魚座:メダリオ
保存庫の神様、
>>842の煽り文を保存してください。
いつでもどこでもカメラ目線・・・じゃなかった、
いつでもどこでも幸薄い、数少ない登場場所なんです・・・
違和感なさ杉です、メダリオさん
炉座:光陰
【炉座】〔(ラテン) Fornax〕
12月下旬の宵に南中する星座。日本からは南の地平線近くに見えるが目立った星はない。
【老骨座】
君も出雲で南極老人星と二礼二拍手一礼してみないか!? 寿命が伸びるよ!
エターナル相手に寿命の話とは・・・
あれ?おb・・・時深さんどちらへ?
はぁ、「自分巫女ですから、神を拝むのが当たり前」と
慾が深いわけじゃないんですね、安心しました
「クォーリン。あなたにも迷惑を掛けました」
人目もある城の中庭で、レスティーナはまるで自然に頭を下げる。
「そ、そんな女王陛下、もったいないことです。お顔をお上げ下さい」
あまりに予想外なレスティーナの行為の為、クォーリンは戸惑いと緊張に包まれた。
こんなに素直に、この国の頂点に頭を垂れられては、どんな表情をしていいかすら分からないものだ。
クォーリンは、一気に吹き出す汗を感じながら、助けを求めるように傍らの大柄な男――エトランジェ・コウインを見上げた。
「ああ、そうだな。俺も含めて、ずいぶんと迷惑を掛けたもんだ。惚れちまいそうなくらいだ」
「コ、コウイン様……」
見上げるいたいけな瞳の正面には、無精髭を撫でながら片目をつぶる顔。場所もわきまえず舞い上がるときめく心。茹でたテミ色と頭上の蒸気。
クォーリンは熱い頬に気付かれやしないか気が気ではなかったが……こんな機会は今までもこれからも望みようがないのでは。いやきっと無い!
今ここにいるのは生まれ変わったクォーリン。クォーリン不幸! なんて言わせない。
今こそは不吉な考えを振り払い自分にリンゴーンとした大地の祝福!
今よ、クォーリン! 陛下の御前だなんて控えていたら、たった一歩すら進めない。今しかない! 思いの丈をぶつけるの!
胸の奥でアクセラレイトする想いは爆発寸前。もう喉の奥まで出かかって、
「ふふふ。でも本当に良かった。わたくしは最初の頃ですが、クォーリンはコウインを嫌っているのかと思っていました」
意味ありげな目線でクォーリンに口元を覆った笑みを送る冠も重そうな女王陛下によって喉奥がつんのめる。
ゴホッ、ゴホッ……? 意味が分かりません……? ――クォーリンの頭上渦巻く「?」「?」「?」
「へへ、確かにな。初めてあったときなんか、ホントにしばれるくらいの冷たい目で俺を見るんだもんなあ。あなたのこと信用してません、てさ。あれは怖かったなー」
「それも、きっとコウインを心配する余りだったのでしょう」
「あ、あの?」
うなずき合うふたりが、クォーリンには何処か遠いものに見えた。
が、身に覚えのないことで身の回りのことが決定していく恐怖に抗う強い意志がクォーリンにはあるにはあった。
「わ、私そんなの知りません! 私とコウイン様の出会いは、い、稲妻の選別試験の時です!」
必死の抗議も、暖簾に腕押し何処吹く風。
レスティーナは、微笑ましくもわたくしは見守っています、な表情で頷くばかりだ。冠落ちそう。
「あれそうだっけ? 全然覚えてないぞ。俺の記憶ではクォーリンが誰だったか赤スピリットと訓練中のとこで初めて出会ったんだがなあ」
全てを承知している感じで笑う女王と、首を捻るコウインが、とてもとても遠く見えた。
敵はこの世界そのものなのではないか。ありもしない妄想に囚われるクォーリンであった。
,べV
/ 〃  ̄ ヾ
−=≡ ! i ミ(ノハソ
−=≡ !ik(i|゚ ヮ゚ハ <セリアルート補完らしいよ!
