超展開で片付けるには惜しい出来なのでTrueを補完。
とある西洋の錬金術師「稀仁」は人間を不老不死化させる「珠」を作り出すことに成功し自らを不死者に。
しかし珠は他人と親しくなると相手への支配欲が暴走し、
「眷属」として血を与えた相手を不老不死化・隷属化させてしまいたくなる衝動を生む副作用を持っていた。
眷属は主の命令に絶対服従で、血を与えられすぎた眷族は主の命令無しでは何も出来ない木偶となってしまう。
その衝動を抑える方法が血の摂取。これが「吸血鬼」の正体。
人から血を吸わねば生きていけないのでは無く、人の間で精神的安定を保って生きていくのに血が必要なのだ。
従って珠を除去すれば只の人間に戻る。一方、眷属化された人間はもう元に戻せない。吸血鬼に生殖能力は無い。
この特性の詳細の大部分は稀仁の死と共に失われ、
瑛里華達は日々自らの持つ特性の何たるかに怯えながら暮らすことを余儀なくされている。
250年程前、稀仁は故郷を追われ、逃げ込んだ珠津島で祭司の東儀家に保護され、
そこで授かった子伽耶は生来の吸血鬼だった。
(生殖能力が無い筈の稀仁が何故子を生せたのかは有耶無耶になっている、これが今回最大の超展開w)
娘を案ずる稀仁は伽耶が共に永劫を生きる「家族」を持てるようにする為、2つの珠を作成。
ある時島を疫病が襲い、稀仁は余所者の自分が島に疫病を撒いたとすることで東儀家への責任追及を防いだ。
しかし稀仁はまだ幼い伽耶に自分の運命を教えるのは忍びなく、自分が戻ったら共に誕生日を祝おうと嘘を。
伽耶はその嘘を信じ250年もの残酷な日々を過す羽目に。
稀仁が自害した際、彼を吸血鬼にしていた珠の破片が千年池に散乱、池に珠の影響が残された。
孝平はかつて島に滞在した際、千年池で溺れ掛けたことがあり、珠の影響を受けている。
瑛里華も伽耶に引き取られる際、実験的に珠の破片を飲まされていた。これが瑛里華を発情させた孝平の血の正体。
稀仁の犠牲の代償として、東儀家は伽耶を保護し、伽耶の要求に応じ家族・眷属を提供する契約を結んだ。
この盟約に従い珠を飲ませて作られたのが伊織・瑛里華であり、伊織は百数十歳、瑛里華は征一郎の実妹。
東儀本家の人間は多くが契約により伽耶の眷属となり、気に入らなかった伽耶に殺害or木偶化されている。
瑛里華達の実親も伽耶に木偶化され東儀本家は征一郎が現在の当主、白はこの事実を知らず両親が事故死したと思っている。
征一郎は白を契約から解放する代償として、伽耶の意に従い、眷属を作ろうとしない伊織の眷属に密かに成り、伽耶に臣従。
罪人の子として独り遺された伽耶は、帰らぬ父を待ち続ける孤独を埋めるべく家族・眷属を得ても孤独に苛まれ続け、
やがて東儀家を恐怖で支配する暴君となり、近しい人を苛むことがライフワークとなる程に歪んでしまう。
愛を得られなかった伽耶は憎まれることでせめてもの人との繋がりを保とうとしたのだ。
伽耶の外見は幼女のままであり、それは彼女の精神的未熟の象徴。
家族・友人は努力により作るものであることを知らないのだ。
桐葉は伽耶の一番の親友であり、伽耶を見捨てられずに眷族に。
伽耶との絆を証明するべく記憶を消されても伽耶を探し出すという「鬼ごっこ」を続けている。
だが伽耶は桐葉の真意に気付かず、眷族を作れば友人を得られると勘違いしてしまう皮肉な結果に。
瑛里華もそんな伽耶に反発し、吸血鬼として生きることを拒否し続けて来た為に外界から隔離されていたが、
外界への憧れを押さえきれずに、学院に通う三年以内に眷属を作ることを条件に初めて外に出ることを許された。
全寮制である学院を設立したのは伽耶の意向。外界から隔絶された環境故吸血鬼にとって望ましい餌場という訳。
数十年前伊織は学院で恋した(相手はシスターの母)が、衝動と伽耶の妨害により記憶を消すという最悪の結末に。
伊織が孝平を生徒会に誘った本当の目的は、瑛里華が恋に落ちる様を観察して吸血鬼の持つ衝動の正体を確かめようとしたから。
だが瑛里華には最初から眷属を作る気はなく、それを見抜いた伽耶から血液供給を止められ、衝動に徐々に追い詰められていく。
瑛里華を救うべく、孝平は吸血鬼に関して伊織・征一郎からの情報を集め、吸血鬼が作られた存在であるとの結論に至る。
東儀家には千年池から回収した珠の破片が存在し、孝平はそれを飲んでみることに。
破片には稀仁の記憶が残されており、孝平は吸血鬼の真相と伽耶の悲哀を知る。
瑛里華は孝平と共に伽耶の元に向かい説得。稀仁の末路と真意を知った伽耶はあっさり陥落、改めて家族をやり直すことに。
伽耶は瑛里華の望みを聞き入れ、瑛里華を只の人間に戻した。
瑛里華達は伽耶の為に誕生日のサプライズパーティーを開く。
伽耶の250年来の宿願は新たな家族と共に遂に果たされたのだった。
数年後、娘を授かった二人の元に桐葉と共にどこへとも知れぬ旅に出て行方不明となっていた伽耶が祝いに訪れEnd。