【そよそよ】School Days言葉様 Part15【あおい】
「ここだよな言葉の家は・・・」
俺は言葉の家の前までやってきた。
ぴーんぽーん・・・
インターホンを押す。しばらくして、反応があった。
「はい」
「あ、伊藤です!言葉は、大丈夫ですか!?」
「あら誠君、いらっしゃい。ちょっと待っててね」
しばらくして、ドアが開く。そこから出てきたのは、言葉の母親、真奈美さんだった。
「どうしたの?こんな時間に・・・」
「あ、あのっ!言葉は・・・!?」
「あら、あの子のお見舞い?あの子なら部屋で寝てるけど・・・」
「ち、ちょっと失礼します!」
俺は真奈美さんの返事を待たずに家の中に入った。それを見送った真奈美さんは・・・
「あらあら、良いわねぇ、若いって・・・学校には、私から連絡しておくわね」
にっこりと微笑み、自分の家の中に入っていった。
「ここか言葉の部屋は・・・」
俺は『言葉の部屋』とプレートがついているドアの前に立った。一呼吸置いてノックする。
「はい、どうぞ」
中から声がした。それを聞いて俺はドアを開ける。
言葉はいた。ベッドに入って横になっていた。
「ま、誠君!?どうしたんですかこんな時間に?」
言葉はあわてておきようとする。俺はそれを止める。
「いいから、おとなしく寝てろ」
「で、でも、本当にどうして・・・?」
「自分の恋人が病気で学校を休むって言われて気にならない奴なんていないだろ?」
「誠君・・・」
「まあ、その様子を見る限りは大丈夫そうだな」
「はい、ただの風邪ですから。誠君大げさです」
「そうはいっても、やっぱり気になるものなんだよ」
「ありがとうございます」
それから俺たちはいろんなことを話した。自分のクラスのこと、自分の家でのこと、最近あった面白い話などいろいろ話した。
しばらくして、ドアをノックする音が聞こえた。
「あ、はい、どうぞ」
言葉が答える。それを確認した後、ドアが開かれた。
「言葉、調子はどう?」
「あ、お母さん。もう大分よくなったみたい」
「そう、これも、誠君のおかげかしら」
「いえ、そんな、俺は・・・」
「まあまあ、それよりも、そろそろお昼ご飯の時間だけど、誠君も食べていくわよね?」
「え、でも、悪いんじゃ・・・」
「構わないわよ。言葉も一緒に食べたいようだし」
「お、お母さん!」
「それじゃあいただきます」
「ええ。ちょっと待っててね、今持ってくるから」
そう言って真奈美さんは部屋を出て行った。
言葉は顔を真っ赤にさせてうつむいている。
それから少しして、またドアがノックされて、真奈美さんが入ってくる。
「はいどうぞ。こんなので悪いけど・・・」
「いえ、とんでもない。ありがとうございます」
真奈美さんが持ってきてくれたのはチャーハンだった。ちなみに、言葉はおかゆだ。
「じゃあ、ごゆっくり」
そう言って真奈美さんは出て行った。
「じゃあ、いただくかな」
俺はチャーハンをひとすくいして口に運ぶ。うん、うまい。
言葉は、何故かおかゆを口にしようとしない。
「ん、どうした、言葉?早く食わないと、冷めるぞ?」
「・・・・・・・・・・・・・い」
「何?何て言った?」
「誠君が食べさせてください」
ぶはっ!!!
「きゃ、誠君、汚いです」
「い、いきなり何を言うんだ、言葉!」
「だって、こういうのにあこがれていたんです。お願い、誠君」
「だ、だけど・・・」
「誠くぅん・・・」
「う・・・わ、分かったよ」
俺はおかゆを一匙すくって、言葉の口元へ持っていく。
でも言葉は、まだ不満そうに口を尖らせている。
「ん?どうした?」
「誠君、私、猫舌なんです。こんなに熱いものは食べられません」
「え!?ま、まさか・・・」
「はい、お願いします」
「だ、駄目だ、それだけは勘弁して!恥ずかしい。」
「そんな事言わないで、お願いします」
言葉が上目遣い+目をウルウルさせて俺に訴える。
う、言葉・・・俺がその目に弱いのを知っていて、わざと・・・
「し、仕方ないな、今回だけだぞ?」
「はい!ありがとうございます!!」
俺は言葉の口元に持っていったスプーンを自分の口元に持って行き、息を吹きかける。
俗に言う「ふーふー」というあれだ。
そしてもう一度言葉の口元へ持っていく。
今度は言葉は嬉しそうに口をあけておかゆを食べた。
それをおかゆがなくなるまで続けさせられた。
「や、やっと終わった・・・」
「ありがとう誠君。おいしかったです」
「そういうことは真奈美さんに言ってくれ」
「誠君が食べさせてくれたから、さらにおいしかったんです」
「言葉、凄く恥ずかしい事言ってるぞ・・・」
「だって、本当のことですから」
「と、とにかく、俺はこれを台所にもっていくからな」
「すみません、お願いします」
俺はお盆を持って台所に向かった。
ちなみに、晩御飯もご馳走になり、そのときも同じようなやり取りがあったのは、ここだけの秘密だ。