−=≡ リ⊂! |T|!つ
−=≡ く/ ⌒)
−=≡ c し'
どこがセリアルートですかw
立派に……立派に……あれ、誰の話だったっけ(アクセラレイト中
この流れで、女王陛下の冠の行方の方が気になる自分は死んでいい。
>>856 乙です。
成るほど、ソゥユートとセリアがE化した場合はクォーリンで補完されるのかw
なかなか美味しいイベント貰えていいじゃないですか
でもエピローグじゃ放置されちゃうのがアレですが
860 :
テンプレ 1:2007/12/01(土) 00:49:19 ID:9CibC5MW0
861 :
テンプレ 2:2007/12/01(土) 00:50:02 ID:9CibC5MW0
____ ________ _______
|書き込む| 名前:| | E-mail(省略可): |sage |
 ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
,ィ
,べV //
ネリーみたいなくーるな女には / 〃  ̄ ヾ; / ./
sage進行がぴったりよね〜 ! i ミ(ノハソ / /./
!ik(i|゚ ヮ゚ハ<///
リ⊂}!廿i つベ/
く/Цレ'
し'ノ
862 :
テンプレ 3:2007/12/01(土) 00:53:20 ID:9CibC5MW0
あてんしょん
| ̄ ヽ
|」」 L.
|゚ -゚ノ| ……えっとこのスレに投稿したネタ(名前欄に題名を記入したもの)はね……
|とl)
,べV
/ 〃  ̄ ヾ;
! i ミ(ノハソ
!ik(i|゚ ヮ゚ハ 。・゚・⌒) 作者の意向が無い限り、
リ⊂! |T|!つ━ヽニニフ)) 問答無用で>>1の保管庫に収録されちゃうんだよ〜
く/|_|〉
(フフ
863 :
テンプレ 3:2007/12/01(土) 00:53:56 ID:9CibC5MW0
薄ぼんやりとした意識の中、ゆっくりと目覚める。
だが、瞼を開いても景色は霞みがかり、乳白色の空間が広がるだけ。
ああ、夢だな、これ。胡乱な頭の隅で、そんな事を考える。それにしても、気持ちが良い。
『……主』
「……?」
ふと、まどろみの奥から響いてくる声。聞き覚えのある、声。
光眩い中、そっと手を差し伸べてくるのは少女。美しさに、息を飲む。
『我は主を誇りに思う……そなたが我が主となったことが、我は純粋に嬉しい』
「……『紡ぎ』、なのか?」
はっきりとしないシルエット。そもそも、人の姿は取れない、と言っていた。
それでも、この声は。いつも、凛と冷たいようで優しい響きは、間違えようがない。
答えてはくれなかったが、微かに微笑んだような気配が正しさを証明してくれる。
『これからも、我は主とともにある』
長い銀色の髪がふわりと揺れ、触れた腕(かいな)がそっと抱き締めてくれる。
『我と主は……一つだ』
「『紡ぎ』?」
『此度の任務で疲れているのだろう? しばし、我が胸で眠るといい』
「……ありがとう、『紡ぎ』」
母親に包まれているような。そんな慈愛の中で、ゆっくりと目を瞑る。
眠りは、すぐに訪れる。暖かい、愛おしさと共に。
『おやすみ、主よ……』
同時刻、リティル・クハ・トーサ。
『これからも、我は主とともにある』
「ねーねーパパ見て見て、この神剣さん、ぶつぶつと寝言を言ってるよ、面白〜い」
「こら、つっつくなって。しっかしまたなんだってこんな所で寝てるんだ」
『そうだ、良い調子だぞ我が分身。たまにはデレも見せないと、ツンだけでは飽きられるからな』
「……なんだか難しそうだね」
「……ああ、妙に不穏な単語も聞こえてくるけど。それより分身って」
「う〜んオルファの『再生』みたいなものなのかなぁ」
「そういえば時深がそんな事言ってたっけ。龍を分身代わりにばら撒く神剣もあるとか」
「この神剣さんは、女の人の形なんだね。額に飾ってる宝石、綺麗だなぁ」
『我と主は……一つだ』
「わっ! わわわっ! パパは見ちゃだめっ!」
「え……ってうわっ、なんでいきなり悶え出すんだ?!」
