でも時々 妙に優しい彼。良い人か悪い人かで言えば、良い人‥かな?
「少なくとも、本当に悪い人では無いと思うんだけど」
「うんうん。リズねえは本当にランス殿が好―」
〈一閃〉
「元気にしてるかな、ランスさん…」
 紅い文字で何かを書き残そうとするガンジーを背に、リズナは彼の人を想うと もの憂気に、そっとため息を一つ吐くのであった。
終わり。
4月17日は“素晴らしい結婚の日”という事で一つ。
>>432,433 レスありがとうございます。
ならず者グループは、暇を見つけて鬼畜王をプレイし直したら、彼らの存在を思い出しました。
ところで今回の“らんぷぷ”神更新。ドラクエ3の女戦士ファンの自分としては、妄想広がる素敵な内容でした。
TADAさんがあと五人くらいいれば…。
437名無しさん@初回限定:2010/04/18(日) 06:23:43 ID:ceoZvYkeP
面白い
438名無しさん@初回限定:2010/04/18(日) 10:50:26 ID:PITFmCNs0
よくそんだけネタが出てくるなと
439【プロジェクトМ 前編 】:2010/04/18(日) 17:31:08 ID:gYjW4oJd0
「志津香のやつ、妙に引きずってるな」
「今や唯一の家族と喧嘩し続けることになっちまったんだ。ツラいと思うぜ?隊長さんよ」
 己の境遇と重ね合わせたのか、自嘲するように唇を歪めると、ランスの肩を叩くパットン。
「でも、もう二日もご飯を食べてないようですし、顔色も‥。ランス様、どうしましょう?」
 涙目で大切な友人を心配するシィルに、口には絶対に出さないものの、何とかせねばと思案にくれるツンデレ主人。
 悩む彼らの下(もと)、この事態を解決するため爆音とともに救世主が現れる。
 煙漂うその向こう、着なれた作業着に蒼のポニーテールが しゃんと映える。
 大きめレンズがチャームポイントの、メガネをかけた彼女の名はマリア・カスタード、人呼んで“発明の母 マリア”!
「みんな悩んでいるようね‥」
「マリアさん!」
「パットンさん。大事な親友のために、あなたの力を貸してほしいんだけど」
「お、おう。仲間のためだもんな、俺にできることなら任せてくれ‥って。何だこりゃあ?」
 それは、ピンク色の杖だった。左右に天使の羽が付いたハートを頂(いただき)に冠したその杖は、周囲に異様な魔力を放出している。
「その杖を握って、こう唱えてほしいの」
 ぼそぼそと耳打ちされたその内容に、初めは難色をしめしていたパットン。
 しかし、周りから「やれる、やれるよ!勇気だせよ!」と煽られたこともあり、ついに決意する。
「…よし、わかった。ここでやらなきゃ漢が廃る」
 こめかみから常ならぬ温度の汗を流しつつ、やがて渇いた声で呪文の詠唱を始める。
440【プロジェクトМ 後編 】:2010/04/18(日) 17:31:59 ID:gYjW4oJd0
――タイガーサヤマミサワノタイガー ライガーヤマダムタムトウ 俺がお前の、おねーさんだっ!――
 嘗(かつ)て経験したことの無い羞恥に赤く頬を染めながらも、朗々と変身呪文を唱えるパットン。
 その瞬間、彼の周囲はパステルカラーで彩られ、衣服は原始レベルで分解・形を遥かに変えて再構成される。
 手足を被(おお)うは獅子のそれ、艶やかな毛並と好事家には堪らぬ肉球が目立つ。
 カメラは胴体部へズームし、煌びやかな特殊効果のシルエットは徐々に変化、間もなく逞(たくま)しい大胸部を包むレースの衣装となる。
 臍はしっかり露出したまま、腰には百獣の王の顔も凛々しい、チャンピオンベルトが輝いている。
 くるりと後ろを向いたパットンの臀部から、彼の瑞々(みずみず)しい太股までを隠す、シルク地のミニスカート。
 最後に、新日のプロレスリングを想わせる、彼の碧髪に獣の耳が生えれば完成だ。
「うふふ、やったわ。ウルトラ魔法長女 パットンの誕生よ!」
 ランスとシィルが、向こうとこちらのテンションの差についていけず、固まっている間にも状況は進む。
 彼らにとっては悪い方に。
「さぁ、行くのよパットン!あなたのお姉ちゃんパワー、人間の愛に換算して95万ラブ」
「涙に沈む妹、志津香に全部ぶつけておしまいなさーいっ」
「ぅおおおお おねーさんだーーー!!」

 ………えっと。あの後 志津香さんは確かに元気になりました。
 ご飯も少しずつ食べていただけるようになりましたし、ランス様のちょっかいにも魔法で反撃されるようになって。
 でも、その代償にパットンさんが……
(以下、文字にならない記号が続く。涙の跡が多く見られることから、言葉にできない悲しい何かがあったと想像するしかないだろう)
終わり。
>>437,438 レスありがとうございます。
明日より一週間前後、諸事情により投稿をお休みさせていただきます。
4月18日は“発明の日”ということで、マッドなマリアさんのSSを一つ。
今回のSSは某 魔想スレのネタレス、“魔法長女パットン”を参考にさせていただきました。
441自作特攻隊WILLCOM ◆0CrenIPJUU :2010/04/18(日) 22:21:06 ID:7YSjRFoC0
急電

http://bbs.jpdo.com/cgi/70/img/924.jpg
http://bbs.jpdo.com/cgi/70/img/925.jpg

今日は旗男を作り力尽きました・・・
442自作特攻隊WILLCOM ◆0CrenIPJUU :2010/04/19(月) 12:20:52 ID:Xfbhagvt0
>>440をじろじろ…♪
443名無しさん@初回限定:2010/04/19(月) 12:49:54 ID:hD8uZqAhO
>>441
可愛いなぁ。
旗男さんには、わいどにょで大変お世話になりました。
444自作特攻隊WILLCOM ◆0CrenIPJUU :2010/04/19(月) 23:27:48 ID:4nwAUIFN0
>>443 どもです

 旗男は兵士の哀愁と定めと渋さを極めているのでお気に入りです。
銃剣突撃や長距離射撃と作戦選択幅も多く重宝してます・・・♪

 また暇見てアップグレード改造をしてあげたいと思ってます。
445名無しさん@初回限定:2010/04/19(月) 23:56:03 ID:22lpzCcH0
賑わってたな!いい感じだな!
いいぞもっとやれ
446名無しさん@初回限定:2010/04/20(火) 06:20:28 ID:9EodqW+IP
いいぞ、もっとやれ
やっと二次創作スレとしてまともに機能してきたなw
447自作特攻隊WILLCOM ◆0CrenIPJUU :2010/04/20(火) 23:07:33 ID:HlV0wF8r0
だいぶ前に無断制作した、マジスコでした・・・
http://bbs.jpdo.com/cgi/70/img/890.jpg

今はフィッスネを密造中です・・・♪
448名無しさん@初回限定:2010/04/20(火) 23:15:36 ID:I4BAdRPq0
>>443
わいどにょで旗男さん使うってなかなか愛が要ったようなw
449名無しさん@初回限定:2010/04/21(水) 03:36:54 ID:zYI3vOr8O
>>447
机に飾りたい
こーいうの作るとしたら、マジスコとか女の子モンスターはパーツがやたら多くて大変そうだな
全体の大きさが小さくなるから、顔の表情とかも難しそうだし・・・
そう考えると作る人すごいな
450自作特攻隊WILLCOM ◆0CrenIPJUU :2010/04/21(水) 06:00:36 ID:DTP1u1KM0
どもです、女の子モンスターは可愛いので作りがいが有りますね。

 パーツも細かく増えて行きますが、
一番難しそうなのは神風の袴でしょうか。

※本当に難しいのはわいどにょでなかなか出てこない事でしょうか・・・
顔はわいどにょに合わせて作ってます。

※現在は フィッスネを制作中・・・32%
451名無しさん@初回限定:2010/04/23(金) 09:49:19 ID:NquWRZ6RO
ニコ動のランス物でオススメ教えてください
452【 雨宿りをウルザと 】:2010/04/23(金) 20:04:42 ID:rnWsRfTX0
「ちっ。俺様とウルザちゃんの、熱々デートに水をさしやがって‥」
 昨夜、シィルが丁寧にアイロンをかけた、パステルグリーンのハンカチで濡れた頭をちゃちゃっと拭うランス。
「ランスさんがいきなりこっちへ来るものだから、天気の神様もびっくりしたんじゃないですか?」
 おバカな悪態をつく彼の隣で、小さく笑いながら返すウルザ。
「む、来る前にきちんと電話したではないか」
「“今ゼスに着いた”なんて、急に言われても困っちゃいますよ。普通、家を出るときに連絡するんです」
 もうっ、と腰に手をあてぷりぷりと叱る。
 残念だが怒られているはずのデカ口男は、彼女の濡れて透けたドレスシャツに釘付けで、全く聞いていない。
「以前、シィルさんの家族を捜してほしいって話があったから、少しは予想していたけど‥」
 戻ったらチョチョマンさんにお礼言わなきゃ、とため息混じりにぼやき、先ほどから反応の無いランスへと向き直る。
「でも私、言うほど怒ってる訳じゃなくて、実は――あの、ランスさん?「むがー、無防備すぎるぞウルザちゃーーーん!」――きゃっ?!」
 シャッターの降りた店の前、突然雄叫びをあげたかと思うと、戸惑う彼女をお姫様抱っこで走り始める緑色の獣(けだもの)一匹。
「やだ、まだ服も乾いてないし、それに戻って明日の準備しなきゃだし、シィルさんだってきっと待ってますよ!」
 胸板をグーで叩きながら焦るウルザだが、もちろんこんな状態の彼に聞き届けられる事がないのは、経験済みである。
「がははは、なら服を乾かせて明日の仕事の準備もできる、ウルザちゃんのお家に行けば良いのだー」
 ちなみにシィルは、ゼスへ着いてから一緒に行きましょうと言う彼女を、無理矢理に説き伏せて家族のところへ先に行かせてある。
 決して、彼女の家族と顔を逢わせるのが気まずいとかではない。ないったらない。
「戦うときのレオタード姿も良いが、今日のかっちりしたシャツにロングスカートもたまらんな、うむ」
「ソムリエみたいな顔で頷いてないで、降ろしてくださーーー…ぃ(ドップラー効果)」
終わり。
設定としては拙作、【オールドゼスより愛をこめて】(>>394-396)の続きになります。
>>450 アリスソフトのねんどろいどが欲しくなりました。フィッスネ楽しみにしています。
453名無しさん@初回限定:2010/04/23(金) 21:29:46 ID:tCoqbmkW0
>>452
GJ
今度まとめサイト作ってね
454名無しさん@初回限定:2010/04/24(土) 06:23:22 ID:H35wyxinP
>>452
ウルザかわいいよウルザ
455自作特攻隊WILLCOM ◆0CrenIPJUU :2010/04/24(土) 21:37:05 ID:eqfo7yhg0
>>452 じろじろ…♪ 何時も楽しいですね。

※明日辺り塗装作業…

※簡単に複製出来て原価で配れるのが一番良いのですが…
フィギャはタダ同然で配れる技術が無いのが泣き所でしょうか。

(フィギャもデーターで配れる技術が開発される事を期待するばかりです。)
456名無しさん@初回限定:2010/04/24(土) 22:14:11 ID:w/6gg2gL0
457【女4人で温泉を楽しむお話 前編 】:2010/04/25(日) 14:26:05 ID:0A1qcopU0
「うわぁ 綺麗ねぇ‥なんだかやっとJAPANに来て良かったって思えた気がするわ」
 露天風呂の出入口正面、パノラマ状に広がる空を紅く染める陽に、思わず感嘆の声をもらす志津香。
「ここのところ戦(いくさ)続きでしたから。こうして、景色の良いところでゆっくりできるだけでもだいぶ違いますよね」
 生地の柔らかそうなタオルに、石鹸をこすりつつシィルが言って返す。
〈むに くにくに〉
「ひゃう なないきなり何するんですかマリアさんっ」
「うう シィルちゃん可愛い。ちっちゃくてでも大きくて、ひっこむとこはキチンとひっこんでて‥」
 マリアの両手が、北斗〇拳を思わせるような速さと滑らかさで、シィルの体を這いまわる。
 もちろん、けしてマリアにその手の趣味が有る訳ではない。
 全ては女の子特有の、“隣の芝が青く見えてしょうがない”現象のせいなのだから仕方ない。
「ま、マリアさんだって ひう 柔らかくて大きくってひゃう うらやましいですよぅ んっぅ」
「マリア、シィルちゃん色々と大変なことになりそうだから、そろそろ止めときなさい〈ひょいっ〉」
 突如 発生したアリス様がみてる的な空間に、呆気にとられていたかなみ。
 数分の後(のち)漸く我にかえると、マリアのメガネを外すことで彼女の動きを封じた。
「シィルちゃん大丈夫?」
「はうぅ かなみさーん」
「あ〜あ、泣ーかした泣ーかしたー」
「ご、ごめんっごめんねシィルちゃん。こんなつもりなかったのよ?本当に」
「“つもり”もないのに暴走するから質(たち)が悪いんじゃない」
 それからしばらくして、彼女らが落ち着きを取り戻す頃。
 夕日はとうに沈み、既に辺りが薄紫色に染まってきていたと言うのだから、その姦しさは推して知るべしである。
458【女4人で温泉を楽しむお話 後編 】:2010/04/25(日) 14:27:13 ID:0A1qcopU0
「わぁ、かなみさんそれってもしかしてお酒ですか?」
 騒ぎも治まり、皆で湯船につかって一息ついた頃。
 かなみが岩肌の奥からごそごそと取り出してきた、お猪口と徳利のセットを見て、シィルが声をかける。
「ふふっ、一度やってみたかったんだぁ‥っと」
 にまにまと弛む頬を隠そうともせずに、手酌で注いだそばから一口。
「っはぁ〜…、これ考えた人すごい。ハマっちゃうかも」
 任務時の凛々しい表情もどこえやら、蕩けきった顔で幸せと呟くかなみ。
「ね、私ももらって良いかしら?」
 普段はナギの襲撃に備えて、アルコールは控えている志津香だが、さすがにJAPANの織田城までは来ないだろうと判断。
 盆上に四つお猪口が用意してあるのを見て、遠慮なくねだってみることにした。
「‥っとと、ありがと。……甘い。これもしかして、はちみつ酒?」
 徳利のイメージからJAPANの酒を想像していたからか、ずいぶんな肩透かしをくらった気分でつい、声に出してしまった。
「う。だって、あの独特な風味がなんか苦手なんだもん」
 あー確かにと頷くマリアと、どちらかと言えば はちみつ酒の方が好きなシィル。
 子どもっぽいと言われたような気がして、ぶくぶくお湯の中に沈むかなみを二人で慰める。
「‥もう一杯もらっても良い?」
 志津香の声に一つ、首を縦に振ると先ほどより控えめに注ぐ。
「……うん、美味しい。あ 明日、女将さんにどんな銘柄か訊いてみようかなー」
 不器用にかなみを気づかう志津香に、あまりない親友の姿を見て思わず噴き出すマリア。
 何よとばかりにキッと睨む緑の彼女を、慌てて宥めるピンクのもこもこ。
 そんなやり取りを見て、漸くもち直したかなみが笑いながら一言。
「ね、お猪口も人数分あるしさ。皆で呑まない?」
 徳利を用意してからずっと言いたかったセリフを言えて、心の中でスキップする彼女であった。
終わり。
>>453-455 レスありがとうございます。
まとめサイトをつくるよう言って頂けるのは、書き手としてとても光栄なことなのですが。
サイトをつくり、維持&管理するスキルを持ち合わせていないため、大変難しいと思われます。
なので、誠に申し訳ありませんが、万が一気に入った作品がございましたら、各自で保存して頂けると幸いです。
459名無しさん@初回限定:2010/04/25(日) 15:12:11 ID:ki7yLdaE0
>>458
まそうさんかわええ
460自作特攻隊(E/ F) ◆0CrenIPJUU :2010/04/25(日) 22:39:55 ID:2TlMqwhy0
461名無しさん@初回限定:2010/04/25(日) 22:59:56 ID:Xq464gtJO
>>460
一枚目の画像見てグッときた
わいどにょに出てたのとは違って、無口クール系な印象受けたわ
あと自作した下着系の追加パーツをおぱーいに装着したくなた
462名無しさん@初回限定:2010/04/26(月) 03:39:50 ID:GWubFf5YO
>>458
ブログって手もあるよ


>>460
最近腕を上げたな
463名無しさん@初回限定:2010/04/26(月) 07:27:53 ID:yfNF+rfk0
前から疑問だったんだが、これって何でできてるの?
粘土?
464自作特攻隊WILLCOM ◆0CrenIPJUU :2010/04/26(月) 12:12:49 ID:P545yQJy0
どもです、次は へびさん を制作開始です。

材料は、木工用エポキシパテ(4:1)プラスチック用エポキシパテ
の割合で混合(加工誌しやすく割れにくい)してます。
465【逮捕するわよ! 前編 】:2010/04/27(火) 12:05:56 ID:6ejMEJ1a0
 無限に広がる平行世界の中の一つ。
 TOKYO都SUMIDA区内のとある警察署には、犯罪検挙率 常時90%以上を誇る、署内きっての名コンビがいる。
 警察関係者からは、BOKUTO署のワイルド・サファリ(独立愚連隊)と揶揄されている交通課内において、更に破天荒を極めたその二人。
 “緑の魔女”魔想志津香と、“蒼の発明家”マリア・カスタード。
 彼女達の乗るミニ・パトカー“チューリップ700号”のターボエンジンに、ひと度魔法ニトロの火が点いたなら。
 スピード狂は泡を吹き、暴力団は神に祈るとまで噂される、とにかくいろいろな意味で悪党どもから恐れられている。
 この物語は彼女ら、SUMIDA区に舞い降りた破壊の女神様が、罪を憎んで人を憎まずの言の下 悪と闘う、破茶滅茶エンターテイメント‥の予定である。

「志津香、いい加減ちゃんと目を覚まして服を着替えて!「‥んー」」
「んーじゃなくって、このままじゃ私達今週四回連続で遅刻しちゃうんだからっ」
「ぼーしはー?」
「後部座席にあるから、署に着いてからかぶって!」
 そうこうしている間に、地元でも有名な開かずの踏切につかまってしまう。
 むぐむぐ言いながら、口に突っ込まれたトーストをかじる志津香を横目に見、マリアは決断する。
「志津香、シートベルトは締めてるよね?」
 脳に糖分が行き渡ってきたのか、先ほどよりはっきりした眼で頷く寝ぼすけ魔女。
 次の瞬間、マリアの手により毎月チューンナップされ続けているチューリップ700号が、己を産んだ母のためにその力を発揮した。
 際どい車間距離をものともせずにUターンをこなし、狭い路地裏を片輪走行でひた走る。
 可哀想に、普段車など通らぬはずのこの道を悠々と歩いていた三毛猫の親子が、慌てて逃げていった。
 大きい交差点をひたすら避けて、道中カップルで二人乗りする自転車を見つけては、志津香が冷やかしの笛を吹いて止めさせる。
 荒川沿いを、フューチャーへバックトゥするかのように、タイヤの跡を残しつつ走ると、我らがBOKUTO署まであと少しだ。
 マリアの眉間に深く刻まれた皺も、徐々に弛まんとしたその時。
466【逮捕するわよ! 後編 】:2010/04/27(火) 12:07:29 ID:6ejMEJ1a0
「誰か助けてー!ひったくりよーーー!!」
 近くの線路上を運行するSOBU電鉄の駆動音にも負けない、中年女性の金切り声が耳に届いた。
 前方を見れば違法改造されているであろう、原動機付魔法自転車が蛇行運転で走り去って行く。
「「遅刻の言い訳ゲーット…」」
 獲物を見つけた肉食獣のようなその笑みは、いつも同じ課に勤めるシィル巡査に、涙目で女の子なんだからと止められている、それである。
 志津香がエレノア交通課々長に、無線連絡を入れてから十数分。
 適度にお仕置きしてから捕まえた、やんちゃ坊主を車内に閉じ込め、被害者の女性へ後ほど署に来てもらうように説明し、鼻歌混じりに署へ向かう二人。
 今朝は大義名分がきちんとある。エレノアに、ヘタレ男の片腕を斬り飛ばしそうな目で、懇々と説教されるのはその手の趣味でも無ければ、かなり堪えるのだ。
 軽快にペダルを踏むと、チューリップはぐんと加速する。
「それじゃ志津香、いつものやつお願いね」
「‥しょうがないわね。いくわよ、白色破壊ブレェーーーキ!」
 説明しよう。白色破壊ブレーキとは、出力の超微調整により急加速した車体の慣性を一気に殺し、かつ駐車場の地面にほとんど傷を残さない。
 魔法技能LV.2を持ち、日々の研鑽を怠らない志津香だからこそできる、荒業である。
「あ、間違えた」
 もっとも、出力調整をたまに間違えるのはお約束だ。
〈爆発音〉
「いたたたた‥もう、勘弁してよ志津香ぁ‥」
「う うるっさいわね、私にだって失敗する時ぐらいあるわよっ」
 きゃんきゃんと二人がじゃれ合いを始める中。
 半壊したチューリップの無線機から、幽鬼のようなエレノアの声が辺りを包むまで、もう間もなくである。
 頑張れエレノア、負けるなエレノア!二人がせめて一日だけでも、騒動を起こすことの無くなるその日まで――。
終わり。
>>459,460,462 レスありがとうございます。
4月27日は“婦人警官の日”という事で一つ、例によってパロディ物です。苦手な方は、何卒 ご了承ください。
>>460 フィッスネ可愛いです。へびさんは、GALZOOで彼女の傍若無人さに惚れた口なので、勝手ながら応援させていただきます。
467【少しずつ、あなたと 前編 】:2010/04/29(木) 12:11:11 ID:66/GXQRRO
「見つけたぞ、魔想の娘‥!」
〈ライトニングレーザー〉
「ッちぃ!あんたも本当しつこいわね、まったく誰に似たのかしらっ」
 昨日まで降っていた雨によって、ぬかるんだ地面に足をとられながらも、飛び込み前転で避ける志津香。
 泥水を通じて電気が身体を痺れさせるが、直撃した際の事を思えばまだマシであろう。
 ましてや親友の強い奨めもあって、逃亡中においてもなかなかケアに手を抜けない、己の長い緑髪が泥だらけになったとしてもだ。
(それにしても最悪ね。この辺りの土地にはまるで天然のトラップさながら、底無し沼が突然あったりするから)
(しかも前日までの長雨で、そこら中が泥々。逃げている最中、一歩踏み出せばそこが沼だったとしてもおかしくないなんて…)
「本当、嫌なタイミングで仕掛けてきてくれたもんだわ――って」
 志津香が状況判断を終えて周りを見渡すものの、ナギの姿が見えない。
 もしや、と思い先ほどナギが魔法を撃ってきた場所まで戻ってみる。
 すると、もはや全身の殆どが底なし沼に嵌まり込んだ、ナギの両腕を捉えた。
「何やってんのよ、このバカ!」
 慎重に沼との境目を探して進み、辛うじて地面に掴まり続けている異父妹のもとへたどり着く。
 手持ちの荷物からロープを取り出し自分の胴体部を縛ると、比較的近くにあった太めの樹木に命綱としてくくりつける。
 縄の結び目をチェックして、足場の危うさに不安を覚えながらも、魔力を全身に張り巡らせていざ、ナギの腕を掴んで引っ張り上げる。
 向こうも魔法で身体強化していたためか、それとも幼い頃から厳しい修練をつんできたおかげか。
 途中で腕が脱臼するなどという事もなく、徐々に身体が引き上げられていく。
 彼女の顔が見えた瞬間こそ、志津香は思わず警戒してしまっていたが、不幸中の幸いか既に意識を失っているようだ。
468【少しずつ、あなたと 中編 】:2010/04/29(木) 12:13:02 ID:66/GXQRRO
「ぐ、くっ‥、さんざん心配かけてこんのぉおおおおおおお!」
 引き上げた腰部を前面からがっちりと二本の腕でロック、そのままロンドン橋のような綺麗なアーチをブリッジで描く。
 いわゆる、プロレス技のフロントスープレックスである。
 ただし、このまま後ろの地面に叩きつけてしまっては問題が有るので、慌ててロックしていた腕を緩める。
 これにより、投げっぱなしフロントスープレックスへと変化するのだが。
 ここで志津香は、己の背後にある物の存在をド忘れしてしまっていた。
 ナギを救出する際に、用心の意味で命綱を結んだそれ。そう、底なし沼の近くに都合良くも立っていた、幹の太い大木である。
〈ごづん〉
「うわ…やっちゃった。い、生きてるわよね?」
 気絶しているナギの閉じられた目蓋の傍、こめかみ付近に#(いけた)の模様で血管が浮き出ているようだが、気のせいだろう。
 すぐさま駆け寄り口中の泥をかきだす。途端、咳き込みながらも自律呼吸を始めるナギ。
 どうやら人工呼吸や心臓マッサージなどの、救急救命処置の必要は無いようだ。
 すごいね、人体。
「ったく、本当に強いのねこの子は」
 それでも念のためにと脈を計りつつ、顔面や鼻中・口中の砂利をなるべく取り除く。
「寝顔を見てると可愛いんだけどねぇ…」
 ナギ・ス・ラガール。
 生涯のほとんどを修行や研究に費やすほどに、憎んでいたあの男の娘。
 自分と母を同じくし、自分と同じに父親の命を他人の手により奪われた。
 今となっては、ただ独りの――家族。
469【少しずつ、あなたと 後編 】:2010/04/29(木) 12:15:24 ID:66/GXQRRO
 ゼス崩壊の折、ラガールの塔で呪いにも似た別れの挨拶をもらってから数年が経った。
 既に彼女からは、片手で足りないほどの数の襲撃を受けている。
 今日までお互いに命に関わるような怪我をすることはなかったが、明日からはわからない。
 いつ、何がきっかけで死んでしまうようなことになっても、おかしくない方法を選んでいるのだ 志津香は。
 約束してしまった手前、たまにカスタムへ帰った時には口にこそ出さないものの、心底 無事を喜ぶマリアを見る度に、罪悪感が湧いてくる。
(…どんなに恨まれようと、どんなに憎まれようと、それでも‥)
「っあ゛〜止め止めっ。こんなに暗くなってたら、マリアどころかあのデカ口バカにまで何を言われる事か」
 一声叫ぶとすっくと立ち上がる。乾いた砂利がザラザラとうっとうしいが、街に着くまでの我慢だと不快感をねじ伏せる。
「‥いつかお互い、向かい合って話をしましょう。ナギ」
 それまでに自分も力をつけて、気持ちの整理もしておかなきゃね、と続けて苦笑する。
 その後、彼女が目を覚まさない内にと荷物入れから毛布を取り出し、周囲の目が届かぬ草むらの影に彼女を寝かせた志津香。
 お腹の上にそっとかけて、早足で近くの街に移動する。
 今は無理でも、生きてさえいればいつかきっと、解り合える日が来ると信じて。
終わり。
PC規制中のため、携帯から失礼致します。
4月29日は“みどりの日”という事で、魔想さん(とナギ)のSSを一つ。
本編で彼女達が解り合える日はやってくるのでしょうか。
470名無しさん@初回限定:2010/04/29(木) 14:58:32 ID:b4VqsN0s0
「すごいね、人体」で吹いたじゃねぇか畜生www
アライの顔した魔想さんとか想像したくねぇ
471名無しさん@初回限定:2010/04/30(金) 07:27:30 ID:uFw9DBea0
二次創作のためにも、クロニクル++の更新がもっと増えて欲しい
長らく新作が出てないせいか、新設定が出るだけで盛り上がるし

>>469
作品は当然のことながら、規制中でも携帯から投稿しようというその情熱が素晴らしい
472自作特攻隊WILLCOM ◆0CrenIPJUU :2010/04/30(金) 19:25:06 ID:4mQc7x8Z0
473携帯からですが【 】の者です:2010/05/01(土) 23:01:27 ID:6mgadONdO
>>470-472 レスありがとうございます。
 大変恐縮することしきりなコメントもいただきまして、あらためて皆様の懐の広さに支えられている事を痛感しております。
 世間は長い連休になりますが、当方 諸事情により投稿を一週間前後休ませていただきます。
 その旨ご了承いただけると、幸いです。
474【休暇届だけではアレなので… 前編 】:2010/05/02(日) 18:19:51 ID:UNdOIuNpO
 戦っていてわかる。
 このままではナギとの実力差は開くばかりで、“二人とも生き残る”なんて甘い夢物語で終わってしまうだろう。
 そう考えた私はカスタムへ戻り、地獄の口ダンジョンへともぐることにした。
 ナギから逃げる道中、修行も兼ねて立ち寄ったあるダンジョンに住み着いていた妙な占い師に、ある情報を買ったためだ。
 その一見、小さい女の子の姿をした占い師はこう告げる“強くなりたければ、カスタムへ行きなさい”と。
 なんでも、最近 地獄の口の奥深くに、二頭の虎が流れ着いたらしい。
 “虎”がいったいどうして、自分の修行と関係あるのか。
 気になって問いただそうとした時、その占い師の子は目の前から忽然といなくなっていた。
 あんなに沢山 壁づたいに並んでいた本棚や、そこにぎっしりと詰まった魔道書の類いまで、全て。
 一連の出来事から、占い師の言葉に妙な説得力を感じた私は、市長のエレノアに心中で詫びつつ、ナギの襲撃を警戒しながらカスタムへと戻って来た。
 地獄の口へ入り、だいたい10フロアは降りただろうか。
 あれから誰が探し当てたか知らないが、そこには確かに以前入った時には無かった階層と、出入口ができていた。
 新設された階段部屋の扉の傍には、大きい木製の看板が立て掛けてあり、力強い墨の字体で“虎の穴”と書かれている。
475【休暇届だけではアレなので… 後編 】:2010/05/02(日) 18:22:27 ID:UNdOIuNpO
 扉を開けると階段の下から、ばぁん ばぁんと何かを強く打ち付けるような音。
 きゅっ きゅっとボクサーがリング上を摺り足で移動するような音が聞こえてくる。
 あの緑のデカ口バカと会う時とは 違う意味での嫌な予感が、私を羽交い締めにしてその場から引き剥がそうとする。
 だが、賽は投げられたのだ。
 この階段を降りると、私の予想が確かならば、魔法使いの弱点である接近戦を克服でき、かつナギを取り押さえる事もできるだろう。
 そしてそれは、間違いなく新たな私の武器になってくれるはずだ。
 いつだったか古文書で読んだ、強女の子モンスターである最強魔女達から伝わったとされる、伝説の格闘技。
 魔女が使うプロレス、略して“魔女レス”。
 そのルーツである、プロレスを会得せんがために今、私はここにいるのだから――。

出演
魔想志津香 ナギ・ス・ラガール アーシー・ジュリエッタ
タイガーマスク(友情出演) タイガージョー(友情出演)
【吼えろ、志津香!】
「なぜだ、なぜお前は私から逃げる」
「なぜ私を殺そうとしない、魔想の娘よ!」「だって、あなたは私の家族よ」
「この世界でたった独りの、家族なんだから…」
――近日公開…未定――

【少しだけ、あなたと】より前に考えた一発ネタです。
パロディ、一発ネタなど苦手な方は何卒 ご了承ください。
それでは失礼致しました。
476自作特攻隊WILLCOM ◆0CrenIPJUU :2010/05/03(月) 12:13:14 ID:WI/gzZVd0
御疲れ様です…♪

わいどにょ の へびさん

http://bbs.jpdo.com/cgi/70/img/932.jpg

※また わいどにょで 強烈に萌える 女の子モンスターゲットして
スイッチが入ったら作ると思います。
477名無しさん@初回限定:2010/05/03(月) 21:51:49 ID:rtKpW9q7O
>>476
急いでわいどにょ起動して捕まえてくるわ
478自作特攻隊WILLCOM ◆0CrenIPJUU :2010/05/04(火) 12:07:23 ID:33lJuMdm0
行ってらっしゃーい。

※今度は何が捕れるかなぁ…♪
479【怪傑 ピンク仮面! 前の上編 】:2010/05/07(金) 12:49:47 ID:vgTnKvVm0
【第一話 美少女魔法使い ピンク仮面、見参】

 時はLP000X年。
 ここ、自由都市地帯 カスタムの街は、かつて無い危機にさらされていた。
 都市の中枢部とも言える、市庁舎周辺区域が突如 怪しい覆面集団の襲撃を受けたのだ。
 これによりガイゼル・ゴード町長以下、数十名の職員が心身に軽いケガ、もしくはトラウマを植え付けられてしまい、行政機能が一時的に停止。
 都市中央部はパニック状態となってしまった。
 事態を重く診たガイゼルの娘、チサ・ゴード町長代理は“カスタム ギルド”を通じて、街の内外に助けを求める。
 それに応じた数多の冒険者達がカスタムに集い、敵の軍団に勝負を挑むも敢えなく大敗。
 それどころか相手方の女首魁に一目惚れして、怪人ないしは覆面軍団の一員となる者まで出てくる始末。
 今や街が、市民が、町長までもが疲れはて、絶望に飲み込まれようとしていた――。
「ふふふ‥さぁ行きなさい、コウモリ怪人」
 間もなく、びしりと大地に鞭が打たれる。
「蝙蝠のようにフラフラと立回り続けその結果、人間関係に辟易する事で生まれる、アナタのD・S(ダーク・ストレス)パワーを見せてあげなさい!」
「コモリィイイ!」
 鈍く、妖しく黒光りするレザーボンテージに身を包んだ、敵の現場指揮官。
 “鮮紅の女王”エレノア・ランが放つ、Mの人には堪らない発破を背に受け、怪人が吠える。
「くっくっくっ、やっぱり第一話に登場する怪人は、コウモリに限るわね」
「伝統だわ、王道だわ、ノリが違うわ!あっはっはっはっ」
480【怪傑 ピンク仮面! 前の下編 】:2010/05/07(金) 12:51:24 ID:vgTnKvVm0
 女王エレノアが誰にともなく説明的に雄叫びをあげ、心の底からハイ!になっている間、怪人達は嬉々として悪事を働いていた。
 逃げ惑うカップルがいれば男を殴り、女はエネルギー吸収のため丁重にご同行願う。
 子どもが握る風船を余すこと無くつついて破裂させる者もいれば、孫が出ていって寂しい老婆の家へ上がり込み、話し相手になるなど。
 街のあちこちで口にするのもおぞましい程の、悪虐非道な振る舞いが展開されている。
 数時間後。ノルマの達成を確認したエレノアが、胸の谷間から骸骨型の懐中時計を取り出し、撤収命令を出さんとしたその時。
 カスタムの空に輝く、桃色の星が一つ瞬いた。
「待ちなさい!」
「ッ?!なんだ、誰だお前はっ」
「あなた達に名乗る名前はありませんっ」
 エレノアが陣取っていた、広場中央にある噴水の向こう。市庁舎玄関の屋根の上。
 赤いマントを風になびかせ、ピンクのもこもこ揺れている。
 陽光が反射する、エッジのきいた白くて大きいメガネが印象的だが、身体を被うひらひらとした衣装からすると若い女性だろうか。
 怪人達が慌てふためく中、桃色の口上は続く。
「この街の町長代理さんと、市民の皆さんの助けを呼ぶ声を聞いてやって来ました」
 両足を肩幅まで広げ、左右の腕を胸の前で交差させる。
 この時、両手の指は“フレミング 左手の法則”のようなポーズを決めているのが、ポイントだ。
「あなた達の悪行は、例え創世神が赦しても、この私が赦しません!」
「び、美少女魔法使い ピンク仮面!ランス様の代わりにお仕置きでしゅっ」
〈爆発音〉
 どういう原理か知らないが、ピンク仮面の後ろで桃色の煙を伴った爆発が起こる。
 つい先程まで動揺していたはずの怪人達は、肝心なところでセリフを噛んだ前代未聞の正義の味方に、そろって心癒されている。
 一方、ピンク仮面は己の失敗に恥じらい、顔を赤くして動かない。
 ここにきて女王エレノアは痛感する、
(…私がしっかりしないと、話が進まなそうだなぁ――)
 その予想は、この先 約一年間続く長い戦いの中で、正しく証明される事になるのであった。
481【怪傑 ピンク仮面! 中の上編 】:2010/05/07(金) 12:52:52 ID:vgTnKvVm0
「‥え、ぇえい ピンク仮面だかなんだか知らないが、邪魔をするなら私達の敵よっ」
「お前達、やっておしまい!」
 うわ、ちょっと若い子が出てきたから‥女の嫉妬こえー‥などと耳打ちし合う、悪の軍団。
 こめかみに血管を三本浮き立たせると、ツカツカとヒールを鳴らして近づき、手近の覆面へアイアンクローを極める鮮紅の女王。
「 やっ て お し ま い 」
 顔面をきりきりと締め付けられ、名も無き覆面が失禁する光景を目撃する団員達。
 エレノアの瞳が此方へ向けられるのが先か、我先にとピンク仮面へ襲いかかるのが先か。
 とにかく己の今と未来のために、彼らは走り出した。それこそ生涯、他に類を見ない程の全力で。
 ちなみにコウモリ怪人は後方で待機だ。様式美である。
「コモリィ…」
 同僚の惨状に涙目の蝙蝠はさて置き、我武者羅に暴れる一人減って四十九名の覆面達。
 対するピンク仮面は殴り、蹴り、関節を極めた相手を盾に魔法を撃つなど、多勢に無勢も何のその。順調に敵を蹴散らしていく。
(こういう時って、外から援護しちゃダメなのかしら‥)
 味方のあまりに不甲斐ない状況に、慌てて荷物入れから“最強女幹部になろう!”と銘打たれた、分厚いマニュアル本を取り出すエレノア。
(パワーダウンの結界なんて、すぐに用意できるものじゃないし‥)
(人質‥に捕るような民間人は避難済み。弱味を握るような情報も無いし…、!これだわっ)
「ふぅ‥さぁエレノアさん、あとはあなたと怪人さんの二人だけです。降参してください!」
 マニュアル本を落ち着いてカバンの中に戻すと、勝ち誇った笑みを浮かべて立ち上がり、叫ぶ。
「勝てる勝負を目の前にして、逃げるバカがいると思って?ピンクのお嬢ちゃん」
482【怪傑 ピンク仮面! 中の下編 】:2010/05/07(金) 13:37:25 ID:vgTnKvVm0
 屍々累々の四字熟語を、これまでに無い完成度で体現している覆面戦闘員達が、「お前じゃ無理」と もげんばかりに首を振る中。
 “鮮紅の女王”エレノア・ランは、女王の名に相応しき自慢の獲物、ダークネスウィップを見せつけるようにしならせた。
 そして、後ろで同僚達を懸命に応援していた、コウモリ怪人を目の前に呼びつけると、彼の背中に紅い鞭線を刻み始める。
〈ばしぃ ばしぃ〉
「あっはっはっはっ、さぁコウモリ怪人!今こそお前の本当の力を見せる時が来たのよッ」
「お前の中で眠っている野生の本能、今こそ呼び覚ましてあげるわ!」
〈びしっ びしっ びしぃっ〉
「コ、コモリィィィイイイイイイイ!!」
 鞭のリズムがノリにノったその瞬間、コウモリ怪人の身体は紅い光に包まれ、異様な速さで巨大化していく。
 やがて、あっという間に体長50メートル前後、だいたい12階建てのビルと同程度の大きさにまで成長すると、
「ごも゛り゛ぃ゛いいいい゛」
 耳を突き破る程の砲声を、あげた。
「〜〜〜ッッ?!ふぇーん、いくらなんでもこんな大きい人相手に、勝てませんよぅ…」
 超インフレ化した展開に気が動転したピンク仮面。
 自宅で待機しているはずのマスコットパートナー、あてな二号へ打開策を求めて必死に連絡をとる。
「〈ピピッ〉『ふぁい、あてなれす』あ、あてなちゃん?助けて、今 大変なの!」
『…あてなは今、おるすばんれす。用があるならピーッて言うから、メッセージを――「えっ、今少し間が有ったよね?」
「ていうか、このピンク仮面変身セットのコンパクトを使った通信に、留守電機能なんて‥〈プツッ ザザー〉」
「あてなちゃぁあああああん!!」
 ピンクのもこもこが、女の友情の稀薄さを噛み締めている間も、コウモリ怪人は暴れ天国の真っ最中だ。
 このまま彼の攻撃を交わし続けるには、MP(マジックパワー)の残量が少なすぎる。
 もうダメか、とピンク仮面がその青い宝石のような瞳を閉じた、その時である。
「ふぎゃっ」
 高笑いをしていたエレノアの額に、緑色をした貝殻がぶつけられ、どこからか馬鹿っぽくも雄々しいガハハ笑いが聞こえてくる。
483【怪傑 ピンク仮面! 後の上編 】:2010/05/07(金) 13:39:00 ID:vgTnKvVm0
 怪人により焦土と化したカスタム都市中央部。
 その中で辛うじて、街路樹程の高さを保つ瓦礫の上に、彼は いた。
「だーはっはっはっはっ。
 天知る地知る人が知る、お前は誰だと驚き叫ぶ!
 貝と共に現れ、貝と共に去る、正体不明の快男児。
 おう、てめぇら全員耳かっぽじってよく聞きやがれっ。
 俺様の名前はラ――「んごぅもりぃいいい」〈どがん〉」
 巨大化の副作用か、空気の読めないコウモリ怪人の右腕がラ、もとい“緑の貝の人”を襲う。
「でぇええいっ、まだ途中だぞバケモノめ!邪魔、するなッ!!」
 ざむ、と一閃。
 “緑の貝の人”が無造作に振るう黒の大剣が、伸びきったコウモリ怪人の右腕を切り落とす。
「ごもり゛ぃいいい」
「ちっ、雑魚がでしゃばるからだ」
 舌打ち一つ。不機嫌な顔をすると、砂利道の真ん中でぺたりと三角座りをする桃色の女を見やり、また顔を逸らす。
「ぐ、おい。お前、大丈夫か?」
 昨晩珍しくケンカしてしまい、気まずいままアイスの家を出てきた事を思い出したシィル。
 ピンク仮面の格好をしているにも関わらず、言葉が出せずにうつ向いてしまっている。
「おい、聞け。今 俺様はシィル・プラインという、奴隷のくせしてご主人様に口答えしやがる、奴隷の風上にも置けない女を捜しているんだが‥」
 思わず顔を上げるピンク仮面。コウモリ怪人から逃げる際のダメージで、仮面が剥がれかけている事には気づいていない。
「ラ、‥“緑の貝のお方”。そんな子を捜してどうするんですか?」
「さしでがましいかも知れませんが、もういっその事 他の奴隷を捜せば良いではありませんか」
 今となってはお互い、ろくにケンカの原因も覚えていないくせに、その時感じた不快感ばかり沸き上がる。
「ランス様は、わた、シィルの事なんて忘れてしまえば‥他の綺麗な女の方のところへ行けば――〈ぽけん〉いたっ」
 感情に振り回され、本当に伝えたい事とは違う話をし始める彼女の頭に拳骨を落とすと、背中を向けてぼそりぼそりと何やら告げた。
484【怪傑 ピンク仮面! 後の下編 】:2010/05/07(金) 13:41:11 ID:vgTnKvVm0
「?…ッ?!ランス様、ランス様、ランス様ーーー!」
「シィルは、シィルは‥うぅ、うわーん」
 いつの間にか元の大きさに戻った、コウモリ怪人の右腕の治療を終えて、撤収準備を始めたエレノア軍団。
 彼らのほんの5メートル向こうでは、一昔前の少女漫画を地でいくような、パステル調の桃色空間が展開されている。
「コモリィ…」
「そうね。再来週の合コン、私も出てみようかしら」
 コウモリ怪人の慰めに、苦笑いしつつ割と真剣に答える鮮紅の女王。
 戦闘員達が全員バスに乗り込んだ事を確認し、先程の場所を振り返ってみる。
 そこには既に彼らの姿は無く、物影から嬌声とガハハ笑い。
 加えて、“我が栄光”とでも名前が付けられそうな、ギターサウンドの効いたBGMが辺りを賑やかにしている‥気がする。
 やがて、全てを察したエレノアがバスに乗り込むと、地獄の口ダンジョン内部にあるアジトへ向けて走り出す。
 もはや勝ち負けなど意味は成さない、そんな戦場があそこには有った。
 車内の空気は重いような、軽いような。
 魔法携帯電話で、長い間連絡を入れてなかった家族と話をする若者がいれば、ケガの治療で良い雰囲気になる妙齢の男女もいる。
 拐(さら)ってきた女性と和やかに料理の話をする、パートの戦闘員を見てエレノアは、
(転職、考えようかなぁ…)
 人生の脳内反省会議を、寝たフリしながら独り、行なうのであった。
【第一話 女幹部 エレノア・ランの黄昏】
終わり。
※このピンク仮面はパロディ&フィクションです。
ランス4.Xに登場する、“あの”ピンク仮面とはパラレルもしくは劇中劇と捉えていただけると幸いです。
>>476 へびさん可愛いです。次回作も楽しみにしています!
485名無しさん@初回限定:2010/05/08(土) 07:15:19 ID:GMVVlp3pP
わっふるわっふる
486自作特攻隊WILLCOM ◆0CrenIPJUU :2010/05/08(土) 12:17:00 ID:u3t3Gwf00
御疲れ様です…♪ 

※キャプテンバニラの制作準備中です…♪
487【暑さに負けたお話 前編 】:2010/05/09(日) 17:50:42 ID:YhkijW/K0
「ぐおーあちー‥」
 朝食を終えて、満腹感に誘われるまま、リビングのソファに寝転ぶランス。
 つい先週までなら、長年連れ添った奴隷が台所でちゃきちゃき水仕事をこなす姿を、ぼんやり眺めつつ うたた寝など興じていたものだが。
 ここのところ暖かいを通り越して急に暑くなってきたおかげで、眠気の“ね”の字も催しやしない。
(扇風機‥は去年、気がつきゃ壊れていたし。魔法クーラーも買い換え時か)
「うむむ。暑い暑いと思っていたら、余計に暑くなってきた気がするぞ」
 と、ここで彼は先程から聞こえてくる水の音から、この問題の解決策を導き出す事に成功した。
(そうだ。たまには手伝ってやろうとか言って、台所へ行ってみるか)
(そしたら後は適当に、じゃばじゃばと食器をすすいでるふりして、水でひんやり‥)
(ぐふふ、俺様天才)
 そうと決まれば早速行動。この行動力からそが、彼の魅力の一つである。
「あーおほん、シィルちゃん。ちょっと」
「はい、ランス様。どうしたんですか?」
 いつもなら部屋向こうのソファで、ごろごろしているはずの主人が台所に来ているので、少し驚く。
 驚きながらもそれを顔へは出さず、自然に会話しているあたり、ランスとの付き合いの長さを感じさせられる。
「む、まぁなんだ。いつもお前はよく働いているからな」
「心が宇宙よりも広い、お前のご主人様がだな。今日この時ばかりは手伝ってやろうではないか」
〈がしゃん〉
 それなりに高かった大皿が割れた。
488【暑さに負けたお話 後編 】:2010/05/09(日) 17:51:44 ID:YhkijW/K0
「シィルちゃん、何ぼーっとしているれすか?お皿の破片がぱりぱり、危ないれすよ」
「え、あっ、すすすすみませんランス様!私ったらうっかりして――」
 見ていて暑さが倍化しそうになったため、コメツキバッタのようにぴょこぴょこ頭を下げるシィルを、適当なところで止めさせる。
「あ、あの」
「なんだよ」
 洗剤が少し混ざった水桶に手を浸し、気休めでも涼をとっていたためか、それほど怒っている様子はない。
 なんだか妙に普段と違う彼に、ますます疑問符を浮かべながらも、シィルは話を続けた。
「あの、すぐに床の破片は片づけますので、それまで‥」
「あぁ、この辺に積んであるやつを洗えば良いのか?」
 遠くであてな2号が、ベッドのサナ(マットレスを支える平面の板の部分)に頭をぶつける音が聞こえた。
「あ、はい。その‥お願いしてもよろしいでしょうか?」
「‥お前ら、俺様をいったいどんな目で…いや、いい。とっとと掃除機持ってこい」
 がーがーと破片を魔法掃除機に吸わせながら、シィルはちらりと気まぐれな己のご主人様を見る。
 思えば彼に奴隷として買われる前から、既に一人で生活していたことだし。
 あてなから聞いた話では、自分が用事で家を空けた時には、たまにカレーうどんなど作ってくれる事もあるらしい。
(意外と手際が良い‥って、私ったらさりげなく失礼なこと考えてたかもっ)
 ぷるぷるともこもこ頭を左右に振って、掃除機を終(しま)いに行く。
「これでよし、と」
 瀬戸物は分別してごみ袋に入れて、収集日まで庭先のポリバケツの中へ保管しておく。
 玄関から戻ると、蛇口をきゅきゅっと閉める音がした。洗い物が終わったのかもしれない。
「お昼までまだ時間あるし、冷たいピンクウニューンを淹れてさしあげようかしら」
 なんだか新婚さんみたい‥などと、勝手に赤くなる頬を押さえつつ。
 心持ち足早に、キッチンへと戻るシィルであった。
終わり。
>>485-486 レスありがとうございます。
“ピンク仮面”の続きは、あまり期待しないでいただけると幸いです。どうにも一発ネタ臭が強すぎるので。
このお話は、最近 変に暑かった事から思いついたものです。
母の日的な部分もあるかもしれません。
489自作特攻隊WILLCOM ◆0CrenIPJUU :2010/05/10(月) 12:10:20 ID:mIHfqFRS0
じろじろ…♪ 御疲れ様です。
490【ミルがナイチンゲールなお話 前編 】:2010/05/12(水) 10:30:44 ID:tVu/X+uG0
「できた〜っ!さぁさぁ、マリアちゃんもランちゃんも、運んで運んでっ」
 正午。
 ここ、自由都市地帯 カスタム都市庁舎、エレノア・ラン都市長の部屋内 台所にて。
 出来立ての“筍と春野菜の醤油バター責め温泉卵地獄”を片手に、はしゃぐミル・ヨークス。
 日ごろ家で姉のミリが台所に立つ際には、花嫁修行も兼ねて手伝うようにしている彼女だが、食卓に並べる料理を全て自分で作ったことは無かった。
 今 マリア達が並べている“トマトと野菜のチーズソースサラダ”と、“抹茶のティラミスうし乳まみれ”など。
 それらは、合間に彼女ら料理好きペアの助言や指導を給(たま)わりつつ、その小さい鼻や頬っぺたに、生クリームをくっつけながら懸命に作り上げた物だ。
 ミルにとって、大切な家族も同然である友人達と、強くて優しい姉のために。
「なぁにそわそわしてんのよ、ミリ。あんたらしくもない」
 寝起きから一時間弱。漸く眼が開いた矢先、友人のなかなか見ない表情に、からかい半分で声をかける魔想志津香。
「いや、だってよ‥なんだか照れ臭くねぇか?こんな改まった感じでさぁ…」
 そう言って、年ごろの婦女子には決して褒められたものではない、貧乏揺すりを再開するミリ。
 せめて、気持ちを落ち着かせようと、正面のティーカップを手に取り、中身が入っていないことに肩を落とす。
 見かねた志津香がカップをふんだくる様に奪い、ポットから温くなったアールグレイを注いで渡す。
 すると、普段のミリならこの様なずぼらな行為をする志津香に、「女だったら紅茶の淹れ方ぐらい――」などと、母親のような口調で諭してくるのだが。
「ん?あ、あぁ‥サンキュな。〈ぐびりぐびぐび〉っ、はぁ」
 ご覧の有り様である。
(これは重症ね。‥ったく、とんだ姉バカだわ)
 志津香が戦術的撤退を決めこみ、二度寝を貪らんとウィッチハットを目深に被り直そうとしたその時。
「お姉ちゃん、志津香ちゃん、おっ待たせー♪」
 どうしようもないこの場の雰囲気に、天使が舞い降りた瞬間だった。
491【ミルがナイチンゲールなお話 後編 】:2010/05/12(水) 10:32:05 ID:tVu/X+uG0
「――うん。美味しいよ、ミルちゃん」
「あら本当だわ」
「んー‥バターと醤油の分量が少し濃いけど、好みの範疇内。及第点ね」
 上からエレノア、志津香、マリアのコメントである。
「わーいっ、ミルほめられちゃった〜♪」
 料理好きの二人が日々の研鑽を怠らないため、すっかり舌が肥えてしまったカスタムレギュラーメンバー。
 そんな彼女達に及第点をもらえたとあって、ミルは思わず跳び上がって喜んだ。
 が、それもつかの間。先程から一言も喋らない、一番感想を訊きたい意中の相手、最愛の姉。
 彼女の方をそろそろと振り返ると、緊張で口中が急速に渇いていくのを感じながら、押し出すように訊ねる。
「‥っ、お姉ちゃん。その‥ダメ、だったかな?」
「‥なわけ・るか」「えっ?」
 右手のフォークを強く、握り締めて今一度 告げた。
「駄目だなんて、不味いわけなんてあるかよ!ミルっ!!」
「お前の料理。パスタも、サラダも、デザートもっ。全部、俺の大好きな味だよこんちくしょおーーー!!」
 叫び、純白フリルのエプロンに身を包む、愛妹を抱き寄せる。
 そのまま「大陸に産まれて良かったぁあああ」と吠えたかと思えば、“自慢の妹”と記された旗を背負い、メリーゴーランドの様にミルを抱き上げくるくる回る。
 楽し気に笑い合う彼女らの周囲を、梅の花吹雪が舞い 祝福する‥ように見えるのは、果たして気のせいだろうか。
 エレノア達三人が、二人のためにー世界はあるのーとかなんとか、古い歌を口ずさみながら食事を続けるしばらくの間。
 ヨークス姉妹は、くるくるうふふ、ぐるぐるきゃっきゃ。二人仲睦まじく、回っておったとさ。
終わり。
>>489 レスありがとうございます。
キャプテンバニラの黒マグロアッパーには、GALZOOの中盤で大変お世話になりました。
都市長シリーズ第三段。ミルが(ミリの心の癒し的な意味で)、ナイチンゲールのお話です。
5月12日は、看護の日&ナイチンゲール女史の誕生日という事で一つ。
492自作特攻隊WILLCOM ◆0CrenIPJUU :2010/05/12(水) 12:31:33 ID:xbYke/nB0
今日も楽しくじろじろ…♪ 御疲れ様です っコーヒー

