力尽きた駆。死んでいった仲間。破壊された町。
赤い夜が終わったあと、それらはまるで全て無かったかのように元に戻っていたが、
それは菊理によるものだった。
かつて弟を殺されたショックで自らの記憶もろとも真の能力を封印していた菊理は
ゆかの力の副作用によって記憶を取り戻した。同時に開放された天使の力も封印の
間に蓄積された力によって人の領域を超えるまでに進化していた。
仲間の傷を癒し、町を癒し、世界を癒す菊理。しかし、その力の代償として人を超えて
しまった彼女は現実世界に存在できなくなった。
人から神霊が存ると言われた領域で自ら欲望を捨てて世界を見守る菊理。
しかし、その場所には神などおらず、唯々孤独だった。
全て承知の上で行ったこととはいえ、永遠の孤独に泣く菊理。そんな時、菊理の本当
の望みは何だと問う声。それは菊理の魂の一部であった筈の守護天使のものだった。
菊理の分身であった天使は菊理や仲間たち、そして駆の「眼」に存在していた幾多の
魂に触れて自我を獲得していたのだった。
菊理を人として地上に降ろし、別れを告げて神の領域に消えていく天使。
それによって菊理のことを思い出す駆。学校の屋上で2人は再会するのだった。
(本当におしまい)