『此度の任務で疲れているのだろう? しばし、我が胸で眠るといい』
「いや、そんな事言われても」
「も〜っ! なんでパパ、鼻の下伸ばしながらふらふら近づいちゃうの〜!」
『あんっ。こ、こら、あまり強く押し付けるでない』
「え? いや、俺まだ何も」
「馬鹿ぁっ!」
「ぶべらっ! ちょ、ちょっと待てオルファ、ほら、大人しくなったみたいだぞ」
『ゆっくり休むがいい、主よ。目が覚めれば、また新しい日々が始まる』
「……なんだか大変そうだね」
「……ああ、ピンク色の精霊光なんて初めて見た。ところで主って、誰なんだ?」
「さあ? ……あ、短剣に戻ったよ。パパどうする? 拾ってく? すっごく強そうだけど」
「……いや、よしとこう。何故だか寝起きの悪いニムントールを連想しちまうし」
「あ、あはは。そうだね、起こしたら怒られそうだね」
「ま、それは冗談だとしても。いいんじゃないか、このままで」
「……うん。じゃあね、神剣さん」
『おやすみ、主よ……』
そして微速促進。
アネたんノーマルエンドを補完してみました。
時間関係とか捻れまくってますけど、妄想ってことでご勘弁を(汗
時空を越える紡ぎたんモエ。
やはりこれこそがスピたんトゥルーで異存なし! って依存も言ってました。
ピンク精霊光の簡易製法としては、イオとヒミカの組んず解れつ製法が聖ヨト暦334年に発見されています。
>>867 乙です。
そうだね、デレばかりだと飽きられるからねw
紡ぎたんはやっぱり可愛いなぁ。
抱き枕とかシーツとか、エスペリアは洗ってくれますか?
ヒミカのファイアボール2で焼却処分されます
でも落ち込んでいると、その晩からエスペリアが抱き枕の代わりになってくれます
ん〜でもエスペリアって冷え性っぽいなあw やはり安眠を得るためには一戦交え(グラスプ
オーラフォトン触手とな?
触手全ての方が先に力尽きそうな罠
(ヘ、 /)
(ヾヘ, //)
(人_ (丶ヘ, / /) _ノ )
(乂\ (ヘ (_乂 ヘ /.ノ _) ノ) / ノ)
(`ー ヽヘ、 (乂((人 ヘ / ノ))ノノ) // , ー´)
< ノ ,'ヘ人,,_ ((\\ / ヽ //)) _ノ/、 ヽゝ
∠乂 , ' 人 `"'ー-ー´⌒`\!i i.!/´⌒`ー-ー'"´ノ、 ヾ 乂ゝ
/ ノノ` "'"' ̄ ̄"'ュ, 乂 ノノ ,r'" ̄ ̄'"'" ´ ヽ 乂ゝ
∠,_乂 , ", "人 i ) ( i /、"、"、 乂_,ゝ
,..,,_ ∠乂 ソ γ´ ⌒ \;:;:<~ヽ ヽ〈;:;:;/ ⌒ ヽ、ヽ \ ゝ _,,..,
/ `"''ー===ー ''"^´ ´ ⌒ \`'i〈/ ヽ 〉ル'´/ ⌒ ヽ `^"'' ー===ー''"´ \
( 乂 / ;'⌒ゝ´`; ;'; ;'; ;'; ; ; ;, 'γ. ⌒`"''ヽi.i' . , ´  ̄ ヽi.i/⌒ミ⌒ヽ、,', ,; ,; ; ; ;'; ;'; ;'; ;'ソ⌒'; \ /^)
人 ヽ,,_ _,ソ / ン`ー^ハ(ノ(ノ(ノ(ノハ/ ,;'⌒'"'ヽi イ((())) |/|ヽ へ)へ)へ)へ)ヘ^ー´ヽ\ 、 、.,_ノノ
⌒ヽ、 人ン <ノ/`^ /,,',', ' 人 | l| ゚ -゚ノ|| 人/ ゝ,_,フ ^´\ ヾゝ ゝ,__  ̄/
 ̄ .乂人/// 乂 乂 乂 / / / ノ ft)介)う /|ヽ ヽヽヽ乂 乂 乂 ヽ \ ヽへ ノ ̄
(__乂 〈_ / / / / / //⌒⌒U_l__i|>ゝヽ,_,フ\ ) )ヽ\ \ \ヾ乂 __)
(_,r(_,r(__ノ /乂_ノ く_|し'ノ」 ゝ、_乂\ヽ、__)、__)、__)
(/ \)
なんかRPGのボス的に、次の形態で人の部分が消えそうな悪寒
すまん
全部触手に見立てた俺ガイル
ユートも大変だなとか思ったり思わなかったり
どこの火○鳥鳳凰編かと思ってしまった俺もいる
つか肝心の永劫はどこ行っちゃったんだw
>875
小林幸子?