※わいどにょ系・キャプテンバニラは現在も無断密造中(約53%)ですが
パテの消費量が大きく、
今日も早く上がれたら専門店に買い足しに行く予定です。
493自作特攻隊WILLCOM ◆0CrenIPJUU :2010/05/13(木) 05:41:15 ID:sk3KvAKT0
http://bbs.jpdo.com/cgi/70/img/934.jpg

無断制作中のキャプテンバニラ・・・♪
※この写真は近いうちに消します、
494名無しさん@初回限定:2010/05/13(木) 11:20:44 ID:IQA7KvjHO
>>493
wktkしてきた
完成まで正座して待ってる
495自作特攻隊WILLCOM ◆0CrenIPJUU :2010/05/13(木) 12:22:37 ID:IeCEcm+j0
っ座布団

どもです、早く上がれたら作業を再開します、早ければ来週の
日曜に完成予定です。
496名無しさん@初回限定:2010/05/13(木) 23:06:30 ID:HwWLei7Y0
二人とも頑張ってるなぁ
応援してるぜ
497名無しさん@初回限定:2010/05/14(金) 06:14:12 ID:nttIPxJ+P
頑張りすぎだろ・・・
わっふるわっふる
498自作特攻隊WILLCOM ◆0CrenIPJUU :2010/05/14(金) 12:22:23 ID:KqZic4810
どもです、キャプテンバニラが完成したら、次はバルキリーをこさえます…♪
499【忘れな草 前編 】:2010/05/15(土) 10:17:34 ID:jj4SE849O
 JAPAN。
 “軍神”上杉謙信が治める、佐渡の中心。城から離れた森奥、滝壺の水面。
 修行用の白襦袢に身を包み、水流に身を任せてゆらゆらと漂う女が一人。
 烏の濡れ羽色の慣用句を、見事に体現させている長い黒髪をふわりと広げ。目をつむり、たゆたう。
「……すまない、愛。もうそんな時間か?」
 閉じた目蓋はそのままに、感じた気配の主に向けて声をかける。
「いいえ、時間はまだ充分に。ただ、このところ妙にぼうっとしている謙信様へ、忘れ物を届けに参りました」
 手提げ袋から、毛布程もある大きめのタオルと着替えを取り出し、岸から上がってきた謙信の世話をする。
「まったく。春になってもまだまだ佐渡は冷えるんだから」
「修行をするのは結構ですけど、風邪を引かないように準備してから行くよう、いつも言ってるじゃない」
 小言をこぼす直江愛の目は優しく、謙信の髪と身体を手早く乾かしていく。
「うん。‥いつもすまない」
 うつ向き、どこか弱々しい声で返答する、嘘をつけない最愛の友人に気づかれぬよう溜め息を一つ。
「ランス殿、ですか?」
 謙信の着替える手が止まる。
「あの人のことですから、元気にやってるのは間違いないでしょう。それに――」
 殺しても死ななそうな顔してるし、と言いかけたところで、少し迷った末 言葉を飲み込む。
 暫しの沈黙。
「愛は。ランス殿がいなくなって、寂しくないのか?」
 着替え終えた謙信がぶん投げた、直球でしかも豪速球な問いかけに、思わず噴き出す秀才軍師。
「なっ。‥謙信、冗談は止めてちょうだい。
 あんな自分勝手で、乱暴で、スケベで、謙信の出した手紙にろくに返事も書かないヤツなんて…」
 デコを赤らめ、ちゃっちゃと城へ戻る準備を済ませて、謙信を歩かせようとするが、動こうとしない。
「愛よ。恋患いというものは、誠に苦しいものなのだな」
 胸の鼓動を、掌から感じとるような仕草で話を続ける。
500【忘れな草 後編 】:2010/05/15(土) 10:20:46 ID:jj4SE849O
「会えない日が積み重なり、彼の人と交わした言の葉や、数えるだけの思い出が少しずつ。少しずつ、消えていってしまうんだ」
 忘れたくないのに、私は全部憶えていたいのに――!
 涙は落とさなくても、謙信は泣いていた。
 静かに、静かに。水面に、樹木の葉が舞い落ちる音よりも遥かに。
(ったく、あんな根っからの風来坊に惚れてしまったんだもの。仕方ないとはいえ)
 目の前の、少女漫画のヒロインよろしく、お空に向かって恋人の無事を祈る謙信を、複雑な思いで見守る。
(…少女漫画?そう言えば何日か前、勝子と虎子の二人が謙信と一緒に、何やらわいわい盛り上がっていたような)
「そうだわ、漫画を貸すとか何とか。まさか謙信、あなた――」
 説明しよう。
 誰より純粋な“軍神”上杉謙信は、勝虎コンビが大量に布教している大人気少女漫画、“桃色時代”の虜になってしまったのだ。
「ふふ、会えない時間が二人を強くする、と物の本には書いてあったが。私は駄目だな、まるで弱い。
 あぁ、ランス殿。逢いたい…」
 古い名作であるその漫画は、幼い頃に興味本意で愛も読んだ事がある。
 が、そのどこか宙に浮いた独特の世界観が愛には理解し難く、再び読み返す事はせずに蔵へしまいこんだ記憶がある。
 今、眼前で己の主君が繰り広げる一人芝居は、その漫画の有名なシーンではなかっただろうか。
「つまりは、感情移入し過ぎてしまってこうなったと。思春期によくある、麻疹(はしか)のようなアレかしら?」
 それにしても、遅い思春期だこと‥。きりきりと痛むこめかみを押さえながら、心中で呟く。
(帰ったら、勝虎達にはなるべく面倒くさくて、誰もやりたがらない仕事を押し付けよう)
 ずるずると引きづられながらも、未だに一人宝塚劇場を続ける謙信を横目に、愛はささやかな復讐を決意する。
「謙信、戻ったら鈴女さんに相談してみましょう?
 あの人の事だから、ランス殿の動向もいろいろ教えてくれるわよ、きっと」
 最後にフォローも忘れない、出来た忠臣、いや親友であった。
終わり。
PC規制のため携帯から(ry
5月15日の誕生花は忘れな草、花言葉は“真実の愛”だそうです。
>>496-497 応援レスありがとうございます。次作品作成の励みになります。
>>498 お疲れ様です。バニラ&バルキリーの造型、楽しみです!
501自作特攻隊WILLCOM ◆0CrenIPJUU :2010/05/15(土) 12:17:05 ID:gp3qA4VU0
じろじろ…♪ 光景が浮かぶようですね。
502自作特攻隊WILLCOM ◆0CrenIPJUU :2010/05/16(日) 22:25:26 ID:jvjZCrtW0
503【月見酒 前編 】:2010/05/17(月) 18:41:50 ID:nBxUpn8lO
 長く続いた戦争も終わり、織田城内の縁側に三人。
 蒼白く輝く円い月を見て、酒を舐める。
 今生の魔王、来水美樹とそのボーイフレンド、小川健太郎の別れの挨拶を聞き、香姫に旅へ出る旨を告げた後。
 穏やかな夜風にくるまれて、月見酒は続く。
「3Gが教えてくれたのですけど‥「ん?」」
 ランスに注いでもらった一杯目の甘いお酒を、ちびちびと舌に転がし 香姫は微笑む。
「昔。JAPANのある有名な作家の方が、愛の告白をするなら“月が綺麗ですね”と言いなさい、っておっしゃったそうです」
「 ? 何だそれは、ふつーに好きだとか、愛してるじゃダメなのか?」
 自分で言ってて、鳥肌が立ってきた‥と呟き、大袈裟に身を震わせ おどけるランス。
 それを見て香姫、口元を細く小さい手指で覆い ころころ笑いながら、
「私も初めはそう思ったのですけど。…でも、今日みたいにとても素敵な満月を目の前にしたら‥。
 何となく、わかる気がします」
「むむむ、そう言うもんなのか?」
 JAPAN独特の感性を必要とする言い回しに、ただでさえ変に鈍い彼の頭上で、疑問符が行列をつくる。
 だからと言って、詳しい解説なんて訊こうものなら、“兄さま”的に何だか負けた気がして。ひとまずランスは、
「まぁ、香ちゃんもまた一つ大人になったという訳だな」
 お茶を濁した発言とともに、彼女の頭を撫で、早々に話題を変える事にしたのだった。
 それから暫くして、義妹の頭が舟をこいでいる事に気づいたランス。
 起こさぬよう慎重に横へ寝かせると、近くの部屋から毛布を取って、彼女へ掛けた。
 そのまま元いた場所へ座り直すと、中身が空っぽのお猪口を見て徳利を探す。すると、
「ランス様。どうぞ」
 横合いから差し出された、JAPANに来てから愛用している陶製の酒器。
 それを捧げ持つ、朝も 夜も。出会ってからこれまで、疾うに見馴れている奴隷の両腕。
 永久氷に眠るはずの、シィル・プラインの姿がそこには――あった。
504【月見酒 後編 】:2010/05/17(月) 18:46:26 ID:nBxUpn8lO
 お前、いつからどうやって…心配かけやがってこの馬鹿野郎…
 いくつも言いたい事が浮かび挙がるが、それら全てをぐわーっと飲み込み、まずは〈ぽかり〉拳骨を一発。
「ひんひん、痛いですよランス様ぁ」
「うるせぇ!この、‥このアホ!」
 涙目で額を抑える彼女を前に勢い、頭を抱き寄せる。
 さあっ と今夜一番強い風が、庭の松の木を揺らし、雲を走らせ月光を隠す。
 やがて再び満月が彼らを照らし、重なっていた二つの影がゆっくりと離れていった。
「ランス様‥〈ぺしん〉あうっ」
「ふん、いつまでもぽーっとしてるからだ。ほれ、さっさと酒を注がんか」
「は、はいっ」
 デコピンした手で頻(しき)りに自分の頬を捏ね、サービスタイムは終わったとばかりに、いつもの調子で酌を催促するランス。
 幸せそうに緩んだ頬をそのままに、いつもの様に応えるシィル。
 一杯。二杯。酒は進み、そろそろ徳利の中身も尽きる頃。
 夜空で、朧に浮かぶそれを見て。シィルは独りごちる。
「‥月が、綺麗ですね…」
 瞬間。目を見開き、閉じて、黙考する。
 適温を保つ甘口の酒を喉へ送り、香姫との会話を思い返した挙句、更に考えて一言。
「……あぁ」
 ただ一言だけ、返す事にした。

 夜が明けて、小鳥が元気に合唱する声でランスは目を覚ました。朝の肌寒さに身体を擦り、左右を見やる。
 右に香姫。太陽の光が当たるのかもぞもぞと動き、むずがっている。
 左。昨夜のそれと寸分変わらぬ氷の中、奴隷が眠っていた。
「‥香ちゃんだってそろそろ起きるってのに、お前というヤツは――」
 拳を振り上げ、いつものお仕置きをしようとしたその時、
「…ちっ」
 どこか幸せそうな顔をして眠る、彼女の顔に気づくのであった。
終わり。
>>502 お疲れ様です。可愛くて凛々しい、素敵なSDバニラさんでした。
5月17日の誕生花は“チューリップ(黄色)”。花言葉は“愛の表示”という事で一つ。
また、「月が綺麗ですね」云々は、夏目漱石御大のエピソードを参考にして作りました。
※余談ですが。黄色のチューリップは、一般的に“実らぬ恋”など鬱々とした花言葉が多いので、贈り物の際には注意が必要かもしれません。
505名無しさん@初回限定:2010/05/17(月) 22:34:06 ID:p2TPPv9L0
>>502
せっかく可愛くできてんのに飯がグロ過ぎだろ二枚目wwww

>>503-504
なんか色々と妄想できるSSだなぁ
こういうの大好きだ
506自作特攻隊WILLCOM ◆0CrenIPJUU :2010/05/18(火) 05:59:28 ID:SVvSKqbH0
月見酒じろじろ…♪

※キャプテンバニラ 焼き肉食い放題編

はじめ人が少ないうちの一枚で、後から外国人旅行団体と女子学生団体
が来てフィギャ出すとヤバイので写真が撮れませんでした…

今度はわいどにょ系バルキリーの制作を始めたので…
507【I.C.F 前編 】:2010/05/20(木) 09:58:27 ID:Zze/ls3f0
 ゼス国。
 ゼス宮殿を専用魔法エレベーターで降りること、地下10階。
 そこでは料理を好きで、好きで、たまらなく愛している、生粋の料理バカが集まり、昼夜問わず各々の腕を競い合わせていた。
 その様な戦場(いくさば)に過日、ある一体の食に飢えた魔人が、空腹で目を回しながらこの地に足を運ぶ。
 男の名前はガルティア。己の腹にムシを飼う、“食欲魔人”の名に相応しき豪の者である。
 運命の女神という者が、果たしてこの世界に存在しているかは、かの“伝説の占い師”アーシー&ルーシー・ジュリエッタ。
 あるいは、“全てを知る者”ホ・ラガにでも訊かない限り、決して解り得ないであろう。
 しかし事実、先の魔人がこの国の王、ラグナロックアーク・スーパー・ガンジーと出会う事により、運命の歯車は きしりと廻り始める。
 お祭り好きの側面をもつガンジー王。道に迷った挙句、腹を空かせてゼスへ辿り着いたガルティア。
 そして、料理Lv.2のスキルをもつ、ゼス国が誇る天才料理人。
 22歳を超えてなおも、日々その腕前は成長を続ける、“サクラ&パスタの総料理長”マルチナ・カレー。
 彼ら三人が中心となって発ち上げられた、IronCookingFight。略称I.C.Fが主催する、世紀の一大イベント。
 “天下一料理の鉄人決定戦”の幕が、今宵切って落とされようとしていた――。

 静まりかえった暗闇に、観客席からわずかに響く、固唾を飲む音だけが生きる。
 会場の広さに反比例して、中心に数台の実用性豊かな、業務用システムキッチンが鎮座する中。
 身長210cmと、かなり大柄な男が姿を現した。瞬間、スポットライトが彼を刺すように照らす。……ガンジー王だ。
 お付きの女性から魔法マイクを受け取ると、一呼吸。
 風船の様に胸を膨らませ、観客へ。いや国民、更には大陸へ住まう人々に向けて、問う。
「最ッッ高の料理人が視たいかッッッッ?!!!!!」
 怒歓声。失神する程の悲鳴。大地震と錯覚するかの様な足踏み。
「そうか、そうか‥私も視たい!視たいぞ、あぁッッ!!」
 暑苦しいばかりの泣き笑いを浮かべ、人々に応えるガンジー王。
 やがて、アリスと名乗る金髪幼女(と烏)の 明るく朗々としたナレーションに、人々は注目する。
「全選手入場!!」
508【I.C.F 中の上 】:2010/05/20(木) 09:59:18 ID:Zze/ls3f0
 お客殺しは生きていた!!更なる研鑚を積み人間凶器が甦った!!!
 団子姫!! 織田香姫だァ――――!!!
 キムチ料理はすでに私が完成している!!
 キムチ・ドライブだァ――――!!!
 材料あるなら炒めまくってやる!!
 毛利家代表 吉川きくだァッ!!!
 料理のレパートリーは主婦の経験がものを言う!!
 元リーザス親衛隊々長 アビァトール・スカット!!!
 真のメイドを知らしめたい!! お仕置きとSMは紙一重 ウェンディ・クルミラーだァ!!!
 魔法関係は優秀々才だが料理ならまだ勉強中だ!!
 大丈夫なのか マジック・ザ・ガンジーだ!!!
 魔法科学は完璧だ!! キ●ガイ完治 パパイヤ・サーバー!!!!
 全JAPAN食のベスト・レシピは私の中にある!!
 魔人の娘が来たッ 黒姫!!!
 魔法の戦闘なら絶対に敗けん!!
 氷術の恐ろしさ見せたる 料理はどうした ウスピラ・真冬だ!!!
 バーリ・トゥード(なんでもあり)ならこいつが怖い!!
 ゼスのピュア・マジシャン アニス・沢渡だ!!!
 JAPAN陰陽道の大家から天才術師が上陸だ!! 一途な童貞 北条早雲!!!
 罪滅ぼしがしたいから都市長になったのだ!!
 趣味の料理を見せてやる!!エレノア・ラン!!!
 冥土の土産にベルトとはよく言ったもの!!
 老婆の純愛が今 厨房でバクハツする!! 魔人の恋人 メアリー・アンだ―――!!!
509【I.C.F 中の中編 】:2010/05/20(木) 10:00:25 ID:Zze/ls3f0
 はすんの唐揚げこそが彼女の料理の代名詞だ!!
 まさかこの人がきてくれるとはッッ 上杉家の名軍師 直江愛!!!
 お菓子作りたいからここまできたッ キャリア一切不明!!!!
 女の子モンスター おかし娘だ!!!
 私達はおはぎしか作れないのではない料理もちゃんと作れるのだ!!
 御存知JAPAN妖怪 南方御天 野菊!!!
 サバイバル料理の本場は今や私が体現している!! 七難八苦は伊達じゃない!!
 山中子鹿だ!!!
 デカァァァァァいッ説明不要!! 2m22!!! 187kg!!!
 ヘルマン第三軍所属 タミ・ジョンだ!!!
 料理とはどんな場所でも出来てナンボのモン!!! 鬼が島で鍛えた技を見よ!!
 JAPANから川之江美禰の登場だ!!!
 遊園地は亡き夫のもの コパンドン代表にはそのあたり近く話したい事があります!!
 元・Mランド都市長 運河さより!!!
 自分を試しにゼスへ来たッ!!
 脱サラならぬ脱花売り エレナ・フラワー!!!
 テキサス料理に磨きをかけ ”北陸一の美女”雪姫がやってきたァ!!!
 今の自分に死角はないッッ!! ゼス四天王の一人 ウルザ・プラナアイス!!!
 死の巫女の実力が今ベールを脱ぐ!! JAPAN巫女機関から 名取だ!!!
 妹の前でならオレはいつでも全力だ!!
 燃える姉バカ ミリ・ヨークス 水着エプロンで登場だ!!!
510【I.C.F 中の下編 】:2010/05/20(木) 10:27:00 ID:Zze/ls3f0
 親衛隊の仕事はどーしたッ リックにアピール 成功なるかッ!!
 酔った彼女には皆タジタジ!! レイラ・グレクニーだ!!!
 特に理由はないッ 男運が悪いのは仕方ない!!
 職場にはないしょだ!!! リーザス赤の軍副将!
 メナド・シセイがきてくれた―――!!!
 独り暮らしで磨いた節約料理!!
 大陸最後の女の子ムシ使い カロリア・クリケットだ!!!
 ベッドメイクだったらこの人を外せない!! 超A級メイド 加藤すずめだ!!!
 超一流召し使いの超一流の家庭料理だ!! 生で拝んでオドロキやがれッ
 ゼス軍のアックスマスター!! ロッキー・バンク!!!
 カラーの料理はこのお方が完成させた!!
 カラーの女王!! パステル・カラーだ!!!
 若き王者が帰ってきたッ
 どこへ行っていたンだッ チャンピオンッッ
 俺達は君を待っていたッッッシィル・プラインの登場だ――――――――ッ

 加えて負傷者発生に備え超豪華なリザーバーを4名御用意致しました!
 男達のパライソ『桃源郷』から 案内係のルーシア!!
 SEX勝負の対戦相手 白のバニーさん!!
 緑のバニーさん!
 ……ッッ  どーやらもう一名は到着が遅れている様ですが、到着次第ッ皆様にご紹介致しますッッ
511【I.C.F 後の上編 】:2010/05/20(木) 10:28:27 ID:Zze/ls3f0
「なお、この大会の優勝者には、賞金100万GOLDと――」
 Cの字型の会場。一際高い位置に備え付けられた、VIP席へライトが当たる。
「地上最高の料理人、我が国きっての料理の鬼。
 マルチナ・カレー嬢への挑戦権が与えられますッッッッ!!!!」
 口角泡がスコールの様に乱れ飛び、会場の空気は、テンションは最高潮に達していく。
 一方、選手達が整然と立ち並ぶ会場の中央。
 周囲の異常な熱に当てられ、すっかり涙目で膝を落とした、桃色のもこもこが一人。
「な、ななな、なんで‥何で私がチャンピオンになってるんですかぁ?聞いてないですよこんなの‥うぅ」
 そのままさめざめと泣きはらすシィルへ、今大会のコミッショナー ガンジー王が、熱中症患者を殖やさんばかりのスマイルで、説明する。
「シィル君は確か、先々月の地下料理勝負に出場していたね?」
「あ。は、はい。その‥ランス様が面白そうだからって、強引に…」
 彼女らの関係を少しでも知る者達には、当時の光景がありありと脳裏へ思い浮かぶ。
「うむ。その時キミは、“しろう”と“ゆうざん”、彼らの醜い争いを手料理で治めたそうじゃないか!」
 本来の対戦相手、ゆうざんが連れてきた至高の料理人に、観客席に居たしろうが子供みたいなケチをつけ。
 勝負そっちのけで良い大人二匹の、壮絶なケンカが始まった。
 初めは彼らを何とか止めようと声をかけ、身体を押さえてみたりしたものの。
 互いに頬をつねくり合って動かぬ両者に、命の危険は無さそうだと判断。
 至高の料理人(仮名)氏としばし話し合い、せっかくだから料理は作る事にしたのだ。
「そこでシィルさんが作った“お袋の味 へんでろぱ”が、マザコン二匹‥失礼。
 しろうとゆうざん両名の心を動かし、チャンピオンへ任命されたのです」
 いつの間にやら舞台上に降りてきていたマルチナが、話を締めくくる。
「シィルさん、あの二人はゼスでも無駄に有名な料理評論家でね。
 以前、私の店に来た時も、出したフルコースそっちのけで、ケンカだけして帰っていきやがったのよ…」
 マルチナの静かな怒りが大地を震わせ、大気を凍てつかせる。
512【I.C.F 後の下編 】:2010/05/20(木) 10:29:19 ID:Zze/ls3f0
「だから私、あんな失礼な奴らにも認めさせるような料理を、ずっと研究してきた」
「そしたら、貴方があいつらを見事倒したって話聞いちゃってさ‥、腕が疼いちゃった」
 淡々と話す間にも、手慰みに産み出される肉じゃが、ポトフ、アメリカンパイ。
 その言葉に嘘偽りはないのであろう。どれもこれも、世に言う“お袋の味”を代表するシロモノだ。
 ちなみに、それらは全て食欲魔人の腹に収められるからして、PTAの皆々様はどうか安心して頂きたい。
「…という訳だがシィル君。君には覚悟があるかね?
 ここに揃う、三十余名の料理バカを倒し、絶対王者に相対する覚悟が」
 ――静寂。
 誰もが“地下料理勝負場のチャンピオン”、シィル・プラインの言葉を待っている。
 目を閉じ、黙考していたもこもこの こめかみから汗が一滴。
 頬を伝い、頤(おとがい)から離れ、タイルの床へ――爆(は)ぜる。
「私、………私、やります」
「あんまり凝ったものとか、難しいのとか。まだまだレパートリーは少なくて、本当だったらここにいてはいけないのかもしれないけど…」
 だけど、と観客席の一角。空気などまるで読まずに、隣の美女を口説いている己のご主人様を見て、続ける。
「だけど私、負けたくないですから!
 奴隷だから、奥さんとか、お袋なんてなれる訳無いの解ってるけど‥
 でも!好きな人の前で、闘いもせずに逃げるなんて真似。絶対にしたくないから、だから――私、やります!!!」
 ふふ、ふふふ、ぶわーーーっはっはっはっ‥もはや騒音レベルで大笑するガンジー王が、観客席を振り仰ぎ、宣言する。
「諸君!!今よりここ、ゼス宮殿地下10階料理勝負場において、“天下一料理の鉄人決定戦”を開催する!!!
 皆、心してッッその眼にしかと、焼き付けるのだッッッッ!!!」
終わり。
>>505-506 感想レスありがとうございます。
5月20日の誕生花は“かたばみ”、花言葉は“輝く心”という事で一つ、一発ネタです。
コピペの部分の選手達は、“公式で料理できる+できそう+できなくても面白そう”な人選となります。
その旨ご了承ください。
513自作特攻隊WILLCOM ◆0CrenIPJUU :2010/05/21(金) 12:23:06 ID:eCZpNUle0
じろじろ…♪ 

※女の子モンスターの玉子も料理に入っていたのでしょうか…?
噂では美味しいらしいですが…
514名無しさん@初回限定:2010/05/23(日) 06:36:40 ID:CwZ42IpnP
SS面白いです
515自作特攻隊WILLCOM ◆0CrenIPJUU :2010/05/24(月) 05:56:19 ID:iw7JlppN0
わいどにょ のバルキリーでした…

※大型モニターに秋葉原の写真を使用。
516【独眼流家定例会議 前編 】:2010/05/24(月) 10:39:39 ID:zRl3geHA0
 ‥えっと、皆さんこんにちは。独眼流家 南方護天の野菊です。
 突然ですが、インディアン・ポーカーという遊びをご存知でしょうか?
 初めての方へ簡単に説明いたしますと、トランプゲームの一つで、人数は4人ぐらいで行います。
 基本的なルールとしては、以下の4つ。
1.トランプ52枚とジョーカー2枚をよく切って、プレイヤーに1枚ずつ裏向きで配ります。
2.自分のカードを見ないようにして、額の前に掲げます。
3.他のプレイヤーのカードを見て、勝てると思えば「勝負」を宣言。自信がなければ「降りる」と言ってください。
4.カードを表向きにしてそれぞれの数を比較、ここで勝者1名が決まります。
 頂点に立つ者はただ独り、この点とてもシビアなゲームですね。
 ちなみに、カードの強さはAが最も弱く、そこから階段状に強さが上がって、ジョーカーが最強。
 ただし、最弱のAは最強のジョーカーに勝てる、そんな夢のあるルールもあります。下剋上ってやつでしょうか?
 さて。ここまで長々と、ちょっとマイナーなゲームの説明をしてきましたが、つまり私が何を伝えたかったかと言いますと…
「さーて、みんなカードはもらったかなー?」
「ノワールのカードに変な印が付いてる。折女、交換しろ」
「我はこのままで構わぬ。どうせ最後に勝つのは、我一人だからな」
 伝えたかったかと言いますと……
「はい、野菊の分」
「折女、やっぱりノワールさっきのやつで良いぞ。見てない、数字なんて見てないからな!」
「配り終わったならさっさと始めぬか。梵天丸が差し入れてくれた団子が、固くなってしまう」
「………もうっ、折女さんもノワールさんもお町さんも!
 今は月に一度の、大事な会議の時間なんですよっ。
 それなのに、どうしてトランプなんて始めちゃうんですかーーー!!」
「あ、じゃあ野菊は政さんの団子いらないってことでー「参加しますっ!!」‥わーい」
517【独眼流家定例会議 中の上編 】:2010/05/24(月) 10:40:27 ID:zRl3geHA0
 とは言え、このインディアン・ポーカーは、実質 折女さんとのサシの勝負です。
 この人のぽややんとした、脱力系ポーカーフェイスに比べたら、あとの二人の何と解りやすい事か‥。
 ほらほらノワールさん、野菊とお町さんを見て落ち込んじゃったらダメですよぅ。
 お町さんも、頑張って無表情を装おってるけど、後ろの尻尾がばっさばっさ動いてます。特に、折女さんの方を向いた時!
「ノワールさん「な、何だよ野菊」」
「もしかして、そのカードで勝負するつもりなんですか?」
「 ?! い、いけないのか?‥“幸運は、良い女のところにやってくる”って、政宗言ってたぞっ。
 の、ノワールは良いオンナだから、絶対勝つんだ!」
 ‥政宗様ったら、さすがの伊達男。ぴろーとーくで素直になれない蜘蛛っ娘の、純情ハートもがっちりキャッチです。
「ひゅーひゅー、政さんやるぅ〜」
「ふん、だったら我がこの中で最強と言える訳か。残念だったな、ノワール」
「ふ、二人ともうるさいっ。とにかく、ノワールはこの勝負、絶対に降りないからな!」
「えーそーなんだー。もしあたしが勝ったら、少し分けてあげようと思ってたのにー」
 お、折女さん?!そんな、懐柔作戦ですか?
 いやいや、でも先程あれだけのタンカを切ったノワールさんですよ?まさかそんな、見え見えの口約束なんか通る訳――
「…少しって、どれくらい?「通った!?」」
「んー、3本ぐらい?「少なっ」」
「あ、危うく騙されるところだったぞ。折女、もうお前の手にはノらないからな」
「じゃあ7本「ノワール降りる」」
 えぇええええ?!!
518【独眼流家定例会議 中の下編 】:2010/05/24(月) 10:41:17 ID:zRl3geHA0
 ノワールさんが降りて残り3人。
 やっぱり勝負しておけば…なんて、頭抱えてごろごろ転がる彼女を別室に残して、ゲームは続きます。
 お町さんの“8”という数字が、何とも絶妙です。
 勝てるナンバーもそれなり、でも負ける方がやや多い、見る者を皆 悩ませずにはいられない、悪魔の数字ですっ。
 ‥ふふ。まるでお町さんのゴイスーなボディみたい、とか一瞬でも考えちゃった野菊は、疲れてるんでしょうか。
「お町さ「降りぬ」ですよね…」
「ああまで見事に引っかかった蜘蛛ちゃん見た後じゃねー」
 うわ、折女さんのナチュラルな挑発にも反応しないなんて‥ノワールさん、ふて寝してる?
「我は梵天丸との絆を信じておる。その絆があれば、自ずとツキがやってくるだろうて」
 しゃなりとポーズを決めるお町さん。
 尻尾を一房使いカードを押さえ、お金持ちのお嬢様がよくやる高飛車笑いで、野菊達を煽る。
「あーでも姐さん。いくら何でもそれじゃ、あたしらに勝てないんじゃないかな?」
「何?…あ」
 あ。見ちゃった。
「あらら、お町姐さん反則負けー」
 ‥えっと、自分で自分のカードを見たらダメなので、お町さんアウトです。
「梵天丸ぅうううう…」
 …お町さんって、意外とおちゃめさんですよねー。〈←遠い目をしながら〉
519【独眼流家定例会議 後編 】:2010/05/24(月) 11:14:11 ID:zRl3geHA0
 ノワールさんは引き続きふて寝中。お町さんは多分、政宗様のところへ泣きつきに行ったのでしょう。
「やっぱり、野菊達二人の勝負になりましたか‥」
 折女さんのナンバーは、“6”。決して大きいものではない。
「野菊はー‥もちろん降りてくれないよねぇ?」
「当たり前です。野菊だけは、折女さんの手に引っ掛かりませんよ!
 矢でも手裏剣でも、ブラフでも持ってこいですっ」
 ‥相変わらず何を考えてるのか解らない、ぽやっとした表情。
 だらけていても流石くのいちです。目元口元、身体全体から癖を探そうとしても、なかなか隙を見せません。
 情報を整理しましょう。野菊の数字を予想するに、ノワールさんの反応と、お町さんの尻尾の動きから考えて、少ないものではないはず。
 折女さんの“6”よりは大きく、お町さんより小さい。そう考えると、…“7”が妥当でしょうか。
 いやいや、お町さんは野菊の方を見て尻尾を振りませんでした。もしかして、折女さんよりも小さい?
〈ぱく ぱく〉
 ‥いけない。勝負時に悩みこんでしまえば、負けフラグです。
〈ぱく ぱく ぱく〉
 くっ、せめて何か、何か手がかりになるような情報があれば‥って、
〈ぱく ぱく げふっ〉「折女さん?折女さん、後頭部‥」
「え?あー、どうりでさっきから幸せな気持ちになるわけだー」
 ま、政宗様からの差し入れ、全部…
「ごめーん、後ろの口が食べちゃったみたーいあっはっはー‥えと。お茶、飲む?残ってるけど‥「う」う?」
「うわぁーーーん、政宗様ああああぁぁ…!!」〈←ドップラー効果を残して駆ける野菊〉
「‥あらら、行っちゃった。ノワール起きてー、あたしらも政さんのとこ行こー?」
終わり。
>>513,514 レスありがとうございます。
女の子モンスターの卵は、マルチナさんあたりが邪道と断じて、材料倉庫に入れて無いかもしれません。
520自作特攻隊WILLCOM ◆0CrenIPJUU :2010/05/24(月) 12:35:09 ID:+cxF6arf0
御疲れ様です…♪

女の子モンスターの玉子は無いんですね〜残念。
※闘神都市Vではうっぴーの料理が有ったので魚に近いのか
肉に近いのかイカに近いのか興味深い限りです。

http://bbs.jpdo.com/cgi/70/img/940.jpg
http://bbs.jpdo.com/cgi/70/img/941.jpg

バルキリーの写真張り付けるの忘れました…

そう言えば野菊・ペン立てフィギャーが昔本家スレで出ましたね、
今日から2カ月間工房の整備予定でしたが、繰り上げして

野菊フィギャーを制作してみますか…
※戦国ランスの入ったHDDが飛んだのでネットでググッて
資料探しですが…
521名無しさん@初回限定:2010/05/25(火) 10:21:20 ID:h+WHyv+9P
いいSSだ
政さんはどんなルートでも解雇した記憶がw
522名無しさん@初回限定:2010/05/25(火) 10:59:58 ID:I4PCti000
政さんは犠牲になったのだ・・・
四大天キャラクリの犠牲・・・その犠牲にな・・・
523【Bar Aliceへようこそ!2 前編 】:2010/05/27(木) 09:18:15 ID:laxuL+rE0
 これは、無限に広がる平行世界の中のお話――。

 TOKYO都 TACHIKAWA駅の南口にその居を構える、とある居酒屋。
 つい先日オープンしたばかりのこの店は、わずか半年あまりでその名をTACHIKAWA中に知らしめた。
 適度な重みの押し戸の先には、シックな調度品と心休まる暖色灯。
 店内に流れるクラシックジャズが、疲れた身体を引き摺るサラリーマンへの、癒しのオアシスとなる。
 店主のコーモリ、スタッフの忍 六十八号(通称 レッド)、そしてカーチスの三人で週5日の営業。
 仕入れ先の市場が休みである土曜と日曜は、贅沢な話だが完全にオフにしている。
「お客サマには、いつでも新鮮で、良いモノをこそ食べてもらいたいじゃない♪」と言うのがコーモリの言い分だ。
 副業に情報屋などの、潤沢な資金を別件で稼げる彼だからできる、営業スタイルである。
 本日は木曜日。週末に近づいたとは言え、明日もまだ仕事が有る人間の多い日。
 PM5:30に店を開け、程なくした頃。入口の扉上部へ据え付けられた、澄んだ音色のドアベルが来客を報(しら)せる。
「こんばんは、ご無沙汰してますコーモリさん」
「あらヤダ、かなみちゃんじゃない。お久しぶり、元気してた?」
 掃除を終えて、手が空いたカーチスにグラス磨きを任せ、短大卒業から約3ヶ月ぶりとなる、常連客の下へ駆け寄っていく。
「初仕事からここのところ、妙にばたついてて‥終業したら深夜近いとか、あり得ないですよぉ‥」
 もらったお絞りとお通しを端に寄せ、カットレモンの付いたお冷やを、ぐいと飲み干す。
 メニューをちらりと見て四拍分考えた挙句、学生時代からのお気に入り“こかとりす肉のコース”と、オリジナルカクテル“忍”を注文。
 その後、カウンターにほど近いテーブル席でぐでんと垂れつつ。
 コーモリに軽くグチをこぼす一連の流れは、かなみが常連になった時から変わっていない。
524【Bar Aliceへようこそ!2 中編 】:2010/05/27(木) 09:19:01 ID:laxuL+rE0
「あら、そんなコト言いながらかなみちゃん、充実した顔してるわよぉ。
 ライターさんのお仕事、思ってた以上に楽しんでるんじゃなーい?」
 こかとりすの腿肉をフライパンで炒めながら、安心したように微笑むコーモリ。
「‥えっへっへぇ、マスターにはかなわないなぁ」
 コーモリにしろレッドにしろ、彼女――見当かなみが忍者ではなく、普通の女の子として社会に出たがっていた事を知っていた。
 いや、知っていたどころかむしろ“応援”していた。
 情報屋を営むそのコネクションから、文字通りの“何でも屋”を生業とする、凄腕くのいち 鈴女を雇い。
 かなみが幼少の頃より所属していた、風魔忍者軍団の里へ、話をつけに行ったのも記憶に新しい。
 後学のためにと強制的に手伝わされたカーチス・アベレンが、顔面蒼白で帰って来た事から、“話し合い”の内容は推して知るべしである。
 何はともあれ、こうして晴れてかなみは普通の女の子として、とあるイベント・グルメ情報誌の、ライターになったのだった。
「これから一年ぐらいは先輩の傍について、修行や雑用係になりそうなんですけど‥。
 でも、意見や質問があればきちんと聴いてくれる方が多いから、何とかやっていけそうです」
 前菜をぱくつきながら嬉々として語る彼女に、カクテルを運んできたレッドのいたずら心がくすぐられる。
「そういえばかなみちゃん、以前一緒に来てた口のデカい彼氏はどうしたの?「ぶふっ」」
 ジンベースのフルーティな香り漂う、霧をつくる。
「れ、る、レッドさん、あいつは全然そんなんじゃなくって!!」
 アイコンタクトを交わしたコーモリが、追い撃ちをかける。
「でも気になってるのよネ?「違いもすっ!…うぅ」」
 見事に噛んだ。
525【Bar Aliceへようこそ!2 後編 】:2010/05/27(木) 09:20:11 ID:laxuL+rE0
「あいつは、‥ランスは全然そんなんじゃないんです」
 口から盛大に吹いてしまったカクテルを、ちびちび呑んで一息つく。
「むしろ、シィルちゃんって言う良い娘がきちんと傍にいるのに、他の女の人にも手を出す最低なヤツなんです!」
 腿肉のステーキへナイフをぶっ刺し、乱暴に切り分ける。
「現に、友達のメナドとかも口説いていたし‥」
 分けたとり肉を大きめのナンの上にのせ、カレーソースをかけると、親の仇のようにかぶりついた。
「ふぁ、ふぁふぁふぃふぉこほふぉ、いっふほいひふぇふひ!
(わ、私のこともいっつもイジメるし!)」
「あぁ‥うん、わかったワ。わかったから、レディが食べ物口に入れたままお喋りするのは、いただけないわよン」
 唇から一滴つたうソースを、紙ナプキンで拭ってやって苦笑するコーモリ。
 ふと我に返って恥ずかしさが襲ってきたのか、首から上を真っ赤にして90度、別方向へ向くかなみ。
「アタシ的には筋肉ついてるし、顔もなかなか整ってるし。
 ちょっと子どもっぽいけど、面白そうな子だと思ったんだけどなー」
「そうね、節操のないお猿さんみたいな子はちょっとねぇ‥」
 コーモリとレッドが客のいない事を良い事に、ランスを肴にしてあーだこーだと盛り上がる。
 暫くして、やっぱり男は優しいのが一番よねぇなどと、二人が結論を出そうとしたその時。
 もそもそとサラダを食べていたかなみが、
「…あいつも、たまになら優しいとこ‥あるもん」
 と、もごもご呟いていた声を彼らにばっちり拾われ、店を出るまでさんざんイジり倒されるのであった。
終わり。
>>520-522 レスありがとうございます。ビシッと構えるバルキリーさん、凛々しかったです。
政宗さんはお気に入りのキャラの一人です。あの曇り無き眼にメロメロ。
・念願の、普通の女の子としての生活を手に入れた見当さんのお話でした。
526自作特攻隊WILLCOM ◆0CrenIPJUU :2010/05/27(木) 12:40:28 ID:TPssCBfA0
じろじろ…♪ 何時も面白いですね…♪

※今度は、臨時増発で野菊フィギャーを制作中です。
(透明のとかは資金的に無理ですが、エポキシ透明樹脂が高額な為)
形なら難でも作れそうです、※戦国の正宗も作れそうです。
527【お墓参りをウルザと 前編 】:2010/05/30(日) 10:17:50 ID:wgM8eEco0
 獅子心中の虫、アベルトの策略により、多くの同士と掛け替えのない家族を、地獄の様な戦場へ置き去りにしたあの日。
 私――ウルザ・プラナアイスは、惨めにもその命を繋ぎ留めていた。
 心が折れて、比喩ではなく立ち上がる事さえ困難になった身体と引き換えに。
 生きているのに死んでいる。そんな毎日をおくっていたのだ。
 (結果論も大いに有るものの)ゼスにとって、救国の英雄となるあの人が現れるまでは。

「…すみません、お待たせしました」
 気がつくと結構時間が経っていたようで、待ち合わせ場所のベンチに着いた時、彼はお昼寝中の様でした。
 時折、私の握り拳が丸々一つ入ってしまいそうな、大きな口をぐわーっと開けて、イビキをかきつつ。
 背もたれに思いっきり寄りかかって、遊び疲れて眠ってしまった子どもみたいに、とても気持ちよさそう。
「ランスさん、ランスさん。起きてください」
 何度か強く揺さぶっては声をかけてみるものの、
「んがー ぐむむ‥がはははは、ぱいぱいいっぱい…」
 ‥恥ずかしい寝言をむにゃむにゃしたかと思えば、寝返り打って私の方に倒れてきます。
「きゃっ、変なところ掴まないでくださいっ」
 アルフラやカーマを朝、起こしに行った時のそれとは違い、はるかに激しい攻防戦の末。
 気がつくと、いつの間にか彼を膝枕していたのでした。
 何て器用な、て言うかむしろ起きてるんじゃないですか?ランスさんてばっ。
「ぐががー ごごー‥むほほ、ふとももちゃんハロー」
528【お墓参りをウルザと 後編 】:2010/05/30(日) 10:18:50 ID:wgM8eEco0
「もう、しょうがない人…」
 亡くなった人々への挨拶を終えて、まだ昼食の時間にも余裕がある。
 もう少しだけ寝かせてあげようと決めてから、手持ちぶさただったせいでしょうか。
 彼の意外にサラサラしている髪を、撫でたり すいたりしている内に、私も眠くなってしまいました。
(いけない。私まで寝ちゃったら、この後の予定が‥――)
 ――初めて会った時の彼は、おとぎ話などでよく有る、白うまに乗った王子様なんてものとは真逆の存在。
 組織の中で揉め事を起こし、粗暴な隊員達を斬り倒し、参謀のダニエルにはそっぽを向いて舌を出す。
 挙句の果てに、私のは、初めてまで………とにかく、メチャクチャな人だった。
 でも、そんな彼がいなければアイスフレーム、延いてはゼス国は。いったい、どうなっていたのだろう。
 そして私は。彼と出会わなくても再び自らの足で立ち上がり、弓を手に取る事が果たして出来たのだろうか。

