SS投稿スレッド@エロネギ板 #13(再)

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171星を見る私に ◆HeOWL92rdI
 おいしい。きれい。ありがとう。
 おはよう。こんにちは。おやすみなさい。
 そして、さようなら。みんなみんな。彼が教えた。
 ………。
 ―――なんだそれは。そんなもの―――反則じゃないか。
 運命の出会いだなんて、ふざけている。なのに、絵空事が現実としてそこにはあった。
 ……どうしたって。
 私が私に出来る最大限の努力をしたって届かない。才覚ではどう足掻いても埋められない。
それを、思い知らされた。
 ……ふざけるな。ふざけるな。ふざけるな、ふざけるなふざけるな―――!
 私は、今私が持つ全てを自分の力で勝ち取ったんだ。努力で。才覚で。他者を蹴落として。
他の全てを犠牲にして。そうして血反吐を吐きながら、私はこの頂きに立った。
 そう。ゼロどころか、マイナス。マイナスの出発点からこの高みに立ったこの私が。どう
して負けなければならない?
 そうやって私は。眠り姫に嫉妬して……姫を守ろうとする王子さえも憎悪した。
 けれど、足りないものがあるなら補えば良いだけの話なのだ。そう気付いた時、私は笑った。
余りにも簡単な話だったから。
 私になくてあの子にあるもの。それを新しく作ってやれば良いだけの話なのだ。
 出会いを無かった事にして、運命的な出会いを最初からやり直す。知り合ってからの年月が
絆というものならば、それさえ作ってみせる。
 有象無象には不可能でも、私には出来る。他の誰でもない私だからこそ。
 私はそれを行えるだけの知識を持ち、それを実行に移す事が可能な環境がある。周囲に働き
かけ、目指す目標に誘導する事が出来る。本心を隠しながら、周囲の人間を説得するだけのもっ
ともらしい理由を考え付く事が出来る。周囲の人間を納得させるだけの結果を弾き出してみせる。
 彼との出会い。遍歴。
 そこさえクリアしてしまえばいい。私にあってあの子に無いものを、あの子が持つ事など不
可能なのだし。
 負ける理由など見つかりはしない。
 だから。
 私とあの子の戦いは、何があっても絶対に負けるはずなど無い戦いであり。
 最初から……絶対に勝ち目のない戦いだった……と、言える。
 私は……一緒に星を見たいと、そう望む私になろうとしたのだから。