小林幸子と聞くと某弾幕シューティングが連想されるなぁ
このアセリアは羽根を矢のように飛ばしてきそうだ
覚醒アセリア「内臓たべたい」
_§_
,´ 皿`,
ヽ( ( ●))ノ
ルリルリ 内蔵なんてないぞう
リ
…ごめん、お詫びに新スレ建ててくる
>>INN ハ乳の宿
なんという乳浴剤
天井で、きぃきぃと錆臭く揺れるマナ灯。
苔生した石壁の隙間からちょろちょろと湧いてくる、饐えた匂いの水。
陽光などは当然届かず、新鮮な空気とも縁を持たないラキオス城の地下深く。
刳り貫くように用意された監禁部屋で、今、1人の男が椅子に縛られ尋問を受けている。
「いい加減素直に吐いたらどうだ? 正直に下呂れば悪いようにはしないと言ってるだろ?」
「……騙されるかよ。へっ、お役人の戯言を素で信じる程、俺もお子様じゃないんでね」
「俺は役人じゃないが……まあいい。そういう態度なら、こっちにも考えがある」
「お、おい何を、よせ……ぐぉっ!」
「はは、苦しいか? 苦しいだろ? さあ、言うんだ。証言として記録された後ろ盾を俺によこせっ」
「くっ……だ、誰が……知ってるか、強制や拷問による証言は裁判じゃ効力が無いんだぜ……ぐあああっ」
「残念だが、ここはハイペリアじゃないんだ」
尋問者は、冷やかな目付きでぐったりと項垂れた容疑者を見下ろす。
その右手に握られているのは、いまだ雷光を放つ『空虚』。無論、今日子から無断拝借したものである。
「あれ? おい、もう終わりか? よせよ、昔っからハリセンにだけは慣れたもんだったろ?」
「ぐっは……ふざけんな、ハリセンと一緒にするんじゃねえ。『因果』無しで雷撃を防げる程鍛えられる訳が」
「ほほう、神剣が無きゃただのしがない高○生でちゅってか? この世界でそんな言い逃れが通用するとでも」
「ほほう、じゃあお前がやってみろよ悠人。それだけ大口を叩いたんだ、よもや出来ないとは言わせないぜ」
「む……ふ、ふん、いいだろう(おいバカ剣。判ってるな、レジストを頼む)」
『断る。下らぬ用で我を呼び出すな、そんな事よりマナをよこせ』
「……」
「……」
「や、やっぱりこれを屋内で使うのは危険だな、うん。脇に置いておこう……よっこらせ」
「……お前、ある意味本当に主人公向けな性格してるよなぁ」
「さて、尋問を再開する」
木製にも拘らず未だぱりぱりと静電気を纏う椅子へと感電しないよう慎重に座りなおし、
気まずさが漂う空気と光陰の冷やかな視線を誤魔化すようにこほん、と1つ咳払いをしながら悠人は続ける。
「で、なんだって無視なんてしたんだよ?」
事の発端は、実にささいないつもの出来事にすぎない。
普段のようにオルファリルを追っかけていた光陰が、途中からその獲物をどんどん増やしていっただけ。
具体的にはネリー、シアー、ヘリオン、ニムントール。いつも通り、訓練をしようと集まった際の災難だった。
お約束どおり、今日子に見つかった光陰がライトニングハリセンを喰らった所で騒ぎは一応終結している。
ただ、その直後、たまたま剣の修練にやって来たセリアが1人蹲るクォーリンを発見したのが拙かった。
訓練所の真ん中でめそめそしくしくいじけている彼女に何事かと尋ねた所、"私だけ無視されました"と
縋るような目付きで訴えられ、義憤に駆られたいいんちょが颯爽と立ち上がり、署名を集め始めたのが午前中。
恐ろしい事に昼にはラキオス王国議会臨時審査委員会はその嘆願を圧倒的支持で可決通過させてしまい、
女王陛下直々による"事の真偽を質すように"との光陰捕縛命令が全軍に下されたのは、その2時間後という速やかさ。
その頃には当のクォーリンも冷静さを取り戻し、"わ、私なら大丈夫ですから"と武装派集団を抑えようとしたが、