「…ちゃん。おーい、ウルザちゃーん。ぐふふ、起きないのなら仕方がない」
 ‥あれ、ランスさん?いけない、やっぱり寝ちゃったんだ。
「うししし、そんじゃ一発。気持ちよーく目覚めるように、とりゃー」
 ひゃうっ?!「え、ランスさん?起きてます!もう起きてますから!!」
〈ぼぐっ←クロスボウのグリップで頭蓋骨のヒビを増やした音〉
「〜〜〜ーーーーッッッッッうぉおおぉおぅ、頭ががががが」
 あ、危なかった…もうっ、ランスさんのバカ!
終わり。
>>526 お疲れ様です。野菊フィギュアの製作、応援させていただきます!
・以前の後書きの「政宗が云々」と言うのは、どうかお気になさらないで下さい。
お金がかかるものですし、>>526様の好きなキャラを作っていただければ、幸いです。
529自作特攻隊WILLCOM ◆0CrenIPJUU :2010/05/30(日) 15:19:02 ID:ZXUqiHEO0
何時も御疲れ様です、完成した野菊フィギャーです。

http://bbs.jpdo.com/cgi/70/img/943.jpg

※アトリエがダスト室化の為、2カ月ほど制作停止します。
530名無しさん@初回限定:2010/05/30(日) 20:30:37 ID:rQ/YOrFrP
ウルザかわいいよウルザ
531【チョチョ畑パブ三郎 前の上編 】:2010/06/02(水) 09:56:26 ID:j84Kn+jz0
 暗闇の中。やや猫背気味に直立する一人の男へ、スポットライトが当たる。
「えー‥古くから伝わることわざに、“泣く子と地頭には勝てぬ”と言うものがあります」
 画面向かって右側の3カメを見て続ける。
「聞き分けがない子供や、横暴な地頭には従うほかにない。
 道理を尽くしても、理の通じない者には勝ち目がないと言う、実に含蓄のある有名なことわざです」
 左側。1カメへ体を向けて目線をやり、眉間へ3つ深い皺を刻むと同時に、長いため息を吐く。
「今回のお話は、まさしくそれを教訓にできるまたとない機会であり、とても難儀な事件となってしまいました」
 最後。再び正面2カメを向き、紳士的に一礼する。
「えー‥皆さんも気をつけてください。
 悪い事をした子供を諭す時は、なるべく慎重に言葉を選びましょう。
 そうでないと‥、そうしないと、…すみません。頭痛薬をいただけませんか?
 まだ頭の奥であの娘の泣き声が響いているみたいで、あたたたたた…」
 暗転。どこからともなく重厚な弦楽器による、テンポの良いBGMが聞こえてきた。
 オープニングテーマの始まりである。
532【チョチョ畑パブ三郎 前の下編 】:2010/06/02(水) 09:57:17 ID:j84Kn+jz0
「ふんふんふーん、何だか今日はとっても良い日でした」
(千鶴子様から頼まれたサラサラキャンプカレーの買い出しも、全部間違いなく買ってこれましたし‥)
(他にもお手伝いしたら、ほとんど失敗しませんでしたっ)
 仕事終わりに上機嫌の山田千鶴子より頭を撫でられた事を思い出し、にへらと微笑むアニス沢渡。
 今 彼女の脳内では、キャリアウーマンと化した自分が千鶴子の分だけではなく、ゼス国中の仕事を一手に担い。
 意中の人よりキラキラと輝く尊敬の眼差しを受けながらも、「これくらいアニスには何てことありませんよ」とクールに決める。
 そんな妄想未来予想図を繰り広げては、鼻息荒く近くの壁をバシバシ叩いていた。
「うっはー、これはもう今までのご恩をお返しできる日も、すぐそこかもしれませんねっ」
 就業時刻もとうに過ぎたためか、あまり人通りの無い廊下に腹の虫の鳴き声が響く。
「あやや、…仕事のできる女はお腹が減るのも早いんです」
 うんうん頷き、誰にともなく言い訳めいた事を呟くアニス。
「でも、持ってきたお菓子は3時の休憩で食べちゃったし、お家まではガマンできそうにないし‥」
 ふらふらと歩く彼女が、給湯室の前を通り過ぎようとしてイチ、ニ、歩いて立ち止まる。
「そういえば、お茶請けのお菓子がここにはあったっけ」
(‥少しくらいなら、ほんのちょびっとだけなら良いですよね?
 今日はアニス、いっぱいガンバりましたし。ね、千鶴子様っ)
 給湯室の戸棚へ吸い込まれる様に近づいていく彼女の瞳に、もはや先程までの理性的な色が見られる事は無かった。
533【チョチョ畑パブ三郎 中の上編 】:2010/06/02(水) 09:58:10 ID:j84Kn+jz0
 翌朝。それぞれが担当する搭へ行く前に、顔を合わせてミーティングを行なう日。
 四天王の中でも出勤時間が早い2人。山田千鶴子とチョチョマン・パブリが、自分宛で届いた手紙のチェックを終える頃。
 ウルザ・プラナアイスとリズナ・ランフビット、そしてアニス沢渡の3名が登庁してきた。
「おはようございます、千鶴子様っ」
「あらおはよう、アニス。あなた今日は随分とまた早いんじゃない?」
 熱でもあるのかしらと右手を差し出す千鶴子を制し、アニスはちっちっちっと人差し指を左右に揺らす。
「千鶴子様。アニスはもう、一昨日までのダメダメな子ではありませんよ。
 千鶴子様をきっちりばっちりお支えする、“ハイパーメガ・アニス”なのです!」
 そう言い切ると窓の外をびしっと指差すアニス。
 その無駄に勢いがあるポーズに何か感じる所があったのか、デスクを挟んだ向かい側でリズナが頷きながら拍手をしていた。
 隣で苦笑するウルザとチョチョマンを見、最後に視線をアニスへ戻す。
(‥長い間この子の面倒見てきたけど。昨日の頑張りが今日まで続いてるとは、正直思っても見なかったわ)
 やる気を顔いっぱいに描いたアニスに見つめられ、気付かれないよう息を一つ吐くと、彼女を宥めて座らせる。
「もう、わかったから一旦 大人しく座ってちょうだい。就業開始時刻までまだあるんだから‥「えー」」
「まぁまぁ、アニスちゃん。あ、よかったら私お茶を淹れて来ますね」
 リズナの申し出にそれぞれ礼を言って見送ると間もなく、
「あぁっ、そんなぁっ!!!」
 廊下を出て右側、給湯室の方からリズナの悲鳴が聞こえてきた。
534【チョチョ畑パブ三郎 中の中編 】:2010/06/02(水) 10:36:05 ID:j84Kn+jz0
「リズナさん、大丈夫ですか?!」
「何、敵襲?それともゴキブリ?!」
 上から、有事を想定して3連ボウガンを装備したウルザと、台詞とは裏腹に魔力を両手に宿し、油断なく構える千鶴子。
 他部署からの電話応対でチョチョマンは部屋に残っている。
「リズナちゃん、何があったんで…す‥ ?! 」
 最後に、お互いどこかウマが合うのか、近頃リズナと仲の良いアニスが現場へ到着し、固まった。
「み、皆さん、大声出してごめんなさい。
 その、あの、お茶請けのお菓子が戸棚の中の物全部なくなってたものですから‥びっくりしちゃって」
「全部?!」
 心配して駆けつけたら肩透かしだと判(わか)り脱力していた千鶴子が、反応する。
「全部って‥全部?!「はぁ‥えぇ、そうですけど」」
「ちょっ、ウルザごめんどいて!」
 動揺した千鶴子が戸棚を調べる様子を、首をかしげて見ているウルザとリズナ。
 一方。アニスの顔色は、自前の青髪よりも更に濃い色へ変化している。
 ここに来て昨日の夕方、己がこの部屋で何をしていたのか思い出したようだ。
「‥本当。キレイサッパリ無くなってるのね」
 ややあって、表情を無くした千鶴子がこちらを振り返って言う。
「千鶴子さん。もしかして、何か大切な物を保管されていたのですか?」
 ひとまず紅茶の準備を続けるリズナを残し、会議室へ戻る途中ウルザは尋ねてみた。
 すると拳をぷるぷると震わせ、恨み辛みをマーガリンのようにたっぷりと塗りたくった声で、
「あの中にはね。ガンジー様から『皆で食べてくれ』といただいた、貴重な。き、ちょ、う、な、お菓子が入っていたの」
(えっ、あれ確かアイスフレームのアジト近くでいつでも買えた――「ウルザ?「えぇ!それは困ったわ、問題よね!」」
535【チョチョ畑パブ三郎 中の下編 】:2010/06/02(水) 10:36:48 ID:j84Kn+jz0
「いったいどこのどいつが、ガンジー様からの賜り品に手を‥汚らしい手を付けやがったのかしら…」
 ふしゅー こぱー と瘴気を吐き出す山田千鶴子が、興奮冷めやらぬ面持ちで席に戻り、ウルザはチョチョマンへ一部始終を説明する。
「なるほど、それはそれは――」
 無念でしょうなぁと彼が千鶴子を見たその先に、瀑布(ばくふ)の勢いで冷や汗を流すアニスを捉えた。
 小声でウルザに挙動不審過ぎる彼女について尋ねると、「皆で給湯室へ向かった時からあの調子」らしい。
「あー‥アニスさん、どうかされま「アニスはなにもしりませんよ?」‥はぁ」
 どうしたものかとウルザを見る。
「千鶴子さんがあの調子ですから、脅えてしまうのも無理はありませんけど‥」
 そうこうする内にリズナが戻り、多少落ち着いたのか彼女の後について着席する。
「お茶うけがなくて、ちょっぴりさびしいですけど‥」
 少々空気を読まない発言と共に、カップへ注いだ紅茶を配るリズナの後ろ。
 “お茶請け”の単語に身体を大きく跳ねさせたアニスを見て、チョチョマンの抱く彼女に対する疑惑は、確信へと変わる。
 暗転。チョチョマンへ ピンスポット一つ。
「えー‥給湯室に買い置きしておいたお茶請けと、千鶴子さんの大切な貰い物が一晩で、全てなくなってしまいました」
「このSSをご覧いただいている皆様には、すでに犯人の目星がついているでしょうそして、」
 右斜め下へ俯いて、出来ない口笛を吹くアニス沢渡を見る。
「私もつい先程 犯人がわかりました‥えぇ、あの方です。
 問題は、どの様にすればこの場を円く収めることができるか、その方法です」
「ご覧の皆様もぜひ、一緒に考えてみてはいかがでしょうか。ヒントは‥彼女の上司。チョチョマン・パブリでした」
 紅茶を口に含み、暗転。
536【チョチョ畑パブ三郎 後の上編 】:2010/06/02(水) 10:37:35 ID:j84Kn+jz0
 時刻は午前8時45分。ミーティング開始時刻まであと15分だ。
 ウルザはこの後の会議で使う資料をまとめる傍ら、様子のおかしいアニスを心配し。
 リズナはお手製の手袋タイプのぬいぐるみ、“うしくん”と“かえるくん”を装着。
 殺気で黒く燃え上がる山田千鶴子へついて、懸命な消火作業を執り行っている。
 かように混沌とした状況の中、ついにこの男が動いた。
「えー‥皆さん、もうすぐ週に一度の報告会が始まる時間ではありますが…。
 少し、私の小話に耳をお貸しいただいても宜しいでしょうか?」
 前説に含まれた“おかし”の部分に反応した千鶴子がガンを飛ばし、アニスが貧乏揺すりで超局地的地震を起こす。
 残りの2人から期待と不安がない混ぜになった視線を受けるも、飄々とした口調で話を続ける。
「えー‥私の叔母さんから聞いた話なんですがね――
 昔々あるところに、ジョージくんとワシントくんという、それはそれはとても仲が良い兄弟がおったそうです。
 2人は小さい頃からケンカもせず、両親を流行り病で亡くしてからは力を合わせ、よりいっそう仲良くやって来たそうです。
 でもある時。兄が夕食の材料を山へ採りに行っている間、弟はどうしても我慢できないことがありました。
 その日は畑仕事が暑さのせいか頓(とみ)に忙しく、やたらと腹が減っていたのです。
 昼食をきちんと食べたはずなのに、どうにもお腹の音が鳴りやまない。
 窓から見える雲の位置が端から端へ流れる頃、弟のワシントくんは決意しました。
『兄の部屋へ行こう‥何か食物の一つくらいはとってあるかもしれない』と。
 そうして空腹状態により成せる妙技か、出来る限り慎重に証拠を残さぬよう、兄弟の部屋を漁ったワシントくん。
 彼は見事 目当ての食糧を見つけ出します」
 ここで一旦 手元の紅茶で唇を湿らせると、話の続きに戻るチョチョマン。
537【チョチョ畑パブ三郎 後の中編 】:2010/06/02(水) 11:16:04 ID:j84Kn+jz0
 ちなみに、既にミーティング開始時刻となっているため、他所からの電話は緊急性の有るものを除き、繋がらないようになっている。
「彼は、兄の部屋で小腹を満たすことに成功しました‥が、しかし彼は大切な事を忘れていました」
 数秒。アニスとリズナの息を飲む声が、この部屋を支配する。
「彼ら兄弟がまだ幼く、両親が健在の頃。母親は寝物語に子供達へ語り伝えました‥その里に伝わる、ある化物の話を。
 赤茶けた肌に鋭い瞳。縮れた針金のような髪を振り乱し、耳まで裂けたデカい口をしたそいつの話を。
 そいつは、普段 決して人前には姿を見せず、用心深く。野生のうしやうまを食べて暮らしています。
 でもある時。どこかで誰かが他人の食物を盗み食いしてしまった時――そいつは決まって現れます。
 何のために?人様の物を黙って食った不届き者の、大切な人を拐って、‥食べるためなのですっ!!!」
「ひいっ?!!」
 瞳いっぱいに涙を溜めたアニスが、リズナの左腕をぐっと抱きしめる。
「‥皆さんもそろそろお気づきでしょう。その夜、兄のジョージくんは戻って来ませんでした。
 明くる日も、その次の日も。待てども待てども、ワシントくんの最愛の家族は帰って来ませんでした。
 そしてある日。山へ食材を採りにいった時、戻らぬ兄が着ていた青かったはずのシャツを赤銅色の状態で見つけた彼は。
 幼い頃 母から聞いた話を思い出し、家族とは言え人様の物を黙って食べた己の愚行を後悔し、涙したのでした。
 えー‥これにて私の小話は終わります。拙い語りでしたが、ご清聴有り難うございました」
 ふう、と一息。椅子に座り、温くなった紅茶を飲み干す。
(どうです、これでアニスさんも言い出し易くなったのでは?)
 ただ罪を認めよと責めるのではなく、教訓有る話を引き合いに出し聞かせてみる。
538【チョチョ畑パブ三郎 後の下編 】:2010/06/02(水) 11:16:55 ID:j84Kn+jz0
 いわゆる太陽と北風作戦だ。あとは話に感化されたであろうアニスが、千鶴子へごめんなさいして大団円という寸法である。
(やれやれ。時間はかかってしまいましたが、漸く会議を始めら「ちずこざま゛あ゛あ゛あ゛!!ごめ゛ん゛なざあ゛あ゛い」…おや?)
「ア゛ニスの゛っ、アニズのぜい゛でっ、ちずこざま゛が食べ、た、食べられぢゃう゛う゛う゛う゛ぅ!」
「いや、あれはただの昔話だし。そんな大泣きしなくても‥「う゛わ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ん」」
「ちょっあぁもう、チョチョマンさんやり過ぎですよっ!」
「むむむ‥いやはや、まこと女性の心とは難しいものですなぁ」
 午前9時45分。寝過ごし、遅刻してしまったマジックが慌てて会議室の扉を開いたその先は。
「何なの、この状況‥」
 聡明な彼女がこの言より後、二の句を告げぬ有り様だったと言うのだから、その状況は推して知るべしである。

「えー‥昔のことわざに、女性の移ろい易い心を天候の変わり易い秋空に例えた、“女心と秋の空”と言うものがあります」
「この一連の出来事は私にとって、女心に関する不可解な謎がより増えたと同時に、まこと母は偉大であると痛感した時間でもありました」
「恋慕している相手から貰った大切な物が無くなり、夜叉のごとき表情をなさっていた千鶴子さんが、大泣きして謝るアニスさんに対して一転。
 鬼子母神の様な顔‥あ、いや、優しさで彼女を赦しました」
「泣く子に敵わぬ思いもあったでしょう。
 しかし結局、彼女にアニスさんを想う気持ちがあったからこそ、赦すことが出来たのではないでしょうか」
「良く言いませんか?――“アホの子ほど可愛い”と。‥チョチョマン・パブリでした」
 暗転。どこからともなく、弦楽器が織りなす重厚なハーモニーが聞こえてくる。
 泣き止みこそすれ しゃっくりを頻発しながら、抱きついて離れないアニスをあやす千鶴子に一礼し、退場するチョチョマン。
終わり。
539【チョチョ畑パブ三郎 あとがき 】:2010/06/02(水) 11:18:15 ID:j84Kn+jz0
>>529,530 感想レスありがとうございます。
>>529 お疲れ様です。わいどにょで動かしたくなるような可愛い野菊ですね。
工房の整備頑張ってください。

・一発ネタです。
・リズナとアニスが友人関係にあると言うのは、いつもの設定捏造部分です。
・ゼス新生四天王ファンの方 及びパロディなど苦手な方は、申し訳ありませんがスルーしていただけると幸いです。
540名無しさん@初回限定:2010/06/02(水) 14:34:46 ID:hNaaJsEO0
まさかのチョチョマンSSw
Y以降のゼス勢SSは貴重だから嬉しいわ
541名無しさん@初回限定:2010/06/02(水) 16:58:37 ID:FPNZdnJEP
最近ランスSS自体貴重だからありがたい
542自作特攻隊WILLCOM ◆0CrenIPJUU :2010/06/03(木) 06:20:54 ID:Zw/s5QGv0
>>539 御疲れ様です、
今回はドキュメタリーみたいに渋くて重い内容ですね…♪
543【怪傑 ピンク仮面!2 前の上編 】:2010/06/05(土) 09:54:50 ID:e/mTb2QRO
 私はシィル・プライン、16歳。3月5日生まれで、誕生石はアクアマリン。
 性格はちょっと人より抜けていて、ちょっと泣き虫ってとこかな?
 ある時、(自称)美少女人工生命体 あてな2号ちゃんから、不思議な変身コンパクトをもらってピンク仮面になったんだけど。
 「悪い奴らと、てきとーに戦って勝つんれすっ」なんて言われちゃって、ちょっぴり不安感じてます。どきどき。
 お料理 洗濯 お掃除、戦闘。やりたい事、やらなきゃいけない事がいくつもあって大変だけど。
 ランス様と暮らすこの世界を守るため、シィルは今日も頑張りますっ!

【 第2話 爆発+火薬=お約束? 】

 自由都市地帯 カスタムの街中に在るダンジョン、“地獄の口”の奥深く。
 そこに彼ら、“秘密結社 クライハウゼン”のアジトが存在する。
 迷宮地下5階以降を、団員総出で汗水垂らして改築し、造り上げた悪の巣窟の更に奥。
 蝋燭のつくり出す人工的な陽炎の向こう。“真紅の女王”エレノア・ランが頭(こうべ)を深く垂れ、片膝を地に付き。
 紫水晶で拵えた玉座に深く腰掛け、膝上のわんわんをゆるりと撫でる髭面の男へ報告の最中であった。
 内容は先のカスタム市街における、ピンク仮面との戦闘の件だ。
「して、エレノアよ。貴様は50名の戦闘員と、一体の怪人を連れて行きながら‥
 妙な小娘と緑の男、たった2人に負けた‥と?」
「は、はい。間違いありません」
 わんわんの白毛を撫でる手はそのままに、右手を胸元まで蓄えた暗灰色の髭へ持っていくと、数回手櫛ですく。
 その緩慢な動きに、強いプレッシャーを感じた女王エレノアが、堪らず顔を上げる。
 すると、髭男――“総統(フューラー)”ラギシス・クライハウゼンは、低く くぐもった声で笑い出した。
544【怪傑 ピンク仮面!2 前の中編 】:2010/06/05(土) 09:57:14 ID:e/mTb2QRO
「エレノアよ。面白くなってきたな…」
 何らかの処罰を覚悟し、玉座の間へ赴いていたエレノアには、さっぱり訳がわからない。
 いや、正しくは解ろうとする余裕が無かったと言うべきか。
 一頻り己の気がすむまで笑い続けると、ラギシスは引き続き作戦指揮を執り行うよう指示し、エレノアを退室させた。
 彼女が懸念していた罪を問うような言葉は一切無く、ただ一言。
 彼が欲しているエネルギー、D・S(ダーク・ストレス)パワーの収集に、殊更励むよう仰せ付かったのみ。
 ほっと安堵したのもつかの間、やっぱり不味い所に就職してしまったと、嘆くエレノア・ランであった。

「…それじゃあ今日の怪人担当はあなた、お願いできますか?」
 集めたD・Sパワーの、沈殿した部分を凝縮・結晶化して作る“ワルの種”を片手に、エレノアが ある正社員戦闘員を指名する。
「キャオラッ!(任せて下さい、姐さん。コウモリ怪人の仇は、俺がとってやりますよっ)」
「いやいや、コウモリ怪人さん亡くなってないから」
 あらかじめ社内で行っていた怪人採用試験に合格した者の中から、ワルの種が反応を示した彼。
 種を飲み込んでから一分も経たぬ内に、たちまち体が紅く光りだす。
 やがて、彼の背中にでかく分厚い亀の甲羅が現れると、両手足から象牙色の鋭利な爪を生やし、耳まで裂けた口から激しい炎を吐く。
「‥安定したみたいね。よろしく、タートル怪人」
「カメェエエックス!」
 今 ここに、版権的に考えてギリギリアウトな怪人が誕生した。
「…姿はともかく、その鳴き声は変えられないかしら?」
「………タートォル!(←若干巻き舌っぽい感じで)」
545【怪傑 ピンク仮面!2 前の下編 】:2010/06/05(土) 09:59:33 ID:e/mTb2QRO
〈どーん どががーん〉
「うわぁああ、クライハウゼンの連中だ!逃げろぉおおお」
 “真紅の女王”エレノア率いる、戦闘員100名+タートル怪人達が、街を蹂躙する。
 前回の教訓を活かし、部隊の人数も倍に強化されたその行軍には、見る者を圧倒させる力があった。
 ある者は店の前で屯(たむろ)する不良少年達からD・Sパワーを吸い取り。
 また、ある者は路上投棄されていたゴミやタバコを拾うなど。
 今日も街のあちこちで正視するのも憚られる非道な行為により、街は悲しみに満ち溢れている。
「ふぅ‥順調ね。このまま何事も無く帰還できれば良いのだけど」
 ここで、一人のアルバイト戦闘員がエレノアの下へ歩み寄り、耳打ちする。
「キャオラッ(女王様、キャラが元に戻ってますぜ)」
「あらいけない‥おっほん。
 あっはっはっはっ、愉快だねぇお前達。その調子でどんどんD・Sパワーを集めるんだよ!」
 一部 放送事故にも似たやり取りがあったものの、何事も無くイベントは再開される。
「あぁ、私の研究所があっ!」
 この時、調子にのったタートル怪人が吐き出した火炎放射が、この街に住むある発明家の住居を焼く。
 ごうごうと焼ける家の中 何とか彼女が持ち出せたのは、唯一完成していた携行式の大砲一丁と、十数枚の開発設計図。
 うっわやっべーなどと、タートル怪人が滝のような冷や汗を流して固まってしまったところで。
 その家の主、マリア・カスタードがぐりんと振り向き、
「あなたたちがわたしの、‥わたしのかわいいチューリップを…」
 ぶつぶつ、ぶつぶつ。うつ向き加減で、怨恨込めた独り言を呟いたかと思うと、
「う…う‥うっわーーーーん!!全員そこに並べぇえええ、修正してやるんだからッッ!!!!」
 単身。唯一残ったチューリップ1号を担ぎ、エレノア中隊へ突貫して行くのだった。
546【怪傑 ピンク仮面!2 中の上編 】:2010/06/05(土) 10:38:25 ID:e/mTb2QRO
 つい先程まで逃げ惑うばかりだった街の住民と、近くにいた覆面戦闘員達が協力して消火活動にあたる中。
 残りの覆面達はそれぞれの職務へ忠実に従い、独り突撃してくるマリアを迎え撃つ。
 一人、二人、三人…次々と襲いかかっては、マリアが振り回すチューリップ1号に殴られ、払われ、地面と熱いキスをする。
 ならばと判じた戦闘員十数名が、スクラムを組んで彼女を組み伏せんとすれば。
 たちまちチューリップの発射口が赤く色づき、25メートルの空中散歩へ招待される。
 なお、劇中で使われている火薬は、漏れなく安全かつ死人の出ない火薬を使用している。
 このSSをご覧になっておられるPTAの皆様におきましては、何卒ご安心頂けると幸いである。
 閑話休題。
 爆発音を聞きつけたのか、続々と仲間の戦闘員達が集まって来ている。
 気づけば火事も無事に消し止められているようで、そちらへ出張っていた人員も合流してきていた。
 肩で息するマリアの眼前には、味方がやられて開き直ったタートル怪人と、残り80人弱の覆面戦闘員。
「さ、さすがに‥この人数相手にするのは、分が悪かったかしらね…」
 肉体的な疲労と住まいを焼失した精神的ダメージで、彼女が絶
547【怪傑 ピンク仮面!2 中の中編 】:2010/06/05(土) 10:40:25 ID:e/mTb2QRO
 表の主人公が意気消沈して膝を抱えている間、“マスコットパートナー”あてな2号がマリアの下へ飛び降りる。
 突然の出来事にマリアはもちろん エレノア達までも戸惑い、動きが鈍い中。
 彼女はどこまでもマイペースに契約の準備を始める。
「はい。それじゃこの青いコンパクトを持って、こんな感じでさけぶれすよ。もにょもにょ‥」
 あてなの強引な進行に、「こう言う流れなのね」と変に納得したマリアは、教えられた通りヤケになって叫ぶ。
「チェエィイイインジ、マスク・ザ・ブルゥ!!」
 瞬間。碧い閃光がぴかりと走り、エレノア達の眼を眩ませる。
「眼があ、眼がぁああ」
 まるでどこかの失われた天空城の末裔のように、目蓋を押さえフラフラとさ迷うクライハウゼンの軍団達。
 覆面越しだったため、幾らか回復が早かった戦闘員の介抱により、5分後。
 正常な視界を取り戻した彼女らの前にはまた一人、仮面のヒロインが増産されていた。
「タートォオオル?!(え、ちょっ、もう新キャラ導入?テコ入れ早くない?)」
 何やら危ない発言を口走る怪人の後ろで、戦闘員数名が通りすがりの名レフェリー、阿部シロー氏へ猛抗議している。
 しかし、残念ながら阿部氏は名“悪徳”レフェリーとして、有名なお方。
 彼らの抗議に耳を貸さないばかりか、この場から退場させてしまう辺り、どうやら今回は仮面チームを贔屓するようだ。
 そしてもちろんマリア、もといブルー仮面はこの隙を逃さない。
「愛しのチューリップちゃん達の恨み、思い知りなさいっ飛ぉおんでけぇええええ!!!!」
 不思議なコンパクトから溢れ出る、カイザーエネルギーにより強化されたチューリップ1号。
 もはや携行式とは言えぬサイズの巨大バズーカ砲から、極太のエネルギー光が射出。
 75名ほどいた覆面戦闘員は、全て地獄の口方向へと吹き飛ばされ、後には怪人とエレノアの2人だけとなってしまった。
548【怪傑 ピンク仮面!2 中の下編 】:2010/06/05(土) 10:42:17 ID:e/mTb2QRO
「っ、どうせ‥どうせこんな事になるだろうと思ってたわよ。
 タートル怪人、さっさと背中向けなさいっ!」
「タートォル(あ、姐さん無茶せんといてや、ホンマに)」
 相棒の宥める声を華麗にスルーし、自慢の得物ダークネスウィップをぐいぐいとしならせ、打ち始める。
〈ばしっ ばしっ ばしばしぃっ〉
「あっはっはっはっ、そらそらタートル怪人。ドジでノロマな亀の底力、真の恐ろしさを魅せておやり!」
「た〜とぉおおおおるうううぅ」
 初代ガンダムと同程度の大きさ、つまり体長17メートル強まで巨大化したタートル怪人が、呆気にとられるマリア目掛けて炎を噴き出す。
「危ないブルー仮面、氷の壁ッッ」
 仲間の危機に間一髪、氷系魔法を応用して作った半円型のバリアを張り、ブレスを防ぐピンク仮面。
 しかし火炎の勢いは凄まじく、彼女のMP(マジックパワー)及びカイザーエネルギーが容赦なく削られていく。
(このままじゃ‥氷のバリアが溶かされちゃう。くっ、‥こんなところで負けたくないのに…ランス様ぁ!)
 いよいよバリアの表面にヒビが入り始め、ブルー仮面が目を閉じ覚悟を決め、あてな2号がちょうちょを追いかけていた――瞬間。
「とぉう!〈どぐっしゃぁああ〉「た〜ぁああとおるぅ」」
 突如。ビッグタートル怪人の横っ面に、緑色の影が跳び蹴りをかまし、更に女王エレノアの額に緑貝を投げつけた。
「いったーい、もうっ今度は誰よ!‥って、この貝はまさかっ」
「だーっはっはっはっはっはっはっ。
 天知る地知る美女が知る、お前は誰だと驚き叫ぶ!
 貝と共に現れ、貝と共に去る、正体不明の快男児。
 おう、てめぇら全員耳かっぽじってよく聞きやがれっ
 俺様の名前はラ――「わ〜い “緑の貝の人”れすー、あてなのご主人様なのれすー」
 でぇえええい、離れんかバカタレっ。まだ名乗りの途中だろうがこのアホ、マヌケ!」
549【怪傑 ピンク仮面!2 後の上編 】:2010/06/05(土) 11:20:21 ID:e/mTb2QRO
「来てくださったんですね、“緑の貝の御方”‥」
「ふんっ。人が気分良く散歩してたところに、ギャーギャー喧しかったからな。それだけだ」
(誰だか知らないけど、ちょっとかっこいいかも…)
 左肩にあてなを載せたまま見つめ合うピンクと緑。
 そして窮地を救った闖入者(ちんにゅうしゃ)へ、見事 一目惚れしてしまったブルー。
 妙な雰囲気に包まれつつあったこの場の空気は、漸く起き上がった巨大亀によってぶち壊された。
「たーーーーとるぅるるるるるる」
「ダメ、ダメよタートル怪人!逃げるのよォオオオ――――!!」
 右腕、左腕。大樹の様な太さのそれが、間断無く彼らの下へ降り注ぐ。
 路上に土煙が立ち込め、幾つものクレーターが目視できたところで、エレノアの悪い予感は当たった。
「後ろ、後ろよタートル怪人ーーーーッッ」
「遅いわアホ、くらえッッランスアタタタターーーック!!」
 怪人硬度10。ダイヤモンドと同じ硬さを誇る、タートル怪人の甲羅が真っ二つになる。
 同時に、彼の頭から黒い霧状のものが抜け出ていくと、みるみる内に身体が縮んでいった。
 あてな2号が大きな欠伸を1つ終える頃には、目を回し気絶した怪人が女王エレノアに背負われ、足早に撤退していく。
「キィーーー悔しいっ、憶えてなさいよーーー!」
「速っ?!くっそー、なかなか良い女だったから、ぜひともウハウハしたかったのだが‥」
「ご主人様には、あてながいるれすよ?エッチなことならあてなにおまかせれす!」
 あてなの言葉を適当に流すと、ラ‥もとい“緑の貝の人”は2人のお姫様の下へ、悠々と戻って行った。
550【怪傑 ピンク仮面!2 後の中編 】:2010/06/05(土) 11:23:06 ID:e/mTb2QRO
 カスタム都市。地獄の口ダンジョン内部にある、“秘密結社 クライハウゼン”のアジト。
 地下10階の更に奥。紫水晶の意匠が怪しげに煌めく玉座に悠然と腰掛け、足を組む髭面の男――“総統”ラギシス。
 彼の前で、先の敗戦の記憶も新しい“真紅の女王”エレノア・ランが、今朝よりも更にその身を縮めて報告していた。
「‥なるほど。それで、D・Sパワーはどうした?」
「こ、こちらにございます。純結晶に変換して大5、小7となりました」
 全身包帯巻きのタートル怪人から、恭しく献上されたそれを手に取り、芒とした光で透かすように眺め、くぐもった声で笑う。
「…良くやった。この次も励めよ」
 そのまま、彼女らの方を一切見ずに退室を促すと、蝋燭の灯が消えた闇の中。
 目を閉じて独り、また静かに嗤(わら)っていた。
「タァトルゥ…(ドえらい怒られる思うたら、何や拍子抜けでしたなぁ…)」
「え、えぇ‥本当にね」
 玉座の間を出てからスタッフルームまでの道中。包帯男と改名されてもおかしくない外見に反し、怪人は元気に話しかけてくる。
 一方、エレノアの顔色は悪い。
 戦闘中も特に怪我らしい怪我もなく、敗戦報告で胃の粘膜をかなり刺激したものの、その原因はまた別のところにあった。
(気のせいかしら‥総帥が結晶を灯りに透かした時、一瞬何か違和感があったような)
(まるで化物みたいな、別の何かが結晶を通して見えた。いったい、アレは何だったのかしら…)
 物思いに沈むエレノアだが、数分後。パートの戦闘員さん達から、アフター5の飲み会へ誘われた際にうっかり忘れてしまう。
 この時感じた違和感について、なぜ最後まで徹底的に考証しなかったのか。
 後日、彼女は心の底から後悔するはめになる。
551【怪傑 ピンク仮面!2 後の下編 】:2010/06/05(土) 11:24:59 ID:e/mTb2QRO
「うわっ、すっごぉい!すっかり焼けちゃってまっ黒焦げだったのにっ」
「えへへへぇ、これくらいあてなにかかれば ぴろぴろのぽんって感じれす」
 マリアが、感動のあまり跳び上がってはしゃぐ理由。
 それは、彼女の目の前で えへんと胸を張る、あてな2号が披露した便利魔術にある。
 おもむろに己の髪の毛を一本引き抜きぷぅっと息を吹く。すると、一升瓶の蓋を開けた時のような軽い音と同時に小さな煙幕が発生。
 その後 現れた、ドでかい桃色のピコピコハンマーを一振りすれば。
 廃墟と化していたマリア宅は見事、焼失前と寸分変わらぬ状態にまで復元されていた。
「あてな特製“おやくそくまほー”。髪ひっぱると痛いし、めんどくさいからあんましやんない。
 でも今日は、ご主人様が言うから特別れす!」
「そうだぞマリア、俺様の優しさに感謝するがいい。あぁ、お代はいらんぞ。一発やらせてくれるならな」
 言うなり、何がおかしいのか がははと笑うアホの子2人。
 チサ・ゴード町長代理への報告も終え、変身を解いたシィルが悪い冗談だから気にしないよう新しい友人へ声をかけようとする――が。
 そこで、マリアの満更でも無さそうな表情を見て、固まってしまう。
「やーね、ランスったら。スケベなだけの男は嫌われちゃうのよ?」
「ふん、俺様はその辺の軟弱虫とは違って、強くて優しいからな。何も問題ないぞ」
「もうっ、そういう事は自分で言うもんじゃないんだから。
 ね、シィルちゃん‥って、どうしたの?私の顔に何か付いてる?」
「あ、いえっ。何でもありません、あはははははは」
(うぅ‥何だか胸騒ぎがするのは、シィルの気のせいかしら?)
 すっかり気分はハイ!になったマリアから、自宅へ招かれ向かう途中。
 シィルは、妙にリアルな妄想未来予想図――ランスを中心とした美女&美少女満開ハーレムの図を脳裏によぎらせ。
 淫猥ピンクなイメージ画をあわあわ両手でかき消すと、慌てて彼らの後を追って行くのであった。

【 第2話 爆発+火薬=お約束? 】
終わり。
552【怪傑 ピンク仮面!2 あとがき 】:2010/06/05(土) 12:10:37 ID:e/mTb2QRO
>>540-542 感想レスありがとうございます。
>>540様、541様 戦国や鬼畜王などに比べると確かに、ランス6SSは とんと見かけませんよね。
 他の方とネタが被る心配が少ないのは良いのですが、何やら寂しい気もします。
>>542様 先日、(元ネタの)古畑●三郎を再放送で見て思い付きました。
 元ネタと違いほとんど推理していないので、終わって見ればドキュメンタリーもどきになっていましたね。
 チョチョマンさん結局 会議やらないで退場してるし。
・一発ネタにする予定の“ピンク仮面”でしたが、話の進め方が固まったので続きます。
 雰囲気的には、某 美少女セーラー服戦士や特撮ヒーロー物などを、ごちゃ混ぜで煮た状態になるかと。
・パロディ及び改変物が苦手な方につきましては、大変申し訳ありませんがスルーしていただけると幸いです。
553【怪傑 ピンク仮面!2 中の上編 】:2010/06/05(土) 12:19:30 ID:e/mTb2QRO
【申し訳ありません。途中で文章が切れてしまったので、“中の上編”再度投稿いたします】
 つい先程まで逃げ惑うばかりだった街の住民と、近くにいた覆面戦闘員達が協力して消火活動にあたる中。
 残りの覆面達はそれぞれの職務へ忠実に従い、独り突撃してくるマリアを迎え撃つ。
 一人、二人、三人…次々と襲いかかっては、マリアが振り回すチューリップ1号に殴られ、払われ、地面と熱いキスをする。
 ならばと判じた戦闘員十数名が、スクラムを組んで彼女を組み伏せんとすれば。
 たちまちチューリップの発射口が赤く色づき、25メートルの空中散歩へ招待される。
 なお、劇中で使われている火薬は、漏れなく安全かつ死人の出ない火薬を使用している。
 このSSをご覧になっておられるPTAの皆様におきましては、何卒ご安心頂けると幸いである。
 閑話休題。
 爆発音を聞きつけたのか、続々と仲間の戦闘員達が集まって来ている。
 気づけば火事も無事に消し止められているようで、そちらへ出張っていた人員も合流してきていた。
 肩で息するマリアの眼前には、味方がやられて開き直ったタートル怪人と、残り80人弱の覆面戦闘員。
「さ、さすがに‥この人数相手にするのは、分が悪かったかしらね…」
 肉体的な疲労と住まいを焼失した精神的ダメージで、彼女が絶望の淵に立たされた――その時。
「待ちなさいっ」
 女幹部マニュアルを熟読していた女王エレノアが、声の方向へ頭を向ける。
「まさか、またアンタなのかい?ピンク仮面!!」
 女王の視線の先。焼け落ちたマリア邸の、焦げた梁上へちょこんと立ったその姿。
 髪は桃色優しさ満ちて、はためくマントは戦士の証。
 頼れる友人引き連れて、今日も解決 街の声。
「あなた達に名乗る名前はありませ――
「シィルちゃんシィルちゃん、新しい仲間を発見したれす!」
 ‥今、大切なところだったのに…」
554自作特攻隊WILLCOM ◆0CrenIPJUU :2010/06/06(日) 12:25:23 ID:4zB9n2RY0
何時も面白いですね〜キャラの個性に性格も味を出してますし…♪
555【星うらなう 前編 】:2010/06/08(火) 10:15:35 ID:XUVAi5MQO
――誰もが星のめぐりの中で 星座の下に生まれてきます
   星が知ってるあなたの運命 星の言葉を聴きましょう――
「あ、シィルちゃーんっ。いつもの始まったれすよー「はぁい、今行くね」」
 台所の蛇口を水漏れがないところまできちんと閉めて、魔法食器乾燥器のスイッチを入れる。
 愛用して数年経つ、レースのフリルが可愛らしい白いエプロンを外し。
 主人と友人が待つリビングへ、心持ち速めに足を進めた。
「トゥインクルトゥインクルー にゃーにゃにゃにゃにゃ〜ん」
 魔法ビジョンの前では流れる音楽に合わせ、あてな2号がふにゃふにゃと跳ねて歌う。
 以前、ビジョンの前で同じ事をしてランスに怒られてから、5回目にして漸く彼が寝そべるソファーの後ろで踊ることにしたとか。
 それまで彼らの間にどんなやり取りが在ったのかは、現在疲れた顔して欠伸をかます彼の姿で、どうかお察し願いたい。
「‥ったく、お前らよくも飽きずにいちいち見てられるな」
 伝説の占いトリオ“アーシールーシーマーシー”監修の下、月曜から土曜の週に6日放送されるこの番組。
 12星座の中からその日一番ツイてる星座を、何故かポップでキャッチーな歌にして発表するファンキーな企画である。
「トゥインクルトゥインクル 教えてちょーらい、ラッキーチャンピョン誰じゃいなー」
 視聴者層は放送される時間帯からして、通勤・通学前のOLさんや学生など。
 夕方の商店街へ行けば、小さな子供があのどこか間延びした歌声を真似て、朗らかに歌う光景をよく目にするはずだ。
 このように今、アイスの街では星占いソングがちょっとしたブームになっている。
556【星うらなう 後編 】:2010/06/08(火) 10:17:38 ID:XUVAi5MQO
「とは言え、俺様みたいなスーパーヒーローともなればだな。
 占いなどに頼らんでも、幸運の方から寄ってくるってもんだ」
(そう言って、何だかんだで毎回チェックされてるような‥「何か言ったか?」
「はわわっいえ、何にも!」
 ふんっと鼻を勢い良く鳴らし、ぺたりとソファーの左側に三角座りする桃色のもこもこをくしゃくしゃ、乱暴にかき回す。
「あ!見て見てシィルちゃん、うお座れすよ。今日のラッキーお魚さんれすっ」
 もこもこをかき回していた、やぎ座の男の手が止まる。
――ロマンチストで優しくて 感性豊かでジェントルメン
   恋には弱くて繊細で ワンフォアオール ラブフォアオール――
(うーん、ちょっとは当たってるかも‥ラッキーカラーはマリンブルーかぁ)
(乙女座の人とは相性が悪いって、確かマリアさんが9月8日生まれだったから…うーん)
 占いの結果を見て、声を出さずに器用に一喜一憂するシィルと、もはや番組関係無くぴょんこぴょんこ踊り続けるあてな。
 その場のノリに置いてかれた思いで舌打ちし、ふて寝しようと寝っ転がるランスだったが。
 もこもこへ突っ込んだ利き手を戻す際に、ふと他愛もない事が思い浮かぶ。
(マリンブルーっつーたら、こいつの瞳の色なんて確か――)
「 ? ランス様、どうしたんですか?〈ぽかりっ〉いたっ、いきなり何するんですかぁ‥」
「うっさい、俺だって知らんわ」
「トゥインクル トゥインクルー ぴゅるりぱやぱや、明日も良いことあるべかなー」
 普段なら番組が終わり、朝のワイドショーが始まると同時にふらりと出掛けるランスだが。
 この日は珍しく昼過ぎまでだらりと家に居たのだった。
終わり。
>>554 いつも感想レスありがとうございます。
・今回の元ネタは、toutou様の“星占いの歌”を参考にさせていただきました。
・6月8日の誕生花は“ジャスミン”。花言葉は“愛らしさ”と言うことで、歌って踊るあてなとだらだらした朝の風景を1つ。
557自作特攻隊WILLCOM ◆0CrenIPJUU :2010/06/08(火) 12:42:20 ID:I1NpdYlp0
何時も御疲れ様です、ランス家の日常を普通に再現するのは見事です…♪

※花言葉と言えば…

 ラフレシアの花言葉が無いのが個人的な世界の七不思議の一つでしょうか…
以前に花の子ルンルンの再放送を妹とのチャンネル争いの死闘で敗退し
権利を奪われ(親がお兄ちゃんでしょで恫喝)
仕方が無く他に見る物が無く見ていましたが、
ラフレシアは出ませんでした…
558名無しさん@初回限定:2010/06/08(火) 22:15:35 ID:9cjd/Mxc0
SSの人乙っす
いつも楽しく読ませてもらってます
会話文の中に会話文を挿入する手法にも慣れてきた
559【ラブノート 前編 】:2010/06/11(金) 11:02:55 ID:7zeq9f7J0
 ☆月11日(快晴) 夜のデザートはサクラのアイス…だったら素敵。
 ランスがどうしてもって言うから、はるばるJAPANまで援軍に来て数週間が過ぎた。
 今日は訓練も他国への進軍もお休みだったから、思い切って出掛ける事にする。
 途中 暇そうにしていたランスから、
「やぁマジック、今日も可愛らしいね!俺と一緒にどこかへ遊びに行かないかい?」
 などと誘われたので、本当は織田領内の名所を巡る計画を立てていたのだが、仕方なく付き合う事にする。
「マジックと2人きりで歩くなんて、久しぶりだねっ」
「その水色のワンピース素敵だな。髪型も変えたんだね、似合っているよ」
 他の男が言うと、まず間違いなく歯が浮いてしまうキザな台詞も。
 普段とのギャップがあるせいか、私の心のやわらかい場所へキュンキュン響いてしまう。
 そうこうしている内に目的地へ着いたみたい。ランスが慣れないウインク1つして、こう囁くの。
「ここを最初に見つけた時からずっと、次はマジックを連れて来ようって考えてた」
 目の前に広がる彩り豊かなお花畑はまるで、幼い頃 母に読んでもらった絵本の中からそのまま飛び出してきたみたい。
 暫くの間、おとぎ話のような景色に目を奪われていたら、突然 一際強い風が吹いた。
「きゃっ?!」
 この日はいつもの制帽を被っていなかったけど、ワンピーススカートが思いっきり煽られちゃったから。
 慌てて必死に押さえていたら、いつの間にか彼の姿が見えなくなっていた。
 風の通った後には、赤や黄色の花びらが粉雪のように はらはらと降っていて。
 あたかもランスを、私の傍から拐っていってしまったかのような、そんな気がして。
 私は青い空の下。淡く色づいた花の舞う中、声を挙げて彼を捜した。
560【ラブノート 後編 】:2010/06/11(金) 11:03:36 ID:7zeq9f7J0
「ランス。ねぇランス、どこなの?!… ! 」
 花びらがティースプーン大さじ5杯、私の髪や肩に降り積もる頃。
 あんまり焦って動いたせいか、私は地面の窪みに足を引っかけてしまう。
 間もなく来るであろう衝撃と痛みに、ぎゅっと目をつむってしまったその時。
「おっと危ない。気をつけないとダメじゃないか、ドジドジマジック」
 彼が、私の身体をそうっと抱き寄せてくれたの。綺麗な反物を、皺がつかないよう丁寧に扱うみたいにね。
「だって、あなたが私の傍からいなくなってしまう気がして‥」
 するとランスは、私の目をあのイタズラな瞳でつぅっと見つめて、こう紡ぎ出すのよ。
「バカだな‥俺がお前から離れられる訳ないじゃないか。
 あの時、君と契りを交わしてから俺達は罪人になったんだ。そして――」
 私の左手を恭しく手に取り、薬指へついばむような口づけをすると、
「囚人は手錠をかけられるのさ。“愛と言う名の手錠”に、ね」

「うーわー書いちゃった‥」
(鈴女さんからとある迷宮で見つけた、書いたことが本当になると評判のこのノート。
 スッゴい眉唾な話にどうしたものか迷っていたけど、気がつくとこうして筆を取っていたなんて)
「何て恐ろしい魔力、これが“ラブノート”の力だったのねっ」
「あ、それは無いでござる「すすす鈴女さんッッッ?!!」」
「‥うひゃあ、こりゃまた忍者も驚きの桃色忍法帳でござるなぁ」
「桃色‥ッッじゃなくて、魔力が無いってどういう事よ!それじゃあただの‥「ノートでござる」ノート?」
「うむ。鈴女のオチャメなイタズラでござるよ、ぱっぱらー(←ドッキリの例の効果音)」
「いやー、これもランスに対してなかなか素直になれないマジックを思って――おろろ?」
 頭を抱え、布団の上を全身真っ赤にしてのたうちまわるマジック。
「〜〜〜〜ーーーーンにゃぁああああぁああ」
「あやや。素直になる練習のつもりが、トラウマになってしまったでござるよ。てへっ」
にんともかんとも。
561【ラブノート あとがき 】:2010/06/11(金) 11:04:36 ID:7zeq9f7J0
>>557,558 応援レスありがとうございます。
>>557
・他所の地方や他国には、自分の所には無い言葉や慣習などが有るように。
 ラフレシアの咲く近所の人々の間でのみ伝えられる、花言葉もしくは物語が有る…としたら夢が広がる気がします。
>>558様 >会話文の中に会話文を挿入
・相手のボケにツッコんだり相手の会話へ割り込んだりなど、テンポの速い会話を表現したくてやってみました。

・戦国ランスのイベント数有れど、鈴女とマジックの会話シーンが妙にツボに入ったので1つ。
・余談ですが、恋人が桜の花吹雪に消えるシーンと言えば、私の中では“めぞん一刻”の名前が挙がります。
562自作特攻隊WILLCOM ◆0CrenIPJUU :2010/06/11(金) 19:16:51 ID:PopuQnjI0
 御疲れ様です、今日は熱烈なラブラブモードですね…♪
マジックが真っ赤になって楽しい事を考えてる光景が見えました。

(その様子を鈴女が見ている姿も楽しそうですが…)
563【全ての山に登れ 前編 】:2010/06/14(月) 09:29:21 ID:rMMFlA9J0
「おう、ランス。来ていたのか」
 アイスの街の外れにある公園型墓地。
 キース・ゴールドはギルド長としての立場もあってか、毎月一度は顔を出すようにしている。
 かつて己が世話を焼いた冒険者から始まって、酒呑み仲間や仲の良かった親族など。
 来園した際、目につくほどに汚れた墓は水で洗い、ぶらぶらと歩いては過去の友人に挨拶して回る。
 日ごろシビアな価値観と、ダンディズムを体現する彼を知る者からすれば、意外と思われがちな光景だが。
 一方で、キースがこれまた意外に面倒見の良い側面を持ち合わせている事も知られている。
 それもあってか、キースギルドの名物強面ギルド長は、主に中年女性を中心に支持されている。
 魔法ビジョン界の名優ユウジロウ・キシハーラの、洒脱(しゃだつ)な演技を見て育った世代にジャストミートしているらしい。
 この日も彼が、普段の恰好とは違いイタリアンマフィアよろしく、黒地のスーツに白色ネクタイで墓地を訪れ間もない時分。
 二十歳を迎えてなおヤンチャ坊主を地で往く、アイスきっての歌舞伎者がそこには いた。
(‥なるほど、顔を見せに来たのか)
 今にも舌打ちして、悪態をつこうとしているランスの表情を見てとると。
 それ以上は何も言わず、桶と柄杓を目の前に掲げて見せて許可を得る。
 ランスが、勝手にしやがれとばかり顎をしゃくって返答すると、石段を登り手を合わせた。
 休日の午後。今日のように天気が良ければ、老人や子連れの若夫婦が公園までの散歩がてら立ち寄る事も珍しく無いのだが。
 遠く聞こえるうまの嘶きと、時折吹き付ける涼やかな風の他は何もない、いやに静かな時間だった。
564【全ての山に登れ 中の上編 】:2010/06/14(月) 09:30:25 ID:rMMFlA9J0
 夜の帳(とばり)も とうに落ち、夜行性モンスターを除いておおよそ寝静まる時刻。
 2つ並んだテントの間 息を殺して気配も消し、抜き足差し脚忍び寄る影。
 影はテント入口部分の垂れ幕に手を掛け、月の光を頼りにワイヤートラップを慎重に解除していく。
 たまに雲が横切るおかげで、手元が見えずに舌打ちする事数回。ついに全ての罠を解除した彼は、意気揚々と侵入する。
「るらら〜、むふふふふ」
 鼻歌混じりにターゲットの毛布をそうっと持ち上げた矢先、〈ごちん〉と一発 星が見えた。
「〜〜〜ーーッッあがががが‥、てんめぇ何しやがるっ」
 大人と呼ぶにはまだ少し幼い容貌をしたランスが、熱をもった後頭部を押さえて叫ぶ。
「アンタ、夜這いに失敗して返り討ちにあったくせに、ずいぶんと威勢が良いじゃないか」
 溜め息一つ、紛う方無き正論に んぐっと詰まらせ冷や汗垂らすランス15歳。
 チェシャ猫のようににんまりと笑いながら、猛虎の気迫で間合いを詰める保護者の躾の賜物か。
 逃げ出すことなく大人しく沙汰を待つその態度は、いっそ殊勝ですらある。
 もっとも、恐怖で足が動かないのもまた一因なのだが。
 二回響いた轟音に、近所で寝ていたきゃんきゃんが飛び起きた。
「ったく、あんだけ失敗してもまだ襲ってくるなんて‥その根性だけは認めるけどねぇ」
「ちぇっ、同情するならオッパイの一つも揉ませてみろってんだ」
 両の頬を女戦士の握り拳程に腫らしたランスが、そっぽを向いてぶーたれる。
 そんな彼の後ろ襟をふん掴むと、己の鼻先にまで顔を近づけ諭した。
「いいかいボウズ、甘えるんじゃないよ。ヘタレた男に抱かれる女なんて居やしないんだからね」
 少年の鋭い眸(ひとみ)がぐらりと揺れるが、すぐに睨み返す。
「甘えてなんかねぇよっ、バカにすんな!」
 襟を掴む彼女の右腕を振り払うと、ぱっと歩幅三つ分 距離をとる。
565【全ての山に登れ 中の下編 】:2010/06/14(月) 09:31:44 ID:rMMFlA9J0
「はいはい、次にアンタは“いつまでもコドモ扱いすんな”と言う」
「いつまでもガキみたいな扱い‥ !? ムキ〜〜ーーッッ」
 からかい甲斐溢れる弟子のパンチを、大笑いしながら捌き 避ける。
 天井が決して高くないテントの中、互いに膝をついた中腰の体勢で繰り広げられるアクションシーンは、なかなかシュールだ。
 先ほど飛び起きたきゃんきゃんが、寝床を移して再び夢の世界へ旅立つ頃。
 テントの中には肩で息する少年と、漸く笑いの波が引いた彼の保護者が、目尻に溜まった涙滴を拭っていた。
「女のくせに大口開けて笑いやがって、そんなんじゃ嫁の貰い手つかねぇぞ」
 散々いいように遊ばれたせめてもの仕返しにと、憎まれ口を叩くものの。
 目が冴えてしまった彼女は、へんっと鼻で笑いコーヒー粉の入った袋を手で弄びながら返す。
「たかだか笑い方一つで尻込みするような男なんざ、こちらから願い下げだよ」
 それに、と弟子を諭す師よりも子を想う母の顔で続ける。
「いつも言ってるじゃないか。幸福ってヤツはさ、笑う声に釣られて来るんだ。
 ‥ほらランス、胸張って笑ってみな。どんなに辛くて苦しい時も、アンタだけでも笑っているのさ。
 そうすりゃ、いつか周りがアンタの事を認めるようになる」

 空が白みを帯び、間もなく朝日が姿を見せる時間。
 並んだテントの片方から、もぞもぞと影が這い出て来た。
 緑の軽装に身を包む少年――ランスは、遠く朝靄の向こうへ霞む山々を見据え、ぐうっと大きく息を吸い込み。吸い込み。
「だーーーーっはっはっはっはっはっはーーー!!」
 ある決意を音に乗せ、空の彼方へぶっ飛ばした。
566【全ての山に登れ 後の上編 】:2010/06/14(月) 10:04:18 ID:rMMFlA9J0
「がははははーレモンちゃんのパイパイつんつーん、メロンちゃんにもバッファロー」
「「キャ〜〜〜、もうやーだランスくんったら〜」」
 アイスの街、キースギルドから歩いて15分。
 キースがかれこれ10年近くの付き合いになる、ママさんが経営する“Bar 彩果(せいか)”。
 クッションが程よく効いた椅子に腰掛け、いつもの蒸留酒を舌で転がす。
 琥珀色の水鏡が写す己の苦笑いにまた皺を数本刻みこむと、芍薬のように美しい彼の人へ詫びた。
「すまないね、ママさん。あの娘達もああいう事をするためにいる訳じゃ無いだろうに」
 この店が俗っぽいものではないと知るキースは、自分の連れのご乱行に眉間を揉みつつ呻く。
「ふふ、でもあの娘達も好きでやってるみたいだから。
 それに、キースさんが息子のように可愛がってる子だもの。前から興味あったのよ」
「おいおい、俺はまだ結婚もしてないんだぞ。勘弁してくれよ」
「あらあら、ごめんなさい。弟さんの間違いだったわ」
 強面の友人をからかい、上機嫌の女主人。
 ここにいつも一緒の美人秘書、ハイニがいればフォローの一つもしてくれるのだが。
「あら、そう言えばハイニちゃんは?」
「あそこで乱痴気やってるヤツの相方ん所だ。家事を教えてもらうんだと」
 後ろで別世界を築き上げるデカ口緑を指差し、鼻を鳴らしてチーズをかじる。
「ったく、なんでまた急に家事なんぞ」
「あら、心当たり無いの?」
「‥ねぇな」
 何故だか突然もったいぶった調子で、言葉を溜める彼女に困惑するキース。
567【全ての山に登れ 後の下編 】:2010/06/14(月) 10:05:06 ID:rMMFlA9J0
「女性が家事を勉強するって一番可能性があるとしたら、花嫁修行かしら?」
「む、まぁそんなとこだろうな。となると、相手がいる訳だが」
 思えば年ごろの娘に忙しくさせ過ぎたかなど、酒を口に含みぼんやり考えていると、
「あら、お相手はキースさんじゃなかったの?「ばふぅっ」あらあら」

 チーズを四つ、へんでろぱを軽めに一皿。蒸留酒をダブルで一瓶空けるかどうか。
 一通り満喫したキースが注文したボトルを開封しようか迷っていると、女主人が口を開いた。
「そう言えば今日だったかしら。あの娘が亡くなったの‥」
 強い娘だったのにね、寂然たる想いで細い息を吐く。
「‥昼間な、あいつの墓前でランスと会ったんだ」
 説明と言うには言葉の足りない、端的過ぎるものであったが。
 女主人は眼前の常連客が何故、今日に限って年の離れた若造を伴ってここへ来たのか、合点がいった気がした。
(不器用な慰め方‥、この人らしいと言えばそうなのだろうけど)
 カウンターに頬杖ついて、照れ隠しにメニューを眺める不器用男のその後ろ。
 レモンの膝枕で鼾をかいて眠るランスを見て、くふっと微笑む。
「キースさん。何だかあの子、大物さんになりそうね」
 唇右下にある笑い黒子を人差し指で押さえ呟く彼女を見て、キースもまたニヤリと歯を見せる。
「また連れて来るよ」
終わり。
>>562様 感想レスありがとうございます。
・今回のSSのタイトルは、映画“サウンド オブ ミュージック”の劇中歌からお借りしました。
・6月14日の誕生花は“るりはこべ”、花言葉は“追想”と言う事で一つ。
・パロディ&捏造などあります。苦手な方、ご容赦いただけると幸いです。
568自作特攻隊WILLCOM ◆0CrenIPJUU :2010/06/14(月) 19:27:03 ID:y4cDX07T0
御疲れ様です、じろじろ…♪