沸騰した世論はそう簡単に収まらず、むしろ発令が広がるにつれ同情や自分に置き換える者が続出し、城内は騒乱状態に。
結局第一詰所の廊下で呑気に鼻歌を歌っていた光陰がエスペリアのネイチャーフォースにより発見襲撃され、
待機していたアセリアに光輪の縄で動きを封じられ、そのまま狩られた猪のように城の地下へと連行されて今に到る。
「だから信用してくれよ、俺は無視なんかしちゃいない。天地神明に誓ってもいいぜ」
「じゃあ光陰、お前はクォーリンが嘘をついているっていうのか?」
「あいつが嘘なんかつく訳無いだろう。どれだけ長い間一緒に居たと思ってるんだ、見くびるなよ」
「……」
「……」
「……なあ、本当に無視してないのか?」
「ああ、本当だ。純粋に視えなかっただけdぶわっ!」
「最低だなお前」
「冷てーな! こりゃ井戸水か? まったく、修行じゃあるまいし」
「うるさい。エセ盲目の親友を持ったお陰で、とんだ飛ばっちりだ。こんな尋問事項まで追加されてるんだぞ」
悠人は忌々しそうに机の上に積上げられた書類の束をばん、と叩く。
その中には、光陰に追っかけられていたネリシアやニムントールやオルファリルやヘリオンの名も見えた。
今日子の分は見当たらないが、端が少し焦げて黒いのが多分それだろう。彼女達の本気度が窺える。
「おいおい、まだあるのかよ」
「多分、署名はこっちの方が肝だ。お前がこれに答えるまで、俺もお前も恐らくここからは永遠に出られない」
「やれやれだぜ、急に深刻な顔になってやがる。いいぜ、それもさっくり答えてやるから早く縄から開放してくれ」
「さっくり答えられてもきっとロクな結果にならないんだろうが……まぁいいや。一応訊くけど、光陰」
「おう」
「お前、一体誰に気があるんだ?」
「……」
「……」
「……やけに直球ど真ん中な質問だな」
「しかもただの直球じゃない、マナのたっぷり篭められた剛速球だ。慎重に振れよ光陰、三振は許されないぞ」
「いや、三振も何も。ちと恥ずかしいが、悠人だって知ってるだろ。俺が好きなのは今日子うおっ! 眩しっ! 眩しいって!」
「そんな通り一遍の答えは、もう通用しない所まで来ちまったんだよ俺達は。なにせもう9回裏2死満塁カウント2-3だ」
「な、何故そこまで土壇場なんだ。そもそも普段の行動をしっかり見てくれていれば、判り切った事だろうが」
「あーん? その判り切った普段の行動が話をややこしくしたんだろうが。四の五の言わずにとっとと吐け。真実を」
「だからだな、何度も言うが俺は今日kうおお目がっ、目があーー!」
「し、ん、じ、つ、を吐け、と言ったんだ」
「はあっ、はあっ、はあっ……くそ、たかが光と侮れねえな。あやうくム○カになるとこだった」
「飛○石なぞどうでもいい。なあ、もう観念しろよ。俺だってこんな事、本当はしたくないんだ」
光陰の顔へ向けて刑事ドラマよろしくマナ灯を近づけた悠人の台詞にも、嘘は無い。
正直、まさか自分が尋問役に抜擢される羽目になるとは考えてもいなかった。
しかしこの役目を放棄すると、部屋の向こうで待機しているスピリットの面々を全て敵に回す事になる。
なにせ署名で集まったのはラキオス部隊全員分のみならず、何故か元稲妻部隊や人間の分まであり、
ここに種族を超えた女性差別反対運動が急速に広まりつつあると悠人にでもひたひたと実感出来る程。
光陰の本命が今日子だという事は親友として実は微塵も疑ってはいないが、それではもうこの事態は収まらない。
もう正義とか法とかではなく、取りあえずクォーリンに対して何らかの有利な証言を取らないと。
具体的には光陰の行動に女性差別やセクハラの意図が無いと証明しないと、次の矛先は確実に自分に向かってくる。