※感想を書けと言われても独自の独特の経験が無いと
自身の細かい感想の表現は難しいのかもしれません。

(他に書く人が少ないのは文章にして作品に対して釣り合う感想を書くのが難しいのではないかと…)
569携帯からですが【 】の者です:2010/06/15(火) 00:05:13 ID:/fhNLESKO
>>568
 いつも暖かいレスをいただきまして、その上でのご配慮大変有り難うございます。

 “感想レス”に関してですが、以前 私が書いた文章の中で感想を催促する類いの内容があったとしたら、まずお詫び致します。
 私個人の考えとしましては、レスを強要するつもりは決してありません。
 読んでいただけた方がもし、何か思うところ或いは感じた事があった場合に、気軽にレスをつけて頂ければ幸いです。

 つまり、“私としても今の状況が気楽で良いなぁ”と言う話でした。
 568様には、いろいろと気をつかわせてしまい大変申し訳ありません。
 以上が私の考えになります。
 この旨 ご了承頂ければとても嬉しく思います。
570自作特攻隊WILLCOM ◆0CrenIPJUU :2010/06/15(火) 06:01:25 ID:imc9b//k0
了解
571【初夏の昼休みに 前の上編 】:2010/06/17(木) 16:00:45 ID:0bNP7wiK0
「‥うん、良い味でてる」
 正午。自由都市地帯 カスタム都市、エレノア・ラン都市長室の台所から漂うエスニックな芳香。
 初夏の陽射しが差し込む部屋に、ぐらぐらふつふつ 寸胴鍋が湯気を出す。
 味見で使った小皿を脇に寄せ、お玉でまぜまぜ流行りの歌を口ずさむマリア・カスタード。
 己の研究が一段落ついた事もあってか、本日は早めの昼休みをとって料理の時間だ。
「市販のルーを使っていても、ちょっと一手間加えるだけでだいぶ違うわねー」
 毎度恒例、都市長室でのランチタイム。今回のメインは、初夏の暑さを乗り切るために“夏野菜あかみどりカレー”。
 トマトにオクラ、ズッキーニ的な何かがスパイスの海を我が物顔で泳ぐその様は、さしずめ 味の海水浴場と言ったところか。
(うー すっぱぁ。ふふ、つまみ食いしちゃった)
 一方、マリアの後ろ アイランドキッチンで作業をするのは、この部屋の主 エレノア・ラン。
 適度な大きさにカットしたヒラミレモンを千切った青野菜の上に転がし、特製ヨーグルトソースをかける。
 これで“ヒラミレモンのサラダ ヨーグルトソースがけ”の完成だ。
 締めのデザートはヨークス姉妹が、はちみつ和えフルーツを載せたプリンを持って来る予定。
 普段、妹のミルは店番があるため合流しないのだが、新作小説が完成したらしく意見を求めに来たらしい。
「いつかのお話みたいな死体役じゃなければ良いのだけど‥」
 不安と期待が6:4で、エレノアの繊細な思考回路をかき乱す。
「でも、あの後何だかんだで主役にしてもらったんだから、怪我の巧妙よね。しかもラブストーリー!」
「べ、別に私はそんなつもりじゃ‥それにアレは結局ラブストーリーだったのかしら?」
572【初夏の昼休みに 前の下編 】:2010/06/17(木) 16:01:36 ID:0bNP7wiK0
 ミルの小説にまつわるエピソードについては、エレノア都市長シリーズ【春の交通安全習慣を実施するお話】を参照していただきたい。
 件のお話の後、ミルこと“みるく・よーぐると先生”は、もう一冊エレノアがヒロインの小説を出版した。
 あるデカ口イケメン冒険者が旅先で知り合う、紅い髪が綺麗で慎ましやかな女性。それがエレノアの役どころ。
 物語の前半こそ 彼ら二人による青少年のそれを彷彿とさせる、純情ラブコメディが展開されるのだが。
 どこで間違えたのかクライマックスシーンは、集団で武装した敵を孤軍奮闘で殲滅。
 爆発炎上する都市庁舎からテロリストのボスを突き落とし、満身創痍なデカ口冒険者をエレノアが抱きしめる超展開になっている。
「もしかするとミル、“燃え上がるような恋”の意味を間違って覚えてたりして?」
「ダジャレじゃないのそれ‥」
 エレノアががっくりと肩を落としたところで、ドアをノックする音が響いた。
「おっす。お、丁度良い時に来れたみたいだな。はいこれデザート」
「あー、ヨーグルトレモンのサラダだー!私これ好きなんだぁ」
「‥おはよぉ。んー良い薫りー、寝起きにカレーはちょっと重いかも」
 ヨークス姉妹と魔想志津香の登場である。

「うぅまあいーっ!くぁー、やっぱり暑い日には辛いモンだよなっ。冷たいのばっか食ってると腹が冷えてイケねぇ」
 ミリがカレースプーン片手に、拳を握って演説する。
「お腹が冷える心配するなら、もうちょっと露出を抑えたらどうかしら?」
 右隣のエレノアが、友人の華美な服装を改善するチャンスとばかりに口を挟むが。
「ラン。わかってくれとは言わないけどさ、あれは俺のポリシーなんだ」
 逆にとてもシリアスな表情で諭されてしまい、閉口してしまうのだった。
573【初夏の昼休みに 中の上編 】:2010/06/17(木) 16:02:25 ID:0bNP7wiK0
 ――会場が割れんばかりの歓声。息を吸うのも億劫になる程 熱く、焼けついた空気。
 天井から刺すように強く照りつけるライトは、その場の誰にも均しく光を与える。
 ‥そう、誰にでも。勝者だろうが、敗者だろうが。
 青いマットへ斑(まだら)に混じる紅い斑点はまるで、誰かが流した血涙のようで。
 そんなモノの上に今、倒れ伏している彼には。彼の瞳の中には。魂の奥底には。
 私達の声が届いているのだろうか。
 カーマが周りの子供達を先導し、マットを叩いて未だに立ち上がる気配を見せぬ彼へと声援を贈り。
 声をあまり出せないアルフラは、私のスカートをぎゅっと握り締め。でも決してリング上から視線を外していない。
 自分の大切な人が打ちのめされて、本当はとても辛いはずなのに‥彼女も恐怖心と闘っているのだ。
 それなのに私は。あぁ、私は。何故動けないの?何故、声が出ないの?
 初な生娘じゃあるまいし、涙を堪えて見守るだけなんて事、キムチ・ドライブ!!私みたいな女がやることじゃないでしょう?
 わかったなら動くのよ、速く。そして、彼に眼を醒ましてもらうのよ!
 さぁ、お願い。お願いだから立って!(動いて)立ち上がって!(声を出すのよ、キムチ)
「立つのよ!!ロッキィイイイイッッッ!!!!」
574【初夏の昼休みに 中の下編 】:2010/06/17(木) 16:47:13 ID:0bNP7wiK0
(あうぅ‥か、身体中が痛いだす。お おら、いったいどうしてこんな所に立っているだすか…)
 亀が首を引っ込め、甲羅へ篭るかのような硬い守りを見せるロッキー。
 しかし、対するドラゴはただ黙々とロッキーの急所を狙い定めて、殴る。
 鍛えようが無い肝臓を打ち、ガードが僅かに下がればこじ開けるような左右のフック。
 顎を撃ち抜かれて脳が揺れる。心臓に3発、ダウンさせてもらえずにロープへはね返ったところへ、鼻骨を砕く右ストレート。
 ここでロッキーの意識は途切れる。次に目覚めたのは、漠然と聞こえた無情なるカウントのおかげ。
(スリー‥ ! た、立たなきゃ。おらが立たないと、孤児院が‥キムチさんの孤児院が…!!)
 仰向けの状態から寝返りをうち、一旦うつ伏せになる。これだけで肉が裂け、骨が悲鳴をあげる。
 両手をロープへかけ、ただ懸命に立つことだけを考えていると、ここで漸く周りの声が聞こえてきた。
(はは、‥カーマちゃん、あんなにリングを手で叩いたら腫れちゃうだすよ)
 今、自分がどんな表情をしているのか想像できない。
 シークァーサーのように、凶悪な面構えになっているのはまず間違いないのだろうが。
 この試合のレフェリーは、旧 一級市民。先のゼス国崩壊で割りを食った立場であると聞く。
 対戦相手のドラゴ・イワオトコと、そのスポンサーもご同輩。
 アダム砦への大逃亡劇で散った悪徳官僚ノエマセらと同じ派閥でありながら、しぶとく生き延びた憎まれっ子どもである。
(四面楚歌‥だすな)
 構えをとりながらも彼の意識は、甘美な負け犬の底なし沼へ溺れようとしていた――その時である。
「情けないツラしてんじゃねぇや、お前さんよぅ!「‥ッッ あ、あなたはッッッ」」
 垂れた目付きに一際デカい鼻が特徴的な面構え。
 “イタリアの種馬”の異名をもつ彼の名前は、“ロッキー・バルボア”。
575【初夏の昼休みに 後編 】:2010/06/17(木) 16:48:16 ID:0bNP7wiK0
 齢五十を超えてなお果敢に闘ったボクシング界の英雄がここ、ゼス宮殿地下ボクシング会場に今、生き霊となって降臨したのだ。
「俺と同じ名前の男がそうも簡単に諦めようとするのは、寝覚めが悪くてね‥」
 観客席、対戦相手、レフェリーまでもが呆然として微動だにしない。否、する事ができない。
 拳闘に生きる者達にとって、英雄視されている彼が目の前にいる奇想天外な事態に、皆 頭の中が白色破壊光線してしまっている。

「――いやいやいや、いろいろとマズイんじゃないの?これ」
 昼食も終わり、デザートのプリンと格闘するミルを横目に、志津香が独りごちる。
 その対面にいるエレノアが苦笑しつつも何も言わないあたり、彼女も何らかの危険を感じているようだ。
「そういやニ・三週間前から、どうも魔法ビジョンでボクシング関係の物ばっか視てたなぁ‥」
 ちょっとやそっとの事では動じないはずのミリが、頭を抱えて嘆く。どうやら彼女も内容までは知らなかったらしい。
 そんな中、周囲を包む異様な緊張感など存在しないかのようにはしゃぐ者が一人。
「なるほどね、私と志津香がゼスへ行った時の話をやけに熱心に聴いてると思えば‥ロッキーさんも、キムチさん達も熱い!燃えるわね!
 ところでこのロッキー・バルボアって――」
「おっといけねぇ、午後イチで行かなきゃいけないところがあったんだ」とミリが席を立ち。
「わ、私 洗い物しなくちゃ」「さてと、修行修行」はエレノアと志津香。
「ふぃー食べた食べた、それじゃあお店にもどるねー」最後にミルが部屋を出て。
「わ、私‥何かマズイ事訊いちゃったのかしら?」そうしてマリアが独り、円卓に残った。
終わり。
・6月17日の誕生花は“リアトリス”、花言葉は“燃える想い”と言う事で一つ。
576自作特攻隊WILLCOM ◆0CrenIPJUU :2010/06/18(金) 12:14:51 ID:PpkPv2KX0
今回は二つの話が混在していて面白いですね…♪
577名無しさん@初回限定:2010/06/19(土) 22:58:58 ID:TImNeSJ40
おお
楽しいことになってるな
がんばれ
578【ワールド・ミスナルジ 前の上編 】:2010/06/21(月) 10:05:15 ID:OQB2aztZ0
「“ワールド ミスナルジ”をご覧の皆様、こんばんは。司会のチョチョマン・パブリです。
 40年前の今日、ゼスにマジノラインが建設され、魔人領からの侵攻をほぼ完全に防ぐ事が可能になりました。
 そんな記念すべきこの日に、世界ではどんな出来事が起こっているのか。
 今回も各界の著名人をお招きしてVTRを見ていきたいと思います。順番に紹介しましょう。
 先ずはこのお方、ラグナロックアーク・スーパー・ガンジー王です。こんばんは、ガンジー王」
「あぁ‥こんばんは」「おや、王様。何やら顔色が優れないようですが、何か悪いことでもあったのですか?」
「いや、実はだね――」「ははぁ、リズナさんのツッコミが激しすぎて生傷が絶えない」
「そうなんだよチョチョマン君。
 私はちょっとリズねえが想い人へ書いたラブレターの誤字を指摘しただけなのに‥」
「なるほど王様、畏れ多くも進言させていただきますが。
“デリカシー”の文字を100ページ書き取りしていただきたく存じます」
「ではそのお隣。ゼスが誇る一流魔導書研究員、パパイア・サーバーさん。
 こんばんは、パパイアさん」
「はぁい、どもども〜☆」
 LP0005年、某日。
 ゼス国魔法ビジョン深夜枠において、最近じわじわと視聴率を伸ばしてきているこの番組、“ワールド・ミスナルジ”。
 一国家の王様、四天王、元 四天王が一堂に揃い踏みしただけでは無く。
 某国の王族であるとの噂もあるパットン氏を、隣のハンティ嬢共々 下ネタなど交えつつ。
 あらゆる方法でイジり倒す番組進行が、魔人すら巻き込んだ内戦も終わり。
 生活が徐々に安定してきたおかげで、娯楽を求める市民達にウケた。
579【ワールド・ミスナルジ 前の下編 】:2010/06/21(月) 10:05:58 ID:OQB2aztZ0
 パットン達からすればこのような事さっさと切り上げ、ヘルマンの同志と合流したいところなのだが。
 まことにせち辛い話、旅費を含めた活動資金不足のため、こうして身体を張ってアルバイトしている。
 しかし、最低でも一人は潜入しているであろうヘルマンの諜報員に対して、この腋の甘さは如何なものか。
「―― えーさて、今宵もこのお二方が番組をおおいに盛り上げてくれる事でしょう。
 まずはこの方、パンティ・カラーさん。こんばんは、パンティ」
「誰がパンティだ! ハ ンティです。よろしく (‥いつかぶん殴る)」
「パンティさん、本日は視聴者の方よりお手紙を預かっております。紹介させていただいても?」
「あ あぁ、好きにしたら良いさ」
 内心まさかファンレターかと勝手に想像を膨らませ、機嫌バロメーターが上方修正されるハンティ。
 対するチョチョマン、番組開始からほとんど変わらぬ無表情で視聴者(?)からの手紙を読み上げる。
―― や〜い や〜い ハンティとパットンはあっちっち〜、夜は寝床で運動会〜 ――
「おやおや、いったい誰がこんなイタズラレターを‥」
「へへーだーれだっ「いやアンタしかいないの判ってるからパパイアさん。
 え、何でわかったの?って顔すんな。わかるから」」
「‥ふふ、ハンティちゃんやるじゃん「うっさいわ!もうっ」」
「そもそも俺とこいつは付き合ってないしな‥おい何だよその微妙な顔、どうしたハンティ「別に」」
 何やら内輪揉めを始めるパットン達。
 ガンジーとパパイアがやんややんやと囃したてる中、ハンティの四臂を使った関節技が極る。
 変形キャメルクラッチの素晴らしい絞首力の前に、パットンが泡を吹き始めたところで急遽CM。
 この番組のスタッフは、“お約束”を解っている。
580【ワールド・ミスナルジ 後の上編 】:2010/06/21(月) 10:06:47 ID:OQB2aztZ0
 CM明け。しかめっ面で首を擦るパットンの横で、そっぽを向くハンティ。
 あざが残っていないあたり、とても器用な力加減がなされていたようだ。
 そんな二人に対して、あくまで無表情のまま進行していくチョチョマン・パブリ。
 暑苦しいスマイルをギラつかせるガンジーや、適度にだらけたパパイアら との対比が素敵である。
「えーそんなバカップルの片割れ、パットン・ミスナルジ。
 こんばんは、パットン「だから、カップルなんかじゃ‥や、もういい」」
「っつーかいつも思ってんだけどよ、俺のところに来るまで時間かかりすぎだろ。
 もうすぐ終わるぞ番組「パットンさん」‥何だよ」
「そんな事より何か面白い事をやっていただけませんか?」
「ッ 面白い事だぁ?そんなん急に振られてもな‥「ではモノマネで」モノマッッッ?!!もっと無茶だろ…」
 出番がいつも最後である彼に華を与えようと言う、司会者の懸命な振りに全力で難色を示すパットン。
 そこへ、“THE・お節介”と書かれた幟を背後に はためかせたガンジーが大股で駆け寄り、彼の手を取って叫ぶ。
「何故やる前から諦めるのだッッッッッッ!!!」
 口角泡のスコールを浴びた。パットンはやる気が20下がった。
「そーそー、前振りに応えないのはゲイ人失格だぞー」
「いや、俺は芸人じゃない‥って今お前イントネーションおかしかったろ?なぁ?」
581【ワールド・ミスナルジ 後の下編 】:2010/06/21(月) 10:48:38 ID:OQB2aztZ0
 鳴らない口笛吹かしつつ、パパイアは決して目を合わせようとしない。お約束である。そして、
「何と!!パットン君は 男 が好きだったのかッッッ‥うむ、まぁ趣味は人それぞれだからな」
 ド天然の王様がネタを拾い、心なしか生暖かい瞳で見つめてくる。
「ほほぅ、それならパットン君はエターナルヒーロー時代のホ・ラガ氏と、現在のホ・ラガ氏。どっちが大好きなのかな?」
「ちょ、司会者!選択肢おかしいだろ?!むしろ頭おかしいだろ絶対!」
「それではご注目下さい。パットン・ミスナルジによる、“おかゆフィーバー”のマネ」
「聞けよ人の話をよぉおッッッ…(くそ、おかゆフィーバー?おかゆ、おかゆ‥)
 ぽ、ぽーぅ‥うぽーぅ…うぽっ、ぽーっ」
 右隣に座るハンティが頭を抱えている。どこで育て方を間違えたのかと、自問自答しているようだ。
「それでは皆様、“ワールド・ミスナルジ”今夜はこの辺で。
 また来週、この時間にお会いいたしましょう。さようなら」
「ちょ おい、やり損かよ!ちくしょういっそ殺せー!殺してくれー!!!」
終わり。
>>576,577 レスありがとうございます。
・伝説のテレビ番組“ワールド・ダウンタウン”を元ネタに、パットンをいじってみました。
 両方のファンの方々でご不快に思われた方がおりましたら、お詫び申し上げます。
・また、諸事情により三週間ほど投稿をお休み致します。ご了承下さい。
582自作特攻隊WILLCOM ◆0CrenIPJUU :2010/06/21(月) 18:23:19 ID:wLM08sta0
御疲れ様でした…おもしろかったでした…♪
583名無しさん@初回限定:2010/06/29(火) 01:10:53 ID:whi3IuFlO
ランス6やり直したらロリータハウス壊滅後のアルフラのイベントでちょっと泣けた
584名無しさん@そうだ選挙に行こう:2010/07/11(日) 16:22:41 ID:9ABuD3yS0
久々に来たら色々と投稿されててビビった
全部同じ人かな?今からじっくりと読ませてもらいまっす

とりあえず超GJ!
585【ワールド・ミスナルジ2 前の上編 】:2010/07/25(日) 10:19:25 ID:3muIX50T0
「“ワールド ミスナルジ”をご覧の皆様、こんばんは。司会のチョチョマン・パブリです。
 今から65年前、我が国ではマーゼルライン爆破作戦が決行されました。
 マジノラインの前身、マーゼルラインを己の体と化していた、凶悪な魔人レッドアイ。
 それを見事、当時の勇者が撃退した記念すべき年でございます。
 さように良きこの年に、世界ではどのような出来事が起こっているのか。
 今回も各界の著名人をお招きしてVTRを見ていきたいと思います。順番に紹介しましょう。
 先ずはこのお方、ラグナロックアーク・スーパー・ガンジー王です。こんばんは、ガンジー王」
「あぁ‥こんばんは」
「おや、王様。何やら顔色が優れないようですが、何か悪いことでもあったのですか?」
「いや、実はだね――「ははぁ、ご息女が口をきいてくれなくて困っている」」
「そうなんだよチョチョマン君。たまには親子のスキンシップでもと、一緒に風呂へ入ろうと声をかけただけなのに‥」
「なるほど王様、畏れ多くも進言させていただきますが。
 明日の朝食は“アスパラの単語辞書巻き”とさせていただきます」
“デリカシー”の概念を胃腸で覚えられる、優れた料理である。
「ではそのお隣。ゼスが誇る一流魔導書研究員、パパイア・サーバーさん。こんばんは、パパイアさん」
「はぁい、どもども〜☆」
「パパイアさんはこの暑い中でも相変わらずお元気そうで何よりです。
 何か秘訣がありましたら、ビジョンの前の視聴者の方々へ教えていただきたいのですが」
「‥そーねぇ、余計な物は身に付けない事かしら。
 アクセサリーや下着なんかは肌の弱い人にとって、汗疹の原因になったりするものね♪」
586【ワールド・ミスナルジ2 前の中編 】:2010/07/25(日) 10:20:22 ID:3muIX50T0
「なるほど、アクセサリーに‥下着?
 するとパパイアさん、もしかして今 貴方は――「もちろんノーパンノーブラよん☆」」
「チョチョマアアアアアァンパァブルリィッッッ!ッアイッッッ!!
 …失礼いたしました。つい年甲斐もなく興奮してしまった事をお詫び申し上げます」
 飛び上がってポーズを極めた際 転がっていった、キャスター付きの座椅子を番組ADが運んでくる。
 その俊敏かつ丁寧な足運びは、何処かの国の諜報員としてでもやっていけそうなレベルだ。
 彼女が左肩に乗せている、銀の毛並みに1つ目のネコ(?)もなかなかキャラがたっている。
「えーさて、今宵もこのお二方が番組を盛り上げてくれる事でしょう。
 レディーファーストでこちらから、パンティ・カラーさんです。こんばんは、パンティ」
「何度も言ってるけど ハ ンティだからな、 ハ ンティ。
 アンタの方こそ“アスパラの単語辞書巻き”食べた方が良いんじゃないのかい?」
「失礼しました、パンティさん。「くっ、この…!」
 パンティさんも何か暑さ対策などしていますか?」
「 ハ ンティだけどな。アタシは今お金を節約している最中だからね。
 幸い暑さに弱い訳じゃないから、せいぜい屋外で休む時は木陰に入るようにしたり。
 水分補給を怠らないよう気をつけるってところかな」
「ええー、ハンティちゃんそれって普通すぎー」
「うっさい!アンタみたいにハレンチな事、口が裂けても言えるかッッッ」
 と、ここでパパイアがおもむろに身体ごと右へ向ける。
 隣に座るガンジーも同様に左を向き、相対する形となった。
587【ワールド・ミスナルジ2 前の下編 】:2010/07/25(日) 10:21:06 ID:3muIX50T0
『収録の時はああ言ったけど、実はアタシ‥『何だよ、お前ま まさか履いてな―― ! 』』
『ん、言わないで。雄弁過ぎる男は嫌われるんだぞ‥』
『ハン‥ティ…』
 暫く辺りは沈黙のベールに覆い包まれる。
 お互い隣り合って座している為、相手の胸の鼓動音すら聴こえてきそうだ。
 視線を在らぬ方へやり100まで数えた頃、唐突に彼女が口を開いた。
『‥なぁ、確かめてみ――〈すぱぁんっ〉いったぁーい」
「2人とも今 何してたんだ?あ?」
「へっへー、今晩のハンティちゃんとパッ――〈ぶんっ〉おっと」
 女性陣のいろいろと際どいやり取りに、複雑な表情を隠せないパットン。
 つい先程パットン役を演じきった我らが国王様は、流れ拳に命中し机に突っ伏してまだ起き上がらない。
 空気を読んだディレクターの指示で、番組は一旦CMに入る。
 スタジオの壁時計を見て頭の中で簡単に計算するが、例によって残り時間はあまり無い。
(またこのパターンか…)
 先だって、チョチョマンに椅子を返した女性ADが再びやってきて、ガンジー王へ活を入れる。
 いつの間にやらハンティ達の決着もついたようで、漸く先へ進められそうだ。
(今日の視聴率次第で、局の改編期を乗り切れるか決まるからな。
 いつものグダグダな終わり方にならないよう、気を引き締めないとな!)
 むん と鼻息を強く吐き出し、丹田に力を集中させるパットン。
 ヘルマン内における活動資金稼ぎの為の番組出演だったはずが、思いの外気に入ってしまったようだ。
 間もなくキューサインが振られる。“ワールド・ミスナルジ”再開である。
588【ワールド・ミスナルジ2 後の上編 】:2010/07/25(日) 11:09:53 ID:3muIX50T0
「えーそれでは最後にパンティさんの相方、でも本当はホ・ラガ氏に片思い。パットン・ミスナルジ。
 こんばんはパットン、今日も相変わらず良い身体してますね」
「‥いや、だからお前な。いつもいつも俺のところに来るまで長いんだよ。
 それに、俺をいったいどんなキャラにするつもりなんだ、あ?
 言っとくけどな、普通に女が好きだからな?俺は」
「ハンティちゃんハンティちゃん、彼が見――「見てねぇからな!」」
 パパイア発パットン宛の「んもぅ、わかってるって」と言いたげなウインクを全力でスルーした元皇子。
 気持ちを切り替えようと深呼吸を始め、
「‥ぶはッッッ!」盛大に吹き出した。
「おいッガンジーさん後ろ、後ろ!!」
 唾に濡れ、テラテラと照明光を反射する口元もそのままに、ガンジー王の後ろを慌てて指差す。
 彼の瞳は今まさに他国の王を刺殺せしめんとする、美人番組ADの姿を捉えているのだ。
 だがしかし、出演者全員パットンの鬼気迫る表情に疑問の眼差しを送るのみ。
 周囲のスタッフも国王を守るどころか皆、不自然なくらいにガンジーの方を見ようとしない。
「だから後ろだよ後ろ、良いから早く見ろって!」
「いったい何だと言うのかね、パットン君…おぉ、これは可愛いな」
 幾度もの掛け声に漸く後ろを振り返るガンジー。
 その瞬間、彼の背後に立つADフレイア嬢は持っていたナイフを素早く1つ目のネコに変え、ガンジー王へ手渡した。
「いや、ガンジーさんそれナイフ‥「この可愛い生き物がナイフだって?大丈夫かいパットン君」」
「‥ふむ、なるほどこの可愛いさは凶器になり得るかもしれませんが、残念ながらナイフに見えるとはとても…」
「なんかゴメンね、私がハンティちゃんの事からかったりしたから‥」
589【ワールド・ミスナルジ2 後の中編 】:2010/07/25(日) 11:10:35 ID:3muIX50T0
「い、いやいや違う。違うからな?俺は今ガンジーさんがADに渡したソイツが‥。
 ほらまた、まただよ今、ガンジーさん今だって後ろ!後ろー!!」
 生暖かい視線に曝され、柄にもなく狼狽えたのも束の間。
 ガンジー達が再びパットンの方へ身体を向ける機会を窺っていたのか、ADが忍び足で近づいて行く。
 肩に乗せていた1つ目のネコをナイフに変え、全身を大きく背伸びするように振りかぶり――。
「だからいったい何なのかね。
 見たまえ、彼女は自分の愛猫を“高い高い”してあやしてあげているだけじゃないか」
「それがおかしいんだろうがよぉッッッ!番組収録中にADが出演者の背後でペットと戯れるとか、ありえねぇだろうが!!」
 地よ裂けろ天よ割れろとばかりに吼えるパットン。
 今の彼なら殴りまくりタワーを休み無しで10往復出来るかもしれない。
 スタジオ内が彼の気迫に飲み込まれんとしたその時、
「う、‥しくしくしく、しくしくしくしくしく」
 何と、番組きっての美人ADフレイア嬢が泣き出してしまった。
「おやおやパットンさん、いくら趣味でないとは言え女性を泣かせてしまうのは‥」
「そーよねー、ゲイ人失格よねぇ」
「おい今またイントネーションがおかしかったぞ。
 本ッッ当、俺はノーマルだからな。普通に、女を、異性を好きだからな。
 つーかADお前あからさまに泣き真似だろ、今時“しくしく”泣くヤツなんて化石モンだぞ」
 間。
590【ワールド・ミスナルジ2 後の下編 】:2010/07/25(日) 11:11:14 ID:3muIX50T0
「おーーーいおいおいおいおい、おーーーいおいおいおいおい…」
「「「いーけないんだーいけないんだー泣ーかしたー泣ーかしたー」」」
「“天丼”じゃねぇかこれ!どう考えても嘘泣きだろ。
 な、なぁハンティ。ちゃんちゃらおかしすぎてヘソで目玉焼きが作れるよな?」
 孤軍奮闘過ぎる展開にほとほと疲れ果てたのか、口数の少なくなった相方へ助けを求める。
 対するハンティ、何故か右斜め上を向いて目線を合わせないまま諭し始めた。
「‥パットン。アタシはアンタを女の子泣かせるようなヤツに育てた覚えはないぞ」「はぁあああああああ?!」
 その後 納得いかないながらも謝る事になってしまうパットン氏。
 彼が心底 苦い顔で、ADフレイア嬢へ詫びを入れようとした――その時。
 ここで番組スタッフによる種明かし。実は彼以外、皆が仕掛人。
「いやぁ、最初聞いた時は驚いたけどね。
 ネタがわかった今となっては最高の笑い話‥になる訳ねぇだろちくしょう!!
 おいADこら いい加減にって、捨てろ!ナイフ捨てろ!
 ほら司会者、こいつ一瞬マジで暗殺者の目してたぞ「チッ」
 舌打ち?!今 舌打ちしただろおいAD、口笛吹けてねぇよ。こっち見ろよ!」
「えーそれでは皆様、“ワールド・ミスナルジ”今夜はこの辺で。
 また来週、この時間にお会いいたしましょう。さようなら」
「いやいやいや、このまま終わるのかよ!一昨日録ったVTR結局使わないのなッッッ。
 郵便局のポスト役とかありゃ一体何だったんだよ、ってマジかよ本当にこれで終わ――」
終わり。
591自作特攻隊WILLCOM ◆0CrenIPJUU :2010/07/25(日) 11:20:06 ID:VYS1H54U0
WF 1地区・18禁地区を偵察

・ももんが 楓 発見  ※某社製 山本五十六
592自作特攻隊WILLCOM ◆0CrenIPJUU :2010/07/25(日) 11:38:06 ID:YZtZzqOf0
WF 第1地区偵察、発見出来ず。第二を偵察開始。
593【ワールド・ミスナルジ2 あとがき 】:2010/07/25(日) 11:50:18 ID:3muIX50T0
>582,584 レスありがとうございます。
・584様 超GJ恐縮です。
このスレの名前欄に【 】でタイトル付けてあるのは、全部私の投稿となります。
パロディや設定改変など往々にして行なっているので、感想をいただく度に冷や冷やしているのが正直なところです。
・最後に、3週間以上休む事になってしまい申し訳ありませんでした。
まだ暫く周辺が ばたついているので、投稿が不定期になります。
何卒ご容赦願います。
594自作特攻隊WILLCOM ◆0CrenIPJUU :2010/07/25(日) 12:24:30 ID:OAgr0A2g0
WF 第二地区偵察、エスカの某社製の中古フィギャが一品有り。

第3地区の偵察を開始…
595自作特攻隊WILLCOM ◆0CrenIPJUU :2010/07/25(日) 13:06:37 ID:UK5Cx5S10
WF 第3地区を偵察、何も無し

途中のコスプレコーナーを偵察するも、昨年ハルカのレイヤーさん
見て以来、発見出来ず、帰りに再偵察

第4地区の偵察を開始…
596自作特攻隊WILLCOM ◆0CrenIPJUU :2010/07/25(日) 13:49:52 ID:7v/1UrzY0
WF 第4地区を偵察、ハルカ発見
597自作特攻隊WILLCOM ◆0CrenIPJUU :2010/07/25(日) 15:04:59 ID:IqLaeU+J0
WF 第五地区を偵察発見出来ず、企業ブースへ偵察開始…
598自作特攻隊WILLCOM ◆0CrenIPJUU :2010/07/25(日) 16:02:21 ID:yiJo5mLI0
WF 
企業ブース・コスプレ会場、発見出来ず。

戦国ランスとハルカが一番影響が強かった模様。
599自作特攻隊WILLCOM ◆0CrenIPJUU :2010/07/25(日) 16:54:36 ID:VWMjl2U60
>>585-590 じろじろ…♪ WF帰りに読みました、

なにげなくえろくて面白いですね…♪
600自作特攻隊WILLCOM ◆0CrenIPJUU :2010/07/26(月) 19:11:07 ID:4IuTcqRe0
601名無しさん@初回限定:2010/07/28(水) 16:45:25 ID:FsuEMAy7O
このスレひさしぶりきてみりゃクソコテ貼りついててワロタwwwww画像きめぇwwww死ねよwwwwwww
602自作特攻隊WILLCOM ◆0CrenIPJUU :2010/07/28(水) 22:21:42 ID:/R0MO7Fe0
別板の某氏、ここの板にまで出現、消耗戦は無視して消灯。

おやすみなさーい。
603名無しさん@初回限定:2010/07/31(土) 20:43:45 ID:4Zx9pzis0
>>600
バニラかわいいな

背景の隙間から見えるヒトゴミすげぇ
604名無しさん@初回限定:2010/07/31(土) 23:50:39 ID:238wX5U30
流石のスルースキル
605【解呪 前の上編 】:2010/08/02(月) 10:36:30 ID:2M4hzwcc0
 それは、どんよりと今にも空が泣き出しそうな日。
 新型チューリップの研究も一息ついて、溜め込んだストレスを紅茶とお菓子で昇華していた時の事。
 自宅 備え付けの魔法電話が、かん高い音を発てて彼女を呼びたてた。
「はいはい、今出るからねーっと」
 積み重なった資料や散らばった材料を踏まないよう、慎重に大股で進むこと6、7歩。
 漸く辿り着いた電話台の傍で、軽く咳払いする。
「はい、こちらマリア・カスタード研究所――「も、もしもし、マリアさんですか?」」
 電話の相手はいつも穏和で気の置ける友人、シィル・プラインだった。
 電話が繋がって良かったと 安堵で胸を撫で下ろす彼女の声に、大袈裟だと思わず苦笑するマリア。
 しかしこの後、何やら切迫した雰囲気のシィルの一言で、マリアの緩やかな時間は早々に終わりをつげる事となる。
「ランス様が、…ランス様が大変なんです!助けて下さいマリアさん!!」

「―― だいたい、アイツがおかしいのなんて前からじゃないの?」
 マリアが幼い頃からの親友、魔想志津香が来訪して開口一番の台詞である。
「2日前から様子が変で何かの冗談とも思えないって。
 シィルちゃんには悪いけど、私にはあのバカの悪い悪戯だとしか考えられないんだけど?」
 友人と天敵の板挟みにあった苛立ちを、ぶつぶつ独りごち一所懸命に解消する志津香。
 それでも荷造りの手を止めようとしないあたり、この娘は優しい。
「ちょっとマリア。私の顔見てニヤけてないで、さっさと準備終わらせなさいよ」
「えへへ、ごめんごめん」
606【解呪 前の中編 】:2010/08/02(月) 10:37:18 ID:2M4hzwcc0
 シィルからの電話で簡単ではあるが事のあらましを聞き、準備を終えて。
 運が良かったのか、ラジール方面へ向かううしバスに待ち時間無しで乗り込む事が出来たマリア達。
 ラジールへ到着後、今度はアイスの街行きのバスに乗り換える。
(こんな時、ついつい自家用車があれば‥なんて考えちゃうわね)
 面倒な乗り換えを終え、みゃーみゃーと鳴きながら走り去るバスを後ろに、複雑な表情で足を運ぶ志津香を宥めながら歩く。
 彼女らの右手側にある大通りを、うまタクシーが10台ほど通り過ぎた頃。
 遠目に見える一軒家の玄関前で、ふわふわそわそわ 桃色の柔毛が風に揺れる様を見留めた。
「あっ、マリアさーん!志津香さーん!」
「あーあ、あんなに一所懸命 手を振らなくても見えてるってば」
 そう言って苦笑しながら律儀に手を振り返す志津香。
「‥だからその訳知り顔かつ生暖かい目は何なのよッマリア!」
「ふふふ、べっつにー」

 ランス宅、リビングのテーブル上には汗をかいたグラスが3つ。
 予想を超えて変わり果てたランスの姿に声は無く、沈黙が続く空間へ氷の割れる音が響いた。
「‥まさか、あんな風になってるとは思わなかったわ」
「えぇ本当、何だかその‥あれじゃシィルちゃんが困るのも無理はないって言うか…」
 直後、2人は扉の向こうのランスを確認する。
 そこには以前の傲岸不遜、天上天下唯我独尊な態度もどこへやら、まるで別人と化した彼が居たのだった。
「‥詩(うた)は良いよね。ぷちぷちが産み出した文化の極みだよ」
(そんな、声まで変わって…!!)
607【解呪 前の下編 】:2010/08/02(月) 10:38:03 ID:2M4hzwcc0
「し、す、シィルちゃん‥コレ本当にあの緑バカ?」
 動揺のあまり舌が回らぬ志津香へ、おずおずと首肯するシィル。
「あはは、“コレ”呼ばわりは酷いんじゃないかい志津香?」
 白歯を光らせ、痩けた頬で病弱キャラを演出するランスが、控え目に苦情を申し立てた。
 以前の彼を知る者がこの光景を見れば、眉唾物の終末論すら信じるようになるだろう。
「う、ゲホゲホッグホッ‥ぁ「ら、ランス様!」
 ふ、すまないねシィル‥迷惑をかける。あぁ、この窓から見える一枚の枯葉が散り行く時、僕は…」
「ランス様ぁ…」
 突如 繰り広げられる古き良き純文学の世界、と言うか2人の世界。
 枯葉が落ちたらどうなるのか最後まで言わないところがミソである。O・ヘンリー氏に謝れ。
「ま、まぁ良いわ。とにかく一旦状況を整理しましょう」
「そうね、このままじゃまるで話が進まないし。
 ‥シィルちゃん、悪いけど私達リビングにいるから、そいつが落ち着いたら声かけて」
 心労が限界に達したのか、死んだ魚のような目で部屋を出ようとするマリア達。
「マリア、志津香。君達の清水のごとき優しさが、渇いた僕の心を癒してくれる。
 その誠実さ、好意に値するよ」
 面食らった表情でマリアが聞き返す。
「こ、好意?」
「好きってこと――「いい加減にしろこのバカ!!」あきらいしだっわらばっ」
608【解呪 中の上編 】:2010/08/02(月) 11:10:46 ID:2M4hzwcc0
 場所は再びランス宅リビング。
 先刻の電話で記録していたメモを取り出し、あらためて詳細な情報の聴取を行なうマリア。
「実は、ここ数日このアイスの街では奇妙な事件が起きているんです」
「奇妙な事件って?」 シィルはそっと席を立つと、近くの本棚からスクラップにした新聞記事を持って来た。
「―――これです。5日前の“夕闇に紛れての通り魔的犯行 犯人は呪術士か”。
 それから昨日まで、犯行現場は違っても被害者は皆同じ時間に襲われているんです!
 キースさんから依頼が来るかもしれないと思い、こうして情報を集めていたのですがまさか‥」
 テーブルにぽつり ぽつりと雫が落ちる。
「シィルちゃん。酷なこと言うようだけど、あなたが気に病んでもランスは治らないわ。
 私達はとにかく出来る事をしましょう、ね?」
「マリアさん‥ごめんなさい。らしくないですよね、私」
「‥ふふ、それじゃ話を続けるわよ」
 握り拳をえいやっと突き上げ気合いを入れるシィルを見て、志津香が話を戻す。
「さっきあのバカと会った時に、不自然な魔力の流れを感じたの」
「不自然なってまさかッ?!」
 何かを察したらしいマリアの言葉に、黙して頷く。
「えぇ。十中八九、犯人の魔力と見て問題無いわ。
 あとはこの、魔力検知器“まじしゃんちゃん”で、流れの大元を辿っていけばって寸法なんだけど‥」
 カスタムから持って来た荷物の中で、一際目立つそのアイテム。
 カスタム都市の裏路地にある、アングラ系魔道具を主に扱う店で手に入れた代物だ。
 台座の上で杖を構える“まじしゃん”の3頭身人形が、風見鶏のようにくるくると回り魔力の反応を使い手に教える。
 いわゆる1つの魔術探知機である。
609【解呪 中の下編 】:2010/08/02(月) 11:11:29 ID:2M4hzwcc0
「良かったぁ、ここまで手が揃っているならもう事件は解決したも同然ね。
 さっさと犯人捕まえて、ランスを元に戻す方法を聞き出しましょう!」
 先頃 苦虫をカートン単位で噛み潰す志津香の、魔力を用いた触診により判った事だが。
 志津香のツッコミに因る怪我とは別に、ランスは確かに刻々と衰弱していた。
 今までの話の流れからすると、ランスは一連の事件の犯人と遭遇し、何らかの呪法をかけられたのだろう。
「どんな呪いか詳しく解らない以上、一秒でも早く敵を見つける必要があると思うの。
 実際、こうしている間にも症状は進行していくみたいだし」
 カートリッジを装填したチューリップを始め、諸々の道具を入れたバッグを背負い席を離れようとするマリアとシィル。
「待って2人とも、そうは言ってもあまりに解り易すぎないかしら。
 こんな、見つけてくれと言わんばかりの証拠の残り方‥最悪罠かもしれないわ」
 志津香の諫め言に暫し逡巡するマリア。しかし、シィルの歩は止まらない。
「シィルちゃん!」
「ごめんなさい、志津香さん。私も罠だと思います。
 でも、それでももしこの先にランス様の身体を治す手掛かりがあるのなら、私は絶対に行きます。
 そうでないときっと、きっと私後悔してしまうから!!」
「シィルちゃん‥解ってるなら尚更。
 友人として見す見す危険へ晒すようなマネ出来ないのよ!」
 危険を承知で敵の懐へ潜り込まんとするシィルと、それを阻む志津香。
 そして、両者の間で“碧色の脳細胞”を全速力で働かせ、代価案を捻りだそうとするマリア。
 アイスの街 ランス邸は今まさに修羅場の様相を呈していた。
610【解呪 後の上編 】:2010/08/02(月) 11:12:14 ID:2M4hzwcc0
 ピンクのもこもこと緑の魔女が睨み合いを始めて数十分。
 年頃の少女が集い華々しさに満ち溢れていたランス宅も、今や巨大積乱雲の中(比喩的な意味で)。
 轟く雷光、吹き荒ぶ嵐。ブリッジ!ラピュタはこの中だ!父さんは、竜の巣の中でラピュタを見たんだ!
「‥あーえっと、そうだ!あてなちゃんはどうしたの?
 ランスがあんな状態だから、てっきり傍で看病してるかと思えば居ないみたいだし?」
「‥そう言えば、いつものベッドの下にも居なかったわね」
(ほっ…)
 マリアの一か八か気を引く作戦に、志津香が反応した。
 それと同時にこの家を囲んでいた暗雲が散り散りになり、晴れ間が差してくる。
 どうやらゲームブックで言うところの、仲間割れルートからの“14行き”は回避したらしい。
(グッジョブ、私!)
 急激に緊張が解れたおかげで、脱力し過ぎたマリアのデッサンが落書き並みになったその時。
〈ずどんっ〉
「くっ、何よ敵襲?!」
 玄関からの爆発音が3人を急速に現実へ引き戻した。
 前衛にマリアと志津香、後衛にシィルの布陣を即座に敷いて、砂煙の中の何者かを待ち受ける。
 マリアがチューリップを。志津香が両腕で魔力を練り 行き渡らせたところで、更に事態は思わぬ方向へと動き始めた。
「‥なにが呪いだ。てめえの魔法はでたらめだよ、サニーパンチ!!」
〈ぼぐしゃーーーッッッッ〉
「ぱろすぺちゃるっ」
 夕陽が作り出す逆光の向こうから、いかにもな黒装束に見を包んだ男が吹き飛んできた。
 余程強い衝撃を受けたのだろう。指1本すら動かないところを見るに、既に意識を失っているようだ。
611【解呪 後の下編 】:2010/08/02(月) 11:42:15 ID:2M4hzwcc0
「ヒトノロワーバ・アナスタシア‥。
 2日前、あてなとご主人様が仲睦まじくお散歩していたところへいきなり現れ、難癖つけて呪っていったお前!
 あてなは許しませんよーっ!」
(あてなちゃん、いたーーー?!)
(しかもきっちり呪いにかかってキャラがおかしくなってるわ。何よサニーパンチって)
 気のせいではなく、あてなの立ち絵が漢(おとこ)らしくなっている。
 具体的にはゲッター線をシャワーで浴びて、一子相伝の暗殺術を受け継いだ雰囲気とでも言おうか。
 これ程に逞しく魅力溢れる今のあてななら、最新作への出番は保証されたも同然である。
 よって当然 手紙だけの出演だったり、1枚絵はおろか立ち絵すら無い事態など到底あり得ないのだランス6(語尾)。
「さぁ、起きるんだよヒトノロワーバ。
 起きて、ご主人様とあてなの解呪方を教えるのれす。
 さもないと――って‥あやや、いつの間にかあてなすっきり元通り?」
「あ、あてなちゃーーーん!」
「ふにゃ、ぎゅうぎゅう。シィルちゃんキツい、苦しいれす‥は、離して」
 所変わってランスの部屋でも、
「―――ぅん?‥お、おおぅ治った!わははは治った、治ったぞ!!
 おいシィル、それにマリアと志津香もだ!快気祝いにさっそく4ぴ〈炎の矢〉ぎゃあああああ」
「やれやれ、ようやく一件落着ね」
 先の爆発からずっと練り上げていた魔力が、ランスの身体をこんがりローストする。
 嬉し涙にくれるシィルを見守る志津香の表情は、それはそれは清々しいものであったと言う。
 アイスの街の群青色した空に、一番星がでっかくがははと輝いた。
終わり。
612【解呪 あとがき 】:2010/08/02(月) 11:43:38 ID:2M4hzwcc0
>599様 レスありがとうございます。
・“ワールド・ダウンタウン”を元ネタにしている以上、絶対やると決めていたパパイア嬢の下ネタ→チョチョマン氏のリアクションなど。
 楽しんでいただけたなら幸いでございます。
・今回のSSは、シリアス物を書こうと思っていたはずがご覧の有り様でした。
 どうしてこう(ry
・また、都市間の移動手段の1つであるうしバスの運行方法は、例によってでっち上げです。
 こちらで言うところの、電車と似たような感じかなと想像してみました。
(これなら、うまタクシーとの住み分けもできるのではないかと)
 最後にコミックボンボン版餓狼伝説ファン、短編小説の大家 O・ヘンリー氏のファンの方々には、謹んでお詫び申し上げます。
・拙いSSではありますが、お読みいただき誠にありがとうございました。
613自作特攻隊WILLCOM ◆0CrenIPJUU :2010/08/03(火) 12:21:11 ID:vKfgDAO10
何時も面白いですね…♪

まじしゃんちゃん ←別の所ではフィギャとして高値が付きそうですね。
614自作特攻隊WILLCOM ◆0CrenIPJUU :2010/08/15(日) 20:33:06 ID:6TFdvoiH0
615【暇つぶしの味は激辛 前の上編 】:2010/08/19(木) 11:23:08 ID:0qjxHK570
 ゼス国。新生I・F(アイス・フレーム)の本拠地、その会議室。
 人類の天敵である魔人の一人、ジークの魔血魂を持ち去り、新たな脅威と化した裏切り者。
 魔人カミーラの使徒アベルトを倒して、一週間が過ぎた。
 マジノラインが機能を停止し、魔物界からの軍勢に国土を蹂躙されたその傷跡は、決して浅くない。
 恐怖の元凶を打ち倒したとて、未だ混乱の渦中である事に相違ないのだ。
 東に旧一級市民と二級市民の諍いあればそれを治め、西に悩める民衆いれば駆けつけ知恵と労力 傾ける。
 かつての穏健派対政府組織は今や、ゼス国お抱えの特殊部隊(口さが無い者は“何でも屋”と呼ぶ)として東奔西走していた。
 ゼス崩壊前と比べ人員が増強されたとは言え、現在とても忙しい。
 それこそI・F内部においても、魔法使いとそうでない者が多少のわだかまりを他所へうっちゃり、共に力を合わせてしまう程に忙しい。
 だが、ここまで慌ただしいこの組織の中でもごく一部、暇な時間を享受している者達がいた。
 今回はそんな彼らが、どのように暇をつぶさんとするか。そんなお話。

「暇だ。‥暇だ暇だ暇だ暇だ暇だ暇だーーーー!!」
 むきーと一声、お天道様へ向いて吼えるランス。
 とは言え面倒な雑用や任務を、ことごとくサーナキアの部隊に押し付けたその結果がこれなので、いわば自業自得だったりする。
「ロッキー!「はいだすっ」‥何か一発芸をしろ」
 突然の無茶振りに狼狽えるも、そこは自他共に認めるランス専属ドジっ子有能召し使い。
 両の手指を胸前でもじもじ、三歩下がって主人の影を踏まぬ距離からそうっと応える。
「では、おらの得意技‥耳の穴の中に耳をしまう芸を――「やめろ気持ち悪い」」
「がーーーん」
 現実は非情である。
616【暇つぶしの味は激辛 前の中編 】:2010/08/19(木) 11:23:57 ID:0qjxHK570
「話は聞かせてもらったよランス殿。退屈の虫を追い払うにはズバリ!
 遊びに興じてみるのが一番だと思うのだが、いかがかね?」
 ずばんっと喧しい音をたて、ラグナロックアーク・スーパー・ガンジー国王がやって来た。
 長年抱えていた悩みの種が解消された為か、ここ最近の彼はうざったいくらいに機嫌が良い。
 本日もまた例に漏れず、山田千鶴子嬢 鼻血を出して曰く、渋くてお茶目なスマイルが決まっている。
「遊ぶって、ここの卓ゲーは大概やりつくしちまっただろうが」
 オセロに将棋、人生ゲームなど目についたものは片っ端から遊び倒したこの数日間。
 ランスの熱しやすく冷めやすい性分もあってか、件の遊具に再び食指が動く事もなく、机を枕に無為な時間を過ごしていたのだ。
 一方、眼光鋭く睨まれたガンジーは慌てず騒がずマイペースに、我が儘な友人へプレゼンテーションを始める。
「私が幼い頃、リズねえとよくやった遊びなんだがね――」

「あの、王様‥これはいったい何が始まるんです?」
 定例会議開始時刻の三十分前。
 新たにゼス四天王となる予定の、元I・F代表ウルザ・プラナアイスは大変戸惑っていた。
 彼女は今、業務内容の引き継ぎを始め数多く抱える仕事の一つ、新生I・Fの現状を整理し未来を創る会議の為、この場に居る…はずだった。
 会議を行なう場所に違いは無いし、開始時間にも多少余裕が有るものの問題無い。
 心の平静を取り戻すため、現在の状況を脳内で素早くチェックし、深呼吸を一つ。
 その後あらためてウルザは、視線を前方へ移す。
 室内のテーブル中央には、成人男性の拳サイズ程のグラスが六つ。
 それぞれ上からお椀型の蓋が被せてあり、外から見ても中身が判らないようにしてある。
 一番から六番までシールを貼られたそれらを前に、ウルザは更に困惑の色を深めた。
617【暇つぶしの味は激辛 前の下編 】:2010/08/19(木) 11:24:38 ID:0qjxHK570
「いや何、会議が始まるまでまだ時間があるからね」
 言うなりガンジーは懐から粉末を取り出し、そっと差し出された飲み水の中で溶く。
 すると直ちに不吉な予感が漂う、赤錆色へ変化した。
 グラスの底へ沈澱している、香辛料で言うナツメグに似た何かをマドラーで砕くと、眉間を突き破る刺激臭が辺りを支配した。
「んがっ?!てめっガン‥!早く捨・ろ!!」
 涙目で鼻を抑え、ランスが怒鳴る。
 その反応を待っていたとでも言いたげな表情で笑い、傍らに控えるカオル・クインシー・神楽へ渡す。
 受け取ったグラスにわずかばかり眉をしかめたカオルは、一切の躊躇なく足下で気絶しているバーナードの口元へそれを流し込む。
 バーナードは飛んだ。高く、高く、どこまでも遠い遥か彼方のその向こうまで。
 同時刻。I・F敷地内の孤児院に住む子供達は、昼の大空に流れ星を見つける事が出来たとか。
「…この一見 魔トマトジュースのような赤い飲み物が、目の前に有る六つのグラスの中に一つ、紛れ込んでいる。
 それ以外のグラスは正真正銘、産地直送。本物の魔トマトジュース。
 つまり六分の一に当たらなければ勝者と言う訳だ。どうかね、単純かつスリリングな遊びだろう?
 私も幼い頃、よくリズねえとこのゲームをしたものだよ…彼女は本当、強かった」
 ちなみに当時、負けが続いていたガンジー少年は、ほぼ毎回逆ギレしてリズナへ魔法をぶつけている。
 リズナが有する“伝説の魔抵力”誕生秘話の一つだ。
「何だってんだよ、この有り様は‥?」
 出入口で棒立ちするウルザの後ろから、一際でかい身体が目を惹くグラップラー、パットン・ミスナルジが顔を出す。
 どうやら、いつの間にか席を外していたカオルが連れてきたようだ。
「ふむ、役者もそろったようで何より。
 …それでは始めよう、退屈な日々に刺激(スパイス)を与えてくれるこの遊戯を!!!!」
618【暇つぶしの味は激辛 中の上編 】:2010/08/19(木) 12:00:43 ID:0qjxHK570
「え?そろったって、もしかして私もカウントされてるんですか?!」
 目の前の光景に呆気にとられ、逃げる機会を逸してしまったウルザ。
 のそりと部屋へ入って来たパットンは、ランスとガンジーの二人を視界に収めた時点で、既にいろいろと諦めている。
 現在彼は、少しでも己の身に振りかかる火の粉を小さくしようと、懸命に思案中だ。
 当然のように数へ入っているカオルは、ガンジーの隣で幸せそうに微笑んでいる。
 彼女と立場の似たロッキーが、バーナードの件で膝を震わせている事からして、修羅場を潜った数と主君に対する盲目さの度合いが知れよう。
「…それでは、グラスを選ぶ順番はどうしましょうか?」
 カオルが口を開いた。場の膠着を嫌ったのか、あるいは他に何か意図があるのかもしれない。
「ふん、そんなもん俺様が一番に選ぶからあとは勝手に「くじ引きにしましょう」
 んが?!おいウルザちゃん何を勝手な――」
“お前が言うな”とでも言いたげな周りの視線も何のその、ランスがウルザを制さんと声をかける。
 そして気づいた。いつものウルザとは様子が違う事に。
「くじ引きです「いや、一番と言ったら俺様‥」」
「く じ 引 き です!!!!」
 説明しよう。
 ここ最近のあまりの忙しさに、ウルザの病み上がりの身体は心身ともに疲労がピークに達していた。
 まさに、きゃんきゃんの手も借りたいそんな状況の中、良い歳した男どもが雁首そろえて仕事をせずに遊んでいるときた。
 しかもその筆頭が自国の王様と見留めた時、ウルザの中で何かがキレてしまう。
619【暇つぶしの味は激辛 中の下編 】:2010/08/19(木) 12:01:22 ID:0qjxHK570
 ゼス国の古い言い伝えにこんなものがある。
〈穏やかなる心を持つ働き者 遊び人どもの手により心かき乱されし時
 その者 黄金色の精神衣(オーラ)を纏いて大地へ降り立ち 怒りの鉄槌くだすだろう〉
 お分かりいただけただろうか?今のウルザはただのウルザではない。
 穏やかな心を持ちながら、激しい理不尽によって目覚めた古き伝承の体現者。
“スーパーウルザ”の誕生である。
「そんな‥ウルザさんが、まさか…」
 ウルザの全身から立ち上る、黄金色のオーラに気圧されたのか。カオルがやたら大袈裟な仕種で後退る。
「ランスさん‥条件は皆、平等でお願いします。良いですね?」
「あ、はい」
「ガンジー様」
「な、何かな?」
 ほんの十数分前まで急患がたて続いたおかげで、二日徹夜に加え朝帰りキメた看護師の顔をしていたウルザが今や、如来菩薩の表情だ。
 さすがの“Mr.ノンデリカシー”ガンジー王も動揺を隠せない。
「一回だけ、ゲームに参加させていただきます‥終わったら 仕 事 を して下さい、ね?」
「う、うむ。わかった約束するよ、ウルザ君」

 会議室の真ん中に円形テーブル。その卓上に六つのグラス。
 座席順は、黒板を背にして時計回りにウルザ、ランス、ロッキー、パットン、ガンジー、カオル。
「みんなー、出来たよー」
 孤児院から差し入れを持って来ていた年長の少女カーマが、紙ナプキンで作ったくじを片手に鼻歌混じりで入室。
 瞬間、会議室の空気がずしりと重くなる。
「それじゃあ、だれから引くの?」
「そりゃもちろん俺様「全員一斉に引きます」ウルザちゃん…」
 カーマの労るような視線が胸に沁みるランスだった。
620【暇つぶしの味は激辛 後の上編 】:2010/08/19(木) 12:02:04 ID:0qjxHK570
 スーパーウルザの仕切りによって何事もなく順番は決まり、一番手ロッキー。
「お、おら‥このゲームが終わったら、キムチさんをハイキングに誘ってみるだす。
 あっ、もちろん子供達もみんな一緒だすよ。景色のきれいな場所で、おいしいお弁当食べるだす。
 なあに大丈夫だすよ、六つの内五つもセーフなんだす。
 ま、まさか最初から当たりを引くなんて、あり得っこないんだすよ」
“6”と書かれた蓋を取り、グラスを傾け一気に呷る。
 ロッキーは星になった。
「ロッキーおじちゃーーーーん!!」
 カーマの涙に濡れた声が会議室へ木霊する。
 天井に開いた穴の向こう、青空スクリーンにロッキーの蒸し熱い笑顔がキラリ輝き、やがて陽炎のように消えていった。
「わっはっはっ、これは参った。まさか始めの一歩で終わってしまうとはげふうう」
 安心して手元の四番グラスを飲み干したガンジーが、ロッキーに続き打ち上げられる。
「ガンジー様あああああああ!!!!」
 身長210cmの大男がぶち抜いた天井から見える青空は、カオルにとっていつもよりずっと冷めた色をして見せていた。
「おい、何なんだよこりゃ。ハズレは六個並んでる内の一つだけじゃなかったのか?!」
 手に持った三番グラスを指差し、パットンが吼える。
「まったくその通りだな!こんなゲームになってねぇもん付き合ってられるかッ」
 さすがのランスも星になりたくないのか、パットンと連れ立ち部屋を出ようとするその時、
「二人とも待ってください」
 スーパーウルザが彼らを呼び止めた。
621【暇つぶしの味は激辛 後の下編 】:2010/08/19(木) 12:35:01 ID:0qjxHK570
「カオルさん、このドリンクを用意したのはどなたかご存知ですか?」
 先ほど、大空へ華々しく散った二人のグラスを検分しながら、ウルザが訊ねる。
「えっ、それは確かウィチタが‥」
「やはり彼女でしたか」
「何だよ、何か変なところでもあるのか?」
 ランスが思わせ振りなウルザの言葉に、苛立ちながら先を促した。
「ランスさん、皆さん。おかしいとは思いませんか?
 先ほどガンジー王が星になったと言うのに、あれほど王を慕っていたウィチタさんが姿を見せない‥」
「お、おい。それじゃまさか――」
 パットンの声に力強く頷き、スーパーウルザは黄金色のオーラを一際強く大きく煌めかせ、叫んだ。
「そう。ウィチタさんは姿を見せないのではなく、“見せる事が出来ない”状態にあるんです!
 そしてこのドリンクは、ウィチタさんを害した何者かが用意した物‥」
「おい、まさかそいつは―――!?」
「はい。その犯人は今………どこにいるか解りません!!」
「ウルザああああああああああ!!!!」
 説明しよう。
“スーパーウルザ”に変身したウルザは、身体能力が十倍以上跳ね上がる気がする換わりに、アホの子になるのだ。

 それからてんやわんやした後、厨房へ調査に行った四人は、たんこぶ付けて気絶しているウィチタを見つける。
 その数分前、孤児院の庭で遊ぶアルフラは見ていた。I・F本部からこそこそ脱け出す人影を。
「ジーク様、オーロラ一矢報いてやりました!」などと大きな独り言を残し走り去る、逞しい少女の姿を。
 終わり。
622【暇つぶしの味は激辛 あとがき 】:2010/08/19(木) 12:37:10 ID:0qjxHK570
>613様 レスありがとうございます。
・まじしゃんちゃん気に入っていただけたようで何よりです。
 お気づきの方もいるやもしれませんが、元ネタはGS美神の“見鬼くん”でした。
・チョチョマン氏、パットンに引き続き今回はウルザをいじってみました。
 スーパーサイヤ人、風の谷のナウシカ、そして本来のウルザファンの方には謹んでお詫び申し上げます。
・拙いSSではありますが、お読みいただき誠にありがとうございました。
623自作特攻隊WILLCOM ◆0CrenIPJUU :2010/08/20(金) 06:04:47 ID:pwQ0XSE70
今回も微妙なツボを突いていて面白いですね…♪



>>603 どもです、コミケは更に人の数を上回りました…
624名無しさん@初回限定:2010/08/30(月) 08:56:35 ID:VeSd8adu0
おもしろい
625名無しさん@初回限定:2010/09/16(木) 15:56:36 ID:VucYx/oV0
支援
626自作特攻隊WILLCOM ◆0CrenIPJUU :2010/09/25(土) 22:27:44 ID:/gZU2Obv0
ホビージャパン11月号をじろじろ中… アール・ライン社製

1/7 PCV製塗装済み完成品 エスカレイヤー 11月発売予定

キャストオフ可能 原型製作 池田良一 税込 7980円
627自作特攻隊WILLCOM ◆0CrenIPJUU :2010/09/26(日) 08:53:48 ID:7nr78Y9E0
ホビージャパン11 P302 

鷹守ハルカ(制服版)

ボークス社製 10290円 10月10日発売予定 レジンキット
1:7スケール 全高約23cm 全22パーツ 
原型製作 みさきせりか(a-brand)

「ホビーラウンド4」限定販売
628自作特攻隊WILLCOM ◆0CrenIPJUU :2010/09/26(日) 09:01:49 ID:MOf0UVk80
>>627 追即

P304にカラーで告知

発売元、グリフォンエンタープライズ 12月発売予定、
コスチュームは着脱可能

※脱がした写真は無し。
629【ゲームセンターR 前の上編 】:2010/10/04(月) 09:58:36 ID:3A56AQ590
 ぎりり、と両の奥歯を噛み締める。
 血走る眼差しを向けるは正面、淡い光を彼に照り返す一台の魔法ビジョン。
 軸足をずん、と床に突き立て、全身の筋肉をたわませ、軋ませ。
 眼前を塞ぐ全ての敵を打ち壊さんと、大地を砕く勢いで彼の者は叫んだ。
「クソゲーじゃねえか!!これッッッッッ!!!!」

【ゲームセンターR(ランス) 第一回 ゲームん中でまでダンジョンなんて入ってられっか!!】

「マリアああああああああ!!何だこれはッッそこら中 即死トラップとか、クリアさせる気全くないだろお前ッッッ!!」
「あわわ、ランス様おちついてください、ゲームの機械が壊れちゃいますよう‥はぅ」
 ケーブルが異様に長いコントローラーを、ぶんぶか振り回して暴れるランスの背後へ素早く回り。
 母性と庇護欲を黄金比率で混ぜ合わせた声でデカ口緑の気を引き、かつ絶妙な力加減で背中を撫で、筋肉の緊張を解していく。
 この間 僅か三秒の出来事。彼女が本気を出したなら、猛獣調教師として頂点を狙えるかもしれない。
「ちっ!〈ぽけんっ〉「あいたっ‥うぅ、ひんひん」」
「あ、あはは‥いやー作ってる時は夢中だったからかしら?
 ゲームバランスがいつの間にかメチャクチャになっちゃったのかも‥ごめんね♪」
 開発に徹夜が続いたせいか、ナチュラルハイなマリア嬢に対し。
 難易度理不尽ゲーを暇つぶしとは言え、既に四時間程テストプレイしているランス。
 今や彼らの間には、デンジャラスホールより深い溝が広がっている有り様だ。
630【ゲームセンターR 前の中編 】:2010/10/04(月) 09:59:30 ID:3A56AQ590
「そもそもだな、俺様はこんなちまちましたジャンルはやらないんだよ!
 アクションとか格闘とか、せいぜい譲ってアクションRPGまでだ。
 それが何の因果で、入る度にマップの変わる即死トラップ満載ローグライクなんざせにゃならんのだッッッ!!
“一万回遊べるRPG”?!一万回“無様に死ねる”の間違いだろうが!!」
 ぜえぜえと肩を上下させ、朝十時から積もりに積もったストレスを爆発させるランス。
(電話で前もって説明しようとしたら、話もロクに聞かなかったのはどっちなのよー?!)
 マリア、心の叫びである。当然付き合いの長い彼女は、これを口に出すようなヘマはしない。
「あれれー?でもこれって、話をロクに聞かずにマリアちゃん家へ来たご主人様がいけないんじゃやややや、こめかみはらめれすぅうう」
 雉も鳴かずば撃たれまいに。
「…まぁ、そうは言っても一度引き受けた事だ。途中で投げ出すようなふにゃちんなマネ、俺様もしたくないしな。
 マリアもこうして騙したお詫びに、自分の体をぐちょぐちょのあへあへにして良いとまで言ってくれてるんだ。最後まで付き合ってやる」
(言ってない! 言ってない!)
 涙目で首を左右に振りまくる開発者を見て多少気が晴れたのか、マリア研究所内 貸し切った会議室の一角。
 ごちゃごちゃと蛸足気味に配線が繋がった席へ戻る暴君。
 時刻は午後三時を回ろうとするところ。はたして彼は、今日中にエンディングを迎えられるのだろうか。
 そして、不憫なマリアの後ろであてな2号の介抱しつつ、そっとため息ついているシィルの明日はどっちだ。
631【ゲームセンターR 前の下編 】:2010/10/04(月) 10:00:27 ID:3A56AQ590
“GALZOOドキ☆ドキ不思議のダンジョン”。
 この何とも独特なセンスを発揮しているゲームタイトル、名付け親はマリア研究所内でも有名職員の香澄(カスミ)嬢。
 プレイヤーは、主人公の“レオ”と言う女の子モンスター使いの青年を操作。
 近くのダンジョンへお使いに行ったまま戻って来ない己の恋人“達”を捜すため、鞭を片手にダンジョン内を探索する。
 これが簡単ではあるがこのゲームのストーリーだ。
 洞窟内部では一般的な魔物はもちろん、野生の女の子モンスター。
 そして彼女らの捕獲を目的に暴れている、“悪の冒険者軍団”と遭遇する事になる。
 プレイヤーもとい、主人公のレオは落ちてるアイテムを駆使して彼らを撃退しても良いし。
 捕獲ロープがあるなら野生の女の子モンスターを仲間にしても良い。
 また、ダンジョン内のトラップを用いて悪の冒険者軍団員を“お仕置き”する事もできる。
(※お仕置きシーンはレオの秘密アルバム内に登録されるので、オプション画面からいつでも美麗一枚絵を確認可能だ)
 そして、合流した恋人達(女の子モンスター)は一緒に闘えるだけではない。
 捕まえた野生の女の子モンスターと共に戦線へ出す事で、“仲良しゲージ”が上昇。
 ゲージが80%を超えたら強力なコンビネーションアタックが発動できるぞ。
 更にゲージが100%を超えた際、特定の組み合わせでキャンプ画面にて“皆で休む”を選択すると…?
 この先はぜひ、自分の目で確かめてくれ!
〈マリア研究所発行、GALZOOドキ☆ドキ不思議のダンジョン ガイドブックより抜粋〉
632【ゲームセンターR 中の上編 】:2010/10/04(月) 10:22:02 ID:3A56AQ590
「いやいや、私だけの趣味じゃなくてね?
 何だか 皆 で 作っている内に、だんだん妙な方向に熱が入っちゃったって言うか‥。
 ほら、シィルちゃんもそういう経験ないかしら?料理つくってる時とかっ」
「えっ‥と、そうですね、あると思います〈←右斜め下へ視線を逸らしながら〉」
 あらためて件のゲームについて説明している間に、妙な不安を感じたのだろうか。
 慌てて自分で自分のフォローを始めるマリアに対して、シィルの反応は芳しくない。
 いつの間に起きていたのか、ランスからこめかみを拳で絞られた痛みも何処へやら。
 彼の近くで腰をふりふり、暢気に画面を眺めるあてな2号の存在が、重苦しい空気の中やたらと浮いている。
「ご主人様ご主人様、あてなにも一機やらせてもらってよかれすか?」
「うっさい、黙ってろ」
「ぶーぅ‥あ、そいつ体力削ったら毒状態にしないと捕縛できないれす「‥知ってたわい」」
「ややっ、角の暗がりにいる水色仮面のふわふわは店主れすっ。
 攻撃したらドロボーあつかいでぼっこぼこれすよ!〈ばしばし←ランスの肩を叩く音〉」
「…(むかむか)、ふんっ〈ぽけんっ〉」
「ふにゃっ?!」
「‥マリアさん。私たまにですけど、あてなちゃんの性格が羨ましく思っちゃいます」
 初期の頃はシィルちゃんも割りとあっけらかんだったけどねー、とは思っても口に出さない友人想いのマリアだった。
633【ゲームセンターR 中の中編 】:2010/10/04(月) 10:22:59 ID:3A56AQ590
 四時間後。時刻は夜の七時から長針を四十五度傾けた頃。
 研究所内の食堂ではシィルが夕食の準備を終えて、ランス達を呼びに行こうとしていた、その時である。
「‥あれからここまで、怖いくらい順調ね」
「黙ってろ、気が散る、何か減る」
 全部で五層に分かれた中の、第四層を探索すること一時間。フロア数にしてその数、八十五。
 アイテムに恵まれ、巧妙に隠されたトラップは一歩ずつ攻撃を素振りして姿を顕にさせ、やり過ごす。
 店が出たなら安易に泥棒するような真似はせず、食べ物を購入した後 速やかに外へ向かう。
 薄暗い通路の先に見える初めて対峙する敵は、なるべく近づけさせないようにして倒すなど。
 日がな、「チャンネーのカイデーなパイオツを俺様のハイパー兵器でうはうはなのだ〜」
と宣う彼の姿からは、とても想像がつかない地味な作業の繰り返し。
 今のランスの眼差しは、魔王を退け魔人を倒した時のそれ、超一流の冒険者を唱うに相応しき光を宿している。
‐――集中力。超一流と言われる人々、スポーツマンや格闘家。果ては何十時間にも及ぶ大手術を行うドクターなど。
 彼らがその並外れた技術を発揮できる一因として、常人を遥かに超えたケタ外れの“集中力”が挙げられる。
 己の身体と精神が持ち得る最高のレベルを、“どこまで持続”できるのか。
 とどのつまり、超人と常人の境目をどこで設けるとしたら、結局は“集中力の持続”と言う一見何て事ない話に落ち着いてしまうのだ。‐
〈チョチョマン・パブリ著 『超一流を目指す、凡(すべ)ての人々へ捧ぐ』より抜粋〉
634【ゲームセンターR 中の下編 】:2010/10/04(月) 10:24:03 ID:3A56AQ590
(百階建てのこのダンジョンも、残すところあと十を切ったわ。
 このまま、このまま無事に終われば‥!!今ならランスだってエ、エッチな事とかどっかすっぽ抜けてるみたいだしっ。
 エンディングを見たら「それじゃ私はこの後も作業があるから」って、自然に客室へ案内して眠らせるのよ。
 …私だって、ランスの事‥好き、だからその、ゴニョゴニョするのは嫌って訳じゃないんだけど。
 シィルちゃんも、あてなちゃんも居る訳だし、あのおバカさんの事だから絶対「4Pだーがははははー!」とか!
 じ、準備万端な格好して言っちゃうに決まってる‥!
 そうしたらダメ、絶対に‥詰んでいるのよ‥逃げられない!!)
 ぐにゃぁあとマリアの周囲の空間が、壊れた万華鏡のようにねじ曲がる。
 ざわ‥ざわ‥とさざめきたつ己の心。水面に落ちた一滴の不安が、清水へ落ちた墨汁のようにじわじわと広がっていく。
(覚悟を、…‥決めましょう)
 あまりにも深いため息を、できるだけ無音で吐き出したマリアが再度魔法ビジョンへ目をやると。
 ランスはレオの恋人の女の子モンスターを見つけ、階段を見つけたなら残ったアイテムには目もくれず即座に降りる。
 いわゆる“即降り”で残りのフロアを消化していた。
 なお、厳密には即降りとは階段を見つけたらすぐに降りる事を言うのだが。
 このゲームでは、最重要目的である主人公の恋人達を助けていかなければならないため、こう表現させていただく。
 ご了承いただきたい。
635【ゲームセンターR 後の上編 】:2010/10/04(月) 10:46:44 ID:3A56AQ590
 残すところあと五階。
 恋人女の子モンスターではバトルノートを一人見つけ、五つの階段を見つければランスの勝ちだ。
 百階に到達すると自動的にエンディングが始まり、ムービーが終われば大団円の一枚絵で締めである。
 これは余談だが、エンディングを見たセーブデータから再開すると。
 レア女の子モンスターが出てくる、とある塔へ登れるのだが、マリアとしてはこれをランスに話すつもりは無い。
(話したところでそっちも酷いバランスのままだし、下手に火が着いても困っちゃうしね)
「見つけた…バトルノートだ…ッッッッ」
 充血した眼(まなこ)で、唸るように呟く。背中から歓喜一色の熱気が立ち上る。
「れれ?ご主人様の身体から煙が出てるれす?ご主人様、火事れす。ぼうぼう」
(… ! ヴィクトリースモーク?! チョチョマンさんの著書にあったのと一緒だわ!
 ランス、あなた本気なのね…!!)
‐“ヴィクトリースモーク”。
 それは、超一流と呼ばれる人々のなかでも一握りの人間が為す現象。
 件の一握りの人間が、“本気で闘う”事を決意した時。その身体から視認できる程の水蒸気が発生する。
 それは恰(あたか)も、勝利を確信した者が周囲へ告げる勝ちどきの狼煙。‐
〈チョチョマン・パブリ著 『超一流を目指す、凡ての人々へ捧ぐ』より抜粋〉
「マリアちゃんは物知りれすねー、もくもく」
636【ゲームセンターR 後の中編 】:2010/10/04(月) 10:47:32 ID:3A56AQ590
「ランス、勝って‥やり遂げるのよ‥偉業を‥!!
(あとついでに、私との約束は忘れちゃって!)」
 マリアがどこの誰とも知れぬ神様に祈りを捧げる一方で、ランスは―――笑っていた。
 体力、満腹度ともに問題無し。回復アイテム、食料ともに充分。
 仲間はバルキリーを始め、最強魔女、はりまおーといった攻守回復全てにおいて、現時点で考え得る最高のメンバー。
 もちろん五階層中、最下層だけあって出てくる敵はどれも凶悪な奴ばかりだ。
 こちらが一歩踏み出す毎に三回、下手すれば四回行動する魔物がいれば、単純に一撃必殺の物理攻撃を繰り出す者。
 決して近づいて来ない代わりに、別の悪の冒険者軍団員を強化してくる魔術師や、壁を通過する遠距離攻撃を放つ娘など。
 不思議のダンジョンシリーズユーザーであれば、耳にするだけであらゆる“死因(トラウマ)”を思い描ける豪華ラインナップである。
 その凶悪度たるや、気の弱い者なら糞尿の一つや二つ漏らしてしまっても仕方がないくらいだ。
 然れどもランスは動じない。階段を降りて、渇いた唇を舌で舐める。
 九十八階開始直後。最強魔女に“見える見える”の魔法を使わせ、その階の地図と敵やアイテムの位置。
 そして、階段の場所を画面に表示させる。
 危険な行動パターンの敵は遠距離から最強魔女の魔法で仕留め、近づかれたらバルキリーが掃討する。
 体力が減ればケチらず はりまおーに回復してもらい、彼女達の“疲労値”次第で二軍メンバーと代えていく。
 その指捌きには、まるで迷いがなかった。
637【ゲームセンターR 後の下編 】:2010/10/04(月) 10:49:36 ID:3A56AQ590
「九十‥九階だ!!」
「わぐぐーっ、ふぁっふがあふぇふぁふぉふぉひゅひんふぁふぁへふ!
 (わーいっ、さっすがあてなのご主人様れす!)」
 ランスの咆吼につられて歓声をあげようとしたあてなの口を、咄嗟に押さえたマリアのファインプレーだ。
 それが幸を奏したのか、ランスの集中力は途切れていない。
 不満気な表情で口を塞ぐ手を甘噛みしてくるあてなに小声で謝り、あらためて観戦しようとしたその時。
 廊下を歩いて来る何者かの足音を、右耳が拾い上げた。
(これは‥研究所は今日お休みにしたから、シィルちゃんかしら?
 時間的にお夕飯の準備ができたから、呼びに来てくれたとか。
! 不味いわ。礼儀正しいあの子の事だから、ドアノックは忘れないはず。
 そしたらランスの集中力が…〜〜〜ッッッ)
 情報取得から約一秒。瞬く間に考えられる悪い予想とその対処法を脳内で組み上げると、マリアは会議室のドアへ振り返り。
 その瞬間、マリアの長いお下げ髪が体勢が悪かったのか、あてなの鼻先をくすぐり。
「へふ、」
 彼女の傍から既に離れ、ドアへ向かっていたマリアがあっと思った時には既に遅く――。
 何かの予感を感じ取ってしまったシィルが、ノック無しでドアを開け、あてなのところへ向かおうとし―――。

「へっっ、ふあっくしょん!!!!」

「あ。即死地雷踏んだ」
女性陣お仕置き決定的な意味で、終わり。
638【ゲームセンターR あとがき 】:2010/10/04(月) 11:10:13 ID:3A56AQ590
・初めに、長らく間があいてしまいましたが返レスさせていただきます。
>623様
いつもレスありがとうございます。写真の画像は国際展示場の屋外広場でしょうか?
個人的にキャプテンバニラ嬢には、陽射しの強い季節が似合うイメージなので、良い写真だと感じました。
>624様
レスありがとうございます。今回のSSも気に入っていただけたら幸いです。

・今回は作品内の時間設定を特に決めていません。
(敢えて決めるならあてな2号がいて、マリアがランスの好意にポジティブな事から、ランス6以降?)
・パロディの元ネタはゲームセンターCX、不思議のダンジョンシリーズ、カイジ、忍空(勝身煙)です。
・ランスが不純な動機で燃えている姿と、マリアの凝り性&苦労性&孤軍奮闘ぶり。
 そしてシィルとあてな2号の可愛さが表現出来ていれば良いなと思いつつ、これで終わります。
・拙いSSではありますが、お読みいただき誠にありがとうございました。
639名無しさん@初回限定:2010/10/04(月) 22:34:16 ID:Bh0LwNyn0
久々にキター!
いつも乙です
640自作特攻隊(E/ F) ◆0CrenIPJUU :2010/10/05(火) 22:57:10 ID:RcG7LKZm0
>>638 お疲れ様でした、面白かったです。
※女の子モンスターは駄目でも一匹は飼いたいですよね・・・♪

※立川のラーメン屋で背後の並ぶ客のプレッシャーで30秒以内で盗撮した写真です。
http://bbs.jpdo.com/cgi/70/img/1009.jpg
※予行演習
http://bbs.jpdo.com/cgi/70/img/1008.jpg
641名無しさん@初回限定:2010/10/07(木) 22:42:58 ID:etnbfQ6U0
>>640
>※立川のラーメン屋で背後の並ぶ客のプレッシャーで30秒以内で盗撮した写真です。

クソワロタwwww
お前ようやるわwwww
642名無しさん@初回限定:2010/10/19(火) 23:09:50 ID:pCdlRl6rO
お寝むなあてなががんばってほしゅするれす
643自作特攻隊(E/ F) ◆0CrenIPJUU :2010/10/25(月) 21:11:59 ID:mXbMFaEA0
644【はむはむ、かじる。 前編 】:2010/10/30(土) 12:05:38 ID:4/7B28Bs0
 その日、あてな2号は決心した。
 今日をもってご主人様に従順一途で、スーパープリティな人工生命体のあてなを卒業すると。
 ご主人様が冒険に行くと言えば留守番役を命じられ、Hをする時には六、七割方仲間外れの日々はもうたくさんだ。
 ランス家の中でも殊更お気に入りなベッドの下、ひんやり程よく冷えた床に左頬をぺたりとくっつけ、あてなは誓う。
 これから先、冒険に行くのはあてなで留守番役はシィルちゃん。
 Hをする時にはかわいそうだからシィルちゃんもまぜてあげるけど、一番乗りはこのあてな。
 あてなが集めたお宝と、ご主人様のステキ貝コレクションをラブラブ見せ合いっこなんてしちゃったり。
 休みの日には公園の砂場で、二人仲良くでっかいホテルをつくるのだ。つくるのだ。
 左頬がぬくもってきたのでそそそそーっと頭を動かし、今度は反対の頬を冷え冷えさせる。
 ご主人様があてなに夢中になれば、シィルちゃんなんてらくしょーだ。
 今までは毎週一度(ランスには内緒で)あてなの大好物メニューを作ってくれていたけど、毎日作ってもらえるかもだし。
 ちょーめんどーなお掃除のお手伝いだってしなくてよいのだ。きっとそうだ。
 なんだか体がうずうずしてきて、ぶにゃぶにゃと寝転がっていられなくなり、ベッドの下から転がり出る。
 すごい!いつもの三倍の回転速度で、気分はすっかり1200万パワーだ。(←敗けフラグ)
645【はむはむ、かじる。 中編 】:2010/10/30(土) 12:06:25 ID:4/7B28Bs0
 そのままそよ風に揺れるレースのカーテンまでたどり着くと、ふわふわのそれに巻きつき また逆回転。
 カーテンを紐、自分の身体を投げ出されたコマのようにしてくるくる、ぐるぐる回り続ける。
 すると片足がベッドのマットレスに当たったのかぐらりと倒れ、皺くちゃシーツも巻き込んでまだ回り。
 見た目すっかり美味しそうな生春巻きの出来上がりである。
 そこでようやく落ち着いたのか、あてなはまた考える。
 じゃあどうやってご主人様に認めてもらおうか?
「うーーーん、うーーーーん‥むにゃむにゃむにゃ、… ! 」
 額の天辺から煙を出した甲斐あってか、あてなはある事を思い出す。

 昨夜の事だ。わいわい楽しい夕食が終わり、居間のソファーでごろごろ皆で魔法ビジョンタイム。
 ご主人様に膝枕するシィルの踵を、寝転がってツンツンしながら遊んでいた時に見たあのドラマ。
 やたら女にモテる男主人公の頭を、節操無し!と叫んだヒロインがガジガジかじりついているのを見て。
 ご主人様は何と言ったか‥確か、
「うへ、いつだったか志津香に思いっきりかじられたの思い出しちまった」
 そう言ってしばらく“嫌そうな顔”をしていなかっただろうか?これはもしや―――!!

 ぱちりと眠たげなどんぐり眼を大きく開き、ぐんっと勢いつけて起き上がる。
 ぐしゃぐしゃになったシーツを慌ただしい手つきで絡め取り、ベッドへ投げ捨てるとにんまり笑って呟いた。
「くーでたー開始れす!ぅーわんわんっ」
646【はむはむ、かじる。 後編 】:2010/10/30(土) 12:07:14 ID:4/7B28Bs0
「――で、シィル。お前はこのアホ娘が何でこんな意味の解らん事しでかしてんのか‥解らねぇよなあ」
 はむ。かじかじ、ちゅるり、はむ。
「は、はい。私にもちょっと‥昼間見た時だっていつも通りだったはずなんですけど‥」
 耳たぶにかぷ、かぷ、イライラで吊り上がった左口角付近をむぐむぐ。
 ちょっと汗臭いうなじへ一思いにぢゅーーーっと吸い付いて、ぷんっと離す。へっ、まだまだ喰い足りねぇなぁ。
「これも“いつも通り”と言やぁそうなんだろうが…‥〜〜〜ッッッッだぁあああああもう!!!!
 いい加減離れんかこのアンポンタン!帰ってきて早々うっとうしい!!」
 約十分間に及ぶハイパーチャーミングな人工生命体の甘噛み攻勢に、ランスの堪忍袋の緒が切れた。
「いったいさっきからなんなんだお前は!がじがじぐにぐに、むがーーー!!
 痛痒い、離れろ!鳥肌たってきた うがーーー!!」
 背中に負ぶさりしがみつくあてなを振り落とそうと、歌舞伎の“連獅子”さながら頭をぶんぶん、上半身をぐーるぐる。
 シィルにとって不幸だったのは、二人が扇風機の羽のように回り続けるその場所が、キッチンに近かった事。
「〈がちゃーん〉あっ、ハイニさんからいただいた素敵な花柄の大皿が‥。
〈がらがっしゃーん〉あわわっ、奮発して買ったトリオタンブラーが、ランス様の専用丼まで!」
 被害は大きく、失った物は決してかえらない。現状を変えるため彼女は奮起し、戦場へと自らの足で立った。
 しかし、それが必ずしも成功するとは限らないし、まして犠牲無くして改革などなし得ないのだ。
 今回、あてな2号は我々にその身をもって大切な事を教えてくれたのかもしれない。
「うわーーん、お願いだから二人とも外へ行ってよーーー!」
 結局、愛するご主人様にさんざんじゃれつく事ができたからか。
 当初の目的、“くーでたー”などはるか一万光年の彼方へ忘れ去ってしまったあてな2号だった。
終わり。
647【はむはむ、かじる。 あとがき 】:2010/10/30(土) 12:29:54 ID:4/7B28Bs0
・初めに。11月のアリボーCDと、その先の大帝国へ期待を馳せつつ返レスさせていただきます。
>639様
お久しぶりです。レスありがとうございます。
今回あてなファンの方や、そうでない方にも果たして需要が有るのか微妙なところですが、楽しんでいただけたら幸いです。
>640
いつもレスありがとうございます。大阪ドリパお疲れ様でした!
女の子モンスター達もドリパ行ったりラーメン屋行ったり、楽しそうですね。
私も来年こそはドリパ参加したいものです。
・今回のSSは、あてな2号がアマガミするお話です。
彼女のアホ可愛らしさが表現できていたなら本望です。
・拙いSSですが、お読みいただき誠にありがとうございました。
648自作特攻隊WILLCOM ◆0CrenIPJUU :2010/11/02(火) 07:37:04 ID:Jc309KkY0
御疲れさまです、楽しいですね…♪

※ドリパの場合は東京と大阪ですね…
649自作特攻隊WILLCOM ◆0CrenIPJUU :2010/11/03(水) 17:37:59 ID:qgocVapN0
月刊 Hobby JAPAN 2010・12 P281

KYOSHOアリスモータース

レースクイーン アリス コトブキヤ社製 価格未定
2011春発売予定 1:8スケール 全高 約21センチ

中邨拓智 原型師 カラー写真 3枚 
650自作特攻隊(E/ F) ◆0CrenIPJUU :2010/11/12(金) 22:35:40 ID:RVE2jg/i0
http://bbs.jpdo.com/cgi/70/img/1039.jpg

有名ラーメンの模型を作るバトルノート
651【犬飼様マジ鬼教官 前編 】:2010/11/15(月) 19:36:36 ID:IbW+uog50
 一斬、ニ蹴(にしゅう)、三閃、四燦(しざん)。
 六方より津波のように押し寄せる魔物兵を、斬って、蹴りつけ、振り抜き、燃やす。
 首切り刀が歓喜の声をあげ、戦場を舞う。血煙の向こうに妖しく光るそれは、まさしく妖刀であり。
 幾十もの敵兵をとめどなく斬り続けてなお 刃こぼれ一つ起こさないそれは、正しく名刀であった。
(‥ ! ダメよ かなみ、集中するの。そうでないとコイツは持ち主にだって牙を向ける‥ッ!!)
 五刹(ごせつ)、六惨(むざん)、七罰(ななはつ)、八裂(やつざき)。
 首に巻いた黄色のマフラーが濃茶にくすむ。木の葉に隠れ、六身に分かれ。
 相手の爪、触手、溶解液や棍棒を避ける。潜る、くぐり抜ける。
「チクショウ!何だってこんなメスガキ一匹殺せねえ‥ウギャ!!」
「おい、魔法だ!魔素漢どもの援護はどうなってる?!」
 魔物隊長の焦燥感が隠しきれない問いかけに答えられる者は無かった。
 かなみが放った“餮・火丼の術”により、20m圏内の魔物兵達は焼滅。
 十数分前にはここら一帯の大地を覆い尽くす程の数であったのだ、彼らは。
 だが、非情にも目の前の光景が魔物隊長の脳裏に現実を焼き付ける。
「殲滅、されたのか‥?たかだか一介の女忍者ごときに…〜〜〜ッッッ我が!!栄光ある第三魔物兵団が!!!
 メスガキ一匹の手でぇえええエエエエ!!!!」
652【犬飼様マジ鬼教官 後編 】:2010/11/15(月) 19:37:31 ID:IbW+uog50
 一瞬だった。
 西南西のぬるい風にたなびく ぼろのマフラーから、目を離した覚えは決してなかった。
 ぐらり、と己の頭部が重力に任せ後ろへ倒れゆく中で、魔物隊長は何度も、何度も問いかけていた。
 奴はいったい何者なんだ。どうして私が‥敗けるはずなどなかったのに…――――。

「『―― なかったのに…』
『おお、かなみ!
 俺様を助けに来てくれただけでなく、あれだけの魔物を倒してしまうとは‥。お前はなんて頼りになる女なんだ!
 JAPAN一、いや大陸一番の忍者はお前しかいないぜ、かなみ!!』
 …なーんちゃって、へっ、へへへっ……がくっ」
「ありゃりゃー、かなみ気絶しちゃったでござる。
 犬飼様はもう少し加減を覚えた方が良いでござるよ」
「む、…しかしそれでは修行にならぬ」
 しゃしゃしゃしゃしゃーと、視界前方を埋めつくす量の棒型手裏剣を器用に避けつつ、ため息を吐く鈴女。
「そろそろ本気で“手抜き”と“手加減”の違いを知ってほしいでござる‥」
 そのままぴくりとも動かぬかなみの側へ行き、ほいっと抱えて駆け出す。
「それじゃ犬飼様、鈴女はかなみを介抱してくるのでこれにておさらばっ。にんっ」
 ぬ!と鬼教官が目をやると、彼女は既に遥か彼方。
 遠くに見える米粒くらいの大きさで動いているのがそれだ。
「…また逃げられたか……‥加減、か。ふむ…」
 鬼教官 犬飼の悩みは深く、尽きる事は無い。
終わり。
653【犬飼様マジ鬼教官 あとがき 】:2010/11/15(月) 19:39:05 ID:IbW+uog50
・初めに。久しぶりの戦国SSです。
 格好良いかなみを書きたかったのと、アクションシーンの練習を意識して一つ。

>648様
レスありがとうございます。バトルノートにラーメンは有りですね。
ずぞぞーっと美味しそうに食べる光景が目に浮かびます。

・最後に、次回作でもかなみ&鈴女&犬飼(…)の活躍が見られる事を期待してこのあとがきを終わります。
 拙いSSですが、お読みいただき誠にありがとうございました。
654自作特攻隊WILLCOM ◆0CrenIPJUU :2010/11/16(火) 06:02:40 ID:LCdgNF2E0
御疲れ様でした、何時も面白いですね…♪
655名無しさん@初回限定:2010/11/16(火) 09:18:57 ID:A+t0JLql0
乙です
SS保管庫ってあるのかな?
656【血まみれ天使 前の上編 】:2010/11/17(水) 11:32:53 ID:UGqRZl2+0
 GI1011年。
 ゼス国 某病院にて、看護師になりすました者が一晩でニ五五人を殺害する事件が発生した。
 加害者の女、本名不明の為 以後仮にAと表記する、Aは駆けつけた治安隊により逮捕され、治安本部にて封印142年の刑に処される。
 これから皆様にご覧いただく文章は、この件で無惨にも命を亡くされた被害者の一人、カンヤマ氏が遺した手記の一部である。
 ご遺族の方々のご厚意により特別に(…)、我々“ゼス国営新聞 取材班”が独占公開させていただく事となった。
 この度、亡くなられた方々へのご冥福をお祈りすると同時に。
 これからご覧になる皆様にはあらためて命の重さ、尊さについて共に向き合い、考えていけたらと願う。

   ●月3日 (快晴) 気持ちの良いそよ風に心躍る
 先に記した通り天候も良く、爽やかな風の吹く出かけるにはこれ以上ないくらいの良日だというのに。
 私は不幸にも手術を要する程の病を抱えていたらしく、しばらく入院する事となってしまった。
 もっとも、医者に言わせれば“良性の”腫瘍を取り除くだけの、なんて事のないものだそうだ。
 悪性のソレのように他の部位へ転移したり、体に極端な影響を与える事は“私の場合”ほとんど無いそうだ。
 職場の定期検診を真面目に受けていたおかげで、発見が早かったのも大きい‥らしい。
 とにかく、あの顎が左に傾いた医者に言わせれば『不幸中の幸い』だそうだ。
 ならばきっと、この退屈な時間も甘んじて受け入れるべきなのだろう。
657【血まみれ天使 前の下編 】:2010/11/17(水) 11:33:42 ID:UGqRZl2+0
   ●月10日 (午前に曇り、のち晴れる) そよ風が吹き、夜は星が美しい
 入院して一週間が経ち、病院独特の生活リズムにも漸く慣れてきた。
 同室の方々とも挨拶だけでなく軽い世間話や、味もそっけもない病院食への愚痴を言い合う関係を築けた。
 中庭に植えられた大小様々な色と模様の木花は、ぶらりと出歩き暇をつぶす私の目と心を豊かにしてくれる。
 ここにいる理由を思えば複雑ではあるが、この新しい生活も悪くないと感じてしまう自分がいる。
 そして何より、専属では無いにしろ私をよく担当してくれる女性看護師。
 見る者の心を癒すブロンドのショートヘアーに、あどけない印象を与えるそばかすが特徴的な彼女。
 名前は確か、アン(※)と言ったか。
(※ 加害者Aが当時名乗っていた偽名である)
 作業の手際も良く、その明るい人柄からか他の患者からもウケが良い…らしい。
 とても心苦しい事ではあるがしかし、それは同時に彼女がそれだけ魅力的である証拠。
 学生時代、高嶺の花だった憧れの先輩へ片想いしていた時分を思い出す。
 退院まで残り二ヶ月もないのだ、久しぶりになけなしの勇気を振り絞ってみようか。
 アンさん。彼女ともっと話がしたい。
 彼女が悲しい時に傍にいて抱きしめたい。
 彼女と一緒に喜びと幸せを噛み締めたい!
658【血まみれ天使 中編 】:2010/11/17(水) 11:34:31 ID:UGqRZl2+0
   ●月24日 (曇り) 風が少し強い、中庭の花壇は大丈夫だろうか
 とても嬉しい!!最高に幸せだ!!!
 このN病院(※ 仮名)に来て良かった!!!!心から、本当に心からそう思う。
 アンに(アン“さん”では無いのだ!!)、アタックすると決意して二週間。
 私は晴れて、彼女と交際する事と愛成った。いや失礼、あいなった。
 平時の私であればこんなくだらない洒落を日記に残すくらいなら、焼けた鉄板の上でダンスする方を選ぶのだが。
 慎重に、時には大胆に攻めこむ事10日間。ついに、彼女に私の本気と真心が届いたようだ。
 そして昨晩、彼女は看護師寮から。
(※ 当時、Aはこの被害者に対して寮住まいであると伝えていたようだが。
 実際は足のつかない二級市民を選別して殺害後、その家を寝城としていた)
 私は病室を抜け出して、近くの丘で待ち合わせた。
 昨夜は少々雲がかかっていたものの、綺麗な星空を天上にムードある口づけが出来た…と思う。
 夜風が何回騒いだのだろう、名残惜しさを表に出さないようやっとの思いで圧し殺し。
 そっと彼女の方へ目をやると、真っ赤な顔してはにかむアンがいたのだ。
 この時私は、生まれて始めてこの世の神と愛の女神、恋の天使に感謝した。
 良かった、本当に生きてて良かった!!
 私はここに誓う。私、カンヤマは己の全身全霊をもって彼女、アンを生涯愛し続けると誓う。
659【血まみれ天使 後の上編 】:2010/11/17(水) 12:01:04 ID:UGqRZl2+0
   ●月27日 (曇り) 風が強く、夜中は砂埃がひどかった。きっとそのせいだろう
 信じられないものを見た、つい先程の事だ
 両想いになり興奮が冷めやらぬせいか寝付けなかった私は、病室を抜け出し夜風にあたろうとした、ただそれだけだったんだ
 “ベテラン”の患者に教えてもらった脱出方法で病院を出た私は、中庭へ足を向けた
 その時、アンを見た声をかけようと思ったでもタイミングを逃して彼女の後を追う形になってしまったのは偶然だったんだ
 看護師寮を通り過ぎて、人気の無い二級市民がたむろする場所まで妙な不安に煽られながら歩き続けて
 歩き続けて、確かドブ川、いやあれは下水道で良いんだよな
 そこまで来た時汚い二級市民があアンにからんできたと思ったらまっ真っ赤になってた
 アンのはにかんだあの可憐な表情と、目の前の血溜まりの中の二級市民
 全く繋がらない、繋がるはずがない!!!!
 汗が乾かない手術跡が痛む縫い目が破れたかもしれない
 どうやって帰ってきた変な音は出さなかったか声をあげなかったか息は聞き取られただろうか
 隣の彼は良い夢を見ているのだろう、唇を三日月型に寝息をたてている
     寝よう。眠れなくても横になろう。シーツをちぎって寝巻きの中に詰めて押しあてる。
 朝になって彼女が来るまでに血が止まってほしい。
660【血まみれ天使 後の下編 】:2010/11/17(水) 12:01:54 ID:UGqRZl2+0
   ●月28日 (雨) 今朝から静かに降り続けている
 きっと、何かと見間違えたのだと冷静になった今、そう思える。
 あれから彼女は変わらず私の恋人で、見る者の心を癒すブロンドのショートヘアーに、あどけない印象を与えるそばかす。
 口づけの後の真っ赤な顔ではにかむ可憐な姿も、何一つ相違ない。
『傷が開いてしまったのなら遠慮なんてしないで、すぐに看護師を呼んでください!!』
 素人の止血じゃ危険だし、感染症も恐ろしいのだからと彼女に初めて怒られてしまった。
 私は大陸一の大馬鹿者だ。アンを生涯かけて愛すると誓っておきながら、舌の根も乾かぬ内にこれだ。
 アンでなければとっくに愛想をつかされていただろう。私はつくづく運が良い。そして幸せ者の馬鹿野郎だ。
 アンへ、本当に申し訳ない。こんな不甲斐ない男を愛してくれる君はまるで、天使のようだ。

         ゆめじゃなかっ
661【血まみれ天使 あとがき 】:2010/11/17(水) 12:02:52 ID:UGqRZl2+0
・初めに。誰得SSシリーズニ作目。
 ランス6より血まみれ天使の、ナタデココ病院事件を想像してみました。

>654様
・いつもレスありがとうございます。
 かなみSSのはずがタイトルを犬飼にのっとられているのは仕様です。
>655様
・レスありがとうございます。
 現在私が書いたSSをまとめるサイトはありません。
 恥ずかしい話ではありますが、当方機会オンチの為まとめwikiなどを作り、維持していく事ができません。
 なので大変恐縮ですが、もし拙作において気に入ったSSがありましたら、各自で保存していただけると幸いです。

・今回のSSはスタンリー キューブリック監督作品、“シャイニング”を見た勢いで書きあげました。
 ジャック・ニコルソンの顔芸マジ最高。
・拙いSSですが、お読みいただき誠にありがとうございました。
662自作特攻隊WILLCOM ◆0CrenIPJUU :2010/11/20(土) 20:39:59 ID:k3bXmERE0
御疲れ様です、リアルで状況が想像出来ますね…♪
663自作特攻隊WILLCOM ◆0CrenIPJUU :2010/11/25(木) 12:21:18 ID:LXYlvQM60
http://bbs.jpdo.com/cgi/70/img/1048.jpg