こうなってくるともう誰が生贄になって責任を取るかという某国某機関みたいな見苦しさがあるが、
なにせ命がかかっているので本人としては必死にならざるを得ない。
「ま、こんな状況だからさ、俺達にはもう選択権なんて無いんだよ。諦めろ。そして楽になれ」
「……はっ、ははは。笑わせてくれる。まったく、しゃれにならないよなぁ」
「? 決心はついたか? ならとっとと」
「偽証が必要って、一体どんな状況なんだか。大体こうなったのも、元はといえば悠人のせいだろ?」
「……どういう意味だよ」
「自分で気づいていないのか? あっちこっちに期待を安売りしてるのは、むしろお前じゃないかって事だ」
「なっ、それは違」
「あっちの世界で看病したり昔の男に嫉妬したり命の大切さを教えたり背負って帰ったり3回目は運命だったり」
『契約者よ、マナをよこせ』
「う、うるさいうるさいうるさいっ!」
「いーや聞いて貰う。両手に花で買い物したり胡坐で反省させたり姉妹愛を確認させたりマナ蛍の中で昔話を」
『マナだ、マナが足りない』
「うわあああああっ! もうやめてくれえぇぇぇっ!」
「ふっ、語るに落ちたとはよく言ったもんだな。悠人よ、これでもお前は俺だけを責めるというのか?」
『うむ、求めには代償が必要だ』
「はぁっ、はぁ……くそ、突然割り込んできたバカ剣はともかく……光陰、お前一体どこでそんな異次元の情報を」
「ん? ああ、ここ数日、まるでダイジェストみたいに夢で見るんだ。枕元で巫女装束の誰かが囁いてだな」
「あ? なんだよそれ。そんな薄い根拠でカマかけたってのか」
「俺は仏に仕える身だからな、夢枕は信じないでもない。それに、まんざら嘘でもないんだろ?」
『この世界に来てから、ずっと我々を監視していた者だ』
(五月蝿い、黙れ。ネタばれはよせ)
「くっ……証拠不十分は不起訴と相場が」
「悪いな。残念だが、ここはハイペリアじゃないんだ」
「……要求は、なんだよ」
「話が早くて助かる。とりあえずはそうだな……腹減ったし、カツ丼でも貰おうか。それで今のは忘れよう」
「ほれ」
「……早いのは話だけじゃないってか?」
「定番だからな。早く喰え」
「ああ、縄も解いてくれ。それともあーんとでもしてくれるのか? どこぞのスピリットみたいに」
「……」
ここに、上下関係は完全に逆転した。
観念した悠人は渋々光陰の両腕を解き、形から入ったエスペリア特製の丼を差し出す。
かぱっと丼の蓋を開けると湯気の立つそれを、机を挟んで向かい合ったままの2人は黙々と頂く。
途中、この肉は果たしてカツと呼んでも良いのだろうかと軽く雑談めいた議論は交わされたが。
そしてごちそうさまの合図と共にばんっ、と勢いよく机が叩かれ、尋問もとい密談は再開される。
「で、外はどんな状況なんだ?」
「しっ、声が大きい。壁1枚向こうでみんなが耳を欹ててる。盗聴されてる可能性が高いっていうか絶対だ」
食を共にした2人はすっかり剣呑な雰囲気が取れ、親友らしく結束をより強固なものへと変えていた。
というか互いの平等すぎる立ち位置が暴露されてしまった以上、もう仲違いしている場合ではない。
「警戒は万全って訳か。男同士なら簡単に口を割ると考えたんだろうが……ちっ、しゃあねえ。おい悠人」
「あん?」
「 俺 が 好 き な の は 、 お 前 な ん だ ! 」
「ナッ、ナンダッテー!(AAry むぐっ! むむむっ……」
突然の抱擁。
手で口まで塞がれた悠人は目を白黒させる。顔を近づけた光陰は耳元で囁く。
その間に廊下の方からは、がたがたと何かが膝を屈したような雑音がコーラスで響いている。
(馬鹿、合わせろよ。この場を切り抜けるにはこれしかない。俺も、お前も)
(な、なるほど)
「 じ 、 実 は 俺 も お 前 の 腰 が 前 か ら ず っ と 」