無断制作中の戦艦と巡洋艦
664名無しさん@初回限定:2010/12/02(木) 12:47:14 ID:7J38H8C4O
保守でござる
にんにん
665【ゲーセンR2 前の上編 】:2010/12/05(日) 12:45:23 ID:qPvpjE+S0
 ガールズモンスター、縮めて“ギャルモン”。
 この世界の不思議な不思議な生き物。
 海に、森に、野原に。
 その種類は、レア女の子モンスターや はぐれ者を含めると、未だ発見されていない者も多く。
 その在り方は、謎とロマンに満ち溢れている。
 そしてこの青年達、そんなギャルモンが大好きな、レオとエリナ。
 近くの森で最初のギャルモン達、きゃんきゃん、やもりん、メイドさんと中華てんてんをゲット。
 師匠の下をあとにして、バトル アンド コミュニケーション。
 ギャルモントレーナーとしての、修行の旅に出たのだった。
 幾多の試練を乗り越えて、ギャルモンリーグのチャンピオンになるために。
 最高のギャルモンマスターになるために。
 出会いと別れを繰り返し、レオとエリナ、そしてその仲間達の旅は今日も続く。続くったら続く。
「ギャルモン、ゲットだよ!(ですわ!)」
〈マリア研究所発行、ギャルモン公式ガイドブックより抜粋〉
666【ゲーセンR2 前の中編 】:2010/12/05(日) 12:46:25 ID:qPvpjE+S0
「…まっ、おもしろいんじゃねーの?」
 朝十時からテストプレイを始め、途中 一時間程度の昼食タイムを設け。
 それから滞りなくストーリーを終盤まで進め、時刻は夜七時を少し過ぎた頃。マリア研究所の食堂にて。
 シィルお手製、普段よりちょっぴり奮発したへんでろぱを軽くたいらげ、お代わりを持って来させている間の一言だ。
「ストーリーも特別おかしいところはねーし、何十種類も使えるキャラがいる。
 強いのから弱いの、カッコいいのにカワイイの、やる側もどれかしら気に入ったのができるだろ」
 でもなぁ、と一旦 間を置きサラダをつつきながら、
「RPGゲームとしてみりゃ、可もなく不可もなくってとこだな。
 キャラゲーとしてのファンはつくかもしれんが、それ以上はなぁ」
 率直かつ辛口な評価に、友人が気を落としていないかと心配になったシィルがそっと後ろを振り返る。
 調理場からカウンターを挟み対直線上の食卓には、むぅっと柄になく気遣わし気な顔するランス。
 そんな彼の左サイドに陣取り、魔トマトを先頭に野菜を八個数珠繋ぎにした、“野菜トレインV3”を作って遊ぶ あてな2号。
 そして、彼女の正面。先刻から眼鏡を不気味に光らせながら、黙して語らぬ科学の申し子。
 自由都市カスタムの街に燦然と輝くサイエンス・オアシス、マリア・カスタード研究所 所長。
 その彼女が今、静かに口を開いた―――。
「ランス…残念ながらあなたはまだ、あのゲームの本当の恐ろしさを知らないのよ」
667【ゲーセンR2 前の下編 】:2010/12/05(日) 12:47:27 ID:qPvpjE+S0
「本当の恐ろしさ、だと…?」
 何やらもったいぶった科白回しに苛立ちを覚えるより先に。
 マリアが放つ得体の知れぬプレッシャーが、ランスの動きを抑えつける。
「そう‥そしてソレを教えてくれる特別ゲストをこちらで用意したわ!」
 ドドドドドドドド…扉の向こう側から謎のプレッシャーを感じる。
 戦闘力はニ万、三万…何だと、まだ上がっていくのか。
「誰なんですかマリアさん、その‥ゲストさんって」
 緊張で口中が渇く。やっとの思いで唾を飲み込み、もこもこが尋ねる。
「‥フ〜〜〜、焦らないでシィルちゃん。彼女はこのゲームの王者なのよ。
 極上の食材を前に、包丁を投げ捨てるシェフはいない。それと同じ」
 彼女がそう言い終わるやいなや食堂の扉が開いた。
 紅鮮やかなチャイナドレスに身を包み、紫に輝く頭部へ聳える二つのお団子。
 加えて変装の為であろう、メキシカン・ルチャドーラーなら誰もが知っている生ける伝説。
“ミル・マスカラス”の覆面が、見る者にその素性を明らかにさせない。
「‥ずいぶんと早いご到着ね、“ミルク・マスカラス”」
 マリアの芝居がかった仕草に肩をすくめると、謎の女は人差し指を静かに天空へ向けて、アピールした。
「ミルク‥マスカラスさん、ですか?」
 シィルの一歩どころか三歩引いたところからの質問に、首肯して答えるミルク。
「いやいやいやいやどっからどー見てもこいつはミル・ヨーク―――」
 その時、食堂の窓の向こうから助けを呼ぶ女性の声が聞こえた。
668【ゲーセンR2 中の上編 】:2010/12/05(日) 13:14:32 ID:qPvpjE+S0
「誰かあぁああ!!誰か助けて!ぼうやが、私の可愛いぼうやがああぁあああ!!」
 瞬間、ミルクは風になる。0コンマの速さで召喚した精霊に足掛け、息を飲む間に窓の外へ。
 右に被害者、左に加害者A、B、C、D、四人組。要救助者である子供は黒く大柄な男に抱えられ、泣いて母を呼ぶ。
 ターゲットは決まった。精霊から飛び降り、走る。走る。走る。
 加害者Bこと、子供を抱えた黒い人へ充分な助走をつけたドロップキックが股間を打ち抜く。
「フン…〜〜〜ガッッ?!ァ?!!」
 子供を精霊に預けて母親のもとへ避難させ、呆然とする加害者Cことジャンキーへ、ヘッドシザーズ・ホイップ。
「げげーーーェ!いつの間にかジャンキーの頭を両足で挟み込んで、
そのまま覆面女が体を旋回させたら物凄い勢いで投げ飛ばされてるマヌケ!!」
 旋回した勢いそのまま軸足を踏み込み、地面に蹲る黒い人の片膝を踏み台に駆け上がり、鋭い膝で顎を打ち砕く。
「決まったーーーッ?!ミル‥クの軽いウェイトを補い、なおかつ全身のアクションを魅せる最高のシャイニング・ウィザードだわ!!!」
 興奮するマリアを他所に、加害者Dことガイキチの不審な動きに気づいたシィルが、炎の矢を放つ。
「〈ボムッ〉あぢぢぢっ?!クソっ、ナイフ落としちまったガイキ、チぐぼあ!!」
 振り向きざまのローリングソバットを鳩尾へ差し込み、下がった頭へ飛びつき三角絞め。
 堪らず倒れこむガイキチへ、追い討ちのメキシカン・ストレッチでフィニッシュだ。
669【ゲーセンR2 中の中編 】:2010/12/05(日) 13:15:26 ID:qPvpjE+S0
「まさかサブミッション・コンボを極めるなんて‥何て理想的なバランス感覚、それに加えた判断力。
 ブラボー!エストゥペンド、ミルク!!(すげぇ!すばらしいわ、ミルク!!)」
 最後の一人、加害者Aことピンク色の唇がとてもチャーミングな男、リーダーは眼前の惨状に耐えきれず転身。
 道路脇のゴミ箱へ埋もれたジャンキーの足につまずきながら、必死に。決死の覚悟で逃げる。
「ななな何だこいつら、俺の攻撃がまるで効かないマヌケ!これじゃ逃げられないマヌケよォーーーッッッッ!!」
 だがそこへ顕れたミルクの精霊達が、リーダーの進路を阻む。その間 ミルクは己の進路上へ更に精霊を召喚。
 階段状に彼らを並べその背を駆け、やがて頂点から大きく飛びたちムーンサルト。
 そして、眼下に捉えた目標めがけ今、必殺のフライング・クロスチョップが炸裂した。
 ぁべしっ、蛙が潰れたような音を残して吹っ飛ぶリーダーを後ろに、人差し指を天に向けポーズを決めるミルク。
 同時に、マリア研究所食堂内部より、けたたましくゴングが鳴り響いた。
「ゥ〜〜〜決着ッッッ!!ミルク・マスカラス、暴漢四人を相手に秒殺だあぁああああ!!!」
「おいマリア、そのゴングどこから‥っつーかお前大丈夫か?徹夜続きでキャラ違いすぎんだろ」
 寄り添い、涙を流して感謝する親子二人を振り返る事なく、ミルク・マスカラスはCOOLに去る。
 何故なら彼女は、次の戦場を知っているからだ。
〈第一部、完〉 ババーーーン
670【ゲーセンR2 中の下編 】:2010/12/05(日) 13:16:17 ID:qPvpjE+S0
「本題忘れたまま終わんなアホ、対戦はどうした。
 おらミル、精霊出しといて別人の振りすんな面倒くせぇ!さっさと終わらせるぞ、早くこっち来いっ」
 問題が多すぎて全力で槍を投げる彼の声に、覆面娘は人差し指をチチチッと左右へ動かし、沈黙。これが答のようだ。
「わわわっランス様、落ち着いてくださはぁぁあああぃ?!
 相手は小さい子、覆面してる小さな女の子ですからっ!」
「だ、か、ら、ムカつくんじゃあ゛あ゛あ゛あ゛あああ!!!!」
 犬歯を剥き出し、今にも飛びかからんと吠える怪獣デカグチミドリンを、懸命に羽交い締めして抑えるシィル。
 日頃 大荷物を背負って歩くその姿から、実は怪力技能 習得済みなのではと、密かに噂される彼女だからできる技である。
 そんな奇跡が織りなす光景を前に、顔を見合わせオーバーに肩を竦めるマリア&ミルク・マスカラスのコンビ。
 今回はとことんこの立ち位置でいくらしい。そんな態度で大丈夫か。
「OK、それじゃルールの確認から始めましょう」
 対戦会場のセッティングを終えたマリアが切り出す。
「使用するギャルモンは三体、両者ともに途中交換可能。コイントスの結果 先攻はランス、あなたからよ。
 それじゃ二人とも、思う存分楽しんでちょうだい!」
 陽光を反射して輝く眼鏡。高く掲げた右腕を一息に振り下ろし、告げるは始まりの合図。
「ギャルモンバトル、レディイイイイゴォオオオオゥ!!」
671【ゲーセンR2 後の上編 】:2010/12/05(日) 13:35:54 ID:qPvpjE+S0
【めざせ!ギャルモンマスター
   作詞 香澄
   作曲 チョチョマン・パブリ
   歌 マリア・カスタード研究所職員一同】
たとえ火の中 海の中 船の中 森の中
砂の中 霧の中 あの子のモコモコの中(きゃっ、ひんひん)
なかなか なかなか なかなか なかなか大変だけど
ギャルモンゲットだぜ!ギャルモン、ゲットだぜ! イェイ×6 イェーイ!
師匠の家から さよならバイバイ(バイバイ)
エリナに連れられ 旅に出る(ちゃっちゃと歩きなさい!もうっ)
鍛えた技で 勝ちまくり 恋人増やして 次の街へ
いつもいつでも 上手くいくなんて 保証はどこにもないけど(その通りだぞ、レオ)
いつもいつでも 本気で生きてる この娘達がいる
(あいや、また胸がおっきくなてしまたある。またエリナに怒られ‥エリナ?!
ち、違うあるこれはっ、むむむ鞭をしまておちついて話し合えばわかるあるよぉおおおおおぉぉ…)
あぁ 憧れの ギャルモンマスターに
なりたいな ならなくちゃ 絶対なってやる!
〈LP00XX年冬 発売予定。B面にはチョチョマン氏が歌う、【ギャルモンいえるかな?】を収録〉
672【ゲーセンR2 後の中1編 】:2010/12/05(日) 13:37:04 ID:qPvpjE+S0
【ゲームセンターR 第二回 可愛いキャラで気軽に遊べるRPGゲーム。
 そう思っていた時期が私にもありました…くすん】

〈はりまおーの ひこうをつく こうげき! ソードマスターの きゅうしょに あたった!〉
〈ソードマスターは たおれた こちらのなかまは もういない ランスは めのまえが まっくらになった…〉
「馬鹿な…完敗だと…?」
 画面上に表示される“1P Lose”と、“2P Win”の文字。
 コントローラーを床に落とした事にも気づかず、呆然とするランスの隣では。
 人差し指を天に向け、静かに勝ち名乗りをあげるミルク・マスカラスの姿。
「ランス様のギャルモン三体が全員、ミル‥クちゃんの一体目に敗けちゃうなんて‥そんな…」
 固まったまま動かないご主人様を心配したあてなが、後ろからえいっと負ぶさるも反応がない。重傷だ。
 ここで、ミルクが事態を見守るマリアへ何やら耳打ちする。
「ランス。ミル…クはこう言っているわ。
『これに懲りたら、あの天使より可愛いミルちゃんを、大人のレディとしてあつかいなさい!ぷんぷんっ』」
 敗けて無理難題を言われるでもなく、罰ゲームを受けるわけでもない。だが、だがしかし。
 熱が点った。完敗の衝撃で凍りついていたランスの身体の奥深く。人一倍、いや十倍高い“男のプライド”。
 お団子覆面女の言葉はまさにその時、ランスの気高き魂へガソリンまいて火を点けたのだった。
673【ゲーセンR2 後の中2編 】:2010/12/05(日) 13:38:00 ID:qPvpjE+S0
「ミル!!!!」
 言いたい事言えて、ルンルン気分で自宅へ戻ろうとしていたミルク・マスカラス、もといミルを呼び止める。
 いや、呼び止めるなどと生易しいものではない。
 牙を抜き、爪を折り、もはや完膚なきまでに叩きのめしたはずの負け犬が。
 ほんの僅かの間に息を吹き返し、今もなお生きた瞳を向けてくるのだから、ミルでなくても驚くと言うもの。
「一週間‥いや、四日だ!四日で俺様はこのゲームを極めて、お前を越えてやる」
 ミルは歓喜した。今この瞬間彼は、自分を“つるぺたのガキ”ではなく、乗り越えたい敵として見ている。それは即ち、
(私を対等に見てくれてるんだ!あのランスが!!)
“嫌いと好きは変換できる”、姉のミリが晩酌の時間に教えてくれた恋愛指南にヒントを得て。
 マリアの、友人のゲーム開発における情熱をも利用して、漸く辿り着いたこの高み。
 ミルは感謝していた。姉に、友人に、友人の部下達に、立ち絵すら無いゼスの有能過ぎる老人に。そして、
「ランス様…」
 恋敵に。
 己の計画は既に半ば以上まで成功している。あとは四日後、鍛えに鍛えた彼のギャルモン達と激しいバトルを繰り広げ。
 そして本気の彼に、自分は間違いなく敗けるだろう。
674【ゲーセンR2 後の下編 】:2010/12/05(日) 14:07:32 ID:qPvpjE+S0
 しかし、敗北に打ちひしがれる自分に、根っこから悪になりきれない彼はきっと手を差しのべるはずだ。そこからが本番である。
( 『なかなかやるじゃねぇかミルク、覆面させとくのが惜しいくらいお前は良い女だぜ!
 おかしいなぁ、お前みたいに良い女は絶対に覚えているはずなんだが…』
 ここ、このタイミングで私は覆面を取る!
『今までだましていてごめんなさい、ランス。実は私、ミル・ヨークスだったの!』
『ななな何だってぇえ?!それは気付かなかった、魔人もびっくりの演技力だぜ。俺と今すぐ結婚してくれ!!』
 リンゴーン、リンゴーン(←教会の鐘の音)。
『わーい、わーい、ミルちゃんおめでと〜う』 )
「なーんちゃってなんちゃってー♪♪
 やだもーランスったら、うし車のうし達が見てるんだからぁ☆………あれ?」
 いつの間にか辺りを沈黙が支配している事に気づくミル。
 右を向けばあてなとシィルが震えながら抱き合っていて、また反対側ではマリアがそーっと部屋を脱け出すところだ。
 そして正面。充血し、紅くなった双眼がぐいーんと輝き、大きく裂けた口からしゅーしゅーと漏れる瘴気。
 お分かりいただけただろうか。そう、先程ミルが思い描いていた“幸せ未来ドキ☆ドキ計画”は全部丸っきり、
「く、口にでてた…?」
 その後 扉の向こう側から響き渡る、誰かの尻を叩く音を聞いたマリアは、ただただ静かに十字をきった。
終わり
675【ゲーセンR2 あとがき 】:2010/12/05(日) 14:09:03 ID:qPvpjE+S0
・初めに。マリア研究所でゲームをするランスのSS第二弾。
 今回のお題は、十年以上も続いている世界的人気作品のアレです。
>662-663様
・レスありがとうございます。
 画像に写っているのは大帝国の戦艦でしょうか?(違っていたらすみません)
 完成を心待ちにしております。

・最後に。ミル・ヨークスとミル・マスカラスは名前が似てるなー、と思ってしまったのが運の尽き。
・拙いSSですが、お読みいただき誠にありがとうございました。
676自作特攻隊WILLCOM ◆0CrenIPJUU :2010/12/06(月) 19:49:10 ID:MjYdSsqo0
御疲れ様です、何時も面白いですね…♪

ギャルモン本当に出たらフィギャ製作しまくりでしょうか…♪

※戦艦・巡洋艦は来週、駆逐艦は後数週間の予定です。
677【手をつなごう 前編 】:2010/12/08(水) 10:27:55 ID:v55NU8gM0
 こんな事をするきっかけなんて、今となってはまったく覚えてないくらい、些細なものだったはずだ。
 織田城への帰路を鈴女と二人、繋いだ手を適当にぷらぷらさせて歩きながら、ぼんやり考える。
(なんなんだこの変な空気は…)
 この数分間でランスの視線は、荒れた大地と夕焼け空を何往復したことか。
 それでいて決して、彼女の方は見ない。ゼッタイ。何となく。
「んーっ、はぁ‥今日の夕飯何でござろうなぁ」
 ぐうっと背伸びして、歌うように自分の希望を並べていく鈴女。
 はすんの唐揚げ くじらの刺し身 でも七色団子は勘弁な♪
 夕食と聞いてランスが思い浮かべたのは、永久氷で眠る桃色の奴隷お手製へんでろぱ。
(そういや、もうしばらく食ってねぇな)
 雨の日も風の日も、ケンカした日も仲直りした日も。
 アイスの街で共に暮らし始めて、その内あてな2号なんて妙な娘も加わって。
 自由都市に始まり、リーザス、イラーピュ、玄武城に地下帝国。魔法大国ゼス、そしてJAPAN。
 何処へ行っても、誰とヤっても、結局最後はへんでろぱ。
 シィルが作ったぽかぽかのへんでろぱを食って、風呂入ってやることやって、ぐっすり眠る。
 そんな当たり前に過ごしてきた日々が 今は懐かしく、そして遠い。
 知らず知らず繋いだ右手に力がこもる。誰でも良いからぶん殴ってやれば、このイライラも消えるだろうか。
678【手をつなごう 後編 】:2010/12/08(水) 10:30:26 ID:v55NU8gM0
(クソったれ!!)
 重なって倒れていた魔軍兵士の屍を思い切り蹴飛ばすが、気持ちは晴れない。
 それどころか、ブーツに付いた返り血が余計に神経を逆撫でする。馬鹿にしやがって。
(こうなりゃ今からでも退却した奴等追って斬り刻んでやろうか。俺様を不愉快にさせたんだ、そのくらい当然の報いだろう)
 結論は出た。舌打ちして足を返し、いざ走り出そうとしたその時。
「ににんぷいぷいっ」
 どしゃあっと大きな音をたて、ランスの視界は反転した。
「いってぇ‥」
「痛いようにやったんだから、当然でござるな」
 繋いでいた右手を起点に、上手いこと転がされたらしい。
 これは護身術だったか合気道だったか。背中から訴えてくる鈍痛を忘れたくて、益体もない事を考える。
「何すんだお前」
「ランスこそ、何考えてたでござるか」
 寝転がった自分を、じっと見下ろす鈴女の顔は無表情で。それでもどこか悲しそうなのは夕焼けのせいだろうか。
 繋いだ手は離れていない。それどころか、ぎゅうっと両手で握るもんだから結構痛い。
 何だってんだ ちくしょう。
「鈴女、痛い。離せ」
「うるさいでござる」
 普段 のほほーんとした彼女の姿からは、到底想像のつかない声で静かに一喝される。
「みんな、待ってるでござるよ」
「………、知るかアホ」
 よっこらせ と起き上がり、空いている方の手で軽く身体をはたき、城へ向かって歩き出した。
 お互い決して目を合わせずに。けれども二人、手を繋いで。
終わり。
679【手をつなごう あとがき 】:2010/12/08(水) 10:31:33 ID:v55NU8gM0
・初めに。戦国ランス正史ルートでシィル凍る→香姫に諌められる間の妄想エピソードとして投下いたします。

>676様
・レスありがとうございます。
 細かい作業に師走の寒さは厳しい事と思いますが、風邪など召されぬよう気をつけて頑張って下さい!
・最後に。このSSで、また違った鈴女の魅力を描けたらと思いつつ、あとがきを終わります。
・拙いSSですが、お読みいただき誠にありがとうございました。
680自作特攻隊WILLCOM ◆0CrenIPJUU :2010/12/10(金) 05:55:25 ID:P+1bYkVQ0
御疲れ様です、

 本編後のイラつきヤケになる主人公と厳しく諌めるくノ一
が味出して良いですね…♪
681自作特攻隊(E/ F) ◆0CrenIPJUU :2010/12/12(日) 22:37:59 ID:3wKtMTKm0
682名無しさん@初回限定:2010/12/16(木) 00:45:37 ID:f3vY2fJY0
>>681
??
683自作特攻隊WILLCOM ◆0CrenIPJUU :2010/12/16(木) 05:40:13 ID:ALLyjTD60
大宇宙の、戦艦・巡洋艦・駆逐艦です。
684名無しさん@初回限定:2010/12/24(金) 06:50:16 ID:V47IfQJFO
支援
685名無しさん@初回限定:2010/12/25(土) 11:38:10 ID:F9b76mTx0
今日はクリスマスということで

毎回面白いSSをコンスタントに書き込んでくださる人、もしよろしければ当方が今までの作品をまとめたいのですが…
ご本人の許可が欲しいのでお返事お願いします
686【 】の者です:2010/12/25(土) 13:34:36 ID:Q8I4uXAR0
>>685
・最高のクリスマスプレゼントをありがとうございます!
 どれもまだまだ拙い作品ばかりですが、まとめていただけるとあれば喜んで
 差し出す所存です。
 どうぞ、よろしくお願いいたします。

>>683
・私は手先が不器用ですので、模型など作れる方を尊敬します!大帝国楽しみですね。

・最後に一つ訂正をさせてください。二つ前のssでミル・ヨークスが召喚していたアレ。
 原作を確認したところ精霊ではなく、正しくは「幻獣」でした。
 カスタム四魔女ファンにあるまじき間違い、心からお詫びするとともに、
 ミルク・マスカラスにメキシカンストレッチをくらってきます。
687685:2010/12/25(土) 21:12:56 ID:/V3voWFJ0
>>686
了解しました、やってみます
全部で44作ありましたのでちょっと時間はかかるかもしれませんが…

これからも是非書き続けてください
同じ物書きとして応援しております
688【ワールド・ミスナルジ3 1/15】:2010/12/26(日) 12:00:04 ID:tzjZ7vdD0
「“ワールド ミスナルジ”をご覧の皆様、こんばんは。司会のチョチョマン・パブリです。
 今から七年前のGI.1013年。我が国の現国王であらせられる、ラグナロックアーク・スーパー・ガンジー様の戴冠式が行われました。
 今日までの多大なる栄光と発展そして国土崩壊は、全て彼の手によって成されたと言っても過言ではありません。
 さように良きこの年に世界ではどのような出来事が起こっているのか。
 今回は年末と言う事で、いよいよ本来の職場へ連れて行かれたあのお二人に代わって、新しい方達をお招きしております。
 パットンさんは大変残念かと思われますが、二人とも女性の方です。「ちょっ、おい!」順番に紹介しましょう。
 先ずはこの方、魔想志津香さんです。こんばんは、魔想さん」
「‥どうも」
 青い魔女帽子を所在無さげにいじくりつつ、ボソボソと答える志津香。
 魔法ビジョンなどさほど興味がなく、それこそ親友のマリア宅へ泊まり込んだ時でもなければ見ない彼女だが。
 いざ、己が出演する立場となると勝手が違うようで、表情筋がラレラレ石のように凝り固まってしまっている。
 そんな志津香の初な一面を目の当たりにした、いつも番組の始まりから終わりまでいじられっぱなしのパットン・ハンティ組。
 自分達にもあんな頃があったなぁと、そろって遠い目をしているあたり、すっかり染まってしまったようだ。
689【ワールド・ミスナルジ3 2/15】:2010/12/26(日) 12:01:09 ID:tzjZ7vdD0
「魔想さんは自由都市出身の魔法使いとの事ですが、その実力は我が国の四将軍にも匹敵するとか」
「そっ、そんな私なんてまだまだですよ!あの雷撃呪文を使う――「カバッハーン様ですかな?」
 はい、カバッハーンさんなんて特に強くて…私ももっと精進しないといけないんだって、痛感しましたから」
 日頃わざと空気を読まないチョチョマンが、志津香の緊張を解すために至って普通の会話をしている。
 彼の過去の凶行を知るパットン達からしてみれば、開いた口が塞がらないなんてものではない。
(落ち着けパットン・ミスナルジ。ここで安心して気をぬくなんてのは、二流がやる事だ。
 アイツを侮っちゃいけねぇ、アイツは常に俺達の予想の斜め上をムーンサルトで飛び越える男だ。
 こうしてこっちが警戒しているのを見越した上で、絶対に何かヤバい仕込みを―――)
「ではそのお隣。ADのフレイアさん、例の方を連れてきていただけますか?」
 フレイアと呼ばれた左肩に一つ目のネコ(?)を乗せた美人ADが、巨大な箱が積まれだ荷台を運んでくる。
 そして、一つ目のネコが口にくわえていたスイッチを入れると徐々に蓋が開き、やがて中から金色ポニーテールの麗しい美少女が現れた。
「それではご紹介致しましょう。元ゼス国四天王、ナギ・ス・ラガールさんです」
「…見つけたぞ魔想の娘」
「―――どうせこんなこったろうと思ったよチクショウ!!」
690【ワールド・ミスナルジ3 3/15】:2010/12/26(日) 12:01:55 ID:tzjZ7vdD0
「他に代役なんていくらでもいるだろうがどうしてこんなピンポイントに共演NGなヤツ連れてきてんだよ!!!!」
“事情”がわからず首をかしげるハンティの左席、一触即発の雰囲気を醸し出すスポットを指差し、一息で突っ込む我らがパットン。
 ぜぇぜぇと荒い息を吐き、ヘタな言い訳許さないぞアイコンタクトを向けたその先。
 チョチョマン・パブリは、番組始まってから相も変わらぬ無表情でゆっくりと頷いて、宣った。
「もちろん承知しております」
「おいぃいいいいいいい!!!!!!」
「私どもとしましても、他所の家庭の事情へ首を突っ込むような真似は抵抗があったのですが…」
「そうだよそれが当たり前ってもんだよ、いやむしろそんなレベル超えてんだよあの二人の場合は!」
「ですがスポンサーから格闘技中継は数字が取れるからどうしても、と」
「ふざけんなどこだよスポンサーって」
「ガンジ「ちくしょぉおおおおおお!!!!」」
 良い歳した男が二人じゃれ合うのを生暖かい目で見守るハンティの右手側。
 呪われた宿命を背負う女達の闘いが、今まさに始まろうとしていた。
「ナギ…」
「魔想の娘…」
691【ワールド・ミスナルジ3 4/15】:2010/12/26(日) 12:20:19 ID:tzjZ7vdD0
(クソ、こんなさして広くもないスタジオの中でドンパチおっ始められたら、あっという間に焼け野原だ。
 どうする、考えろ。このご時世だ、長く続けられそうなレギュラー番組なんて、金の草鞋履いてでも欲しい物なんだ。
 近い将来こいつ、ハンティやヒューバート達とともにヘルマンを取り戻す、大事な誓いもあるんだ。
 目の前の確信犯的行動で事態を引っ掻き回すアホ野郎のせいで、その誓いが破られると言うのなら。
 俺の番組スタッフ達に対する、甘い考えがこのどうしようもない現状をつくり上げたと言うのなら。
 そして、先週撮ってきたVTRを今回もまた使わずに終わらせるって言うのなら)
「いいぜ見てろよ。お前らのそのふざけた幻想‐思い上がり‐、このパットン・ヘルマンが全て受け止めてやる!!」
 灰色のスーツを脱ぎ捨て、指に馴染んだグローブを装着する。
 ベルト代わりに使っていた鉢巻きを額へ合わせ、気合い一声。
 パットン・ミスナルジ‥いや、パットン・ヘルマンと再び名乗り上げた凍国の元皇子は、苛烈極まる戦場へ駆け出すのであった。
692【ワールド・ミスナルジ3 5/15】:2010/12/26(日) 12:21:50 ID:tzjZ7vdD0
【パットン・ヘルマンGo Fight!
   作詞:フレイア・イズン
   作曲:チョチョマン・パブリ
   歌:ラグナロックアーク・スーパー・ガンジーwithスケさん&カクさん】
(ゴー! ゴー! パットン!)
スタジオに 稲妻走る
炎が セットを焦がす
飛び散る 破壊光線
白黒 つけるぜ!
(※)わたしは(ドジで) 強い(つもり)  ミスナルジ
  守る(魔法) 見事に(倒れる)
あぁ男は 愛がなければ スーパーヒーローじゃないのさ
パットン・ヘルマン ゴーファイト!

(※)繰り返し
あぁ尊い 誓いを胸に
パットン・ヘルマンに なるのさ
パットン・ヘルマン ゴーファイト!
パットン・ヘルマン ゴーファイト!
693【ワールド・ミスナルジ3 6/15】:2010/12/26(日) 12:22:39 ID:tzjZ7vdD0
「うぉおおおおおお!!!」
 雷鳴轟き、大地は震え。業火妖しく光り輝く。
 並みの人間であれば、瞬く間もなく辺り飛び交う魔法をぶち込まれ、死に際の声すら残さず消えてしまうだろう。
 だが、眼前を行く体長2メートルの大男は、決して“並みの”範疇に収まる男ではなかった。
 日々の修練によって鍛えあげられた、しなやかな筋肉を有するその身体は、脳よりくだされた指令を0.000000001ミリ秒にまで縮めて遂行。
 それがもたらしたのはすなわち、―――魔法回避‐ドッジ・マジック‐と言う妙技。
 もし仮に予期せぬ魔弾が当たったとしても、彼の身体は業火炎破 程度では傷一つ付かないはずだ。
「伊達に一日百本、忍耐わさびを食っちゃないぜ!!」
 そしてさらに、毎朝毒入り忍耐わさびを練り混んだ砂の中へ抜き手をする事で。
 パットン・ヘルマンの両腕は、黒色破壊光線にすら耐えられるようになっていたのだ。
「お前らぁああああ、喧嘩を止めろおぉおおおおおおお!!!!」
 雄叫びが大穴の開いた天井の遥か向こう、青く澄んだ大空へ響き渡る。
 白色破壊光線級の魔力を溜め込み走る緑の魔女と、黒色破壊光線級の魔力を腕に宿して壁を蹴る金色の夜叉。
 ニ体の鬼が交差するその中心へ飛び込み、研ぎ澄まされた両の腕をいっぱいに伸ばしたパットンは。
 鬼を浄化し、人へ戻さんが為に再び叫ぶ。
694【ワールド・ミスナルジ3 7/15】:2010/12/26(日) 12:42:24 ID:tzjZ7vdD0
「お前達にはきっと、必要なんだ!!どんなに目を閉じ耳を塞いで顔を背けても、心の深いとこじゃ求めてるはずなんだよ!!
 恋人でも、友人でもない、ありのままの自分をさらけ出しても絶対に受け止めてくれる存在。
 生まれてから死ぬまで生涯、どこにいても、離れていても、何かあった時には必ず支えてくれるような存在。
 嫌なところも、汚い癖も、文句言っても最後にゃ許してくれるような、そんな、そんな家族ってヤツをよぉおおおおお!!」
 右から黒色破壊光線、左から白色破壊光線が迫り来る―――着弾。
「俺ぁお前達の因縁は全部知らねぇよ、あの時あの塔で見て、聞いたもんで全てだよ。
 でもよぉ…ッ‥ッッぉあああぎ、ぐ、がぁああああああああッッッッッッ!!!!!」
 皮膚が破れ、爪が剥がれ、肉が裂けて、骨が削れる。それでもパットンは倒れない。
 魔力の熱は肌を焼き、飛び散ってできた血溜まりはとうに蒸発。
 目蓋を開けばたちまちの内に破壊光線の光で眼球がやられてしまうだろう。
 しかし、それでもパットンは倒れない。
695【ワールド・ミスナルジ3 8/15】:2010/12/26(日) 12:43:13 ID:tzjZ7vdD0
「パンティさん「ハンティだアホ、いい加減覚えろ」‥良いんですか?」
 何が、とは聞き返さなかった。何故ならハンティもまた、今“それ”について考えていたからだ。
「手を、貸してやりたいさ。決まってるじゃないか、アイツはアタシ達の…ヘルマンの希望なんだからさ」
 過保護かもしれないけどね。苦い顔で笑うその裏側に、どれほどの葛藤が今もなお繰り広げられているのか。
 チョチョマンはそれを知りたくもないし、知るべきでないとも考える。
「でもさ‥これはアイツの問題、いや闘いなんだよ。
 アイツはこの闘いを通して、過去の自分と向き合おうとしてる。
 祖国に残してきちまった、本当は大切にしたかった家族と彼女達を重ね合わせてしまっている。
 そしてその上で、自分の意思で、あの子達を助けたいと願っているんだ」
 咬んだ唇から一筋、細く紅い滴がこぼれる。
「だったら、アタシができる事はただ一つ。そうだろ?チョチョマン」
「パンティさん…「ハンティだっつってんだろアホ」」
 番組スタッフの避難誘導を終えたヘルマン出身美人ADが、瓦礫の向こうで小さく溜め息を吐いた。
 焼け野原に獣の咆吼がこだまする。終演はもう、すぐそこまで来ていた。
696【ワールド・ミスナルジ3 9/15】:2010/12/26(日) 12:43:55 ID:tzjZ7vdD0
「でもよ!!志津香は絶対後悔すんだろ!!!
 いなくなっちまうんだぞ、てめぇの手で、た、ただ独り、の、身内を消しちまうんだ!!「くッ…!!」
 ナギ!!てめぇこれで良いのかよ!!ラガールは結局、最後の最期でてめぇを見捨てたんじゃねぇか!!
 なのに、ここで志津香を殺しちまったら、ラガールのと、ところに、アスマーゼの娘をみすみす送り届けちまうんだぞ!!
「うるさい…」ナギ、てめぇはラガールの人形じゃねぇ、てめぇは生きてんだよ!!
 もっと、幸せになれるんだよ!暖かくて、優しくて、腹の底から幸せになれるような事ぉ、いくらでもあるんだよ!!
「うるさい!うるさい黙れ青い髪の男!」
 ぁぐ…ッッがぁあいぃいあ‥ぐッ、ナギよぉ、怖いんだろ?
 今まで、ラガールが必死んなっててめぇの世界に蓋してたのに、それが亡くなっちまったんだ。
 てめぇの、見た事もない、見たくもない、知らない世界ん中独りんなっちまって、怖いんだろ?!
「黙れ黙れだまれダマレぇえええ私の心の中に入ってくるなァああアああア!!!」」
 パットンの右肩が黒に飲み込まれる。頑強な筋肉の鎧が徐々に、だが確実に削り取られていく。
「ッ……!!……ッッ、てめぇは可哀想なヤツだよナギ」
697【ワールド・ミスナルジ3 10/15】:2010/12/26(日) 13:06:33 ID:tzjZ7vdD0
 左手が使える。志津香の白色破壊光線がいつの間にか無くなっていたらしい。
 どこかで女の泣く声を聞いた気がした。そいつはきっと不器用で魔法バカな娘、そんな気がした。
「ナギ、てめぇは独りなんかじゃない。怖い事なんて何もないんだ」
「ダマレよぉ…なんで、なんで消えないんだよぉ、お父様ぁ……おとうさまぁ…」
 炭化した左手を無理矢理、強大な黒の奔流へと押しつける。
 両方とも指の感覚がない。それでも肘から上が生きていれば、魔法に対し盾となり得る腕は動く。
 決して魔法を消せる訳じゃない。ただ毒入り忍耐わさびに抜き手を打ち続けたおかげで、“耐えられる”のみ。
(要は結局、根性比べってか…ははっ、俺らしくてイイよなぁ…)
 しかし今、両腕が使えるようになった。
 片腕だけでは止めるまでで精一杯だったところが、両方使えるようになったのだ。
(右足、前に。左足、前に。右足、もっ、と、前、に。左、足‥もっと、ま、えに…)
 それは、蝸牛の歩みより遅かった。だがしかし、着実に一歩、また一歩とナギのもとへ歩み寄っていた。
698【ワールド・ミスナルジ3 11/15】:2010/12/26(日) 13:07:21 ID:tzjZ7vdD0
「おとうさまぁ……おとうさまぁ……」
 恋に堕ちた訳ではない。ナギとはろくな面識もない、ほとんど赤の他人である。
 ただパットンは、あの時あの塔で彼女と戦い、今日また出会い、昔の思い出が蘇っただけのだ。
 彼を“お義兄様”と呼び慕っていた、とある内気な少女‐義妹‐との数えられる程少ない、今は帰らぬ思い出が。
(弱肉強食を絵に描いたような、そんな世界だ。性善説なんてもん信じてる訳ない、ねぇんだが…それでも!!)
 ただ純粋に、単純に。目の前で、大切な人を喪って悲しい、悲しいと泣いている女の子を。
「よぉ‥待たせちまったな…」
「お、おとうさまぁ……」
「わりぃな、おれぁお前の“お父様”にはなれねぇよ。でもな、…」
 黒焦げの、叩けば今にも崩れてしまいそうな両腕で。
 皮膚は破れ、爪が剥がれ、肉が裂けて、骨の削れたその腕で。
「お前の家族に、“義兄さん”にだったら俺は、なれる」
 ナギを抱きしめたのだった。
699【ワールド・ミスナルジ3 12/15】:2010/12/26(日) 13:08:11 ID:tzjZ7vdD0
「ったく、ホント馬鹿だなアンタは」
「そんなん、言われなくても知ってるぜ」
 人気番組“ワールド・ミスナルジ”が圧倒的高視聴率にも関わらず、突然 放送終了して数週間が経った。
 番組が終わり、スタジオも廃墟どころか一面焼け野原になってしまったせいなのか。
 スタッフ達は皆、まず命が助かった事に感激して、職失った絶望感はどっかへ飛んじまったようで。
 打ち上げ、別名“これから大変だろうけど皆で頑張ろうぜ!”な飲み会は、大盛り上がりだったらしい。
“らしい”と言うのはもちろん、その打ち上げに俺は参加できなかったからだ。
「当たり前だろ馬鹿。〈ぽかり〉アンタ、もう一生両腕使えなくなるところだったんだから!」
「ッ、てぇ…背中の腕で殴るこたねぇだろ。これでもケガ人なんだぜ」
「アホ面してアホな事考えてからだ、このアホアホ筋肉!」
「ひっでぇネーミングセンスだなおい、と思った事を口には出さないど〈ぼかりっ〉いでぇ!」
「口に出とるわこの大アホが!」
 聞いての通り、カラー族に伝わる超秘術とやらで、俺の身体っつーか両腕は全部治るらしい。
 反則じゃねぇかそれ、なんて呆れてたらハンティ曰く、
「魔王の永久氷だって解かせるんだ、何だってできるさ」
 …だとさ。カラー族ってすげぇ。
700【ワールド・ミスナルジ3 13/15】:2010/12/26(日) 13:30:46 ID:tzjZ7vdD0
 チョチョマンさんやガンジーの王様さんとパパイアは、年末年始明けてそのまま元の職場に戻って行った。
 チョチョマンさんづてに聞いた話じゃ、あいつら事情を一通り聞いた後、爆笑してたらしい。…ちくしょう。
 で、たっぷり笑った後に番組スタッフの再就職先は任せてくれたまえ、だぜ?
 怒っていいやらどうしていいやら、本当 質の悪い奴らだ。
 そうそう。あの妙に存在感があった、肩にネコ乗っけたADもいつの間にかいなくなってたな。
 あの手際の良さ、あいつ絶対スパイか暗殺者だな。間違いない。
 志津香は一旦、自由都市へ帰ったようだ。俺が寝てる間にハンティを仲立ちに、ナギと(!)話し合って決めたんだと。
「結局最後は向き合って話し合わないといけないのはわかってる。でも今は頭を冷やす時間がほしいの。
 私も、ナギも、もっといろんな事を経験すればきっと‥お互い優しくなれると思うから」
 具体的な解決策なんかてんで決まらなかったみたいだが、時間が必要なのはその通りだろう。
 それに、数ヶ月前までは二人で顔つき合わして会話する事すらできなかったんだから。
 そう考えればとんでもない進歩だ。
(ラガールの呪縛から解放されつつあるのかもな…)
701【ワールド・ミスナルジ3 14/15】:2010/12/26(日) 13:31:38 ID:tzjZ7vdD0
 で、問題の“アイツ”なんだが…。
「起きてるか、青い髪の男」
 借家のボロい扉を力の加減無くガンゴン、とノックを二回。ナギ・ス・ラガールのお出ましって訳だ。
「よう。元気そうだな、ナギ。ちゃんと飯食ってるか?」
「…そこのカラー族の女がうるさいからな」
「だっはっはっ、違ぇねあだだだだ!すいませんハンティさんホントすいません!」
 志津香との話し合いが終わった後、ナギはちょくちょく俺の見舞いに来てくれていたらしい。
 もっとも、見舞いに来て俺の世話をするような女だったら話はもっと簡単だった訳で。
 部屋へ入って、適当に椅子を見つけたら後はそのまま、ぼうっと何やら考え事をしていたんだと。ハンティが言うには、
「ナギには今そういう時間が必要なんだ。それに、アタシにもいろいろ質問してくるんだよ」
「いろいろ?」
「そう、いろいろ。
 魔法以外の、生きていく上で必要な事とか、生活に潤いを与える趣味みたいな事とか。
 …ホントならそのラガールってヤツが、きちんと教えてやりゃ良かったんだろうけどね」
 その代表的な例がさっきの飯の話だ。ある日ハンティが、ナギに昼飯どうするか訊いたんだ。
 そしたらナギの奴、ラガールが死んでから飯は適当な栄養剤 口に放り込んでるって言うから、叱ってやったんだと。
702【ワールド・ミスナルジ3 15/15】:2010/12/26(日) 13:32:33 ID:tzjZ7vdD0
 それ以来俺の見舞いが終わったら、ハンティと二人で料理の練習しているんだと。
 その証拠が俺の枕元で静かに自己主張する、きゃんきゃんの耳の形したリンゴ。
「美味い…最初は“らくがき犬”みたいな形してたんだけ〈雷の矢〉どなばうあっ」
「男は、女がしてくれる事なら無条件で喜ぶものだと、カラー族の女に聞いていたのだが」
「〜〜〜ッッ、ッ、ッッ!(←ハンティ爆笑中)」
「………(←雷で痺れてまともに喋れない。忍耐わさびの効果は、カラー族の超秘術で消えてしまったようだ)」
 ちくしょう、ハンティの奴 何てデタラメ教えてやがる…。
 こいつは、ナギは、純粋で、頑固だから、一度変な事教えちまったら…ぐおおぅ。
 …でも、この調子なら志津香と再び会って話せる日も、そう遠く無さそうだ。
 近い将来、俺達はヘルマンを取り戻す為にゼスを旅立つ。その時ナギはどうするのだろう。
(家族になるとは言ったものの、向こうの返事なんて聞いちゃいねぇし。今さら訊くのも違うだろうし…)
 串に刺したリンゴをぷらぷら弄びつつ、ぼんやり考えていたその時。
 たまたま目に入ったナギの唇が、“にいさん”と呼んだ気がしたから。
 だから、今の内にヒューバート達に相談しておこうか。何となくそう思った。
【ワールド・ミスナルジ 姉妹の絆end】
703【ワールド・ミスナルジ3 あとがき 】:2010/12/26(日) 13:56:15 ID:tzjZ7vdD0
・初めに。何かとネタにされるパットンお姉ちゃんが、“お兄ちゃんとして”頑張るSSです。
 言うまでもなくワールド・ダウンタウンと、某 とある魔術の何とかかんとかを元ネタにさせていただきました。

>>687
・身に余るご支援、重ねてお礼申し上げます。
 差し当たりまずは最初の目標、50本目まで作ってみようと思います。以降、+5本ずつを目標にしていこうかと。
 今後とも、何卒よろしくお願い致します。
>>684
・ご支援ありがとうございます。年末の憂鬱な気分が吹き飛びました。

・最後に、ワールド・ダウンタウンパロディ成分は何処へ消えたのやら。
 そして、原作ナギを始め各キャラクターのファンの方々には、謹んでお詫び申し上げます。
・拙いSSですが、お読みいただき誠にありがとうございました。
704名無しさん@初回限定:2010/12/26(日) 15:30:29 ID:1lZSQe7x0
GJ
まそうさんかわいいよ
705名無しさん@初回限定:2010/12/26(日) 23:10:41 ID:+zkWNxrY0
GJ!
これ今までの中で一番好きかもしれない
706自作特攻隊WILLCOM ◆0CrenIPJUU :2010/12/27(月) 19:14:25 ID:ruDmmUKv0
今回は力作ですね…♪ 面白かったです…♪
707名無しさん@初回限定:2011/01/01(土) 01:16:26 ID:oMMOXKp3O
謹賀新年
今年もアリスソフトとそのファンにとって、良い年でありますように
708名無しさん@初回限定:2011/01/08(土) 00:59:28 ID:8u2q4nh3O
祝プリマ復活記念保守
709名無しさん@初回限定:2011/01/17(月) 02:22:31 ID:VZy3OlaSO
支援
710名無しさん@初回限定:2011/01/20(木) 01:04:58 ID:3/rW70Y+0
本スレで誘導されたので、これから大帝国二次創作を書いていきます。
お目汚し失礼。
711名無しさん@初回限定:2011/01/20(木) 01:08:59 ID:3/rW70Y+0
英知は日本のために盲目的に命を捧げ、無残に散る
死した英知の亡骸に敬礼する軍人たち
帝と東郷の無念。
それとは関係なく戦争利益者たちは英霊たちを利用し、世論を誘導し、日本は勝ち目のない無謀な戦争へ突き進んでいく
ほくそ笑む財閥
悲嘆にくれる一部の有識者
やがて決定的な打撃を受け、日本は敗戦を知るに至るが時すでに遅し
敗戦後、戦争責任を取らされ死刑になる帝とその後を追うように自殺する幹部たち
そして日本復興の道は帝の子供に託される。
帝の子に流れる東郷の血は、否応なく波乱と女難の運命を呼び寄せる。
ソビエトとガメリカの二重支配!
分裂する日本と、再び訪れた戦国時代!
東郷家による日本統一!そして繰り返される世界大戦!
人類は世界恐慌の前になすすべもなく、なし崩し的に戦争特需を期待する。
それが人の命と引き換えと知っているものはどれだけいるのか。
日本の運命やいかに!
第三次世界大戦、勃発!

CV三石琴音
712名無しさん@初回限定:2011/01/20(木) 01:14:46 ID:3/rW70Y+0
帝国主義。それは侵略主義と同義だった。
ガメリカをはじめとした列強国は自身の植民地戦略を棚に上げ、敗戦国に責任を押し付ける。
歴史の悪を背負わされた敗戦国はそれでも驚異的な復興を遂げる。
レーティアは終戦後しばらくは売春婦としてガメリカ兵たちのオモチャになっていた。
穴と言う穴を犯され、人間としての尊厳を破壊されても、彼女には残るものがあった。
天才的な頭脳。
どれだけ汚されようと決して損なわれることのない彼女の能力は、焼け野原のドイツに人知れず残る宝だった。
自分を庇って死んだゲッペルズの代わりにシンパを見つけたアドルフは、焦土で出会ったその男を利用することに決める。
アドルフは性的に彼の奴隷だった。どんな屈辱的な命令にも従った。
しかし、にもかかわらず、アドルフは自由だった。彼女は祖国復興のために命を燃やした。
死んだ友人たちのためという想いもあったのかもしれない。
だが彼女を最も突き動かしていたのはドクツ民族としての誇り、そして天才としての自負だった。
数十年後。アドルフは科学史に残る大発見を遂げる。
その間夫は四人も変わり、現在も離婚調停中である。
人々は彼女を愚かな女だと言うが、しかしレーティアは少しも己を恥じていない。
なぜなら彼女は常に大いなる意思に突き動かされていたからだ。
彼女は世界的な化学賞を得ることで、戦後あらゆる意味で低迷していたドクツ復興の足がかりを作り、死後も一定の評価を得ることになる。
残酷な独裁者としての一面と、常に己を信じ、正しいものに向かって突き進んでいった一面。
後世の歴史家は彼女を評価するたびに岐路に立たされる。
はたして彼女に正当な評価を与えることができるのだろうか。
世界中の大学の歴史研究科の教室には、必ずと言っていいほどレーティアの肖像が飾られている。
肖像の中の彼女の瞳は見るものすべてに語りかける。
あなたは歴史を正しく見ているか。歴史の中で必死にもがいた人たちの心を感じているか、と。
そのたび後世の人間は膝まずき、敗北するのだ。
歴史に残る人物の偉大さと、その美しさに。

しかしドクツは戦争に突入し、再び過ちを繰り返す。
レーティアはその戦いの中で何を思い、何をなすのか。
ドクツの、世界の偉人が、その信念のもとに世界に戦争を仕掛ける。
713名無しさん@初回限定:2011/01/20(木) 01:22:38 ID:3/rW70Y+0
宇宙規模の戦艦による戦闘で、指導者が負傷する可能性など。
セーラは己を恥じる。己の傷、そして腕に巻かれた大げさな包帯を恥じる。
こんなもの!そう思っても、包帯をはずすことはしない。
セーラは分かっていた。自分は戦争を続行するための道具でしかないということを。
ドクツは勢力を伸ばし、オフランスを征服した。
ドーヴァー海峡に阻まれているとはいえ、エイリス侵攻も時間の問題であろうことは火を見るより明らかだ。
今、このエイリス帝国に必要なのは、戦争を続行するという強い意志。
士気。それさえあれば、ドクツにだって負けないはず。
電撃戦なぞという彼らの戦略は所詮奇襲。その程度、世界最強のエイリス帝国海軍が落ち着いて対応すれば、かなうはずもないのだ。
士気。戦うという確固たる意志。それさえあれば。

続く
714名無しさん@初回限定:2011/01/20(木) 01:23:14 ID:3/rW70Y+0
エイリス人は植民地政策の末、他国民全てを見下すほどに増長していた。
労働は奴隷のもの。消費し利益を提供するまでが土人の仕事。そう言って憚らない連中が大勢いた。
だがしかし、エイリス人の高いプライドとは裏腹に、政府は危機感を抱いていた。経済成長率。潜在的成長力。学者は計算し、みな一つの結果を示した。このままではガメリカに抜かされてしまう。
広大な土地と資源を生かし着実に発展するガメリカを尻目にエイリス本国の経済は停滞していた。内需は一向に拡大せず、植民地に自国の生産品を売りつけるだけの虚ろな発展。その植民地ですら最近は他国と競合し、思うように利益を上げられないのだった。
このままではエイリスは滅亡してしまう。
そのことに最初に気付いた英国人の一人が、エイリス帝国代38代女王であるセーラだ。
彼女はエイリスの持つ構造的な欠陥にいち早く気付き、対策を練った。エイリスが生き残る道を模索した。しかし戦後のエイリスは散々なものだった。
植民地政策はそれ自体否定されたため、マーケットを失ったエイリスは経済的に凋落した。
ガメリカの援助で復興したインド人に売れない紅茶とシャツを売りこむエイリス人はまるで過去に散々バカにしてきた植民地の土人の姿だった。
エイリス人たちの誇りは傷つき、心の中で大いに血が流れた。優れた人種としてのプライド。そこからもたらされる余裕。それを抜きにして、どうして英国人と言えようか?そしてついに彼らは誇り高きエイリス人として結束する。
ガメリカは世界戦略を成功させ、新世界を謳歌している。ドクツでは死んだと思われた天才少女が復活し、世界を破滅に導きかねない兵器を開発している。
数十年間エイリスの女王として君臨し、苦難の時代を耐えに耐えてきたセーラは叫ぶ。
「今こそ世界にエイリスの栄光を示すのです!」
エイリスは世界に向けて宣戦布告する。
奇しくもそれは東郷Jrによる新生日本の世界に対する宣戦布告と同時に起こった出来事だった。
715名無しさん@初回限定:2011/01/20(木) 01:25:26 ID:3/rW70Y+0
ガメリカ帝国は岐路に立たされていた。
それは二つの道である。
極端な自由主義か、ある程度は社会主義的な要素を取り込んだ自由主義か、だ。
第二次世界大戦。それは圧倒的勝利をガメリカにもたらした。
戦争の悲惨さを訴えるものがいても、多くのガメリカ人の心の奥にまでは届かなかった。
戦争をすれば、勝てる。
その自信は、国民たちの人格形成に大きく影響していった。
自分たちは強い。自分たちは戦争で勝てる。そういう思いが、世界を統治しようという思い上がった思想につながっていった。
だが戦勝国として名を連ねるソビエト、その指導者カテーリンは、世界会議で事あるごとにガメリカに反発した。世界には決着のついていない戦いが、依然として残ったままだったのである。
帝国主義は植民地主義。それは、世界最強の国を決めるまで終わらない。
愚かだと、誰もが思った。しかしだれにも止めることはできなかった。望む望まないにかかわらず、ガメリカとソビエトは争った。あたかもそれが神に課せられた使命であるかのように。
国際会議でガメリカに反発し、武力による抗争をちらつかせる大国が存在することは世界平和にとって大きな危機だった。
ガメリカは平和のための戦争という大義を掲げた。とうの昔に大統領を止めたイーグル・ダグラスは、再び表舞台に引きずり出された。
その頃、折からの世界的不況で、ガメリカ経済は致命的な打撃を追っていた。
あたかも神風に頼る日本人のように、ガメリカ人は救世主の出現を待ちわびていた。
世界大戦の覇者。戦いの神アテネのように崇められる現状に苦笑する。
しかしそれでも彼の眼には光が宿っていた。
失われた世界の平和。取り戻すのは、自分しかいない。
ダグラスは立ち上がる。懐かしい好敵手たちが次々と鬨の声をあげる戦場に、飛び込んでいくことを決めた。
第三次世界大戦。その幕が切って落とされる。
716名無しさん@初回限定:2011/01/20(木) 01:27:54 ID:3/rW70Y+0
カテーリンは考える。頭をひねって考える。
自分は何が間違っていたのか。
人は私を自身が無謬の人と考えているかのように伝える。
でも、そうじゃないのだ。私は常に迷っている。世界が私に一斉に「NO」と言ってくる日を常に恐れている。
戦争は終わった。我々は利益を得た。しかしそれでも足りないものがある。
誰も幸せになっていない。誰も安らかになっていない。幸福に包まれて安らかな、そう、トロイツェ・セルギエフ大修道院.に飾られるイコンのようなあの至福の抱擁。
全ての人間は、あのグレイスを味わうべきである。それが私の思想。私の、理想。
有能な指導者に管理された世界にあって、人々は未だ不安に震えている。
群衆は言う。このままでは、私たちは野たれ死ぬのではないか?
――下らない。あなた方がどれだけ疑おうとも、私たち指導者は同胞のために常に身を粉にして働いている
ソビエト中から選りすぐった秀才たちが、頭をひねって政策を練っているのだ。これで駄目ならもとよりソビエトの未来などない。
だからカテーリンは必死だ。決して沈むわけにいかない船を操る。カテーリンの双肩には、比喩ではなく今後のソビエト全てが覆いかぶさっている。
それなのに、カテーリンは自分が間違っていたのではないかと言う疑念が消えない。
もしかすると、これは精神医学的な、社会全体というよりも個人に適応されるべき問題なのかもしれない。
カテーリン自身の心の持ちようで改善されれば、後に残らない問題なのかもしれない。
だがカテーリンは悩む。答えを見つけなければという想いに焦る。
何故なら彼女に代わる人材なぞいなかったのだから。
彼女が失敗するということは、イコールソビエトの滅亡と等しかったのだから。
共有主義という着想自体を彼女は疑おうとはしない。
それを全否定する仕事は、他国の代表がしてきたことだ。
だからカテーリンは愚直に持論を曲げず、突き進んでいく。
敗北は、織り込み済み。願わくば、人類全体に幸福な世界を。
ソビエト人民、そして全ての人類に平和をもたらすための戦い。
それが共有主義だと、カテーリンは信じて疑わない。
母の残したイコンに祈りを捧げ、戦に臨む。
第三次世界大戦。これが人類史上最後の戦争となることを祈って。
717名無しさん@初回限定:2011/01/20(木) 01:30:36 ID:3/rW70Y+0
アルビルダは熱狂していた。
今まさに、エイリス海軍の軍艦を一隻沈めたところである。
「ひゃっほーいっ!略奪だー!」
お供の海賊たちを先導して命令を下す。
男たちはアルビルダに言われるがままに船を襲い、金品を奪う。
「よーし!これで当面の活動資金は確保したな!みんなー!戻れー!宴だ!今日は宴だー!」
戦争の命綱、補給線。それを狙う海賊バイキング王国は、ヨーロッパ諸国にとって共通の邪魔ものだった。
「今日は大収穫だな!おっとこの毛皮は私のだ!しかしきれいだなあ。これを着たら、エイリスやオフランスのパーティに出席できるかも知れぬ。そこで素敵な王子を見つけたりして!!」
一人妄想膨らむアルビルダ。最近なぜかエイリス等周辺諸国の警備が甘い。
北欧諸国、バイキング王国は、平和よりも争いを選んできた。だから国際条約などと言うものが制定された現在でも、それを遵守せず、勝手にふるまっている。
名のある列強が周辺諸国を侵略していった大航海時代。北欧諸国は侵略される側の国家だったが、アルビルダたちバイキングの激烈な働きで持ちこたえた過去がある。
しかし、戦力差は明らか。物量で挑まれれば敗北は必至だった。
そうはならなかったのは、歴史上のトリックスターの働きによる。
それは、日本帝国だ。
日本は、勝てる見込みのない戦を仕掛け、見事敗退した。それは愚行以外の何でもなかったが、行為自体の影響力は各地に波及していった。
日本の無謀な反逆によって、日本を注目せざるを得なった列強。
その間にヨーロッパ諸国の商船から好き勝手に略奪を図っていたアルビルダ。
数年後、日本帝国はとうに滅ぼされ、ヨーロッパ勢力はアルビルダ率いるバイキング勢力を殲滅せんと進行する
同時期に起こるレーティアの反乱。帝Jrの抵抗。
アルビルダは地球儀を見つめ、にやりと口角を上げる。
かつて傍観するだけで参戦できなかった世界戦争。
それに加わる準備が彼女にはあった。
718名無しさん@初回限定:2011/01/20(木) 01:33:36 ID:3/rW70Y+0
大怪獣ガワタスガル・ビゥを操る怪獣姫、トルカ。
彼女は一人悩んでいた。
四国、そして東南アジアを侵略した日本帝国は、このままアフリカを侵略してくるだろう。
危惧していたのは列強エイリスやオフランス。そのなかで日本に侵略されるなどという展開を、だれが予想しただろうか。
トルカは悩む。彼らを撃退すべきかどうか。
ガワタスガル・ビゥを操れば、撃退は容易だ。
しかしそれが何になる。
大怪獣を操るという噂はまたたく間に飛び回り、その力を得ようと今度は世界中が躍起になるだろう。
世界はきっと、醜い。私たちはそれを防ぎ、美しい世界を保つために存在しているのだ。
それが長老から教えられたアボリ人の信条。ならばわたしはそれを守り続けてみせる。
トルカは心に決める。私はこの戦に負ける。日本の提督、東郷という男は、聞くところによると、敗戦国の女たちを手篭めにして利用する最低の男らしい。
でも私は屈しない。どんな辱めにも耐えて、アボリ人の誇りを示して見せる。
……
彼はすごかった。彼が聞かせてくれる話は、私の浅薄な知識を遥かに超えていた。
私は彼のテクニックに何度もイカされ、そのたびに心の壁を剥がされていった。
いまや私は彼に全てを晒していた。でも、東郷は私を捨てなかった。
彼は私をハーレムの一員として扱った。それはある意味では屈辱的でもあったが、またある意味ではあらゆる差別から許されたかのようだった。
エイリス王女もドクツの天才少女も、彼の前では一人の女。
私は彼に心を許すことを決めた。
彼ならば、きっと、アレを有用に使ってくれる。
生まれてこのかたしてこなかった、”人を信じる”という行為。私は彼に、惜しげもなく捧げよう。私の最も脆い部分。世界の行く末を決める決断を。
東郷ならば、きっと世界を正しい方向に導いてくれると信じて。
719名無しさん@初回限定:2011/01/20(木) 01:56:41 ID:3/rW70Y+0
世界大戦は終わった。我らがアフリカは東郷率いる日本国に肩入れしながら、敗戦国とすら認められなかった。
そこに大きな政治的意図が働いていたのは言うまでもない。
アフリカは、戦争責任を問われなかった。
発展途上国である我らは戦争においても重要な意味を持つに至らなかった。言うなれば、それだけのこと。
第三国。我々をどこが統治するのか、それは全て主要国の会議に任された。
トルカは自室にこもり、祈りを捧げる。敗戦の将、東郷は、私の期待を裏切った。
恨んでも恨みきれない、それはまるで無限に生まれる憎悪。それでも、私は悲しかった。悲しさが全ての感情を上回った。
日本の敗退。それは世界にとって正しいことだったのかもしれない。
しかし彼を愛した女たち、彼に全てを捧げた乙女たちにとっては、最悪の結果だっただろう。
その後、危険人物として幽閉された私は暗い壁に囲まれて数十年過ごす。
特につらいとは思わなかった。だって、彼のいない宇宙なんて、どこにいても一緒だから。
やがて私を閉じ込める扉が開いた。逆光を背に、男が立っている。
それは過去に愛した男、東郷そのものだったのである。
もはや何が起ころうと試みだされることのないと思っていた私はみっともなく驚いた。
そして彼に取りすがると、哀れに語りかけた。
「東郷!東郷!あなたはどこにいたの?私はあなたを待っていた。あなたは、あなたこそ宇宙を救うと信じてずっと待っていた!
私はあなたを愛してる。あなたが愛してくれたことを覚えてる。決して忘れはしないわ。だからまた現れたのね」
半狂乱で鳴き叫んだ。東郷は困っているように見えた。
彼は私の記憶の中の彼と全く変わっていないように見えた。そして言った。
「トルカ。君の力が必要だ。世界を平和に導くために」
720名無しさん@初回限定:2011/01/20(木) 02:14:10 ID:3/rW70Y+0
エイリスの栄光は戻らなかった。
この世は力の強いものがその力によってまかり通る。
セーラは戦地からの報告書を読み終え、ため息をついた。
私を動かしてきたもの。それはエイリス人の誇り。でも、それだけだっただろうか?
過去、私はトーゴーに蹂躙された。徹底的に貶められ、体を開発された。
その時感じた言いようのないほどの膨大な快感。
一目見るや絶対に服従してしまいたくなる魅力的な男。
私はそれに操を立てていただけなんじゃないのか?快楽に押し流された哀れな淫乱ではなかったか?そんな思いがセーラの胸をよぎる。
「ああ、トーゴー……」
彼は死んだ。日本軍は完膚なきまでに粉砕され、解体された。
あの輝ける愛と栄光と、性愛に満ちたの日々は二度と戻ってこない。
絶望的な戦況。それは今の自分自身と重なる。
頭を覆い、うずくまっていたセーラの前に、一人の男が現れる。
「セーラ。力を貸してくれ」
セーラは自分の頭を疑った。そこにいたのは、過去に愛した男そのものだったのだから。
過去に生きる女。人には決して言わなかったが、セーラは自分をそのように考えていた。
でも、過去だと思っていたものが、現在だったら。
「トーゴー……」
セーラの瞳から大粒の涙がこぼれた。目の前の男は、記憶のままの姿で優しく微笑んでいた。
721名無しさん@初回限定:2011/01/20(木) 02:28:18 ID:3/rW70Y+0
カテーリンは焦っていた。
ドクツのレーティア将軍は、もはや目前まで迫っている。
弾薬は尽き、士気も低く、士官たちは逃げ出した。
ここにいるのは皮肉なほどの修辞で飾り立てられた最高幹部である自分と、数人の近衛兵だけ。
針葉樹と雪に囲まれたこの空間は、「死!死!死!」とひたすらささやいているようだった。
もはや理想などどこにもない。死以外に共有すべきものなどこの雪原にはない。
カテーリンは覚悟を決めた。自分はここで死ぬと決めた。だから、彼女は募った。ともに死んでくれる、勇気あるソビエト兵を。
驚いたのは兵たちだった。彼らはカテーリンを心酔していた。何があっても世界を理想の世界に塗り替えてくれると信じていた。
それが、一緒に死んでくれなどと。これではまるで日本の東郷ではないか。
裏切られた。そう感じた兵士たちはカテーリンに襲いかかった。第二次大戦中未だ少女と言っていいほど幼かった彼女は、今でも若く、美貌を保っていた。
「ちょ、ちょっと!止めなさい!あなたたちそれでもソビエト兵なの!触らないで!死刑にするわよ!」
白い雪原に、言葉は空しく響いた。兵士たちはカテーリンの服を脱がし、犯そうと試みた。
722名無しさん@初回限定:2011/01/20(木) 02:38:34 ID:3/rW70Y+0
裸にされ、雪の中に放り出される。
ああ、死ぬんだなとレーティアは実感する。
男たちが迫ってくる。レーティアは、体感的な気温と湿度から自分があと何分後に死ぬのか、ただそれだけを計算している。
東郷に犯されてからずっと、誰ともそういうことはしてこなかった。
強いて守ろうとしていたわけではない。ただ身を任せてもよいと思う男に出会えなかったのだ。
それが今や、こんなわけのわからない男たちにまわされるのだ。どうにでもなれ。レーティアは思った。
血走った目の男がキスを迫る。笑えて来るほど知性のない顔だ。口元が思わずにやける。
男はそれを了承と受け取ったのか、汚らしい顔を近づけてきた。背中に寒気が走り、私はきつく目を閉じた。
「ぎやああああああ!!!」
723名無しさん@初回限定:2011/01/20(木) 02:39:02 ID:3/rW70Y+0
間違った。上のレーティアは全部カテーリン
724名無しさん@初回限定:2011/01/20(木) 02:53:54 ID:3/rW70Y+0
カテーリンは目を疑った。自分を襲おうとしていた男たちが、バッタバッタと切り倒されていく。
雪原に赤い血の痕が残る。吹雪のなか、その男は立っていた。
重い過去を背負った瞳は暗く、しかし奥底で輝いている。
決意に満ちた口元は、ひとたび気を抜けばどこまでもだらしなくなるが、戦いの際には決して緩められることはない。
「東郷……」
カテーリンはつぶやく。男は雪景色の中に溶けて行きそうなほど静かにただ立っている。
「東郷!」
今度ははっきりした声で名を呼んだ。視界の中の東郷は顔をあげ、ようやく目が合った。
夢にまで見た人の姿が、そこにあった。
絶え間なく降る雪が二人の距離を遠ざける。その中を、震える足を引きずってカテーリンは歩く。
「カテーリン」
東郷はぽつりと名前を呼ぶ。それは数十年間願ってかなえられなかった夢だった。
体の芯から熱くなって行くのを感じる。カテーリンは男に向かって走りだし、その勢いのまま抱きついた。
雪に白む彼女の笑顔は昔と同じくらい無垢で美しいままだった。抱きつきながら、きっと自分は死んだ後の世界にいるのだと、半ば本気で考えるカテーリンだった。
725名無しさん@初回限定:2011/01/20(木) 03:06:44 ID:3/rW70Y+0
ドクツの戦術は昔から変わらない。
火力の高い兵器で先制攻撃。敵が防御網を立て直す間もなく侵攻、侵略する。
電撃戦。それは大戦から時間のたった現在でも有効な戦術だった。
今やドクツの領土はガメリカを抜いて世界最大になっていた。
しかしそれはただの建前でしかない。
ドクツの内政は惨澹たるものだった。財政赤字はここ数年で急激に増加し、国家として健全さは完全に失われていた。
それでもドクツは揺らぐことはない。なぜならそこに、国民から絶大な信頼を集める指導者がいたからだ。
レーティア・アドルフ。過去の対戦で勇猛を馳せた天才総統である。
ドクツを立て直した彼女はガメリカに対抗するためソビエトを侵攻し、大帝国を気付くつもりでいた。
戦後のソビエトは指導者の乱立で政治的に混乱しており、決断力を発揮できない体制になっていた。
それは政治のトップだけでなく、企業や軍の部隊にすら伝播し怠惰にするほどの愚鈍な体制だった。
そんな鈍足のソビエトはドクツの戦術に対抗できるはずもなく、見る見るうちに侵攻されていたのである。
726名無しさん@初回限定:2011/01/20(木) 03:14:41 ID:3/rW70Y+0
カテーリン率いるソビエト軍をシベリア星域に追いつめたレーティアは、最後の猛攻を駆ける。
しかしその時エイリス、アフリカ方面からドクツが侵攻されているという知らせを受ける。
死に体と思っていたエイリスとアフリカが、このタイミングでドクツを攻めてくる。
それはレーティアにとって計算外の事態であるとともに、どこか不思議な期待を持たせる展開であった。
こんなことが、過去にあったような。
もちろんレーティアは覚えている。天才の自分を欺き、見事ドクツを占領せしめた男のことを。
「撤退だ!立て直すぞ!」
ソビエトの不毛な地で、最も恐れるべきは撤退も侵攻もできなくなることだ。
兵たちはいたずらに疲労し、順番に死を迎えて行く、それは悪夢のような状況だった。
あと一息でソビエト軍をつぶせるとしても、ここは欲張るべきでない。正着手だった。
727名無しさん@初回限定:2011/01/20(木) 03:23:34 ID:3/rW70Y+0
撤退中、ある部隊が殲滅させられる。
どこからの攻撃なのか、その情報を全くつかむことができなかったレーティアたちは、物陰に潜んでこう着状態に陥った。
兵士たちの顔に緊張が走る。
そんな中、レーティアは頬がほころぶのを抑えきれないでいた。
(あの男だ!)
レーティアは直感する。死んだと思っていた人物が実は生きていた。そんなことはこの時代ではよくある話。
ここはシベリア宙域の辺境の星。雪は視界を覆い、状況は最悪。
敵はどうやらこちらを把握しているらしいが、自軍は敵の大まかな方角すら分かっていない。
普通に考えたら、降伏だろうな。
レーティアは思った。しかしどうしても掻爬したくないという想いが彼女の中にはあった。
確かめてみたい。今時分をここまで追い詰めている敵が、あいつなのか。
728名無しさん@初回限定:2011/01/20(木) 03:35:16 ID:3/rW70Y+0
レーティアは一計を案じた。
視界の悪い雪の中、敵と自軍の条件を比較するに、拮抗している部分がある。
敵は圧倒的有利な状況にあるが、それでも雪の中での移動が制限されているという状況はフェアだ。
ならばスピードは、先に仕掛けたほうが早い。逃げるなら先手を打つ。
状況を確認。周囲を囲む雪原。背後の森。もしただ逃げだけだとしたら、当然森だ。木々に身を隠すことも、罠を張ることもできる。
でも、だからこそ、逃げるなら雪原だ。
我々はカテーリンを追い詰めていた。少し前までは、我々が追う立場だったのだ。
ならばカテーリンたちがいるのは森。エイリスとアフリカの動きから察するに、もしも彼が昔の仲間を集めているのだとしたら……。
間違いない。今、彼は、森の中にいる。私を捕まえようと、待ち構えている。
「森は危険だ!雪原を西に行くぞ!」
全速力で駆ければ逃げ切れる。私の計算に狂いはない。
729名無しさん@初回限定:2011/01/20(木) 03:47:01 ID:3/rW70Y+0
一目散に駆けだしていく。
この雪原を抜け、敵が我々をロストすれば、勝機はある。
しかしそれは叶わなかった。たしかに東郷は、後ろにいた。
そこは読み通り。誤算だったのは、その時点で彼がカテーリンを仲間にしていなかったことだ。
私が走りだしたとき、彼はカテーリン部隊の横を通り過ぎ、私たちに向かって猛然と走っていた。
先手を打てば逃げ切れる。しかし、私はその先手を打てなかった。
彼はいつでも仲間にできるカテーリンを後回しにし、私を追っていたのだ。彼は待ってなどいない。
てっきり彼がカテーリン部隊と合流していたと思っていた私は、初速の遅れを計算せずにスピード勝負を挑んだことになる。
それは命取り。走り出した私たちはすぐさま彼らの射程に収まることになり、すぐさま捕まった。
730名無しさん@初回限定:2011/01/20(木) 03:57:21 ID:3/rW70Y+0
「東郷……」
レーティアは熱っぽい目で男を見つめた。男は部下たちにレーティアを捕まえておくように命じると、森の中に消えて行った。
雪の積もる森に消えて行く東郷の姿を見送って、レーティアはずっとその方向を見ていた。
「あれは、東郷なのか?」
顔は東郷に違いない。でも、彼は余りに昔のまま過ぎる。
それに東郷は……。
「東郷は、死んだ。私は彼の死刑が執行されるのをこの目で見た」
A級戦犯として、時の大統領イーグル・ダグラス直々に射殺された、東郷。
センセーショナルなその光景はメディアに保存され、事あるごとに話題に上る。
「あの映像は、作り物なのか?」
731名無しさん@初回限定:2011/01/20(木) 04:07:48 ID:3/rW70Y+0
やがて男は戻ってくる。着衣の乱れが若干気になるが、男が抱えているのは間違いなくカテーリンだ。
年月に応じて年を取ったカテーリンと、あの日のままの東郷。
「東郷……」
うっとりとつぶやくカテーリン。そういえば、昔からこういう子だった。幻想に浸って、耽溺する。
理想と現実の区別のつかない指導者。
その点自分は違った。いつも、現実だけを見て、現実に起こる彼を見て、そして彼女と同じように、好きになったのだ。
だからこそ、間がいものは許せない。愛した人の偽物なんて、そんなのいらないわ。
「東郷のふりをするのはやめて。あなたは何?クローン?」
732名無しさん@初回限定:2011/01/20(木) 04:23:13 ID:3/rW70Y+0
男は私の目を見つめる。思わずドキッとしてしまうの自分が嫌だ。
「レーティア、俺は……」
そう言って男はおもむろに襟裏につけていた変声機をはずす。
「私は、マキだよ。覚えてる?レーティアお姉ちゃん」
……ああ、やっぱり。
分かっていたのに落胆してしまう私。本当に馬鹿だ。何が天才だ。
顔は特殊メイクで、体はトレーニングと肉体改造。
100パーセント紛い物の東郷2世。東郷……真奇。
733名無しさん@初回限定:2011/01/20(木) 04:34:49 ID:3/rW70Y+0
彼、いや……今や彼女と言うべきか。
彼女は、東郷の勇名を引き継いだ。
各地の戦場で驚異的な戦果をあげ、日本を一大帝国にまで作り上げ、そしてガメリカという帝国に敗れ去った東郷。
東郷率いる大帝国が敗れた世界は、ガメリカによって征服された。
日本はガメリカ以外のあらゆる国を征服し、自国の領土としたうえで戦いを挑んだ。
よって日本が敗れ去った瞬間、世界全土はガメリカと化したのだ。
ガメリカに統治された世界は、長く続かなかった。
増長したもとからのガメリカ人とその他の人種との間の軋轢。
大統領イーグル・ダグラスの引退直後から始まった、旧本土以外の露骨な搾取体制。
もとから世界全てをおさめるなどということは無理にきまっていたが、ここにきてはっきりしだした。
それは新たな戦争の火種としt十分すぎるほどだった。
734名無しさん@初回限定:2011/01/20(木) 04:42:30 ID:3/rW70Y+0
そして起こった各地での独立戦争。
調子に乗っていい加減に統治していたガメリカは、各地であっという間にクーデターを起こされる。
そこで鎮圧に投入されたのが他でもない東郷Jrたちだった。
帝と東郷の子供は戦犯と言うには幼すぎ、殺すことすらできずガメリカ政府に養育されていた。
彼らは例外なく驚異的な戦術能力を示した。何のトレーニングも受けていない段階からいっぱしの軍人とやりあえるほどに戦闘センスにあふれていた。
ガメリカ政府は彼らが結託し、父親の敵打ちをたくらむことを恐れ、洗脳教育を行った。
父である東郷と母である帝は、互いに深く愛し合い、子供を作った。
愛の結晶とも言うべき子どもたちはしかし、親たちを深く恨んだ。
洗脳が成功して、ガメリカ政府は安心した。
一人ですら世界をひっくり返す可能性を秘めた東郷の子供たち。それが何人も自軍にいるのだ。
735名無しさん@初回限定:2011/01/20(木) 05:11:55 ID:3/rW70Y+0
実際、彼らはまたたく間に暴動を鎮圧していった。
特に北欧のバイキング族などは、ものの見事にガメリカに屈した。
しかし、彼らは忘れていた。
東郷には前妻との娘がいたことを。
そしてその娘は、父親に似て豪胆で、父親以上に有能で、まさに宇宙をひっくり返す可能性を秘めていることを。

その娘はじっと機を伺い、未だ生き残るかつての英雄たちがガメリカの支配から立ち上がるのを待っていたのだ。
彼女は父親と義理の母親の果たせなかった夢、世界を統一した本物の大帝国を築きあげるために戦う。
それは血を分けた兄弟で争い合う、容赦無用の世界戦争だった……。

おわり
736【ゲーセンR番外編 1/5】:2011/01/26(水) 11:58:45 ID:t0nCN/pV0
 DreamProgramSystem、略して“D.P.S”。
 かつて、このルドラサウム大陸とはまた別の世界において一大ムーブメントを作りだした、夢先案内マシンの名である。
 日頃 我々が抱えている、あんなこといいな、できたらいいなを“夢の世界で”叶えてくれる、まさに夢のような電脳マシンだ。
 プレイする際には、赤白型のファミコンに似た本体から延びる、ヘッドホン型電脳インターフェイスを装着。
 すると左右二つずつ、計四個の端子から発信されるDreamイメージが、スピーカーから流される催眠音とシンクロし。
 それにより、ユーザーの脳とD.P.Sをつなぐといった寸法だ。
 学習、冒険、恋愛など、様々な願望を思いのままに叶えてくれるこのマシン。
 それがある日、どういう経緯かゼス国内でも有名な、廃棄迷宮のまた奥深くにうち捨てられていた。
 宇宙人の落とし物か、はたまたクジラの神の悪戯か。
 何にせよレベル上げの途中、たまたまそれを見つけたマリア・カスタード女史には、まるで知るよしのない事であった。
737【ゲーセンR番外編 2/5】:2011/01/26(水) 12:00:14 ID:t0nCN/pV0
 アイスフレームのアジトへ帰還した後。
 マリアは早速、未知なる可能性がおおいに詰まっているであろう、青きマシンの調査へ取り掛かった。
 三日三晩寝食を忘れ、親友の魔想志津香に怒られたところで一休み。
 そこから今度は一週間、ランスの夜這いも気づかぬ程に没頭し。
 いい加減シィルがランスを抑えきれず涙目になったところで、漸く彼女は日常生活へと復帰したのである。
 ぎ、ぎぎ、と国土崩壊の折りアジトを建て直した為、真新しい筈の木製扉が不快な音とともに開いたその先。
 くたびれた身体をなめくじのように引きずり。
 一方で精気に満ちた瞳を爛々と輝かせるマリアを見て、志津香は心配するより前にこう呟いたそうな。
「少しだけ。ほんっの少しだけ、ランスに同情しちゃったかも」
 閑話休題。
 その後、打倒魔人アベルトのパーティーへ合流したマリアは、獅子奮迅の大活躍‐援護射撃‐を見せ。
 見事パーティーの勝利へ貢献し、ランスとの関係も無事 修復され。
 そして、故郷カスタムへと戻った後も研究に研究を重ね続け。
 やがてついに、次世代最新型の高性能ゲーム機、その名も“DreamPlayStation(略称ドリプレ)”の開発に成功したのである。
738【ゲーセンR番外編 3/5】:2011/01/26(水) 12:00:59 ID:t0nCN/pV0
「でも、どう頑張ってみても本家D.P.Sのような、“自分の夢の中へ入って遊べる機械”は作れなかったんです。
 魔法ビジョンの前で、コントローラーをカチャカチャ動かして遊ぶ。
 これじゃ今まであった物と何ら変わりないですよね」
 厚い眼鏡の向こう、アクアマリンのような瞳を僅かに曇らせ語るその姿から、尋常でない悔しさが伝わってくる。
「それでもドリプレがこれまでのハードと一線を隔せたのは、D.P.Sの技術的なノウハウを活用出来た事。
 そして、市場のニーズの調査ももちろんですが、何より実際にカスタムの子供達に遊んでもらいながら制作できた事。
 これに尽きるのではないでしょうか」
 廃棄迷宮で発見してから分解、解析、研究、開発。
 決して短くない時間を共に過ごしてきた青い相棒を、労るように見つめるマリア。
「悔しいけど、本っ当に悔しいけどまだまだ本家の技術力には追いつけません。
 ですがマリア研究所の科学力が正しく日進月歩、絶えず進化しているその証拠をお見せしましょう!」
 じゃじゃーんっ。
 効果音を口ずさみ、マリアは予め用意しておいた箱を勢い良く開け放つ。
 すると、中にはメガネケースを二回りほど大きくしたサイズの物が鎮座していた。
739【ゲーセンR番外編 4/5】:2011/01/26(水) 12:19:39 ID:t0nCN/pV0
「これぞ、わがマリ研が新たに開発した最新鋭の携帯型ゲーム機。
 その名も、“PortableDreamStation”略して“ポリステ”です!!」
 携帯ゲーム機でありながら、美麗な映像と良音質を兼ね備えたその性能は。
 確かに、このルドラサウム大陸全土をまわっても、ここにしか無い代物だろう。
「私はドリプレに代わるこの新たな相棒と、とびっきりのソフトを武器に、この夏の商戦―――勝ちに行きます」
“キラータイトル”は既に用意済みであると宣言するマリア所長。
 その自信の源を是が非でも突き止めたい、我ら取材班の物言わぬ熱意が伝わったのか。
 マリア所長は深く頷き、今夏のダークホースになるかもしれない、ソフトの名前を教えてくれた。
「今年の夏。ポリステと同時発売を予定している、現在鋭意制作中のソフト。
 その名は、“男の子モンスターハンター・ポータブル”!!」
 男の子モンスターハンター・ポータブル………そんな物があるのか!
 ままままさか、タイトルからしてあの憎き男の子モンスターをどもを。
 我々一般人がゲームの中とは言え あの手この手でケチョンケチョンにできる訳ですか?!!
「え、えぇ‥まぁ爽快ハンティング・アクションゲームを予定していますので。
 概ね記者さんのご想像の通りになるかと…」
740【ゲーセンR番外編 5/5】:2011/01/26(水) 12:43:40 ID:t0nCN/pV0
 …うは、うははははははは、いや何て素晴らしいゲームなんだ!
 私は幼い頃グリーンハニーの奴らに痛い目にあわされましてね。
 なのに才能限界はおろか、技能LVまでどうしようもないときたもんだ。
 家庭をもった今じゃ、そんな小さい頃の復讐なんて忘れて仕事に身を費やしていた。
 でもそれがまさか、こんな形で長年の夢が叶おうとは!!!
 奴らモンスターに対して私のように苦い想いを抱く人々は、決して少なくないはず。
 いえ、それどころかむしろ根絶やしにしても構わないとさえ叫ぶ有力者を私は知っています!
 マリア所長、貴女はそんな私達“男の子モンスター絶対撲滅委員会”の戦眼鏡だ、いや女神だ!!
「カスミちゃーん、悪いけどちょっとチューリップ取ってくれる?‥そう、一番小さいやつ」
 このゲームを我が団体の啓蒙活動の為、あるいは布教用として使えば!
 ゆくゆくはモンスターなど存在しない、我ら人間が頂点に立つ清浄なる世界が〈ちゅどーん〉ギャー。
〈ブラマエ・デ・トメール氏による、突撃インタビューコラム。
 第25回『次代の遊びは“青”が担う』より抜粋〉
【ゲームセンターR3へ続く】
741【ゲーセンR番外編 あとがき】:2011/01/26(水) 12:44:38 ID:t0nCN/pV0
・初めに。アリスソフト二次創作スレの皆様、新年明けましておめでとうございます。
 今年も何卒よろしくお願いいたします。
>704様
・GJありがとうございます!
 魔想さんに登場していただく度、本当にこんな扱いで良いのかつい不安になってしまいます。魔想さんごめんなさい。
>705様
・GJありがとうございます!
 私もこのSSを書いてるときすごく楽しかったです。パットンさんマジはんぱねぇ。
>706様
・レスありがとうございます!
 本編でナギと魔想さんが幸せになるよう願って書いてみました。
>710-735様
・大帝国SS拝見させていただきました。
 それぞれのキャラクターのその後が気になる、素敵なSSでした。またぜひ他の作品も見てみたいです。
>SS保管庫の管理人様
・まとめサイト拝見させていただきました。丁寧な保管作業、心よりお礼申し上げます
 今年は少し筆が遅くなりますが、あらためてよろしくお願いいたします。
・最後に。件のゲーセンR3は、明日 投稿させていただきます。
・拙いSSですが、お読みいただき誠にありがとうございました。
742【ゲーセンR3 1/15】:2011/01/27(木) 11:22:17 ID:AUoHpzP20
 死神は、間抜けな狩人を鼻で笑い、遥か上空を踊るように旋回する。
 対して、焼け野原を虫けらの如く惨めに這いつくばる狩人。
 今もなお華麗に空を舞う死神、“金とり”によって受けたダメージにより、最早虫の息といったところか。
 金とりが瞳を妖しく輝かせ、狩人へ向け滑空の姿勢をとる。
 これが避けられなければ自分は間違いなく―――死ぬ。
 一縷の望みに賭けて狩人は、金の羽毛を輝かせ迫る死神の死角へと走り、ダイブしようと試みたその瞬間。
 彼の背後へいつの間にやら忍び寄っていた、フリーダムの飛び膝蹴りが命中。
 弾き飛ばされ、大の字に転がったところへ、滑空動作をキャンセルした金とりの炎のブレスが直撃。
 残念、狩人の冒険はここで終わってしまった。

【ゲームセンターR 第三回 来いよ銀レウス!空なんか飛ばずにかかって来いよ!!】

「ふっっっっっざけんなあ゛ぁあ゛あああああああああ!!!!!!」
「きゃああああ止めてぇええええせっかくテスト用に確保しておいた数少ないポリステがぁあああ」
「うるせえだったらこの糞みてぇに空ばっか飛びやがって、ろくに攻撃できやしねぇ糞モンスターを何とかしやがれ!!!」
743【ゲーセンR3 2/15】:2011/01/27(木) 11:24:34 ID:AUoHpzP20
 時刻は太陽が中天に差し掛かる頃。
 自由都市カスタムの中でも一際目立つその建物、その名をマリア・カスタード研究所。通称“マリ研”。
 ここでは、マリアが開発した新作ゲームのテストプレイの為、彼女の親しい者がこぞって集まり喧々囂々。
 ある者は己の暇をつぶさんとし、またある者は意中の相手にアピールするなど。
 果たしてこれでテスターとして成り立っているのか、甚だ疑問な有り様ではあるがそれはさて置き。
 今日も今日とて、また賑やかな舞台の幕が切って落とされる…はずだったのだが。
 この物語の主人公である怪獣デカグチミドリンの大暴れにより、和やかな時間は唐突に終わりを告げるのであった。
「いつものことれすけどねー〈がっし ぐりぐりぐり、ぐりぃ〉ふゃやややややこめかみはらめれすぅ!」
 あてな2号のいつも通りの余計な一言により、何とか危機的状況を脱したマリア。
 あのまま大暴れが続いていれば、いずれ別室に眠る発売前の大事なゲームデータにまで、被害がおよんでいたかもしれない。
(あてなちゃんごめんね、でもグッジョブ!)
 この眼鏡、可愛い顔してたまに結構えげつない。
「ランス様、ピンクウニューンです。ひえひえですよー美味しいですよー」
 ここで名誉猛獣調教師のシィル・プラインが、絶妙なタイミングでフォローを入れる。
744【ゲーセンR3 3/15】:2011/01/27(木) 11:26:21 ID:AUoHpzP20
 ランスがご乱行の際に居合わせなかったのは、厨房で彼の好物を用意していたからのようだ。
「ランス様、どうどう。どうどう。あてなちゃんはお友達、ゲームは一日一時間。
 ほらほら、恐くなんかないですよー〈ぽけん〉はぅっ」
「バカにしてんのかお前、ったくいい加減離れんか恥ずかしいやつめ」
 瘴気を吐き出し、真っ赤な瞳で転がり回っていた男の言う台詞ではない。
「けっ、それにしてもいくら俺様がアクションゲームの帝王とは言え、久しぶりにトサカに来たぞ。この糞とりめっ」
 そう言ってまた怒りが込み上げてきたのか、苛立たしげに会議室の机を殴りつける。
「えっと、そんなに強、じゃなかったその‥厄介だったんですか?あのとりさん」
 おずおずと言葉を選びながら尋ねるシィルに、ランスは奥歯を強く噛み締め、語り始める。
「厄介なんてもんじゃねぇ、面倒くせぇし何より戦っててこんなにイライラが溢れてきたのは、本当に久しぶりだったぞ」
 ピンクウニューンのお代わりを飲み干し、ここで漸く彼の機嫌バロメーターが±0になる。
「攻撃しまくり空飛びまくりでこっちは攻撃できない上に、漸く地面に降りて来たと思ったらまた飛びやがる」
745【ゲーセンR3 4/15】:2011/01/27(木) 11:51:19 ID:AUoHpzP20
「体は一番斬りやすいところが最も弾かれやすくて、ダメージが通らないどころかおまけのカウンターでブレスを吐くだぁ?!!」
 只今のランスの機嫌バロメーター〈ムカムカ〉。
「その上やっとダメージを与えたと思ったら、すぐ別の遠く離れたエリアに移動しやがって!
 さんざんこちらを歩かせといて、到着したらお出迎えに上空からの広範囲連続ブレス…ッ絶滅しろ!!」
 只今のランスの機嫌バロメーター〈イライラ〉。
「でもでも、他のモンスターと戦ってた時のように、アイテムの閃光玉を投げて空から落としちゃえば良いじゃない」
「なぁにをぉう?」
 マリアのあまりにも開発側な発言に、ランスの導火線に火が点いた。
「そのっっっっアイテムの有効範囲と効果時間が短すぎるせいでっっっ、まっっったく役に立たねぇんだよっっっっ!!!!
 作ってる時おかしいと思わなかったのかお前はよぉおおおおお!!!!」
「ひぇえええん、また暴れ出すなんてお約束過ぎるわああああ」
「はわわわわ、ランス様びーくーる、びーくーるですよぅ」
 余程激しい憤りを感じていたのであろう。最愛の奴隷、シィル嬢の懸命な呼びかけも虚しく。
 大怪獣キングミドリは、その後 数十分程会議室の絨毯をごろごろ、ごろごろと転がり続けたのである。
「あわわ、ランス様ぁ‥お洋服が汚れちゃいますよぅ…」
「むがぁああああああ!!!!」
746【ゲーセンR3 5/15】:2011/01/27(木) 11:52:06 ID:AUoHpzP20
【男の子モンスターハンターポータブルの進め方】

“男の子モンスターハンターポータブル(以下略称 男ハンP)”の世界にようこそ、ハンターさん!
 男(だん)ハンPには、決まった形のゲームクリアはありません。
 クエストと呼ばれる小さな目的がいくつも存在しており、ハンターさんはこれらのクエストを次々に攻略していく事になります。
 一度クリアしたクエストには再び挑戦できるので、何度でも繰り返して遊ぶ事ができます。
(1)ギルド長、またはこの村を訪れるハンター達が集まる酒場から、クエストの依頼を受ける事ができます。
 気に入ったクエストを見つけたら、街を出て狩りの始まりです。
(2)攻略対象となるクエストの種類は実に様々です。
 人々を困らせるモンスターの討伐や、特定のアイテムの採取など。
 次から次に舞い込む依頼を大剣やハンマー、チューリップなど。
 目的に合った武器を選び、冒険の手助けとなるアイテムを用意したら、いざ挑戦してみましょう。
(3)見事クエストをクリアすると、各クエストに応じた報酬が手に入ります。
 また、新しいクエストの依頼が来ている事もあるので、再度ギルド長や酒場で確認してみましょう。
〈マリア研究所発行、男ハンP取扱説明書より抜粋〉
747【ゲーセンR3 6/15】:2011/01/27(木) 11:52:51 ID:AUoHpzP20
「…なるほどね、事情はだいたいわかったよ」
 あれから暫くして、マリア達は怒り悶えるランスの為に助っ人を呼ぶ事にした。
 紅いチャイナドレスをひらりと躍らせ、エンジェルリングが眩しい紫髪のてっぺんに二つのお団子。
 いつも明るく元気良く、カスタム一の評判うたう“薬屋 ヨークス”の看板娘、ミル・ヨークスの登場だ。
「大丈夫だよシィルちゃん。
 このゲームなら私もマリアに頼まれて、店番の合間にテストプレイしてたから。
 だから、ランスの事は(この先五十年間 公私ともに)私に任せて!」
「え、あっ、うん‥何だか今すごく不穏な本音が聞こえた気がするけど、気のせいだよね?
 ランス様の事、お願いねミルちゃん」
 二人の間で一見、和やかなやり取りが交わされてまもなく。
 別室で何かあったのか、お肌が妙に艶やかなランスがマリアを連れて帰って来た。
 ナニが行われていたのか一切不明であるものの、以前の彼と うって変わって、その表情は随分と穏やかである。
「お、お帰りなさい‥マリアさん」
「‥うん。た、ただいま。待たせてごめんね」
 一部、空気が桃色に染まりつつあるが、そんなものまるで気にしないのが我らが主人公。
「うっし、そんじゃ反撃開始といくかっ。いくぜミル、ぼやぼやしてっと置いてくぞ!」
748【ゲーセンR3 7/15】:2011/01/27(木) 12:57:06 ID:AUoHpzP20
【あしたのハンター
   作詞:香澄
   作曲:チョチョマン・パブリ
   歌:マリア・カスタード研究所職員一同】

何度挑めど 燃やされ果てる
憎い あんちくしょうの 頭めがけ
たたけ! たたけ! たたけ!
ハンマー 大剣使いの血がさわぐ
※だけど ルルル……
 レアな素材は きっとでる
 あしたも 狩りだ

邪魔するザコは 大地(くに)へ帰れ
助けにくるボスも どこかに行け
やめろ! くるな! 寝かせたボス起こすな!
俺らは ただ楽しく 狩りがしたいのさ
※ くりかえし
749【ゲーセンR3 8/15】:2011/01/27(木) 12:57:56 ID:AUoHpzP20
 金とりの攻撃パターンは大きく分けると三つ。
 突進攻撃、広範囲におよぶ炎のブレス、そしてハンターを睨み付け動きを止める。
 これらを地上、あるいは空を飛んだ状態から息つく暇なく繰り出してくるのだから、たまったものではない。
 特に、弓やチューリップなどの遠距離武器を使うハンターならともかく。
 大剣やハンマーなどの近接攻撃が得意なハンター達からしてみれば、空へ逃げられては打つ手もないのだ。
 また、漸く地上へ降りて来たからと、喜び勇んで攻めようものなら。
 妖しい瞳で睨まれ動きが止まり、平時であれば動きが遅く、避けるのも容易な体当たりに弾かれ。
 ハンターの起き上がりに合わせ、漏れなく激しい業火で焼き尽くしてくれるはずだ。
 この一連のコンボにより、対策が出来ていないハンターの体力は、七〜八割削られる事だろう。
「そんなぁ‥それじゃランス様だけじゃなく、誰もクリア出来ないんじゃないですか?」
「そんな事ないよっ」
 シィルの至極もっともな声に、異を唱えるはミル・ヨークス。
「さっき説明したのはあくまで“対策してない”場合の話。つまり――」
「あのクソったれの動きを封じる方法があるってんだな?」
750【ゲーセンR3 9/15】:2011/01/27(木) 12:58:45 ID:AUoHpzP20
 ランスの言葉に力強く頷くミル。
「私たちができる対策は四つ。
 防具を強くする。妖しい眼光を無効化するスキルを付ける。
 金とりが空を飛んだら、閃光玉をタイミング良く投げて落っことすのと、あとは…」
 ランスの左腕にえいっと抱きつき、満開の笑顔に絶対の信頼をこめて告げる。
「いっぱい練習して、動きを覚えて慣れること!
 大丈夫、ランスなら必ず勝てるよ。だって、ランスだもん!
 私や、お姉ちゃんやマリアちゃん達カスタムのみんなを、いっぱい、いっぱい、いーーっぱい助けてくれたランスだよ!
 これくらいぜんぜん何てことないよ、ないんだよ!!」
 ぎゅうっと袖を握りしめ、叫ぶミルの姿を背にし。
 ランスはポリステを掴み、胸を張って答える。
「ちっ‥ったく、たかがゲームに嘗めてかかった俺様もアホだが。
 そのアホに付き合うお前らは、どんだけアホなんだろうなぁ?」
 ゆらゆらと燃えるように射す夕陽を浴びて。男は静かに、だが堂々と席に着いた。
 すると間もなく、彼の全身から白煙が一つ、また一つと立ち上る。
「ヴィクトリー‥スモーク…」
 驚愕に目を見開き、シィルが呟く。
751【ゲーセンR3 10/15】:2011/01/27(木) 13:23:09 ID:AUoHpzP20
「“ヴィクトリースモーク”って確か、超一流の集中力を持つ人間が本気で闘う事を決意した時。
 身体からたちまち湧き出だすという、勝ちどきの狼煙にも似たアレの事?!
 て言うかその設定、まだ活きてたの?!!」
「いつも解説お疲れさまれすねー」
 いつの間にやら復活していたあてな2号を置いて、幸福のフィナーレへ向かいランスは、今再びポリステを起動させる。

 平穏な街の暮らしを脅かすモンスターの討伐依頼をギルドで受け、既に何度目かも知れぬ冒険に出る“ハンター・ランス”。
 攻撃力と防御力を、そのクエスト中に限り底上げ可能な薬を服用し。
 次いで、大型ボスの居所がたちまち判る薬を飲み込み、目的地へ駆ける、駆ける、駆ける。
 途中、己の周囲にまとわりつくフリーダムやサナギマン、にょ〜を無視して奴のもとへ。
「会いたかったぜぇ、糞とり公…ッ!!」
 互いの視線が交わり、金とりが開戦の雄叫びをあげる。
 ハンター・ランスの着込んだ防具に備わる、“眼光封じ”のスキルが発動。
 これにより、金とりの妖しい瞳で動きを封じられる事態はなくなった。
 そして、それは同時にこちらの反撃出来るチャンスが増える事を意味する。
「来るよランス、炎のブレスかわして!」
752【ゲーセンR3 11/15】:2011/01/27(木) 13:24:04 ID:AUoHpzP20
「むぉおおおおお!!」
 この時、避ける方向を間違えてはならない。金とりとの距離を正確に見極め、奴の首の動きを予測する。
 そうして導き出される答は一つ。
「とり公の懐へッッ潜り込む!!」
 ハンターの左手から遅い来る炎の波を飛び込むようにしてかわし、狭いながらも安全地帯へたどり着いた。
 たどり着けたのなら、ハンターが次にやる事は何か。決まっている。
「喰らえ、喰らえ、喰らいやがれぇえええええ!!!!」
 ランスが一息に振り上げ一振りの大剣。わずかの間に全霊を注ぎ込み、敵を切り裂く力に換えるは黒き魔剣。
“混沌”を銘に冠したそれを振るいて、告げる最強の必殺技。
「ランスアタタタタタタタターーーーック!!!!」
『ピギャーー!ピカチョーーー!!』
 弱点である頭部を砕かれ、猛り狂う金とり。
 見る者を圧倒させるトサカはひしゃげ、左目が見事に潰れている。
「やりました!クリティカル決まりましたねミルちゃん、マリアさん!!」
 幸先の良い始まりに光明を見たシィルが、跳び上がってはしゃぐ。
 だがしかし、呼びかけられた他の二人の表情は、依然として硬いままだ。
「シィルちゃん‥酷な事を言うようだけど。
 アレはまだまだ終わらないわ。終わるように創ってないのよ、私は」
753【ゲーセンR3 12/15】:2011/01/27(木) 13:24:52 ID:AUoHpzP20
「そうだね。こんな一撃で終わらせられる敵なら、私も苦労しなかったよ」
「そんな、ランス様‥ランス様ぁ…」
 開発者とプロゲーマーの言に、視界が真っ暗闇に染まりゆく。
 家事や冒険ならともかく、ゲームで苦しむ彼を助ける事など、難しいにも程がある。
 特にアクションゲームなんて、自分のキャラを動かすだけで精一杯で、敵の動きなんて全く見れたものではなかった。
 シィルは祈り、そして願う。
(もしも、この世界にゲームの神様がいるのなら、お願いです。
 ランス様を、私の…私の大切な人をどうか助けてください。彼の想いを、望みをどうか叶えてください!
 もしもこの願いが叶うなら私、私もがんばって苦手なアクションゲームを好きになります!
 だから、どうか…どうか……!!)
 その時、テストプレイ会場である会議室の床上で、イモムシDXの真似をしていたあてな2号は気づいた。
 遠くカスタムの遥か上空を優雅に舞い落ちながら、「せしぼーーーん」と叫ぶ星形の何かに。
 ソレは、視力20.0をほこり、CO2やH2すら裸眼で視認可能な彼女だからこそ見えたのか。
 或いは たまたま波長が合ってしまったのか。
 確実なのはその時、星形の何かがシィルの願いに呼応するかのように、大きく綺麗なとんぼ返りを見せてくれた事だった。
「変なお星さまれすねー、むしむし」
754【ゲーセンR3 13/15】:2011/01/27(木) 13:54:16 ID:AUoHpzP20
 もはや手は尽くした。
 金とりが睨み付けてくれば近寄って頭を叩き、炎を吐けば飛び込んで胸を突く。
 たまらず奴が空へ飛び上がり逃げようとすれば閃光玉を投げ、視界を眩まし大地に引き摺り降ろした。
 投げるタイミングを掴む為に、携帯してきた十五個の内三つ無駄にしたが、それも必要経費と割り切る。
 金とりが吼え、怒り出したら攻撃が一段と激しくなるので、逃げに徹した。
 逃げて、逃げて、ただひたすらにその時を待つ。
 奴が怒り疲れて、動きを止めたその時がチャンスだ。
 足下に落とし穴を仕掛け、見事 罠に嵌まり悶えている隙をついて、
「斬って、斬って、斬りまくりじゃーーーッ!だはははははは!!」
『ピギャッ、ピギャッ、ピカチョーーーッ!!』
 見よ、あれがハンターキラーと吟われた怪物のなれの果て。
 翼は折れ、胸は潰れ。四つ足の爪に無事なものなどまるで無い。
 界隈の獣達を怯えすくませ、それでいて幾つもの瞳を一心に集めた、あの憎き鶏冠なぞ悲惨たらない。
 足を引き摺り、その身を辛うじて残している、血泥にまみれた尻尾で支えているだけのあの姿。
 何と哀しく、何とも惨く。そして――、
「――愉快だなぁ、とり公…懺悔の時間だ、泣いて小便でも漏らしな」
755【ゲーセンR3 14/15】:2011/01/27(木) 13:54:59 ID:AUoHpzP20
“とりの巣”と呼ばれる、巨大な天然の鍾乳洞の中。
 満身創痍の金とりが決死の覚悟の現れか、長い咆吼を轟かせる。
 その咆吼を聞きつけやって来た“こかとりす”ニ体に、思わず舌打ちするランス。
「クソったれ、ここまで追い詰めてくたばってられっかよ!」
 叫び納刀し、素早く目的のアイテムを取り出すと こかとりす達に投げつける。
「がはははは うんこだうんこ、うんこ玉だぞー。当たるとくちゃいぞ はよ逃げろー」
 アイテムうんこ玉、もとい“肥やし玉”。
 モンスターのフンが中に詰まったそのボールは、当てたモンスターを別のエリアへ移動させる効果がある。
「まさに今の状況に打ってつけのアイテムだったって訳だ。
 持ってて良かったうんこ玉!がははははっ」
 増援の こかとりすがいなくなり、とりの巣にはハンター・ランスと金とりのみ。
 しかも、先程の騒動の間に余程消耗しているのか、奴は眠りについていた。
「チャンスだよランス、ボスが寝ている時にダメージを与えれば…」
「最初の一発に限りダメージは三倍になる、だろ?わかってんだよミル」
 洞窟内に深く響き渡る奴の寝息をBGMに、弱点の頭部めがけとどめの一撃振り下ろすため。
 ハンター・ランスは、その身を大きく後ろへしならせ。そして――――。
756【ゲーセンR3 15/15】:2011/01/27(木) 13:55:52 ID:AUoHpzP20
「あ、あれ?ポリステの画面が真っ暗に‥」
「おいマリア、どうなってんだこれ。うんともすんとも言わねぇぞ?」
 慌てるシィルとランスを見て、開発者であるマリアが慎重に診断したその結果。
「………電池切れです」
 只今のランスの機嫌バロメーター〈怒髪天〉。
「ふっっっっっっざけんなあああぁあああぁああああ!!!!!〈がっしゃーん〉」
「きゃああああテストプレイ用に確保しておいた数少ないポリステが粉みじんにぃーーー!!」
「はわわわっランス様びーくーる、びーくーるですよぅ」
 広がる喧騒、甚大する被害から離れ会議室の外。
 ミル・ヨークスは、己と同じ轍を踏んでしまった彼を想い、ため息を吐いた。
「ポリステのバッテリーが残り少なくなってきたら、音を出して知らせてくれたら良いのに…」
 ここで、通りすがりの研究員であるカスミ嬢がミルに向けてカンペを出す。
「‥えっと、今回ランスは一人で頑張ってプレイしてたけど。
 他にもポリステと男ハンPを持ってる人がいれば、最大四人同時プレイができます。
 大勢でやれば強いモンスターも、楽しく易しく狩れるので、ぜひお友達と一緒にプレイしてみてね♪
 …え、何これ。このまま宣伝して終わり?最後投げっ放しだよ、いいの?!ねぇ、ねぇったら‥ねぇ!!」
終わり。
757【ゲーセンR3 あとがき】:2011/01/27(木) 14:36:47 ID:AUoHpzP20
・初めに。今回のSSの元ネタは、モンスターハ●ターポータブル3になります。
“金とり”は、最近だとGALZOOアイランドで厄介な雑魚として出てきましたが。
 この作中では本家モンハンに出てくる、とても厄介なモンスターのパロディも兼ねて、出演してもらいました。
 ただし、SSにするに当たって実際の攻撃方法や対処法、弱点部位など随所改変してあります。
・番外編で漸くこのSS内で使用しているゲーム機の話ができてほっと一息。
 D.P.Sの解説のくだりは、徳間書店インターメディア様より発行されていた、
“アリスソフト 美少女アルバム”より一部引用させていただきました。
・最後に。今回のSSのオチは、あくまでも“男ハンP”の宣伝であり、元ネタのモンハンの購入を勧めるものではありません。
 不快に感じられた方がおりましたら、心からお詫び申し上げます。
・拙いSSですが、お読みいただき誠にありがとうございました。
758自作特攻隊WILLCOM ◆0CrenIPJUU :2011/02/01(火) 20:42:59 ID:DKMghk6h0
じろじろ…実際にゲーム化されても良さそうですね…♪
759名無しさん@初回限定:2011/02/09(水) 09:13:11 ID:Gt7kDn+NO
ほしゅするのれす
760自作特攻隊WILLCOM ◆0CrenIPJUU :2011/02/14(月) 05:41:11 ID:mhAr2c9D0
http://bbs.jpdo.com/cgi/70/img/1095.jpg