『工工工エエエェェェ;゚Д゚ェェェエエエ工工工!!!』
どんがらがっしゃん。
悠人が慌てて噛んだ途端、一気に騒然とする廊下。
そして次の瞬間には扉が廊下側から押し開けられ、スピリットのメンバーが将棋倒しで雪崩込んでくる。
悠人の台詞は、それ程までに彼女達の何か触れてはいけない琴線へと確実なダメージを与えていた。
驚いた事に、扉だけでは無く四方の壁もドリフのように崩落し、室内の人口密度があっという間に加速する。
だが、そんな混乱の中、ただ1人だけ冷静な男が居た。
素早く『因果』を取り戻し、咄嗟に脱出口を見極めつつ悠人の腕を取る。
「よし、こっちが手薄だ、行くぞ悠人っ!」
「お、おうっ! みんなごめんな!」
「はーっはっは、さらば女性諸君! 茶番は終いだ、今こそ自由恋愛を我が手にっ!」
「いや俺は別に……って、え゙」
『なっ、にっ、がっ!』
しかし、そんな混乱の中、ただ1人だけ冷静な女も居た。
堆く積み上がるスピリットの群れを飛び越えようとした所で正面から襲い掛かるのは茶毛の弾丸。
「ん、どうした悠人よ……ってお、おおおおっ?!」
「なっ、にっ、がっ、じゆー恋愛よ! こーんの馬鹿コンビ!!」
「きょ、今日子これには訳がだな」
「お、落ち着」
「問答無用っ! 天誅っっ!!!」
「くぁwせdrftgyふじこl;p!!」
「亜qwせdrftgyふじこl;p@:!!」
鋭い眼光と鞭のような四肢を撓らせて振るった巨大ハリセンが、宙に浮いた2人をカウンター気味に捉える。
ハリセンブラストの前では、たとえ『因果』があっても全く通用しないという事が立証された瞬間だった。
「あはっ、なんかぴくぴくしてるよー」
「真っ黒焦げなの……」
「ごめんねクォーリン。本人達も反省してると思うから、これでもう勘弁してやってくれない?」
「え、ええ……(ていうかここまでしてくれなんて誰も頼んでいませんけど……大地の祈り大地の祈り)」
「あらあらぁ〜。んふふ〜ユート様、大丈夫ですかぁ〜」
「大丈夫もなにも、心肺機能が停止していると思われます」
「しっかり生き返らせないといけませんよハリオン、御訊きしたい事がまだまだ沢山あるのですから」
「ふう、面倒」
「こらニム、いつも言ってるでしょ。これも神剣魔法の訓練なのですから」
「……それは情操教育としてはどうなのでしょうか」
「ユート様とコウイン様が実は……だなんて……受けが……こう、攻めて……なんとか新刊に……」
「ヒミカお姉ちゃん、何だかお顔が怖いよぅ」
「放っておきなさい、どうせまた下らないシナリオを練っているだけだから」
「ん、セリア、頬赤い」
「結局、よく判らないままでしたね」
「ヘリオン殿、それは致し方無いかと」
「ふえ? どうしてですか?」
「現在の所、コウイン殿のるーとは確認されていませんので」
「……(そっちじゃないですよぅ)」
ラキオス城下を巻き込んだ世界初の女性権利運動は、こうしてうやむやのままに幕を閉じた。
だが、混乱に乗じて一応法制上の雛形も整えられたのだが、世界観の違いからか、
はたまた単なる麻疹のような社会現象だったのか、それとも女王陛下殿の飽きっぽい性格のせいか、
肝心の女性(主にメインヒロイン)の方から権利を放棄する事もしばしばだったという。悲喜こもごも。どっとはらい。
追い込み中
, ' ` ^ヽ >契約者よ。我はマナが手にはいるのなら性別は問わぬ、と。カチャカチャ
ノ ル从ルリゝ. ミ
从リ゚ ー゚从 ___ | | <【待て。我にも選ぶ権利が有る!】
(__つ /Spinet /.|レ〉
 ̄ ̄ ̄\/___/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