※マルチですが…
761【運命の女四人で酒を呑むお話 1/3】:2011/02/16(水) 13:20:38 ID:ADgfRxQO0
「大人になるって、どういうことなんでしょう?」
 JAPAN、織田城。魔想志津香の居室にて。
 LP0005年の三月。二十歳になり、いわゆる成人女性の仲間入りとなったシィル・プラインの言である。
 同じ部屋、同じ卓を囲み、それぞれ異なる酒を呑んでいた他の三人が、彼女の問いかけにグラスを置いた。
「シィルちゃんどうしたの急に、何か悩み事?」
 先陣をきったのは見当かなみ。
 口当たり甘めのノンアルコール・カクテルを左へさておき。
 まさかあのデカ口バカが何かやらかしたのかと、慎重に言葉をつむぐ。
「あ、いえ、その‥そんな大きな悩みって訳じゃないんですけど。
 ただその‥私先日やっと二十歳になって、ランス様や香姫様達に誕生日のお祝いまでしていただいて。
 嬉しくて嬉しくて、ふわあって舞い上がっちゃったんですけど、でも‥」
「でも?」
 舌に少々辛味が残る冷酒を一口転がし、魔想志津香が相づちをうつ。
762【運命の女四人で酒を呑むお話 2/3】:2011/02/16(水) 13:21:30 ID:ADgfRxQO0
「でも、以前JAPANの人達は十五歳で大人になる、大人あつかいをされるって話を聞いて。
 今なんとなく、ですけど私は“大人”になれたのか、不安になってしまって」
 思いを吐き出し、甘酸っぱい果物の香りを漂わせるカクテルグラスを指でつつくシィル。
「んー…こういうのって、成人になったから大人ってもんじゃないのよねー。
 二十歳を迎えた事を節目として、そこから“自分で大人になっていく”って言えば良いのかしら?
 …うん、これはアレね。
 私達三人“とっくにハタチ迎えてる組”で、大人になったと実感できる瞬間を言っていけば良いのよ!」
「え?」
 突然の提案に戸惑うかなみを置いて、アルコール控えめのスクリュードライバー片手に捲し立てるマリア・カスタード。
「確かに、変に抽象的な概念や理屈をあれこれ言い合うよりも。
 具体的なあるある話をした方が、解りやすかったりする場合ってあるわよね」
「いや、ちょっ、待っ」
 青髪眼鏡の親友の提案に同意する志津香。
763【運命の女四人で酒を呑むお話 3/3】:2011/02/16(水) 13:22:36 ID:ADgfRxQO0
 すると間もなく、「何をするにも身分証明書を求められる時」やら。
「各種税金の申告手続きに頭を使う時」など、先の戸惑いが尾をひいているのか。
 何やら様子がおかしいかなみをよそに、二人がシィルに聴かせるあるあるネタは、半ば愚痴の様相を呈していたが。
 それでもシィルは微笑みを絶やす事はせず、時に話し手へ共感し、落ち込んだ表情で二人の話を聴き続けた。
 そして三十分後、 マリアから呆然としているかなみへ話が振られる。
「かなみは何かある?二十歳になって大人になったなぁって実感した瞬間」
 志津香とシィルが期待の眼差しでかなみを見つめる中、彼女はゆっくりとその重い口を開いた。
「ていうか私、まだ十九歳なんだけど」
「「…え?」」
「ああっ、かなみさんが泣きながら部屋の外へ!
 待ってくださいかなみさーーん、かなみさはーーーん!!」
終わり。
764【運命の女四人で酒を呑むお話 あとがき】:2011/02/16(水) 13:51:09 ID:ADgfRxQO0
・初めに。あの四人の中では、一番年下だった事に驚きのかなみSSでした。
>758様
・レスありがとうございます。
 アレを実際にゲーム化したら、出てくる男の子モンスターによっては詰みゲーになってしまうかもしれません。
 イカ超人とか、始まってすぐ秒殺されてしまうかも。

・最後に。前作【ゲーセンR3】の誤字&脱字訂正箇所を二つ。
〈11/15〉のランスが一息に振り上げ“た”一振りの大剣。
〈14/15〉の当てたモンスターを別のエリアへ“退散”させる効果がある。
 以上です。
・拙いSSですが、お読みいただき誠にありがとうございました。
765名無しさん@初回限定:2011/02/19(土) 16:17:45 ID:pMcWuv450
これはいいSSだった
766685:2011/02/27(日) 20:19:32.84 ID:kpEjMw9W0
ttp://w.livedoor.jp/kakkorance
遅くなりましてすみません Wikiも見やすいようにさらに手を加えてる最中です
作者の中の人、これからも頑張ってください
767自作特攻隊(E/ F) ◆0CrenIPJUU :2011/03/01(火) 20:55:07.33 ID:iZFJFO6H0
何時もじろじろ・・・

レースクイーン アリス

コトブキヤ社製 価格未定 今年夏発売予定 彩色済みレジンモデル
1:8スケール 全高約21cm 中邨拓智 原型師

月刊ホビージャパン 2011・4 P289
月刊モデルグラフィックス 2011・4 P92
768名無しさん@初回限定:2011/03/03(木) 21:39:05.73 ID:vFH1mDRL0
理想郷XXXでハルカ二次が連載始まってる
ふたなりのオリキャラ出てきて陵辱中心だから結構人選ぶと思うけど、報告
769【デカ口緑が友達と酒を呑むお話 1/10】:2011/03/05(土) 14:56:27.74 ID:++WbDRfT0
「たまに立場を変えてみるのはどうだろう?」
 LP000X年。ゼス国アイスフレーム本部内、通称〈ランス名誉隊長の部屋〉にて。
 わいるど・こかとりす十五年もののロックを手の中で転がし、唐突に切り出したのはガンジー王。
 隣で露骨に顔をしかめたランスの肩を叩いて話を続ける。
「そう嫌な顔しないで聞いてくれたまえ。
 私だって曲がりなりにも人として、いやさ男として君達の先を生きる者だよ。
 前途有望な若者へ薫陶の一つもできないで、何が王かね!」
 そのままグラスに残ったバーボンを一息で飲み干すと、
左からランス、パットン、ロッキーを順繰りに眺め、わははははと大笑い。
「なぁロッキーよう…自分で言うのも何だが、俺達もう若いってタマかね?」
 ショットグラスより一回りほど小さいウォッカ専用のグラスを傾け、熱い息を吐くパットン。
 齢三十を越えた彼の横顔からは、“ニ十代”というある種絶対的な境目に対する、
哀愁とも諦めともつかぬ感情が滲み出ている。
「が、ガンジー様からしたら、おら達みんな若いんだすよ…そういうことにしとくだすよ…」
 公式では年齢不詳だが、元ネタの彼の人を考えると少なくともニ十代に当てはまらないであろう男、
ロッキー・バンクが赤ワインをちびちび舐めつつ、これまた虚しげに答えた。
770【デカ口緑が友達と酒を呑むお話 2/10】:2011/03/05(土) 14:57:47.14 ID:++WbDRfT0
「…で、結局何の立場を変えるってんだよ?」
 いい加減焦れたランスが、甘口の酒が入った御猪口を片手に話の続きを急かす。
「うむ、ズバリ言うとだね。想い人との過ごし方のことさ。
 人間とは常に刺激を求める生き物だ」
 ここでパットン、ロッキー共にランスの顔をまじまじと見て、得心がいったように頷く。
「おいお前ら」
「うむ。君達もいろいろ思い当たることがあるだろうが、
その中でも殊更 男女の関係というものは繊細かつ深い問題だ。
 具体的な例を挙げれば、“恋と愛の違い”と言えば解りやすいだろうか―――」
 ここでロッキー、卓上のおつまみが切れかかっているのを見て、台所へ。
 手伝おうかと声をかけるパットンへ、汗くさくも爽やかな笑顔で大丈夫だすのサムズアップ。
「―――つまりだね、男と女が長年愛し合う上で最大の難敵となる“マンネリズム”!!
 その解消法を皆で考えようというのだよ、諸君!!!!」
 ババーンと効果音、効果線を背負い、決め顔で台詞を締め括ったガンジー王を待ち受けていたのは。
 ロッキーの用意した ほっけと煮物に夢中で、彼の話を全て聞き流していた三人組の姿だった。
「だぁぁぁぁガンジーのバカ野郎!こんな狭い部屋ん中で魔法なんて射つんじゃねぇ!!」
「燃えるだす!酒に引火して部屋が燃えてしまうだすぅうううう!!」
771【デカ口緑が友達と酒を呑むお話 3/10】:2011/03/05(土) 15:00:06.43 ID:++WbDRfT0
 三十分くらい後。
「…それで、マンネリ打破のためにシチュエーションを考える、だったか?」
 危ういところでスミノフウォッカを守りぬいたパットンが、己の呼吸と話の筋を整える。
「う、うむ。君達も男なら一度は経験したことがあるのではないかね?
 恋人に対して愛する気持ちは変わらねど。退屈だ、刺激が欲しいとつい考えてしまい、罪悪感にさいなまれるその瞬間!!」
「…つうか俺、女は抱いても本命はつくらなかったからなぁ」
「おらなんて、自分の生活だけで精一杯だっただす…」
 なんと話題提供者のガンジーを除く、三人の内二人がアウト。
(このまま私の提出した議題は、アルコールの空気に飛散して消えてしまうのだろうか)
 ガンジーが悲しみのあまり、五指に炎を点火し始めたその時である。
「…そういや感じたこともない訳じゃないな、マンネリ」
「あぁそうだろう!そうだろうとも流石はランス殿!!ゼスを救った英雄だ!!!」
「うわっ、ちょ、やめろガンジー暑苦し…うぜえ!こいつ酒臭え!うぜえ!!」
両肩をぐわしっと掴み、ランスの鼻先手前に顔を近づけ、どんな?どんな?と問いかける魔法大国の王様。
 率直に言って、ランスでなくともこれはキツい。
772【デカ口緑が友達と酒を呑むお話 4/10】:2011/03/05(土) 15:21:38.35 ID:++WbDRfT0
 パットンとロッキーが面倒くさそうに二人を引き剥がし、いろいろあって五分後。
「…ほら、あれだ。俺様は一応アイスの街にあいつと…奴隷と住んでるわけだ。それもかれこれ五年以上な。
 そんだけ長いこと顔を突き合わせてりゃ喧嘩もするし、他の女を抱きたくなる日もあらぁな」
「で、実際に抱いてるわけだ。あの嬢ちゃんも何ていうか…」
「なんだパットン、お前俺様が浮気してシィルがカワイソーとでも言うのか?!
 言っておくがな、あいつは俺様の奴隷なんだぞ!JAPANの奴らもよってたかって妙な勘違いしてやがったけどな。
 あいつが奴隷である以上、俺様が他の女を抱いても浮気じゃねえ!違うか?!」
「あーあーそうだったな、アンタにゃあの嬢ちゃんは“奴隷”だったんだよな。
 悪かったよ。ほら皆、話を先に進めようぜ」
 ロッキーにまで宥めすかされ、ガンジーが(内心頬は弛みっぱなしであるが)表面上 不干渉を装おっているため。
 ランスはケツアゴ召使いを蹴って溜飲を下げると、面倒くさげに議論の場へ戻った。
「立場を変えると言ったか、例えばどんなんだよ」
「うむ。例えばだ、シィルくんはランス殿の二つ年下なのだが。
 ここでがらりと変えて二つ…いや、“四つ年上のお姉さん”にしてみたら…どうだろう?」
「「「はあ?!!」」」
773【デカ口緑が友達と酒を呑むお話 5/10】:2011/03/05(土) 15:22:36.86 ID:++WbDRfT0
「嬢ちゃんを…」
「シィルさんを…」
「シィルのやつを、四つ年上だと思えだぁあ?!」
「あぁそうだ。四つの差は小さいようで大きいぞ。
 例えばランス殿が十二歳の小学六年生の時彼女は十六歳、すなわち華の女子高校生だ!
 ランス殿が十六歳の高校一年生の時には、シィルくんはなんと二十歳!!
 麗しの女子大生となって、弾けるキャンパスライフをご学友とエンジョイしている年頃になる」
 と、ここで琥珀色の蒸留酒をあおり喉を潤す王様。
「そんな近いようで遠い歳の差のシィルくんにだ。
 ランス“くん”と呼ばれてみたいと思わんかね?」
「ランス、くん…だと…?」
 ごくりと、突然多量に沸き上がる唾を慌てて飲み込む。
 なんだこの感覚は。
 左胸に手を当てると、心臓が煩いくらい ばくばくどくどく自己主張している。
「お、おい、ガンジー…あまり適当なこと言ってんじゃ――」
「まだだランス殿!!「何ぃ?!!」」
「今までのはまだ序ノ口…これに加えて更に私は、シィルくんの“属性”を変えて魅せようじゃないかッッ!!!!」
「属性だとぉ?!?!」
 頬に熱がともり、血流はなおギアを上げて加速。脈動轟く胸を押さえてランスは驚愕に打ち震えるのだった。
774【デカ口緑が友達と酒を呑むお話 6/10】:2011/03/05(土) 15:23:24.44 ID:++WbDRfT0
 ちなみにランス達から離れた場所では、キムチ・ドライブお手製のキムチを肴に、残った二人珍しい組み合わせで盛り上がっていた。
「へぇ、エリザベスの嬢ちゃん元気にしてんのか…そいつぁ良かった」
「カーマちゃんとアルフラちゃんが頑張って“お姉さん”してくれてるおかげだす。
 二人のおかげで孤児院の子供たちもエリザベスさんにだんだんなついてくれて…。
 おら、あの娘たちには足向けて寝らんないだすよ」
「あの嬢ちゃんたち俺らが思ってるよか数段しっかりしてるのかもな。
 …ところでロッキーさん、あれからキムチの姐さんとはどんな調子なんだよ」
「え、いや…その、別に何もないだすよっ」
「またまた、今朝だって二人仲良く料理してたじゃねぇか。
 よう、そのへんどうなんだい。ようようよう」
「かかか、勘弁してほしいだすぅーー!」
 閑話休題。
「シィルくんの現在の属性…年下、奴隷、ドジっ子、溢れんばかりの母性に薄幸のもこもこなどなど。
 流石は我が国を救った英雄ランス殿の――「奴隷だ」ふむ、奴隷であるな。多くの属性を併せ持っている。
 しかし、これらの属性が先頃私が提唱した、“四歳年上のお姉さん”になることでそれこの通り!」
775【デカ口緑が友達と酒を呑むお話 7/10】:2011/03/05(土) 15:45:45.43 ID:++WbDRfT0
「な、まさか、ウソだろ…?!」
 どこからともなくガンジーが取り出したフリップボードには、ただ一言。
「“年上なのにドジで幸が薄くて、でもいつも優しい隣のお姉さん”って何か増えてんぞ属性!
 っつうかこれ思いきり誰かとキャラかぶってねぇかリズナ!!(語尾)」
(もしかしてこれ、ガンジー様が好きな属性をどさくさ紛れにカミングアウトしただけじゃないだすか?)
 とうとう堪えきれなくなった二人が思い思いに突っ込むその一方で、渦中の人物デカ口緑は――、
「なんてこった…!!」
 奮えていた。主に感動で。
「年上…隣の、お姉さん。なんだかずっと昔に置いてきちまった、大切な何かが蘇るみてぇだ…」
((えぇぇぇええええ))
 苦労人二人が心底げんなりする中。
 ランスは乱雑に、けれど厳重に記憶の奥の隅へ仕舞いこんだ思い出をサルベージし始めていた。
 彼がまだ幼い頃のことである。
 両親を魔物に殺され、謎の隻腕騎士に連れられて独立都市、ゴモラタウンへ住むようになり。
 物心つく前、そしてその後には決まって彼の周りに“年上の女性”がいた。
776【デカ口緑が友達と酒を呑むお話 8/10】:2011/03/05(土) 15:46:31.95 ID:++WbDRfT0
 もちろんただその場にいた訳ではなく、彼女らはまだ子供だったランスを甘えさせてくれたし、
あまつさえ筆おろしまでしてくれた。
 素行の悪さが祟って村長の家を追い出されてからは、“年上”のある女戦士の手によって、
性根から何からとことん鍛えられたものだった。
 と、ここで漸くランスは己の中に眠っていた、ある性的劣等感(あるいは性的嗜好と言い換えられよう)に気づく。
「まさか、おれは…」
「気づいたのかねランス殿、年上お姉さんキャラの魅力に!!」
「あぁ、あぁ…おれは今までなんてもったいないことを……」
 両の拳を床に叩きつけ、嘆く。
 部屋の開いた窓からぽつぽつと雨音が聞こえてくる。それはまるで、彼の心象風景を表しているかのようで。
「嘆くにはまだ早いですぞ、ランス殿。
 貴方はまだ多くの時を生きられる。これから取り返していけば良いのだよ」
「ガンジー……ッ、ぃよぉおおっし!やぁってやるぜ!!」
 窓の外がたちまちにして晴れ、大空へ虹の橋がかかる。
 ランスの飽くなき探求心は留まることを知らず、やがてその心が世界を救う時が来るであろう。以下エンドロール。
「いやいやいやいやなんだよエンドロールって、適当過ぎんだろ持ってき方がよ」
777【デカ口緑が友達と酒を呑むお話 9/10】:2011/03/05(土) 15:47:22.63 ID:++WbDRfT0
 天候演出担当、カオル・クインシー・神楽、ウィチタ・スケート。
「始まった?!本当に始まっちゃったよエンドロール、
ってかやっぱりお前らの仕業かよどうりで不自然に外の景色が変わると思ったよ!!」
「そうだね…パットンくんの場合は、ハンティくんをお兄ちゃん好き好き、
“年下の”ラブリーシスターにしてみるというのはどうだろう?」
「俺に死ねって言ってるのかアンタは!!アイツにそんなくだらないこと言おうもんなら…ああ!窓に!窓に!」
 ツッコミ、まわし担当、パットン・ミスナルジ(謎の黒髪カラーによってお仕置きの真っ最中)。
「おらにはまだそういう相手はいないだすけど、ガンジー様はどなたかおられるのだすか?」
 料理、ぼやき担当、ロッキー・バンク。
「おや、私かね?」
 その一言に刹那、全員の動きがぴたりと止まる。
「私は、…今も昔も妻一筋だからね!」
「だぁ゛ぁぁぁ人に散々恥ずかしい話させといて、何一人だけキレイにまとめようとしとんじゃ!
 うらっこんにゃろ!お前らもやっちまえこのアホジジイめ、こんにゃろ!」
 今回のいじられ役、ランス・スーパーキング。
778【デカ口緑が友達と酒を呑むお話 10/10】:2011/03/05(土) 16:12:13.35 ID:++WbDRfT0
「いだだだだだだだ、こらっやめんか君達!やめっ、この、こ…むがぁあああああああ!!」
「ひぃぃぃぃぃ、ガンジー様がキレて乱射した火炎魔法が酒に引火してボーボーだす!ボーボーだすぅううう!!」
「うぉおおお火ぁ事だぁぁぁぁ!起きろみんなぁああああああ!!」
 前フリ、逆切れ担当、ラグナロックアーク・スーパー・ガンジー。
「火ぁぁぁ事だぁあああああああ!!!!」
終わり。

【あとがき】
>765様 レスありがとうございます。
 女性キャラそれぞれに似合いそうなお酒を考えるのが楽しかったSSでした。
>766様 まとめサイト拝見させていただきました。タグまでつけていただいて、筆者冥利に尽きるところです。
(大変恐縮ですが、>403-404の【髪を切るお話】がまとめのSS一覧に掲載されていないようなので、追加していただけたら幸いです)
 これからも何卒よろしくお願いいたします。
>767様 レスありがとうございます。看板娘のアリスさん活躍しているみたいですね。黒アリスの出番はまだまだですかね。
・最後に、今作で晴れて五十作目。まだネタはあるので、時間の許す限り書いていきたいと思います。
・拙いSSですが、お読みいただき誠にありがとうございました。
779名無しさん@初回限定:2011/03/14(月) 00:27:55.83 ID:WPCIKKyEO
支援
780名無しさん@初回限定:2011/03/26(土) 02:38:15.83 ID:YS7D8twAO
保守するだす
781【優しい嘘 1/5】:2011/04/01(金) 15:58:20.82 ID:h9K2EX5T0
 LP00XX年四月一日。自由都市はカスタム、その都市庁舎 都市長室にて。
 部屋の主であるエレノア・ラン都市長は、長い長い溜め息をついていた。
(はぁ………ランスシリーズの新作が発表されて、新ヒロインはもちろん旧作からの続投組も紹介されて。
 どちらも嬉しいニュースであることにまず間違いないのだけれど、…だけど――)
「――私の名前、見あたらなかったなぁ…」
 そう呟いて寄りかかったデスクチェアの背もたれが、ぎしりと嫌な音をたてて軋む。
 最後に自分がイベントCGだけでなく、戦闘ユニットにまで出演できたのは、
十五年ほど前(2011年4月現在)に遡った鬼畜王ランス以来になるだろうか。
(十五年…ッ?!長すぎる、JAPANじゃ人ひとり元服してるほどの時間じゃない…ッ!!)
 あぁ、エレノアは呻き窓の外を見やる。
 憎らしいまでに澄みわたる青空に見下されてるような、そんな憂鬱スパイラルに陥ったエレノアが、
いよいよ机を枕にふて寝を決めこもうとしたその時である。
「ラン!喜べ、ビッグニュースだ!俺達新作に出られるんだ!!」
「え?!」
 親友、ミリ・ヨークスの突然の訪問もさることながら、その発言がエレノアの憂鬱スパイラルを打ち壊した。
782【優しい嘘 2/5】:2011/04/01(金) 15:59:09.04 ID:h9K2EX5T0
「だからぁ、俺達カスタム留守番組が陽の目を見る時が来たんだよ!
 わかるかラン、出番が…きたぁぁぁぁぁぁってアレだよ!」
「お姉ちゃんそのネタもう古いよぅ」
 ミリが浮かれて目薬をさす仕草をする後ろから、その妹ミル・ヨークスが追いつきつっこむ。
 もはやユージ・オダのモノマネ芸人がいた事など、誰が覚えていようか。
「で、でもそんな話 雑誌はもちろん、アリスソフトの公式ホームページにだって…」
「バカ野郎!!〈ばしぃっ〉」
「あうっ」
「そりゃ確かに一般市民向けの情報媒体には載ってなかったかもしれない。
 でもこうして俺は新しい情報を手に入れている…それは何故だと思う?」
「え…と、枕――「っせい!」〈ばしばしぃ〉」
「あうあうっ」
 言って良い冗談と、悪い冗談があります。
「昨日ミルがトラバサミにかかってもがいていた、かわいそうな野良ハニーを助けたら、
その恩返しにって今朝 家に来た王冠付きの白いハニーが教えてくれたんだよっ♪」
「イイハナシダナー」
「ラン…」
 ちょっぴり涙目で赤くなった頬を押さえるエレノアに、目線を合わせるようにしゃがみこむミリ。
「新作、ランスクエストでのお前はスゴいぞ」
783【優しい嘘 3/5】:2011/04/01(金) 16:01:04.62 ID:h9K2EX5T0
「過去のRPG形式のランス作品で猛威をふるった、敵を麻痺させる攻撃…覚えてるか?」
「えっと、確かランス6で新登場したムシ使いのカロリアちゃんと、リーザスのかなみさん。
 FR上げて強化すると使い勝手が断然良くなるゼスのカオルさんと、復活軍師ウルザさん。
 キャラの濃い調教師タマネギさんに、まさに最強アタッカーのランスさん…だったかしら?」
 指折り数えるエレノアに大きく頷くと、ミリは自信をなくして覇気がない親友を見つめ直し、告げる。
 これが、落ち込んでいる彼女を救う最良の手段と信じて、言の葉をつむぐ。
「使えるんだ」
「え?」
「お前も使えるんだよ、あの最凶攻撃手段‐バランスブレイカー‐の一つ、麻痺攻撃をな!!」
「ぇぇぇえええええ?!!」
 冷えきった身体に熱が蘇る。
 錆び付いた心は鏡のように磨きあげられ、生気をなくし虚ろだった瞳は今やかつての、いやそれ以上の輝きを取り戻していた。
「そそそ、そんなそんな、嘘でしょミリ?いくらなんでもそんな…」
「お前の技、見つめた相手を意のままにエロいことさせる能力を、戦闘画面で使える技として取りいれたらそうなったのさ。
 まさかドット絵やポリゴンのモンスターにオ●ニーさせる訳にはいかないだろ?そういうことだ」
784【優しい嘘 4/5】:2011/04/01(金) 16:24:53.57 ID:h9K2EX5T0
 ここでいつものエレノアであれば、真っ赤な顔で「女の子なんだから下品なことは」と、
小言の一つや二つ飛び出してくるはずなのだが。
「ふわぁぁ……」
 ▽ エレノア は トリップしている!
「これくらいで驚くのはまだ早いぜ ラン、お前は魔法戦士だったな?」
 こくこく と、夢うつつでありながら辛うじて小さく頷き返すエレノアに、いろいろと もよおしてくるものに堪えながら、
ミリは彼女の耳元で囁いた。
「麻痺と打撃…これがあれば、普通に戦ったら手こずるような強敵でさえ勝てる可能性が遥かに上がるんだぜ。
 それこそ、魔法使いが手も足もでないハニー達の中でも凶悪な、ブラックハニーにも…な」
「すごいねランちゃん、志津香ちゃんよりつよーい(棒読み)」
「あの、志津香ちゃんより…強い……わたし、が?」
 その時、エレノアの脳裏に稲妻がはしる。

( 「あぶない志津香ちゃん!えいっ、“バインド・アイ(仮名)”!」
「あいやー?体が動かないよー」
「てぇぇぇい!〈ずばばんっ〉」
「ハニホー!?〈ぱりーん〉」
「…ふぅ。大丈夫?志津香ちゃん、ケガは――いけない!ここ切れちゃってる」
「や、ちょっとラン、これくらい自分でできるから…」
785【優しい嘘 5/5】:2011/04/01(金) 16:25:37.17 ID:h9K2EX5T0
「ダメよ志津香ちゃん、意地はって無理ばっかしてっ。
 強がるのと強くなるのは違うんだから!」
「ラン……」
「…はい、これでもう大丈夫。
 ね、志津香ちゃん。あなたから見れば私はまだまだ頼りないかもしれないけどさ。
 でも、仲間だから。“重い荷物”は独りで抱え込まないで。私にも支えさせて」
「……ありがとう、ラン…ううん、ランお姉様」 )

「そんな、“お姉様”だなんて…私の方が年上だからって今さら変な遠慮しないで、以前のようにランって呼んで…。
 あっ、でもあのいつもツンツンした志津香ちゃんに、お姉様なんて呼ばれたらどうなっちゃうのかしら?私どうなっちゃうのかしら?」
 長年の積もり積もった欝屈した想いと、ここ最近の年度末の追い込みによる疲れ。
 そして、希望などまるでなかったはずの新作へ出られるとの情報に、エレノアただ今狂喜乱舞。
 それはもう、焚き付けたミリが引くぐらいに。
「どうするのお姉ちゃん。ランちゃんまるで気づく様子ないよ?」
「あ、あぁ…おーいラン、今日は何の日かわかるかー?ほら、四月の…何日だー?
 ラーン、いい加減戻ってこーい。ラーン」
終わり。
786【優しい嘘 あとがき】:2011/04/01(金) 16:28:24.71 ID:h9K2EX5T0
・初めに。
 三月十一日に発生した、東北地方太平洋沖地震で被災された方に心からお見舞いとお悔やみを申し上げます。
 あれから三週間経った今も、まだまだ予断を許さぬ事態が続いておりますが。
 自分がやらなければならないこと、やるべきことを行いつつ、折をみてSSを投下していけたらと考えております。
 皆さま、何卒よろしくお願いいたします。

・>779様,780様
 支援&保守ありがとうございます。このような大変な時期にとても嬉しい限りです。
・最後に。
 ランスクエストにカスタム留守番組が、プレイアブルキャラクターとして登場することを願って、あとがきを終わります。
・拙いSSですが、お読みいただき誠にありがとうございました。
787自作特攻隊(E/ F) ◆0CrenIPJUU :2011/04/03(日) 22:04:20.94 ID:jN+3n8Cl0
じろじろ・・・♪

http://bbs.jpdo.com/cgi/70/img/1117.jpg
http://bbs.jpdo.com/cgi/70/img/1118.jpg

※この写真は意味が無い為、そのうちに消しました・・・
http://bbs.jpdo.com/cgi/70/img/1119.jpg
http://bbs.jpdo.com/cgi/70/img/1120.jpg
788名無しさん@初回限定:2011/04/13(水) 00:50:34.43 ID:pOag0ufiO
エレノアェ……
789【M.M.R‐筋肉格付・極‐ 1/14】:2011/04/14(木) 16:42:16.69 ID:leh9Fuvc0
 ゼス建国より遥か昔。
 GI0024年。人類が魔物の奴隷から、条件付きではあるが解放されて間もなくのこと。
 のちのゼス建国の祖である人々の間に、とある祭事が流行していた。
 魔法を使える者もそうでない者も、両者こぞって鍛えぬいた己の筋肉の限界へ挑戦する、真剣勝負。
 立ちはだかるいくつかの困難を、知力、体力、時の運で乗り越え、立ち塞がるライバル達を蹴落とし破り。
 そうして見事 優勝した選手には、巨額の富に加え大会主催者の手により、どんな願いも一つだけ叶えられるという。
 その祭事、ラグナロックアーク・スーパー・ガンジー王が、王立図書館の隅っこで埃をかぶっていたものを、
何かに導かれるようにして見つけた、古めかしい紙片を紅い紐でまとめたそれに曰く。
 その名も、“筋肉格付”。
「ふむふむ……なるほど、これは良い! これこそ今のゼス国民の皆に必要な祭かもしれぬ。
 賞金は王家の私財から捻出して、もう一方の“どんな願いも一つだけ――”とやらも、大抵のことなら何とかできよう。
 あとは、ふむ……肝心の参加者であるか」
 思考の海にたゆたうガンジーの耳に、遠慮がちな衣擦れの音が響いた。
「カオルか……何があった?」
790【M.M.R‐筋肉格付・極‐ 2/14】:2011/04/14(木) 16:43:01.66 ID:leh9Fuvc0
「失礼します。ガンジー様、そろそろアイスフレーム本部へ向かう時間ですので、お迎えにあがりました」
 心酔する王の大切な思索の時を遮ってしまったとあって、普段よりも一層 頭‐こうべ‐を垂れる角度が深い。
 だが、そんなことまるで気にしないのが我らがガンジー王。
 お付きの二人を心から蕩けさせる漢‐おとこ‐くさい微笑みをこぼし、ぽんぽんと彼女の頭を撫でる。
 その時である。ガンジーの脳裏に一筋の電流が走り抜けた。
「そうか、そうだ、そうだったのだ! 何故今までアイスフレームの彼らを忘れていたのか?!
 ……ふふふ、ふははっ、ふあーーーっはっはっはっはっはぁっ!!
 カクさんや、スケさんを連れてただちにIF本部へ向かうぞ! ただちにだ!」
「はい! ガンジー様!」
 こうして、ガンジー王の馬鹿馬鹿しい思い付きが およそ900年の歳月を経て、現代のゼスへ筋肉の祭典を復活させたのであった。
   ◇
「ゼス国、約3200万人の国民の皆様、こんにちは。チョチョマン・パブリでございます」
791【M.M.R‐筋肉格付・極‐ 3/14】:2011/04/14(木) 16:46:10.52 ID:leh9Fuvc0
「本日、私はここ首都ラグナロックアークの中心に位置するゼス宮殿の地下九階、
地下総合運動ホールにて開催される、“Maximum Muscle Ranking‐筋肉格付・極(きわみ)‐”
略称“M.M.R”の大舞台で実況アナウンサーとして、
魔法ビジョンをご覧の皆様へ会場内に満ちあふれる、この身を焼かれんばかりの熱気と、脳髄揺さぶる興奮をお届けいたします。
 いかがでしょうか皆様、聞こえるでしょうか?」
 カメラはその台詞と真逆に相変わらず無表情のチョチョマンからフレームを外し、
円形闘技場‐コロシアム‐のような造りの会場をなめるように撮していく。
 観客席にはラグナロックアーク・スーパー・ガンジー王自らが音頭をとり、
旧一級市民、旧二級市民ともに すべからく“絶対公平であるべし”をモットーに抽選をおこなった、
計32,000人の市民達が辛抱堪らずドカドカと両足で地鳴りをうみだしている。
 老若男女、貧富を問わず集まった人々の関心はただ一つ。
 今宵、幕を開ける“M.M.R‐筋肉格付・極‐”の中で、自分達をどこまでも夢中にさせるような英雄‐ヒーロー‐が現れるか否か。
 その一点のみ。
   ◆
 今、国民は疲れていた。
 魔物と暴徒に壊され、荒れ果てた自分達の国土を復興させたその先。
792【M.M.R‐筋肉格付・極‐ 4/14】:2011/04/14(木) 17:05:37.76 ID:leh9Fuvc0
 これまでの“ゆとり政策”を始めとした悪しき旧体制が崩壊し、
どのような生まれの者でも安定した生活を得られる“可能性”が出てきた。
 だがしかし、それは同時にどんなに錆び付いていようが歪んでいようが、先人が血反吐をはいて敷いてきたレールを廃し、
そのほとんどを自らの手で切り開いていかねばならないのだ。
 未知なる場所へ踏み出すには勇気がいる。そして、勇気の影には不安が常につきまとう。
 国土崩壊後、悲喜こもごもの新たなスタートをきった国民の心が、じわじわと渇いていく音をガンジー王は確かに聴いていた。
 一国の王にしては些か破天荒すぎるきらいのある彼だが、自国とその民を想う気持ちは正しく本物である。
 であるからして、彼はとある企画をゼスの魔法ビジョン局スタッフ達のもとへ持参し、プレゼンテーションした。
 すべては国民の疲れた心に潤いを与えんがために。そして、ゼスの大衆娯楽の発展を願って。
 あと、やるからには自分も面白いものが視たい! ということでこの企画、“M.M.R‐筋肉格付・極‐”が始まったのである。
   ◇
 観客席の歓声がいっそう大きくなる。“M.M.R‐筋肉格付・極‐”参加選手の入場である。
「皆様、お待たせいたしました。選手、入場であります」
793【M.M.R‐筋肉格付・極‐ 5/14】:2011/04/14(木) 17:07:12.25 ID:leh9Fuvc0
 ごうごう、きゃあきゃあと獣のそれに似た観客の声が、地下総合運動ホールに響き渡る中。
 まず二人、東のドラゴンの門をくぐり中央へ進む。
「ゼス国民であれば知らない方はまずいないでしょう、ゼス四将軍よりこのお二人が来てくださりました。
“炎の貴公子”、サイアス・クラウン! そしてその左、“光の魔法団隊長”アレックス・ヴァルス!
 ゼス軍きっての美青年二人組が今、堂々と、かつ優雅に、そして優美にアリーナへ入場いたしました」
 きゃんきゃんスーツを身につけたプラカード・キャリアに誘導されて、サイアス達は所定の位置へついた。
 総合運動ホールのほぼ中央、大型魔法ビジョンとアナウンス席を線で結んだ丁度真ん中だ。
「まさかとは思うけど、こんなお遊びで緊張なんてしてないよな? アレックス」
 会場内を煌々と照らすライトに負けじと、焔のような輝きを魅せる己の前髪をさらりと流し、傍らの弟分に尋ねる。
「もちろんです、サイアスさん。それどころか僕は今、感謝しているんです。
 こうして再び“彼”と闘えるチャンスをくれた、運命の女神に」
「サイアスさん……全力でいきます。“彼”に対してだけでなく、貴方にも」
 まじめで好青年な甘ちゃん坊や――サイアスから見たアレックス・ヴァルスという青年の評価は、率直に言えばそのようなものだった。
 つい、先ほどまでは。
794【M.M.R‐筋肉格付・極‐ 6/14】:2011/04/14(木) 17:08:03.55 ID:leh9Fuvc0
(へぇ……何があったか知らないけど、良い目をするようになったんじゃないの。これはもしかすると――)
「アレックス」
 プラカード・キャリアの女の子が聞こえないところで、ちょいちょいと手招きするサイアス。
 ややあって首をかしげながら近づいてきたアレックスにがしっと肩を組むと、
「さてはお前……オンナを抱いたな?」
「〜〜〜〜〜ッ!?!」
 そう囁いて、顔から火が出るほど照れさせるのであった。炎魔法使いだけに。
「続きまして、国営レジスタンス組織アイスフレームより、“鉄壁の斧使い”ロッキー・バーナード。
“舞い刺すシミター使い”バーナード・セラミテの入場です」
 きゃんきゃんスーツを装着したガチムチ男子のプラカード・キャリアを先頭に、あからさまにテンションの落ちた二人が行進してくる。
 先のサイアス、アレックス組の時に黄色い歓声をあげていたうら若き乙女達は舌打ちして座りこみ、
その代わりに荒くれた男どもが野太い声援をおくる。
「う゛おおおおおおおおロッキーざああああああああ!!!! あんたぁ俺達旧二級市民の希望の星やああああああああ!!!!」
「勝たんかああああああああい!! 勝って男見せんかああああああああい!!(←スゴい筋肉だけど性別的には乙女の応援)」
795【M.M.R‐筋肉格付・極‐ 7/14】:2011/04/14(木) 17:31:15.52 ID:leh9Fuvc0
「あうあう、嬉しいようなそうでないような、複雑な気分だす……」
 その時、死んだ魚のような目をしてため息を吐くロッキーの肩に、そっと手をおく者がいた。
「ロッキーさん……」
 バーナードである。
「元気を出してくれとは言わない、俺も地味に名前呼ばれなかったのがこたえてるから。でも思い出しほしい!」
 ばっと左腕を振り上げ、ある一点を指し示すその先にあるものは。そう、
「あなたがこの大会に出ようと決めたきっかけは何です?」
「あぁ、あぁ……そうだす。おらが、おらがこの大会に出ようと決めたのは―――」
 使い古したシーツの半分以上に大きく描かれた、ロッキーの(くどい笑顔の)似顔絵。
 それは決してお世辞にも上手だなんて言えないけれど、“暖かさ”が見ているこちらにも伝わってくるような、優しい似顔絵。
 そして、その横に力強く書かれた“がんばれロッキーおじちゃん!”の一文。
 それらは正しくロッキーの心に熱を点した。
「バーナードさん……おら、間違ってただす」
 手作りの横断幕を皆で支え、カーマが、孤児院の子供達が、周囲の大人が驚くほどの声で自分にエールをくれる。
796【M.M.R‐筋肉格付・極‐ 8/14】:2011/04/14(木) 17:32:24.99 ID:leh9Fuvc0
 さらにその隣。
 子供達の引率役であるキムチ・ドライブが、拳をぎゅうっと握りしめたアルフラを抱きしめ、こちらを見ていてくれる。
「あそこで応援してくれている皆のために。そして、アイスフレーム本部で留守番してくれているサーナキアさん達のために。
 おらはこの大会、なんとしてでも勝ち残ってやるだす!」
 覇気のこもった宣言を聞き、バーナードはひとつ得心がいったように頷くと、
「俺も負けません。例えその気持ちの先が別の“誰か”に向いていようとも。
 彼女は――ウルザさんは俺に、『頑張ってください』と言ってくれた。
 ガンジー王との貴重な打ち合わせを中断してまで、あの時会場内の渡り廊下で! 社交辞令だとしても声をかけてくれたんだ。
 こんな影の薄い俺なんかに……だから――」
 負けられない。
 互いに頬を張り、えいやっと気合いを入れ直したロッキー達は、
いつまでも自分についてこない事にイラついたガチムチプラカード男子に殴り倒され、引きずられて行ったのだった。
   ◆
「それでは、最後のお二人です」
797【M.M.R‐筋肉格付・極‐ 9/14】:2011/04/14(木) 17:33:11.08 ID:leh9Fuvc0
 チョチョマンの台詞へかぶせるように、会場の照明のほとんどが突如、暗転。
 観客席からアクシデントを危ぶむ ざわめきが、潮騒のように広がりきった矢先。
 地下総合運動ホールの大スピーカーが、高音質の鋭いギターサウンドを轟かせた。
 スローテンポでありながら、しかし力強く荘厳な曲調のそれは、まるでどこかの国の国歌であるかのよう。
 入退場門にそれぞれ使用する東のドラゴンの門と西のタイガーの門からは、もくもくと足下を這うように白煙が広がっていく。
 ギターの演奏が止んだ。タイミングを読んだチョチョマンが、自制していた口を開く。
「現ゼス国王、ラグナロックアーク・スーパー・ガンジーご推薦!
 いつだって、どの国でさえ、自分は勝者だった。
 あぁ誰か、俺に、俺様に、敗北を教えてくれるような男はいないのか。
 青き稲妻 拳‐こぶし‐を握り、緑の閃光 剣を振る。彼らが通った道の後、眉目秀麗の男女 全ていなくなる。
 それは何故か! 何故かは彼らの腰に訊け! 永久機関の源はいつだって己のリビドーなのだから。
“ヘルマンの薔薇と雛菊”パットン・ミスナルジ! “アイスの町の傾奇者”ランス・スーパーキングの入場です!」
「俺はオトコスキーじゃねええええええええええ!!!!」
798【M.M.R‐筋肉格付・極‐ 10/14】:2011/04/14(木) 17:53:37.32 ID:leh9Fuvc0
「だぁぁぁぁるっせぇぞパットン、今から俺様が御輿に乗って格好よく登場するんだから邪魔すんな、このスットコドッコイ!」
「隊長さんは黙っててくれ! あの無表情きめこんだバカには一度キツく言ってやんなきゃなんねぇんだ!
 つうかだいたいこの御輿からしておかしいじゃねぇか!
 なんで隊長さんの御輿の担ぎ手が美女で、俺んとこが超兄貴なア●ンやサム●ンなんだよ!
 何かもう、いろいろ何なんだよちくしょう!!」
 よいやさ、よいやさ、と担ぎ出されて東、ドラゴンの門から異色の二人の登場である。
 パットンが言うように片や和洋折衷入り乱れた、美女、美女、美女の手により担ぎ出された男のロマン御輿。
 この度の演出のためにわざわざJAPANより資料を取り寄せ、衣装から何から全て一から制作したというから、
相変わらずあさっての方向に手が込んでいる。
「えいやー、そーれ!」
 担ぎ手は皆十代後半からニ十代前半まで。色欲絶好、春爛漫、ゼスの花見は今が盛りの真っ最中。
 飛び散る汗はやがて、サラシで絞めた張りのある乳房や肉付きのよい太股をつたい、
先ほどからローアングルで撮影を続けるカメラマンの喉と心を潤していく。
799【M.M.R‐筋肉格付・極‐ 11/14】:2011/04/14(木) 17:55:15.81 ID:leh9Fuvc0
「だーーーっはっはっはっ、苦しゅうない! 苦しゅうないぞ皆の衆!
 そこで雁首そろえて目ん玉丸くしてる奴らとは、男の器が違うってんだ!
 むふふ、この勢いで優勝して、この子ら全員お持ち帰りしちゃうもんねーー! だーーっはっはっはっはっ!!」
 ランスのあからさま過ぎる挑発にのるメンバーは生憎というべきかどうか、参加者の中にはいなかった。
 アイスフレームのメンバーはもちろん、四将軍の二人に関しては先の大戦で何度か敵対、
共闘していたのだから、ランスのアレな言動には免疫が出来ていたようだ。
 もっとも、そんな挑発的な言動を別にして、己の“男”をあげるため。ただ静かに闘志を燃やす男がいた。
(ランスさん……)
 アレックス・ヴァルス、その人である。
(ランスさん……僕は今日、この大会で貴方に勝利することで、これまでの情けない自分。流され易い自分から卒業します!
 そしてそれこそが! こんな僕を傍で支えてくれる、エロピチャへのケジメになると思う。だから……)
「ランスさん!」
 御輿を降りてからも美女の腰を抱き、うはうはしていたランスのもとへ歩み寄ると、凛とした声で呼びかける。
「ぁあん? 俺様がお楽しみの最中に誰だ邪魔すんのはって、お前は……!?」
800【M.M.R‐筋肉格付・極‐ 12/14】:2011/04/14(木) 17:56:25.42 ID:leh9Fuvc0
「誰だっけ?」
“光の魔法団隊長”アレックス、大観衆の前で吉本新●劇の王道リアクション、ズッコケを披露。
「アレックスです、アレックス・ヴァルス! ほら、以前いっしょに魔物からマジノラインを護るために闘った!」
「……おー、そうだったそうだったアレックス、うんアレックスだなおもいだした(棒読み)」
(忘れているな)
(ぜったい忘れてるだす)
(憐れ、アレックス……)
(やべぇよこの色黒筋肉野郎ども、さっきからチラチラ俺の尻見てるよ……)
 上からバーナード、ロッキー、サイアス、パットンの順である。
 一部を除いた参加者がアレックスに憐れみの視線を向ける中、
気丈にも持ち直した光の小公子は、あらためてランスのもとへ足を進める。
「ぐっ……ランスさん!! 僕はここに宣言します!
 今日、この“M.M.R”で僕は貴方を、ランスさんを超える“男”になる!!」
   ◇
 この時、スタッフ控室内の魔法ビジョンで一部始終を見ていた、魔想志津香はのちにこう述懐している。
「いやね、その時マリアと一緒に番組の準備しながら見てたんですけど、思わず二人して同時につっこんじゃいましたよ。
『あんたもう充分良い男だから!!』って。
 で、しばらくしてお互いなんとなく微妙な空気になりました。なんだったんでしょうね、あれは……」
801【M.M.R‐筋肉格付・極‐ 13/14】:2011/04/14(木) 18:22:01.52 ID:leh9Fuvc0
   ◆
「……ふん、何を言うかと思えばフニャチンめ。上等だ、かかってこい!
 せいぜい俺様の超絶ハイパーな活躍ぶりに恐れおののき、噛ませ犬と化すがいい!! だーーーっはっはっはっはっ!!」
 この時、スタッフ控室内の魔法ビジョンで一部始終を見ていた、魔想志津香は(以下略)。
「だからね、マリアと二人して思わずつっこんでたんですよ。
『あんたはアレックスさんの爪の垢をガロンで飲め!!』ってね。
 で、しばらくしてお互い(以下略)」
   ◇
 役者はそろった。
 いずれも皆、心、技、体のどの項目においても常人の上をいく、強者ぞろいである。
 Cの字型した会場内のど真ん中の実況席、いまだ空白のガンジー王の座席の隣。
 アナウンサー、チョチョマン・パブリが頭の上に両腕で大きな円をつくり、サインを送る。
 すると、会場を挟んだ向かい側正面、大魔法ビジョンの天辺に見える妙な人影がそれに応えた。
 魔法使いサ●ーちゃんのパパのような、特徴的な頭のシルエットは、本人が思っているよりずっと観客から隠せていない。
 やがて、珍しく呆れた表情を表にだしたカバッハーンを始めとする大勢の魔法使いが、
地下総合運動ホール上空を魔法で華麗にライトアップし、それに比例するように盛大な音楽が東西南北を埋めつくす。
802【M.M.R‐筋肉格付・極‐ 14/14】:2011/04/14(木) 18:25:12.12 ID:leh9Fuvc0
 そして、それら光と音の祭典が最高潮を迎えた時、大量の魔法スポットライトが待機していたガンジー王を射す。
 歌舞伎の見得‐みえ‐よろしくガンジーは、己の視界を右から左へ ぐるうり見渡すと、
魔法マイクを握りつぶし、胸を風船のように大きく、大きく膨らませ、解き放った。
「これより!! 第一回! マキシマムマッスルランキングを開催する!!!!
 皆のもの! 人類の肉体の限界のその先をとくとご覧あれ!! いくぞぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
 威力を調整し、見た目と破裂音をととのえた〈火爆破〉が、ガンジー王の手により会場へ彩りを添える。
 こうして、“M.M.R‐筋肉格付・極‐”は始まりを迎えたのであった。
「わっはっはっはっはーーー!!」
 ちゅどどどどどどどーん。
「うぎゃぁぁぁぁ! っざけんなアホガンジーめ! 客には落ちなくても俺達のところに火の粉が落ちてきとんじゃああああ!!」
「いやはや、参ったねこりゃ。さすが王様、常識から外れた魔法をお使いなさる……」
「うおっバカ! ア●ンお前どさくさにまぎれて俺の尻をさわんな!
 な、ちょ、ぬわぁぁぁオイルが! 肌にぬるぬるのオイルがあああああ!」

【次回、M.M.R‐筋肉格付・極‐ 競技編その一に続く】
803【M.M.R‐筋肉格付・極‐ あとがき】:2011/04/14(木) 18:26:57.58 ID:leh9Fuvc0
・初めに。久しぶりの続きものです。元ネタは懐かしの筋肉番付から。
 だいたい今回のような文章量であと三、四話ほど続ける予定ですが、ピンク仮面のように途中で止まらないようにがんばります!
(このままだと以前投下させていただいた、【I.C.F】のリメイクで終わってしまいますし)
・>787様 焼き鳥好きの神風さん素敵ですね。特に瞳が可愛いくて私は好きです。
 >788様 エレノアさんは見当さんと並ぶ魅力的なキャラなので、ついイジってしまいます。ごめん都市長。
・最後に。うろ覚えですが、確か一つのスレにつき限界容量は500KBだったと思うのですが。(間違っていたらすみません)
 皆さま次スレはどういたしましょうか?
・拙いSSですが、お読みいただき誠にありがとうございました。
804名無しさん@初回限定
久々に図書館にあった魔王が読みたくなって探してみたら図書館が見当たらない。
アーカイブで探してもないってよ・・・orz